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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042413
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】コイル装置
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/29 20060101AFI20240321BHJP
   H01F 27/02 20060101ALI20240321BHJP
   H01F 30/10 20060101ALI20240321BHJP
   H01F 5/02 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
H01F27/29 J
H01F27/02 N
H01F30/10 M
H01F30/10 F
H01F30/10 G
H01F30/10 S
H01F5/02 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147105
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】古市 朋広
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 勝
(72)【発明者】
【氏名】田中 琢磨
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070DA05
5E070EB01
(57)【要約】
【課題】低背化が可能で、ケースの設置面積が小さく、しかも放熱性に優れるコイル装置を提供すること。
【解決手段】ボビンと、ボビンに巻回されるワイヤのコイル部と、を有する装置本体と、コイル部のワイヤから引き出されるリード部が配置される端子台と、装置本体を収容可能なケースと、を有するコイル装置である。ケースは、ケースの外側に延びる支持腕を有し、端子台は、支持腕に保持してある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボビンと、前記ボビンに巻回されるワイヤのコイル部と、を有する装置本体と、
前記コイル部のワイヤから引き出されるリード部が配置される端子台と、
前記装置本体を収容可能なケースと、を有するコイル装置であって、
前記ケースは、前記ケースの外側に延びる支持腕を有し、
前記端子台は、前記支持腕に保持してあるコイル装置。
【請求項2】
前記支持腕は、前記ケースと一体に成形してある請求項1に記載のコイル装置。
【請求項3】
前記ケースは、金属製である請求項1に記載のコイル装置。
【請求項4】
前記ワイヤのコイル部の巻軸芯が前記ケースの底面に略平行となるように、前記装置本体が前記ケースに収容してある請求項1に記載のコイル装置。
【請求項5】
前記支持腕の幅よりも前記支持腕の長さが長い請求項1に記載のコイル装置。
【請求項6】
前記ケースとの接続部に位置する前記支持腕の幅は、前記支持腕の先端部の幅よりも大きく、前記支持腕は、前記ケースに片持ち梁状に一体化してある請求項5に記載のコイル装置。
【請求項7】
前記端子台は、絶縁性部材で構成してあり、前記支持腕の少なくとも上面を前記支持腕の伸びる方向に沿って覆うカバー部を有する請求項1に記載のコイル装置。
【請求項8】
前記カバー部は、前記ワイヤのリード部を前記支持腕の伸びる方向に沿って案内する係合片を有する請求項7に記載のコイル装置。
【請求項9】
前記支持腕は、前記ケースの上端と下端との間の中間位置に配置してある請求項1~8のいずれかに記載のコイル装置。
【請求項10】
前記支持腕は、前記支持腕から上方に延びる上側凸部を有する請求項9に記載のコイル装置。
【請求項11】
前記支持腕は、前記支持腕から下方に延びる下側凸部を有する請求項9に記載のコイル装置。
【請求項12】
前記端子台は、前記上側凸部が挿入される柱状部材を有し、前記柱状部材の上部に、前記リード部の先端が接続される端子が取り付け可能である請求項10に記載のコイル装置。
【請求項13】
前記端子台は、前記下側凸部が挿入される上孔付き部材を有し、前記上穴付き部材の下部に、前記リード部の先端が接続される端子が取り付け可能である請求項11に記載のコイル装置。
【請求項14】
前記コイル部のワイヤから引き出されるリード部が一対のリード部であり、一方のリード部が、前記支持腕の上側に位置する前記端子台を通り、他方のリード部が前記支持腕の下側に位置する前記端子台を通るように配置してある請求項9に記載のコイル装置。
【請求項15】
前記ワイヤのコイル部が一対のワイヤのコイル部を有し、
前記ボビンは、一方の前記ワイヤが巻回される第1ボビンと、前記第1ボビンに取り付けられて他方の前記ワイヤが巻回される第2ボビンとを有し、
前記支持腕は、少なくとも2つの支持腕を有する請求項1~8に記載のコイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばトランスなどとして好適に用いられるコイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
トランスなどに用いられるコイル装置として、たとえば下記の特許文献1に示すコイル装置が開発されている。この開発されたコイル装置では、ワイヤが巻回してあるボビンがケースの内部に収容され、ケースの内部はポッティング樹脂などの熱伝達性に優れた樹脂が充填してあり、放熱性を高めている。
【0003】
ところが、近年では、トランスなどのコイル装置の低背化が求められている。また、ケースの設置面積を減らしつつ、放熱特性を向上させることが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-93405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、低背化が可能で、ケースの設置面積が小さく、しかも放熱性に優れるコイル装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るコイル装置は、
ボビンと、前記ボビンに巻回されるワイヤのコイル部と、を有する装置本体と、
前記コイル部のワイヤから引き出されるリード部が配置される端子台と、
前記装置本体を収容可能なケースと、を有するコイル装置であって、
前記ケースは、前記ケースの外側に延びる支持腕を有し、
前記端子台は、前記支持腕に保持してある。
【0007】
