(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042481
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】チップ部品の加熱装置及びチップ部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01G 13/00 20130101AFI20240321BHJP
【FI】
H01G13/00 331C
H01G13/00 331D
H01G13/00 331A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147231
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 佳樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】井上 謙一
【テーマコード(参考)】
5E082
【Fターム(参考)】
5E082AA01
5E082AB03
5E082MM11
5E082MM15
(57)【要約】
【課題】複数のチップ部品のそれぞれを確実かつ簡易に加熱するチップ部品の加熱装置を提供する。
【解決手段】チップ部品の加熱装置HD1は、複数のチップ部品ED1を所定の温度に加熱する。この加熱装置HD1は、複数のチップ部品ED1が供給される面21aを有し、面21a上に供給された複数のチップ部品ED1を搬送する回転テーブル20と、回転テーブル20を加熱するヒータ26と、複数のチップ部品ED1が面21a上で積み重ならないように、複数のチップ部品ED1を面21a上に供給する供給機構10と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のチップ部品を搬送し、かつ、前記複数のチップ部品を所定の温度に加熱するチップ部品の加熱装置であって、
前記複数のチップ部品が供給される上面を有し、前記上面上に供給された前記複数のチップ部品を搬送する回転テーブルと、
前記回転テーブルを加熱するヒータと、
前記複数のチップ部品が前記上面上で積み重ならないように、前記複数のチップ部品を前記上面上に供給する供給機構と、を備える、チップ部品の加熱装置。
【請求項2】
前記供給機構は、底壁を有すると共に前記複数のチップ部品が積み重ならないように前記上面の上方位置まで前記底壁上を前記複数のチップ部品が移動する搬送路を有し、
前記底壁は、前記搬送路内に位置する複数のチップ部品のうち、前記回転テーブル上に位置するチップ部品の、前記搬送路からの落下を規制する第一位置と、前記搬送路からの落下を許容する第二位置との間で変位可能である部材により構成される、請求項1に記載のチップ部品の加熱装置。
【請求項3】
前記供給機構は、前記上面に対して傾斜した面を含み、前記面が前記第一位置にある前記底壁と対向するように前記上面の上方に配置されている部材を有する、請求項2に記載のチップ部品の加熱装置。
【請求項4】
前記供給機構は、前記複数のチップ部品を、整列させた状態で、前記搬送路に連続して送り出す送出部を有する、請求項2又は3に記載のチップ部品の加熱装置。
【請求項5】
前記上面には、前記回転テーブルの中心側から外周側に向かって放射状に延在する複数の溝が形成されている、請求項1に記載のチップ部品の加熱装置。
【請求項6】
前記上面の一部を覆うカバーと、
前記カバーを加熱するヒータと、を更に備え、
前記カバーは、前記上面に直交する方向で前記上面と対向する下面を含むと共に、前記下面が前記上面から離間するように配置されている、請求項1に記載のチップ部品の加熱装置。
【請求項7】
前記上面と前記下面との間隔は、前記チップ部品の高さより大きく、前記チップ部品の高さの二倍より小さい、請求項6に記載のチップ部品の加熱装置。
【請求項8】
前記複数のチップ部品を前記上面上から回収する回収機構を更に備え、
前記回収機構は、前記上面上のチップ部品を前記回転テーブルの外周縁から前記回転テーブル外に移動させるように、前記上面上を、前記回転テーブルの回転方向と交差する方向に相対的に移動する部材と、
前記回転テーブル外に移動したチップ部品を受ける回収路と、を有する、請求項1に記載のチップ部品の加熱装置。
【請求項9】
各前記チップ部品は、誘電体材料を含む素体を有し、
前記所定の温度は、前記素体のキュリー温度以上である、請求項1に記載のチップ部品の加熱装置。
【請求項10】
複数のチップ部品が供給される上面を有する回転テーブルを準備することと、
前記複数のチップ部品が前記上面上で積み重ならないように、前記複数のチップ部品を前記上面上に供給することと、
前記上面上に供給された前記複数のチップ部品を、前記回転テーブルで搬送している間に所定の温度に加熱することと、を含む、チップ部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ部品の加熱装置及びチップ部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
知られているチップ部品の製造方法は、チップ部品の電気的特性を測定することと、電気的特性を測定した後に、チップ部品を所定の温度に加熱することと、を含む(たとえば、特許文献1参照)。チップ部品の電気的特性を測定することは、たとえば、チップ部品に直流電圧を印加し、チップ部品に流れる電流を測定することを含む。チップ部品は、たとえば、完成品としての電子部品を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のチップ部品を加熱する場合、複数のチップ部品のそれぞれが確実に加熱されないことがある。たとえば、複数のチップ部品が積み重なっている状態では、チップ部品の位置に応じて、チップ部品の温度が異なるおそれがある。内側に位置するチップ部品は、外側に位置するチップ部品より加熱されがたい。このため、すべてのチップ部品を所定の温度に加熱するためには、たとえば、加熱時間を長く設定する、又は、加熱温度を高く設定する必要がある。加熱時間を長く設定する場合、製造工程時間が増加するおそれがある。加熱温度を高く設定する場合、製造コストが増加するおそれがある。
