(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004247
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】載置装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103826
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】500171707
【氏名又は名称】株式会社ブイ・テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100170070
【弁理士】
【氏名又は名称】坂田 ゆかり
(72)【発明者】
【氏名】米澤 良
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA03
5F131AA10
5F131BA11
5F131BA39
5F131CA42
5F131CA46
5F131CA49
5F131CA52
5F131DA09
5F131DA22
5F131DB15
5F131DB51
(57)【要約】
【課題】板状の対象物を載置する際に対象物等が傷つき難い。
【解決手段】孔が設けられた保持部材の載置平面に、板状の対象物を水平に載置する載置装置であり、保持部の鉛直方向下側に、上下方向に移動可能に設けられた基台と、基台を上下方向に移動させる第1移動部と、基台に設けられた複数の柱状部と、を備える。柱状部は基台から鉛直方向上向きに突出しており、柱状部の先端には対象物を載置する第1載置部が設けられている。基台が下端に位置するときには第1載置部が前記保持部よりも下側に位置し、基台が前記下端から上方に移動されると、状部が孔に挿入され、基台が上端に位置するときには第1載置部が載置平面よりも上側に位置する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔が設けられた保持部材の載置平面に、板状の対象物を水平に載置する載置装置であって、
前記保持部材の鉛直方向下側に、上下方向に移動可能に設けられた基台と、
前記基台を上下方向に移動させる第1移動部と、
前記基台に設けられた複数の柱状部と、
を備え、
前記柱状部は、前記基台から鉛直方向上向きに突出しており、
前記柱状部の先端には、前記対象物を載置する第1載置部が設けられており、
前記基台が下端に位置するときには、前記第1載置部が前記保持部材よりも下側に位置し、
前記基台が前記下端から上方に移動されると、前記柱状部が前記孔に挿入され、
前記基台が上端に位置するときには、前記第1載置部が前記載置平面よりも上側に位置する
ことを特徴とする載置装置。
【請求項2】
前記基台に設けられた第1レールと、前記第1レールに沿って移動可能に設けられた移動部材と、を有する第2移動部を複数備え、
前記第2移動部にそれぞれ前記柱状部が設けられることで、前記柱状部が前記第2移動部を介して前記基台に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の載置装置。
【請求項3】
複数の前記移動部材を駆動する駆動部を備え、
前記第2移動部は、前記移動部材に設けられたベルトを有し、
前記駆動部は、複数の前記ベルトを同時に同じ量だけ駆動する
ことを特徴とする請求項2に記載の載置装置。
【請求項4】
前記第1載置部は、高さが異なる2つの面である前記柱状部の先端面である第1面と、前記第1面から下方に段落ちした第2面を有し、
前記第1面は、前記第2面の外側に設けられており、
前記第2面は、前記対象物が載置される面であり、内側に向けて高さが低くなるように水平方向に対して1°~5°傾いている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の載置装置。
【請求項5】
前記第1面と前記第2面を連結する面は、高くなるにつれて外側に傾斜するように鉛直方向に対して1°~5°傾いている
ことを特徴とする請求項4に記載の載置装置。
【請求項6】
前記第1面は、内側の両端に切り欠きが設けられており、
前記切り欠きは、鉛直方向上側から見たときに、複数の前記柱状部の外側の角を連結する円の中心点を中心とする任意の半径の曲面と重なる
ことを特徴とする請求項4に記載の載置装置。
【請求項7】
前記基台に設けられた近接センサを備え、
前記保持部材の裏面には、マーキングが設けられており、
前記近接センサは、前記保持部材を検出すると共に、前記マーキングを読み取る
ことを特徴とする請求項1に記載の載置装置。
【請求項8】
鉛直方向上側から見たときに、前記基台に隣接して設けられた第2載置部と、
前記対象物を下から保持可能なアームと、前記アームが設けられた第2レールとを有し、前記アームが前記第2レールに沿って移動可能なマスク搬送部と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の載置装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、載置装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、伸縮可能な固定枠に回動自在に可動枠を連結し、固定枠並びに可動枠の端部に基板支持部材を設け、可動枠の固定枠との連結部近傍にハンドルを設けたフォトマスク基板等の搬送具が開示されている。この搬送具を2本使用し、固定枠同士を連結することで大型の基板素材が搬送可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の搬送具は、ケース等に収容されフォトマスク基板を洗浄ホルダ等の装置に搬送するのに用いられる。この搬送具により搬送されたフォトマスク基板は、装置内の載置面に水平に載置される。
【0005】
しかしながら、手作業でフォトマスク基板を載置面に載置する際に、フォトマスク基板の姿勢を水平に維持するのは困難であり、フォトマスク基板を載置面にぶつける等によりフォトマスク基板が欠けたり載置面の一部が変形したりしてしまうおそれがある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、板状の対象物を載置する際に対象物等が傷つき難い載置装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る載置装置は、例えば、孔が設けられた保持部材の載置平面に、板状の対象物を水平に載置する載置装置であって、前記保持部材の鉛直方向下側に、上下方向に移動可能に設けられた基台と、前記基台を上下方向に移動させる第1移動部と、前記基台に設けられた複数の柱状部と、を備え、前記柱状部は、前記基台から鉛直方向上向きに突出しており、前記柱状部の先端には、前記対象物を載置する第1載置部が設けられており、前記基台が下端に位置するときには、前記第1載置部が前記保持部材よりも下側に位置し、前記基台が前記下端から上方に移動されると、前記柱状部が前記孔に挿入され、前記基台が上端に位置するときには、前記第1載置部が前記載置平面よりも上側に位置することを特徴とする。
【0008】
本発明に係る載置装置によれば、対象物を載置する第1載置部が先端に設けられた柱状部が基台から鉛直方向上向きに突出しており、基台が上端に位置するときには第1載置部が載置平面よりも上側に位置する。そのため、作業者は、対象物を第1載置部に載置すればよく、直接載置平面に載置する必要はない。したがって、板状の対象物を載置する際に対象物や載置平面が傷つき難い。
【0009】
前記基台に設けられた第1レールと、前記第1レールに沿って移動可能に設けられた移動部材と、を有する第2移動部を複数備え、前記第2移動部にそれぞれ前記柱状部が設けられることで、前記柱状部が前記第2移動部を介して前記基台に設けられていてもよい。これにより、1つの載置装置で様々な大きさの対象物に対応することができる。
【0010】
複数の前記移動部材を駆動する駆動部を備え、前記第2移動部は、前記移動部材に設けられたベルトを有し、前記駆動部は、複数の前記ベルトを同時に同じ量だけ駆動してもよい。これにより、柱状部を同時に同じ量だけ移動させることができる。
【0011】
前記第1載置部は、高さが異なる2つの面である前記柱状部の先端面である第1面と、前記第1面から下方に段落ちした第2面を有し、前記第1面は、前記第2面の外側に設けられており、前記第2面は、前記対象物が載置される面であり、内側に向けて高さが低くなるように水平方向に対して1°~5°傾いていてもよい。これにより、第2面に載置された対象物と第2面との接触面積が最小限になり、対象物の機能面である対象物膜面が汚染され難くなる。
【0012】
前記第1面と前記第2面を連結する面は、高くなるにつれて外側に傾斜するように鉛直方向に対して1°~5°傾いていてもよい。これにより、第1面と第2面を連結する面と対象物との接触面積が最小限になり、対象物が汚染され難くなる。
【0013】
前記第1面は、内側の両端に切り欠きが設けられており、前記切り欠きは、鉛直方向上側から見たときに、複数の前記柱状部の外側の角を連結する円の中心点を中心とする任意の半径の曲面と重なってもよい。これにより、矩形形状の対象物のみならず、円形状の対象物をも第2載置部に載置することができる。
【0014】
前記基台に設けられた近接センサを備え、前記保持部材の裏面には、マーキングが設けられており、前記近接センサは、前記保持部材を検出すると共に、前記マーキングを読み取ってもよい。これにより、基台の中心と載置平面の中心とを一致させたり、載置される対象物の大きさに合わせた位置に柱状部を配置したりすることができる。
【0015】
鉛直方向上側から見たときに、前記基台に隣接して設けられた第2載置部と、前記対象物を下から保持可能なアームと、前記アームが設けられた第2レールとを有し、前記アームが前記第2レールに沿って移動可能なマスク搬送部と、を備えてもよい。これにより、作業者を介さず、第1載置部に対象物を載置したり、第1載置部から対象物を取り外したりすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、板状の対象物を載置する際に対象物等が傷つき難い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】除振台61の概略を示す図であり、(A)浮上時の様子を模式的に示し、(B)は着座時の様子を模式的に示す。
