(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042477
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】在庫管理システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
B65G1/137 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147227
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】504129098
【氏名又は名称】中部流通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】坂本 大貴
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522BB02
3F522CC09
3F522DD03
3F522DD09
3F522DD23
3F522DD34
3F522GG17
3F522LL23
3F522LL54
(57)【要約】
【課題】フィルムの在庫数量について、人の数え間違いを防止する。
【解決手段】在庫管理システムにおいて、在庫管理サーバのCPUは、集計処理と、記憶処理と、を実行する。集計処理では、CPUは、RFIDリーダが受信した応答信号を集計することにより、フィルムの在庫数量SQを集計する。記憶処理では、CPUは、集計処理によって集計した在庫数量SQを、記憶装置に記憶させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶装置と、
実行装置と、
食品用包装に加工されるロール状に巻き取られたフィルムに配置され、要求信号に応答して自身に固有の情報を含む応答信号を送信するRFタグと、
前記要求信号を送信可能であり、且つ前記応答信号を受信可能なRFIDリーダと、
を備える在庫管理システムであって、
前記実行装置は、
前記RFIDリーダが受信した前記応答信号を集計することにより、前記フィルムの在庫数量を集計する集計処理と、
前記集計処理によって集計した前記在庫数量を、前記記憶装置に記憶させる記憶処理と、
を実行する
在庫管理システム。
【請求項2】
前記実行装置は、
直近の前記集計処理を行った時点から一定期間遡った過去の時点での前記在庫数量から、直近の前記集計処理で集計した前記在庫数量への減少率を算出する減少率算出処理と、
前記減少率に基づいて、前記フィルムを発注する発注タイミングを算出するタイミング算出処理を実行する
請求項1に記載の在庫管理システム。
【請求項3】
前記タイミング算出処理では、前記減少率に基づいて、前記在庫数量が予め定められた安全在庫数量となる限界タイミングを推定し、前記発注タイミングを推定した前記限界タイミングより前のタイミングとして算出する
請求項2に記載の在庫管理システム。
【請求項4】
前記記憶装置は、前記フィルムを発注してから当該フィルムが納品されるまでの必要時間を記憶しており、
前記タイミング算出処理では、前記発注タイミングを、前記限界タイミングより前記必要時間だけ前のタイミングとして算出する
請求項3に記載の在庫管理システム。
【請求項5】
前記実行装置は、
前記必要時間を示す信号を受信したときに、前記記憶装置に記憶されている前記必要時間の値を新たな値に更新する更新処理と、
前記タイミング算出処理で算出した前記発注タイミングになったときに、前記フィルムを発注する旨を示す信号を、外部の装置へ向けて送信する送信処理と、を実行する
請求項4に記載の在庫管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、在庫管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、食品用包装袋が記載されている。食品用包装袋は、一対のプラスチックシートを有している。一対のプラスチックシートの縁同士は互いに接合されている。これにより、食品用包装袋は、袋状になっている。一対のプラスチックシートは、ロール状に巻き回された状態からシートを引き出しつつ、当該シートを所定箇所で順次切断していくことにより成形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のような食品用包装袋は、加工される前には、ロール状の状態で保管される。このような食品用包装に加工されるロール状のフィルムの在庫数量は、例えば、人の目視によって集計される。