【0005】
本発明の一つの態様は、複数のチップ部品のそれぞれを確実かつ簡易に加熱するチップ部品の加熱装置を提供することを目的とする。本発明の別の一つの態様は、複数のチップ部品のそれぞれを確実かつ簡易に加熱するチップ部品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様に係るチップ部品の加熱装置は、複数のチップ部品を所定の温度に加熱する。この加熱装置は、複数のチップ部品が供給される上面を有し、上面上に供給された複数のチップ部品を搬送する回転テーブルと、回転テーブルを加熱するヒータと、複数のチップ部品が上面上で積み重ならないように、複数のチップ部品を上面上に供給する供給機構と、を備えている。
【0007】
上記一つの態様では、複数のチップ部品が積み重ならないように、複数のチップ部品が回転テーブルの上面上に供給される。積み重ならないように供給された複数のチップ部品は、回転テーブルの上面上において、回転テーブルで搬送されている間に、ヒータによって加熱される。したがって、上記一つの態様は、複数のチップ部品のそれぞれを確実かつ簡易に所定の温度に加熱し得る。
【0008】
上記一つの態様では、供給機構は、底壁を有すると共に複数のチップ部品が積み重ならないように上面の上方位置まで底壁上を複数のチップ部品が移動する搬送路を有していてもよい。底壁は、搬送路内に位置する複数のチップ部品のうち、回転テーブル上に位置するチップ部品の、搬送路からの落下を規制する第一位置と、搬送路からの落下を許容する第二位置との間で変位可能である部材により構成されていてもよい。
複数のチップ部品が積み重ならないように上面の上方位置まで底壁上を複数のチップ部品が移動する搬送路において、底壁が、上述した部材により構成されている構成は、複数のチップ部品が上面上で確実に積み重ならないように、複数のチップ部品を上面上に供給し得る。
【0009】
上記一つの態様では、供給機構は、上面に対して傾斜した面を含み、面が第一位置にある底壁と対向するように上面の上方に配置されている部材を有していてもよい。
供給機構が上述した部材を有する構成は、複数のチップ部品が上面上でより確実に積み重ならないように、複数のチップ部品を上面上に供給し得る。
【0010】
上記一つの態様では、供給機構は、複数のチップ部品を、整列させた状態で、搬送路に連続して送り出す送出部を有していてもよい。
供給機構が送出部を有している構成は、複数のチップ部品が積み重ならないように複数のチップ部品が移動する搬送路に、複数のチップ部品を適切に供給し得る。
【0011】
上記一つの態様では、上面には、回転テーブルの中心側から外周側に向かって放射状に延在する複数の溝が形成されていてもよい。
複数の溝が回転テーブルの上面に形成されている構成は、チップ部品と上面との接触面積を増加させ得る。したがって、この構成は、複数のチップ部品のそれぞれを効率的に加熱し得る。
【0012】
上記一つの態様では、上面の一部を覆うカバーと、カバーを加熱するヒータと、を備えていてもよい。カバーは、上面に直交する方向で上面と対向する下面を含むと共に、下面が上面から離間するように配置されていてもよい。
カバーとヒータとを備えている構成は、複数のチップ部品のそれぞれをより確実に加熱し得る。
【0013】
上記一つの態様では、上面と下面との間隔は、チップ部品の高さより大きく、チップ部品の高さの二倍より小さくてもよい。
上面と下面との間隔が、チップ部品の高さより大きく、チップ部品の高さの二倍より小さい構成では、複数のチップ部品を、上面上で更により確実に積み重ねない。
【0014】
上記一つの態様は、複数のチップ部品を上面上から回収する回収機構を備えていてもよい。回収機構は、上面上のチップ部品を回転テーブルの外周縁から回転テーブル外に移動させるように、上面上を、回転テーブルの回転方向と交差する方向に相対的に移動する部材と、回転テーブル外に移動したチップ部品を受ける回収路と、を有していてもよい。
上記一つの態様が上記回収機構を備える構成は、所定の温度に加熱された複数のチップ部品を確実に回収する。
【0015】
上記一つの態様では、各チップ部品は、誘電体材料を含む素体を有していてもよい。所定の温度は、素体のキュリー温度以上であってもよい。
所定の温度が、素体のキュリー温度以上である場合、素体(誘電体材料)に生じている分極が確実に解消され得る。
【0016】
本発明の別の一つの態様に係るチップ部品の製造方法は、複数のチップ部品が供給される上面を有する回転テーブルを準備することと、複数のチップ部品が上面上で積み重ならないように、複数のチップ部品を上面上に供給することと、上面上に供給された複数のチップ部品を、回転テーブルで搬送している間に所定の温度に加熱することと、を含んでいる。
【0017】
上記別の一つの態様では、積み重ならないように供給された複数のチップ部品は、回転テーブルの上面上において、回転テーブルで搬送されている間に、ヒータによって加熱される。したがって、上記別の一つの態様は、複数のチップ部品のそれぞれを確実かつ簡易に所定の温度に加熱し得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一つの態様は、複数のチップ部品のそれぞれを確実かつ簡易に加熱するチップ部品の加熱装置を提供する。本発明の別の一つの態様は、複数のチップ部品のそれぞれを確実かつ簡易に加熱するチップ部品の製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、一実施形態に係るチップ部品の加熱装置を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、回転テーブル及びカバーの構成を示す図である。