【
図4】検査装置1を正面から見たときの部分拡大図である。
【
図5】検査装置1を斜め手前から見たときの部分斜視図である。
【
図6】載置装置2の柱状部22a、22b、22c、22d及び保持部材4の平面図である。
【
図7】載置装置2の柱状部22c及び柱状部22cの先端に設けられた載置部25cの概略を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は平面図であり、(C)は(B)のD-D断面図である。
【
図8】検査装置1の概略を示す平面図であり、要部を拡大表示した図である。
【
図9】保持部材4の概略を示す図であり、(A)は
図6のA-A断面図であり、(B)は
図6のB矢視であり、(C)は
図6のC矢視である。
【
図10】保持部材4の本体部41の側面41cが検査部50の保持部52のレール52aに当接する様子を模式的に示す図である。
【
図11】搬送装置3のピニオン31を駆動する駆動部35を模式的に示す図である。
【
図12】保持部材4の本体部41の先端面41bが検査部50の保持部52の当接面52cの近傍に位置した状態を模式的に示す図である。
【
図13】空気吸引部58のコネクタ58aの概略を示す図である。
【
図14】検査装置1の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図15】変形例にかかる保持部材の本体部41Aの概略を示す断面図である。
【
図17】検査装置1Bの概略を示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は正面図である。
【
図18】検査装置1Bの電気的な構成を示すブロック図である。
【
図20】第1ステージ51Aがローディング位置に移動されるときのピニオン31、31A及びギア34の様子を模式的に示す図であり、(A)はローディング位置直前の様子を示し、(B)はローディング位置の様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、重複する部分については説明を省略する。
【0019】
本発明における載置装置とは、板状の対象物を、載置平面を有する保持部に水平に載置する装置である。以下、対象物としてマスクを例に説明する。マスクは、感光性基板(例えば、ガラス基板の片面にクロムの薄膜を形成し、その上からレジストを塗布したもの)上にレーザ等の光を照射して生成される。感光性基板には、一般的には、熱膨張率が非常に小さい(例えば、約5.5×10-7/K程度)石英ガラスが用いられる。
【0020】
載置装置で用いられるマスクMは、さまざまな大きさのものがある。矩形形状のマスクとしては、5×5インチ、6×6インチ、7×7インチ、9×9インチ等が用いられ、円形状のマスクとしては、直径7.25インチのものが用いられる。本発明は、1つの装置で様々な大きさや複数の形状のマスクMに対応することができる。
【0021】
<第1の実施の形態>
図1は、検査装置1の概略を示す斜視図である。
図2は、検査装置1の概略を示す平面図(+z方向から見た図)である。なお、
図1においては、一部の構成について図示を省略している。また、
図2では、要部を透視している。
【0022】
以下、鉛直方向に沿った方向をz方向とし、鉛直上向きを+zとする。また、水平方向に沿った直交2方向をx方向及びy方向とする。
【0023】
検査装置1は、主として、載置装置2と、搬送装置3と、保持部材4と、枠10と、検査部50と、除振台61と、定盤62とを有する。保持部材4には、板状の対象物であるマスクMが載置される。載置装置2は、保持部材4にマスクMを載置する装置である。搬送装置3は、マスクMが載置された保持部材4を検査部50に搬入したり、検査部50から搬出したりする装置である。
【0024】
枠10は、検査部50、除振台61及び定盤62を覆う。また、検査装置1(枠10の内部)は、図示しない温度調整部により一定温度に保たれている。
【0025】
枠10は、開閉扉12が設けられた正面部11を有する。正面部11には開口部11aが設けられており、開閉扉12が閉じた状態では開閉扉12が開口部11aを覆う。
図1は、開閉扉12が閉じた状態を図示している。開閉扉12は、上下方向(z方向)に移動可能であり、開口部11aを覆う位置と覆わない位置との間で移動可能である。正面部11にはレール13が設けられており、開閉扉12に設けられた移動部材(図示省略)がアクチュエータ14(
図14参照)によりレール13に沿って移動することで、開閉扉12がz方向に移動する。
【0026】
定盤62は、略直方体形状(厚板状)の部材であり、石(例えば、花崗岩)や低膨張率の鋳物(例えば、ニッケル系の合金)で形成される。定盤62は、設置面(例えば、床)上に載置されている。
【0027】
定盤62には、複数(ここでは、3個)の除振台61が載置されている。
図3は、除振台61の概略を示す図であり、(A)浮上時の様子を模式的に示し、(B)は着座時の様子を模式的に示す。除振台61は、主として、ベース611と、枠612と、移動部材613とを有する。
【0028】
枠612は、ベース611に設けられており、孔612aを有する。孔612aには、移動部材613が上下方向に移動可能に設けられている。移動部材613は、主として、棒状部材613aと、位置決め部材613b、613eと、板状部613dとを有する。位置決め部材613b、613eは、例えばナットであり、棒状部材613aに設けられている。位置決め部材613bは、下側に円錐部613cを有する。板状部613dは、位置決め部材613eの上側に設けられている。
【0029】
除振台61、ここでは移動部材613の上側には、検査部50が設けられている。これにより、検査部50が除振台61を介して定盤62に載置される。移動部材613が上下方向に移動することで、除振台61が検査部50を鉛直方向に移動させることができる。
【0030】
検査部50に保持部材4を挿入及び排出する場合には、
図3(B)に示すように、円錐部613cが枠612に当接(着座)しており、除振台61により検査部50が下げられている。円錐部613cが枠612に着座することで、高さ方向(z方向)及び水平方向(xy方向)の位置決めの再現性が高くなり、搬送装置3によるマスクMの搬入、搬出を不具合なく行うことができる。
【0031】
それに対し、検査部50においてマスクMを検査する間は、
図3(A)に示すように、円錐部613cが枠612から浮上させる。これにより、検査部50を定盤62から浮かせて検査部50が振動しないようにする。板状部613dは枠612の内側に設けられており、板状部613dが枠612に当接することで移動部材613が孔612aから抜けないようにしている。
【0032】
なお、除振台61の形態はこれに限られない。例えば、除振台61をアクティブ除振台としてもよい。
【0033】
検査部50は、主として、第1ステージ51と、保持部52と、第2ステージ53と、ベルト54、56と、レール55、57とを有する。
【0034】
第2ステージ53は、アクチュエータ59a(
図14参照)がベルト56を駆動することにより、レール57に沿ってx方向に移動可能に設けられている。第1ステージ51は、第2ステージ53に設けられており、アクチュエータ59b(
図14参照)がベルト54を駆動することにより、レール55に沿ってy方向に移動可能に設けられている。したがって、第1ステージ51は、x方向及びy方向に移動可能である。
【0035】
保持部52は、第1ステージ51の上側(+z側)に設けられている。保持部52は、第1ステージ51に固定されており、保持部材4を検査部50の内部に保持する。保持部52については、後に詳述する。
【0036】
次に、載置装置2について説明する。
図4は、検査装置1を正面から見たときの部分拡大図である。載置装置2は、正面部11よりも手前(-y側)に設けられている。保持部材4は、搬送装置3のローラ32に載置される。
【0037】
載置装置2は、図示しない駆動部によりz方向に移動可能である。載置装置2は、主として、基台21と、複数の柱状部22と、第1移動部23と、第2移動部24とを有する。
図4では、載置装置2が下端に位置する状態を実線で示し、上端に位置する状態を二点鎖線で示している。
【0038】
基台21は、板状であり、保持部材4の鉛直方向下側に設けられている。基台21は、第1移動部23により、上下方向に移動可能に設けられている。第1移動部23は、レール23aと、移動部材23bと、アクチュエータ23c(
図14参照)とを有する。移動部材23bは、基台21に設けられているとともに、レール23aに沿って移動可能である。したがって、アクチュエータ23cが移動部材23bをレール23aに沿ってz方向に移動させることで、第1移動部23が基台21をz方向に移動させる。
【0039】
柱状部22は、柱状の部材であり、第2移動部24を介して基台21に設けられている。第2移動部24は、基台21に設けられている。柱状部22は、基台21から鉛直方向上向きに突出している。柱状部22の先端には、マスクMを載置する載置部25(後に詳述)が設けられている。
【0040】
基台21がz方向に移動することで、柱状部22及び第2移動部24もz方向に移動する。基台21、柱状部22及び第2移動部24が下端に位置するときには、載置部25が保持部材4よりも下側に位置する(
図4の実線参照)。また、基台21、柱状部22及び第2移動部24が上端に位置するときには、載置部25が保持部材4よりも上側に位置する(
図4の二点鎖線参照)。
【0041】
図5は、検査装置1を斜め手前から見たときの部分斜視図である。