しかし、人の目視など、人による集計作業では、数え間違える虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、記憶装置と、実行装置と、食品用包装に加工されるロール状に巻き取られたフィルムに配置され、要求信号に応答して自身に固有の情報を含む応答信号を送信するRFタグと、前記要求信号を送信可能であり、且つ前記応答信号を受信可能なRFIDリーダと、を備える在庫管理システムであって、前記実行装置は、前記RFIDリーダが受信した前記応答信号を集計することにより、前記フィルムの在庫数量を集計する集計処理と、前記集計処理によって集計した前記在庫数量を、前記記憶装置に記憶させる記憶処理と、を実行する在庫管理システムである。
【発明の効果】
【0006】
上記構成によれば、実行装置は、集計処理と、記憶装置と、を実行する。集計処理では、実行装置は、RFIDリーダが受信した応答信号を集計することにより、フィルムの在庫数量を集計する。また、記憶処理では、実行装置は、集計処理によって集計した在庫数量を記憶装置に記憶させる。このように、上記構成によれば、RFタグ及びRFIDリーダを用いて、フィルムの在庫数量が集計される。そのため、人の数え間違いを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態の在庫管理システムを示す概略図である。
【
図2】
図2は、同実施形態の在庫管理システムが行う処理を示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、同実施形態の発注タイミングを説明するための説明図である。
【
図4】
図4は、同実施形態の在庫管理システムが行う処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(一実施形態)
<在庫管理システムの概略構成>
以下、在庫管理システムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
図1に示すように、在庫管理システム10は、在庫管理サーバ20と、複数のRFタグ30と、RFIDリーダ40と、第1端末50と、第2端末60と、を備えている。在庫管理サーバ20は、第1端末50と外部通信回線網によって接続されている。外部通信回線網は、例えば携帯電話回線網などの無線通信回線網である。そのため、在庫管理サーバ20と第1端末50とは、外部通信回線網を介して、互いに情報通信が可能である。また、在庫管理サーバ20は、第2端末60と外部通信回線網によって接続されている。そのため、在庫管理サーバ20と第2端末60とは、外部通信回線網を介して、互いに情報通信が可能である。
【0010】
RFタグ30は、フィルムFに配置されている。フィルムFは、ロール状に巻き取られている。また、フィルムFは、食品用包装に加工されるものである。具体的には、RFタグ30は、ロール状のフィルムFの巻き芯に取り付けられている。フィルムFは、例えば、第1ユーザの工場内に保管されている。第1ユーザは、例えば、フィルムFを用いて製品を製造する食品製造メーカである。なお、図面では、理解しやすさのために、RFタグ30を大きく、且つフィルムFから離して図示している。
【0011】
RFタグ30は、RFIDリーダ40からの要求信号に応答して自身に固有の情報を含む応答信号を送信する。RFタグ30は、アンテナ31と、ICチップ32と、を有している。アンテナ31は、要求信号を受信可能となっている。また、アンテナ31は、応答信号を送信可能となっている。
【0012】
ICチップ32は、図示は省略するが、制御回路、及び記憶回路を有している。ICチップ32の制御回路は、アンテナ31が外部から特定の周波数の電波を受けることにより発生する電力で駆動する。そして、ICチップ32の制御回路は、記憶回路に記憶されている情報を、アンテナ31を介して外部に出力する。ICチップ32の記憶回路は、自身に固有の情報を記憶している。この固有の情報は、RFタグ30毎に異なるものであるので、同一の情報が複数のRFタグ30に付されることはない。
【0013】
RFIDリーダ40は、可搬性の端末である。RFIDリーダ40は、RFタグ30へ要求信号を送信可能である。RFIDリーダ40は、特定の周波数で要求信号を送信する。したがって、RFタグ30のICチップ32は、要求信号を受信することにより駆動する。また、RFIDリーダ40は、RFタグ30からの応答信号を受信可能である。
【0014】
