(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042449
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】歯科用ジグ
(51)【国際特許分類】
A61C 11/00 20060101AFI20240321BHJP
A61C 13/007 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
A61C11/00 Z
A61C13/007
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147178
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】522366750
【氏名又は名称】中村 育子
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】中村 恵章
【テーマコード(参考)】
4C159
【Fターム(参考)】
4C159BB07
4C159CC10
4C159CC13
(57)【要約】
【課題】従来使用していた咬合床を用いないで印象採得の前又は後に咬合採得が可能な歯科用のジグを提供すること。
【解決手段】基礎床と、粘膜面から咬合平面までの空隙を覆う側周壁と、頬側と舌側の基礎床から低位方向に突出する把持床とを有し、前記側周壁の咬合平面上に1又は複数の穴を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎床と、粘膜面から咬合平面までの空隙を覆う側周壁と、頬側と舌側の基礎床から低位方向に突出する把持床とを有し、
前記側周壁の咬合平面上に1又は複数の穴を有する臼歯部用の歯科用ジグ。
【請求項2】
基礎床と、粘膜面から咬合平面までの空隙を覆う側周壁と、頬側と舌側の基礎床から低位方向に突出する把持床とを有し、
前記側周壁の唇側面に複数の穴を有する前歯部用の歯科用ジグ。
【請求項3】
上顎及び下顎の欠損部を覆う被覆部と、頬側と舌側の基礎床から低位方向に突出する把持床とを有し、
前記被覆部のうち、上下方向と、頬側側とに貫通する穴を有する臼歯部用の歯科用ジグ。
【請求項4】
基礎床と、粘膜面から咬合平面までの空隙を覆う側周壁とを有し、
前記側周壁の咬合平面上に14個の穴を有する歯科用ジグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、歯科用ジグに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、義歯を作成する方法が知られている。例えば、義歯の作成方法としては、特許文献1のような方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、例えば、従来使用していた咬合床を用いないで印象採得の前又は後に咬合採得が可能な歯科用のジグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の歯科用ジグは、基礎床と、粘膜面から咬合平面までの空隙を覆う側周壁と、頬側と舌側の基礎床から低位方向に突出する把持床とを有し、前記側周壁の咬合平面上に1又は複数の穴を有する。
【0006】
本発明の歯科用ジグは、基礎床と、粘膜面から咬合平面までの空隙を覆う側周壁と、頬側と舌側の基礎床から低位方向に突出する把持床とを有し、前記側周壁の唇側面に複数の穴を有する。
【0007】
本発明の歯科用ジグは、上顎及び下顎の欠損部を覆う被覆部と、頬側と舌側の基礎床から低位方向に突出する把持床とを有し、前記被覆部のうち、上下方向と、頬側側とに貫通する穴を有する。
【0008】
本発明の歯科用ジグは、基礎床と、粘膜面から咬合平面までの空隙を覆う側周壁とを有し、前記側周壁の咬合平面上に14個の穴を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のジグによれば、従来使用していた咬合床を用いないで印象採得の前又は後に咬合採得が可能となったり、咬合床を用いない咬合採得が可能となったりする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図6】フレキシブルに利用可能なジグ(上顎)を説明するための図。