このコイル装置では、ケースの外側に延びる支持腕を有し、端子台は、支持腕に保持してある。そのため、端子台の面積に対応してケースの設置面積を大きくする必要が無く、ケースの設置面積を小さくすることができる。また、ケースの上に、端子台を配置する必要が無いため、ケースの低背化、すなわちコイル装置の低背化を図ることが可能になる。
【0008】
また、ケースの内部にポッティング樹脂などの放熱性樹脂を充填することなどにより、ワイヤまたはボビン(コアを含む)からの熱を放熱性樹脂を介してケースの底面に逃がすことが可能になり放熱性が向上する。また、ケースの側壁から外側に向けて突出する支持腕により端子台を支持していることから、端子台が邪魔にならずに、少なくともワイヤの巻回軸を含むボビン(ワイヤおよびコアを含む)の大部分を、ケース内部の放熱性樹脂に接触させることができる。そのため、必要最小限の放熱性樹脂により、放熱性を効果的に高めることができる。
【0009】
また、ケースが設置される基板などの表面と、支持腕との間に隙間空間を形成することが可能になり、その隙間空間に、その他の回路基板やそのその電子部品(たとえばコンデンサなど)を配置することが可能になり、ケースが設置される基板上のスペースを有効に活用することができる。
【0010】
好ましくは、前記支持腕は、前記ケースと一体に成形してある。ケースの外壁と一体に成形してある支持腕が端子台を支持することから、端子台の強度および信頼性を向上させることができる。特に、コイル装置の端子台に具備してある端子を、外部の基板と接続する際に、支持腕が、端子台の強度を補強するために、基板との接続が容易になると共に、信頼性が向上する。
【0011】
好ましくは、前記ケースは、金属製である。ケースは、放熱性に優れた樹脂で構成することもできるが、金属製で構成することにより、ケースの放熱性が、さらに向上すると共に、ケースの強度も向上する。
【0012】
前記ワイヤのコイル部の巻軸芯が前記ケースの底面に略平行となるように、前記装置本体が前記ケースに収容してあってもよく、あるいは、前記ワイヤのコイル部の巻軸芯が前記ケースの底面に略垂直となるように、前記装置本体が前記ケースに収容してあってもよい。
【0013】
コイル部の巻軸芯がケースの底面に略平行となる横型のコイル装置では、ワイヤの巻回軸がケースの底面に略垂直となる縦型のコイル装置に比べて、低背化を容易に図ることができると共に、ワイヤからケースへの放熱冷却を促進しやすくなる。また、縦型のコイル装置では、横型のコイル装置に比べて、コアからケースへの放熱性を向上させ易いと言う利点がある。
【0014】
支持腕の長さは、支持腕の幅よりも短くてもよいが、長くてもよい。支持腕の長さを長くすることで、支持腕により支持される端子台に取り付けられる端子と外部回路基板などとの接続位置をケースから引き離すことが容易になる。また、支持腕の幅をケースの側壁幅に比較して短くすることで、複数の支持腕を、ケースの側壁の同一高さ位置に配置することが容易になる。
【0015】
好ましくは、前記ケースとの接続部に位置する前記支持腕の幅は、前記支持腕の先端部の幅よりも大きく、前記支持腕は、前記ケースに片持ち梁状に一体化してある。このように構成することで、ケースに片持ち梁状に一体化してある支持腕の強度を向上させることが容易になる。
【0016】
好ましくは、前記端子台は、絶縁性部材で構成してあり、前記支持腕の少なくとも上面を前記支持腕の伸びる方向に沿って覆うカバー部を有する。このように構成することで、絶縁性を有するカバー部の上にワイヤのリード部を配置しやすくなる。また、支持腕が金属製であっても、ワイヤのリード部と支持腕との絶縁を確保することが容易になる。
【0017】
好ましくは、前記カバー部は、前記ワイヤのリード部を前記支持腕の伸びる方向に沿って案内する係合片を有する。このように構成することで、ワイヤのリード部をカバー部の長手方向に沿って配置しやすくなる。
【0018】
好ましくは、前記支持腕は、前記ケースの上端と下端との間の中間位置に配置してある。このように構成することで、支持腕の上下に、その他の回路基板や電子部品などを配置するための隙間スペースを作成しやすくなる。
【0019】
前記支持腕は、前記支持腕から上方に延びる上側凸部を有してもよい。前記端子台は、前記上側凸部が挿入される柱状部材を有してもよく、前記柱状部材の上部に、前記リード部の先端が接続される端子が取り付け可能であることが好ましい。このように構成することで、支持腕の上側に配置される端子の位置決めが容易になると共に、ワイヤのリード部と端子とのリード接続部と、外部回路基板などと端子との外部接続部とを上下方向に引き離すことが可能になる。
【0020】
前記支持腕は、前記支持腕から下方に延びる下側凸部を有していてもよい。前記端子台は、前記下側凸部が挿入される上孔付き部材を有してもよく、前記上穴付き部材の下部に、前記リード部の先端が接続される端子が取り付け可能であってもよい。このように構成することで、支持腕の下側に配置される端子の位置決めが容易になると共に、リード接続作業が容易になる。
【0021】
前記コイル部のワイヤから引き出されるリード部が一対のリード部であってもよく、一方のリード部が、前記支持腕の上側に位置する前記端子台を通り、他方のリード部が前記支持腕の下側に位置する前記端子台を通るように配置してあってもよい。このように構成することで、支持腕の上側を通るワイヤのリード部に接続される端子と、支持腕の下側を通るワイヤのリード部に接続される端子との間の絶縁距離を確保し易くなる。
【0022】
また、支持腕の上側を通るワイヤのリード部に接続される端子と、支持腕の下側を通るワイヤのリード部に接続される端子とを、支持腕の長手方向に沿って位置ズレして配置させやすくなる。そのため、これらの端子間の絶縁を確保し易くなる。
【0023】
前記ワイヤのコイル部が一対のワイヤのコイル部を有してもよい。また、前記ボビンは、一方の前記ワイヤが巻回される第1ボビンと、前記第1ボビンに取り付けられて他方の前記ワイヤが巻回される第2ボビンとを有してもよい。さらに、前記支持腕は、少なくとも2つの支持腕を有していてもよい。複数の支持腕は、ケースの同一側面に具備させてもよく、あるいは、対向(または隣接)する別々の側面に具備させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は本発明の一実施形態に係るコイル装置の概略斜視図である。
図2図2図1に示すコイル装置の分解斜視図である。
図3図3図2に示すボビンの分解斜視図である。
図4図4図3に示すボビンを異なる角度から見た分解斜視図である。
図5図5図2に示すワイヤのコイル部を示す分解斜視図である。
図6図6図5に示すワイヤのリード部が接続される端子の分解斜視図である。