【
図7】
図7は、回転テーブルの構成を示す図である。
【
図8】
図8は、回転テーブルの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0021】
図1~
図9を参照して、本実施形態に係るチップ部品の加熱装置及びチップ部品の製造方法について説明する。
図1は、一実施形態に係るチップ部品の加熱装置を示す斜視図である。
図2~
図5は、搬送路の断面構成を示す図である。
図6は、回転テーブル及びカバーの構成を示す図である。
図7及び
図8は、回転テーブルの構成を示す図である。
図9は、チップ部品を示す外観図である。
図2~
図5では、分かりやすく説明するために、ハッチングを省略している。
【0022】
チップ部品の加熱装置HD1は、複数のチップ部品ED1を搬送し、かつ、複数のチップ部品ED1を所定の温度に加熱する。チップ部品の加熱装置HD1は、供給機構10と、回転テーブル20と、回収機構30と、を備えている。供給機構10は、複数のチップ部品ED1を回転テーブル20に供給する。回転テーブル20は、供給機構10から複数のチップ部品ED1が供給される面21aを有している。回転テーブル20は、加熱後の複数のチップ部品ED1を回収機構30に搬送する。回収機構30は、加熱後の複数のチップ部品ED1を回転テーブル20から回収する。チップ部品の加熱装置HD1は、制御ユニットCT1を備えている。制御ユニットCT1は、たとえば、供給機構10、回転テーブル20、及び回収機構30の駆動を制御する。
【0023】
チップ部品ED1は、たとえば、電子部品を含む。本実施形態では、電子部品は、積層コンデンサによって構成されている。積層コンデンサは、たとえば、積層セラミックコンデンサを含んでいる。本実施形態では、積層セラミックコンデンサを含むチップ部品ED1を搬送し、かつ、加熱するチップ部品の加熱装置HD1及びチップ部品の製造方法について説明する。
【0024】
図1において、矢印R1~R4は、チップ部品の加熱装置HD1内で、複数のチップ部品ED1が搬送される経路を示している。矢印R1で示されるように、複数のチップ部品ED1は、供給機構10内で搬送される。続いて、矢印R2で示されるように、複数のチップ部品ED1は、供給機構10から面21a上に供給される。続いて、面21a上に供給された複数のチップ部品ED1は、矢印R3に沿って、回転テーブル20によって搬送され、かつ、加熱される。続いて、回転テーブル20によって搬送された複数のチップ部品ED1は、矢印R4に沿って、搬送されて回収機構30に回収される。たとえば、面21aが、上面を構成する。
【0025】
供給機構10は、たとえば、供給部11及び送出部12を有している。供給部11は、複数のチップ部品ED1を収容すると共に、複数のチップ部品ED1を送出部12に供給する。複数のチップ部品ED1が、供給部11から送出部12に送り出される。複数のチップ部品ED1は、送出部12を通過する間に、たとえば、互いに積み重ならないように並ぶ。
【0026】
供給機構10は、たとえば、搬送路15を有している。搬送路15は、送出部12に連結されている。送出部12は、複数のチップ部品ED1を、整列させた状態で、搬送路15に連続して送り出す。複数のチップ部品ED1の、送出部12から搬送路15への搬送は、たとえば、送出部12の振動による。搬送路15は、たとえば、方向D11に延在している。
【0027】
図2及び
図3は、方向D11から見た、搬送路15の断面構成を示す図である。
図2に示されるように、搬送路15は、たとえば、内壁部16によって囲まれている。内壁部16は、上壁16aと、一対の側壁16b,16cと、底壁16dとを含んでいる。上壁16aと底壁16dとは、たとえば、方向D12で互いに対向している。一対の側壁16b,16cは、たとえば、方向D11及び方向D12に交差する方向D13で互いに対向している。内壁部16によって囲まれる空間は、方向D11から見て、たとえば、矩形状を呈している。本実施形態では、方向D11、方向D12、及び方向D13は、互いに直交している。
図2は、底壁16dが、先端領域17において、内壁部16の一部を画成している構成を示している。本実施形態では、方向D12は、面21aに直交する方向に一致する。
【0028】
搬送路15は、複数のチップ部品ED1が積み重ならないように面21aの上方位置まで底壁16d上を複数のチップ部品ED1を移動させる。
図1に示されるように、搬送路15は、面21aの上方位置に配置されている。内壁部16は、複数のチップ部品ED1が積み重ならないように、内壁部16で複数のチップ部品ED1を囲んでいる。内壁部16は、複数のチップ部品ED1との間に、複数のチップ部品ED1が積み重ならないような隙間を形成している。上壁16aと底壁16dとの距離、及び一対の側壁16b,16cの距離は、各チップ部品ED1の高さより大きく、各チップ部品ED1の高さの二倍より小さい。複数のチップ部品ED1が、直方体形状を呈する場合、上壁16aと底壁16dとの距離、及び一対の側壁16b,16cの距離は、たとえば、各チップ部品ED1の短辺方向での長さより大きく、短辺方向での長さの二倍より小さい。複数のチップ部品ED1が、直方体形状を呈する場合、本実施形態では、チップ部品ED1の長辺方向が、方向D11に一致している。搬送路15は、複数のチップ部品ED1を、方向D11であって、送出部12から搬送路15に向かう方向に見て、搬送路15の先端領域17まで搬送する。
