(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042472
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
H10B 41/27 20230101AFI20240321BHJP
H10B 43/27 20230101ALI20240321BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
H01L27/11556
H01L27/11582
H01L29/78 371
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147219
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】仁平 良太
(72)【発明者】
【氏名】松尾 浩司
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP23
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083GA05
5F083GA09
5F083GA10
5F083GA11
5F083JA02
5F083JA05
5F083JA19
5F083JA39
5F083JA56
5F083KA01
5F083LA16
5F101BA01
5F101BA45
5F101BB05
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BF02
(57)【要約】
【課題】動作が安定する半導体記憶装置を提供する。
【解決手段】実施形態の半導体記憶装置は、基板と、基板の表面に交差する第1の方向に延びる第1のゲート電極層と、第1の方向に延びる第2のゲート電極層と、第1のゲート電極層と第2のゲート電極層との間に設けられ、基板の表面に沿う第2の方向に延びる第1の半導体層と、第1の半導体層と第2のゲート電極層との間に設けられ、第1の半導体層と離隔し、第2の方向に延びる第2の半導体層と、第1のゲート電極層と第2のゲート電極層との間に設けられ、第1の半導体層に対して第1の方向に設けられ、第2の方向に延び、空隙によって第1の半導体層と分離された第3の半導体層と、第1のゲート電極層と第1の半導体層との間の第1の電荷蓄積層と、第2のゲート電極層と第2の半導体層との間の第2の電荷蓄積層と、第1のゲート電極層と第3の半導体層との間の第3の電荷蓄積層と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の表面に交差する第1の方向に延びる第1のゲート電極層と、
前記第1の方向に延びる第2のゲート電極層と、
前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間に設けられ、前記表面に沿う第2の方向に延びる第1の半導体層と、
前記第1の半導体層と前記第2のゲート電極層との間に設けられ、前記第1の半導体層と離隔し、前記第2の方向に延びる第2の半導体層と、
前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間に設けられ、前記第1の半導体層に対して前記第1の方向に設けられ、前記第2の方向に延び、空隙によって前記第1の半導体層と分離された第3の半導体層と、
前記第1のゲート電極層と前記第1の半導体層との間に設けられた第1の電荷蓄積層と、
前記第2のゲート電極層と前記第2の半導体層との間に設けられた第2の電荷蓄積層と、
前記第1のゲート電極層と前記第3の半導体層との間に設けられた第3の電荷蓄積層と、
を備える半導体記憶装置。
【請求項2】
前記第1の電荷蓄積層と前記第3の電荷蓄積層は空隙によって分離される請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層は空隙によって分離される請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記第3の半導体層と前記第2のゲート電極層との間に設けられ、前記第3の半導体層と離隔し、前記第2の方向に延び、空隙によって前記第2の半導体層と分離された第4の半導体層と、
前記第2のゲート電極層と前記第4の半導体層との間に設けられた第4の電荷蓄積層と、
を、更に備える請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第1の方向に延び、前記第1のゲート電極層に対し前記第2の方向に設けられ、空隙によって前記第1のゲート電極層と分離された第3のゲート電極層を、を更に備える請求項1記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記第1の半導体層と前記第2の半導体層との間に設けられた第1の絶縁層と、
前記第3の半導体層と前記第4の半導体層との間に設けられた第2の絶縁層と、
前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層との間に設けられ、前記第1の絶縁層及び前記第2の絶縁層と異なる化学組成を有し、空隙で前記第1のゲート電極層と分離され、空隙で前記第2のゲート電極層と分離された第3の絶縁層と、
を更に備える請求項4記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記第1の絶縁層及び前記第2の絶縁層は酸化シリコンを含み、前記第3の絶縁層は窒化シリコンを含む請求項6記載の半導体記憶装置。
【請求項8】
前記第1の方向に延び、前記第1のゲート電極層に対し前記第2の方向に設けられ、空隙によって前記第1のゲート電極層と分離された第3のゲート電極層と、
前記第3のゲート電極層と前記第1の半導体層との間に設けられた第5の電荷蓄積層と、
を更に備える請求項4記載の半導体記憶装置。
【請求項9】
前記第1の方向に延び、前記第1のゲート電極層に対し前記第2の方向に設けられ、空隙によって前記第1のゲート電極層と分離された第3のゲート電極層と、