図5では、載置装置2が下端に位置する状態を実線で示し、上端に位置する状態を二点鎖線で示している。柱状部22は、4本の柱状部22a、22b、22c、22dを有する。基台21、柱状部22及び第2移動部24が下端から上方に移動すると、柱状部22a、22b、22c、22dが本体部41の孔43に挿入される。
【0042】
第2移動部24は、4つの第2移動部24a、24b、24c、24dを有する。第2移動部24a、24b、24c、24dには、それぞれ、柱状部22a、22b、22c、22dが設けられている。すなわち、柱状部22a、22b、22c、22dは、第2移動部24a、24b、24c、24dを介して基台21に設けられている。
【0043】
第2移動部24a、24b、24c、24dは、それぞれ、レール241a、241b、241c、241dと、移動部材242a、242b、242c、242dと、ベルト243a、243b、243c、243dと、プーリ244a、244b、244c、244dとを有する。
【0044】
レール241a、241b、241c、241dは、基台21に設けられている。基台21は矩形形状であり、レール241a、241b、241c、241はそれぞれ基台21の対角線に沿って設けられている。
【0045】
移動部材242a、242b、242c、242dは、それぞれ、レール241a、241b、241c、241dに設けられており、レール241a、241b、241c、241dに沿って移動可能である。
【0046】
柱状部22a、22b、22c、22dは、それぞれ、移動部材242a、242b、242c、242dに設けられている。したがって、柱状部22a、22b、22c、22dは、レール241a、241b、241c、241dに沿って移動可能である。
【0047】
移動部材242a、242b、242c、242dには、それぞれ、ベルト243a、243b、243c、243dが設けられている。ベルト243a、243b、243c、243dは、それぞれ、プーリ244a、244b、244c、244dに巻きかけられており、基台21に設けられた孔21aを通って基台21の下方に延びている。すなわち、ベルト243a、243b、243c、243dは、移動部材242a、242b、242c、242dを、レール241a、241b、241c、241dに沿って基台21の対角線内側に向けて引っ張る。
【0048】
基台21の下側には、駆動部が設けられている。駆動部は、図示しないベルト巻回部と、アクチュエータ24e(
図14参照)とを有する。アクチュエータ24eには、ベルト巻回部を介してベルト243a、243b、243c、243dが連結されている。アクチュエータ24eは、ベルト243a、243b、243c、243dを同時に同じ量だけ駆動させる。
【0049】
移動部材242a、242b、242c、242dには、それぞれ、図示しない弾性部材が設けられている。この弾性部材は、移動部材242a、242b、242c、242dを、レール241a、241b、241c、241dに沿って基台21の対角線外側に向けて引っ張る。
【0050】
これにより、ベルト243a、243b、243c、243d及び弾性部材を介して移動部材242a、242b、242c、242dがレール241a、241b、241c、241dに沿って移動する。具体的には、弾性部材の付勢力に抗してベルト243a、243b、243c、243dが移動部材242a、242b、242c、242dを引っ張ることで、移動部材242a、242b、242c、242d及び柱状部22a、22b、22c、22dが内側に移動する。また、駆動部によりベルト243a、243b、243c、243dが緩められると、弾性部材の付勢力により移動部材242a、242b、242c、242d及び柱状部22a、22b、22c、22dが外側に移動する。
【0051】
このとき、駆動部がベルト243a、243b、243c、243dを同時に同じ量だけ駆動するため、移動部材242a、242b、242c、242d及び柱状部22a、22b、22c、22dは同時に同じ量だけ移動する。
【0052】
図6は、載置装置2の柱状部22a、22b、22c、22d及び保持部材4の平面図である。保持部材4は、アルミニウムで形成されており、表面に酸化被膜が形成されている。保持部材4は、本体部41と、本体部に設けられた把持部42とを有する。本体部41の+z側の面は載置平面41aである。本体部41は、z方向に貫通する孔43を有する。孔43は、矩形形状の孔43eと、孔43eの4隅にそれぞれ設けられた孔43a、43b、43c、43dとを有する。孔43a、43b、43c、43d及び孔43eが一体化して、孔43が形成される。
【0053】
載置装置2を上下動させるときには、+z方向から見たときに基台21の対角線と本体部41の対角線とが略一致するように基台21及び本体部41が配置される。柱状部22a、22b、22c、22dは、それぞれ孔43a、43b、43c、43dに挿入される。また、柱状部22a、22b、22c、22dは、それぞれ孔43a、43b、43c、43dの内部で、基台21及び本体部41の対角線に沿って移動する(
図6の矢印参照)。
【0054】
本体部41の裏面には、1又は複数の凹部41iからなるマーキング41jが設けられている。本実施の形態では、マーキング41jは、2つの凹部41iを含む。基台21には近接センサ26(
図14参照)が設けられており、近接センサ26が保持部材4を検出すると共に、本体部41に設けられたマーキング41jを読み取る。本実施の形態では、3つの近接センサ26が設けられており、近接センサ26がそれぞれ凹部42iの有無を検出する。
図6に示す形態では、3つの近接センサ26のうちの両側の2つの近接センサ26が凹部42iを検出し、中央の近接センサ26が凹部42iが無いことを検出する。
【0055】
マーキング41jは、マスクMの種類(形状及び大きさ)によって異なる。例えば、
図6に示すように、両側に凹部42iが設けられており、これらの間に凹部42iが設けられていない形態では、6×6インチのマスクであることを示す。また、例えば、凹部42iが3つ設けられている形態では、9×9インチのマスクであることを示す。なお、マーキング41jの形態はこれに限られず、近接センサ26の数もこれに限られない。近接センサ26は少なくとも1つ設けられていればよい。
【0056】
柱状部22a、22b、22c、22dの先端には、それぞれ、マスクMが載置される載置部25a、25b、25c、25dが設けられている。柱状部22a、22b、22c、22dを移動させることで、様々な大きさのマスクMを載置部25に載置することができる。
【0057】
図7は、載置装置2の柱状部22c及び柱状部22cの先端に設けられた載置部25cの概略を示す図であり、(A)は斜視図であり、(B)は平面図であり、(C)は(B)のD-D断面図である。なお、柱状部22a、22b、22c、22d及び載置部25a、25b、25c、25dの構造は同一であるため、柱状部22a、22b、22d及び載置部25a、25b、25dの説明は省略する。
【0058】
柱状部22cは、柱状(棒状)であり、鉛直方向上側(+z方向)から見たときに(平面視において)、対角線dを軸として線対称であり、隣接する2つの面221、222のなす角度が直角である。ただし、柱状部22cの形状はこれに限られない。
【0059】
柱状部22cは、変形しにくい材料、例えば鉄で形成されている。載置部25cは、マスクMが載置され、又位置決めの時にマスクMを滑らすため、マスクMを傷つけ難い材料、すなわちピーク材等の樹脂材で形成されている。
【0060】
載置部25cは、高さが異なる2つの面251、252を有する。面251は、柱状部22cの先端面であり、本実施の形態では平面である。面252は、面251から下方(-z方向)に段落ちした面である。マスクMが載置されるのは面252である。
【0061】
面251、252は対角線dを軸として線対称であり、隣接する2つの辺251a、251bのなす角度及び隣接する2つの辺252a、252bのなす角度が直角である。面251は、面252の外側に設けられている。ここで、外側とは、基台21の周縁に近い側である。すなわち、面251は基台21の周縁側に、面252は基台21の中心側に設けられている。これにより、矩形形状のマスクMを面252に載置することができる。ただし、+z方向から見たときの面251、252の形状はこれに限られない。
【0062】
面252は、内側に向けて(面251から遠ざかるにつれて)高さが低くなるように、水平方向に対して角度θ1だけ傾いている。つまり、面252は、中央(対角線d上)で2つの面が合わさった複合面である。角度θ1は、1°~5°が好ましく、本実施の形態では3°である。したがって、面252に載置されたマスクMと、面252との接触面積が最小限になり、マスクMの機能面である膜面が汚染され難くなる。
【0063】
また、面251と面252を連結する面253、254は、高くなるにつれて外側に傾斜するように、鉛直方向に対して角度θ2だけ傾いている。角度θ2は、1°~5°が好ましく、本実施の形態では3°である。したがって、面252に載置されたマスクMが面253、254に当接したときのマスクMと面253、254との接触面積が最小限になり、マスクMが汚染され難くなる。
【0064】
面251には、内側の角に円弧形状の凹部255が設けられている。また、面251には、内側の両端に円弧形状の切り欠き256、257が設けられている。切り欠き256、257は、+z方向から見たときに、複数の柱状部22(載置部25c)の外側の角258を連結する円の中心点O(
図6参照)を中心とする任意の半径Raの曲線と重なる。例えば、半径Raは、7.25インチ(18.415cm)の半分以上であり、例えば9.25cmである。これにより、直径7.25インチの円形状のマスクMを面252に載置することができる。
【0065】
次に、
図8を用いて搬送装置3について説明する。
図8は、検査装置1の概略を示す平面図であり、要部を拡大表示した図である。搬送装置3は、主として、保持部材4と、ピニオン31と、ローラ32と、レール33a、33b、33c、33dを有する。
【0066】
