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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042484
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】人物認識装置および塵芥収集車
(51)【国際特許分類】
   B65F 3/00 20060101AFI20240321BHJP
   B60P 3/00 20060101ALI20240321BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240321BHJP
【FI】
B65F3/00 L
B60P3/00 Q
G06T7/00 660B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147235
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【弁理士】
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】西▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】巻幡 晃一
(72)【発明者】
【氏名】志田原 佑貴
【テーマコード(参考)】
3E024
5L096
【Fターム(参考)】
3E024AA04
3E024BA01
3E024GA01
3E024HB03
3E024HB05
3E024HC02
3E024HD05
3E024HD10
3E024HE01
5L096BA02
5L096BA04
5L096FA59
5L096FA69
5L096GA34
5L096JA11
5L096JA18
5L096JA26
5L096KA04
5L096KA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】塵芥収集車近傍エリアへの人物侵入判定をより確実に行える人物認識装置を提供する。
【解決手段】塵芥投入口4近傍の人物を認識するための画像処理装置を備える。画像内の物体像を頭部の特徴データと比較してその物体像が頭部を表すものか否かを判定する身体上部判定処理と、画像内の物体像を脚部の特徴データと比較して物体像が脚部を表すものか否かを判定する身体下部判定処理とを実行可能な人物判定手段を有する。また、人物判定手段で頭部または脚部を表すと判定した物体像が塵芥投入口4近傍の所定エリアに入っているか否かを判定する侵入判定手段を有する。人物判定手段に関しては、身体上部判定処理を実行し物体像が頭部を表すものでないと判定した場合に身体下部判定処理を実行し、または身体下部判定処理を実行し物体像が脚部を表すものでないと判定した場合に身体上部判定処理を実行するものとした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵芥収集車の塵芥投入口の上方に設置されたカメラと、該カメラにより撮影された画像のデータに基づき塵芥投入口近傍の人物を認識する画像処理装置とを備えた人物認識装置であって、
前記画像処理装置は、
前記画像に含まれる物体像を人物の予め定められた身体上部の特徴データと比較して、前記物体像が前記身体上部を表すものか否かを判定する身体上部判定処理と、前記画像に含まれる物体像を人物の予め定められた身体下部の特徴データと比較して、前記物体像が前記身体下部を表すものか否かを判定する身体下部判定処理とを実行可能な人物判定手段と、
前記人物判定手段により前記身体上部または前記身体下部を表すと判定された物体像が、前記塵芥投入口近傍の所定エリアに入っているか否かを判定する侵入判定手段と、を有し、
前記人物判定手段は、前記身体上部判定処理を実行して前記物体像が前記身体上部を表すものでないと判定した場合に前記身体下部判定処理を実行し、または前記身体下部判定処理を実行して前記物体像が前記身体下部を表すものでないと判定した場合に前記身体上部判定処理を実行する、ことを特徴とする人物認識装置。
【請求項2】
塵芥収集車の塵芥投入口の上方に設置されたカメラと、該カメラにより撮影された画像のデータに基づき塵芥投入口近傍の人物を認識する画像処理装置とを備えた人物認識装置であって、
前記画像処理装置は、
前記塵芥収集車の接地面よりも高い所定の段差場から塵芥を積み込む段差作業が行われているか否かを判定する作業判定手段と、
前記作業判定手段により前記段差作業が行われていないと判定された場合は、前記画像に含まれる物体像を人物の予め定められた身体上部の特徴データと比較して、前記物体像が前記身体上部を表すものか否かを判定し、前記作業判定手段により前記段差作業が行われていると判定された場合は、前記画像に含まれる物体像を人物の予め定められた身体下部の特徴データと比較して、前記物体像が前記身体下部を表すものか否かを判定する人物判定手段と、
前記人物判定手段により前記身体上部または前記身体下部を表すと判定された物体像が、前記塵芥投入口近傍の所定エリアに入っているか否かを判定する侵入判定手段と、
を有する、ことを特徴とする人物認識装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の人物認識装置において、
前記身体上部の特徴データには、前記身体上部への装着物の大きさ、位置および形状が含まれており、
前記身体下部の特徴データには、前記身体下部への装着物の大きさ、位置および形状が含まれている、ことを特徴とする人物認識装置。
【請求項4】
請求項3に記載の人物認識装置において、
前記身体上部の特徴データは、前記塵芥収集車の接地面に立つ人物の予め定められた身体上部の複数の画像の機械学習により取得されたものであり、
前記身体下部の特徴データは、前記身体上部が撮影されない高さ位置に立つ人物の予め定められた身体下部の複数の画像の機械学習により取得されたものである、ことを特徴とする人物認識装置。
【請求項5】
請求項4に記載の人物認識装置において、
前記身体上部は頭部であり、前記身体下部は脚部であることを特徴とする人物認識装置。
【請求項6】
請求項2に記載の人物認識装置において、
前記作業判定手段は、前記画像に含まれる物体像を前記段差場の特徴データと比較して、前記物体像が前記段差場を表すものか否かの判定を行い、前記物体像が前記段差場を表すものでないと判定した場合には前記段差作業が行われていないと判定し、前記物体像が前記段差場を表すものと判定した場合には前記段差作業が行われていると判定する、ことを特徴とする人物認識装置。
【請求項7】
請求項2に記載の人物認識装置において、
所定の接近信号を発信する、前記段差場に設けられた接近信号発信機と、
前記接近信号発信機との距離が所定値以内となる場合に、前記接近信号を検知する、前記塵芥収集車に設けられた接近信号検知装置と、
をさらに備え、
前記画像処理装置の作業判定手段は、前記接近信号検知装置が前記接近信号を検知していない場合には前記段差作業が行われていないと判定し、前記接近信号検知装置が前記接近信号を受信している場合には前記段差作業が行われていると判定する、ことを特徴とする人物認識装置。
【請求項8】
請求項2に記載の人物認識装置において、
衛星測位システムを利用して前記塵芥収集車の位置情報を取得する位置情報取得装置をさらに備え、
前記画像処理装置の作業判定手段は、前記位置情報取得装置が取得した位置情報を参照し、前記塵芥収集車が所定の位置にない場合には前記段差作業が行われていないと判定し、前記塵芥収集車が所定の位置にある場合には前記段差作業が行われていると判定する、ことを特徴とする人物認識装置。
【請求項9】
請求項1、2、6~8のいずれか1つに記載の人物認識装置を備えた塵芥収集車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵芥収集車に備えられ、塵芥投入口近傍の人物を認識する人物認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、塵芥収集車においては、車台の後部に設けられた塵芥投入箱内に塵芥積込装置が装備されており、塵芥投入箱の塵芥投入口から塵芥投入箱内に投入される塵芥を回転板や積込板などによって掻き込んで、塵芥収容箱に積み込むようになっている。また、塵芥収集車には、塵芥を投入する作業者などが不注意によって塵芥積込装置に巻き込まれることを防止する安全性の観点から、塵芥投入口近傍の所定エリアへの人物の侵入有無を判定する人物認識装置が提案されている(たとえば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1の人物認識装置がそうであるように、日射しが撮像レンズに入射し画像のコントラストが低下したり、撮像レンズに雨や雪が付着して視野が遮られたりする問題を防止する関係で、カメラは塵芥収集車の塵芥投入口の上方に設置され、撮像レンズの光軸は下向きに設定される。このため、人物認識装置は、カメラの設置位置との関係で塵芥の積み込み作業時に撮影しやすい人物の頭部の画像に基づき、人物の認識を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-154464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、物流拠点のプラットホームにおいてトラック荷台の高さに対応する高さが設定された段差場から塵芥収集車に塵芥を積み込む場合など、塵芥を積み込む作業者等の人物が立つ位置は、必ずしも塵芥収集車の接地面と同じとは限らない現状がある。
【0006】
そのため、従来の人物認識装置においては、塵芥収集車の接地面よりも高い段差場に立って行う塵芥の積み込み作業の際には、カメラの設置位置との関係で人物の頭部がカメラの撮影範囲からはみ出してしまい人物と認識できないことがある、という問題があった。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、人物の認識がより確実に行われ、もって塵芥投入口近傍の所定エリアへの人物侵入の有無判定がより確実に行われる人物認識装置およびこれを備える塵芥収集車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る人物認識装置は、塵芥収集車の塵芥投入口の上方に設置されたカメラと、該カメラにより撮影された画像のデータに基づき塵芥投入口近傍の人物を認識する画像処理装置とを備えた人物認識装置であって、前記画像処理装置は、前記画像に含まれる物体像を人物の予め定められた身体上部の特徴データと比較して、前記物体像が前記身体上部を表すものか否かを判定する身体上部判定処理と、前記画像に含まれる物体像を人物の予め定められた身体下部の特徴データと比較して、前記物体像が前記身体下部を表すものか否かを判定する身体下部判定処理とを実行可能な人物判定手段と、前記人物判定手段により前記身体上部または前記身体下部を表すと判定された物体像が、前記塵芥投入口近傍の所定エリアに入っているか否かを判定する侵入判定手段と、を有し、前記人物判定手段は、前記身体上部判定処理を実行して前記物体像が前記身体上部を表すものでないと判定した場合に前記身体下部判定処理を実行し、または前記身体下部判定処理を実行して前記物体像が前記身体下部を表すものでないと判定した場合に前記身体上部判定処理を実行する、ことを特徴とする。
【0009】
「身体上部」と「身体下部」は、それぞれ相対的なものであり、身体上で2つ以上の領域を特定した場合において、相対的に上に位置する部分が「身体上部」であり、相対的に下に位置する部分が「身体下部」である。以下、同様である。