前記第1の方向に延び、前記第2のゲート電極層に対し前記第2の方向に設けられ、空隙によって前記第2のゲート電極層と分離された第4のゲート電極層と、を更に備え、
前記第3の絶縁層は、前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間の第1の部分と、前記第3のゲート電極層と前記第4のゲート電極層との間の第2の部分と、前記第1の部分と前記第2の部分との間の第3の部分を含み、
前記第1の部分の前記第1のゲート電極層から前記第2のゲート電極層に向かう第3の方向の幅は、前記第3の部分の前記第3の方向の幅よりも大きい、請求項6記載の半導体記憶装置。
【請求項10】
前記第1の方向に延び、前記第1のゲート電極層に対し前記第2の方向に設けられ、空隙によって前記第1のゲート電極層と分離された第3のゲート電極層と、
前記第1の方向に延び、前記第2のゲート電極層に対し前記第2の方向に設けられ、空隙によって前記第2のゲート電極層と分離された第4のゲート電極層と、を更に備え、
前記第3の絶縁層は、前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間の第1の部分と、前記第3のゲート電極層と前記第4のゲート電極層との間の第2の部分と、前記第1の部分と前記第2の部分との間の第3の部分を含み、
前記第1の部分の前記第1のゲート電極層から前記第2のゲート電極層に向かう第3の方向の幅は、前記第3の部分の前記第3の方向の幅よりも大きい、請求項7記載の半導体記憶装置。
【請求項11】
第1の方向に延びる第1のゲート電極層と、
前記第1の方向に延びる第2のゲート電極層と、
前記第1の方向に延び、空隙によって前記第1のゲート電極層と分離された第3のゲート電極層と、
前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間に設けられ、前記第3のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間に設けられ、前記第1の方向と交差する第2の方向に延びる第1の半導体層と、
前記第1の半導体層と前記第2のゲート電極層との間に設けられ、前記第1の半導体層と離隔し、前記第2の方向に延びる第2の半導体層と、
前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間に設けられ、前記第3のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間に設けられ、前記第1の半導体層に対して前記第1の方向に設けられ、前記第2の方向に延び、空隙によって前記第1の半導体層と分離された第3の半導体層と、
前記第3の半導体層と前記第2のゲート電極層との間に設けられ、前記第3の半導体層と離隔し、前記第2の方向に延び、空隙によって前記第2の半導体層と分離された第4の半導体層と、
前記第1のゲート電極層と前記第1の半導体層との間に設けられた第1の電荷蓄積層と、
前記第2のゲート電極層と前記第2の半導体層との間に設けられた第2の電荷蓄積層と、
前記第1のゲート電極層と前記第3の半導体層との間に設けられた第3の電荷蓄積層と、
前記第2のゲート電極層と前記第4の半導体層との間に設けられた第4の電荷蓄積層と、
前記第3のゲート電極層と前記第1の半導体層との間に設けられた第5の電荷蓄積層と、
を備える半導体記憶装置。
【請求項12】
前記第1の電荷蓄積層と前記第3の電荷蓄積層は空隙によって分離される請求項11記載の半導体記憶装置。
【請求項13】
前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層は空隙によって分離される請求項11記載の半導体記憶装置。
【請求項14】
前記第1の半導体層と前記第2の半導体層との間に設けられた第1の絶縁層と、
前記第3の半導体層と前記第4の半導体層との間に設けられた第2の絶縁層と、
前記第1の絶縁層と前記第2の絶縁層との間に設けられ、前記第1の絶縁層及び前記第2の絶縁層と異なる化学組成を有し、空隙で前記第1のゲート電極層と分離され、空隙で前記第2のゲート電極層と分離された第3の絶縁層と、
を更に備える請求項11記載の半導体記憶装置。
【請求項15】
前記第1の絶縁層及び前記第2の絶縁層は酸化シリコンを含み、前記第3の絶縁層は窒化シリコンを含む請求項14記載の半導体記憶装置。
【請求項16】
前記第1の方向に延び、前記第2のゲート電極層に対し前記第2の方向に設けられ、空隙によって前記第2のゲート電極層と分離された第4のゲート電極層と、を更に備え、
前記第3の絶縁層は、前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間の第1の部分と、前記第3のゲート電極層と前記第4のゲート電極層との間の第2の部分と、前記第1の部分と前記第2の部分との間の第3の部分を含み、
前記第1の部分の前記第1のゲート電極層から前記第2のゲート電極層に向かう第3の方向の幅は、前記第3の部分の前記第3の方向の幅よりも大きい、請求項14記載の半導体記憶装置。
【請求項17】
前記第1の方向に延び、前記第2のゲート電極層に対し前記第2の方向に設けられ、空隙によって前記第2のゲート電極層と分離された第4のゲート電極層と、を更に備え、
前記第3の絶縁層は、前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間の第1の部分と、前記第3のゲート電極層と前記第4のゲート電極層との間の第2の部分と、前記第1の部分と前記第2の部分との間の第3の部分を含み、
前記第1の部分の前記第1のゲート電極層から前記第2のゲート電極層に向かう第3の方向の幅は、前記第3の部分の前記第3の方向の幅よりも大きい、請求項15記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