搬送装置3は、マスクMが載置された保持部材4を、枠10の開口部11aを介して、枠10の外部の第1位置I(点線参照)から枠10の内部の第2位置II(実線参照)へと搬送し、かつ、第2位置IIから第1位置Iへと搬送する。第1位置Iは、搬送装置3の手前側の端(-y方向の端)近傍の任意の位置である。また、第2位置IIは、保持部52が設けられた位置であり、保持部材4が第2位置IIに位置するときには、保持部材4の先端面41b(
図6参照)が保持部52の当接面52cに当接する。
【0067】
レール33a、33b、33c、33dは、水平方向に沿って設けられている。レール33a、33cは直線L1上に設けられており、レール33b、33dは直線L2上に設けられている。直線L1、L2は保持部材4の搬送方向(y方向)に沿っており、直線L1と直線L2とは平行かつ高さ(z方向の位置)が等しい。レール33a、33bは枠10の外部に設けられており、レール33c、33dは枠10の内部に設けられている。
【0068】
ピニオン31は、レール33a、33b、33c、33dのそれぞれに設けられている。なお、レール33a、33b、33c、33dに設けられるピニオン31の数は図示した形態に限られない。本実施の形態では、レール33a、33b、33c、33dのそれぞれにピニオン31が複数設けられているが、レール33c、33dについてはピニオン31が少なくとも1つ設けられていればよい。レール33a、33bについては複数のピニオン31が設けられていればよい。
【0069】
ピニオン31は、主として、z方向に沿って設けられた回転軸31aと、回転軸31aを中心に回転可能なピニオン本体31bとを有する。ピニオン本体31bは、例えば、モジュールが1のピニオンギアである。
【0070】
ローラ32は、レール33a、33b、33c、33dのそれぞれに複数設けられている。ローラ32は、主として、直線L1、L2と略直交する回転軸32aと、回転軸32aを中心に回転可能な筒状のローラ本体32bとを有する。回転軸32aとローラ本体32bとの間には、ベアリングが設けられている。保持部材4は、複数のローラ32に載置されている。なお、レール33a、33b、33c、33dに設けられるローラ32の数は図示した形態に限られない。
【0071】
図6の説明に戻る。保持部材4の本体部41は、載置平面41aに隣接する2つの側面41c、41dを有する。側面41c、41dは、搬送方向と略平行である。
【0072】
把持部42は、保持部材4が第1位置Iに位置するときに、本体部41を挟んで枠10と反対側(-y側)、すなわち本体部41の先端面41bとは反対側の端に設けられている。把持部42は、x方向に沿って設けられた棒状の把持棒42cと、把持棒42cの両端と本体部41とをそれぞれ連結する板状の連結部42a、42bと、を有する。把持棒42cは、例えば角棒である。連結部42a、42bは、保持部材4の搬送方向(y方向)と略平行な2つの側面42d、42eを有する。
【0073】
図9は、保持部材4の概略を示す図であり、(A)は
図6のA-A断面図であり、(B)は
図6のB矢視であり、(C)は
図6のC矢視である。側面41c、41dは、それぞれ、垂直面41e、41gと、傾斜面41f、41hとを有する。垂直面41e、41gは、載置平面41aに対して垂直な面である。傾斜面41f、41hは、載置平面41aに向かうにつれて保持部材4の幅が狭くなるように鉛直方向に対して傾いている。側面42dは垂直面41eと同一面上に位置し、側面42eは垂直面41gと同一面上に位置する。側面42d、42eの高さは、垂直面41e、41gの高さの2~3倍程度である。
【0074】
ラック44は、保持部材4の搬送方向(y方向)と略平行な2つの側面(側面41c、41d及び側面42d、42e)に設けられている。ラック44は、側面41c、41d(ここでは垂直面41e、41g)に設けられたラック44c、44dと、側面42d、42eに設けられたラック44a、44bとを有する。ラック44a、44cは同一面上に位置し、ラック44b、44dは同一面上に位置する。ラック44a、44b、44c、44dは、モジュールが1であり、ピニオン31に噛み合い可能である。ラック44a、44bは側面42d、42e全体に形成されており、ラック44c、44dは垂直面41e、41g全体に設けられている。側面42d、42e(連結部42a、42b)の高さは垂直面41e、41gの高さより高いため、ラック44a、44bの高さはラック44c、44dの高さより高い。
【0075】
図8の説明に戻る。保持部材4が第1位置Iに位置するときには、レール33a、33bに設けられたピニオン31がそれぞれラック44c、44dに噛み合っている。保持部材4が第1位置Iから第2位置IIに向けて+y方向に移動して先端面41bが開口部11aに差し掛かると、ラック44a、44b、44c、44dにピニオン31が噛み合う。さらに保持部材4が+y方向に移動すると、レール33c、33dに設けられたピニオン31と、レール33a、33bに設けられたピニオン31がラック44c、44dに噛み合い、レール33a、33bに設けられたピニオン31がラック44a、44bに噛み合う。このように、ラック44a、44b、44c、44dにピニオン31が噛み合うことで、保持部材4のx方向の位置決めがされたまま、保持部材4がy方向に搬送される。
【0076】
その後、さらに保持部材4が+y方向に移動して、保持部材4の先端(先端面41b近傍)が保持部52に挿入されると、保持部材4の本体部41の側面41cが検査部50の保持部52のレール52aに挿入され、保持部材4の本体部41の側面41dが保持部52のレール52bに挿入される。
【0077】
図10は、側面41cがレール52aに挿入される様子を模式的に示す図である。レール52aは傾斜面52dを有し、傾斜面52dと傾斜面41fが当接することで、傾斜面41f、すなわち本体部41がx方向及びz方向に位置決めされる。
【0078】
図8の説明に戻る。保持部材4の先端面41b近傍が保持部52に挿入された状態では、レール33a、33bに設けられたピニオン31がラック44a、44bに噛み合い、レール33c、33dに設けられたピニオン31がラック44c、44dに噛み合う。この状態までは、ピニオン31がラック44a、44b、44c、44dに噛み合っているため、ピニオン31からラック44a、44b、44c、44dへの力の伝達が容易である。また、ラック44a、44b、44c、44dにピニオン31が噛み合うこと及び本体部の周縁(側面41c、41d)が保持部52(レール52a、52b)に挿入されることで保持部材4がx方向に位置決めされるため、搬送時に保持部材4がx方向に移動したり、xy平面に沿って回転したりしない。
【0079】
その後、保持部材4の先端面41bが当接面52cの近傍(第2位置IIの近傍)に位置するまで保持部材4が+y方向に移動すると、側面41c、41dの大部分がレール52a、52bに挿入され、ラック44a、44bにレール33c、33dに設けられたピニオン31のうちの1つが噛み合っており、搬送時と同様に保持部材4がx方向に位置決めされている。ラック44c、44dの歯幅はピニオン31の歯幅より小さいが、ラック44a、44bの歯幅はピニオン31の歯幅より大きいため、ピニオン31からラック44a、44bへ力が伝わりやすく、保持部材4をy方向に移動させることができる。
【0080】
次に、搬送装置3のピニオン31の駆動について説明する。
図11は、ピニオン31を駆動する駆動部35を模式的に示す図である。
図11は、レール33a、33cに設けられた駆動部35を図示しているが、レール33b、33dにも、レール33a、33cと同様に駆動部35が設けられている(説明を省略)。
【0081】
駆動部35は、プーリ35aと、ベルト35bと、アクチュエータ35cとを有する。プーリ35aは、回転軸31a及びアクチュエータ35cの回転軸に設けられている。プーリ35aには、ベルト35bが巻きかけられている。アクチュエータ35cを駆動させると、ベルト35bを介して、プーリ35a、すなわち回転軸31a及びピニオン本体31bが回転する。
【0082】
レール33a、33cに設けられたピニオン31に1つの駆動部35を設けることで、レール33a、33cに設けられたすべてのピニオン本体31bを同時に同じ量だけ回転させることができる。また、レール33b、33dに設けられたピニオン31に1つの駆動部35を設けることで、レール33b、33dに設けられたすべてのピニオン本体31bを同時に同じ量だけ回転させることができる。
【0083】
また、アクチュエータ35cは正逆回転可能であるため、ピニオン本体31bを正逆回転させることができ、これにより保持部材4を+y方向及び-y方向に移動させることができる。
【0084】
図12は、保持部材4の本体部41の先端面41bが検査部50の保持部52の当接面52cの近傍に位置した状態を模式的に示す図である。検査部50は、空気吸引部58を有する。空気吸引部58は、当接面52cに設けられたコネクタ58aと、コネクタ58aに接合された吸引ホース58bとを有する。吸引ホース58bは、図示しない吸引ポンプに接続されている。
【0085】
本体部41には、空気孔45が設けられている。空気孔45は、一端が先端面41bに開口し、他端が載置平面41aに開口する。空気孔45の載置平面41aに開口する開口部45aは、鉛直方向上側(+z方向)から見たときにマスクMと重なる。
【0086】
図13は、コネクタ58aの概略を示す図である。コネクタ58aは、主として、接合部58cと、筒状部58d、58eと、弾性部材58fとを有する。筒状部58eの外周面にねじ部58gが形成されており、ねじ部58gが保持部52に設けられた図示しないねじ孔に螺合することで、コネクタ58aが当接面52cに設けられる。また、筒状部58eにはねじ穴58hが設けられており、ねじ穴58hを介して筒状部58eに吸引ホース58bが設けられる。
【0087】
接合部58cは、筒状部58dに設けられており、開口部45b(
図12参照)に接合可能である。筒状部58dと筒状部58eとの間には弾性部材58fが設けられている。そのため、筒状部58d及び接合部58cが、中心軸axに沿って移動可能である。