第1端末50は、フィルムFを使用している第1ユーザが操作可能なコンピュータ端末である。第1端末50は、RFIDリーダ40との間で、有線又は無線により、情報通信が可能である。具体的には、第1端末50は、RFIDリーダ40から、RFIDリーダ40が受信した応答信号を受信可能である。
【0015】
また、上述したように、第1端末50は、在庫管理サーバ20との間で、外部通信回線網を介して、情報通信が可能である。第1端末50は、第1ユーザに操作されることによって、RFIDリーダ40がRFタグ30から受信した応答信号を、在庫管理サーバ20へ送信する。さらに、第1端末50は、在庫管理サーバ20から、送信された信号を受信可能である。
【0016】
在庫管理サーバ20は、実行装置であるCPU21、周辺回路22、ROM23、記憶装置24、及びバス25を備えている。バス25は、CPU21、周辺回路22、ROM23、及び記憶装置24を互いに通信可能に接続している。周辺回路22は、内部の動作を規定するクロック信号を生成する回路、電源回路、リセット回路等を含む。ROM23は、CPU21が各種の制御を実行するための各種のプログラムを予め記憶している。具体的には、ROM23は、フィルムFの在庫管理を行う管理プログラムを記憶している。記憶装置24は、フィルムFを発注してから納品するまでの時間である必要時間NTを記憶している。また、記憶装置24は、在庫として最低限確保しておくべきフィルムFの在庫数量SQである安全在庫数量SSQを記憶している。
【0017】
第2端末60は、第2ユーザが操作可能な端末である。第2ユーザは、例えばフィルムFを製造するフィルムメーカである。上述したように、第2端末60は、在庫管理サーバ20との間で、外部通信回線網を介して、情報通信が可能である。具体的には、第2端末60は、第2ユーザに操作されることによって、必要時間NTを示す信号を在庫管理サーバ20に送信する。
【0018】
<管理プログラムによる一連の処理の流れ>
図2に示すように、第1端末50は、第1ユーザに操作されることによって、データ送信処理を行うためのプログラムを実行する。当該プログラムを実行すると、第1端末50は、ステップS10を行う。ステップS10では、第1端末50は、データ送信処理を実行する。データ送信処理では、第1端末50は、RFIDリーダ40がRFタグ30から受信した応答信号を、在庫管理サーバ20へ送信する。このとき、第1端末50は、全てのRFタグ30からの応答信号を、在庫管理サーバ20へ送信する。したがって、第1端末50は、フィルムFの在庫数量SQに応じた数の応答信号を、在庫管理サーバ20へ送信する。この後、第1端末50は、データ送信処理を行うためのプログラムを終了する。なお、第1ユーザは、定期的に第1端末50を操作することによって、第1端末50にデータ送信処理を実行させる。例えば、第1ユーザは、1日に1度、当該操作をすることによって、第1端末50は、1日に1度、データ送信処理を行う。
【0019】
在庫管理サーバ20のCPU21は、第1端末50からRFタグ30の応答信号を受信すると、在庫管理プログラムの一連の処理を実行する。CPU21は、在庫管理プログラムを実行すると、先ずステップS21の処理を行う。ステップS21では、CPU21は、集計処理を行う。集計処理では、CPU21は、RFIDリーダ40が受信した応答信号の数を集計することにより、フィルムFの在庫数量SQを集計する。その後、CPU21は、処理をステップS22へ進める。
【0020】
ステップS22では、CPU21は、記憶処理を行う。記憶処理では、CPU21は、集計処理によって集計した在庫数量SQを、記憶装置24に記憶させる。このとき、CPU21は、集計処理によって集計した在庫数量SQを、集計した時刻tを示す情報と併せて、記憶装置24に記憶させる。集計した時刻tを示す情報は、例えば、集計した日時である。その後、CPU21は、処理をステップS23へ進める。
【0021】
ステップS23では、CPU21は、減少率算出処理を行う。減少率算出処理では、CPU21は、直近の集計処理を行った時点から一定時間T1遡った過去の時点での在庫数量SQから、直近の集計処理で集計した在庫数量SQへの減少率RRを算出する。
【0022】
具体的には、
図3に示すように、CPU21は、直近の集計処理を行った時点txから、予め定められた一定時間T1遡った過去の時点tyまでの在庫数量SQ及び各在庫数量SQに紐づけられた時刻tを示す情報を参照する。一定時間T1は、複数回の集計処理が行われると見込まれる時間以上の時間として、予め設定されている。本実施形態では、一定時間T1は、1週間としている。なお、予め定められた回数の集計処理が済んでいない場合には、CPU21は、今回の一連の処理を終了する。