【0010】
塵芥収集車の接地面よりも高い所定の段差場に立って行う塵芥の積み込み作業においては、カメラの設置位置との関係で人物の身体上部(たとえば、頭部)がカメラの撮影範囲からはみ出してしまう場合がある。このような場合でも、第1の態様に係る人物認識装置においては、画像処理装置の人物判定手段により、前記画像に含まれる物体像が人物の予め定められた身体下部(たとえば、脚部)の特徴データと比較されて前記物体像が人物の脚部を表すものであるか否かが判定されるので、前記物体像が人物を表すものであるか否かの判定が可能となる。
【0011】
一方、塵芥収集車の接地面である路面等に立って行う塵芥の積み込み作業においては、カメラの設置位置との関係で人物の身体下部(たとえば、脚部)が当該人物の身体上部や前記塵芥収集車の影に隠れてしまう場合がある。このような場合でも、第1の態様に係る人物認識装置においては、画像処理装置の人物判定手段により、前記画像に含まれる物体像が人物の予め定められた身体上部(たとえば、頭部)の特徴データと比較されて前記物体像が人物の頭部を表すものであるか否かが判定されるので、前記物体像が人物を表すものであるか否かの判定が可能となる。
【0012】
もちろん、人物の前記身体上部および前記身体下部の両方が撮影されている場合も、前記物体像が人物を表すものであるか否かの判定が可能である。前記身体上部または前記身体下部を表すと判定された物体像は、前記画像処理装置の侵入判定手段により行われる、前記塵芥投入口近傍の所定エリアに入っているか否かの判定に用いられる。
【0013】
したがって、第1の態様に係る人物認識装置によれば、人物の頭部の画像に基づいて人物の認識を行う従来の人物認識装置と比較して人物の認識がより確実に行われ、もって塵芥投入口近傍の所定エリアへの人物の侵入有無の判定がより確実に行われるようになる。
【0014】
本発明の第2の態様に係る人物認識装置は、塵芥収集車の塵芥投入口の上方に設置されたカメラと、該カメラにより撮影された画像のデータに基づき塵芥投入口近傍の人物を認識する画像処理装置とを備えた人物認識装置であって、前記画像処理装置は、前記塵芥収集車の接地面よりも高い所定の段差場から塵芥を積み込む段差作業が行われているか否かを判定する作業判定手段と、前記作業判定手段により前記段差作業が行われていないと判定された場合は、前記画像に含まれる物体像を人物の予め定められた身体上部の特徴データと比較して、前記物体像が前記身体上部を表すものか否かを判定し、前記作業判定手段により前記段差作業が行われていると判定された場合は、前記画像に含まれる物体像を人物の予め定められた身体下部の特徴データと比較して、前記物体像が前記身体下部を表すものか否かを判定する人物判定手段と、前記人物判定手段により前記身体上部または前記身体下部を表すと判定された物体像が、前記塵芥投入口近傍の所定エリアに入っているか否かを判定する侵入判定手段と、を有する、ことを特徴とする。
【0015】
第2の態様に係る人物認識装置では、前記人物認識装置の作業判定手段により、前記塵芥収集車の接地面よりも高い所定の段差場から塵芥を積み込む段差作業が行われているか否かが判定される。前記作業判定手段により段差作業が行われていないと判定された場合には、つまり、カメラの設置位置との関係で人物の身体上部(たとえば、頭部)が撮影されやすい状況では、前記画像処理装置の人物判定手段により、前記画像に含まれる物体像が人物の予め定められた身体上部(たとえば、頭部)の特徴データと比較されて、前記物体像が前記身体上部(たとえば、頭部)を表すものか否かが判定される。
【0016】
一方、前記人物認識装置の作業判定手段により段差作業が行われていると判定された場合には、つまり、カメラの設置位置との関係で人物の身体上部(たとえば、頭部)がカメラの撮影範囲からはみ出してしまうことが比較的多い状況では、前記画像処理装置の人物判定手段により、前記画像に含まれる物体像が人物の予め定められた身体下部(たとえば、脚部)の特徴データと比較されて、前記物体像が前記身体下部(たとえば、脚部)を表すものか否かが判定される。
【0017】
そして、前記身体上部または前記身体下部を表すと判定された物体像は、前記画像処理装置の侵入判定手段により行われる、前記塵芥投入口近傍の所定エリアに入っているか否かの判定に用いられる。
【0018】
したがって、第2の態様に係る人物認識装置によれば、人物の頭部の画像に基づいて人物の認識を行う従来の人物認識装置と比較して人物の認識がより確実に行われ、もって塵芥投入口近傍の所定エリアへの人物の侵入有無の判定がより確実に行われるようになる。さらに、前記画像に含まれる物体像の特徴データは、人物の予め定められた身体上部の特徴データと身体下部の特徴データのいずれか一方と比較するだけでよいので、第1の態様に係る人物認識装置と比較し、人物の認識に必要な処理の負荷軽減も図られる。
【0019】
本発明の第3の態様に係る人物認識装置は、第1または第2の態様に係る人物認識装置において、前記身体上部の特徴データには、前記身体上部への装着物の大きさ、位置および形状が含まれており、前記身体下部の特徴データには、前記身体下部への装着物の大きさ、位置および形状が含まれていることを特徴とする。
【0020】
本発明の第4の態様に係る人物位置判定部は、第3の態様に係る人物位置判定部において、前記身体上部の特徴データは、前記塵芥収集車の接地面に立つ人物の予め定められた身体上部の複数の画像の機械学習により取得されたものであり、前記身体下部の特徴データは、前記身体上部が撮影されない高さ位置に立つ人物の予め定められた身体下部の複数の画像の機械学習により取得されたものであることを特徴とする。
【0021】
本発明の第5の態様に係る人物認識装置は、第4の態様に係る人物認識装置において、前記身体上部は、頭部であり、前記身体下部は、脚部であることを特徴とする。
【0022】
本発明の第6の態様に係る人物認識装置は、第2の態様に係る人物認識装置において、前記作業判定手段は、前記画像に含まれる物体像を前記段差場の特徴データと比較して、前記物体像が前記段差場を表すものか否かの判定を行い、前記物体像が前記段差場を表すものでないと判定した場合には前記段差作業が行われていないと判定し、前記物体像が前記段差場を表すものと判定した場合には前記段差作業が行われていると判定することを特徴とする。
【0023】
本発明の第7の態様に係る人物認識装置は、第2の態様に係る人物認識装置において、所定の接近信号を発信する、前記段差場に設けられた接近信号発信機と、前記接近信号発信機との距離が所定値以内となる場合に、前記接近信号を検知する、前記塵芥収集車に設けられた接近信号検知装置と、をさらに備え、前記画像処理装置の作業判定手段は、前記接近信号検知装置が前記接近信号を検知していない場合には前記段差作業が行われていないと判定し、前記接近信号検知装置が前記接近信号を受信している場合には前記段差作業が行われていると判定する、ことを特徴とする。
【0024】
本発明の第8の態様に係る人物認識装置は、第2の態様に係る人物認識装置において、衛星測位システムを利用して前記塵芥収集車の位置情報を取得する位置情報取得装置をさらに備え、前記画像処理装置の作業判定手段は、前記位置情報取得装置が取得した位置情報を参照し、前記塵芥収集車が所定の位置にない場合には前記段差作業が行われていないと判定し、前記塵芥収集車が所定の位置にある場合には前記段差作業が行われていると判定する、ことを特徴とする。
【0025】
本発明の第9の態様は、第1または第2の態様の人物認識装置を備えた塵芥収集車である。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る人物認識装置またはこれを備える塵芥収集車によれば、人物の認識が従来よりも確実に行われ、もって塵芥投入口近傍の所定エリアへの人物侵入の有無判定がより確実に行われる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の第1実施形態に係る人物認識装置が適用された塵芥収集車の側面図である。
図2図1の塵芥収集車の塵芥投入箱部分の後面図である。
図3図1の塵芥収集車が備える塵芥積込装置の動作説明図である。
図4図1の塵芥収集車が備えるカメラユニットの正面図(図3の矢印X1方向に視た図)である。
図5図1の塵芥収集車が備える塵芥積込装置の油圧回路を示す図である。
図6図1の塵芥収集車の各種制御に用いる電気回路の一部を示す図である。
図7】道路上にて塵芥投入箱に塵芥(ゴミ袋)を積み込む作業者を側方から見た図である。
図8図4のカメラユニットにより撮影された画像の一例を示す図である。
図9】プラットホーム上にて塵芥投入箱に塵芥(ゴミ袋)を積み込む作業者を側方から見た図である。
図10図4のカメラユニットにより撮影された画像の他の例を示す図である。
図11図1の塵芥収集車が備える制御装置にて実行される処理の流れを説明するフローチャートである。
図12】本発明の第1実施形態に係る人物認識装置にて実行される処理の流れを説明するフローチャートである。
図13図12に示す第1人物認識処理の流れを示すフローチャートである。
図14図12に示す第2人物認識処理の流れを示すフローチャートである。
図15】本発明の第2実施形態に係る人物認識装置にて実行される処理の流れを説明するフローチャートである。
図16図15に示す作業場所判定処理の流れを示すフローチャートである。
図17図15に示す第3人物認識処理の流れを示すフローチャートである。
図18図15に示す第4人物認識処理の流れを示すフローチャートである。
図19】本発明の第3実施形態に係る人物認識装置にて実行される作業場所判定処理の流れを示すフローチャートである。
図20】本発明の第4実施形態に係る人物認識装置にて実行される作業場所判定処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の第1実施形態に係る人物認識装置ついて、添付の図面を参照して説明する。第1実施形態に係る人物認識装置は、図1に示す塵芥収集車100に適用されている。なお、以下の説明において、前後左右は塵芥収集車の進行方向に視たときを基準とする。
【0029】
塵芥収集車100は、図1に示すように、車台1上に塵芥収容箱2と塵芥投入箱3を備える。塵芥収容箱2の後方の開口部と塵芥投入箱3の前面の開口部とは連通している。塵芥投入箱3は、その上部に設けられた左右方向のヒンジ3aによって塵芥収容箱2に対して軸支されており、左右一対の傾動シリンダ(図示省略)により傾動可能になっている。
【0030】
塵芥投入箱3の背面における下寄りの部位には、塵芥を投入するための略矩形状の塵芥投入口4が設けられ、昇降可能なテールゲート5によって塵芥投入口4が開閉されるようになっている。塵芥投入口4の左方側には、塵芥積込装置31(図3)を操作するためのスイッチボックス6が設けられている。また、塵芥投入口4の上方には、塵芥投入口4およびその近傍のエリアを撮影するためのカメラユニット7が設置されている。カメラユニット7は、塵芥投入口4よりも上方に設定された塵芥投入箱3の傾斜後面部(湾曲状の後面部)3bの前方側から後方側に向かって突出する支持部材80を介し、塵芥投入箱3の上部に固定されている。
【0031】
具体的に説明すると、支持部材80は、図2図4に示すように傾斜後面部3bの左右両端部に基端部を有する枠状となっている。カメラユニット7は、支持部材80の後端かつ左右方向中央部に固定されていて、カメラ71、作動中ランプ72、検出ランプ73を有する。
【0032】