【0088】
図12の説明に戻る。コネクタ58aは、中心軸axがy方向に沿うように当接面52cに設けられている。したがって、先端面41bが当接面52cの数mm手前(-y側)に位置するとき、すなわち、先端面41bが当接面52cに当接していない状態において、開口部45bに接合部58c(
図13参照)が接合する。その結果、空気吸引部58及び空気孔45を介して、マスクMが載置平面41aに向けて吸引される。
【0089】
その後、先端面41bが当接面52cに当接するまでピニオン31を介して保持部材4が搬送される。接合部58cがy方向(搬送方向)に沿って移動可能であるため、空気孔45の先端面41bに開口する開口部に接合部58cが接合したまま保持部材4が+y方向に搬送される。先端面41bが当接面52cに当接するときには、マスクMが載置平面41aに向けて吸引されているため、先端面41bが当接面52cに当接するときの衝撃でマスクMがずれないように、マスクMが載置平面41aに保持されている。
【0090】
図14は、検査装置1の電気的な構成を示すブロック図である。検査装置1は、CPU(Central Processing Unit)151と、RAM(Random Access Memory)152と、ROM(Read Only Memory)153と、入出力インターフェース(I/F)154と、通信インターフェース(I/F)155と、メディアインターフェース(I/F)156と、を有し、これらはアクチュエータ14、23c、24e、35c、59a、59b、近接センサ26等と互いに接続されている。
【0091】
CPU151は、RAM152、ROM153に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。CPU151には、近接センサ26等から信号が入力される。CPU151から出力された信号は、アクチュエータ14、23c、24e、35c、59a、59b等に出力される。
【0092】
RAM152は、揮発性メモリである。ROM153は、各種制御プログラム等が記憶されている不揮発性メモリである。CPU151は、RAM152、ROM153に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。また、ROM153は、検査装置1の起動時にCPU151が行うブートプログラムや、検査装置1のハードウェアに依存するプログラムなどを格納する。また、RAM152は、CPU151が実行するプログラム及びCPU151が使用するデータなどを格納する。
【0093】
CPU151は、入出力インターフェース154を介して、タッチパネル、キーボード、マウス等の入出力装置141を制御する。通信インターフェース155は、ネットワーク142を介して他の機器からデータを受信してCPU151に送信すると共に、CPU151が生成したデータを、ネットワーク142を介して他の機器に送信する。
【0094】
メディアインターフェース156は、記憶媒体143に格納されたプログラム又はデータを読み取り、RAM152に格納する。なお、記憶媒体143は、例えば、ICカード、SDカード等である。
【0095】
なお、各機能を実現するプログラムは、例えば、記憶媒体143から読み出されて、RAM152を介して検査装置1にインストールされ、CPU151によって実行される。
【0096】
CPU151は、入力信号に基づいて検査装置1の各部を制御する制御部151aの機能を有する。制御部151aは、CPU151が読み込んだ所定のプログラムを実行することにより構築される。制御部151aが行う処理については、後に詳述する。
【0097】
図14に示す検査装置1の構成は、本実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、例えば一般的な情報処理装置が備える構成を排除するものではない。検査装置1の構成要素は、処理内容に応じてさらに多くの構成要素に分類されてもよいし、1つの構成要素が複数の構成要素の処理を実行してもよい。
【0098】
このように構成された検査装置1の作用について説明する。以下の処理は、主として制御部151aによって行われる。まず、作業者が保持部材4の把持部42の把持棒42cを把持して保持部材4を持ち上げ、搬送装置3のローラ32に保持部材4を載置する。3つの近接センサ26がマーキング41jを読み取り、その結果に基づいて制御部151aが搬送装置3のアクチュエータ35c、載置装置2のアクチュエータ24eを制御する。具体的には、制御部151aが搬送装置3のアクチュエータ35cを制御して保持部材4をy方向に移動させ、基台21の中心と本体部41の中心とを一致させる。また、制御部151aが載置装置2のアクチュエータ24eを制御して載置装置2の柱状部22を移動させて、保持部材4に載置されるマスクMの大きさに合わせた位置に柱状部22を配置する。
【0099】
次に、制御部151aは、載置装置2のアクチュエータ23cを制御して載置装置2の基台21を+z方向に移動させて、載置装置2の柱状部22の先端に設けられた載置部25を保持部材4の本体部41の載置平面41aから+z方向に突出させる。これにより、載置部25にマスクMが載置可能となる。
【0100】
作業者は、図示しないマスク把持装置を用いて、マスクMを載置部25に載置する。入出力装置141を介して指示が入力されたら、制御部151aは、載置装置2のアクチュエータ24eを制御して載置装置2の柱状部22を内側に1mm程度移動させて、載置装置2の載置部25でマスクMを挟持する。載置部25の面252が水平方向に対して角度θ1だけ傾いているため、柱状部22を内側に移動させるときにマスクMの角のみが載置部25と擦れ、マスクMの汚染が最低限に留まる。ただし、当該処理は必須ではない。
【0101】
次に、制御部151aは、載置装置2のアクチュエータ23cを制御して載置装置2の基台21を-z方向に移動させて、載置装置2の載置部25に載置されたマスクMを載置平面41aに載置する。載置部25によりマスクMが挟持されているため、基台21の移動によりマスクMが移動しない。基台21の位置が所定の位置、すなわちマスクMが載置平面41aに載置される位置にきたら、制御部151aが載置装置2のアクチュエータ24eを制御して載置装置2の柱状部22を外側に移動させて、載置部25によるマスクMの挟持を解除する。これにより、載置装置2により保持部材4にマスクMが載置される。
【0102】
基台21が-z端に移動されたら、制御部151aは、搬送装置3のアクチュエータ35cを制御して搬送装置3のピニオン31を駆動し、保持部材4を+y方向に搬送する。このとき、保持部材4の載置平面41aに載置されたマスクMが載置平面41a上でずれないように、加速度が0.1g以下になるようにアクチュエータ35cを制御する。
【0103】
アクチュエータ35cの運転電流値が最大電流値に達した(過負荷)、すなわち、保持部材4の本体部41の先端面41bが保持部52の当接面52cに当接したら、制御部151aはアクチュエータ35cを停止させる。これにより、搬送装置3により保持部材4が検査装置1の内部に搬送される。
【0104】
本実施の形態によれば、上下方向に移動可能に設けられた基台21に鉛直方向上向きに突出するように柱状部22が設けられており、柱状部22の先端に載置部25が設けられており、基台21が下端から上方に移動されると、柱状部22が保持部材4の孔43に挿入され、基台21が上端に位置するときには、載置部25が保持部材4の載置平面41aよりも上側に位置するため、作業者はマスクMを載置部25に載置すればよく、マスクMを直接載置平面41aに載置する必要はない。したがって、板状のマスクMを載置する際にマスクMや載置平面41aが傷つき難い。
【0105】
例えば、マスクMを手作業で載置平面41aに載置する場合には、マスクMの姿勢を水平に維持するのは困難であり、マスクMを載置平面41aにぶつける等によりマスクMの一部が欠けたり載置平面41aの一部が変形したりして、塵埃が発生するおそれがある。それに対し、本実施の形態によれば、マスクMを直接載置平面41aに載置せず、載置装置2が載置部25に水平方向に沿って載置されたマスクMを、姿勢を保ったまま載置平面41aに載置するため、板状のマスクMを載置する際にマスクMや載置平面41aを傷つけたり、塵埃を発生させたりしないようにすることができる。
【0106】
また、本実施の形態によれば、柱状部22a~22dを第2移動部24a~24dを介して基台21に設け、基台21に設けられたレール241a~241dに沿って柱状部22a~22dを移動可能にしたため、1つの載置装置2で様々な大きさのマスクMに対応することができる。
【0107】
また、本実施の形態によれば、移動部材242a、242b、242c、242dに設けられたベルト243a、243b、243c、243dを同時に同じ量だけ駆動させるため、柱状部22a、22b、22c、22dを同時に同じ量だけ移動させることができる。
【0108】
また、本実施の形態によれば、マスクMが載置される面252が内側に向けて高さが低くなるように水平方向に対して角度θ1(1°~5°)傾いているため、面252に載置されたマスクMと面252の接触面積が最小限になり、マスクMの膜面が汚染され難い。さらに、面251と面252を連結する面253、254が、高くなるにつれて外側に傾斜するように、鉛直方向に対して角度θ2(1°~5°)傾いているため、面252に載置されたマスクMが面253、254に当接したときのマスクMと面253、254との接触面積が最小限になり、マスクMが汚染され難い。
【0109】
また、本実施の形態によれば、面251に設けられた切り欠き256、257は、+z方向から見たときに、複数の柱状部22(載置部25c)の外側の角258を連結する円の中心点Oを中心とする任意の半径Raの曲線と重なるため、矩形形状のマスクMのみならず、直径がRa×2の円形状のマスクMをも載置部25に載置することができる。
【0110】