【0029】
底壁16dは、搬送路15内に位置する複数のチップ部品ED1のうち、回転テーブル20上に位置するチップ部品ED1の、搬送路15からの落下を規制する第一位置P1と、搬送路からの落下を許容する第二位置P2との間で変位可能である部材16eにより構成される。
図2は、底壁16dが、第一位置P1に配置されている構成を示している。底壁16dは、先端領域17において、内壁部16の一部を画成しており、チップ部品ED1の搬送路15からの落下を規制している。
図3は、底壁16dが、第二位置P2に配置されている構成を示している。底壁16dは、先端領域17において、内壁部16の一部を画成しておらず、チップ部品ED1の搬送路15からの落下を許容している。底壁16dが先端領域17で内壁部16の一部を画成しない構成では、先端領域17まで搬送された複数のチップ部品ED1は、たとえば、先端領域17から落下する。
【0030】
図4及び
図5は、方向D13から見た、搬送路15の断面構成を示す図である。
図4は、
図2に対応しており、底壁16dが第一位置P1に配置されている構成を示している。
図5は、
図3に対応しており、底壁16dが第二位置P2に配置されている構成を示している。底壁16dは、第一位置P1と第二位置P2との間で変位可能である。底壁16dは、たとえば、方向D11で変位可能である。
図5での第二位置P2は、
図4での第一位置P1に比べて、底壁16dが、方向D11であって、搬送路15から送出部12に向かう方向に移動している。
底壁16dは、部材16eにより構成される。部材16eは、底壁16dとステージ16fとを含む。ステージ16fは、たとえば、モータ及びモータに接続されたボールねじを含む駆動機構を含む。この場合、モータがボールねじを回転させることにより、ステージ16fに推進力が伝達される。本実施形態では、制御ユニットCT1からの信号によって、ステージ16fの駆動が制御される。たとえば、制御ユニットCT1は、ステージ16fの駆動を制御して、底壁16dを、第一位置P1と第二位置P2との間で変位させる。
【0031】
図2~
図5に示されるように、供給機構10は、面21aに対して傾斜した面18aを含む部材18を有している。面18aは、第一位置P1にある底壁16dと対向するように面21aの上方に配置されている。
図4に示されるように、底壁16dが第一位置P1に配置されている構成では、底壁16dは、先端領域17で内壁部16の一部を画成する。したがって、複数のチップ部品ED1は、部材18に落下しない。
図5に示されるように、底壁16dが第二位置P2に配置されている構成では、底壁16dは、先端領域17で、内壁部16の一部を画成しない。したがって、複数のチップ部品ED1は、部材18に落下する。
【0032】
本実施形態では、底壁16dが第二位置P2に配置されている構成から、底壁16dが第一位置P1に配置されている構成に、底壁16dが変位することが可能である。底壁16dが、方向D11に沿って、底壁16dが第一位置P1に配置されている構成から、底壁16dが第二位置P2に配置されている構成に、底壁16dが変位することによって、底壁16dは、先端領域17で、内壁部16の一部を画成する。この場合、供給部11からの複数のチップ部品ED1は、先端領域17まで搬送される。先端領域17が、たとえば、複数のチップ部品ED1で満たされる。先端領域17が、たとえば、複数のチップ部品ED1で満たされた場合には、底壁16dが、第二位置P2に配置されている構成に変位することによって、複数のチップ部品ED1は、先端領域17から面18aに落下し得る。
【0033】
部材18は、複数のチップ部品ED1が積み重ならないように、複数のチップ部品ED1を面18a上に供給する。したがって、先端領域17から面18aに落下した複数のチップ部品ED1は、部材18を介して、複数のチップ部品ED1が積み重ならないように面21a上に供給される。面18aは、面21aに対して、たとえば、5°~60°傾いている。加熱装置HD1は、面18aを振動させる機構を備えてもよい。部材18は、金属又はセラミックを含む。
【0034】
図6に示めされるように、回転テーブル20は、たとえば、面21aに、チップ部品ED1を載置するための載置エリア22aを有している。回転テーブル20は、載置エリア22aに囲まれた中心エリア22bを有している。中心エリア22bは、たとえば、中心軸N1を含んでいる。
図6は、方向D12又は方向D13から見た、回転テーブル及びカバーの構成を示す図である。載置エリア22aは、たとえば、回転テーブル20の周辺領域23に位置している。回転テーブル20の下方には、たとえば、モータ24が設けられている。モータ24の駆動によって、回転テーブル20は、中心軸N1周りに、たとえば、回転方向R10に一定の速度で回転する。載置エリア22aは、たとえば、中心軸N1を含む中心部から離間している。載置エリア22aは、中心軸N1を含む回転テーブル20の全領域に位置していてもよい。載置エリア22aは、たとえば、金属又はセラミックを含む。
【0035】
回転テーブル20は、面21aに対向する面21bを有している。面21bには、複数のチップ部品ED1は供給されない。本実施形態では、回転テーブル20には、回転テーブル20を加熱するヒータ26が配置される。ヒータ26は、たとえば、載置エリア22aに位置する面21b上に配置される。ヒータ26は、たとえば、載置エリア22aに位置する面21bの少なくとも一部の面上に配置される。ヒータ26は、載置エリア22aに位置する面21b上の全ての領域に配置されていてもよい。ヒータ26によって、加熱される載置エリア22aの面21a上の温度は、たとえば、145℃~155℃である。この面21a上の温度範囲は、たとえば、チップ部品ED1に含まれる素体のキュリー温度以上である。