【
図7】フレキシブルに利用可能なジグ(下顎)を説明するための図。
【
図9】ジグを用いて咬合採得をすることを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本開示を実施するための形態について説明する。なお、以下に示す実施形態は、本開示を提供した一つの実施形態であり、以下の記載に基づいて本開示の内容が限定して解釈されるものではない。また、本明細書において使用する用語は、特に断りがないときは、一般的な歯科用語を用いて説明する。歯科用語は、歯科関係者が治療、義歯の製作等において用いられる用語である。
【0012】
ここで、歯科関係者とは、歯科医師、歯科衛生士、歯科助手、歯科技工士等を含むものをいう。また、歯科関係者は、歯科について知識があるスタッフであり、歯科で働く看護師等を含んでもよい。歯科用語は、いわゆる当業者である歯科関係者であれば技術的内容を理解することが十分な用語である。
【0013】
従来義歯の製作に際して歯科医師は、個人トレーまたは既製品のトレーを使用して印象採得する。採得された印象に石膏を注入し、硬化させ石膏模型を作る。その模型で歯科医師または歯科技工士が咬合床を製作する。通常、印象採得日とは別の日に(咬合床を製作するのに日数がかかるため)咬合採得をする。
【0014】
製作された咬合床を使用して歯科医師は患者の口腔内で咬合採得し、咬合器に上下模型を装着して歯科医師、歯科技工士による義歯の製作が始まる。通法は印象採得から咬合採得まで一週間ほどかかるが、本発明は印象採得直前又は直後に咬合採得できるように工夫されたジグである。また、従来と同じく正中や排列位置豊隆具合(リップサポート)の情報も付け加えることができる。
【0015】
従来の咬合採得は歯牙の欠損部にブロック状のパラフィンワックスを配し、残存歯はそのまま、欠損部のパラフィンワックスをレジン製の基礎床の舌側で連結した咬合床を使うことが多い。
【0016】
他にパラフィンワックスやトレーコンパウンド、パテタイプのシリコン印象材を無垢で使用して行うこともあるが操作性が悪く、正確性にかけるのであまり用いられていない。
【0017】
歯科の既製の製品は単一化されていない。これは総義歯、部分床義歯、上顎、下顎、前歯、臼歯、近心、遠心と、それぞれぞれの解剖学的要件の違いによるものである。このため本発明も例外ではない。さらに患者の解剖学的要件は経年変化するので、各症例に適応するジグの工夫が必要である。
【0018】
本発明のジグは平均的歯槽の1/3~1/2床縁の短い基礎床と凸部上方に延長された欠損前の歯の1/3~1/2の高さを補った側周壁と、位置を安定させるための頬側と舌側に延長して配された把持床が一体となり構成される。
【0019】
上顎前歯部用、上顎左右臼歯部用3種類、下顎前歯部用、下顎左右臼歯部用3種類、上下顎左右臼歯部用2種類、総義歯にも使える上下顎フレキシブル用2種類の10種ある。これだけ多いが、歯科関係者ならば直感的にわかるデザインを有している。把持床の位置や数、長さ、ジグの穴の位置骨隆起や結節を避けるえぐれの位置などである。各論にて後程詳しく説明する。
【0020】
これら10種のジグは基礎床の凹面(以下粘膜面側と呼ぶ)から凸面(以下咬合面側と呼ぶ)に抜ける穴が特徴である。部位により異なり、1ジグにつき1又は複数の穴を設計する。
【0021】
この発明は大幅な歯科医師の診療時間と操作の短縮と、咬合床の製作費用がかからない利点がある。これは歯科の診療体系を大きく好転させる可能性がある。
【0022】
[パーシャルデンチャー用ジグ]
本発明のパーシャルデンチャー用の上顎用のジグは前歯部における欠損、左右臼歯部における欠損に対応する3つから構成される。
【0023】