また、本実施の形態によれば、基台21に近接センサ26が設けられており、近接センサ26が保持部材4を検出すると共に、保持部材4の裏面に設けられたマーキング41jを読み取るため、アクチュエータ35cを制御して保持部材4をy方向に移動させ、基台21の中心と本体部41の中心とを一致させることができ、また、アクチュエータ24eを制御して柱状部22を移動させて、保持部材4に載置されるマスクMの大きさに合わせた位置に柱状部22を配置することができる。
【0111】
また、本実施の形態によれば、搬送方向(y方向)に沿った直線L1、L2上に設けられたレール33a、33c及びレール33b、33dのそれぞれにピニオン31及びローラ32を設け、ローラ32に保持部材4が載置され、ラック44a、44b、44c、44dにピニオン31が噛み合うため、保持部材4をx方向に位置決めした状態で、直線L1、L2に沿って保持部材4を搬送することができる。また、保持部材4の搬送時に、保持部材4がx方向に移動したり、xy平面に沿って保持部材4が回転したりしないため、保持部材4が検査装置1内で保持部52等にぶつからず、その結果、塵埃の発生を防止することができる。
【0112】
また、本実施の形態によれば、保持部材4が枠10の内部の第2位置II及びその近傍に位置するときに、レール33c、33dに設けられたピニオン31のうちの少なくとも1つがラック44a、44bに噛み合うため、ピニオン31から保持部材4へ力を伝達することができる。したがって、保持部材4を確実に第2位置IIに移動させることができる。
【0113】
また、本実施の形態によれば、側面41c、41dがそれぞれ垂直面41e、41gと、傾斜面41f、41hとを有し、傾斜面41f、41hは保持部52の傾斜面52dと当接し、垂直面41e、41gにラック44c、44dが設けられるため、本体部41をx方向及びz方向に位置決めしつつ、保持部材4をy方向に搬送することができる。
【0114】
また、本実施の形態によれば、把持部42が垂直面41e、41gと同一面上に位置する側面42d、42eを有し、側面42d、42e全体にラック44a、44bが形成されるため、保持部材4を+y方向に向けて第2位置IIに押し込むときにピニオン31からラック44a、44bへ力が伝わりやすい。
【0115】
また、本実施の形態によれば、保持部材4の先端面41bが当接する当接面52cには、空気吸引部58のコネクタ58aが設けられており、コネクタ58aはy方向に移動可能な接合部58cを有するため、先端面41bが当接面52cに当接していない状態で、開口部45bに接合部58cが接合し、マスクMが載置平面41aに向けて吸引される。これにより、先端面41bが当接面52cに当接するときの衝撃でマスクMがずれないようにすることができる。
【0116】
また、本実施の形態によれば、ピニオン31の回転軸31aにプーリ35aが設けられており、レール33a、33cに設けられたプーリ35aに1本のベルト35bを巻きかけ、レール33b、33dに設けられたプーリ35aに1本のベルト35bを巻きかけることで、レール33a、33cに設けられたすべてのピニオン本体31bを同時に同じ量だけ回転させることができ、かつ、レール33b、33dに設けられたすべてのピニオン本体31bを同時に同じ量だけ回転させることができる。
【0117】
なお、本実施の形態では、アクチュエータ24fを用いて基台21を移動させ、アクチュエータ24eを用いて柱状部22を移動させたが、アクチュエータ24e、24fは必須ではなく、作業者が手動で基台21や柱状部22を移動させてもよい。ただし、手動で柱状部22を移動させる場合であっても、4本の柱状部22が同時に移動できるような機構を有することが望ましい。
【0118】
また、本実施の形態では、弾性部材の付勢力に抗してベルト243a、243b、243c、243dが移動部材242a、242b、242c、242dを引っ張ることで、移動部材242a、242b、242c、242dを移動させたが、移動部材242a、242b、242c、242dを移動させる機構はこれに限られない。例えば、レール241a、241b、241c、241dの両端近傍にプーリを設け、この2つのプーリにベルト243a、243b、243c、243dを巻きかけてもよい。その結果、ベルト243a、243b、243c、243dを2方向に移動させることで、移動部材242a、242b、242c、242dを内側及び外側の2方向に移動させることができる。
【0119】
また、本実施の形態では、アクチュエータ35cを用いて保持部材4を搬送したが、アクチュエータ35cは必須ではなく、作業者が手動で保持部材4を移動させてもよい。この場合には、ピニオン31は自由に回転できるようにしておき、保持部材4の移動に応じてピニオン31を回転させることで、保持部材4のx方向の位置決めを行い、移動中に保持部材4が回転しないようにすることができる。
【0120】
また、本実施の形態では、保持部材4をアルミニウムで形成し、表面に酸化被膜が形成したが、保持部材4の構成はこれに限られない。
図15は、変形例にかかる保持部材の本体部41Aの概略を示す断面図である。本体部41Aは、アルミニウムで形成された中央部41mと、ステンレス又はセラミックスで形成された外側部41nとを有する。中央部41mは、載置平面41aを含み、表面に酸化被膜が形成されている。外側部41nは、側面41c、41dを含む。
【0121】
マスクMを載置する載置平面41aは、酸化被膜が形成されたアルミニウムで形成する必要があるが、酸化被膜は衝撃により剥がれやすいという問題がある。したがって、ラック44が形成される外側部41nを、衝撃により破損し難いステンレス又はセラミックスを用いて形成することで、ラック44とピニオン31がぶつかることによる塵埃の発生を大幅に削減することができる。
【0122】
<第2の実施の形態>
本発明の第2の実施の形態は、レール33aがx方向に移動可能な形態である。第1の実施の形態の検査装置1と第2の実施の形態の検査装置1Aとの差異は搬送装置のみであるため、以下、第2の実施の形態の検査装置のうち、搬送装置についてのみ説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0123】
図16は、検査装置1Aの概略を示す平面図である。なお、
図16では要部のみを図示している。搬送装置3Aは、主として、保持部材4と、ピニオン31と、ローラ32、32Aと、レール33a、33b、33c、33dと、レール36を有する。なお、
図16ではレール33c、33d及びレール33c、33dに設けられたピニオン31及びローラ32の図示を省略する。
【0124】
レール33aは、レール36に沿ってx方向に移動可能である。レール33aには、ローラ32Aが設けられている。ローラ32とローラ32Aとの差異はx方向の幅であり、ローラ32Aの幅はローラ32の幅より広い。
【0125】
作業者は、搬送装置3Aに保持部材4を載置する前に、レール36に沿ってレール33aを-x方向に移動させる。ローラ32Aの幅がローラ32より広いため、レール33aが-x方向に移動されていたとしても、ローラ32、32Aの上に保持部材4を載置することができる。
【0126】
作業者は、ローラ32、32Aに保持部材4を載置したら、レール33aを+x方向に移動させて、ピニオン31とラック44を噛み合わせる。その後の処理は検査装置1と同様である。
【0127】
本実施の形態によれば、搬送装置3Aに保持部材4を載置するときにピニオン31とラック44が噛み合わなくてもよいため、ピニオン31とラック44とがぶつかって破損等することを防ぐことができる。特に、ピニオン31及びラック44のモジュールが1と小さいため、レール33aを移動しない場合には、保持部材4を載置する際にピニオン31の歯とラック44の歯が噛み合わずに歯の一部が欠け、検査装置内部に塵埃が持ち込まれるおそれがあるが、レール33aを移動させることでこのような問題を防止することができる。
【0128】
なお、本実施の形態では、作業者がレール36に沿ってレール33aをx方向に移動させたが、搬送装置3Aがレール36に沿ってレール33aを移動させてもよい。この場合には、入出力装置141からの指示等に応じて、制御部151aが図示しないアクチュエータを介してレール33aを移動させればよい。
【0129】
<第3の実施の形態>
本発明の第3の実施の形態は、自動で載置部25にマスクMを載置する形態である。第1の実施の形態の検査装置1と第3の実施の形態の検査装置1Bとの差異は載置装置のみであるため、以下載置装置についてのみ説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0130】
図17は、検査装置1Bの概略を示す図であり、(A)は平面図であり、(B)は正面図である。なお、
図17では要部のみを図示している。
【0131】
検査装置1Bが備える載置装置2Aは、主として、基台21と、複数の柱状部22と、第1移動部23(
図17では図示省略)と、第2移動部24(
図17では図示省略)と、レチクルスミフポッド63と、保管ラック70と、マスク搬送部80とを有する。レチクルスミフポッド63及び保管ラック70は、鉛直方向上側から見たときに、正面部11の手前側(-y側)に、基台21に隣接して設けられている。本実施の形態では、レチクルスミフポッド63は、第1位置Iに載置された保持部材4の-x側に、保管ラック70は、第1位置Iに載置された保持部材4の+x側に、基台21を挟むように設けられている。
【0132】
レチクルスミフポッド63は、主として、ベース63aと、載置部63bと、蓋63cとを有する。載置部63bは、ベース63aに設けられており、先端にマスクMが載置される。載置部63bの形状は、載置部25と同様である。蓋63cは、載置部63b及びマスクMを覆うように、開閉可能にベース63aに設けられている。マスクMを載置部63bに載置して蓋63cを閉じることで、マスクMの汚染が防止可能である。また、図示しない窒素充填部により蓋63cの内部を窒素で満たすことができる。
【0133】
保管ラック70は、主として、枠体71と、複数のマスク保管部72とを有する。マスク保管部72は、アクチュエータ73(