本実施形態では、制御ユニットCT1からの信号によって、モータ24の駆動状態が制御される。たとえば、制御ユニットCT1は、回転テーブル20の回転速度を制御する。制御ユニットCT1からの信号によって回転テーブル20の回転速度が減少する場合、面21a上で複数のチップ部品ED1を加熱する時間が増加する。制御ユニットCT1からの信号によって回転テーブル20の回転速度が増加する場合、面21a上で複数のチップ部品ED1を加熱する時間が減少する。回転テーブル20の回転速度が増加する場合、回転テーブル20が面21a上で複数のチップ部品ED1を搬送する速度が増加する。
制御ユニットCT1は、ヒータ26の駆動を制御する。制御ユニットCT1からの信号によって、たとえば、ヒータ26のオン・オフが制御される。制御ユニットCT1からの信号によって、たとえば、ヒータ26は、面21a上の温度が上記の温度範囲となるように回転テーブル20を加熱する。面21a上の温度は、たとえば、熱電対を用いて測定される。制御ユニットCT1は、面21a上の温度測定のデータを受信し、受信したデータをもとに、ヒータ26の駆動を制御する。ヒータ26は、たとえば、抵抗加熱ヒータ又は赤外線加熱ヒータを含む。
【0036】
回転テーブル20には、たとえば、面21aの一部を覆うカバー27が配置される。カバー27は、方向D12で面21aと対向する面27aと、方向D12で面27aと対向する面27bを含んでいる。カバー27は、面21aと間隔を有して対向している。すなわちカバー27は、複数のチップ部品ED1との間に、複数のチップ部品ED1が積み重ならないような隙間を形成している。面27aは、面21aから離間している。本実施形態では、面21aと面27aとの間隔は、各チップ部品ED1の高さより大きく、各チップ部品ED1の高さの二倍より小さい。複数のチップ部品ED1が、直方体形状を呈する場合、面21aと面27aとの間隔は、たとえば、各チップ部品ED1の短辺方向での長さより大きく、短辺方向での長さの二倍より小さい。カバー27は、方向D12から見て、回転テーブルの少なくとも一部と重なっている。たとえば、面27aが、下面を構成する。カバー27は、たとえば、金属又はセラミックを含む。
【0037】
カバー27には、カバー27を加熱するヒータ28が配置される。ヒータ26は、たとえば、方向D12から見て、載置エリア22aに位置する面27b上に配置される。ヒータ28は、たとえば、載置エリア22aに位置する面27bの少なくとも一部の面上に配置される。ヒータ28は、載置エリア22aに位置する面27b上の全ての領域に配置されていてもよい。ヒータ28によって、加熱されるカバー27の面27a上の温度は、たとえば、145℃~155℃である。この温度範囲は、たとえば、チップ部品ED1に含まれる素体のキュリー温度以上である。
制御ユニットCT1は、ヒータ28の駆動を制御する。制御ユニットCT1からの信号によって、たとえば、ヒータ28のオン・オフが制御される。制御ユニットCT1からの信号によって、たとえば、ヒータ28は、面27a上の温度が上記の温度範囲となるようにカバー27を加熱する。面27a上の温度は、たとえば、熱電対を用いて測定される。制御ユニットCT1は、面27a上の温度測定のデータを受信し、受信したデータをもとに、ヒータ28の駆動を制御する。ヒータ28は、たとえば、抵抗加熱ヒータ又は赤外線加熱ヒータを含む。
【0038】
図7及び
図8に示めされるように、面21aには、たとえば、複数の溝25が形成されている。複数の溝25は、たとえば、回転テーブル20の中心側から外周側に向かって放射状に延在する。中心エリア22bは、回転テーブル20の中心軸N1を含む。載置エリア22aは、回転テーブル20の外周は、外周縁23aを含む。本実施形態では、複数の溝25は、載置エリア22a内に形成されており、たとえば、外周縁23aに向かって直線状に延在している。方向D12から見て回転テーブル20が円形状を呈する場合、複数の溝25は、たとえば、回転テーブル20の半径方向に延在している。各溝25は、たとえば、回転テーブル20の外周縁23aに達している。各溝25は、たとえば、回転テーブル20の中心軸N1から離間している。
【0039】
各溝25は、たとえば、V溝状を呈している。各V溝は、方向D12から見て、略同一の幅を有している。各V溝は、方向D12から見て、たとえば、互いに略同一の幅を有している。したがって、一の溝25と隣接する他の溝25とは、回転テーブル20の中心軸N1から外周縁23aに近づくに従って、互いの間隔が拡がっている。各溝25には、その延在方向に交差する方向から、複数のチップ部品ED1が供給される。複数のチップ部品ED1は、たとえば、各溝25を満たすように面21a上に供給される。
【0040】
溝25の断面形状は、二つの面25a,25bによって画定される。回転テーブル20の外周側から中心側に向かう方向から見た、二つの面25a,25bの成す角度は、たとえば、略90度である。したがって、各チップ部品ED1は、互いに連結する二つの側面1cが(
図9を参照)、二つの面25a,25bから熱を直に受ける。二つの面25a,25bの長さは、たとえば、チップ部品ED1の第二方向D2及び第三方向D3での長さ以上である(
図9を参照)。回転テーブル20の外周側から中心側に向かう方向から見た、二つの面25a,25bの長さは、たとえば、チップ部品ED1の第二方向D2及び第三方向D3での長さより小さくてもよい。二つの面25a,25bの成す角度は、たとえば、略90度より大きくてもよい。