【0023】
CPU21は、参照した集計処理を行った時刻t及び当該時刻tでの在庫数量SQの組のデータについての近似線Lを算出する。例えば、CPU21は、複数の組のデータを最小二乗法によって、一次関数で示される近似式を算出する。そして、CPU21は、単位時間当たりの在庫数量SQの減少率RRを算出する。具体的には、CPU21は、近似式の傾きとして示される値を、減少率RRとして算出する。
【0024】
その後、
図2に示すように、CPU21は、処理をステップS24へ進める。ステップS24では、CPU21は、限界タイミング推定処理を行う。限界タイミング推定処理では、CPU21は、減少率RRに基づいて、在庫数量SQが予め定められた安全在庫数量SSQとなる限界タイミングLTを推定する。具体的には、
図3に示すように、近似線Lとして示される近似式において、在庫数量SQが安全在庫数量SSQとなる時刻tを算出する。そして、当該時刻tを、限界タイミングLTとして算出する。
【0025】
その後、
図2に示すように、CPU21は、処理をステップS25へ進める。ステップS25では、CPU21は、発注タイミング算出処理を行う。発注タイミング算出処理では、CPU21は、フィルムFを発注する発注タイミングOTを算出する。具体的には、
図3に示すように、CPU21は、限界タイミングLTより必要時間NTだけ前のタイミングを、発注タイミングOTとして算出する。
【0026】
その後、
図2に示すように、CPU21は、処理をステップS26へ進める。ステップS26では、CPU21は、発注タイミングOTになったか否かを判定する。具体的には、CPU21は、ステップS26を実行した時点での時刻tが、発注タイミングOT以降になったときに、発注タイミングOTになったと判定する。また、CPU21は、現在から予め定められた所定時間後までの一定期間に、発注タイミングOTが含まれている場合にも、発注タイミングOTになったと判定する。上記の一定期間は、例えば、24時間である。なお、本実施形態では、一定期間は、第1端末50がデータ送信処理を行う頻度を示す期間と同一の期間となっている。
【0027】
発注タイミングOTになっていないとき(S26:NO)、CPU21は、今回の一連の処理を終了する。一方で、発注タイミングOTになったとき(S26:YES)、CPU21は、処理をステップS27へ進める。
【0028】
ステップS27では、CPU21は、送信処理を行う。送信処理では、CPU21は、フィルムFを発注する旨の信号を、外部の装置である第1端末50及び第2端末60へ向けて送信する。その後、CPU21は、一連の在庫管理プログラムによる処理を終了する。
【0029】
第1端末50は、在庫管理サーバ20からフィルムFを発注する旨の信号を受信すると、第1通知処理を行うためのプログラムを実行する。第1端末50は、第1通知処理を行うためのプログラムを実行すると、ステップS30の処理を行う。ステップS30では、第1端末50は、第1通知処理を行う。第1通知処理では、第1端末50は、受信したフィルムFを発注する旨の信号に基づいて、フィルムFを発注する旨の情報を、図示を省略する表示装置に表示させる。表示装置は、例えば第1ユーザが視認できるディスプレイである。その後、第1端末50は、第1通知処理を行うためのプログラムの実行を終了する。これにより、第1ユーザは、表示装置に表示されたフィルムFを発注する旨の情報を視認できる。
【0030】
また、第2端末60は、在庫管理サーバ20からフィルムFを発注する旨の信号を受信すると、第2通知処理を行うためのプログラムを実行する。第2端末60は、第2通知処理を行うためのプログラムを実行すると、ステップS40の処理を行う。ステップS40では、第2端末60は、第2通知処理を行う。第2通知処理では、第2端末60は、受信したフィルムFを発注する旨の信号に基づいて、フィルムFを発注する旨の情報を、図示を省略する表示装置に表示させる。表示装置は、例えば、第2ユーザが視認できるディスプレイである。その後、第2端末60は、第2通知処理を行うためのプログラムの実行を終了する。これにより、第2ユーザは、表示装置に表示されたフィルムFを発注する旨の情報を視認できる。
【0031】
<必要時間の更新>