図7図7図2に示す端子が取り付けられたワイヤのコイル部が具備されたボビンにボビンカバーが取り付けられた状態を示す概略斜視図である。
図8図8図2に示すコアの分解斜視図である。
図9図9はケースに具備してある支持腕に上側端子台が取り付けられる前の上側端子台とケースの支持腕との分解斜視図である。
図10図10はケースに具備してある支持腕に下側端子台が取り付けられる前の下側端子台とケースの支持腕との分解斜視図である。
図11図11はケースに具備してある支持腕に上側端子台と下側端子台が取り付けられた後の状態を示す斜視図である。
図12図12図1に示すコイル装置の平面図である。
図13図13図1に示すコイル装置の底面図である。
図14図14図1に示すコイル装置の使用状態を示す縦断面図である。
図15図15は本発明の他の実施形態に係るコイル装置の概略斜視図である。
図16図16図15に示すコイル装置の平面図である。
図17図17図15に示すコイル装置のケースを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面に示す実施形態に基づき説明する。
【0026】
第1実施形態
図1に示す本実施形態に係るコイル装置10は、たとえばトランスとして機能し、たとえばEV(Electric Vehicle:電動輸送機器)、PHV(Plug-in Hybrid Vehicle:プラグインハイブリッド自動車)、あるいはコミュータ(車両)用の車載用充電器、あるいは家庭用または産業用電気機器の電源回路、あるいはコンピュータ機器の電源回路などに用いられる。
【0027】
以下、コイル装置10の詳細な構成について説明する。なお、以下の説明では、図面において、X軸、Y軸およびZ軸は、相互に垂直である。Z軸は、コイル装置10の高さ方向(鉛直方向)に対応する。また、コイル装置10の中心に向かう側を内側または内方とし、コイル装置10の中心から離れる側を外側または外方とする。
【0028】
図1に示すように、コイル装置10は、装置本体12と、装置本体12を収容している収容部91を持つケース90とを有する。装置本体12は、図2に示すように、ボビン20と、コア50a,50bとを有している。本実施形態では、ボビン20は、第1ボビン20aと、第2ボビン20bと、ボビンカバー32,34とを有する。
【0029】
第1ボビン20aには、第1ワイヤ41aが巻回してあり、第1コイル部42aが形成してある。第2ボビン20bには、第2ワイヤ41bが巻回してあり、第2コイル部42bが形成してある。分離可能な第1ボビン20aと第2ボビン20bとの間には中間コア50cが介在してあってもよい。それぞれのボビン20a,20bに形成してある軸孔25a,25bには、各コア50a,50bの中脚部53a,53bがX軸に沿ってボビン20の外側から挿入可能になっている。
【0030】
ボビンカバー32,34は、図7に示すように、ボビン20a,20bがX軸に沿って組み合わされたボビン20に、Y軸に沿って両側から取り付けられる。本実施形態では、図7に示すボビン20の台座20a,20bが、図2に示すケース90の底板90b上に設置されるように、装置本体12がケース90の上部開口90aから収容される。その結果、ワイヤ41a,41bのコイル部42a,42bの巻軸は、ケース90の底板90bに平行になり、いわゆる横型のコイル装置10となる。なお、本実施形態では、X軸がワイヤ41a,41bのコイル部42a,42bの巻軸と一致するが、これに限定されない。
【0031】
本実施形態では、ケース90の底板90bの下面が、コイル装置10の設置面となり、設置面には、冷却機構などが具備してあり、ケース90の底面90bから冷却されるようになっている。図1に示すように、側壁90c~90fと底壁90bとで囲まれたケース90の内部(収容部91)には、放熱性樹脂100が充填してあり、放熱性樹脂100に接する装置本体12から発生する熱は、放熱性樹脂100を介して、ケース90の側壁90c~90fおよび底壁90bに伝わり、底壁90bから放熱される。なお、底壁90bに直接に接触する装置本体12の部分は、そこから底壁90bに伝熱して放熱される。
【0032】
図3に示すように、ボビン20は、第1ボビン20aと第2ボビン20bとを有する。第1ボビン20aは、筒状の第1巻芯部21aを有し、その周囲に、図5に示す第1ワイヤ41aが巻回されて、第1コイル部42aが形成される。同様に、図3に示す第2ボビン20bは、筒状の第2巻芯部21bを有し、その周囲に、図5に示す第2ワイヤ41bが巻回されて、第2コイル部42bが形成される。図5に示すように、第1コイル部42aからは、第1ワイヤ41aの両端に位置する第1リード部41a1,41a2が引き出してあり、第2コイル部42bからは、第2ワイヤ41bの両端に位置する第2リード部41b1,41b2が引き出してある。
【0033】
図3に示すように、第1巻芯部21aの巻軸(X軸)に沿った両端には、それぞれ鍔部22a1,22a2が巻芯部21aから径方向に広がるように一体に具備してある。一方の鍔部22a1のZ軸に沿った下方には、鍔部22a1のX軸に沿った外側に突出するように、台座23aが一体に具備してある。また、鍔部22a1のZ軸に沿った上方には、鍔部22a1のX軸に沿った外側に突出するように、案内凸部24aが一体に具備してある。案内凸部24aのZ軸に沿った上側には、Y軸に沿って複数の案内溝26aが形成してある。
【0034】
各案内溝26aには、図5に示すワイヤ41a,41bの各リード部41a1,41a2,41b1,41b2が通されて案内されるようになっている。各溝26aの底部は、図4に示すように、鍔部22a1の外径よりもZ軸に沿って高い位置に位置することが好ましい。各案内溝26aは、X軸に沿って平行に、図3に示す各リード部41a1,41a2,41b1,41b2を第1ボビン20aのX軸に沿って外側に案内する。
【0035】
他方の鍔部22a2の外周縁には外枠28aが、X軸に沿って巻芯部21aと反対方向に筒状に突出して一体に具備してある。図4に示すように、鍔部22a2の外枠28aの内側には、内枠30aが外枠28aと同芯状に、巻芯部21aの軸孔25aから外枠28aと同一方向に突出するように具備しある。
【0036】
また、図3に示すように、第2巻芯部21bの巻軸(X軸)に沿った両端には、それぞれ鍔部22b1,22b2が巻芯部21bから径方向に広がるように一体に具備してある。一方の鍔部22b1のZ軸に沿った下方には、鍔部22b1のX軸に沿った外側に突出するように、台座23bが一体に具備してある。また、鍔部22b1のZ軸に沿った上方には、鍔部22b1のX軸に沿った外側に突出するように、凸部24bが一体に具備してある。凸部24bのZ軸に沿った上側には、Y軸に沿って複数の溝26bがX軸に沿って連通するように形成してある。