カメラ71は、カメラユニット7の左右方向中央部に設けられた凹部74内に取付ブラケット75を介して取り付けられており、撮像レンズ71aの光軸が斜め下方を向くように方向設定されている。このカメラ71は、取付ブラケット75を介して水平軸回りに上下回動可能になっている。カメラユニット7の凹部74の左右両側には、水平面に対して後方上傾状の(車両後方に向かうにつれて上方に傾斜する)固定面7aが設けられている。左側の固定面7aには作動中ランプ72が下向きに取り付けられている。また、右側の固定面7aには、検出ランプ73が下向きに取り付けられている。
【0033】
図3に示すように、塵芥投入箱3の内部には、投入された塵芥Gを塵芥収容箱2に積み込む塵芥積込装置31が備えられている。この塵芥積込装置31により、塵芥投入箱3に投入された塵芥を塵芥投入箱3の前方に連設された塵芥収容箱2へ押し込むようになっている。なお、塵芥収容箱2には、収容した塵芥を排出する図示しない塵芥排出装置が設けられている。
【0034】
塵芥積込装置31は、塵芥投入箱3に投入された塵芥を回転板10の回転によって掻き上げるとともに押込板20よって塵芥収容箱2内へと押し込む、いわゆる回転板式の塵芥積込装置である。塵芥投入箱3内の下部においてその幅方向に延びるように回転軸11が架設され、これに回転板10の基端側が固定されている。図示の例では、回転軸11の端部に減速機構12を介して正逆回転可能な油圧モータ13が連結されている。油圧モータ13の回転が減速機構12によりトルクアップされて回転軸11に伝達され、この回転軸11と一体になって回転板10が回転する。回転板10が回転することにより、回転板10の先端部は、断面略半円弧状に形成された塵芥投入箱3の底壁に沿って前後方向に移動するようになる。
【0035】
一方、押込板20は、回転板10の上方において塵芥投入箱3の幅方向全体に亘って設けられ、その上部に設けられた左右方向の揺動軸21の周りに前後方向に揺動自在に支持されている。また、塵芥投入箱3内において揺動軸21よりも上方であって前方側の位置には支持ピン23が備えられている。そして、押込板20には揺動軸21よりも上方に延びる延設部22が設けられていて、この延設部22と支持ピン23との間には押込シリンダ24が架設されている。この押込シリンダ24を伸縮させることによって、押込板20を前後方向に揺動させるようになっている。
【0036】
ここで、塵芥積込装置31の動作について説明する。図3に実線で示すように、押込板20が揺動して塵芥収容箱2側に最も接近した位置(前進限界位置)にあるときは、この押込板20に干渉することなく回転板10が上方に回動するようになり、これに遅れて押込板20が塵芥投入口4側へ揺動する。そして、押込板20が揺動して塵芥投入口4側に最も接近し、図3に仮想線で示す位置(後退限界位置)に達した後も、回転板10の回動は継続する。
【0037】
このように回転する回転板10は、塵芥を塵芥収容箱2側に掻き込んで、図3に実線で示すように、前方の塵芥収容箱2側に延びる設定停止位置で一旦停止する。そうすると、今度は押込板20が塵芥収容箱2側に揺動して、回転板10上の塵芥を塵芥収容箱2に押し込んでいく。そして、押込板20が再び前進限界位置に達すると、再び回転板10が上方へ回動するようになる。
【0038】
このように互いに同期して回転板10の回転および押込板20の揺動が繰り返されることにより、塵芥投入箱3に投入された塵芥が連続的に塵芥収容箱2に積み込まれる塵芥積込動作が行われる。この回転板10および押込板20を作動させるための油圧回路および制御系の構成について後述する。
【0039】
塵芥投入箱3の内部には、回転板10および押込板20の位置を検出するためのスイッチLS1~LS4が設けられている。具体的には、図3に示すように、押込板20が前進限界位置または後退限界位置にあるときにそれぞれオンになるスイッチLS1,LS2と、回転板10が設定停止位置にあるときにオンになるスイッチLS3と、その設定停止位置から回転板10が正の向き(図1の時計回り)に所定角度回転したときにオンになり、さらに所定角度回転したときにオフになるスイッチLS4とが設けられている。
【0040】
なお、スイッチLS1,LS2は、押込板20の揺動軸21の端部に設けられたドグ(図示省略)を検出するようになっており、スイッチLS3~LS4は、回転板10の回転軸11の端部に設けられたドグ(図示省略)を検出するようになっている。また、これらのスイッチLS1~LS4としては、たとえばリミットスイッチ、光電スイッチ、近接スイッチなどを用いることができる。また、スイッチLS4は、図3にハッチングで示すように、回転板10が塵芥投入口4の前縁部4aの真下から、その後方へ回転しつつ下降して塵芥投入口4の後縁部4bに最も近接するまでの角度範囲Zを検出するもので、回転板10が塵芥投入口4の近傍にて作動していることを検出するためのセンサである。
【0041】
さらに、図1図3に示すように、塵芥投入口4の近傍には、塵芥積込装置31の作動を停止させるための緊急停止ボタン60,61や、緊急停止プレート62などが配設されている。図1に示すように、塵芥投入口4の左側に設けられたスイッチボックス6の側面に緊急停止ボタン60(図6のスイッチSW1に対応)が配設され、また、図3に破線で示すように、塵芥投入口4の右側に緊急停止ボタン61(図6のスイッチSW3に対応)が配設されている。緊急停止プレート62は、塵芥投入口4の下方においてスイッチSW2をオンオフするように配設されている。また、図2に示すように、スイッチボックス6の後面には、停止解除スイッチ63が配設されている。この停止解除スイッチ63はたとえばモーメンタリのスイッチSW4をオンオフするように配設されている。停止解除スイッチ63は、後述するように、画像認識による塵芥積込装置31の塵芥積込動作の緊急停止を一時的に解除する際に操作される。
【0042】
次に、塵芥積込装置31の制御系を構成している油圧回路C(図5)、ならびに制御装置PLC(プログラマブルロジックコントローラ)および画像処理ユニット9を含む電気回路E(図6)について説明する。なお、制御装置PLCは、塵芥積込装置31の駆動だけでなく塵芥排出装置の駆動も制御するようになっている。
【0043】
油圧回路Cは、図5に示すように、油圧ポンプPと、オイルリザーバTと、押込シリンダ24を制御するための第1電磁制御弁V1と、油圧モータ13を制御するための第2電磁制御弁V2とを有する。なお、油圧ポンプPには、図示しないエンジンの動力を取り出すPTO(パワーテイクオフ)によって駆動力が伝達されるようになっている。
【0044】
第1、第2電磁制御弁V1,V2は、いずれも6ポート3位置の電磁式の方向切替弁からなる。第1電磁制御弁V1は、制御装置PLCによりソレノイドSOLaが励磁されると第1連通位置(図5の上位置)に切り替わり、油圧ポンプPからの作動油を一対の押込シリンダ24のロッド側油室に供給する。一方、第1電磁制御弁V1は、制御装置PLCによりソレノイドSOLbが励磁されると第2連通位置(図5の下位置)に切り替わり、作動油をヘッド側油室に供給する。
【0045】
第1電磁制御弁V1から作動油がヘッド側油室に供給されると、一対の押込シリンダ24が伸長して押込板20を前方に揺動させる。一方、作動油がロッド側油室に供給されると、一対の押込シリンダ24は収縮して押込板20を後方に揺動させる。いずれのソレノイドSOLa,SOLbも励磁されていないときには、第1電磁制御弁V1は中立位置(図5の中央位置)に復帰する。
【0046】
第2電磁制御弁V2は、ソレノイドSOLcが励磁されると第1連通位置(図5の下位置)に切り替わり、作動油を油圧モータ13の正転側油室に供給し、油圧モータ13を正転させるほか、押込シリンダ24も伸縮させることができる。一方、ソレノイドSOLdが励磁されると第2電磁制御弁V2は第2連通位置(図5の上位置)に切り替わり、作動油を油圧モータ13の逆転側油室に供給し、油圧モータ13を逆転させる。
【0047】
また、いずれのソレノイドSOLc,SOLdも励磁されていないときに、第2電磁制御弁V2は中立位置(図5の中央位置)に復帰する。第1、第2電磁制御弁V1,V2の両方が中立位置にあるとき、作動油はオイルリザーバTへ還流するようになる。なお、油圧回路Cには、作動油の流れ方向を規制するチェック弁V3、油圧ポンプPの吐出圧上限を調節するためのリリーフ弁V4が設けられている。
【0048】
次に、図6を参照して制御装置PLCおよび画像処理ユニット9における信号の流れを説明する。制御装置PLCへの電力供給はバッテリBTによって行われる。このバッテリBTの正極から図6の右側に延びてグランドラインK1に至る通電ラインK2には、塵芥収集車100のイグニッションスイッチSWK、PTOスイッチSWP、リレーコイルR1などが介設されている。
【0049】
また、通電ラインK2から分岐する通電ラインK3の上流端がイグニッションスイッチSWKとバッテリBTとの間に接続されており、その上流側(バッテリBTに近い側)にはリレーコイルR1の接点(リレースイッチ)r1が介設されている。この通電ラインK3には電源ランプLが介設されており、リレーコイルR1が励磁されて接点r1が閉じられると、通電ラインK3に通電することによって電源ランプLが点灯する。
【0050】
また、通電ラインK3から分岐する通電ラインK4の上流端がリレーコイルR1の接点r1と電源ランプLとの間に接続されており、これにより制御装置PLCの信号用電力供給部(図示省略)に電力が供給されるようになっている。つまり、接点r1が閉じられると、通電ラインK3,K4を介して制御装置PLCに電力が供給される。
【0051】
さらに、通電ラインK4から分岐する通電ラインK5により、塵芥積込装置31の塵芥積込作動中には必ず制御装置PLCに通電されるようになっている。つまり、通電ラインK5は、いわゆる積込継続信号を入力するラインであり、ここには、上述した緊急停止ボタン60,61および緊急停止プレート62の操作に対応して開閉されるスイッチSW1~SW3などが介設されている。これらのスイッチSW1~SW3によって通電(つまり、積込継続信号の入力)が遮断されると、制御装置PLCは、第1、第2電磁制御弁V1,V2のソレノイドSOLa~SOLdを励磁させるための制御信号の出力をオフするようになっている。これにより、第1、第2電磁制御弁V1,V2が中立位置に復帰し、塵芥積込装置31の作動が停止するようになっている。
【0052】
また、通電ラインK4にはその途中から分岐する複数の分岐ラインが接続されており、これらの分岐ラインのそれぞれに、上述したスイッチLS1~LS4が介設されている。スイッチLS1~LS4からの信号は制御装置PLCに入力されるようになっており、これらの信号に基づいて塵芥積込装置31の回転板10および押込板20の位置、つまり、動作状況が検出される。
【0053】
さらに、スイッチLS1~LS4の他にも制御装置PLCへの入力側には、塵芥積込装置31を作動させるための積込スイッチ(積込ボタン)SW5、塵芥積込装置31の塵芥積込動作または塵芥排出装置の塵芥排出動作を切り替えるための切替スイッチSW6、塵芥投入箱3を傾動および開放させるためのスイッチSW7が接続されている。このほか、塵芥積込動作の単動または連続の選択スイッチ(図示省略)、回転板10や押込板20を単独で作動させるスイッチ(図示省略)なども電気的に接続されている。切替スイッチSW6は、通電ラインK4から通電ラインK5が分岐する分岐位置に設けられており、通電ラインK5は切替スイッチSW6の積込側に接続されている。
【0054】
上述のように制御装置PLCの入力側には各種スイッチが接続されている一方、制御装置PLCの出力側には第1、第2電磁制御弁V1,V2のソレノイドSOLa~SOLdなどが接続されている。そして、制御装置PLCは、スイッチSW1~SW3,LS1~LS4などから入力する信号に基づいて、予め設定された手順に従い、油圧モータ13や押込シリンダ24などを作動させるべく、対応するソレノイドSOLa~SOLdに出力するようにプログラムされている。