メモリセルを3次元的に配置した3次元NANDフラッシュメモリは、高い集積度と低いコストを実現する。3次元NANDフラッシュメモリのメモリセルを微細化することで、更に集積度を高くすることが可能である。メモリセルを微細化すると、隣り合うメモリセルの間のセル間干渉が大きくなり、3次元NANDフラッシュメモリの動作が不安定になるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2012/0280303号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、動作が安定する半導体記憶装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、基板と、前記基板の表面に交差する第1の方向に延びる第1のゲート電極層と、前記第1の方向に延びる第2のゲート電極層と、前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間に設けられ、前記表面に沿う第2の方向に延びる第1の半導体層と、前記第1の半導体層と前記第2のゲート電極層との間に設けられ、前記第1の半導体層と離隔し、前記第2の方向に延びる第2の半導体層と、前記第1のゲート電極層と前記第2のゲート電極層との間に設けられ、前記第1の半導体層に対して前記第1の方向に設けられ、前記第2の方向に延び、空隙によって前記第1の半導体層と分離された第3の半導体層と、前記第1のゲート電極層と前記第1の半導体層との間に設けられた第1の電荷蓄積層と、前記第2のゲート電極層と前記第2の半導体層との間に設けられた第2の電荷蓄積層と、前記第1のゲート電極層と前記第3の半導体層との間に設けられた第3の電荷蓄積層と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図3】実施形態の半導体記憶装置の拡大模式断面図。
【
図4】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図5】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図6】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図7】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図8】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図9】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図10】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図11】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図12】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図13】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図14】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図15】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図16】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図17】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図18】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【
図19】実施形態の半導体記憶装置の製造方法を示す模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明では、同一又は類似の部材などには同一の符号を付し、一度説明した部材などについては適宜その説明を省略する。
【0008】
また、本明細書中、便宜上「上」、又は、「下」という用語を用いる場合がある。「上」、又は、「下」とは、例えば、図面内での相対的位置関係を示す用語である。「上」、又は、「下」という用語は、必ずしも、重力に対する位置関係を規定する用語ではない。
【0009】
本明細書中の半導体記憶装置を構成する部材の化学組成の定性分析及び定量分析は、例えば、二次イオン質量分析法(Secondary Ion Mass Spectrometry:SIMS)、エネルギー分散型X線分光法(Energy Dispersive X-ray Spectroscopy:EDX)により行うことが可能である。また、半導体記憶装置を構成する部材の厚さ、部材間の距離等の測定には、例えば、透過型電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope:TEM)を用いることが可能である。
【0010】
実施形態の半導体記憶装置は、基板と、基板の表面に交差する第1の方向に延びる第1のゲート電極層と、第1の方向に延びる第2のゲート電極層と、第1のゲート電極層と第2のゲート電極層との間に設けられ、基板の表面に沿う第2の方向に延びる第1の半導体層と、第1の半導体層と第2のゲート電極層との間に設けられ、第1の半導体層と離隔し、第2の方向に延びる第2の半導体層と、第1のゲート電極層と第2のゲート電極層との間に設けられ、第1の半導体層に対して第1の方向に設けられ、第2の方向に延び、空隙によって第1の半導体層と分離された第3の半導体層と、第1のゲート電極層と第1の半導体層との間に設けられた第1の電荷蓄積層と、第2のゲート電極層と第2の半導体層との間に設けられた第2の電荷蓄積層と、第1のゲート電極層と第3の半導体層との間に設けられた第3の電荷蓄積層と、を備える。
【0011】