本発明の上顎用の臼歯部用ジグは第二小臼歯、第一大臼歯の欠損、第二大臼歯の欠損を想定して設計している。平均的歯槽の1/3~1/2床縁の短い基礎床と凸部上方に延長された欠損前の歯の1/3~1/2の高さを補った側周壁と位置を安定させるため、短くした基礎床床縁部から頬側と舌側に一部低位方向に延長して配された把持床が一体となり構成される。臼歯部用では粘膜面側から咬合面側に貫通する穴を1つ形成している。把持床は近心寄りに配され咬合面側観からは十字のような型(十字型)をなしている。これは直感的デザインである。遠心部は大きくえぐられているがこれは解剖上の経年変化による上顎結節の骨の膨隆を避けるためである。
【0024】
上顎用の前歯部では右側側切歯から左側側切歯の欠損を想定している。前歯部用ジグは、上述した臼歯部用ジグと同様に設計されるが、想定された欠損歯を取り囲むように配した側周壁と、正中を挟んで左右に一つずつ貫通した穴を2つ形成している。把持床は中央に2つ、唇側と口蓋に配し咬合面観からは十字のような型(十字型)をしている。正中線からカットして2つに分割すれば、右左側どちらかの片側欠損に応用できる。また、3つを同時に使用すればコンプリートデンチャーにも応用できる。
使用方法については後ほどまとめて解説する。
【0025】
本発明のパーシャルデンチャー用の下顎用のジグは前歯部における欠損、左右臼歯部における欠損に対応する3つから構成される。
【0026】
本発明の下顎用の臼歯部用ジグは第二小臼歯、第一大臼歯の欠損、第二大臼歯の欠損を想定して設計している。平均的歯槽の1/3~1/2床縁の短い基礎床と凸部上方に延長された欠損前の歯の1/3~1/2の高さを補った側周壁と位置を安定させるため、短くした基礎床床縁部から頬側と舌側に一部延長して配された把持床が一体となり構成される。臼歯部では粘膜面側から咬合面側に貫通する穴を1つ形成している。
【0027】
把持床は頬側には基礎床の両端に2つ、近心の把持床を遠心より短く設計する。これは直感的デザインである。
【0028】
舌側には基礎床の遠心部に1つ設計する。近心側にないのは第一小臼歯から第二小臼歯の直下の舌側に好発的に出現する骨隆起を避けるためである。咬合面側観からは舌側近心把持床のないX字のような型(X字型)をなしている。
【0029】
下顎用の前歯部用ジグでは右側側切歯から左側側切歯の欠損を想定している。
【0030】
下顎用の前歯部用ジグは、上述した下顎用の臼歯部用ジグと同様に設計されるが、想定された欠損歯を取り囲むように配した側周壁と正中を挟んで左右に一つずつ貫通した穴を2つ形成している。把持床は中央に2つ、唇側と口蓋に配し咬合面観からはX字のような型(X字型)をしている。
【0031】
正中線からカットして2つに分割すれば、右左側どちらかの片側欠損に応用できる。3つを同時に使用すればコンプリートデンチャーにも応用できる。
【0032】
正中に該当する箇所には1mmの溝を入れている。これは解剖学的な患者の正中と一致させる補助線で、位置の正確さをサポートする。これは直感的デザインである。
使用方法については後ほど詳しくご説明する。
【0033】
本発明のパーシャルデンチャー用の上下顎臼歯部欠損用のジグは右側用、左側用の2つから構成される。
【0034】
同側の上顎用の臼歯部用ジグと、下顎用の臼歯部用ジグと、側周壁をお互いに咬合面に向けて高位方向に延長した部分同士を顎間で連結し、上下顎ジグの貫通した穴を塞ぐことなく、連結部位の頬側に貫通させた穴と一体化させた穴を有する。上下遊離端欠損症例が適応症である。
【0035】
以上のそれぞれのジグは残存歯から逃れるための切り欠きが形成されていることが好適である。また、前記の貫通している穴の内面にはアンダーカットを設けてシリコン印象材を維持固定する効果が好適である。
【0036】
[フレキシブルジグ]
本発明のフレキシブルに利用可能なジグは上下顎の2つから構成される。
【0037】
ほぼ顎堤と同じ大きさになるジグは強度不足が予想される。そのため、欠損前の歯の1/3~1/2の高さを補った側周壁は厚く補強され、粘膜面側から咬合面側に貫通する穴は各歯の位置に1つずつ、計14個有している。
【0038】