図18参照)を含む移動機構によりz方向に移動可能である。なお、本実施の形態では、保管ラック70が5つのマスク保管部72を有するが、保管ラック70が有するマスク保管部72の数はこれに限られない。
【0134】
マスク保管部72は、ベース72aと、ベース72aに設けられた載置部72bとを有する。ベース72aは、アクチュエータ72c(
図18参照)を有する移動機構(図示省略)によりx方向に移動可能に設けられている。載置部72bにはマスクMが載置され、ベース72aとともにマスクMがx方向に移動する。載置部72bの形状は、載置部25と同様である。
【0135】
マスク搬送部80は、レチクルスミフポッド63、基台21及び保管ラック70よりも手前側(-y側)に設けられている。マスク搬送部80は、主として、アーム81、82と、レール83とを有する。アーム81、82は、同一の形状であり、マスクMを下から保持する。アーム81、82は略U字形状の部分を有し、当該部分は水平方向に沿っている。したがって、略U字形状の部分がマスクMの裏面に当接させてアーム81、82がマスクMを持ち上げることで、マスクMの姿勢が水平方向に維持される。
【0136】
アーム81、82は、レール83に設けられている。アクチュエータ84(
図18参照)により、アーム81、82がレール83に沿ってx方向に移動可能である。
【0137】
また、アクチュエータ85(
図18参照)を含む移動機構(図示省略)により、アーム81、82がy方向に移動可能であり、アクチュエータ86(
図18参照)を含む移動機構(図示省略)により、アーム81、82がz方向に移動可能である。なお、移動機構は、図示しないレールを含んでもよい。
【0138】
図18は、検査装置1Bの電気的な構成を示すブロック図である。検査装置1Bは、CPU(Central Processing Unit)151と、RAM(Random Access Memory)152と、ROM(Read Only Memory)153と、入出力インターフェース(I/F)154と、通信インターフェース(I/F)155と、メディアインターフェース(I/F)156と、を有し、これらはアクチュエータ14、24e、24f、35c、59a、59b、72c、73、84、85、86、近接センサ26等と互いに接続されている。
【0139】
このように構成された検査装置1Bの作用について説明する。以下の処理は、主として制御部151aによって行われる。本実施の形態では、保管ラック70のマスク保管部72に載置されたマスクMを保持部材4に載置して検査を行い、検査後のマスクMをレチクルスミフポッド63に載置する。なお、レチクルスミフポッド63は、蓋63cが開いており、載置部63bが露出している。
【0140】
まず、作業者が保持部材4の把持部42の把持棒42cを把持して保持部材4を持ち上げ、搬送装置3のローラ32に保持部材4を載置する。3つの近接センサ26がマーキングを読み取り、制御部151aが搬送装置3のアクチュエータ35cを制御して保持部材4をy方向に移動させ、基台21の中心と本体部41の中心とを一致させる。また、制御部151aが載置装置2Aのアクチュエータ24eを制御して載置装置2Aの柱状部22を移動させて、保持部材4に載置されるマスクMの大きさに合わせた位置に柱状部22を配置する。
【0141】
次に、制御部151aは、保管ラック70のアクチュエータ73を制御して、検査対象のマスクMが載置されたマスク保管部72の高さ(z方向の位置)を載置装置2Aの柱状部22の先端に設けられた載置部25の高さと略一致させる。
図16(B)では、上から2段目のマスク保管部72の高さが載置部25の高さと略一致している。
【0142】
次に、制御部151aは、保管ラック70のアクチュエータ73を制御して、検査対象のマスクMが載置されたマスク保管部72を-x方向に移動させて、保管ラック70の枠体71の外側にマスクMを露出させる。
【0143】
次に、制御部151aは、マスク搬送部80のアクチュエータ84を制御して、マスク搬送部80のレール83に沿ってマスク搬送部80のアーム81、82をx方向に移動させて、アーム81と枠体71の外側に配置されたマスクMのx方向の位置を一致させ、アーム82と保持部材4(載置装置2)のx方向の位置を一致させる。
【0144】
次に、制御部151aは、マスク搬送部80のアクチュエータ86を制御してアーム81、82をz方向に移動させ、アーム81、82の高さがマスクMの高さより低くなるようにする。また、制御部151aは、マスク搬送部80のアクチュエータ85を制御してアーム81、82を+y方向に移動させ、保管ラック70のマスク保管部72及び保持部材4(載置装置2)とアーム81、82とのy方向の位置を一致させる(
図16(A)の点線参照)。
【0145】
マスク保管部72とアーム81のy方向の位置及び保持部材4(載置装置2)とアーム82のy方向の位置が一致したら、制御部151aは、アクチュエータ86を制御してアーム81、82を+z方向に移動させて、マスク保管部72の載置部72b及び載置部25からマスクMを持ち上げる(
図16(B)の二点鎖線参照)。
【0146】
次に、制御部151aは、マスク搬送部80のアクチュエータ84を制御してレール83に沿ってアーム81、82を-x方向に移動させて、アーム81と保持部材4(載置装置2)のx方向の位置を一致させ、アーム82とレチクルスミフポッド63のx方向の位置を一致させる。
【0147】
アーム81と保持部材4(載置装置2A)のx方向の位置及びアーム82とレチクルスミフポッド63のx方向の位置が一致したら、制御部151aは、マスク搬送部80のアクチュエータ86を制御してアーム81、82を-z方向に移動させて、載置部25及びレチクルスミフポッド63の載置部63bにマスクMを載置する。
【0148】
これにより、検査前のマスクMが載置装置2Aの載置部25に載置される。その後の検査装置1Bの処理は検査装置1と同様であるため、説明を省略する。
【0149】
載置部25に載置されたマスクMは検査装置1により検査が行われた後のマスクMである。したがって、載置部63bには検査後のマスクMが載置される。その後、作業者がレチクルスミフポッド63の蓋63cを閉じ、検査後のマスクMをレチクルスミフポッド63の内部に格納し、マスクMが載置されたレチクルスミフポッド63と空のレチクルスミフポッド63を交換する。
【0150】
本実施の形態によれば、載置部63b及び載置部72bを基台21に隣接して設け、アーム81、82でマスクMを下から保持してレール83に沿ってアーム81、82を移動させることで、作業者を介さず、載置部25にマスクMを載置したり、載置部25からマスクMを取り外したりすることができる。
【0151】
なお、本実施の形態では、載置装置2Aがレチクルスミフポッド63、保管ラック70及びマスク搬送部80を有したが、レチクルスミフポッド63及び保管ラック70のいずれか一方を有していればよい。例えば、マスク搬送部80がマスク保管部72の載置部72bから検査前のマスクMを載置部25に搬送し、検査後のマスクMを載置部25からマスク保管部72(載置部72b)に搬送してもよい。また、例えば、検査後のマスクMを載置部25からレチクルスミフポッド63(載置部63b)に搬送してもよい。これらの場合には、マスク搬送部80は1本のアーム81を有していればよい。
【0152】
<第4の実施の形態>
本発明の第4の実施の形態は、搬送装置のピニオン31の一部を検査部50に設ける形態である。第1の実施の形態の検査装置1と第4の実施の形態の検査装置1Cとの差異は搬送装置のみであるため、以下、第4の実施の形態の検査装置のうち、搬送装置についてのみ説明する。なお、第1の実施の形態と同一の部分については、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0153】
図19は、検査装置1Cの概略を示す平面図である。なお、
図19では要部のみを図示している。検査装置1Cが有する搬送装置3Bは、主として、保持部材4と、ピニオン31、31Aと、ローラ32、32Bと、レール33a、33b、33c、33dと、ギア34と、切替機構37とを有する。なお、
図19ではレール33a、33b及びレール33a、33bに設けられたピニオン31及びローラ32の図示を省略する。
【0154】
ピニオン31A及びローラ32Bは、第1ステージ51Aに設けられている。ピニオン31Aは、第1ステージ51Aに設けられた回転軸にピニオン本体が回転可能に設けられて構成されている。ローラ32Bは、第1ステージ51Aに設けられた回転軸にローラ本体が回転可能に設けられて構成されている。
【0155】
第1ステージ51Aは、第1ステージ51に対して-y側の形状のみ異なり、その他は同様である。ピニオン31A及びローラ32Bは、第1ステージ51Aと共にx方向及びy方向に移動する。
図19では、第1ステージ51Aがローディング位置(搬送装置3BによりマスクMが搬入される位置)にある状態を図示している。
【0156】
レール33c、33dの+y側の端近傍に設けられたピニオン31には、切替機構37が設けられている。切替機構37は、主として、板状部材371と、弾性部材372と、ストッパピン373とを有する。
【0157】
板状部材371は、ピニオン31の回転軸に回転可能に設けられている。板状部材371には、ギア34が設けられている。板状部材371がピニオン31の回転軸を中心に回転すると、板状部材371の回転に伴ってギア34の位置が変わる。ギア34は、板状部材371に設けられた回転軸34aに、ギア本体34bが回転可能に設けられて構成されている。
【0158】
弾性部材372は、例えば引っ張りばねであり、ギア34がレール33c、33dに近づく方向(
図19の矢印参照)の力を板状部材371に付勢する。
【0159】
第1ステージ51Aがローディング位置にないときには、弾性部材372の付勢力により板状部材371が回転し(
図19の黒矢印参照)、板状部材371がストッパピン373に当接する。第1ステージ51Aがローディング位置に移動(-y方向に移動)すると、