図4に示すように、第2端末60は、第2ユーザに操作されることによって、必要時間NTを送信するためのプログラムを実行する。当該プログラムを実行すると、第2端末60は、ステップS50を行う。ステップS50では、第2端末60は、必要時間送信処理を実行する。必要時間送信処理では、第2端末60は、新しい必要時間NTを、在庫管理サーバ20へ送信する。これにより、第2端末60は、必要時間NTを送信するためのプログラムを終了する。なお、第2ユーザは、新しい必要時間NTを設定するときに第2端末60を操作することによって、第2端末60に必要時間送信処理を実行させる。
【0032】
在庫管理サーバ20のCPU21は、第2端末60から必要時間NTを受信すると、必要時間NTを更新するためのプログラムを実行する。CPU21は、当該プログラムを実行すると、ステップS60の処理を行う。ステップS60では、CPU21は、必要時間更新処理を行う。必要時間更新処理では、CPU21は、記憶装置24に記憶されている必要時間NTを、新たに受信した必要時間NTに更新する。その後、CPU21は、当該プログラムの処理を終了する。
【0033】
(実施形態の作用)
上記実施形態において、フィルムFを管理する第1ユーザは、RFIDリーダ40を使用して、RFタグ30の応答信号を受信する。そして、第1ユーザは、第1端末50を操作して、第1端末50から在庫管理サーバ20へと応答信号を示す信号を送信する。その後、第1ユーザは、第1端末50に、在庫管理サーバ20からフィルムFを発注する旨の情報を視認できる。
【0034】
(実施形態の効果)
(1)上記実施形態によれば、在庫管理サーバ20のCPU21は、集計処理と、記憶処理と、を実行する。集計処理では、CPU21は、RFIDリーダ40が受信した応答信号を集計することにより、フィルムFの在庫数量SQを集計する。また、記憶処理では、CPU21は、集計処理によって集計した在庫数量SQを記憶装置24に記憶させる。このように、上記実施形態によれば、RFタグ30及びRFIDリーダ40を用いて、在庫管理サーバ20が、フィルムFの在庫数量SQを集計する。そのため、人の数え間違いを防止できる。これにより、人の数え間違いによってフィルムFの在庫数量SQが欠品するなどといった事態を防ぐことができる。
【0035】
(2)ところで、フィルムFを使用する第1ユーザは、フィルムFを製造する第2ユーザに対して、フィルムFを発注する。このようなフィルムFの発注者は、フィルムFの在庫が過剰になることを防止しつつ、尚且つフィルムFの在庫がなくならないように、必要なフィルムFの量を発注する。従来、発注者は、自身の経験等に基づき、発注するタイミングを決定していた。しかし、発注する人のばらつき等によって、適切なタイミングを決定できない虞がある。
【0036】
上記実施形態によれば、在庫管理サーバ20のCPU21が、減少率算出処理によって算出された減少率RRに基づいて、タイミング算出処理によって発注タイミングOTを算出する。そのため、人によるばらつきに影響されずに、一様な発注タイミングOTを算出することができる。
【0037】
(3)上記実施形態によれば、在庫管理サーバ20のCPU21は、発注タイミングOTを、安全在庫数量SSQとなる限界タイミングLTより前のタイミングとして算出する。そのため、発注タイミングOTから実際にフィルムFが納品されるまでにタイムラグがあっても、過度にフィルムFの在庫数量SQが少なくなっているといった事態を防ぐことができる。
【0038】
(4)上記実施形態によれば、在庫管理サーバ20のCPU21は、発注タイミングOTを、限界タイミングLTより必要時間NTだけ前のタイミングとして算出する。そして、必要時間NTは、第2ユーザにより、フィルムFを発注してから納品するまでの時間として定められたものである。そのため、仮に、発注タイミングOTでフィルムFを発注したとすると、限界タイミングLTとなる時刻tに前後して、新しいフィルムFが入荷される。よって、在庫数量SQが安全在庫数量SSQを下回りにくくなるとともに、在庫数量SQが過度に多くなることも抑制できる。
【0039】
(5)上記実施形態によれば、在庫管理サーバ20のCPU21は、必要時間NTを示す信号を受信したときに、記憶装置24に記憶されている必要時間NTの値を新たな値に更新する。そのため、例えば、フィルムFを製造する第2ユーザの生産能力が変動するなどして、必要時間NTが変更する時には、CPU21は、記憶装置24の必要時間NTを更新できる。そのため、CPU21は、変更された必要時間NTに応じて、より適切に発注タイミングOTを算出できる。
【0040】