溝25は、当該溝25の底が丸みを帯びた内壁を有するU溝状を呈してもよく、方向D11又は方向D13に延在する底壁と、方向D12に延在する側壁とを有する矩形溝状を呈してもよい。溝25が、U溝状を呈する場合、たとえば、チップ部品ED1の側面1cが、溝25の内壁から熱を直に受ける。溝25が、矩形溝状を呈する場合、たとえば、チップ部品ED1の側面1cが、溝25の底壁及び側壁から熱を直に受ける。
【0041】
図1に示めされるように、回収機構30は、加熱された複数のチップ部品ED1を面21a上から回収する。回収機構30は、たとえば、部材31と回収路32とを有している。部材31は、たとえば、先端部33とステージ34とを含む。先端部33は、たとえば、スキージを含む。ステージ34は、たとえば、モータ及びモータに接続されたボールねじを含む駆動機構を含む。この場合、モータがボールねじを回転させることにより、ステージ34に推進力が伝達される。本実施形態では、制御ユニットCT1からの信号によって、ステージ34の駆動が制御される。たとえば、制御ユニットCT1は、ステージ34の駆動を制御して、先端部33を方向M1にスライドさせる。方向M1は、回転テーブル20の回転方向R10と交差する。先端部33の方向M1での移動によって、面21a上のチップ部品ED1が、回転テーブル29の外周縁23aから回転テーブル20外に移動する。回収路32は、回転テーブル20外に移動したチップ部品ED1を回収する。回収路32は、回転テーブル20の下方位置に配置される。先端部33は、たとえば、金属又はセラミックを含む。
【0042】
本実施形態では、たとえば、以下の方法によって、チップ部品ED1が製造される。たとえば、初めに、回転テーブル20が準備される。続いて、たとえば、複数のチップ部品ED1が、面21a上で積み重ならないように、面21a上に供給される。続いて、たとえば、面21a上に供給された複数のチップ部品ED1が、回転テーブル20で搬送されている間に所定の温度に加熱される。続いて、たとえば、加熱された複数のチップ部品ED1は面21a上から回収される。
【0043】
図9は、チップ部品ED1を示す外観図である。チップ部品ED1は、たとえば、素体1を有している。本実施形態では、素体1は、直方体形状を呈している。素体1は、一対の端面1aと、一対の側面1cと、一対の側面1eと、を有している。本実施形態では、一対の端面1aは、第一方向D1で互いに対向している。一対の側面1cは、第二方向D2で互いに対向している。第二方向D2は、第一方向D1に交差している。一対の側面1eは、第三方向D3で互いに対向している。第三方向D3は、第一方向D1及び第二方向D2に交差している。本実施形態では、第一方向D1、第二方向D2、及び第三方向D3は、互いに直交している。
【0044】
一対の端面1a、一対の側面1c、及び一対の側面1eは、素体1の外表面を構成している。一対の側面1c及び一対の側面1eは、それぞれ一対の端面1aと隣り合うと共に、一対の端面1aを互いに連結するように、第一方向D1に延在している。一対の端面1aと、一対の側面1cと、一対の側面1eとは、たとえば、矩形状を呈している。本明細書での「直方体形状」は、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、又は、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状を含む。本明細書での「矩形状」は、たとえば、各角が面取りされている形状、又は、各角が丸められている形状を含む。
【0045】
素体1の第一方向D1での長さは、たとえば、1mmである。素体1の第二方向D2での長さは、たとえば、0.5mmである。素体1の第三方向D3での長さは、たとえば、0.5mmである。素体1では、たとえば、第一方向D1が長辺方向である。素体1では、たとえば、第二方向D2又は第三方向D3が短辺方向である。
【0046】
素体1は、たとえば、複数の誘電体層を含んでいる。素体1は、第三方向D3に複数の誘電体層が積層されて構成されている。各誘電体層は、誘電体材料を含むセラミックの焼結体から構成されている。誘電体材料は、たとえば、BaTiO3系、Ba(Ti,Zr)O3系、(Ba,Ca)TiO3系、CaZrO3系、又は(Ca,Sr)ZrO3系である。実際の素体1では、各誘電体層は、各誘電体層の間の境界が視認できない程度に一体化されている。本実施形態では、素体1のキュリー温度は、たとえば、120℃~130℃である。
【0047】
チップ部品ED1は、たとえば、外部電極2,3を備えている。外部電極2,3は、素体1に配置されている。外部電極2,3は、素体1を挟んで、第一方向D1で互いに対向している。
【0048】
外部電極2は、端面1aに配置されている。外部電極2は、端面1aを覆うように配置されている。外部電極2は、側面1cの一部の面上にも配置されている。外部電極2は、端面1aと、側面1cとによって形成される角部と、角部を互いに結ぶ稜線部とを覆っている。外部電極3は、端面1bに配置されている。外部電極3は、端面1bを覆うように配置されている。外部電極3は、側面1cの一部の面上にも配置されている。外部電極3は、端面1bと、側面1cとによって形成される角部と、角部を互いに結ぶ稜線部とを覆っている。
【0049】
外部電極2,3は、たとえば、焼付導体層を有している。焼付導体層は、たとえば、素体1の外表面に付与された導電性ペーストを焼き付けることによって形成される。導電性ペーストは、導電性金属粉末及びガラスフリットを含んでいてもよい。導電性ペーストでは、たとえば、ガラス成分、有機バインダ、及び有機溶剤が混合されている。導電性ペーストが還元雰囲気で焼き付けられる場合、導電性ペーストに含まれる金属粉末は、酸化していてもよい。外部電極2,3は、焼付導体層上に形成されるめっき層を有していてもよい。めっき層は、Niめっき層及びSnめっき層を含んでいてもよい。本実施形態では、Niめっき層が焼付導体層上に形成されており、Snめっき層がNiめっき層上に形成されている。
