(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042487
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】固形潤滑剤供給装置
(51)【国際特許分類】
B22D 17/20 20060101AFI20240321BHJP
G01F 11/18 20060101ALI20240321BHJP
B29C 31/06 20060101ALI20240321BHJP
B65G 65/32 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
B22D17/20 H
G01F11/18
B29C31/06
B65G65/32 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147238
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】511028021
【氏名又は名称】株式会社イーエム
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】後藤 大二
【テーマコード(参考)】
3F075
4F201
【Fターム(参考)】
3F075AA08
3F075BA01
3F075BB01
3F075CA04
3F075CA06
3F075CB11
3F075CB12
3F075CC11
3F075CD14
4F201AL01
4F201AL08
4F201AL12
4F201AL16
4F201AL21
4F201BA06
4F201BC02
(57)【要約】
【課題】計量部の容積を一定の容積ごとに容易に変更することができる固形潤滑剤供給装置を提供する。
【解決手段】
計量位置と供給位置とに移動可能に設けられた移動部材7を備えた計量部材5を有し、前記移動部材7は、固形潤滑剤を計量する計量部を備え、該計量部を構成する周壁の一部を移動可能な可動壁12で構成し、位置変更部材14を回動することにより、可動壁12を移動させて、計量部の容積を変更できるようにし、位置変更部材14に、計量部材5の移動方向と直交する断面が多角形状に形成した位置決め部材18を固設し、位係合面20aを有する係合部材20を、計量部材に回動可能に設け、係合部材20を所定位置に保持した際に、係合面20aが、位置決め部材18の周壁面19と係合し、位置変更部材14の回動を抑制する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量位置と供給位置とに移動可能に設けられた移動部材を備えた計量部材を有し、前記移動部材は、固形潤滑剤を計量する計量部を備え、
該計量部を構成する周壁の一部を移動可能な可動壁で構成し、位置変更部材を回動することにより、該可動壁を移動させて、前記計量部の容積を変更できるようにし、
前記位置変更部材に、前記計量部材の移動方向と直交する断面が多角形状に形成した位置決め部材を固設し、
係合面を有する係合部材を、前記計量部材に回動可能に設け、該係合部材を所定位置に保持した際に、前記係合面が、前記位置決め部材の周壁面と係合し、位置変更部材の回動を抑制することを特徴とする固形潤滑剤供給装置。
【請求項2】
前記位置決め部材において、周方向に隣り合う周壁面相互間の角度を、全て同じとしたことを特徴とする請求項1記載の固形潤滑剤供給装置。
【請求項3】
前記位置決め部材における前記計量部材の移動方向と直交する断面を六角形形状に形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の固形潤滑剤供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形潤滑剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、金属を鋳造する方法の一つであるダイキャスト成形において、取り扱い性や、作業環境性等の観点から、ペレット状の固形潤滑剤が、使用されている。
【0003】
この固形潤滑剤の供給装置として、計量部材を、計量位置と供給位置とに移動可能に設け、計量部材を計量位置に移動させ、ホッパー内に貯留された固形潤滑剤を、計量部材の計量部において計量した後に、計量部材を供給位置に移動させた後に、エアーにより所定の場所に搬送されるものが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記、従来の固形潤滑剤供給装置においては、円形のハンドルを回動することにより、計量部の容積を変更させて、供給する固形潤滑剤の容量を変化させていた。
【0006】
