(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042495
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】プロファイル作成方法、プロファイル検索方法、プログラム、プロファイル作成装置、及び設定情報の作成方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/60 20060101AFI20240321BHJP
H04N 1/407 20060101ALI20240321BHJP
B41J 2/525 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
H04N1/60 970
H04N1/60 300
H04N1/60 160
H04N1/407 780
B41J2/525
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147252
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142653
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】古屋 千佳
【テーマコード(参考)】
2C262
5C077
5C079
【Fターム(参考)】
2C262AA02
2C262AA24
2C262AB11
2C262BB03
2C262EA11
2C262EA13
2C262FA13
2C262GA57
5C077LL17
5C077LL19
5C077MM27
5C077MP08
5C077PP37
5C077PQ08
5C077PQ23
5C077TT05
5C079KA12
5C079KA15
5C079KA18
5C079LA31
5C079LB01
5C079MA04
5C079MA10
5C079NA03
5C079NA27
5C079PA03
(57)【要約】
【課題】新たな媒体を用いる場合等に、新たなプロファイルを適切に作成する。
【解決手段】印刷装置12で印刷する画像を示す印刷データを生成する処理において用いるデバイスプロファイルを作成するプロファイル作成方法であって、既存のデバイスプロファイルである既存プロファイルの中から検索条件に基づく検索を行う検索段階と、検索段階での検索結果に基づいて選択される既存プロファイルに基づいて新たなデバイスプロファイルを作成するプロファイル作成段階とを備え、印刷装置12は、複数色のインクを用いてカラー印刷を行う装置であり、検索段階において、検索条件として、媒体上でインクの滲みが発生するインクの量を示す滲み発生インク量を用いる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置で印刷する画像を示す印刷データを生成する処理において用いるデバイスプロファイルを作成するプロファイル作成方法であって、
既存の前記デバイスプロファイルである既存プロファイルの中から検索条件に基づく検索を行う検索段階と、
前記検索段階での検索結果に基づいて選択される前記既存プロファイルに基づいて新たな前記デバイスプロファイルを作成するプロファイル作成段階と
を備え、
前記印刷装置は、複数色のインクを用いてカラー印刷を行う装置であり、
前記検索段階において、前記検索条件として、媒体上でインクの滲みが発生するインクの量を示す滲み発生インク量を用いることを特徴とするプロファイル作成方法。
【請求項2】
前記滲み発生インク量を確認するためのパターンである滲み確認用パターンを含むチャートを前記媒体に対して前記印刷装置に印刷させるチャート印刷段階を更に備え、
前記検索段階において、前記滲み発生インク量の入力をユーザから受け付けることを特徴とする請求項1に記載のプロファイル作成方法。
【請求項3】
前記滲み発生インク量は、2色のインクの混色によって得られる色である2次色において滲みが発生するインクの量を示し、
前記滲み確認用パターンは、前記2次色について色の濃さを複数段階で異ならせたパターンを含むことを特徴とする請求項2に記載のプロファイル作成方法。
【請求項4】
前記検索段階は、
前記滲み発生インク量に基づいて前記既存プロファイルの選択を行う第1選択段階と、
前記第1選択段階で選択された前記既存プロファイルに対して前記第1選択段階と異なる条件での選択を行う第2選択段階と
を有し、
前記第1選択段階において、前記滲み発生インク量未満のインクの量での印刷が行える前記既存プロファイルを選択することを特徴とする請求項1に記載のプロファイル作成方法。
【請求項5】
インクによって表現される色を確認するためのパターンである色確認用パターンを含むチャートを前記媒体に対して前記印刷装置に印刷させるチャート印刷段階を更に備え、
前記検索段階において、前記検索条件として、前記色確認用パターンに対して測色を行うことで得られる測色値を更に用いることを特徴とする請求項1に記載のプロファイル作成方法。
【請求項6】
前記色確認用パターンは、同じ色の1色のインクに対して、単位面積あたりのインクの量を複数段階で異ならせたパターンである色毎パターンを含み、
前記検索段階で用いる前記測色値は、前記色毎パターンに対する測色を行うことで得られる値であり、
前記検索段階は、
前記滲み発生インク量に基づいて前記既存プロファイルの選択を行う第1選択段階と、
前記第1選択段階で選択された前記既存プロファイルに対して前記測色値に基づく選択を行う第2選択段階と
を有し、
前記第2選択段階は、
単位面積あたりのインクの量の基準として用いる基準インク量を設定する段階であり、前記既存プロファイル毎に、当該既存プロファイルに基づいて前記基準インク量を設定する基準インク量設定段階と、
前記既存プロファイルに対応付けられる色差を算出する段階であり、前記既存プロファイル毎に、当該既存プロファイルにおいて前記基準インク量に対応する色であるプロファイル対応色と、前記基準インク量に対応する色として前記測色値に基づいて算出される色である測色算出色との前記色差を算出する色差算出段階と、