【0055】
具体的には、塵芥積込装置31が塵芥積込動作するときには、通電ラインK2上のイグニッションスイッチSWKおよびPTOスイッチSWPがいずれもオンになると、リレーコイルR1が励磁される。これにより、リレーコイルR1の接点r1が閉じられるので、通電ラインK3およびK4によって制御装置PLCに電力供給される。これにより、制御装置PLCが作動可能な状態になり、ソレノイドSOLa~SOLdに制御信号を出力しうるようになる。
【0056】
制御信号を受けたソレノイドSOLa~SOLdは励磁され、第1、第2電磁制御弁V1,V2の連通位置が適宜切り替えられ、そして、油圧モータ13や押込シリンダ24などに作動油圧が適宜供給される。これにより、油圧モータ13や押込シリンダ24などがそれぞれ作動し、上述したように回転板10の回転および押込板20の揺動が互いに同期して繰り返されることになる。
【0057】
より詳細には、図3に実線で示すように押込板20が前進限界位置にあり、スイッチLS1からオン信号が出力されるとともに、回転板10が設定停止位置にあり、スイッチLS3からもオン信号が出力されたときに、積込スイッチSW5の信号を受けた制御装置PLCから制御信号が出力される。そして、第2電磁制御弁V2が第1連通位置に切り替えられて油圧モータ13が正転動作を開始し、回転板10が上方に回動し始める。
【0058】
所定の期間が経過すると制御装置PLCからソレノイドSOLaへ制御信号が出力される。これにより、第1電磁制御弁V1が第1連通位置に切り替えられ、押込シリンダ24が収縮動作を開始し、押込板20は後方の塵芥投入口4側へと揺動する。押込板20が後退限界位置に達すると、スイッチLS2からオン信号が出力される。
【0059】
制御装置PLCは、スイッチLS2からのオン信号を受けると、ソレノイドSOLaへの制御信号の出力を停止する。これにより、第1電磁制御弁V1が中立位置に復帰し、押込板20の揺動が停止する。また、押込板20が揺動している間も回転板10の回動は継続し塵芥を塵芥収容箱2側に掻き込んでいくが、こうして回動する回転板10が設定停止位置に至ると、スイッチLS3からオン信号が出力される。
【0060】
制御装置PLCは、スイッチLS3からのオン信号を受けると、ソレノイドSOLcへの制御信号の出力を停止する。これにより、第2電磁制御弁V2が中立位置に復帰し、油圧モータ13の回動が停止する。また、制御装置PLCは、ソレノイドSOLbへ制御信号を出力する。これにより、第1電磁制御弁V1が第2連通位置に切り替えられて、押込シリンダ24が伸長動作を開始し、押込板20が前方に揺動し始める。
【0061】
こうして前方の塵芥収容箱2側に揺動する押込板20が回転板10上の塵芥を塵芥収容箱2に押し込んでいき、前進限界位置に達すれば、スイッチLS1からオン信号が出力される。これを受けて制御装置PLCがソレノイドSOLbへの制御信号の出力を停止することで、第1電磁制御弁V1が中立位置に復帰し、押込シリンダ24の伸長作動、つまり、押込板20の前方への揺動が停止し、一連の動作が終了する。
【0062】
また、図6に示すように、イグニッションスイッチSWKおよびPTOスイッチSWPの間に通電ラインK6の上流端が接続されている。この通電ラインK6には、画像処理ユニット9が接続されている。イグニッションスイッチSWKがオンになると、通電ラインK6を介し、画像処理ユニット9に電力が供給される。画像処理ユニット9は、通電ラインK7を介してカメラユニット7のカメラ71に接続されている。また、画像処理ユニット9には、通電ラインK8を介して、車両の運転操作に基づく後退信号が入力されるようになっている。
【0063】
画像処理ユニット9には、所定のプログラムを実行して各種の制御を行う中央処理部CPU、カメラ71からの画像データを取得し画像処理を行う画像処理部DSP、中央処理部CPUや画像処理部DSPにおいて使用されるデータを記憶するメモリM、中央処理部CPUの指令を受けて監視用のモニタ93(図1参照)に画像処理の結果などを表示させる画像出力部VOPが設けられている。また、画像処理ユニット9には、GNSS(Global Navigation Satellite System)などの衛星測位システムを利用して塵芥収集車100の位置情報を取得する位置情報取得装置GR、予め定められた塵芥積み込み場所に設けられた接近信号発信機から発信される接近信号を検知する接近信号検知装置CR、データログの時刻を計時する計時部C、カメラ71の制御を行うカメラ制御部(図示省略)などが設けられている。画像処理部DSPは、画像処理ロジックを高速で行う集積回路であり、図13のフローチャートに示す人物認識処理を実行する。
【0064】
なお、リレーコイルR1の接点r1よりも上流側には、通電ラインK3から分岐する通電ラインK9の上流端が接続されており、この通電ラインK9を介して計時部Cへの電力供給が行われる。このため、イグニッションスイッチSWKがオフの場合にも、計時部Cへの通電が常時行われるようになっている。
【0065】
ここで、中央処理部CPUおよび画像処理部DSPは、いずれも本発明の画像処理装置を構成している。そして、この画像処理装置と先述のカメラ71は、本発明の人物認識装置を構成している。
【0066】
また、画像処理ユニット9には、通電ラインK5から分岐する通電ラインK10が接続されている。この通電ラインK10は、画像処理ユニット9による人物認識処理に関するもので、塵芥積込装置31の塵芥排出動作の際は作動せず、塵芥積込装置31の塵芥積込動作の際に作動させるための積込信号ラインになっている。通電ラインK10は、切替スイッチSW6の積込側に接続されており、PTOスイッチSWPがオンであって、切替スイッチSW6が積込側に切り替えられている場合に、画像処理ユニット9に積込ライン信号が入力されるようになっている。
【0067】
画像処理ユニット9と制御装置PLCとの間には、作動スイッチSWSが介在する。画像処理ユニット9には、人物安全信号の出力ポートが設けられており、この出力ポートと作動スイッチSWSとが通電ラインK16により接続されている。また、画像処理ユニット9には、データログ開始信号の入力ポートが設けられており、この入力ポートと作動スイッチSWSとが通電ラインK17により接続されている。また、作動スイッチSWSには、通電ラインK10から分岐された通電ラインK15が接続されている。
【0068】
作動スイッチSWSがオン側に切り替えられている場合、通電ラインK16と通電ラインK12を介して画像処理ユニット9の人物安全信号の出力ポートと制御装置PLCが接続される。
【0069】
ここで、画像処理ユニット9から出力される人物安全信号は、通電ラインK16と通電ラインK12とを通って制御装置PLCに入力される。しかし、塵芥積込装置31の塵芥積込動作の際に人物が侵入禁止エリア(後述する図7図10における第2の検知エリアY12)に入ると、画像処理ユニット9から人物安全信号が出力されず、制御装置PLCに人物安全信号が入力されないようになっている。制御装置PLCは、人物安全信号の入力がないことを条件の1つとして、塵芥積込装置31の塵芥積込動作の緊急停止を行うようになっている。
【0070】
また、作動スイッチSWSがオン側に切り替えられている場合、通電ラインK6から分岐する通電ラインK11が通電ラインK17と接続される。この場合、イグニッションスイッチSWKがオンになると、通電ラインK6に通電が行われることにより、通電ラインK11と通電ラインK17を通じて、データログ開始信号が画像処理ユニット9に送られる。そして、それをトリガとしてデータログが実行される。
【0071】
一方、作動スイッチSWSがオフ側に切り替えられている場合、通電ラインK15と通電ラインK12とを介して、通電ラインK10と制御装置PLCとが接続される。この場合、画像処理ユニット9に積込ライン信号が入力されているときに、通電ラインK10からの電圧が、人物安全信号の代わりに制御装置PLCに入力される。このため、画像処理ユニット9が侵入禁止エリアで人物を認識したか否かにかかわらず、制御装置PLCには常に人物安全信号が入力されるようになる。なお、作動スイッチSWSがオフ側に切り替えられている場合、通電ラインK17への通電は行われず、データログは開始されないようになっている。
【0072】
また、画像処理ユニット9と制御装置PLCとの間には、停止解除スイッチ63に対応するスイッチSW4が介在している。スイッチSW4は、通電ラインK10から分岐する通電ラインK13に介設されている。停止解除スイッチ63がオン操作されていない場合には、スイッチSW4がオフ状態になっており、制御装置PLCには、信号が入力されないようになっている。一方、停止解除スイッチ63がオン操作された場合には、スイッチSW4がオン状態になり、画像処理ユニット9に積込ライン信号が入力されているとき、通電ラインK10からの電圧が停止解除のオン信号として制御装置PLCに入力されるようになっている。なお、塵芥積込装置31の塵芥排出動作の際には、画像処理ユニット9に積込ライン信号が入力されないため、停止解除スイッチ63の機能が無効になる。
【0073】
制御装置PLCは、停止解除スイッチ63のオン信号を認識した場合、画像処理ユニット9からの人物安全信号の入力がなくなったとしてもそれを条件として塵芥積込装置31の塵芥積込動作の緊急停止を行わないようになっている。
【0074】
画像処理ユニット9には、運転席周辺に配設されているパイロットランプ(図示省略)、塵芥投入口4の近傍に配設されている作動中ランプ72および検出ランプ73が電気的に接続されており、それらの点灯制御が中央処理部CPUにより行われる。また、画像処理ユニット9には、後退警告音を出力するブザー91が接続されており、この制御についても中央制御部CPUにより行われる。作動中ランプ72、検出ランプ73およびブザー91の低電位側は、通電ラインK14を介してグランドラインK1に接続されている。
【0075】
作動中ランプ72は、原則として画像処理ユニット9に積込ライン信号が入力されている場合にオンされる(点灯される)。検出ランプ73は、原則として画像処理ユニット9に積込ライン信号が入力され、かつ、後述する人物認識処理によって塵芥投入口4近傍の人物検出用エリアに人物が入っていると判定された場合にオンされる(点灯される)。
【0076】
一方、作動中ランプ72および検出ランプ73は、画像処理ユニット9に積込ライン信号が入力されている状態で画像処理ユニット9が塵芥投入口4近傍の人物検出用エリアに人物が入っていると判定したとしても、例外として点灯されない場合がある。この例外とは、停止解除スイッチ63がオンされてから停止解除のオン信号が制御装置PLCに入力されている場合である。この場合、制御装置PLCがリレーコイルR2を励磁してリレースイッチr2が画像処理ユニット9から作動中ランプ72および検出ランプ73への出力を遮断することにより、作動中ランプ72および検出ランプ73は、強制的に消灯されるようになっている。これにより、作業者に対し、画像処理ユニット9の人物認識処理の機能が無効にされていることを、確実に知らせるようになっている。
【0077】
なお、作動中ランプ72および検出ランプ73は、画像処理ユニット9に積込ライン信号が入力されていることを条件にして点灯するものであるため、その入力がない塵芥排出動作を行う場合や車両後退動作を行う場合には、作動中ランプ72および検出ランプ73が消灯されるようになっている。つまり、制御装置PLCは、切替スイッチSW6を塵芥積込動作(積込側)に切り替えた場合には、作動中ランプ72および検出ランプ73の作動を有効(点灯可能)にする一方、切替スイッチSW6を塵芥排出動作(排出側)に切り替えた場合には、作動中ランプ72および検出ランプ73の作動を無効(常時消灯)にする制御を行うようになっている。