【0037】
本実施形態では、各溝26bは、凸部24bにおける成形性などを考慮して設けられ、図5に示すようなワイヤのリード部41a1,41b1,41a2,41b2のいずれも通さないが、いずれかのリード部を通すための案内溝として用いてもよい。
【0038】
他方の鍔部22b2の外周縁には外枠28bが、X軸に沿って巻芯部21bと反対方向に筒状に突出して一体に具備してある。鍔部22b2の外枠28bの内側には、内枠30bが外枠28bと同芯状に、巻芯部21bの軸孔25bから外枠28aと同一方向に突出するように具備してある。外枠28bのZ軸に沿って上部には、Y軸に沿って複数の仕切壁が外枠28bの外周面から突出して形成してあり、仕切壁の間に、X軸に沿って連通する溝26cが形成してある。
【0039】
本実施形態では、各溝26cは、図5に示すようなワイヤのリード部41a1,41b1,41a2,41b2のいずれも通さないが、いずれかのリード部を通すための案内溝として用いてもよい。
【0040】
図3に示す第1ボビン20aと第2ボビン20bとを組み合わせるには、たとえば図4に示す外枠28aと内枠30aとの間に、図2に示す中間コア50cを嵌め込み、図3に示す外枠28aを、外枠28bの内側に嵌め込み、図4に示す内枠30aを、図3に示す内枠30bの外側に嵌合させる。その後に、図7に示すように、ボビンカバー32および34が、組み合わされたボビン20a,20bのY軸方向の両側に取り付けられる。
【0041】
なお、第1ボビン20aと第2ボビン20bとを組み合わせる前には、それぞれの巻芯部21a,21bの外周には、図5に示すワイヤ41a,41bのそれぞれを巻回してコイル部42a,42bを形成しておくことが好ましい。また、ボビン30a,30bと、ボビンカバー32,34とは、それぞれ絶縁部材で構成されることが好ましいが、必ずしも同一の素材で構成する必要はない。
【0042】
ボビン20a,20bは、たとえば射出成形により成形され、その素材としては、特に限定されないが、たとえばPBT、PET、LCP、PA、PPS、あるいは耐熱性などの観点からフェノール樹脂などで構成される。ボビンカバー32,.34も、ボビン20と同様な材質で構成されることができるが、単純な形状であるために、樹脂以外の絶縁性部材、たとえばセラミック、紙などで構成してもよい。成形が可能であれば、ボビン20も、樹脂以外の絶縁性部材で構成してもよい。
【0043】
図8に示すように、コア50aおよびコア50bは、それぞれ、いわゆるE字型のコアであり、図7に示す組み合わせ後のボビン20に取り付けられる。コア50aおよび50bの材質は、金属磁性体、フェライトなどの磁性材料が挙げられるが、特に限定されない。なお、中間コア50cに関しても、コア50aおよび50bと同様な材質で構成されるが、必ずしも、これらは同一材質である必要はない。
【0044】
コア50aおよびコア50bは、それぞれ同一の形状(たとえばE型とE型)を有するが、異なる形状(たとえばE型とI型)でもよい。本実施形態では、コア50aは、ベース部51aと、一対の外脚部52aと、中脚部53aとを有する。コア50bは、ベース部51bと、一対の外脚部52bと、中脚部53bとを有する。以下、コア50aの構成について説明するが、コア50aについて説明することは、コア50bについても当てはまる。したがって、特に必要がない限り、コア50bの構成の説明については省略する。
【0045】
ベース部51aは、X軸に沿って所定の厚みを有し、Y軸およびZ軸の各々に沿って所定の長さを有する。ベース部51aの下面には、中脚部53aの位置でZ軸に沿って上側に凹む凹部55aが形成されている。凹部は、Y軸に関してベース部の略中央部に形成されており、X軸およびY軸に沿って所定の幅を有する。
【0046】
中脚部53aは、一対の外脚部52aの相互間に配置してある。中脚部53aは、X軸に沿って所定の長さで延在しており、中脚部53aのX軸に沿っての先端面53a1は、外脚部52aの先端面52a1,52a1と面一であってもよく、先端面52a1,52a1よりも少し引っ込んでいてもよい。
【0047】
中脚部53aは、図3に示すボビン20の貫通孔25aの内部に挿入される。コア50aの中脚部53aと、コア50bの中脚部53bとは、各々の端面53a1,53b1が突き合わされた状態で、貫通孔25a,25bの内部に配置される。
【0048】
なお、中脚部53aの端面53a1と中脚部53bの端面53b1との間には、X軸に沿って、ギャップが形成されていてもよい。外脚部52aの先端面52a1,52a1と、外脚部52bの先端面52b1,52b1とは、突き合わされていることが好ましく、これらの先端面同士は、接着剤などにより接合してあってもよい。
【0049】
図8に示す外脚部52a,52bは、図7に示すボビンカバー32,34の外面に配置される。図8に示す一方のコア50aのベース51aは、図7に示す台座23aと凸部24aとの間に配置され、図8に示す他方のコア50bのベース51bは、図7に示す台座23bと凸部24bとの間に配置される。
【0050】
本実施形態では、図8に示す中脚部53a(53b)の横断面(X軸に垂直な断面)は円形であるが、楕円形、多角形、下膨れ形状,あるいはその他の形状などであってもよい。
【0051】
図7に示すように、コイル部42aから引き出されるワイヤのリード部41a1,41a2と、コイル部42bから引き出されるワイヤのリード部41b1,41b2とは、凸部24aの上部に形成してある案内溝26aに通してある。これらのリード部41a1,41a2,41b1,41b2が通してある案内溝26aの上が溝カバー27で覆われるように、溝カバー27が凸部24aに取り付けられる。
【0052】
それぞれのリード部41a1,41a2,41b1,41b2の先端には、それぞれ端子61a,62a,61b,62bが接続してある。本実施形態では、これらの端子61a,62a,61b,62bは、特に限定されないが、たとえば銅、銅合金、鉄、鉄合金などの金属で構成してある。
【0053】
これらの端子61a,62a,61b,62bに接続されるリード部41a1,41a2,41b1,41b2を有するワイヤ41a,41bとしては、特に限定されず、たとえば絶縁被覆された銅、銅合金、鉄、鉄合金、CP線などの導電性ワイヤが用いられる。絶縁被覆を構成する絶縁材としては、特に限定されないが、ポリウレタン、ポリアミドイミド、ETFEなどが用いられる。
【0054】
図7に示すように、端子61a,62a,61b,62bの内、一方の端子61a,61bと、他方の端子62a,62bとは、相互に異なる形状であり、後述する端子台に取り付けられた状態で、一方の端子61a,61bが、他方の端子62a,62bに対して、Z軸に沿って上側に配置される。