前記色差算出段階で算出される前記色差に基づいて前記既存プロファイルの選択を行うプロファイル選択段階と
を有することを特徴とする請求項5に記載のプロファイル作成方法。
【請求項7】
前記色差算出段階において、前記既存プロファイル毎に、
前記印刷装置で用いる前記複数色のインクの色毎の前記色差と、
前記媒体の色に対応する前記色差と
を算出することを特徴とする請求項6に記載のプロファイル作成方法。
【請求項8】
前記プロファイル作成段階において、前記検索段階での前記検索結果に基づいて選択される前記既存プロファイルに対して色味の調整を行うことで、新たな前記デバイスプロファイルを作成することを特徴とする請求項1に記載のプロファイル作成方法。
【請求項9】
印刷装置で印刷する画像を示す印刷データを生成する処理において用いるデバイスプロファイルの検索を行うプロファイル検索方法であって、
既存の前記デバイスプロファイルの中から検索条件に基づく検索を行う検索段階を備え、
前記印刷装置は、複数色のインクを用いてカラー印刷を行う装置であり、
前記検索段階において、前記検索条件として、媒体上でインクの滲みが発生するインクの量を示す滲み発生インク量を用いることを特徴とするプロファイル検索方法。
【請求項10】
印刷装置で印刷する画像を示す印刷データを生成する処理において用いるデバイスプロファイルの作成をコンピュータに行わせるプログラムであって、
既存の前記デバイスプロファイルである既存プロファイルの中から検索条件に基づく検索を行う検索処理と、
前記検索処理での検索結果に基づいて選択される前記既存プロファイルに基づいて新たな前記デバイスプロファイルを作成するプロファイル作成処理と
を前記コンピュータに行わせ、
前記印刷装置は、複数色のインクを用いてカラー印刷を行う装置であり、
前記検索処理において、前記検索条件として、媒体上でインクの滲みが発生するインクの量を示す滲み発生インク量を用いることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
印刷装置で印刷する画像を示す印刷データを生成する処理において用いるデバイスプロファイルを作成するプロファイル作成装置であって、
既存の前記デバイスプロファイルである既存プロファイルの中から検索条件に基づく検索を行う検索処理と、
前記検索処理での検索結果に基づいて選択される前記既存プロファイルに基づいて新たな前記デバイスプロファイルを作成するプロファイル作成処理と
を実行し、
前記印刷装置は、複数色のインクを用いてカラー印刷を行う装置であり、
前記検索処理において、前記検索条件として、媒体上でインクの滲みが発生するインクの量を示す滲み発生インク量を用いることを特徴とするプロファイル作成装置。
【請求項12】
インクを用いて印刷を行う印刷装置で印刷する画像を示す印刷データを生成する処理において用いる設定を示す情報である設定情報を作成する設定情報の作成方法であって、
既存の前記設定情報である既存設定情報の中から検索条件に基づく検索を行う検索段階と、
前記検索段階での検索結果に基づいて選択される前記既存設定情報に基づいて新たな前記設定情報を作成する設定情報作成段階と
を備え、
前記検索段階において、前記検索条件として、媒体上でインクの滲みが発生するインクの量を示す滲み発生インク量を用いることを特徴とする設定情報の作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロファイル作成方法、プロファイル検索方法、プログラム、プロファイル作成装置、及び設定情報の作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタ等の印刷装置では、プロファイル(デバイスプロファイル)を用いて色の管理を行う方法が広く用いられている。また、従来、既存の紙プロファイルと関連付けられるパラメータを使用して紙シートへの印刷を行う場合において、既存の紙プロファイルと関連付けられる測定値に基づいてプリンタのパラメータを調整する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクジェットプリンタ等の印刷装置において印刷を行う場合、高い品質での印刷を行うためには、使用する媒体の特性等に合わせて作成されたプロファイルを用いることが望ましい。そのため、例えば新たな種類の媒体(以下、単に、新たな媒体という)を使用する場合には、その媒体に合わせた新たなプロファイルを作成することが望まれる。しかし、新たなプロファイルを作成するためには、通常、多くの工数や時間を要することになる。そのため、従来、新たなプロファイルをより容易かつ適切に作成する方法が望まれていた。そこで、本発明は、上記の課題を解決できるプロファイル作成方法、プロファイル検索方法、プログラム、プロファイル作成装置、及び設定情報の作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の発明者は、新たな媒体を用いる場合等に新たなプロファイル(デバイスプロファイル)を作成する方法に関し、既存のプロファイルを利用して新たなプロファイルを作成することを考えた。また、この場合において、所望の特性にできるだけ近い特性の既存のプロファイルを検索することを考えた。
【0006】
しかし、この場合において、例えば検索の条件を過度に詳細にすると、該当する既存のプロファイルが見つからなくなるおそれがある。また、この場合、検索の条件の指定の仕方が難しくなること等も考えられる。一方で、検索の条件を緩くした場合、該当する既存のプロファイルの数が膨大になることで、例えばプロファイルの読み込みに要する時間が長くなり、検索時間が過度に長くなることが考えられる。また、この場合、検索の条件が緩いことで、所望の特性に近い既存のプロファイルを発見することが難しくなること等も考えられる。これに対し、本願の発明者は、媒体上で滲みが発生するインクの量に着目することで、既存のプロファイルに対する検索を適切に行い得ることを見出した。また、このような検索によって選択する既存のプロファイルを利用することで、新たなプロファイルを適切に作成できることを見出した。