【0078】
また、図1に示すように、塵芥投入箱3の背面の上部、言い換えれば、塵芥投入口4の上方にはカメラ71が配設され、その撮像レンズ71a(図4参照)が後方の斜め下に向けられている。図7には、道路上において塵芥投入口4の近傍に立った人物H(作業者)が両腕を前方に伸ばして、塵芥G(図8のごみ袋)を積み込む様子が示されている。また、図9には、プラットホーム上において塵芥投入口4の近傍に立った人物Hが塵芥G(図10のごみ袋)を積み込む様子が示されている。
【0079】
カメラ71の撮像レンズ71aの光軸は、塵芥投入口4の近傍を撮影するために、鉛直下向きからやや後方に振り向けられて、塵芥投入口4の近傍の人物Hおよび塵芥Gを上方から撮影するようになっている。
【0080】
画像処理ユニット9は、カメラ71によって撮影されて画像処理ユニット9に入力された画像のデータに基づき、作業者などの人物Hが塵芥投入口4およびその後方の人物検出用エリア(図8図10において破線で囲まれたエリアと実線で囲まれたエリア)にいるか否かを判定する。そして、制御装置PLCは、画像処理ユニット9が人物検出用エリアに人物Hがいると判定すれば、塵芥積込装置31の作動を停止させるか否かを判定する。
【0081】
積込用の人物検出用エリアは、第1の検知エリアY11(図8図10に破線で示すエリア)と第2の検知エリアY12(図8図10に実線で示すエリア)とに分かれている。第2の検知エリアY12は、第1の検知エリアY11よりも塵芥投入口4の近傍に設けられ、侵入禁止エリアとして設定されている。
【0082】
画像処理ユニット9は、第1の検出エリアY11または第2の検知エリアY12に人物Hがいるか否かを判定し、侵入禁止エリアとしての第2の検知エリアY12に人物Hがいると判定すれば停止信号を制御装置PLCに送る。たとえば、第1の検知エリアY11は、作業者が塵芥積込作業を行う際の通常エリアであり、塵芥投入口4の近傍の矩形のエリアに設定される。第2の検知エリアY12は、塵芥投入口4の前縁部4aと後縁部4b近傍との間の矩形のエリアに設定される。この第2の検知エリアY12は、少なくとも塵芥投入口4の前縁部4a、後縁部4b、左縁部4c、および右縁部4dで囲まれた領域の一部を含むように設定されている。
【0083】
これに加え、塵芥収集車100の後退時、人物Hが塵芥投入口4後方の第3の検知エリアY2(図7図10に1点鎖線で示すエリア)にいるか否かが画像処理ユニット9により判定される。そして、第3の検知エリアY2に人物Hがいると判定すれば、画像処理ユニット9が運転者に報知して注意を喚起するようにしている。第3の検知エリアY2は、たとえば、第2の検知エリアY12、第1の検知エリアY11、およびその後方のエリアを含む矩形のエリアに設定される。なお、モニタ93上には、カメラ71の画像とともに、第1の検知エリアY11の外縁に対応するライン(図8図10に破線で示すライン)、侵入禁止エリアである第2の検知エリアY12の外縁に対応するライン(図8図10に実線で示すライン)、第3の検知エリアY2の外縁に対応するライン(図8図10に1点鎖線で示すライン)が表示されていてもよい。
【0084】
次に、図11を参照して制御装置PLCにて実行される制御処理の流れを説明する。図11における各ステップのうち、ステップS1、S2を除き、いずれも制御装置PLCにより実行される。
【0085】
図11のフローチャートにおいて、ステップS1およびステップS2は、制御装置PLCにおける制御処理の開始となるステップである。ステップS1は、イグニッションスイッチがオフからオンに切り替えられるステップであり、ステップS2は、PTOスイッチSWPがオフからオンに切り替えられ場合に制御装置PLCの電源をオンにするステップである。
【0086】
ステップS3は、ステップS2に続き、停止解除フラグをリセットするステップである。つまり、PTOスイッチSWPのオンに伴い、停止解除フラグが0にされる。
【0087】
ステップS4は、ステップS3に続いて切替スイッチSW6が積込側に切り替えられているか否か(YES/NO)を判定するステップである。ステップS4において、YESと判定した場合にはステップS5に移行し、NOと判定した場合にはステップS14に移行する。
【0088】
ステップS5は、停止解除フラグが1であるか否か(YES/NO)を判定するステップである。ステップS5において、NOと判定した場合にはステップS6に移行し、YESと判定した場合にはステップS8に移行する。
【0089】
ステップS6は、停止解除スイッチ63をオフからオンに切り替える操作が行われたか否か(YES/NO)を判定するステップである。ステップS6において、YESと判定した場合にはステップS7に移行し、NOと判定した場合にはステップS10に移行する。
【0090】
ステップS7は、停止解除スイッチ63がオフからオンに操作されたことに伴い停止解除フラグを1にセットするステップである。
【0091】
ステップS8は、制御装置PLCにより実行され、リレーコイルR2を励磁してリレースイッチr2をオフに切り替えるステップである。
【0092】
ステップS9は、検出ランプ73および作動中ランプ72を消灯するステップである。
【0093】
ステップS10は、積込スイッチSW5がオンになったか否か(YES/NO)を判定するステップである。制御装置PLCは、ステップS10においてNOと判定した場合には積込スイッチSW5がオン(YES)になるまで待機し、ステップS10においてYESと判定した場合にはステップS11に移行する。
【0094】
ステップS11は、塵芥積込装置31の塵芥積込動作を実行するするステップである。ステップS12は、ステップS11に続いて緊急停止ボタン60,61または緊急停止プレート62がオンになったか否か(YES/NO)を判定するステップである。
【0095】
ステップS12においてYESと判定した場合にはステップS13に移行し、NOと判定した場合にはステップS15に移行する。
【0096】
ステップS13は、塵芥積込装置31の塵芥積込動作の緊急停止を実行するステップである。
【0097】
ステップS14は、ステップS13または後述するステップ19に続き、あるいはステップS4においてNOと判定した場合に実行され、制御装置PLCの電源がオンからオフに切り替えられたか否か(YES/NO)を判定するステップである。ステップS14において制御装置PLCの電源がオフになった(YES)と判定した場合には、制御装置PLCによる処理を終了する。他方、ステップS14において制御装置PLCの電源がオンのままである(NO)と判定した場合にはステップS4に戻り、ステップS4以降の処理を実行する。
【0098】
ステップS15は、塵芥積込装置31の回転板10が危険な角度範囲Z(図3参照)にあるか否か(YES/NO)を判定するステップである。この判定は、スイッチLS4からの信号の有無に基づいて行われる。ステップS15においてYESと判定した場合にはステップS16に移行し、NOと判定した場合にはステップS18に移行する。
【0099】
ステップS16は、画像処理ユニット9から人物安全信号の入力がなかったか否か(YES/NO)を判定するステップである。ステップS16においてYESと判定した場合にはステップS17に移行し、NOと判定した場合にはステップS18に移行する。
【0100】
人物安全信号は、後述する画像処理ユニット9にて実行される処理に応じ、画像処理ユニット9から入力される。具体的には、作動スイッチSWSがオンであって、塵芥積込装置31の塵芥積込動作の際に人物が第1の検知エリアY11に入っている場合には、画像処理ユニット9から人物安全信号が出力され、制御装置PLCに人物安全信号が入力される(図12のステップS119)。また、人物が第2の検知エリアY12に入っている場合には、画像処理ユニット9から人物安全信号が出力されず、制御装置PLCに人物安全信号が入力されない(図12のステップS114)。他方、作動スイッチSWSがオフの場合、塵芥積込装置31の塵芥積込動作の際に人物が第1の検知エリアY11または第2の検知エリアY12で検出されるか否かにかかわらず、制御装置PLCに人物安全信号が入力される(図12のステップS117)。なお、仮に塵芥積込装置31の塵芥積込動作途中に突然画像処理ユニット9が故障することにより画像処理ユニット9から人物安全信号が出力されなくなった場合には、制御装置PLCに人物安全信号が入力されなくなる。
【0101】
ステップS17は、停止解除フラグが0であるか否か(YES/NO)を判定するステップである。ステップS17においてYESと判定した場合にはステップS13に移行して塵芥積込装置31の塵芥積込動作を緊急停止し、NOと判定した場合にはステップS18に移行する。
【0102】
ステップS18は、塵芥積込装置31の回転板10が塵芥積込動作を停止する際の停止位置(1サイクル停止位置)にあるか否か(YES/NO)を判定するステップである。ステップS18においてNOと判定した場合にはステップS11に戻り、再度ステップS11以降の処理を実行する。他方、ステップS18においてYESと判定した場合にはステップS19に移行する。
【0103】
ステップS19は、塵芥積込装置31の塵芥積込動作を通常停止(1サイクル停止位置で停止)するステップである。
【0104】
続いて、図12を参照して画像処理ユニット9にて実行される制御処理の流れについて説明する。図12におけるステップS101、S108、S124を除く各処理は、いずれも画像処理ユニット9の中央処理部CPUにて実行される。
【0105】
図12において、ステップS101は、イグニッションスイッチSWKをオフからオンに切り替える操作が行われた場合に、画像処理ユニット9の電源をオフからオンにするステップである。
【0106】
ステップS102は、画像処理ユニット9の初期化処理(起動処理)を行うステップである。なお、画像処理ユニット9の初期化処理が終了するまでは、画像処理ユニット9は、後述の人物安全信号を出力せず、また、作動中ランプ72および検出ランプ73へのオン信号も出力しないようになっている。
【0107】
仮に、画像処理ユニット9の初期化処理中に作業者がPTOスイッチSWPをオンにした場合には、制御装置PLCが画像処理ユニット9から人物安全信号の入力がないと認識する。この場合には、作業者がPTOスイッチSWPのオンに引き続き積込ボタン64を押したとしても、制御装置PLCは、人物安全信号の入力がないことに基づき、塵芥積込装置31を駆動させない制御を行う。
【0108】
ステップS103は、画像処理ユニット9が正常に作動しているか否か(YES/NO)を判定するステップである。そして、ステップS103においてYESと判定した場合にはステップS104に移行し、NOと判定した場合にはステップS120に移行する。
【0109】
画像処理ユニット9は、ステップS120において作動中ランプ72を点灯させない処理を行い、S121において基板上に設けられたエラー表示灯を点灯させたあと、ステップS115の処理に移行する。
【0110】
ステップS104は、車両の運転操作に基づく後退信号が入力されていないか否か(YES/NO)を判定するステップである。後退信号は、車両の後退操作が有った場合に通電ラインK8を介して画像処理ユニット9に入力され、この後退信号の有無に基づいてステップS104の判定が行われる。そして、ステップS104においてYESと判定した場合にはステップS105に移行し、NOと判定した場合にはステップS122に移行する。