上顎は上顎結節を避け、下顎はレトロモラーパットを避けて設計する。補強された側周壁の頬舌側内面にはアンダーカットを設けている。補強効果とアンダーカット付与の効果により、各歯の位置に1つずつ有している穴を避けて切断できるようになり、上記のそれぞれのジグでは補えないケースを、欠損部が多様なパーシャルデンチャー用としてフレキシブルに対応できる。
【0039】
[咬合採得方法]
本発明のジグは既製品である。そのため個々の症例に適応するように設計されている。想定される症例は上顎欠損、下顎欠損、上下顎欠損の3パターンである。また、残存歯で位置が決定できる時と、できない時のどちらも有効である。
【0040】
本発明のジグの咬合採得方法は以下のとおりである。
パーシャルデンチャー用の上または下顎の場合、ジグの粘膜面側からパテタイプの練り込んだシリコン印象材を圧入し、患者の口腔内の欠損箇所に圧接する。余剰のシリコン印象材は貫通した穴から排出され対合歯の位置决めに利用でき無駄がない。不足していたら補うことができる。医師は咬頭嵌合位または中心咬合位へ誘導し硬化を待つ。対合が歯牙の場合はチェックバイトも採得でき、粘膜の場合は対合にジグを用いて同じように再度咬合採得する。
【0041】
穴以外にも把持床と把持床の間から余剰シリコンが排出され患者の口腔内の粘膜面を加圧することなく被圧変位を防ぐ。このことにより、印象採得され製作した模型に適合する。これは機能デザインである。
【0042】
本発明のパーシャルデンチャー用の上下顎臼歯部欠損用のジグは上顎、下顎の粘膜面側からパテタイプの練り込んだシリコン印象材を圧入し、患者の口腔内の欠損箇所に圧接する。余剰シリコン印象材は頬側の孔から排出されると咬合高径は減少しながら、適切な高径、中心咬合位に誘導する。慣れない場合は上顎、下顎同時ではなく、どちらか一方から行うと良い。
【0043】
この操作はジグを使用することによって印象採得時の直前又は直後に行うことができるのが利点である。有床義歯のみならず、歯冠修復物製作時の咬合採得にも応用できる。
【0044】
本発明のジグは、上述した形状を成形可能な材料を使用することができる。例えば、ジグの材料としてはレジン、熱可塑性樹脂、シリコン、ステンレス、チタン等の金属等の何れの材料を使用してもよい。
【0045】
[ジグの形態]
上述したジグについて、具体的に図に示す。
【0046】
図1、
図2は、本発明のジグを用いず咬合床を利用するときの状態を示した図である。
図1は、パーシャルデンチャー用の咬合床であり、
図2は、フルデンチャー用の咬合床を示した図である。
【0047】
それに対して、本発明のジグを利用した場合を
図3から
図7に示す。また、
図8は模式的に説明するための図である。
【0048】
例えば、
図3は、上顎用の前歯部用ジグ11と、臼歯部用ジグ12、13を模型(上顎用模型)91に置いた状態を主に示している。臼歯部用ジグ12は右上顎用であり、臼歯部用ジグ13は左上顎用である。
【0049】
図4は、下顎用の前歯部用ジグ21と、臼歯部用ジグ22、23を模型(下顎用模型)92に置いた状態を主に示している。臼歯部用ジグ22は右下顎用であり、臼歯部用ジグ23は左下顎用である。
【0050】
図5は、上下顎臼歯部用ジグ32、33を模型(下顎用模型)92に置いた状態を主に示している。上下顎臼歯部用ジグ32は右臼歯部用であり、上下顎臼歯部用ジグ33は左臼歯部用である。
【0051】
図6は、上顎用のフレキシブルに利用可能なジグ41である。
図7は、下顎用のフレキシブルに利用可能なジグ51である。
【0052】
これらのジグは、側周壁62に穴を有していることが特徴である。例えば、
図8は、ジグを模式的に示した図である。
図8は、上述したジグのうち、下顎用の臼歯部用のジグを例に説明する。
【0053】
図8(a)は、ジグ本体60を頬側から見た断面を示す模式図である。また、
図8(b)は、ジグ本体60を隣接面観から見た断面を示す模式図である。
【0054】
ジグ本体60は、欠損歯の部分を覆う被覆部65と、被覆部65から低位方向に突出した把持床63を有している。
【0055】