【0007】
また、本願の発明者は、更なる鋭意研究により、このような効果を得るために必要な特徴を見出し、本発明に至った。上記の課題を解決するために、本発明は、印刷装置で印刷する画像を示す印刷データを生成する処理において用いるデバイスプロファイルを作成するプロファイル作成方法であって、既存の前記デバイスプロファイルである既存プロファイルの中から検索条件に基づく検索を行う検索段階と、前記検索段階での検索結果に基づいて選択される前記既存プロファイルに基づいて新たな前記デバイスプロファイルを作成するプロファイル作成段階とを備え、前記印刷装置は、複数色のインクを用いてカラー印刷を行う装置であり、前記検索段階において、前記検索条件として、媒体上でインクの滲みが発生するインクの量を示す滲み発生インク量を用いることを特徴とする。
【0008】
このように構成すれば、例えば、新たなプロファイル(デバイスプロファイル)の作成に用いる既存プロファイルを効率的かつ適切に検索することができる。また、これにより、例えば、新たなプロファイルを適切に作成することができる。また、この構成において、プロファイル作成段階では、例えば、検索段階での検索結果に基づいて選択される既存プロファイルに対して色味の調整を行うことで、新たなデバイスプロファイルを作成する。この場合、色味の調整については、必要に応じて行うことが考えられる。このように構成すれば、例えば、滲みを防止しつつ所望の色を表現できる新たなプロファイルを適切に作成することができる。
【0009】
ここで、プロファイルについては、例えば、そのプロファイルを用いることで印刷装置において所望の色を表現できることが望まれる。また、この場合において、例えば、媒体上で滲みが発生しない範囲のインクの量で、様々な色を表現することが望まれる。そして、これらの事項に関し、色の表現については、例えばプロファイル作成段階で既存プロファイルに対して色味の調整等を行うことで、比較的容易に調整が可能であると考えることができる。しかし、既存プロファイルにおいて滲みが発生する場合、滲みを防止しつつ所望の色を表現するように調整を行うことは、通常、より困難である。そのため、検索段階では、例えば、滲みが発生する可能性が高い既存プロファイルが検索結果に含まれないように検索を行うことで、既存プロファイルに対する検索を効率的かつ適切に行うことができる。また、この場合、上記のように、検索段階において、滲み発生インク量を検索条件として用いることが考えられる。
【0010】
また、この構成において、プロファイル作成方法は、例えば、チャート印刷段階を更に備える。チャート印刷段階では、例えば、滲み発生インク量を確認するためのパターンである滲み確認用パターンを含むチャートを媒体に対して印刷装置に印刷させる。また、この場合、検索段階では、例えば、滲み発生インク量の入力をユーザから受け付ける。このように構成すれば、例えば、滲み確認用パターンを含むチャートに基づき、滲み発生インク量を適切に確認することができる。また、検索段階において滲み発生インク量の入力をユーザから受け付けることで、例えば、滲み発生インク量に基づき、既存プロファイルに対する検索を適切に行うことができる。また、この構成において、滲み発生インク量は、例えば、2次色において滲みが発生するインクの量を示す。2次色については、例えば、2色のインクの混色によって得られる色等と考えることができる。また、滲み確認用パターンは、例えば、2次色について色の濃さを複数段階で異ならせたパターンを含む。このように構成すれば、例えば、滲み発生インク量を適切に確認することができる。
【0011】
また、検索段階は、例えば、滲み発生インク量に基づいて既存プロファイルの選択を行う第1選択段階と、第1選択段階で選択された既存プロファイルに対して第1選択段階と異なる条件での選択を行う第2選択段階とを有する。また、第1選択段階では、例えば、滲み発生インク量未満のインクの量での印刷が行える既存プロファイルを選択する。このように構成すれば、例えば、検索段階での検索を効率的かつ適切に行うことができる。
【0012】
また、チャート印刷段階では、例えば、インクによって表現される色を確認するためのパターンである色確認用パターンを含むチャートを媒体に対して印刷装置に印刷させること等も考えられる。この場合、検索段階では、例えば、検索条件として、色確認用パターンに対して測色を行うことで得られる測色値を更に用いる。このように構成すれば、例えば、プロファイル作成段階で用いる既存プロファイルとして、より適切なプロファイルを検索することができる。また、この場合、色確認用パターンは、例えば、同じ色の1色のインクに対して、単位面積あたりのインクの量を複数段階で異ならせたパターンである色毎パターンを含む。また、検索段階で用いる測色値は、例えば、色毎パターンに対する測色を行うことで得られる値である。このように構成すれば、例えば、検索段階において、検索条件として測色値を用いた検索を適切に行うことができる。
【0013】
また、この場合、例えば、第1選択段階及び第2選択段階を有する検索段階の第2選択段階において、第1選択段階で選択された既存プロファイルに対して、測色値に基づく選択を行うことが考えられる。より具体的に、この場合、第2選択段階は、例えば、基準インク量設定段階、色差算出段階、及びプロファイル選択段階を有する。そして、基準インク量設定段階では、例えば、単位面積あたりのインクの量の基準として用いる基準インク量を設定する。この場合、例えば、既存プロファイル毎に、当該既存プロファイルに基づいて基準インク量を設定する。また、色差算出段階では、例えば、既存プロファイルに対応付けられる色差を算出する。この場合、例えば、既存プロファイル毎に、当該既存プロファイルにおいて基準インク量に対応する色であるプロファイル対応色と、基準インク量に対応する色として測色値に基づいて算出される色である測色算出色との色差を算出する。そして、プロファイル選択段階では、例えば、色差算出段階で算出される色差に基づいて既存プロファイルの選択を行う。このように構成すれば、例えば、検索段階において、既存プロファイルに対する検索を適切に行うことができる。また、この場合、色差算出段階では、例えば、既存プロファイル毎に、印刷装置で用いる複数色のインクの色毎の色差と、媒体の色に対応する色差とを算出することが考えられる。このように構成すれば、例えば、プロファイル選択段階において、既存プロファイルの選択をより適切に行うことができる。