【0111】
ステップS105は、積込ライン信号が入力されたか否か(YES/NO)を判定するステップである。積込ライン信号は、PTOスイッチSWPがオンであって且つ切替スイッチSW6が積込側に切り替えられている場合に、通電ラインK10を介して画像処理ユニット9に入力される。この積込ライン信号の有無に基づいて、ステップS105の判定が行われる。ステップS105においてYESと判定した場合にはステップS106に移行し、NOと判定した場合にはステップS104に戻る。
【0112】
ステップS106は、作動中ランプ72を点灯させるステップである。
【0113】
ステップS107は、ステップS106に続いて実行され、第1人物認識処理に用いる特徴データ(辞書データ)を積込用の特徴データに設定し、人物検出判定に用いる検知エリアを積込用の人物検出用エリアに設定するステップである。
【0114】
積込用の特徴データは、後述する第1人物認識処理(ステップS108)の際に参照されるものであって、画像処理ユニット9のメモリMに格納されている。この積込用の特徴データは、人物における身体上部のうちの頭部に関する積込用の特徴データと、身体下部のうちの脚部に関する積込用の特徴データとを含む。
【0115】
補足すると、塵芥収集車100では、図1等に示すように塵芥投入口4上方にカメラ71が設置され、下方の塵芥投入口4近傍をほぼ真上から撮影するようにしている。このため、図7に示すよう、人物Hの立つ位置が塵芥収集車100の接地面と同じ高さとなる道路R上での塵芥積み込み作業においては、図8の例示の如くカメラ71の画像には主に人物Hの頭部が表示されるとともに顔の一部も表示される。他方、図9に示すよう、人物Hが立つ位置がプラットホームなどの段差場Sであり塵芥収集車100の接地面よりも高い位置に立つ塵芥積み込み作業においては、この限りではない。プラットホームなどの段差場Sでの作業においては、図10の例示の如く人物Hの頭部を含む身体上部がカメラ71の撮影範囲から一部はみ出してしまい、身体下部の一定範囲だけが表示されることが少なくない。このため、積込用の特徴データとして、先述のように頭部に関するものと脚部に関するものとを用意している。
【0116】
人物の頭部に関する積込用の特徴データは、予め多くの人物の頭部の画像を撮影してその大きさや形状などの特徴を抽出したものである。ただし、図8の例に示すように、塵芥収集車100の接地面と同じ高さに立つ人物H等の頭部を対象とし、そのような頭部を上方から見たときの当該頭部の特徴を主体としている。また、人物の脚部に関する積込用の特徴データも、予め多くの人物の脚部の画像を撮影してその大きさや形状などの特徴を抽出したものである。ただし、図10の例に示すように、人物Hの頭部が撮影されない高さ位置に立つ人物H等の脚部を対象とし、そのような脚部を上方から見たときの当該脚部の特徴を主体としている。
【0117】
人物の頭部に関する積込用の特徴データには、たとえば、帽子、ヘルメット、およびその他の頭部への装着物の大きさ、位置、および形状が含まれている。また、人物の脚部に関する積込用の特徴データには、作業着、靴、およびその他の脚部への装着物の大きさ、位置および形状が含まれている。
【0118】
積込用の人物検出用エリアは、人物検出判定の際に用いられるものであり、画像処理ユニット9のメモリMに格納されている。先述のとおり、積込用の人物検出用エリアは、作業者が塵芥積込作業を行う際の通常エリアとして設定された第1の検知エリアY11と、侵入禁止エリアとしての第2の検知エリアY12とに分かれており、それぞれのエリアがメモリMに格納されている。
【0119】
ステップS108は、ステップS107に続いて画像処理ユニット9の中央処理部CPUが画像処理部DSPに第1人物認識処理を実行させるステップである。図13を参照して画像処理部DSPにて実行される第1人物認識処理について説明する。
【0120】
図13において、ステップS181は、カメラ71によって撮影され画像処理ユニット9に入力された画像データに対して二値化処理を行うステップである。この二値化処理は、たとえば、画像データについて各画素の輝度値が予め設定された閾値以上である場合に最大輝度値とし、閾値未満であれば最小輝度値とする処理である。生成される二値化画像データは、ノイズや光量変化の影響の多くが除去されたものとなる。
【0121】
ステップS182は、第1ラベリング処理を行うステップである。この第1ラベリング処理では、ラベリング処理と頭部判定処理とを行う。
【0122】
第1ラベリング処理におけるラベリング処理は、二値化画像データにおいて互いに近接する各画素を領域化するものであり、たとえば同じ輝度値に属しかつ所定距離内で密接する複数の画素について1つの領域とみなす処理である。ラベリング処理は画像平面全体について行われ、これにより1つの領域とされたものがそれぞれ物体像として認識される。
【0123】
第1ラベリング処理における頭部判定処理は、予め用意されている人物の頭部に関する積込用の特徴データを参照し、上記ラベリング処理で認識されたそれぞれの物体像の中から、人物の頭部に関する積込用の特徴データの条件を満たす物体像を抽出する処理である。そのような条件を満たす物体像の有無を示す情報は、画像処理ユニット9のメモリMに格納される。
【0124】
ステップS183は、ステップS182に続いて実行され、ステップS182にてメモリMに格納された第1ラベリング処理の結果を参照し、人物の頭部に関する積込用の特徴データの条件を満たす物体像があるか否か(YES/NO)を判定するステップである。ステップS183においてYESと判定した場合にはステップS184に移行し、NOと判定した場合にはステップS190の処理に移行する。
【0125】
ステップS184は、ステップS182で抽出された頭部に関する積込用の特徴データの条件を満たす物体像を、頭部識別対象として設定するステップである。なお、このような条件を満たす物体像が複数ある場合には、それぞれの当該物体像を頭部識別対象として設定する。
【0126】
ステップS185は、ステップS184で設定した頭部識別対象を頭部であるか否かを識別するステップである。このステップS185において、画像処理部DSPは、カメラ71から時系列で入力される複数の画像データの差分処理(各画素毎の輝度値の差を求める処理)によって、物体像の位置の変化を検出する。この位置の変化、つまり、物体像の移動距離を、それに要した時間(画像データを取得する時間間隔)で除算して、物体像の移動速度を算出する。
【0127】
ステップS186は、ステップS185で算出した移動速度が予め設定した閾値以下であるか否か(YES/NO)を判定する。この閾値は、塵芥投入口4に塵芥を投入する作業者の頭部の移動速度と、投入される塵芥の移動速度とを区別できるように、予め実験を通じて設定されている。
【0128】
このステップS186においてYESと判定した場合には、頭部識別対象とした物体像は人物の頭部を表すものであると判定し、ステップS187の処理に移行する。他方、ステップS186においてNOと判定した場合には、動きが速すぎるので頭部識別対象とした物体像は人物Hの頭部を表すものではなく塵芥であると判定し、ステップS190の処理に移行する。このステップS185およびステップS186の処理は、人物の頭部と形状および色の近い、たとえば黒色のゴミ袋と判別するために設けられている。
【0129】
ステップS187は、人物検出信号を出力するステップである。この人物検出信号は、後述する図12のステップS111において画像処理ユニット9の中央処理部CPUにより参照され、人物の検出ランプ73の出力条件となる信号である。
【0130】
ステップS188は、ステップS187に続いて実行され、人物の頭部であると判定した物体像が先述の第2の検知エリアY12に入っているか否か(YES/NO)を判定するステップである。ステップS188の判定は、たとえば、物体像を形成する領域の外形をなす画素の位置座標の少なくとも一部が第2の検知エリアY12に含まれているか否かによって判定される。ステップS188においてYESと判定した場合にはステップS189の処理に移行し、NOと判定した場合には処理を終了する。
【0131】
ステップS189は、停止信号を出力するステップである。この停止信号は、後述するように画像処理ユニット9の中央処理部CPUにより参照され、人物安全信号を出力しないとする処理(図12のステップS112→ステップS114)の実行条件となる。人物安全信号が出力されないと、図11のステップS16→S13の流れに沿う処理が行われ、塵芥積込装置31の動作は停止する。ステップS189で停止信号を出力したときは、第1人物認識処理を終了する。
【0132】
先述のステップS183において、頭部に関する積込用の特徴データの条件を満たすような物体像がない(NO)と判定した場合、またはステップS186において、算出された移動速度が閾値よりも高い(NO)と判定した場合には、ステップS190の処理に移行する。
【0133】
ステップS190は、第2ラベリング処理を行うステップである。この第2ラベリング処理では、ラベリング処理と脚部判定処理とを行う。
【0134】
第2ラベリング処理におけるラベリング処理は、第1ラベリング処理の場合と同様に、ステップS181において生成された二値化画像データにおいて互いに近接する各画素を領域化するものであり、たとえば同じ輝度値に属するとともに、所定距離内で密接する複数の画素について1つの領域とみなす処理である。ラベリング処理は画像平面全体について行われ、これにより1つの領域とされたものが、それぞれ物体像として認識される。
【0135】
第2ラベリング処理における脚部判定処理は、予め用意されている人物の脚部に関する積込用の特徴データを参照し、上記ラベリング処理で認識されたそれぞれの物体像の中から、人物の脚部に関する積込用の特徴データの条件を満たす物体像を抽出する処理である。そのような条件を満たす物体像の有無を示す情報は、画像処理ユニット9のメモリMに格納される。
【0136】
ステップS191は、ステップS190に続いて実行され、ステップS190でメモリMに格納された第2ラベリング処理の結果を参照し、人物の脚部に関する積込用の特徴データの条件を満たす物体像があるか否か(YES/NO)を判定するステップである。ステップS191においてYESと判定した場合にはステップS192に移行し、NOと判定した場合には処理を終了する。
【0137】
ステップS192は、ステップS191において人物の脚部に関する積込用の特徴データの条件を満たす物体像がある(YES)と判定した場合に、その物体像を人物の脚部と判定するステップである。ステップS192においては、頭部の判定と異なり、ステップS185~S186に対応する移動速度に関する処理を行うことなく人物の脚部と判定する。脚部の形状は塵芥と大きくことなることが多いため、移動速度による塵芥とのさらなる識別の必要性が乏しいことによる。
【0138】
図12のフローチャートに戻る。ステップS109は、作動スイッチSWSがオンか否か(YES/NO)を判定するステップである。ステップS109においてYESと判定した場合にはステップS110に移行し、NOと判定した場合にはステップS116に移行する。
【0139】
ステップS110は、上述したステップS108の第1人物認識処理の処理結果(ログ)をメモリMに保存するステップである。このステップS110において、人物検出信号の出力(ステップS187)の有無や、停止信号の出力(ステップS189)の有無が画像処理ユニット9のメモリMに保存される。
【0140】