また、実施形態の半導体記憶装置は、第1の方向に延びる第1のゲート電極層と、第1の方向に延びる第2のゲート電極層と、第1の方向に延び、空隙によって第1のゲート電極層と分離された第3のゲート電極層と、第1のゲート電極層と第2のゲート電極層との間に設けられ、第3のゲート電極層と第2のゲート電極層との間に設けられ、第1の方向と交差する第2の方向に延びる第1の半導体層と、第1の半導体層と第2のゲート電極層との間に設けられ、第1の半導体層と離隔し、第2の方向に延びる第2の半導体層と、第1のゲート電極層と第2のゲート電極層との間に設けられ、第3のゲート電極層と第2のゲート電極層との間に設けられ、第1の半導体層に対して第1の方向に設けられ、第2の方向に延び、空隙によって第1の半導体層と分離された第3の半導体層と、第3の半導体層と第2のゲート電極層との間に設けられ、第3の半導体層と離隔し、第2の方向に延び、空隙によって第2の半導体層と分離された第4の半導体層と、第1のゲート電極層と第1の半導体層との間に設けられた第1の電荷蓄積層と、第2のゲート電極層と第2の半導体層との間に設けられた第2の電荷蓄積層と、第1のゲート電極層と第3の半導体層との間に設けられた第3の電荷蓄積層と、第2のゲート電極層と第4の半導体層との間に設けられた第4の電荷蓄積層と、第3のゲート電極層と第1の半導体層との間に設けられた第5の電荷蓄積層と、を備える。
【0012】
実施形態の半導体記憶装置は、3次元NANDフラッシュメモリである。実施形態の半導体記憶装置は、半導体基板の表面に平行な方向に延びる複数の半導体層が、半導体基板の上に積層される。半導体基板の表面に交差する方向に延びるゲート電極層と半導体層との交差部にメモリセルが形成される。実施形態の半導体記憶装置のメモリセルは、いわゆる、フローティングゲート型のメモリセルである。
【0013】
図1、
図2(a)、及び
図2(b)は、実施形態の半導体記憶装置の模式断面図である。
図1、
図2(a)、及び
図2(b)は、実施形態のフラッシュメモリ100のメモリセルアレイの断面図である。
【0014】
フラッシュメモリ100は、例えば、図示しない周辺回路を含む。周辺回路は、例えば、CMOS回路で構成され、メモリセルアレイの動作を制御する機能を備える。
【0015】
図1は、
図2(a)及び
図2(b)のAA’断面である。
図2(a)は、
図1のBB’断面である。
図2(b)は、
図1のCC’断面である。
図1及び
図2(a)の破線で囲まれた領域が、1個のメモリセルMCである。
【0016】
図1は、メモリセルアレイのyz断面である。
図2(a)及び
図2(b)は、メモリセルアレイのxy断面である。z方向は、第1の方向の一例である。x方向は第2の方向の一例である。y方向は第3の方向の一例である。以下、z方向が第1の方向、x方向が第2の方向、y方向が第3の方向である場合を説明する。
【0017】
フラッシュメモリ100は、半導体基板10、基板絶縁層12、複数の半導体層14、複数のゲート電極層16、トンネル絶縁膜18、複数の電荷蓄積層20、第1のブロック絶縁膜22、第2のブロック絶縁膜24、第1の層間絶縁層26、及び第2の層間絶縁層28を備える。半導体基板10は基板の一例である。
【0018】
複数の半導体層14は、第1の半導体層14a、第2の半導体層14b、第3の半導体層14c、及び第4の半導体層14dを含む。複数のゲート電極層16は、第1のゲート電極層16a、第2のゲート電極層16b、第3のゲート電極層16c、及び第4のゲート電極層16dを含む。複数の電荷蓄積層20は、第1の電荷蓄積層20a、第2の電荷蓄積層20b、第3の電荷蓄積層20c、第4の電荷蓄積層20d、第5の電荷蓄積層20eを含む。第1の層間絶縁層26は、第1の絶縁層26a及び第2の絶縁層26bを含む。
【0019】
第2の層間絶縁層28は、第3の絶縁層の一例である。第2の層間絶縁層28は、第1の部分28a、第2の部分28b、及び第3の部分28cを含む。
【0020】
半導体基板10は、例えば、単結晶シリコンである。半導体基板10は、例えば、シリコン基板である。半導体基板10は、x方向及びy方向に平行な表面を有する。半導体基板10の表面に垂直な方向は、z方向である。
【0021】
基板絶縁層12は、半導体基板10の上に設けられる。基板絶縁層12は、例えば、酸化アルミニウム又は酸化シリコンを含む。基板絶縁層12は、例えば、酸化アルミニウム層又は酸化シリコン層である。
【0022】
半導体層14は、基板絶縁層12の上に設けられる。半導体層14は、半導体基板10の表面に沿った方向に延びる。半導体層14は、半導体基板10の表面に平行なx方向に延びる。
【0023】
半導体層14は、z方向に繰り返し配置される。半導体層14は、y方向に繰り返し配置される。
【0024】
半導体基板10の表面に交差するz方向に隣り合う2つの半導体層14は、空隙AGによって分離される。z方向に隣り合う2つの半導体層14の間には、空隙AGが存在する。z方向に隣り合う2つの半導体層14の間は、空隙AGによって電気的に分離される。
【0025】
半導体層14は、メモリセルMCのトランジスタのチャネルとして機能する。
【0026】
半導体層14は、例えば、多結晶の半導体である。半導体層14は、例えば、多結晶シリコンを含む。半導体層14は、例えば、多結晶シリコン層である。半導体層14のz方向の厚さは、例えば、5nm以上30nm以下である。
【0027】
ゲート電極層16は、半導体基板10の表面に交差するz方向に延びる。隣り合う2つのゲート電極層16は、空隙AGによって分離される。隣り合うゲート電極層16の間には、空隙AGが存在する。
【0028】
例えば、
図2(a)及び
図2(b)に示されるように、x方向に隣り合う2つのゲート電極層16は、空隙AGによって分離される。また、例えば、
図2(b)に示されるように、y方向に隣り合う2つのゲート電極層16は、空隙AGによって分離される。
【0029】
図2(b)に示すように、ゲート電極層16の一部は、空隙AGによって囲まれる。隣り合う2つのゲート電極層16の間は、空隙AGによって電気的に分離される。
【0030】
ゲート電極層16は、メモリセルMCのメモリセルトランジスタのゲート電極として機能する。
【0031】
ゲート電極層16は、柱状の導電体である。ゲート電極層16は、例えば、金属を含む。
【0032】
ゲート電極層16は、例えば、タングステン(W)を含む。ゲート電極層16は、例えば、タングステン層である。
【0033】