【0014】
また、本発明の構成として、上記と同様の特徴を有するプロファイル検索方法、プログラム、及びプロファイル作成装置等を用いることも考えられる。これらの場合も、例えば、上記と同様の効果を得ることができる。
【0015】
また、本発明の特徴に関し、デバイスプロファイルについては、例えば、印刷データを生成する処理において用いる設定を示す情報である設定情報の一例と考えることもできる。そして、この場合、本発明の特徴について、例えば、設定情報の作成方法の特徴として考えることもできる。この場合、本発明について、例えば、インクを用いて印刷を行う印刷装置で印刷する画像を示す印刷データを生成する処理において用いる設定を示す情報である設定情報を作成する設定情報の作成方法であって、既存の前記設定情報である既存設定情報の中から検索条件に基づく検索を行う検索段階と、前記検索段階での検索結果に基づいて選択される前記既存設定情報に基づいて新たな前記設定情報を作成する設定情報作成段階とを備え、前記検索段階において、前記検索条件として、媒体上でインクの滲みが発生するインクの量を示す滲み発生インク量を用いることを特徴とすると考えることができる。このように構成すれば、例えば、新たな設定情報の作成に用いる既存設定情報を効率的かつ適切に検索することができる。また、これにより、例えば、新たな設定情報を適切に作成することができる。また、本発明の構成として、上記の設定情報の作成方法と同様の特徴を有する設定情報の検索方法、プログラム、及び設定情報作成装置等を用いることも考えられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、例えば、新たな媒体を用いる場合等に、新たなプロファイルを適切に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る印刷システム10について説明をする図である。
図1(a)は、印刷システム10の構成の一例を示す。
図1(b)は、印刷システム10における印刷装置12の構成の一例を示す。
図1(c)は、印刷装置12におけるヘッド部102の構成の一例を示す。
【
図2】プロファイルの選択及び作成を行う動作の一例を示すフローチャートである。
【
図3】ステップS102及びステップS114での検索時に指定する検索条件について説明をする図である。
図3(a)は、ステップS102において検索条件を指定する画面表示の一例を示す。
図3(b)は、ステップS114において検索条件を指定する画面表示の一例を示す。
【
図4】ステップS112で印刷装置12に印刷させるチャートの一例を示す図である。
【
図5】新たなプロファイルを作成する動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】ステップS206での制御PC14のより具体的な動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る印刷システム10について説明をする図である。
図1(a)は、印刷システム10の構成の一例を示す。
図1(b)は、印刷システム10における印刷装置12の構成の一例を示す。
図1(c)は、印刷装置12におけるヘッド部102の構成の一例を示す。以下において説明をする点を除き、本例の印刷システム10及び印刷システム10の各構成は、公知の印刷システム及び公知の印刷システムの各構成と同一又は特徴を有してよい。
【0019】
本例において、印刷システム10は、印刷対象の媒体(メディア)50に対してインクジェット方式で印刷を行うシステムであり、印刷装置12及び制御PC14を備える。印刷装置12は、媒体50に対してインクを吐出する印刷の動作を実行するインクジェットプリンタであり、制御PC14の制御に応じて、媒体50への印刷の動作を実行する。制御PC14は、印刷装置12の動作を制御するコンピュータであり、印刷装置12で印刷する画像を示す印刷データを印刷装置12へ供給することにより、印刷装置12の動作を制御する。また、より具体的に、制御PC14は、例えば、RIP(Raster Image Processor)処理を行うことで印刷データを生成し、生成した印刷データを印刷装置12へ供給する。また、本例において、制御PC14は、媒体50において用いるインク及び媒体50等に合わせて選択されるプロファイルを用いて、印刷データを生成する。このプロファイルについては、例えば、印刷データを生成する処理において用いるデバイスプロファイルの一例と考えることができる。印刷データの生成については、制御PC14以外のコンピュータで行ってもよい。この場合、制御PC14は、例えば、このコンピュータから印刷データを受け取り、その印刷データを印刷装置12へ供給する。
【0020】
また、上記のように、本例において、印刷システム10は、複数の装置である印刷装置12及び制御PC14を備える。印刷システム10の構成の変形例においては、例えば、1台の装置により印刷システム10を構成すること等も考えられる。この場合、例えば、制御PC14の機能を兼ねた印刷装置12を用いること等が考えられる。また、印刷システム10の構成の更なる変形例においては、3台以上の装置により印刷システム10を構成すること等も考えられる。この場合、例えば、複数の印刷装置12及び制御PC14により印刷システム10を構成すること等が考えられる。また、例えば、印刷装置12又は制御PC14の一部の機能を有する他の装置を更に用いて、3台以上の装置により印刷システム10を構成すること等も考えられる。