(6)上記実施形態によれば、在庫管理サーバ20のCPU21は、フィルムFを発注する旨の信号を、第1端末50及び第2端末60等の外部の装置へ向けて送信する。これにより、当該信号を受信した第1端末50及び第2端末60は、発注があることを把握できる。
【0041】
(その他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0042】
・在庫管理システム10において、実行装置は、在庫管理サーバ20のCPU21に限られない。同様に、記憶装置は、在庫管理サーバ20の記憶装置24に限られない。そのため、例えば、在庫管理システム10は、在庫管理サーバ20を有していなくてもよい。例えば、第1端末50のCPUが、実行装置となっており、第1端末50が記憶装置を有していればよい。この場合、第1端末50のCPUが、集計処理と、記憶装置と、減少率算出処理と、限界タイミング推定処理と、タイミング算出処理と、を実行してもよい。そして、第1端末50のCPUが、第1端末50の記憶装置に、在庫数量SQを記憶させればよい。
【0043】
・第1端末50とRFIDリーダ40とは、別の端末でなくてもよい。つまり、RFIDリーダ40が、第1端末50としての機能を有していてもよい。
・在庫管理システム10の実行装置は、複数のCPUによって構成されていてもよい。例えば、実行装置は、在庫管理サーバ20のCPU21及び第1端末50のCPUによって、構成されていてもよい。この場合、例えば、第1端末50のCPUが、集計処理と、記憶処理と、を実行し、且つ在庫管理サーバ20のCPU21が、減少率算出処理と、限界タイミング推定処理と、タイミング算出処理と、を実行してもよい。
【0044】
・在庫管理サーバ20の記憶装置24は、ROM23と同一の装置であってもよい。
・RFタグ30は、1つのフィルムFに対して、1つ配置されていればよい。そのため、RFタグ30は、フィルムFに直接取り付けられていてもよいし、フィルムFを覆う包装に取り付けられていてもよい。なお、RFタグ30は、フィルムFを使用した後に廃棄したり、フィルムFの在庫を保管する場所とは別の場所に保管したりすることが好ましい。このようにすることで、使用後のフィルムFに配置されたRFタグ30が、使用前のフィルムFのRFタグ30として誤ってRFIDリーダ40に読み取られることが防げる。
【0045】
・RFタグ30が有する情報に、フィルムFの種別を示すフィルム識別情報が含まれていてもよい。RFタグ30から固有の情報と共にフィルム識別情報を受信すれば、在庫管理サーバ20は、フィルムFの種別毎に、フィルムFの在庫数量SQを集計できる。なお、このようにフィルムFの種別毎に管理する場合、必要時間NTもフィルムFの種別毎に記憶すればよい。
【0046】
・RFタグ30が有する情報に、フィルムFを使用するユーザを識別するためのユーザ識別情報が含まれていてもよい。例えば、同一の倉庫を、複数のユーザで共有することがあり得る。このような場合に、RFタグ30から固有の情報と共にユーザ識別情報を受信すれば、在庫管理サーバ20は、フィルムFのユーザ毎に、フィルムFの在庫数量SQを集計できる。なお、このようにフィルムFのユーザ毎に管理する場合、必要時間NTもフィルムFのユーザ毎に記憶すればよい。
【0047】
・在庫管理システム10において、在庫管理サーバ20からフィルムFを発注する旨の情報を受信する装置が、第1端末50及び第2端末60の他に、存在していてもよい。例えば、フィルムFを卸売りする業者の端末に上記フィルムFを発注する旨の情報が送信されてもよい。
【0048】
・上記実施形態では、第1端末50及び第2端末60は、送信処理されたフィルムFを発注する旨の信号を受信したときに、各端末の表示装置に表示させる処理をしたが、各端末が行う処理は、これに限られない。例えば、第2端末60は、フィルムFを発注する旨の信号を受信したときに、フィルムFを発注したとして、受注処理を行ってもよい。また、例えば、第1端末50は、フィルムFを発注する旨の信号を受信したときに、フィルムFを発注する旨の発注処理を行ってもよい。発注処理では、第2端末60に、フィルムFの発注を示す信号を送信してもよい。
【0049】
・在庫管理サーバ20のCPU21は、送信処理を行わなくてもよい。
・第2端末60は、必要時間送信処理を定期的に行ってもよい。必要時間NTは、第2ユーザの状況によって、変動する可能性がある。そのため、第2端末60が、定期的に必要時間NTを示す情報を送信することで、在庫管理サーバ20が、最新の必要時間NTを示す情報を記憶していることが望ましい。
【0050】