トンネル絶縁膜18は、半導体層14とゲート電極層16との間に設けられる。トンネル絶縁膜18は、半導体層14と電荷蓄積層20との間に設けられる。トンネル絶縁膜18は、半導体層14に接する。トンネル絶縁膜18は、電荷蓄積層20に接する。
【0034】
トンネル絶縁膜18は、ゲート電極層16と半導体層14との間に印加される電圧に応じて電荷を通過させる機能を有する。
【0035】
トンネル絶縁膜18は、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、又は酸窒化シリコンを含む。トンネル絶縁膜18は、例えば、酸化シリコン膜である。トンネル絶縁膜18は、例えば、シリコンの熱酸化膜である。
【0036】
電荷蓄積層20は、トンネル絶縁膜18とゲート電極層16との間に設けられる。電荷蓄積層20は、トンネル絶縁膜18と第1のブロック絶縁膜22との間に設けられる。電荷蓄積層20は、トンネル絶縁膜18に接する。電荷蓄積層20は、第1のブロック絶縁膜22に接する。
【0037】
z方向に隣り合う2つの電荷蓄積層20は、空隙AGによって分離される。z方向に隣り合う2つの電荷蓄積層20の間には、空隙AGが存在する。
【0038】
電荷蓄積層20は、電荷を蓄積する機能を有する。電荷は、例えば、電子である。電荷蓄積層20に蓄積される電荷の量に応じて、メモリセルトランジスタの閾値電圧が変化する。この閾値電圧の変化を利用することで、1個のメモリセルMCがデータを記憶することが可能となる。電荷蓄積層20に蓄積される電荷の量が多くなると、閾値電圧の変化量が大きくなる。
【0039】
例えば、メモリセルトランジスタの閾値電圧が変化することで、メモリセルトランジスタがオンする電圧が変化する。例えば、閾値電圧が高い状態をデータ“0”、閾値電圧が低い状態をデータ“1”と定義すると、メモリセルは“0”と“1”の1ビットデータを記憶することが可能となる。
【0040】
電荷蓄積層20は、例えば、導電体である。電荷蓄積層20は、例えば、多結晶シリコンを含む。電荷蓄積層20は、例えば、多結晶シリコン層である。
【0041】
第1のブロック絶縁膜22は、電荷蓄積層20とゲート電極層16との間に設けられる。第1のブロック絶縁膜22は、電荷蓄積層20と第2のブロック絶縁膜24との間に設けられる。第1のブロック絶縁膜22は、電荷蓄積層20に接する。第1のブロック絶縁膜22は、第2のブロック絶縁膜24に接する。
【0042】
第1のブロック絶縁膜22は、電荷蓄積層20とゲート電極層16との間に流れる電流を阻止する機能を有する。
【0043】
第1のブロック絶縁膜22は、例えば、酸化物、酸窒化物、又は、窒化物である。第1のブロック絶縁膜22は、例えば、酸化シリコンを含む。第1のブロック絶縁膜22は、例えば、酸化シリコン膜である。
【0044】
第2のブロック絶縁膜24は、電荷蓄積層20とゲート電極層16との間に設けられる。第2のブロック絶縁膜24は、第1のブロック絶縁膜22とゲート電極層16との間に設けられる。第2のブロック絶縁膜24は、ゲート電極層16に接する。
【0045】
第2のブロック絶縁膜24は、電荷蓄積層20とゲート電極層16との間に流れる電流を阻止する機能を有する。
【0046】
第2のブロック絶縁膜24は、例えば、酸化物、酸窒化物、又は、窒化物である。第2のブロック絶縁膜24は、例えば、第1のブロック絶縁膜22と異なる化学組成を有する。第2のブロック絶縁膜24は、例えば、酸化アルミニウムを含む。第2のブロック絶縁膜24は、例えば、酸化アルミニウム膜である。
【0047】
第1の層間絶縁層26は、y方向に隣り合う2つのゲート電極層16の間に設けられる。第1の層間絶縁層26は、y方向に隣り合う2つの半導体層14の間に設けられる。第1の層間絶縁層26は、z方向に繰り返し配置される。
【0048】
第1の層間絶縁層26は、y方向に隣り合う2つの半導体層14を電気的に分離する機能を有する。
【0049】
第1の層間絶縁層26は、例えば、酸化物、酸窒化物、又は、窒化物である。第1の層間絶縁層26は、例えば、酸化シリコンを含む。第1の層間絶縁層26は、例えば、酸化シリコン層である。第1の層間絶縁層26のz方向の厚さは、例えば、5nm以上30nm以下である。
【0050】
第2の層間絶縁層28は、y方向に隣り合う2つのゲート電極層16の間に設けられる。第2の層間絶縁層28は、z方向に隣り合う2つの第1の層間絶縁層26の間に設けられる。第2の層間絶縁層28は、z方向に繰り返し配置される。
【0051】
第2の層間絶縁層28は、z方向に隣り合う2つの第1の層間絶縁層26を機械的に支持する機能を有する。第2の層間絶縁層28は、z方向に隣り合う2つの半導体層14の間に存在する空隙AGを維持する機能を有する。
【0052】
第2の層間絶縁層28は、例えば、酸化物、酸窒化物、又は、窒化物である。第2の層間絶縁層28は、第1の層間絶縁層26と異なる化学組成を有する。第2の層間絶縁層28は、第1の層間絶縁層26と異なる材料で形成されている。
【0053】
第2の層間絶縁層28は、例えば、窒化シリコンを含む。第2の層間絶縁層28は、例えば、窒化シリコン層である。第2の層間絶縁層28のz方向の厚さは、例えば、5nm以上30nm以下である。
【0054】
第1の半導体層14aは、第1のゲート電極層16aと第2のゲート電極層16bとの間に設けられる。第2のゲート電極層16bは、第1のゲート電極層16aのy方向に設けられる。
図2(b)に示すように第2のゲート電極層16bは、空隙AGによって第1のゲート電極層16aと分離される。
【0055】
第2の半導体層14bは、第1のゲート電極層16aと第2のゲート電極層16bとの間に設けられる。第2のゲート電極層16bは、第1の半導体層14aのy方向に設けられる。第2の半導体層14bは、第1の半導体層14aと第2のゲート電極層16bとの間に設けられる。第2の半導体層14bは、第1の半導体層14aと離隔する。
【0056】
第3の半導体層14cは、第1のゲート電極層16aと第2のゲート電極層16bとの間に設けられる。第3の半導体層14cは、第1の半導体層14aに対してz方向に設けられる。