【0021】
また、本例において、印刷装置12は、複数色のインクを用いてカラー印刷を行うインクジェットプリンタであり、例えば
図1(b)に示すように、ヘッド部102、プラテン104、主走査駆動部106、副走査駆動部108、及び制御部110を有する。ヘッド部102は、媒体50に対してインクを吐出する部分である。本例において、ヘッド部102は、例えば
図1(c)に示すように、複数のインクジェットヘッド122を有する。また、複数のインクジェットヘッド122として、図中にインクジェットヘッド122y~kとして区別して示すように、イエロー色(Y色)、マゼンタ色(M色)、シアン色(C色)、及びブラック色(K色)の各色のインク用のインクジェットヘッド122を有する。この場合、イエロー色、マゼンタ色、シアン色、及びブラック色インクは、プロセスカラーのインクの一例である。プロセスカラーについては、例えば、カラー印刷での基本色等と考えることができる。また、本例において、これらの色のうち、イエロー色、マゼンタ色、及びシアン色については、例えば、1次色と考えることができる。ヘッド部102は、インクジェットヘッド122以外の構成を更に有してもよい。例えば、ヘッド部102は、測色器等を更に有してもよい。この場合、測色器について、例えば、印刷装置12において印刷するチャートに対する測色を行うために用いることが考えられる。印刷装置12において印刷するチャートについては、例えば、印刷の動作に関する確認等を行うためのパターンを含む画像等と考えることができる。
【0022】
プラテン104は、媒体50を上面に載置する台状部材であり、ヘッド部102における複数のインクジェットヘッド122と対向させた状態で媒体50を保持する。主走査駆動部106は、ヘッド部102に主走査動作を行わせる駆動部である。主走査動作については、例えば、印刷装置12において予め設定された主走査方向(図中のY方向)へ媒体50に対して相対的に移動しつつインクを吐出する動作等と考えることができる。ヘッド部102に主走査動作を行わせることについては、例えば、ヘッド部102におけるインクジェットヘッド122に主走査動作を行わせること等と考えることができる。主走査動作時において、主走査駆動部106は、例えば、制御部110の制御に応じて、印刷の解像度に応じて設定される吐出位置に対し、ヘッド部102におけるインクジェットヘッド122にインクを吐出させる。副走査駆動部108は、ヘッド部102に副走査動作を行わせる駆動部である。副走査動作については、例えば、主走査方向と直交する副走査方向(図中のX方向)へ媒体50に対して相対的に移動する動作等と考えることができる。また、副走査動作について、例えば、主走査動作の合間に副走査方向へ媒体50を送る動作等と考えることもできる。ヘッド部102に副走査動作を行わせることについては、例えば、ヘッド部102におけるインクジェットヘッド122に副走査動作を行わせること等と考えることができる。
【0023】
制御部110は、例えば印刷装置12におけるCPU等を含む部分であり、印刷装置12の各部の動作を制御する。本例において、制御部110は、制御PC14から受け取る印刷データに基づき、印刷装置12の各部の動作を制御する。本例によれば、例えば、媒体50に対する印刷の動作を印刷装置12に適切に実行させることができる。また、印刷装置12は、上記以外の構成を更に有してもよい。例えば、印刷装置12は、媒体50にインクを定着させる定着手段等を更に有してよい。この場合、例えば、インクジェットヘッド122において使用するインクに合わせた定着手段を用いることが考えられる。より具体的に、例えば、溶媒が蒸発することで媒体50に定着する蒸発乾燥型のインクを用いる場合、定着手段として、媒体50を加熱するヒータを用いることが考えられる。また、紫外線の照射によって硬化する紫外線硬化型のインクを用いる場合、定着手段として、例えば、紫外線光源を用いることが考えられる。この場合、紫外線光源について、例えば、主走査方向においてインクジェットヘッド122と隣接する位置に配設することが考えられる。
【0024】
続いて、制御PC14等における印刷データの生成時に用いるプロファイルについて、更に詳しく説明をする。本例において、このプロファイルは、例えば、Lab表色系で表現した色と、インクに対応する表色系で表現した色とを対応付ける。この場合、インクに対応する表色系で表現した色については、例えば、印刷装置12において用いるプロセスカラーで表現した色等と考えることができる。また、より具体的に、インクに対応する表色系で表現した色としては、例えば、イエロー色、マゼンタ色、シアン色、及びブラック色について、色毎の値を所定の範囲(例えば、0~100の範囲)内で指定する値を用いること等が考えられる。このようなプロファイルとしては、例えばICCプロファイル等の公知の形式のプロファイルを好適に用いることができる。また、制御PC14等では、プロファイルについて、例えば、印刷装置12の機種、印刷装置12において用いるインクを示すインクセット、媒体50の種類、及び印刷条件等に合わせて選択する。この場合、印刷条件としては、例えば、印刷の解像度やパス数等を用いることが考えられる。パス数については、例えば、媒体50における一つの位置と対向する位置をヘッド部102が通過する主走査動作の回数等と考えることができる。
【0025】
また、この場合、同じ機種の印刷装置12で印刷を行う場合でも、使用するインクセット、媒体50(媒体50の種類)、又は印刷条件等が変わると、使用すべきプロファイルが変化することになる。そのため、制御PC14等では、様々な条件に合わせて予め用意されている多数のプロファイルの中から、例えばユーザの指示等に応じて使用するプロファイルを選択して、印刷データの生成を行う。しかし、例えば新たな媒体50(新たな種類の50)を用いる場合等には、適切な既存のプロファイルが存在しないこと等も考えられる。そして、このような場合には、例えば、新たなプロファイルを作成することが考えられる。より具体的に、本例においては、例えば