・在庫管理サーバ20のCPU21は、更新処理を行わなくてもよい。記憶装置24が、一定の値としての必要時間NTを記憶していてもよい。
・発注タイミング算出処理では、CPU21は、発注タイミングOTを、必要時間NTに拘わらず算出してもよい。例えば、CPU21は、発注タイミングOTを、限界タイミングLTよりも一定期間前のタイミングとして算出してもよい。つまり、発注タイミングOTが限界タイミングLTよりも前のタイミングであれば、在庫数量SQが安全在庫数量SSQを大きく下回ることを防げる。
【0051】
・また、発注タイミング算出処理では、CPU21は、発注タイミングOTを、限界タイミングLTと同じタイミングとして算出してもよい。この場合、例えば、第1端末50がフィルムFを発注する旨の信号を受信して、速やかにフィルムFが納品されることで、フィルムFの在庫数量SQがゼロになることを防止できる。
【0052】
・在庫管理サーバ20のCPU21は、限界タイミング推定処理、発注タイミング算出処理を行わなくてもよい。
・上記実施形態では、減少率算出処理では、CPU21は、最小二乗法によって、一次関数として近似線Lを示す近似式を算出したが、減少率RRの算出の方法は、これに限られない。例えば、CPU21は、最小二乗法によって、多項式の近似式を算出して、当該近似式が限界タイミングLTとなるときの近似線Lの変化度合いを減少率RRとして算出してもよい。この場合、減少率RRは、一定の値となることに限られず、時刻tによって変化してもよい。
【0053】
・また例えば、減少率算出処理では、CPU21は、直近の2回の集計処理によるデータから、両データを通る直線の傾きを、減少率RRとして算出してもよい。つまり、CPU21は、必ずしも最小二乗法による近似式を算出する必要はない。
【0054】
・また例えば、減少率算出処理において参照するデータを定めるための一定時間T1は、1週間に限られない。例えば、一定時間T1は1年間であってもよいし、30日であってもよい。集計処理の頻度に併せて、適宜変更されればよい。
【0055】
・また例えば、減少率算出処理では、複数のデータの重みを変更して減少率RRを算出してもよい。具体的には、フィルムFの使用量は、食品用包装する商品の特売日、季節、天候、及び温度等によって、急激に変化する場合がある。そのため、CPU21が近似式を算出する際に参照する複数のデータのうち、直近の集計処理を行った時点に時刻tが近いデータほど、重みを大きくして、減少率RRを算出してもよい。つまり、単純な近似線Lとはならないものの、直近の特売日や温度等によって、フィルムFの使用量が急激に変化したときに、このような変化に併せて減少率RRを算出できる。
【0056】
・上記実施形態では、減少率算出処理において、予め定められた回数の集計処理が済んでいない場合には、CPU21は、今回の一連の処理を終了しているが、これに限らない。例えば、減少率算出処理において、予め定めれられた回数の集計処理が済んでいない場合には、CPU21は、予め定められた初期値として設定された値を、減少率RRとして算出してもよい。なお、予め定められた回数は、例えば2回である。
【0057】
・上記実施形態では、記憶装置24は、安全在庫数量SSQを一定の値として記憶しているが、この安全在庫数量SSQは、変動してもよい。この場合、CPU21が、一連の在庫管理プログラムの実行を開始する時点において、1つの値として定まっていればよい。
【0058】
安全在庫数量SSQは、例えば、フィルムFの使用量が、包装する商品の特売日、季節、天候、及び温度等によって、急激に変化することに伴って変化し得る。また、フィルムFを製造する第2ユーザの製造状況によっても、変化することがあり得る。そのため、各ユーザの事情に併せて、安全在庫数量SSQが更新されてもよい。この場合、例えば、第1端末50が操作されることによって、新しい安全在庫数量SSQを示す信号が在庫管理サーバ20へ送信されるとともに、在庫管理サーバ20が当該信号を受信することで、安全在庫数量SSQが更新されればよい。
【0059】
・在庫管理サーバ20のCPU21は、減少率算出処理を行わなくてもよい。在庫管理サーバ20のCPU21は、少なくとも、集計処理及び記憶処理を行えばよい。
【符号の説明】
【0060】
10…在庫管理システム
20…在庫管理サーバ
21…CPU
24…記憶装置
30…RFタグ
40…RFIDリーダ
50…第1端末
60…第2端末
F…フィルム
LT…限界タイミング
NT…必要時間
OT…発注タイミング
RR…減少率
SQ…在庫数量
SSQ…安全在庫数量