【0055】
一方の端子61a,61bは、相互に同じ形状を有し、外部接続部63a,63bと、継線部67a,67bと、連絡部66a,66bとを有し、これらは金属などで構成してある導電性板をプレス加工などで折曲げて一体に成形してある。外部接続部63a,63bには、それぞれ接続孔65a,65bが形成してある。外部接続部63a,63bに形成してある接続孔65a,65bは、たとえば図14に示す外部回路基板103の回路パターンなどに端子61a,61bを接続するためなどに用いられる。
【0056】
図6に示すように、外部接続部63a,63bの周囲には、それぞれ複数の取付爪69a,69bがZ軸下方に折り曲げて成形してある。取付爪69a,69bは、図10に示す各上端子台70a,70bの上端子保持面78a,78bに形成してある取付溝79a,79bに差込可能になっている。それにより、各端子61a,61bの外部接続部63a,63bは、上端子台70a,70bの上端子保持面78a,78bに位置決めされて固定可能になっている。
【0057】
なお、上端子台70a,70bの上端子保持面78a,78bには、それぞれナット80a,80bなどの締結具が配置してあり、図6に示す接続穴65a,65bとナット80a,80bのネジ穴などが位置合わせされる。
【0058】
図6に示すように、連絡部66a,66bは、Z軸に沿って高さが異なる位置に配置してある外部接続部63a,63bと継線部67a,67bとを、それぞれ連絡するための接続片であり、本実施形態では、Z軸に沿って平行に配置してあるが傾斜してあってもよい。
【0059】
継線部67a,67bは、外部接続部63a,63bと略平行に配置してあり、連絡部66a,66bに対しては、外部接続部63a,63bと反対側に突出してある。継線部67a,67bは、それぞれ折返片67a1,67b1を有し、折返片67a1,67b1と板状の継線部67a,67bとの間に、図6に示す各リード部41a1,41b1の先端を挟み込み、熱圧着などの接続手段で、各端子61a,61bと各リード部41a1,41b1とを、それぞれ接続可能になっている。
【0060】
図14に示すように、継線部67a(67bも同様/以下省略)は、上端子台70a(70bも同様/以下省略)のカバー部72a(72bも同様/以下省略)の上に略平行に配置され、カバー部72aとの間に隙間があることが好ましいが、接触していてもよい。継線部67aとカバー部72aとの間が固定されず、連絡部66a(66bも同様/以下省略)と柱状部材76a(76bも同様/以下省略)との間が固定されないことで、外部接続部63a(63bも同様/以下省略)と継線部67aとの間の距離が変位可能となる。そのため、基板103の熱的変形や振動などにより影響が、外部接続部63aから継線部67aに伝わり難くなり、継線部67aでのリード部との接続信頼性が向上する。
【0061】
図6に示すように、他方の端子62a,62bは、相互に同じ形状を有し、外部接続部64a,64bと、継線部68a,68bと、連絡部66c,66dとを有し、これらは金属板をプレス加工などで折曲げて一体に成形してある。
【0062】
外部接続部64a,64bは、たとえば図14に示す設置用基板102の上に設置されるコンデンサやその他の電子部品(図示省略)などに接続される部分である。また、外部接続部64a,64bは、たとえば図14に示す設置用基板102と支持腕92aとの間に配置される回路基板(図示省略)の回路パターンに接続されてもよい。なお、図14では、端子62aの外部接続部64aのみが図示してあるが、端子62bの外部接続部64bに関しても同様である。
【0063】
図6に示すように、継線部68a,68bと外部接続部64a,64bとは、連絡部66c,66dにより連絡してある。連絡部66c,66dは、それぞれ継線部68a,68bと同一平面状にあり、X軸およびY軸を含む平面に略平行となる。
【0064】
連絡部66c,66dのY軸に沿って両側と、継線部68a,68bのY軸に沿って片側には、それぞれ取付爪69c,69dがZ軸上方に折り曲げて成形してある。取付爪69c,69dは、図11に示す各下端子台70c,70dの下端子保持面78c,78dに形成してある取付溝79c,79dに差込可能になっている。それにより、図6に示す各端子62a,62bの外部接続部68a,68bおよび連絡部66c,66dは、図11に示す下端子台70c,70dの下端子保持面78c,78dに位置決めされて固定可能になっている。
【0065】
継線部68a,68bは、外部接続部64a,64bと略垂直に配置してあり、連絡部66a,66bに対しては、略同一平面上に具備してある。継線部68a,68bは、それぞれ継線部68a,68bのY軸方向の縁からZ軸に沿って下側に折り返してある折返片68a1,68b1を有する。折返片68a1,68b1と板状の継線部68a,68bとの間に、図6に示す各リード部41a2,41b2の先端を挟み込み、熱圧着などの接続手段で、各端子62a,62bと各リード部41a2,41b2とを、それぞれ接続可能になっている。
【0066】
図14に示すように、継線部68a(68bも同様)は、下端子台70c(70dも同様)の下に配置され、下端子台70c(70dも同様)の下面に密着してあることが好ましいが、隙間があってもよい。
【0067】
図9に示すように、ケース90は、X軸およびY軸に平行な底壁90bと、4つの側壁90c~90fとを有し、Z軸に沿って上側が開口してあり、上部開口90aが形成してある。ケース90のサイズは、特に限定されず、X軸に沿ってx0の長さと、Y軸に沿ってy0の幅と、Z軸に沿ってz0の高さを有する。これらの寸法は、柵に限定されず、ケース90の内部に、たとえば図1に示すように、装置本体12のほぼ全体が収容可能な大きさに設定される。
【0068】
また、ケース90の内部は、放熱性樹脂100で満たされ、放熱性樹脂100の内部に、装置本体12の大部分、少なくとも装置本体12の下半分以上が、放熱性樹脂100に浸されるようになっている。放熱性樹脂100の液面は、たとえばケース90の上部開口90aの一部を規定する側壁90cの上縁に設けた切欠90c1の底位置よりも低く、装置本体12の上部の一部は、放熱性樹脂100の液面から上に飛び出していてもよい。
【0069】
図9に示すように、本実施形態では、ケース90の側壁90Cの外面に、一対の支持腕92a,92bがX軸に沿って突出して形成してある。本実施形態では、ケース90は、支持腕92a,92bと共に、たとえばアルミニウムなどの金属により構成してあり、たとえばダイキャスト法、または鋳造法などにより製造されるが、その他の方法により成型してもよい。
【0070】