しかし、ハンドルの回動により計量部の容積を変化させるため、所定の容量に設定することが、難しいという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、計量部の容積を一定の容積ごとに容易に変更することができる固形潤滑剤供給装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するために、本願発明は、計量位置と供給位置とに移動可能に設けられた移動部材を備えた計量部材を有し、前記移動部材は、固形潤滑剤を計量する計量部を備え、
該計量部を構成する周壁の一部を移動可能な可動壁で構成し、位置変更部材を回動することにより、該可動壁を移動させて、前記計量部の容積を変更できるようにし、
前記位置変更部材に、前記計量部材の移動方向と直交する断面が多角形状に形成した位置決め部材を固設し、
係合面を有する係合部材を、前記計量部材に回動可能に設け、該係合部材を所定位置に保持した際に、前記係合面が、前記位置決め部材の周壁面と係合し、位置変更部材の回動を抑制することを特徴とする。
【0009】
また、前記位置決め部材において、周方向に隣り合う周壁面相互間の角度を、全て同じとしてもよい。
【0010】
また、前記位置決め部材における前記計量部材の移動方向と直交する断面を六角形形状に形成してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本願発明の固形潤滑剤供給装置によれば、計量部を構成する周壁の一部を移動可能な可動壁で構成し、位置変更部材を回動することにより、可動壁を移動させて、計量部の容積を変更できるようにし、位置変更部材に、前記計量部材の移動方向と直交する断面が多角形状に形成した位置決め部材を固設し、位置決め部材の平面状の周壁面と係合する係合面を有する係合部材を、回動可能に設け、係合部材を所定位置に保持した際に、前記係合面が、前記位置決め部材の周壁面と係合し、位置変更部材の回動を抑制するようにしたことにより、計量部の容積を一定の容積ごとに容易に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例に係る固形潤滑剤供給装置の縦断面図。
【
図2】本発明の実施例に用いる計量部材を示し、係合部材を所定位置に保持した状態の斜視図。
【
図3】
図2の状態から、係合部材を回動させた状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態を図に基づいて説明する。
【0014】
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1に係る固形潤滑剤供給装置1の縦断面図を示す。固形潤滑剤供給装置1は、金属を鋳造する方法の一つであるダイキャスト成形に用いられる図示しない成形機の金型内にペレット状の固形潤滑剤を供給するものである。
【0015】
固形潤滑剤供給装置1は、
図1に示すように、固形潤滑剤が収容されたホッパー3を有し、ホッパー3は、上方より下方に向かう程、水平方向の断面積が徐々に小さくなるような例えば、逆四角錐状に形成されている。固形潤滑剤は、例えば、ワックスと黒鉛などで構成されるとともに、粒状に形成されたものを用いることができる。
【0016】
ホッパー3の下側には計量部材5が設けられている。計量部材5は、固定部6と、固定部6に対し左右方向に移動可能な移動部材7を有している。
【0017】
固定部6は、上側部材6aと下側部材6bを有し、上側部材6aと下側部材6により左右方向が開口する摺動空間が形成され、この摺動空間内に移動部材7が、左右方向に摺動可能に配設されている。
【0018】
上側部材6aには、ホッパー3の内部と連通する投入口8が形成され、下側部材6bには、排出口9が形成されている。
【0019】
移動部材7には、上下方向を貫通する計量部(図示しない)が形成されている。計量部内全体に、固形潤滑剤を収容することで固形潤滑剤を計量することができるようになっている。
【0020】
また、移動部材7は、エアシリンダ10により、計量部が上側部材6aの投入口8と連通する計量位置と、計量部が下側部材6bの排出口9と連通する供給位置に往復移動できるようになっている。本実施例では、エアシリンダ10を用いて移動部材7を計量位置と供給位置に移動できるようにしたが、任意の部材を用いて移動部材を計量位置と供給位置に往復移動できるようにしてもよい。
【0021】
移動部材7の計量部を構成する周壁の一部は、移動部材7の移動方向(
図4の左右方向)に移動可能な可動壁12で構成され、可動壁12を移動させることにより、計量部の容積を変更し、計量する固形潤滑剤の量を変更できるようになっている。可動壁12の計量部と反対側の端面の位置により、計量部の容積を視認できるゲージ13が移動部材7に設けられている。