図2に示す動作により、プロファイルの選択や作成等を行う。
【0026】
図2は、プロファイルの選択及び作成を行う動作の一例を示すフローチャートである。本例の印刷システム10においては、例えば、新たな種類の媒体(新規メディア)に対する印刷を印刷装置12に行わせる場合等に、
図2に示す動作を実行する。このフローチャートに示す動作については、例えば、制御PC14等のコンピュータにおいてプログラムに従って実行する動作の一例等と考えることができる。このコンピュータについては、例えば、印刷データの生成を行うコンピュータ等と考えることができる。また、このプログラムは、例えば、印刷データの生成を行うためのプログラムの一部であってよい。本例において、このコンピュータは、例えば、プログラムに従って
図2のフローチャートの動作の少なくとも一部を実行することで、プロファイル作成装置として機能する。また、以下においては、説明の便宜上、
図2に示す動作のうち、制御PC14等のコンピュータで実行する動作について、制御PC14の動作として、説明をする。
【0027】
図2に示す動作において、制御PC14は、先ず、その後に行う印刷データの生成時に使用可能なデバイスプロファイルを見つけるために、既存のデバイスプロファイル(以下、既存プロファイルという)に対する検索を行う(S102)。この場合、制御PC14は、例えば、印刷を実行する印刷装置12の機種、インクセット、媒体50の種類、及び印刷条件等に基づき、既存プロファイルに対する検索を行う。ステップS102での検索時に指定する検索条件については、後に更に詳しく説明をする。
【0028】
そして、ステップS102において、指定した検索条件に合致する既存のプロファイルである該当プロファイルが見つかった場合(S104、Yes)、制御PC14は、プロファイルの選択を終了する。この場合、その後に、制御PC14は、検索で見つかった該当プロファイルを用いて、印刷データを生成する。また、ステップS102において、該当プロファイルが見つからなかった場合(S104、No)、制御PC14は、予め用意されている汎用のプロファイル(ジェネリック)を使用するか否かをユーザに確認する(S106)。この場合、汎用のプロファイルについては、例えば、複数種類の媒体50等に対して汎用的に使用可能なプロファイル等と考えることができる。また、汎用のプロファイルについては、例えば、ステップS102で用いた検索条件に完全には一致しないが、形式的には印刷データの生成時に使用可能なプロファイル等と考えることもできる。そして、ステップS106において、汎用のプロファイルを使用するとユーザが判断した場合(S106、Yes)、制御PC14は、プロファイルの選択を終了する。この場合、その後に、制御PC14は、汎用のプロファイルを用いて、印刷データを生成する。また、ステップS106において、汎用のプロファイルを使用しないとユーザが判断した場合(S106、No)、制御PC14は、いずれかの既存プロファイルに基づき、新たなプロファイルを作成する(S108)。
【0029】
また、新たなプロファイルを作成する動作において、制御PC14は、先ず、所定のパターンを含むチャートを印刷装置12に印刷させる(S112)。本例において、ステップS112の動作は、チャート印刷段階及びチャート印刷処理の動作の一例である。ステップS112で印刷装置12に印刷させるチャートについては、後に更に詳しく説明をする。また、この場合、ステップS112で印刷されるチャートの状態に基づき、例えば、その後に行うプロファイルの検索に用いる検索条件を決定する。より具体的に、本例においては、例えば、チャートの状態をユーザが確認することで、一部の検索条件を決定する。また、チャートに対する測色を行うことで、他の少なくとも一部の検索条件を決定する。そして、制御PC14は、決定された検索条件に基づいて既存プロファイルに対する検索を行うことで、新たなプロファイルの作成に用いるプロファイルである近似プロファイルを選択する(S114)。本例において、ステップS114の動作は、検索段階及び検索処理の動作の一例である。ステップS114で選択する近似プロファイルについては、例えば、作成しようとする新たなプロファイルに特性が似ているプロファイル等と考えることができる。ステップS114での検索時に指定する検索条件についても、後に更に詳しく説明をする。
【0030】
また、制御PC14は、ステップS114で選択される近似プロファイルに対し、必要に応じて色味の調整等を行うことで、新たなプロファイルを作成する(S116)。本例において、ステップS116の動作は、プロファイル作成段階及びプロファイル作成処理の動作の一例である。ステップS116の動作については、例えば、検索段階での検索結果に基づいて選択されるプロファイルに基づいて新たなデバイスプロファイルを作成する動作等と考えることもできる。ステップS116で新たなプロファイルを作成する動作についても、後に更に詳しく説明をする。また、本例において、ステップS116で新たなプロファイルを作成した場合、その後に、制御PC14は、この新たはプロファイルを用いて、印刷データを生成する。本例によれば、例えば、必要に応じて、新たなプロファイルを適切に作成することができる。また、これにより、例えば、印刷データを適切に生成することができる。
【0031】
続いて、ステップS102及びステップS114での検索時に指定する検索条件や、ステップS112で印刷装置12に印刷させるチャート等について、更に詳しく説明をする。
図3は、ステップS102及びステップS114での検索時に指定する検索条件について説明をする図である。
図3(a)は、ステップS102において検索条件を指定する画面表示の一例を示す。
図3(b)は、ステップS114において検索条件を指定する画面表示の一例を示す。