また、ケース90は、支持腕92a,92bと共に、放熱性に優れた樹脂で構成してもよい。ただし、金属製ケースの方が、樹脂ケースよりも放熱性に優れている。また、支持腕92a,92bは、ケース90とは別に成形して接合してもよいが、接合強度を向上させるためには、これらは一体に成形することが好ましい。
【0071】
それぞれの支持腕92a,92bは、側壁90cに近い基端側のY軸に沿う幅y2を除き、X軸に沿って均一なY軸に沿う幅y1を有する。支持腕92a,92bの先端側の幅y1に比べて、基端側の幅y2は、大きいことが好ましい。このように構成することで、支持腕92a,92bとケース90とを一体に成形しやすいと共に、支持腕92a,91bをケース90の側壁90cに対して片持ち梁状に、高強度で接合することができる。
【0072】
各支持腕92a,92bの幅y1およびy2は、ケース90の幅y0以下の幅であることが好ましい。同一の側面90cにn(nが2以上)個の支持腕92a,92bがZ軸に沿って同一高さで形成してある場合には、各支持腕92a,92bの幅y1およびy2は、ケース90の幅y0の1/n以下の幅であることが好ましい。本実施形態では、各支持腕92a,92bの幅y1およびy2は、ケース90の幅y0の1/8~1/2の範囲内である。
【0073】
本実施形態では、それぞれの支持腕92a,92bがX軸に沿って側壁90cの外面から突出する長さx1は、各支持腕92a,92bの幅y1およびy2よりも長いことが好ましいが、短くてもよい。各支持腕92a,92bの長さx1を各支持腕92a,92bの幅y1およびy2よりも長くすることで、各支持腕92a,92bの先端側に具備してある上側凸部94a,94bと、基端側に具備してある下側凸部96a,96bとを、X軸に沿って引き離しやすくなる。
【0074】
上側凸部94a,94bは、支持腕92a,92bの先端側上面からZ軸に沿って上方向に突出してあり、下側凸部96a,96bは、支持腕92a,92bの基端側下面からZ軸に沿って下方向に突出してある。本実施形態では、支持腕92a,92bからの上側凸部94a,94bの突出高さは、下側凸部96a,96bの支持腕92a,92bからの突出高さよりも大きいが、それに限定されない。各凸部94a,94b,96a,96bの横断面(Z軸に垂直な断面)の形状は、本実施形態では、略十字形状であるが、その他の形状であってもよい。
【0075】
本実施形態では、上側凸部94a,94bは、上端子台70a,70bのX軸に沿って先端側下面に形成してある下孔77a,77bにそれぞれ嵌合されるようになっている。また、下側凸部96a,86bは、図14に示すように、下端子台70c(70dも同様)の上穴82a(82bも同様)に嵌合されるようになっている。
【0076】
図9に示すように、支持腕92a,92bの基端下面がケース90の側壁90cの外面と交わる高さz1は、ケース90の高さz0よりも小さく、好ましくはz0のの1/8~7/8の範囲内、さらに好ましくはz0の1/4~3/4の範囲内である。
【0077】
上端子台70a,70bは、それぞれカバー部72a,72bを有する。カバー部72a,72bは、各支持腕92a,92bのZ軸に沿って上面を覆うように構成してある。図11に示すように、各カバー部72a,72bのY軸に沿って両側には、それぞれ把持片72a1,72b1が一体に具備してあり、一対の把持片72a1,72b1のそれぞれは、それぞれの支持腕92a,92bのY軸に沿う両端を覆い、把持片72a1,72b1の弾性力で、それぞれの支持腕92a,92bにワンタッチ式に係合可能になっている。
【0078】
図10に示すように、各上端子台70a,70bの長手方向に沿ってケース90に近い位置には、カバー部72a,72bの上部からZ軸方向に突出するように、高さ調整部73a,72bがそれぞれ具備してある。高さ調整部73a,72bは、それぞれカバー部72a,72bと一体に成形してある。高さ調整部73a,72bの上には、それぞれ係合片74a,74bが高さ調整部73a,73bと一体に具備してある。
【0079】
係合片74a,74bと高さ調整部73a,73bの上面との間に、リード部41a1,41b1がそれぞれ通され、リード部41a1,41b1の先端をX軸に沿ってさらに外側に案内する。
【0080】
図9に示すように、上端子台70a,70bのX軸に沿って先端側には、カバー部76a,76bの上からZ軸に沿って上方に突出する筒状の柱状部材(下穴付き部材)76a,76bが一体に具備してある。図14に示すように、柱状部材76a(76bも同様/以下省略)のZ軸に沿って下方には、下孔77a(77bも同様/以下省略)がそれぞれ形成してあり、柱状部材76aのZ軸に沿って下半分以上は、空洞状になっており、下孔77aに連通している。
【0081】
下孔77aには、支持腕94a(94bも同様/以下省略)の上側凸部94a(94bも同様/以下省略)が嵌合し、支持腕92a(92bも同様/以下省略)と端子台70a(70bも同様/以下省略)との位置決めを可能にしていると共に、端子台70aと支持腕92aとの接合も強固にしている。
【0082】
柱状部材76aのZ軸に沿って頂上面には、端子保持面78a(78bも同様/以下省略)が形成してある。端子保持面78aには、前述したように、端子61a(61bも同様/以下省略)の外部接続部63a(63bも同様/以下省略)が取り付けられる。端子61aの連絡部66a(66bも同様/以下省略)は、柱状部材76aのケース90側の側壁外面に沿ってZ軸の下へ案内されている。端子61aの外部接続部63aが柱状部材76aの端子保持面78aに固定してあることから、連絡部66aと柱状部材76aの側壁外面とは、隙間があってもよく、接着剤などで接続する必要は無いが、接着してもよい。
【0083】
図10に示すように、下端子台70c,70dは、平板状の主板部(上穴付き部材)71c,71dを有し、主板部70c,70dの上面の略中央には、上穴82a,82bがそれぞれ具備してある。それぞれの上穴82a,82bのY軸に沿って両側には、それぞれ係合片84a,84aまたは係合片84b,84bが、それぞれの主板部71c,71dからZ軸に沿って上方に突出するように具備してある。
【0084】
下端子台70c,70dの各上穴82a,82bには、各支持腕92a,92bに具備してある下側凸部96a,96bが、それぞれ嵌合可能になっており、下端子台70c,70dを、それぞれ支持腕92a,92bの下面に位置決めして固定可能になっている。
【0085】
また、下端子台70c,70dの係合片84a,84aまたは係合片84b,84bは、上端子台70a,70bのY軸に沿って両側に具備してある把持片72a1,72b1の外面に係合し、下端子台70c,70dを上端子台70a,70bに連結可能になっている。なお、下端子台70c,70dの係合片84a,84aまたは係合片84b,84bは、支持腕92a,92bに対して直接的に連結してあってもよい。