【0050】
チップ部品ED1は、たとえば、複数の内部電極4,5を備えている。複数の内部電極4,5は、互いに対向している。内部電極4は、たとえば、第二方向D2で内部電極5と対向している。内部電極4と内部電極5とは、たとえば、交互に第二方向D2に並んでいる。内部電極4は、たとえば、端面1aに露出し、外部電極2に物理的に接続されている。内部電極4は、たとえば、端面1bから離間している。内部電極5は、たとえば、端面1bに露出し、外部電極3に物理的に接続されている。内部電極5は、たとえば、端面1aから離間している。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係るチップ部品の加熱装置HD1は、複数のチップ部品ED1を所定の温度に加熱する。この加熱装置HD1は、複数のチップ部品ED1が供給される面21aを有し、面21a上に供給された複数のチップ部品ED1を搬送する回転テーブル20と、回転テーブル20を加熱するヒータ26と、複数のチップ部品ED1が面21a上で積み重ならないように、複数のチップ部品ED1を面21a上に供給する供給機構10と、を備えている。
【0052】
チップ部品の加熱装置HD1では、複数のチップ部品ED1が積み重ならないように、複数のチップ部品ED1が回転テーブル20の面21a上に供給される。積み重ならないように供給された複数のチップ部品ED1は、回転テーブルの面21a上において、回転テーブル20で搬送されている間に、ヒータ26によって加熱される。したがって、チップ部品の加熱装置HD1は、複数のチップ部品ED1のそれぞれを確実かつ簡易に所定の温度に加熱し得る。
【0053】
チップ部品の加熱装置HD1では、供給機構10は、底壁16dを有すると共に複数のチップ部品ED1が積み重ならないように面21aの上方位置まで底壁16d上を複数のチップ部品ED1が移動する搬送路15を有している。底壁16dは、搬送路15内に位置する複数のチップ部品ED1のうち、回転テーブル20上に位置するチップ部品ED1の、搬送路15からの落下を規制する第一位置P1と、搬送路15からの落下を許容する第二位置P2との間で変位可能である部材16eにより構成されている。
複数のチップ部品ED1が積み重ならないように面21aの上方位置まで底壁16d上を複数のチップ部品ED1が移動する搬送路15において、底壁16dが、部材16eにより構成されている構成は、複数のチップ部品ED1が面21a上で確実に積み重ならないように、複数のチップ部品ED1を面21a上に供給し得る。
【0054】
チップ部品の加熱装置HD1では、供給機構10は、面21aに対して傾斜した面を含み、面が第一位置P1にある底壁16dと対向するように面21aの上方に配置されている部材18を有している。
供給機構10が上述した部材18を有する構成は、複数のチップ部品ED1が面21a上でより確実に積み重ならないように、複数のチップ部品ED1を面21a上に供給し得る。
【0055】
チップ部品の加熱装置HD1では、供給機構は、複数のチップ部品ED1を、整列させた状態で、搬送路15に連続して送り出す送出部12を有している。
供給機構10が送出部12を有している構成は、複数のチップ部品ED1が積み重ならないように複数のチップ部品ED1が移動する搬送路15に、複数のチップ部品ED1を適切に供給し得る。
【0056】
チップ部品の加熱装置HD1では、面21aには、回転テーブル20の中心側から外周側に向かって放射状に延在する複数の溝25が形成されている。
複数の溝25が回転テーブル20の面21a形成されている構成は、チップ部品ED1と面21aとの接触面積を増加させ得る。したがって、この構成は、複数のチップ部品ED1のそれぞれを効率的に加熱し得る。
【0057】
チップ部品の加熱装置HD1では、面21aの一部を覆うカバー27と、カバー27を加熱するヒータ28と、を備えている。カバー27は、面21aに直交する方向で面21aと対向する面27aを含むと共に、面27aが面21aから離間するように配置されている。
チップ部品の加熱装置HD1がカバー27とヒータ28とを備える構成は、複数のチップ部品ED1のそれぞれをより確実に加熱し得る。
【0058】
チップ部品の加熱装置HD1では、面21aと面27aとの間隔は、チップ部品ED1の高さより大きく、チップ部品ED1の高さの二倍より小さい。
面21aと面27aとの間隔が、チップ部品ED1の高さより大きく、チップ部品ED1の高さの二倍より小さい構成では、複数のチップ部品ED1を、面21a上で更により確実に積み重ねない。
【0059】
チップ部品の加熱装置HD1では、複数のチップ部品ED1を面21a上から回収する回収機構30を備えている。回収機構30は、面21a上のチップ部品ED1を回転テーブル20の外周縁23aから回転テーブル20外に移動させるように、面21a上を、回転テーブル20の回転方向と交差する方向に相対的に移動する部材31と、回転テーブル20外に移動したチップ部品ED1を受ける回収路32と、を有している。
チップ部品の加熱装置HD1が回収機構30を備える構成は、所定の温度に加熱された複数のチップ部品ED1を確実に回収する。
【0060】
チップ部品の加熱装置HD1では、各チップ部品ED1は、誘電体材料を含む素体を有している。所定の温度は、素体のキュリー温度以上である。
所定の温度が、素体1のキュリー温度以上である場合、素体(誘電体材料)に生じている分極が確実に解消され得る。
【0061】