図3(a)、(b)に示す画面表示については、例えば、ユーザによる検索条件の指定を受けるために制御PC14がユーザに示す画面表示の例と考えることができる。
【0032】
本例のステップS102において、制御PC14は、モニタ等の表示装置により、例えば
図3(a)に示すように、検索ワード入力部202、複数の検索条件設定部204、及び複数のボタン206、208を含む表示画面をユーザに対して表示する。また、この場合において、複数の検索条件設定部204として、図中で符号204a~eを付して区別するように、5個の検索条件設定部204を含む表示画面を表示する。これらの構成のうち、検索ワード入力部202は、任意の言葉を検索キーとして入力するための入力部である。検索ワード入力部202については、例えば、検索条件設定部204a~eによって指定する事項以外の検索キーをフリーワードで指定するための入力部等と考えることができる。
【0033】
検索条件設定部204a~eは、既存プロファイルに対応付けられている様々な事項を検索キーとして指定するための設定部である。また、本例において、検索条件設定部204a~eは、予め用意されている選択肢の中からのユーザの選択を受け付けることで、検索キーとして用いる事項の設定をユーザから受け付ける。より具体的に、制御PC14は、検索条件設定部204aにより、印刷装置12の機種を指定する選択をユーザから受け付ける。また、制御PC14は、検索条件設定部204bにより、印刷装置12で使用するインクセットを指定する選択をユーザから受け付ける。また、制御PC14は、検索条件設定部204cにより、印刷装置12で使用する媒体50の種類を指定する選択をユーザから受け付ける。より具体的に、図示した例の場合、制御PC14は、媒体50の種類に関し、媒体50の素材を指定する選択をユーザから受け付ける。また、制御PC14は、検索条件設定部204dにより、印刷条件を指定する選択をユーザから受け付ける。より具体的に、図示した例の場合、制御PC14は、印刷条件に関し、印刷の解像度を指定する選択をユーザから受け付ける。印刷条件としては、解像度以外の条件の指定を受け付けてもよい。この場合、例えば、解像度に加えてパス数の指定を更に受け付けること等が考えられる。また、例えば、印刷装置12におけるインクジェットヘッド122から吐出するインクの容量(液滴の容量)について、所定の1種類の容量のみにするか、複数段階で可変にするかの指定等を受け付けてもよい。この場合、インクの容量を可変にすることについては、例えば、いわゆるバリアブルドット(VD)の設定を用いること等と考えることができる。また、制御PC14は、検索条件設定部204eにより、媒体50を提供している提供者(媒体50のメーカー)を指定する選択をユーザから受け付ける。
【0034】
また、ボタン206は、検索を開始する指示をユーザから受け付けるボタンである。ユーザによってボタン206が押された場合、制御PC14は、検索ワード入力部202及び検索条件設定部204a~eによって入力又は指定されている事項を検索キーとして、既存プロファイルに対する検索を行う。本例によれば、例えば、印刷データの生成時に用いる既存プロファイルを検索するための検索条件の指定をユーザから適切に受け付けることができる。また、これにより、例えば、既存プロファイルに対する検索を適切に行うことができる。また、ボタン208は、検索をキャンセルする指示をユーザから受け付けるボタンである。ユーザによってボタン208が押された場合、制御PC14は、検索を実行せずに、動作を中止する。
【0035】
尚、
図3(a)に示す表示画面に対し、ユーザが一部の項目のみに対して値の入力又は指定を行った場合、制御PC14は、例えば、入力又は指定されている事項のみに基づき、既存プロファイルに対する検索を行う。より具体的に、検索ワード入力部202への入力がなく、検索条件設定部204a~eに対する選択のみがユーザによって行われた場合、制御PC14は、例えば、検索条件設定部204a~eおいて選択された事項のみに基づき、既存プロファイルに対する検索を行う。また、検索条件設定部204a~eで指定を受け付ける事項の少なくとも一部については、ユーザが適切な選択肢を判断することが難しくなる場合もある。例えば、媒体50の素材やメーカーについて、ユーザが適切に判断をすることが難しくなること等も考えられる。そのため、このような項目に対応する検索条件設定部204(例えば、検索条件設定部204c、e)では、選択肢の中に、具体的な選択事項を示さない選択肢を含めることが好ましい。このような選択肢としては、例えば、全て、又は未選択等を示す選択肢を用いることが考えられる。このように構成すれば、例えば、ユーザの選択をより適切に受け付けることができる。
【0036】
また、本例のステップS114において、制御PC14は、モニタ等の表示装置により、例えば
図3(b)に示すように、データ入力及び検索結果に関する項目を含む表示画面をユーザに対して表示する。そして、制御PC14は、データ入力に関する項目として、測色値設定部212、滲み条件設定部214、及び複数のボタン216、218をユーザに対して表示する。データ入力に関するこれらの項目については、例えば、ステップS114における検索条件の指定を受けるための項目等と考えることができる。本例において、制御PC14は、測色値設定部212により、チャートに対する測色値の入力を受け付ける。より具体的に、本例において、制御PC14は、測色値設定部212により、
図2に示す動作におけるステップS112で印刷装置12に印刷させたチャートの一部に対する測色値を示すデータファイルの指定をユーザから受ける。また、これにより、制御PC14は、ユーザの指示に基づき、測色値の入力を受け付ける。測色値設定部212で受け付ける測色値については、チャートの内容と関連付けて、後に更に詳しく説明をする。
【0037】