図19の白抜き矢印で示すように、第1ステージ51Aと共にピニオン31Aも-y方向に移動し、ピニオン31Aがギア34すなわち板状部材371を弾性部材372の付勢力に抗して押圧する。これにより、ギア34とピニオン31Aとが噛み合う。
【0160】
図20は、第1ステージ51Aがローディング位置に移動されるときのピニオン31、31A及びギア34の様子を模式的に示す図であり、(A)はローディング位置直前の様子を示し、(B)はローディング位置の様子を示す。
【0161】
ローディングポジションに到着する直前では、
図20(A)に示すように、ギア34とピニオン31Aとが噛み合い位置より遠い位置にある。その後、ローディングポジションに向けて
図20(A)の白抜き矢印の方向にピニオン31Aが移動する。その結果、
図20(B)に示すようにピニオン31Aがローディングポジションに移動し、ギア34とピニオン31Aが正しく噛み合う。
【0162】
このとき、弾性部材372がピニオン31Aを介して第1ステージ51Aに力を加えるが、弾性部材372の付勢力に抗して板状部材371が回転可能であるため、第1ステージ51Aに過剰な力が加わることはない。
【0163】
なお、ローディングポジションに到着する直前で、ギア34の位相とピニオン31Aの位相が合わない場合(
図20(A)の二点鎖線参照)があるが、ピニオン31Aは自由に回転可能であるため、弾性部材372の付勢力によりギア34の位相に合うようにピニオン31Aが回転する。
【0164】
このように構成された検査装置1Cの作用について説明する。以下の処理は、主として制御部151aによって行われる。なお、検査装置1Cの電気的な構成は、検査装置1と同様であるため、説明を省略する。
【0165】
まず、制御部151aは、アクチュエータ59a、59bを制御して、
図19に示すように、第1ステージ51Aをローディング位置に移動させ、ギア34とピニオン31Aを噛み合わせる。
【0166】
その後、検査装置1の場合と同様に、搬送装置3Bのローラ32に保持部材4が載置され、保持部材4にマスクMが載置されたら、制御部151aは、搬送装置3Bのアクチュエータ35cを制御して搬送装置3Bのピニオン31を駆動し、保持部材4を+y方向に搬送する。ピニオン31、31Aの位相があっている(
図20参照)ため、ラック44がピニオン31、31Aに正しく噛み合い、保持部材4がスムーズに保持部52へと搬送される。
【0167】
なお、第1ステージ51A、すなわちピニオン31Aがローディングポジションに移動されたときに、ギア34の歯とピニオン31Aの歯が当接し、ギア34の位相に合わせてピニオン31Aが回転できないおそれもありうる。この場合には、ピニオン31及びギア34が駆動を開始するまでピニオン31Aの歯がギア34の歯を押圧し、弾性部材372の付勢力によりピニオン31Aの歯とギア34の歯とが当接した状態が維持される。ピニオン31及びギア34が駆動(回転)を開始すると、ピニオン31Aの歯とギア34の歯との当接が外れ、ギア34の歯と歯の間にピニオン31Aの歯が入り込む。それに伴い、弾性部材372の付勢力により、ギア34がピニオン31Aに近づく方向に移動し、ギア34とピニオン31Aとが噛み合い、ピニオン31とピニオン31Aの位相が合う。
【0168】
その後、検査装置1の場合と同様に、保持部材4の本体部41の先端面41bが保持部52の当接面52cに当接したら、制御部151aは搬送装置3Bのアクチュエータ35cを停止させる。これにより、搬送装置3Bにより保持部材4が検査装置1Cの内部に搬送される。
【0169】
本実施の形態によれば、ピニオン31Aを第1ステージ51Aに設けることで、ピニオン31Aを保持部52に近づけることができる。これにより、把持部42の大きさにかかわらず、ピニオン31Aにより保持部材4を最後まで押し込むことができる。
【0170】
なお、本実施の形態では、ギア34が1つであったが、ギア34の数は1つに限られない。例えば、レール33c、33dと保持部52との距離が遠い場合には、複数のギアによりピニオン31とピニオン31Aとを連結してもよい。
【0171】
図21は、変形例に係る搬送装置3Cの概略を示す図である。
図21では、第1ステージ51A(
図21では図示省略)、すなわちピニオン31Aがローディング位置にある状態を図示している。搬送装置3Cは、主として、保持部材4と、ピニオン31、31Aと、ローラ32、32Bと、レール33a、33b、33c、33dと、ギア34Aと、切替機構37Aとを有する。
図21ではレール33a、33b、レール33a、33bに設けられたピニオン31とローラ32、及びローラ32Bの図示を省略する。
【0172】
レール33c、33dの+y側の端近傍に設けられたピニオン31には、切替機構37Aが設けられている。切替機構37Aは、主として、板状部材371Aと、弾性部材372(
図21では図示省略)と、ストッパピン373とを有する。板状部材371Aは、板状部材371と大きさが異なる。
【0173】
板状部材371Aは、ピニオン31の回転軸に回転可能に設けられている。板状部材371Aには、ギア34Aが設けられている。ギア34Aは、3つのギア341、342、343を有する。ギア341、342、343は、それぞれ、板状部材371Aに設けられた回転軸34aに、ギア本体34bが回転可能に設けられて構成されている。板状部材371Aがピニオン31の回転軸を中心に回転すると、板状部材371Aの回転に伴ってギア34Aの位置が変わる。
【0174】
第1ステージ51Aがローディング位置にない場合には、弾性部材372の付勢力により、板状部材371Aがストッパピン373に当接する。第1ステージ51Aがローディング位置に移動すると、ピニオン31Aが弾性部材372の付勢力に抗してギア343を押し、ギア343がピニオン31Aと噛み合う。
【0175】
本変形例のように、複数のギア341、342、343の数を用いることで、レール33c、33dと保持部52との距離を遠くしたり、ピニオン31Aを保持部52に近づけたりすることができる。
【0176】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。当業者であれば、実施形態の各要素を、適宜、変更、追加、変換等することが可能である。
【0177】
また、本発明において、「略」とは、厳密に同一である場合のみでなく、同一性を失わない程度の誤差や変形を含む概念である。例えば、略水平とは、厳密に水平の場合には限られず、例えば数度程度の誤差を含む概念である。また、例えば、単に平行、直交等と表現する場合において、厳密に平行、直交等の場合のみでなく、略平行、略直交等の場合を含むものとする。また、本発明において「近傍」とは、基準となる位置の近くのある範囲(任意に定めることができる)の領域を含むことを意味する。例えば、Aの近傍という場合に、Aの近くのある範囲の領域であって、Aを含んでもいても含んでいなくてもよいことを示す概念である。
【符号の説明】
【0178】
1、1A、1B、1C:検査装置
2、2A :載置装置
3、3A、3B、3C:搬送装置
4 :保持部材
10 :枠
11 :正面部
11a :開口部
12 :開閉扉
13 :レール
14 :アクチュエータ
21 :基台
21a :孔
22、22a、22b、22c、22d:柱状部
23 :第1移動部
23a :レール
23b :移動部材
23c :アクチュエータ
24、24a、24b、24c、24d:第2移動部
24e、24f:アクチュエータ
25、25a、25b、25c、25d:載置部
26 :近接センサ
31、31A:ピニオン
31a :回転軸
31b :ピニオン本体
32、32A、32B:ローラ
32a :回転軸
32b :ローラ本体
33a、33b、33c、33d:レール
34,34A:ギア
34a :回転軸
34b :ギア本体
35 :駆動部
35a :プーリ
35b :ベルト
35c :アクチュエータ
36 :レール
37,37A:切替機構
41、41A:本体部
41a :載置平面
41b :先端面
41c、41d:側面
41e、41g:垂直面
41f、41h:傾斜面
41i :凹部
41j :マーキング
41m :中央部
41n :外側部
42 :把持部
42a、42b:連結部
42c :把持棒
42d、42e:側面
42i :凹部
43、43a、43b、43c、43d、43e:孔
44、44a、44b、44c、44d:ラック
45 :空気孔
45a、45b:開口部
50 :検査部
51、51A :第1ステージ
52 :保持部
52a、52b:レール
52c :当接面
52d :傾斜面
53 :第2ステージ
54、56:ベルト
55、57:レール
58 :空気吸引部
58a :コネクタ
58b :吸引ホース
58c :接合部
58d、58e:筒状部
58f :弾性部材
58g :ねじ部
58h :ねじ穴
59、59a、59b:アクチュエータ
61 :除振台
62 :定盤
62b :載置部
63 :レチクルスミフポッド
63a :ベース
63b :載置部
63c :蓋
70 :保管ラック
71 :枠体
72 :マスク保管部
72a :ベース
72b :載置部
72c、73:アクチュエータ
80 :マスク搬送部
81、82:アーム
83 :レール
84、85、86:アクチュエータ
141 :入出力装置
142 :ネットワーク
143 :記憶媒体
151 :CPU
151a :制御部
152 :RAM
153 :ROM
154 :入出力インターフェース
155 :通信インターフェース
156 :メディアインターフェース
241、241a、241b、241c、241d:レール
242a、242b、242c、242d:移動部材
243a、243b、243c、243d:ベルト
244a、244b、244c、244d:プーリ
251、252:面
253、254:面
255 :凹部
256、257:切り欠き
258 :角
341、342、343:ギア
371371A:板状部材
372 :弾性部材
373 :ストッパピン
611 :ベース
612 :枠
612a :孔
613 :移動部材
613a :棒状部材
613b、613e:位置決め部材
613c :円錐部
613d :板状部