図1に示すように、第3の半導体層14cは、空隙AGによって第1の半導体層14aと分離される。
【0057】
第4の半導体層14dは、第1のゲート電極層16aと第2のゲート電極層16bとの間に設けられる。第4の半導体層14dは、第3の半導体層14cと第2のゲート電極層16bとの間に設けられる。第4の半導体層14dは、第3の半導体層14cと離隔する。
【0058】
第3のゲート電極層16cは、第1のゲート電極層16aのx方向に設けられる。
図2(a)及び
図2(b)に示すように、第3のゲート電極層16cは、空隙AGによって第1のゲート電極層16aと分離される。
【0059】
第4のゲート電極層16dは、第2のゲート電極層16bのx方向に設けられる。第4のゲート電極層16dは、第3のゲート電極層16cのy方向に設けられる。
図2(a)及び
図2(b)に示すように、第4のゲート電極層16dは、空隙AGによって第2のゲート電極層16bと分離される。
【0060】
第1の半導体層14a、第2の半導体層14b、第3の半導体層14c、及び第4の半導体層14dは、第3のゲート電極層16cと第4のゲート電極層16dとの間に設けられる。
【0061】
第1の電荷蓄積層20aは、第1のゲート電極層16aと第1の半導体層14aとの間に設けられる。第2の電荷蓄積層20bは、第2のゲート電極層16bと第2の半導体層14bとの間に設けられる。第3の電荷蓄積層20cは、第1のゲート電極層16aと第3の半導体層14cとの間に設けられる。第4の電荷蓄積層20dは、第2のゲート電極層16bと第4の半導体層14dとの間に設けられる。第5の電荷蓄積層20eは、第3のゲート電極層16cと第1の半導体層14aとの間に設けられる。
【0062】
図1に示すように、第1の電荷蓄積層20aと第3の電荷蓄積層20cは、空隙AGによって分離される。第1の電荷蓄積層20aと第3の電荷蓄積層20cとの間には、空隙AGが存在する。
【0063】
図1に示すように、第2の電荷蓄積層20bと第4の電荷蓄積層20dは、空隙AGによって分離される。第2の電荷蓄積層20bと第4の電荷蓄積層20dとの間には、空隙AGが存在する。
【0064】
図1及び
図2(a)に示すように、第1の層間絶縁層26の第1の絶縁層26aは、第1の半導体層14aと第2の半導体層14bとの間に設けられる。第1の絶縁層26aは、第1の半導体層14aと第2の半導体層14bを電気的に分離する。
【0065】
図1に示すように、第1の層間絶縁層26の第2の絶縁層26bは、第3の半導体層14cと第4の半導体層14dとの間に設けられる。第2の絶縁層26bは、第3の半導体層14cと第4の半導体層14dを電気的に分離する。
【0066】
図1に示すように、第2の層間絶縁層28は、第1の絶縁層26aと第2の絶縁層26bとの間に設けられる。
図2(b)に示すように、第2の層間絶縁層28は、空隙AGによって第1のゲート電極層16aと分離される。第2の層間絶縁層28は、空隙AGによって第2のゲート電極層16bと分離される。
【0067】
第2の層間絶縁層28は、第1の部分28a、第2の部分28b、及び第3の部分28cを含む。
図2(b)に示すように、第1の部分28aは、第1のゲート電極層16aと第2のゲート電極層16bとの間に設けられる。また、第2の部分28bは、第3のゲート電極層16cと第4のゲート電極層16dとの間に設けられる。第3の部分28cは、第1の部分28aと第2の部分28bの間に設けられる。
【0068】
第1の部分28aの第1のゲート電極層16aから第2のゲート電極層16bに向かうy方向の幅(
図1及び
図2(b)中のd1)は、第3の部分28cのy方向の幅(
図2(b)中のd2)よりも大きい。第1の部分28aのy方向の幅d1は、例えば、第3の部分28cのy方向の幅d2の1.2倍以上である。
【0069】
第1の部分28aのy方向の幅(
図1及び
図2(b)中のd1)は、第1の半導体層14aと第2の半導体層14bとの間のy方向の距離(
図1及び
図2(a)中のd3)よりも小さいことが好ましい。第1の部分28aのy方向の幅d1は、例えば、第1の半導体層14aと第2の半導体層14bとの間のy方向の距離d3の0.8倍以下である。
【0070】
次に、実施形態の半導体記憶装置の製造方法の一例について説明する。
【0071】
【0072】
最初に、図示しない基板の上に、複数の窒化シリコン層51と複数の酸化シリコン層52とを交互に積層する(
図3(a)、
図3(b))。
【0073】
窒化シリコン層51及び酸化シリコン層52は、例えば、Chemical Vapor Deposition法(CVD法)により形成する。
【0074】
窒化シリコン層51の一部は、最終的に第2の層間絶縁層28となる。酸化シリコン層52の一部は、最終的に第1の層間絶縁層26となる。
【0075】
次に、窒化シリコン層51及び酸化シリコン層52を貫通する第1の開口部53を形成する(
図4(a)、
図4(b))。第1の開口部53は、例えば、リソグラフィ法とReactive Ion Etching法(RIE法)により形成する。第1の開口部53は、x方向に延びる。
【0076】
次に、第1の開口部53の中をカーボン膜54で埋め込む(
図5(a)、
図5(b))。カーボン膜54は、例えば、CVD法により形成する。
【0077】
次に、カーボン膜54に第2の開口部55を形成する(
図6(a)、
図6(b))。第2の開口部55は、例えば、リソグラフィ法とRIE法により形成する。第2の開口部55は、z方向に延びる。
【0078】
次に、第2の開口部55の内壁に、窒化シリコン膜56を形成する(
図7(a)、
図7(b))。窒化シリコン膜56は、例えば、CVD法により形成する。
【0079】
次に、第2の開口部55を、酸化シリコン膜57で埋め込む(
図8(a)、
図8(b))。酸化シリコン膜57は、例えば、CVD法により形成する。
【0080】
次に、カーボン膜54を除去する(
図9(a)、
図9(b))。カーボン膜54は、例えば、アッシング法により除去する。カーボン膜54の除去により、第3の開口部58が形成される。第3の開口部58は、z方向に延びる。
【0081】
次に、酸化シリコン層52を、横方向にエッチングする(