ステップS111は、ステップS110に続いて実行され、ステップS108の第1人物認識処理において第1の検知エリアY11または第2の検知エリアY12内に人物が検出されたか否か(YES/NO)を判定するステップである。この際、中央制御部CPUは、画像処理ユニット9のメモリMを参照することにより、人物検出信号の出力があったか否かを判定する。ステップS111においてYESと判定した場合にはステップS112に移行し、NOと判定した場合にはステップS116に移行する。
【0141】
ステップS112は、ステップS108の第1人物認識処理において侵入禁止エリアとしての第2の検知エリアY12内に人物が侵入したか否か(YES/NO)を判定するステップである。この際、中央処理部CPUは、画像処理ユニット9のメモリMを参照することにより、停止信号の出力があったか否かを判定する。このステップS112においてYESと判定した場合にはステップS113に移行し、NOと判定した場合にはステップS118に移行する。
【0142】
ステップS113は、検出ランプ73のオン信号を出力するステップであり、続くステップS114は、人物安全信号を制御装置PLCに出力しないとするステップである。
【0143】
ステップS116は、検出ランプ73のオン信号を出力しないとするステップであり、続くステップS117は、人物安全信号を制御装置PLCに出力するステップである。
【0144】
ステップS118は、検出ランプ73のオン信号を出力するステップであり、続くステップS119は、人物安全信号を制御装置PLCに出力するステップである。ステップS114、117、119の各処理が行われると、ステップS115の処理に移行する。
【0145】
ステップS115は、画像処理ユニット9の電源がオンからオフに切り替えられたか否か(YES/NO)を判定するステップである。ステップS115においてYESと判定した場合には、処理を終了する。他方、ステップS115においてNOと判定した場合には、ステップS103に戻り、ステップS103以降の処理を繰り返す。
【0146】
先述のステップS104の判定において後退信号の入力が有る(NO)と判定された場合には、ステップS122に移行して中央処理部CPUにより作動中ランプ72が点灯される。そして、ステップS123以降の処理を実行する。
【0147】
ステップS123は、人物認識処理に用いる特徴データ(辞書データ)を後退用の特徴データに設定し、人物検出判定に用いる検知エリアを後退用の人物検出用エリアに設定するステップである。
【0148】
後退用の特徴データは、人物の頭部に関する後退用の特徴データと人物の脚部に関する後退用の特徴データとを含む。人物の頭部に関する後退用の特徴データは、積込用の特徴データと同様、予め多くの人物の頭部の画像を撮影して、その大きさや形状などの特徴を抽出したものである。ただし、この後退用の特徴データとして抽出される特徴については、上述した積込用の特徴データよりも前方寄りの斜め上方から見たときの頭部形状を主体としている。
【0149】
また、人物の脚部に関する後退用の特徴データも、積込用の特徴データと同様、予め多くの人物の脚部の画像を撮影して、その大きさや形状などの特徴を抽出したものである。ただし、この後退用の特徴データとして抽出される特徴については、上述した積込用の特徴データよりも前方寄りの斜め上方から見たときの脚部形状を主体としている。
【0150】
後退用の人物検出用エリアは、後退時の人物検出判定の際に用いられるものであり、画像処理ユニット9のメモリMに格納されている。本実施形態の後退用の人物検出用エリアは、第2の検知エリアY12、第1の検知エリアY11、およびその後方のエリアを含む第3の検知エリアY2に設定される。
【0151】
ステップS124は、画像処理ユニット9の画像処理部DSPにより実行され、第2人物認識処理を行うステップである。第2人物認識処理の流れを図14に示す。この第2人物認識処理は、先述のステップS108の第1人物認識処理(図13参照)と少し異なっている。具体的には、ステップS124の第2人物認識処理では、ステップS123で設定された頭部に関する後退用の特徴データと脚部に関する後退用の特徴データとが用いられる。そして、各後退用の特徴データの条件を満たすような物体像を人物の頭部または脚部と判定する。また、後退時には塵芥積込装置31は最初から動作停止状態なので、図14に示すように、図13の第1人物認識処理におけるステップS188~ステップS189の処理は省略されている。第2人物認識処理におけるステップS181~S187、S190~S192の処理は、図13の第1人物認識処理におけるステップS181~S187、S190~S192の処理と同様である。
【0152】
ステップS125は、先述のステップS124の第2人物認識処理の処理結果(ログ)をメモリMに保存するステップである。
【0153】
ステップS126は、ステップS124の第2人物認識処理によって第3の検知エリアY2内に人物が検出されたか否か(YES/NO)を判定するステップである。このステップのS126の処理は、画像処理ユニット9のメモリMを参照して人物検出信号の出力があったか否かに基づいて行われる。ステップS126においてYESと判定した場合にはステップS127に移行し、NOと判定した場合にはステップS128に移行する。
【0154】
ステップS127は、第3の検知エリアY2内に人物が検出されている場合に実行され、ブザー91を作動させて後退警告音を出力するステップである。
【0155】
ステップS128は、第3の検知エリアY2内に人物が検出されていない場合に実行され、ブザー91を作動させないとするステップである。各ステップ127,S128の処理が実行されたときも、ステップS115に移行する。
【0156】
以上、第1実施形態の人物認識装置では、カメラ71により人物の頭部が撮影されうる道路R上での作業(図7参照)のみならず、人物の頭部がカメラ71の撮影範囲からはみ出し脚部のみが撮影されるようなプラットホームの如き段差場S上での作業(図9参照)においても、侵入禁止エリア(第2の検知エリアY12)への人物の侵入有無の判定を行える。よって、本実施形態の人物認識装置によれば、人物の頭部の画像のみに基づいて侵入禁止エリアへの人物の侵入有無の判定を行う従来の人物認識装置と比較し、当該判定をより確実に行えるようになる。その結果、塵芥収集車100の安全性がより高められる。
【0157】
次に、本発明の第2実施形態に係る人物認識装置を説明する。第2実施形態に係る人物認識装置は、第1実施形態に係る人物認識装置の画像処理ユニットにて実行される処理の流れを変更した例である。なお、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付して説明を省略する。
【0158】
第2実施形態に係る人物認識装置では、図15に示すように、ステップS105においてYESと判定した場合には、ステップS201の処理を実行するようになっている。他方、ステップS105においてNOと判定した場合には、第1実施形態に係る人物認識装置と同様にステップS104に戻る。
【0159】
ステップS201は、画像処理ユニット9の中央処理部CPUにより実行され、積込ライン信号がオフからオンになったか否か(YES/NO)を判定するステップである。すなわち、このステップS201においては、先述の図6に示す切替スイッチSW6が積込側の状態でPTOスイッチSWPがオンになったか否か、あるいは、PTOスイッチSWPがオンの状態で切替スイッチSW6が排出側から積込側に切り替えられたか否かが判定される。ステップS201においてYESと判定した場合にはステップS202に移行し、NOと判定した場合にはステップS106に移行する。
【0160】
ステップS202は、画像処理部DSPにより実行され、現在行われている塵芥積み込みの作業場所を判定するステップである。図16を参照してステップS202の作業場所判定処理について説明する。
【0161】
図16において、ステップS301は、カメラ71によって撮影され画像処理ユニット9に入力された画像データに対して二値化処理を行うステップである。二値化処理については、図13に示す第1人物認識処理における二値化処理(ステップS181)と同様である。
【0162】
ステップS302は、第3ラベリング処理を行うステップである。この第3ラベリング処理では、ラベリング処理と作業場所識別処理とを行う。
【0163】
第3ラベリング処理におけるラベリング処理は、図13に示す第1人物認識処理におけるラベリング処理と同様である。第3ラベリング処理における作業場所識別処理は、予め選定された段差のある所定の作業場所の特徴データを参照し、上記ラベリング処理で認識された物体像の中から、その特徴データの条件を満たす物体像を抽出する処理である。そのような条件を満たす物体像の有無を示す情報は、画像処理ユニット9のメモリMに格納される。
【0164】
ステップS303は、ステップS302に続いて実行され、ステップS302でメモリMに格納された第3ラベリング処理の結果を参照し、上記作業場所の特徴データの条件を満たす物体像があるか否か(YES/NO)を判定するステップである。ステップS303においてYESと判定した場合にはステップS304に移行し、NOと判定した場合にはステップS305に移行する。
【0165】
ステップS304は、現在の積み込み作業は予め選定された段差のある所定の作業場所にて行われていると判定するステップである。また、ステップS305は、現在の積み込み作業は予め選定された段差のある所定の作業場所にて行われていないと判定するステップである。ステップS304,S305において、上記所定の作業場所での作業が行われているか否かを示す情報が画像処理ユニット9のメモリMに格納される。
【0166】
図15において、ステップS203は、画像処理ユニット9の中央処理部CPUが画像処理部DSPに第3人物認識処理を実行させるステップであり、第1実施形態における図12のステップS108に対応するステップである。図17を参照して画像処理部DSPにて実行される第3人物認識処理について説明する。
【0167】
図17において、ステップS401は、所定の作業場所での作業が行われているか否か(YES/NO)を判定するステップである。この判定は、図16に示す作業場所判定処理のステップS304,S305においてメモリMに格納された、段差のある所定の作業場所での作業が行われているか否かを示す情報の参照により行われる。ステップS401においてYESと判定した場合にはステップS402に移行し、NOと判定した場合にはステップS403に移行する。
【0168】
ステップS402は、図13に示す第1人物認識処理における二値化処理(ステップS181)と同様の処理を行うステップである。このステップS402は、ステップS401において段差のある所定の作業場所での作業が行われていない(YES)と判定したことを条件として実行する。
【0169】
ステップS402の処理のあとは、図13に示す第1人物認識処理と同様の処理が実行される。すなわち、人物の頭部に関する積込用の特徴データの条件を満たす物体像があるか否かの処理が行われ、その結果、塵芥積込装置31の作動を停止させるための停止信号が出力されうる。ただし、第1人物認識処理におけるステップS183,S186に対応するステップS404,ステップS405の判定処理については、判定の結果に応じた処理の移行先が異なっている。
【0170】
ステップS404においてYESと判定した場合には図13に示す第1人物認識処理と同様の処理が実行される一方、NOと判定した場合には第3人物認識処理を終了する。本実施形態の第3人物認識処理は、第1人物認識処理と異なり、人物の頭部が撮影されやすい状況での作業(ステップS401でYES)であることを条件に行われる。そのため、ステップS404でNOと判定した場合には、人物の脚部に関する積込用の特徴データの条件を満たす物体像があるか否かの判定を行わず処理を終了するようにしている。