また、被覆部65は、基礎床61と、側周壁62とを有している。ジグ本体60を顎堤にそのまま置いたときに、主に粘膜面に接する部分を基礎床61とする。なお、咬合採得をするときには、印象材をジグ本体60の粘膜面側に圧入(充填)することから、基礎床61は直接粘膜面に接しない。
【0056】
そして、基礎床61から高位方向を覆うように形成されているのが側周壁62である。なお、側周壁62は、顎堤に沿うように湾曲していることが好ましい。
【0057】
また、側周壁62の咬合面側から粘膜面側に向けて、穴64が形成されている。穴64は、頬側からみると、ハの字状となっていることが好ましい。また、穴64は、隣接面観では、窪みを有している(突起部を有している)ことが好ましい。穴64により、印象材が粘膜面側から咬合面側に排出される。
【0058】
なお、穴64は、ジグによって異なる位置や、異なる数となる。例えば、前歯部用ジグ11、前歯部用ジグ21のときは、唇側寄りに穴が設けられる。また、上下顎臼歯部用ジグの穴は、上下に貫通する穴と、頬側に設けられた穴とが一体となって設けられる。
【0059】
すなわち、本発明のジグは、被覆部65に穴を有していることが特徴である。被覆部65は、粘膜面から咬合平面までの空隙覆う。例えば、ジグ本体60の粘膜面側に置かれた印象材(例えばシリコン)が、穴や、被覆部65の周囲(頬側、舌側の位置)から、余剰のシリコンが排出され、型取りが容易にできることが特徴である。
【0060】
また、把持床63は、基礎床61から粘膜面側(低位方向)にむけて突出して形成されている。把持床63があることにより、ジグ本体60の位置決め、配置が安定する。
【0061】
また、
図6、
図7に示したように、フレキシブルに利用可能なジグについては、基礎床及び側周壁(被覆部)を設けており、把持床を有していない。その代わり、側周壁を厚く補強しており、粘膜面側から咬合面側に貫通する穴は各歯の位置に1つずつ、計14個有している。これにより、利用時に任意の位置で切断することで、例えば上述した臼歯部用ジグ、前歯部用ジグで対応できない箇所に利用することが可能となる。また、側周壁(被覆部)の粘膜面側に、粘膜面から咬合平面までの空隙を有している。
【0062】
図9は、本発明のジグと、印象材とを利用して咬合採得を行っている状態を説明する図である。
図9(a)(b)(c)は、臼歯部の咬合採得の例であり、
図9(d)(e)は、前歯部の咬合採得の例である。例えば、歯科医師が、ジグの粘膜面側にシリコン印象材を圧入させる。歯科医師は、シリコン印象材を圧入したジグを患者の欠損部の粘膜部に印象を採得するように圧着させる。歯科医師は、ジグの穴から排出されたシリコン印象材を利用し、咬合誘導して咬合採得が可能となる。
【0063】
[変形例]
本発明は上述した各実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。すなわち、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0064】
なお、本開示の範囲は、明細書に明示的に説明された構成や限定されるものではなく、本明細書に開示される技術の組み合わせも、その範囲に含むものである。本開示のうち、特許を受けようとする構成を、添付の特許請求の範囲に記載しているが、特許請求の範囲に記載されていないことを理由として技術的範囲から排除する意思ではない。
【0065】
また、上述した明細書において、「~の場合」「~のとき」という記載については、一つの例として説明しているものであり、記載した内容に限られる構成としているものではない。これらの場合やときでない構成についても、当業者であれば自明である範囲についても開示しているものであり、権利取得する意思を有する。
【0066】
また、臼歯部用ジグにおいて、穴を1つとして説明しているが、複数の穴を有していてもよい。また、前歯部用ジグにおいて、穴は2つとして説明しているが、例えば正中から対象に1つ以上の穴をそれぞれ設けてもよい。
【符号の説明】
【0067】
11、21 前歯部用ジグ
12、13、22、23 臼歯部用ジグ
32 上下顎臼歯部用ジグ
33 上下顎臼歯部用ジグ
41、42 ジグ