【0022】
可動壁12は、外周面にネジが刻設された円筒状に形成された位置変更部材14を回動することにより、移動部材7の移動方向に移動させることができるようになっている。位置変更部材14の計量部と反対側に位置する部分には、移動部材7の移動方向と直交する断面が多角形状に形成された位置決め部材18が固設されている。
【0023】
本実施例では、位置決め部材18における移動部材7の移動方向と直交する断面を六角形形状に形成し、平面状の周壁面19が6面形成されている。また、周方向に隣り合う周壁面19,19相互間の角度は、全て同じとなるように形成されている。
【0024】
なお、本実施例では、位置決め部材18における移動部材7の移動方向と直交する断面を六角形形状に形成したが、その断面は多角形で、かつ、周方向に隣り合う周壁面相互間の角度は、全て同じとなるように形成されていれば、六角形以外にも、八角形、十二角形等任意の形状とすることができ、
また、位置決め部材18の一の周壁面19が最も上に位置する状態から、その隣に位置する周壁面19が最も上に位置する状態とする毎に、時計周り、又はその反対方向に、位置変更部材14は所定量移動し、計量部の容積が所定量増加、若しくは、減少するようになっている。
【0025】
移動部材7の位置決め部材18側端部には、長尺で板状の係合部材20が、回転軸21を中心として、
図2,
図3に示すように、回動可能に設けられている。
【0026】
移動部材7の位置決め部材18側端部には、係合ピン23が固設され、この係合ピン23に係合部材20に形成した係合穴24を係合させることにより、
図2に示すように、係合部材20を所定位置に保持することができるようになっている。また、係合部材20を所定位置に保持した際に、
図5,
図7に示すように、係合部材20の下面で構成される係合面20aが、位置決め部材18の周壁面19と当接して係合し、位置決め部材18及び位置変更部材14の回動を抑制し、計量部の容積を所望の容積で保持することができる。
【0027】
一方、
図3に示すように、移動部材7の係合ピン23と係合部材20の係合穴24の係合を解除し、係合部材20を、回転軸21を中心として回動させ、係合部材20の係合面20aと、位置決め部材18の周壁面19が当接しないようにして係合を解除することにより、位置決め部材18及び位置変更部材14を、時計方向又は反時計方向に回動することができ、計量部の容積を変更することができるようになっている。
【0028】
ある周壁面19が、係合部材20の係合面20aと当接している状態において、計量部で計量する固形潤滑剤の重量が基準数値となるように調整され、一つ隣に位置する周壁面19と係合部材20の係合面20aと当接できるように、位置決め部材18を回動する毎に、一定の重量(容積)ずつ増減するようになっている。
【0029】
このように、位置決め部材18の一つ隣に位置する周壁面19が、周壁面19と係合部材20の係合面20aと当接できるように、位置決め部材18を回動する毎に、一定の重量ずつ増減するようにしたことで、固形潤滑剤供給装置1を使用する者は、容易に計量部で計量する固形潤滑剤の重量を調整できるとともに、成形機の金型内に供給する固形潤滑剤の重量を、容易かつ正確に変更することができる。
【0030】
また、係合部材20の回動のみで、位置決め部材18の回動位置を保持でき、作業性を向上できる。
【0031】
次に、固形潤滑剤供給装置1の使用方法を説明する。
【0032】
先ず、位置決め部材18の周壁面19が当接しないようにして係合を解除することにより、位置決め部材18を回動させて、位置変更部材14を回動することにより、計量部の容積を所望の値とする。
【0033】
次に、係合部材20を、回転軸21を中心として回動させ、移動部材7の係合ピン23と係合部材20の係合穴24を係合させて、計量部の容積を保持する。
【0034】
次に、エアシリンダ10により、移動部材7を計量位置に移動させ、計量部が上側部材6aの投入口8と連通させ、ホッパー3内の固形潤滑剤を、投入口8を通じて計量部に充填する。
【0035】
次に、エアシリンダ10により、移動部材7を供給位置に移動させ、計量部を下側部材6bの排出口9と連通させる。次に、計量部内の固形潤滑剤を、エアーにより、排出口9に連結された搬送管30を通じて、成形機の金型内に搬送する。計量部内の固形潤滑剤を、成形機の金型内に搬送する搬送方法は任意の方法を用いて行うことができる。
【符号の説明】
【0036】
1 固形潤滑剤供給装置
5 計量部材
7 移動部材
12 可動壁
14 位置変更部材
18 位置決め部材
19 周壁面
20 係合部材
20a 係合面