【0086】
下端子台70c,70dのZ軸に沿って下面には、図11に示すように、取付溝79c,79dが形成してあり、図6に示す端子62a,62bが取り付け可能になっている。
【0087】
本実施形態では、上端子台70a(70b)と、下端子台70c(70d)とは、それぞれ別々に成形され、各支持腕92a(92b)を介して一体化してある。これらの端子台70a(70b),70c(70d)は、絶縁部材で構成してあることが好ましく、たとえばボビン20を構成する部材と同様な樹脂などで構成されることが好ましい。ただし、端子台70a(70b),70c(70d)の樹脂と、ボビン20を構成する部材の樹脂とは、同じでも異なっていてもよい。
【0088】
本実施形態のコイル装置10では、ケース90の外側に延びる支持腕92a,92bを有し、一方の端子台70a,70cは、一方の支持腕92aに保持してあり、他方の端子台70b,70dは、他方の支持腕92bに保持してある。そのため、端子台70a~70dの面積に対応してケース90の設置面積を大きくする必要が無く、ケース90の設置面積を小さくすることができる。また、ケース90の上に、端子台70a~70dを配置する必要が無いため、ケース90の低背化、すなわちコイル装置10の低背化を図ることが可能になる。
【0089】
また、図1に示すように、ケース90の内部にポッティング樹脂などの放熱性樹脂100を充填することなどにより、ワイヤ41a,41bまたはボビン20(コア50a~50cを含む)からの熱を放熱性樹脂100を介してケース90の底壁90bに逃がすことが可能になり放熱性が向上する。また、ケース90の側壁90cから外側に向けて突出する支持腕92a,92bにより、それぞれ端子台70a(70c),70b(70d)を支持している。その結果、端子台70a~70dが邪魔にならずに、少なくともワイヤ41a,41bの巻回軸を含むボビン(ワイヤおよびコアを含む)20の大部分を、ケース90内部の放熱性樹脂100に接触させることができる。そのため、必要最小限の放熱性樹脂により、放熱性を効果的に高めることができる。
【0090】
また、図14に示すように、ケース90が設置される基板102などの表面と、支持腕92a,92bとの間に隙間空間を形成することが可能になり、その隙間空間に、その他の回路基板やそのその電子部品(たとえばコンデンサなど)を配置することが可能になり、ケース90が設置される基板102上のスペースを有効に活用することができる。
【0091】
また、支持腕92a,92bは、ケース90と一体に成形してある。ケース90の外壁と一体に成形してある支持腕92a,92bが端子台70a~70dを支持することから、端子台70a~70dの強度および信頼性を向上させることができる。特に、コイル装置10の端子台70a,70bに具備してある端子61a,61bを、たとえば図14に示す外部の基板103と接続する際に、支持腕92a,92bが、端子台70a,70bの強度を補強するために、基板103との接続が容易になると共に、信頼性が向上する。また、ケース90か金属製であるため、ケース90の放熱性が、さらに向上すると共に、ケース90および支持腕92a,82bの強度も向上する。
【0092】
さらに本実施形態では、コイル部42a,42bの巻軸芯がケース90の底壁90bに略平行となる横型のコイル装置10であるため、ワイヤの巻回軸がケース90の底壁90bに略垂直となる縦型のコイル装置に比べて、低背化を容易に図ることができると共に、ワイヤ41a,41bからケース90への放熱冷却を促進しやすくなる。
【0093】
また本実施形態では、支持腕92a,92bの長さを長くすることで、支持腕92a,92bにより支持される端子台70a,70bに取り付けられる端子61a,61bと外部回路基板103などとの接続位置をケース90から引き離すことが容易になる。また、支持腕92a,92bの幅をケース90の側壁幅に比較して短くすることで、複数の支持腕92a,92bを、ケース90の側壁92cの同一高さ位置に配置することが容易になる。
【0094】
さらにまた、図9に示すように、ケース90との接続部に位置する支持腕92a,92bの幅y2は、支持腕92a,92bの先端部の幅y1よりも大きく、支持腕92a,92bは、ケース90に片持ち梁状に一体化してある。このように構成することで、ケース90の側壁92cに片持ち梁状に一体化してある支持腕92a,92bの強度を向上させることが容易になる。
【0095】
また、端子台70aおよび70bは、絶縁性部材で構成してあり、支持腕92a,92bの少なくとも上面を支持腕92a,92bの伸びる方向に沿って覆うカバー部72a,72bを有する。このように構成することで、絶縁性を有するカバー部72a,72bの上にワイヤ41a,41bのリード部41a1,41b1を配置しやすくなる。また、支持腕92a,92bが金属製であっても、ワイヤ41a,41bのリード部41a1,41b1と支持腕92a,92bとの絶縁を確保することが容易になる。
【0096】
さらに、カバー部72a,72bは、ワイヤ41a,41bのリード部41a1,41b1を支持腕92a,92bの伸びる方向に沿って案内する係合片74a,74bを有する。このように構成することで、ワイヤ41a,41bのリード部41a1,41b1をカバー部72a,72bの長手方向に沿って配置しやすくなる。
【0097】
また、図9に示すように、支持腕92a,92bは、ケース90の上端と下端との間の中間位置に配置してある。このように構成することで、図14に示すように、支持腕92a,92bの上下に、その他の回路基板103や電子部品などを配置するための隙間スペースを作成しやすくなる。
【0098】
さらに、本実施形態では、支持腕92a,92bは、支持腕92a,92bから上方に延びる上側凸部94a,94bを有し、端子台70a,70bは、上側凸部94a,94bが挿入される柱状部材76a,76bを有する。さらに、柱状部材76a,76bの上部に、リード部41a1,41b1の先端が接続される端子61a,61bが取り付け可能である。このように構成することで、支持腕92a,92bのZ軸に沿って上側に配置される端子61a,61bの位置決めが容易になると共に、ワイヤ41a,41bのリード部41a1,41b1と端子61a,61bとのリード接続部と、外部回路基板103などと端子61a,61bとの外部接続部とを上下方向に引き離すことが可能になる。
【0099】