図10(a)、
図10(b))。酸化シリコン層52は、例えば、ウェットエッチング法によりエッチングする。
【0082】
次に、第3の開口部58の内壁に第1のアモルファスシリコン膜60を形成する(
図11(a)、
図11(b))。第1のアモルファスシリコン膜60は、例えば、CVD法により形成する。第1のアモルファスシリコン膜60の一部は、最終的に半導体層14となる。
【0083】
次に、第1のアモルファスシリコン膜60を横方向にエッチングする(
図12(a)、
図12(b))。第1のアモルファスシリコン膜60は、例えば、等方性のドライエッチング法によりエッチングする。
【0084】
次に、第1のアモルファスシリコン膜60の表面を熱酸化して、第1の熱酸化膜61を形成する(
図13(a)、
図13(b))。第1の熱酸化膜61は、最終的にトンネル絶縁膜18となる。
【0085】
次に、第3の開口部58の第1の熱酸化膜61の上に、第2のアモルファスシリコン膜62を形成する(
図14(a)、
図14(b))。第2のアモルファスシリコン膜62は、例えば、CVD法と等方性のエッチングにより形成する。第2のアモルファスシリコン膜62は、最終的に電荷蓄積層20となる。
【0086】
次に、第2のアモルファスシリコン膜62の表面を熱酸化して、第2の熱酸化膜64を形成する(
図15(a)、
図15(b))。第2の熱酸化膜64は、最終的に第1のブロック絶縁膜22となる。
【0087】
次に、第3の開口部58の内壁に酸化アルミニウム膜65を形成する(
図16(a)、
図16(b))。酸化アルミニウム膜65は、例えば、CVD法により形成する。酸化アルミニウム膜65の一部は、最終的に第2のブロック絶縁膜24となる。
【0088】
次に、第3の開口部58をタングステン膜66で埋め込む(
図17(a)、
図17(b))。タングステン膜66は、例えば、CVD法により形成する。タングステン膜66の一部は、最終的にゲート電極層16となる。
【0089】
次に、酸化シリコン膜57を除去する(
図18(a)、
図18(b))。酸化シリコン膜57は、例えば、ウェットエッチング法により除去する。酸化シリコン膜57を除去することにより、第4の開口部68が形成される。第4の開口部68は、z方向に延びる。
【0090】
次に、窒化シリコン膜56及び窒化シリコン層51の一部を除去する(
図19(a)、
図19(b))。窒化シリコン膜56及び窒化シリコン層51の一部は、例えば、ウェットエッチング法により除去する。窒化シリコン層51の一部を除去することで、空隙AGが形成される。
【0091】
以上の製造方法により、実施形態のフラッシュメモリ100のメモリセルアレイが製造される。
【0092】
次に、実施形態の半導体記憶装置の作用及び効果について説明する。
【0093】
メモリセルを3次元的に配置した3次元NANDフラッシュメモリは、高い集積度と低いコストを実現する。3次元NANDフラッシュメモリのメモリセルを微細化することで、更に集積度を高くすることが可能である。メモリセルを微細化すると、隣り合うメモリセルの間のセル間干渉が大きくなり、3次元NANDフラッシュメモリの動作が不安定になるおそれがある。
【0094】
図20、
図21(a)、及び
図21(b)は、比較例の半導体記憶装置の模式断面図である。
図20、
図21(a)、及び
図21(b)は、比較例のフラッシュメモリ900のメモリセルアレイの断面図である。
【0095】
【0096】
比較例のフラッシュメモリ900は、y方向に隣り合う2つのゲート電極層16の間の半導体層14’が、分離されていない点で、実施形態のフラッシュメモリ100と異なる。また、比較例のフラッシュメモリ900は、z方向に隣り合う2つの半導体層14’の間に第2の層間絶縁層28’が設けられる点で、実施形態のフラッシュメモリ100と異なる。また、比較例のフラッシュメモリ900は、z方向に隣り合う2つの電荷蓄積層20の間に第2の層間絶縁層28’が設けられる点で、実施形態のフラッシュメモリ100と異なる。また、比較例のフラッシュメモリ900は、x方向に隣り合う2つのゲート電極層16の間に、第1の層間絶縁層26’が設けられる点で、実施形態のフラッシュメモリ100と異なる。
【0097】
比較例のフラッシュメモリ900は、y方向に隣り合う2つのゲート電極層16の間の半導体層14’が、分離されていない。したがって、メモリセルMCが微細化され、2つのゲート電極層16の間の距離が短くなると、y方向に隣り合う2つのメモリセルMCの間のセル間干渉が大きくなる。よって、フラッシュメモリ900の動作が不安定になるおそれがある。
【0098】
実施形態のフラッシュメモリ100は、y方向に隣り合う2つのゲート電極層16の間の半導体層14は第1の層間絶縁層26によって分離されている。具体的には、例えば、第1の半導体層14aと第2の半導体層14bとの間には第1の層間絶縁層26が設けられ、第1の半導体層14aと第2の半導体層14bはy方向において分離されている。したがって、メモリセルMCが微細化され、2つのゲート電極層16の間の距離が短くなった場合でも、y方向に隣り合う2つのメモリセルMCの間のセル間干渉が抑制される。よって、フラッシュメモリ100の動作が安定する。
【0099】
比較例のフラッシュメモリ900は、z方向に隣り合う2つの半導体層14の間に第2の層間絶縁層28’が設けられる。したがって、メモリセルMCが微細化され、z方向に隣り合う2つの半導体層14’の間の距離が短くなると、z方向に隣り合う2つのメモリセルMCの間のセル間干渉が大きくなる。よって、フラッシュメモリ900の動作が不安定になるおそれがある。
【0100】
実施形態のフラッシュメモリ100は、z方向に隣り合う2つの半導体層14の間に第2の層間絶縁層28は設けられず、z方向に隣り合う2つの半導体層14は空隙AGによって分離される。具体的には、例えば、第1の半導体層14aと第3の半導体層14cとの間は空隙AGによって分離される。空隙AGの誘電率は、固体絶縁体である第2の層間絶縁層28に対して極めて小さい。したがって、メモリセルMCが微細化され、2つの半導体層14の間の距離が短くなった場合でも、z方向に隣り合う2つのメモリセルMCの間のセル間干渉が抑制される。よって、フラッシュメモリ100の動作が安定する。