本実施形態に係るチップ部品の製造方法は、複数のチップ部品ED1が供給される面21aを有する回転テーブル20を準備することと、複数のチップ部品ED1が面21a上で積み重ならないように、複数のチップ部品ED1を面21a上に供給することと、面21a上に供給された複数のチップ部品ED1を、回転テーブル20で搬送している間に所定の温度に加熱することと、を含んでいる。
【0062】
上記チップ部品の製造方法では、積み重ならないように供給された複数のチップ部品ED1は、回転テーブル20の面21a上において、回転テーブルで搬送されている間に、ヒータ26によって加熱される。したがって、上記チップ部品の製造方法は、複数のチップ部品ED1のそれぞれを確実かつ簡易に所定の温度に加熱し得る。
【0063】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0064】
本実施形態では、チップ部品ED1として積層コンデンサ部品を例に説明したが、適用可能な電子部品は、積層コンデンサ部品に限られない。適用可能な電子部品は、たとえば、積層コンデンサ部品、積層バリスタ部品、又は、積層電子部品以外の電子部品である。
【0065】
チップ部品ED1は、チップ素体であってもよい。チップ素体は、その外表面に外部電極を形成する前のセラミック焼成体である。セラミック焼成体は、内部電極を含んでいてもよい。内部電極は、チップ素体を用いた電子部品が、たとえば、コンデンサとして機能するための導体である。
【0066】
面21aには、回転テーブル20の中心側から外周側に向かって放射状に延在する複数の溝25が形成されていなくてもよい。複数の溝25が回転テーブル20の面21a形成されている構成は、上述したように、チップ部品ED1と面21aとの接触面積を増加させ得る。したがって、この構成は、複数のチップ部品ED1のそれぞれを効率的に加熱し得る。
面21aと面27aとは、チップ部品ED1の高さより大きく、チップ部品ED1の高さの二倍より小さい間隔を有しなくてもよい。面21aと面27aとの間隔が、チップ部品ED1の高さより大きく、チップ部品ED1の高さの二倍より小さい構成では、上述したように、複数のチップ部品ED1を、面21a上で更により確実に積み重ねない。
【0067】
上述した実施形態の記載から把握されるとおり、本明細書は、以下に示す態様の開示を含んでいる。
(付記1)
複数のチップ部品を搬送し、かつ、前記複数のチップ部品を所定の温度に加熱するチップ部品の加熱装置であって、
前記複数のチップ部品が供給される上面を有し、前記上面上に供給された前記複数のチップ部品を搬送する回転テーブルと、
前記回転テーブルを加熱するヒータと、
前記複数のチップ部品が前記上面上で積み重ならないように、前記複数のチップ部品を前記上面上に供給する供給機構と、を備える、チップ部品の加熱装置。
(付記2)
前記供給機構は、底壁を有すると共に前記複数のチップ部品が積み重ならないように前記上面の上方位置まで前記底壁上を前記複数のチップ部品が移動する搬送路を有し、
前記底壁は、前記搬送路内に位置する複数のチップ部品のうち、前記回転テーブル上に位置するチップ部品の、前記搬送路からの落下を規制する第一位置と、前記搬送路からの落下を許容する第二位置との間で変位可能である部材により構成される、付記1に記載のチップ部品の加熱装置。
(付記3)
前記供給機構は、前記上面に対して傾斜した面を含み、前記面が前記第一位置にある前記底壁と対向するように前記上面の上方に配置されている部材を有する、付記2に記載のチップ部品の加熱装置。
(付記4)
前記供給機構は、前記複数のチップ部品を、整列させた状態で、前記搬送路に連続して送り出す送出部を有する、付記2又は3に記載のチップ部品の加熱装置。
(付記5)
前記上面には、前記回転テーブルの中心側から外周側に向かって放射状に延在する複数の溝が形成されている、付記1~4のいずれか一つに記載のチップ部品の加熱装置。
(付記6)
前記上面の一部を覆うカバーと、
前記カバーを加熱するヒータと、を更に備え、
前記カバーは、前記上面に直交する方向で前記上面と対向する下面を含むと共に、前記下面が前記上面から離間するように配置されている、付記1~5のいずれか一つに記載のチップ部品の加熱装置。
(付記7)
前記上面と前記下面との間隔は、前記チップ部品の高さより大きく、前記チップ部品の高さの二倍より小さい、付記6に記載のチップ部品の加熱装置。
(付記8)
前記複数のチップ部品を前記上面上から回収する回収機構を更に備え、
前記回収機構は、前記上面上のチップ部品を前記回転テーブルの外周縁から前記回転テーブル外に移動させるように、前記上面上を、前記回転テーブルの回転方向と交差する方向に相対的に移動する部材と、
前記回転テーブル外に移動したチップ部品を受ける回収路と、を有する、付記1~7のいずれか一つに記載のチップ部品の加熱装置。
(付記9)
各前記チップ部品は、誘電体材料を含む素体を有し、
前記所定の温度は、前記素体のキュリー温度以上である、付記1~8のいずれか一つに記載のチップ部品の加熱装置。
(付記10)
複数のチップ部品が供給される上面を有する回転テーブルを準備することと、
前記複数のチップ部品が前記上面上で積み重ならないように、前記複数のチップ部品を前記上面上に供給することと、
前記上面上に供給された前記複数のチップ部品を、前記回転テーブルで搬送している間に所定の温度に加熱することと、を含む、チップ部品の製造方法。
【符号の説明】
【0068】
1…素体、10…供給機構、12…送出部、15…搬送路、16d…底壁、16e…部材、17…先端領域、18…部材、20…回転テーブル、21a…面、26…ヒータ、27…カバー、27a…面、30…回収機構、31…部材、32…回収路、ED1…チップ部品、HD1…チップ部品の加熱装置。