また本実施形態では、支持腕92a,92bは、支持腕92a,92bから下方に延びる下側凸部96a,96bを有する。下側端子台70c,70dは、下側凸部96a,96bが挿入される上孔付き部材としての主板部71c,71dを有する。主板部71c,71dの下部には、リード部41a2,41b2の先端が接続される端子62a,62bが取り付け可能である。このように構成することで、支持腕92a,92bの下側に配置される端子62a,62bの位置決めが容易になると共に、リード接続作業が容易になる。
【0100】
本実施形態では、コイル部42a,42bのワイヤ41a,41bから引き出されるが一対のリード部のうちの一方のリード部41a1,41b1が、支持腕92a,92bの上側に位置する端子台70a,70bを通り、他方のリード部41a2,41b2が支持腕92a,92bの下側に位置する端子台70c,70dを通るように配置してある。このように構成することで、支持腕92a,92bの上側を通るワイヤ41a,41bのリード部41a1,41b1に接続される端子61a,61bと、支持腕92a,92bの下側を通るワイヤ41a,41bのリード部41a2,41b2に接続される端子62a,62bとの間の絶縁距離を確保し易くなる。
【0101】
また、支持腕92a,92bの上側を通るワイヤ41a,41bのリード部41a1,41b1に接続される端子61a,61bと、支持腕92a,92bの下側を通るワイヤ41a,41bのリード部41a2,41b2に接続される端子62a,62bとを、支持腕92a,92bの長手方向に沿って位置ズレして配置させやすくなる。そのため、これらの端子間の絶縁を確保し易くなる。
【0102】
第2実施形態
図15図17に示す本実施形態に係るコイル装置110は、以下に示す事項以外は、第1実施形態のコイル装置10と同様であり、同様な作用効果を奏する。このコイル装置110は、Y軸に沿って複数の上部開口90a1~90a3を有し、Y軸に沿って複数の分割側壁90c1~90c3が形成されるように、複数の収容部91を持つケース190を有する。各収容部91には、それぞれ装置本体12が収容してある。
【0103】
本実施形態では、それぞれの分割側壁90c1~90c3に、それぞれ支持腕92a,92bが一体に成形してある。本実施形態では、複数の分割側壁90c1~90c3の内の一つの分割側壁90c1には、その他の支持腕92cも付加的に具備してあるが、この付加的な支持腕92cは、具備させなくてもよい。各支持腕92a,92bには、第1実施形態と同様に、端子台70a,70b,70c,70dが具備してある。支持腕92cにも、第1実施形態に示す端子台70a,70b,70c,70dと同様な端子台が具備してある。
【0104】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、種々に改変することができる。
【0105】
たとえば、放熱性樹脂100としては、ポッティング樹脂に限らず、その他の放熱性に優れた樹脂であってもよい。放熱性樹脂としては、たとえば注入後も軟質なシリコーン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などで構成され、樹脂の縦弾性率は、好ましくは0.1~100MPaであり、ショアA硬度が100以下、好ましくは60以下であることが好ましい。また、放熱性を高めるために、樹脂中には、熱伝導性の高いフィラーを充填させても良い。
【0106】
また、上述した実施形態では、図2に示すように、ボビン20は、分離可能な第1ボビン20aと第2ボビン20bとを有するが、これらのボビン20a,20bは、一体に成形してある単一のボビンで構成してあってもよい。また、分離可能な第1ボビン20aと第2ボビン20bとの間に介在してある中間コア50cは、分割タイプであってもよく、単一のボビンの横からスライド式に挿入可能になっていてもよい。
【0107】
さらに、上述した実施形態では、装置本体12におけるコイル部42a,42bの軸芯を、X軸に一致させたが、Y軸に一致させるように、ケース90または190の収容部91に収容してもよい。さらに、コイル装置は、横型に限定されず、縦型でもよい。すなわち、ワイヤのコイル部の巻軸芯がケースの底壁12bに略垂直となるように、装置本体12がケース90または190の収容部91に収容してあってもよい。縦型のコイル装置では、横型のコイル装置に比べて、コア50a,50bからケース90または190への放熱性を向上させ易いと言う利点がある。
【0108】
さらに、上述した実施形態では、複数の支持腕92a,92bは、ケース90または190の同一側面に具備させてあるが、複数の支持腕92a,92bは、相互に対向(または隣接)する別々の側面に具備させてもよい。
【符号の説明】
【0109】
10,110… コイル装置(トランス)
12… 装置本体
20… ボビン
20a… 第1ボビン
20b… 第2ボビン
21a… 第1巻芯部
21b… 第2巻芯部
22a1,22a2,22b1,22b2… 鍔部
23a,23b… 台座
24a.24b… 凸部
25a,25b… 軸孔
26a,26b,26c… 溝
27… 溝カバー
28a,28b… 外枠
30a,30b… 内枠
32,34… ボビンカバー
41a,41b… ワイヤ
41a1,41a2,41b1,41b2… リード部
42a,42b… コイル部
50a,50b,50c… コア
51a,51b… ベース部
52a,52b… 外脚部
53a,53b… 中脚部
53a1,53b1… 先端面
61a,61b,62a,62b… 端子
63a,63b,64a,64b… 外部接続部
65a,65b… 接続孔
66a,66b,66c,66d… 連絡部
67a,67b,68a,68b… 継線部
67a1,67b1,68a1,68b1… 折返片
69a,69b,69c,69d… 取付爪
70a,70b… 上端子台
70c,70d… 下端子台
70e… その他の端子台
71c,71d… 主板部
72a,72b… カバー部
72a1,72b1… 把持片
73a,73b… 高さ調整部
74a,74b… 係合片
76a,76b… 柱状部材
77a,77b… 下穴
78a,78b,78c,78d… 端子保持面
79a,79b,79c,79d… 取付溝
80a,80b… ナット
82a,82b… 上穴
84a,84b… 係合片
90,190… ケース
90a,90a1,90a2,90a3… 上部開口
90b… 底壁
90c~90f… 側壁
90c1~90c3… 分割壁
91… 収容部
92a,92b,92c… 支持腕
94a,94b… 上側凸部
96a,96b… 下側凸部
100… 放熱性樹脂
102,103… 基板
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