【0101】
比較例のフラッシュメモリ900は、z方向に隣り合う2つの電荷蓄積層20の間に第2の層間絶縁層28’が設けられる。したがって、メモリセルMCが微細化され、z方向に隣り合う電荷蓄積層20の間の距離が短くなると、z方向に隣り合う2つのメモリセルMCの間のセル間干渉が大きくなる。よって、フラッシュメモリ900の動作が不安定になるおそれがある。
【0102】
実施形態のフラッシュメモリ100は、z方向に隣り合う2つの電荷蓄積層20の間に第2の層間絶縁層28は設けられず、z方向に隣り合う2つの電荷蓄積層20は空隙AGによって分離される。具体的には、例えば、第1の電荷蓄積層20aと第3の電荷蓄積層20cとの間は、空隙AGによって分離される。空隙AGの誘電率は、固体絶縁体である第2の層間絶縁層28に対して極めて小さい。したがって、メモリセルMCが微細化され、2つの電荷蓄積層20の間の距離が短くなった場合でも、z方向に隣り合う2つのメモリセルMCの間のセル間干渉が抑制される。よって、フラッシュメモリ100の動作が安定する。
【0103】
比較例のフラッシュメモリ900は、x方向に隣り合う2つのゲート電極層16の間に、第1の層間絶縁層26’が設けられる。したがって、メモリセルMCが微細化され、x方向に隣り合う2つのゲート電極層16の間の距離が短くなると、2つのゲート電極層16の間の容量が増大する。2つのゲート電極層16の間の容量が増大すると、例えば、フラッシュメモリ900の動作が遅延する。また、例えば、フラッシュメモリ900の消費電力が増大する。
【0104】
実施形態のフラッシュメモリ100は、x方向に隣り合う2つのゲート電極層16は、空隙AGによって分離される。具体的には、例えば、第1のゲート電極層16aと第3のゲート電極層16cとの間は、空隙AGによって分離される。したがって、メモリセルMCが微細化され、x方向に隣り合う2つのゲート電極層16の間の距離が短くなった場合でも、2つのゲート電極層16の間の容量の増大が抑制される。よって、フラッシュメモリ100の動作が遅延することや、フラッシュメモリ100の消費電力が増大することが抑制される。
【0105】
さらに、実施形態のフラッシュメモリ100は、y方向に隣り合う2つのゲート電極層16も空隙AGによって分離される。この点からも、2つのゲート電極層16の間の容量の増大が抑制され、フラッシュメモリ100の動作が遅延することや、フラッシュメモリ100の消費電力が増大することが抑制される。
【0106】
実施形態のフラッシュメモリ100は、z方向に隣り合う2つの半導体層14は空隙AGによって分離される。このため、メモリセルアレイの機械的強度の低下が懸念される。実施形態のフラッシュメモリ100は、第2の層間絶縁層28が、z方向に隣り合う2つの第1の層間絶縁層26を機械的に支持する。したがって、空隙AGが存在することに起因するメモリセルアレイの機械的強度の低下が抑制される。
【0107】
第2の層間絶縁層28の第1の部分28aの第1のゲート電極層16aから第2のゲート電極層16bに向かうy方向の幅(
図1及び
図2(b)中のd1)は、第3の部分28cのy方向の幅(
図2(b)中のd2)よりも大きいことが好ましい。第2の層間絶縁層28の一部の幅を大きくすることで、メモリセルアレイの機械的強度が高くなる。
【0108】
メモリセルアレイの機械的強度を高くする観点から、第1の部分28aのy方向の幅d1は、第3の部分28cのy方向の幅d2の1.2倍以上であることが好ましく、1.5倍以上であることがより好ましい。
【0109】
第2の層間絶縁層28の第1の部分28aの第1のゲート電極層16aから第2のゲート電極層16bに向かうy方向の幅(
図1及び
図2(b)中のd1)は、第1の半導体層14aと第2の半導体層14bとの間のy方向の距離(
図1及び
図2(a)中のd3)よりも小さいことが好ましい。上記構成により、z方向に隣り合う2つの半導体層14の間に第2の層間絶縁層28が設けられることが回避できる。第1の部分28aのy方向の幅d1は、第1の半導体層14aと第2の半導体層14bとの間のy方向の距離d3の0.8倍以下であることが好ましい。
【0110】
以上、実施形態によれば、隣り合う2つのメモリセルMCの間のセル間干渉が抑制され、動作が安定する半導体記憶装置を提供することができる。
【0111】
実施形態では、電荷蓄積層が導電体であるフローティングゲート型のメモリセルを例に説明したが、別の形態として、電荷蓄積層が絶縁体であるチャージトラップ型のメモリセルとすることも可能である。
【0112】
実施形態では、基板が半導体基板の場合を例に説明したが、基板は絶縁基板であっても構わない。また、別の形態として、基板を設けない構造とすることも可能である。
【0113】
実施形態では、半導体層の数が12、ゲート電極層の数が4の場合を例示したが、半導体層の数やゲート電極層の数は、上記の数に限定されるものではない。
【0114】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。例えば、一実施形態の構成要素を他の実施形態の構成要素と置き換え又は変更してもよい。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0115】
10 半導体基板(基板)
14 半導体層
14a 第1の半導体層
14b 第2の半導体層
14c 第3の半導体層
14d 第4の半導体層
16 ゲート電極層
16a 第1のゲート電極層
16b 第2のゲート電極層
16c 第3のゲート電極層
16d 第4のゲート電極層
20 電荷蓄積層
20a 第1の電荷蓄積層
20b 第2の電荷蓄積層
20c 第3の電荷蓄積層
20d 第4の電荷蓄積層
20e 第5の電荷蓄積層
26 第1の層間絶縁層
26a 第1の絶縁層
26b 第2の絶縁層
28 第2の層間絶縁層(第3の絶縁層)
28a 第1の部分
28b 第2の部分
28c 第3の部分
100 フラッシュメモリ(半導体記憶装置)
AG 空隙