【0171】
同様に、ステップS405においてYESと判定した場合には図13に示す第1人物認識処理と同様の処理が実行される一方、NOと判定した場合には第3人物認識処理を終了する。つまり、ステップS404と同様の理由から、ステップS405でNOと判定した場合には、人物の脚部に関する積込用の特徴データの条件を満たす物体像があるか否かの判定を行わず処理を終了するようにしている。
【0172】
ステップS403は、図13に示す第1人物認識処理における二値化処理(ステップS181)と同様の処理を行うステップである。このステップS403は、ステップS401において段差のある所定の作業場所での作業である(NO)と判定したことを条件に実行する。言い換えると、このステップS403は、人物の頭部がカメラ71の撮影範囲からはみ出しやすい一方で、人物の脚部が撮影されやすい状況での作業が行われている場合に実行する。
【0173】
ステップS403の処理のあとは、図13に示す第1人物認識処理と同様の処理が実行される。すなわち、人物の脚部に関する積込用の特徴データの条件を満たす物体像があるか否かの判定処理が行われ、その結果、塵芥積込装置31の動作を停止させるための停止信号が出力されうる。
【0174】
図15において、ステップS204は、画像処理ユニット9の中央処理部CPUが画像処理部DSPに第4人物認識処理を実行させるステップであり、第1実施形態におけるステップS124に対応するステップである。図18を参照して第4人物認識処理を説明する。
【0175】
第4人物認識処理は、画像内の物体像を脚部に関する後退用の特徴データと比較して人物の脚部であるか否かを判定するステップを含まない。具体的には、図18に示すように、ステップS501においてYESと判定した場合には図14に示す第2人物認識処理と同様の処理を実行する一方、NOと判定した場合には、図14のステップS190~S192のような処理を実行することなく第4人物認識処理を終了する。これは、塵芥収集車100の後退時においてはプラットホームなどの段差場上に立つ人物の脚部を認識する必要がないためである。
【0176】
また、後退時には塵芥積込装置31は最初から動作停止状態なので、図13のステップS188~ステップS189に相当する処理は省略されている。
【0177】
以上、第2実施形態の人物認識装置では、第1実施形態の人物認識装置と同様に人物の頭部の画像のみに基づいて侵入禁止エリアへの人物の侵入有無の判定を行う従来の人物認識装置と比較し、当該判定をより確実に行えるようになる。
【0178】
また、第2実施形態の人物認識装置では、第3人物認識処理(図15のステップ203)に先立って、作業場所判定処理(図15のステップS202)において予め選定された段差のある所定の作業場所で積み込み作業が行われているか否かが判定される。そして、段差のある作業場所において積み込み作業が行われていないとの判定(図16のステップS303→ステップS305の処理)が行われた場合には、言い換えると、カメラ71の設置位置との関係で人物の頭部が撮影されやすい状況においては、人物の頭部の特徴データとの比較により画像内の物体像が人物の頭部を表すものか否かの判定処理に移行する(図17のステップS401→ステップS402)。他方、作業場所判定処理(図15のステップS202)にて上記作業場所での積み込み作業が行われているとの判定(図16のステップS303→ステップS304の処理)が行われた場合には、言い換えると、カメラ71の設置位置との関係で人物の頭部がカメラ71の撮影範囲からはみ出してしまうことが比較的多い状況においては、人物の脚部の特徴データとの比較により画像内の物体像が人物の脚部を表すものか否かの判定処理に移行するようになっている(図17のステップS401→ステップS403)。
【0179】
要するに、第2実施形態の人物認識装置によれば、人物の頭部の特徴データと比較して行う人物の認識処理を行うのが好ましいか、または人物の脚部の特徴データと比較して行う人物の認識処理を行うのが好ましいか、塵芥積み込みの作業場所に応じて適宜自動的に選択され、いずれか一方の処理のみが実行される。したがって、第1実施形態の人物認識装置と比較し、人物の認識処理における処理負荷を抑えることができる。
【0180】
次に、本発明の第3実施形態に係る人物認識装置を説明する。第3実施形態に係る人物認識装置は、第2実施形態に係る人物認識装置の作業場所判定処理(図15のステップS202)を変更した例である。他の構成については、第2実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0181】
図19を参照して第3実施形態の作業場所判定処理を説明する。図19において、ステップS601は、たとえば画像処理ユニット9の中央処理部CPUにより実行され、図6に示す接近信号検知装置CRが、段差場に設けられた接近信号発信機により発信される所定の接近信号を検知しているか否か(YES/NO)を判定するステップである。ステップS601でYESと判定した場合にはステップS602に移行し、NOと判定した場合にはステップS603に移行する。
【0182】
ここで、接近信号検知装置CRは、接近信号発信機との距離が所定値以内となる場合に、接近信号発信機が発信する接近信号を検知する。接近信号発信機は、常時接近信号を発信するものであってもよいし、所定条件下で接近信号を発信するものであってもよい。所定条件下で接近信号を発信するものとして、たとえば、段差場を成す側壁面や段差場の近くの路面に車両検知センサを設けておき、塵芥収集車と段差場との距離が所定距離以内になったときに、車両検知センサが塵芥収集車を検知するようにする。そして、車両検知センサが塵芥収集車を検知している間、接近信号発信機が上記接近信号を発信するようにしてもよい。なお、車両検知センサは、段差場を成す側壁面や段差場の近くの路面に埋設してもよい。
【0183】
ステップS602は、たとえば画像処理ユニット9の中央処理部CPUにより実行され、現在の積み込み作業は先述の予め選定された作業場所にて行われていると判定するステップである。また、ステップS603は、現在の積み込み作業は予め選定された所定の作業場所にて行われていないと判定するステップである。ステップS602,S603において、所定の作業場所での作業が行われているか否かを示す情報が画像処理ユニット9のメモリMに格納される。
【0184】
なお、ステップS602,S603の処理を実行したあとは、図15に示す第2実施形態の人物認識装置と同様の処理が行われる。ただし、図17のステップS401の判定処理は、図19のステップS602,S603の判定処理によりメモリMに格納された、所定の作業場所での作業が行われているか否かを示す情報の参照により実行される。
【0185】
次に、本発明の第4実施形態に係る人物認識装置を説明する。第4実施形態に係る人物認識装置は、第2実施形態に係る人物認識装置における作業場所判定処理(図15のステップS202)を変更した例である。他の構成については、第2実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0186】
図20を参照して第4実施形態の作業場所判定処理を説明する。図20において、ステップS701は、たとえば画像処理ユニット9の中央処理部CPUにより実行され、図6に示す位置情報取得装置GRが取得した位置情報を参照するステップである。
【0187】
ステップS702は、中央処理部CPUにより実行され、ステップS701で参照した位置情報に基づき、予め選定された段差のある所定の作業場所を含む所定エリア内に塵芥収集車100があるか否か(YES/NO)を判定するステップである。ステップS702においてYESと判定した場合にはステップS703に移行し、NOと判定した場合にはステップS704に移行する。
【0188】
ステップS703は、中央処理部CPUにより実行され、現在の積み込み作業は予め選定された段差のある所定の作業場所にて行われていると判定するステップである。また、ステップS704は、現在の積み込み作業は予め選定された段差のある所定の作業場所にて行われていないと判定するステップである。ステップS703,S704において、所定の作業場所での作業が行われているか否かを示す情報が画像処理ユニット9のメモリMに格納される。
【0189】
なお、ステップS703,S704の処理を実行したあとは、図15に示す第2実施形態の人物認識装置と同様の処理が行われる。ただし、図17のステップS401の判定処理は、図20のステップS703,S704の判定処理によりメモリMに格納された、所定の作業場所での作業が行われているか否かを示す情報の参照により実行される。
【0190】
以上、本発明に係る人物認識装置および塵芥収集車を第1~第4実施形態に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施形態に限られない。特許請求の範囲に記載の発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更や追加によっても上述した課題を解決することができる。
【0191】
たとえば、積み込み用または後退用の特徴データの1つとして、人物の身体上部のうち頭部に関する特徴データを用いる例を説明したが、特徴データとするものはこれに限られない。たとえば、身体上部の特徴データは、頭部を含みあるいは頭部を含まない、より広範囲な部位に関するものでもよい。
【0192】
また、積み込み用または後退用の特徴データの1つとして、人物の身体下部のうち脚部に関する特徴データを用いる例を説明したが、身体下部の特徴データとするものはこれに限られない。たとえば、身体下部の特徴データは、脚部を含みあるいは脚部を含まない、より広範囲な部位に関するものでもよい。
【0193】
また、身体上部の特徴データとして、より狭い範囲である頭部の一部に関するものとしてもよい。同様に、身体下部の特徴データとして、より狭い範囲である足部に関するものとしてもよい。
【0194】
また、図13に示す第1実施形態の第1人物認識処理に関し、ステップS182の第1ラベリング処理において、画像内の物体像を人物の脚部に関する特徴データと比較して人物の脚部を抽出し、脚部形状が無いと判定した場合、ステップS190の第2ラベリング処理において、画像内の物体像を人物の頭部に関する特徴データと比較して人物の頭部を抽出するようにしてもよい。なお、この場合、ステップS184~S186は、ステップS190の第2ラベリング処理の実行後に行われ、ステップS191およびS192は、ステップS182の第1ラベリング処理の実行後に行われる。
【0195】
また、中央処理部CPUと画像処理部DSPは、互いに分離されない1つの処理部であってもよい。さらに、これらの各処理は、中央処理部CPUや画像処理部DSPと異なる他の処理部にて実行させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0196】
本発明は、塵芥収集車であれば広く適用できる。
【符号の説明】
【0197】
4 塵芥投入口
71 カメラ(人物認識装置の一部)
100 塵芥収集車
CPU 中央処理部(画像処理装置の一部)
CR 接近信号検知装置
DSP 画像処理部(画像処理装置の一部)
GR 位置情報取得装置
R 段差場
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