また、制御PC14は、滲み条件設定部214により、滲み発生インク量の入力をユーザから受け付ける。この場合、滲み発生インク量については、例えば、媒体50上でインクの滲みが発生するインクの量と考えることができる。より具体的に、本例において、制御PC14は、滲み条件設定部214により、滲み発生インク量として、2次色において滲みが発生するインクの量を示す情報を受け付ける。2次色については、例えば、2色のインクの混色によって得られる色等と考えることができる。また、2次色について、例えば、互いに異なる2色の1次色の混色により得られる色等と考えることもできる。より具体的に、例えば、本例のように、イエロー色、マゼンタ色、及びシアン色が1次色である場合、これらの色から2色を混色することで得られる色である、レッド色(R色)、グリーン色(G色)、ブルー色(B色)について、2次色と考えることができる。また、本例において、制御PC14は、ユーザによって数値の入力を受けることで、滲み条件設定部214により、滲み発生インク量の入力を受け付ける。また、この場合において、ユーザは、例えば、
図2に示す動作におけるステップS112で印刷装置12に印刷させたチャートの一部に対して目視等で判断をした結果に基づき、滲み発生インク量の入力を行う。滲み条件設定部214で受け付ける滲み発生インク量についても、チャートの内容と関連付けて、後に更に詳しく説明をする。
【0038】
また、データ入力に関する項目のうち、ボタン216は、より詳細な検索条件の設定を行うためのボタンである。本例において、ユーザによってボタン216が押された場合、制御PC14は、検索条件をより詳細に設定するための表示画面をユーザに対して表示する。このように構成すれば、例えば、必要に応じてより詳細に検索条件を設定することができる。また、ボタン218は、検索を開始する指示をユーザから受け付けるボタンである。ユーザによってボタン218が押された場合、制御PC14は、測色値設定部212及び滲み条件設定部214によって入力されている事項を検索キーとして、既存プロファイルに対する検索を行う。また、これにより、制御PC14は、新たなプロファイルの作成に用いる近似プロファイルを見つけるための検索を行う。
【0039】
また、制御PC14は、検索結果に関する項目として、検索結果表示部220、及び複数のボタン222、224をユーザに対して表示する。これらの項目のうち、検索結果表示部220は、検索結果を表示する表示部である。本例において、制御PC14は、ボタン218が押されることで実行した検索の結果を検索結果表示部220に表示することで、近似プロファイルとして見つかったプロファイルをユーザに通知する。また、ボタン222は、検索結果を保存するためのボタンである。本例において、ユーザによってボタン222が押された場合、制御PC14は、検索結果表示部220に表示している検索結果を保存する。また、ボタン224は、検索の動作を終了するためのボタンである。本例において、ユーザによってボタン224が押された場合、制御PC14は、
図3(b)に示す表示画面の表示を終了する。本例によれば、例えば、新たなプロファイルの作成に用いる近似プロファイルを見つけるための検索を適切に行うことができる。
【0040】
続いて、本例において印刷装置12に印刷させるチャートについて、更に詳しく説明をする。
図4は、ステップS112で印刷装置12に印刷させるチャートの一例を示す。上記においても説明をしたように、本例において、新たなプロファイルを作成する場合、制御PC14は、印刷装置12に、所定のパターンを含むチャートを印刷させる。そして、この場合、制御PC14は、例えば図中に示すように、媒体50に対し、色確認用パターン302及び滲み確認用パターン304を含むチャートを印刷装置12に印刷させる。色確認用パターン302については、例えば、印刷装置12で用いるインクによって表現される色を確認するためのパターン等と考えることができる。滲み確認用パターン304については、例えば、滲み発生インク量を確認するためのパターン等と考えることができる。
【0041】
また、本例において、色確認用パターン302は、複数の色毎パターン312c~kを含む。色毎パターン312cは、シアン色のインクについて、単位面積あたりのインクの量を複数段階で異ならせたパターンである。色毎パターン312mは、マゼンタ色のインクについて、単位面積あたりのインクの量を複数段階で異ならせたパターンである。色毎パターン312yは、イエロー色のインクについて、単位面積あたりのインクの量を複数段階で異ならせたパターンである。色毎パターン312kは、ブラック色のインクについて、単位面積あたりのインクの量を複数段階で異ならせたパターンである。色毎パターン312c~kについては、例えば、同じ色の1色のインクに対して単位面積あたりのインクの量を複数段階で異ならせたパターン等と考えることもできる。
【0042】
また、本例において、滲み確認用パターン304は、複数の2次色パターン314r~bを含む。2次色パターン314r~bについては、例えば、2次色について色の濃さを複数段階で異ならせたパターン等と考えることができる。本例において、2次色パターン314r~bとしては、1次色のインクであるイエロー色、マゼンタ色、及びシアン色のうちの2色を同比率で混色させることで表現されるレッド色、グリーン色、及びブルー色について、色の濃さを複数段階で異ならせたパターンを用いる。この場合、1次色のインクを同比率で混色させることについては、例えば、単位面積あたりのインクの量を揃えて混色させること等と考えることができる。また、2次色について、色の濃さを複数段階で異ならせることについては、その2次色を表現するために用いる1次色について、単位面積あたりのインクの量を複数段階で異ならせること等と考えることができる。
【0043】
また、上記においても説明をしたように、本例において、制御PC14は、近似プロファイルを見つけるための検索において、検索条件として、測色値及び滲み発生インク量を用いる。そして、この場合、この測色値としては、色確認用パターン302に対して測色を行うことで得られる測色値を用いる。色確認用パターン302に対して測色を行うことについては、例えば、色確認用パターン302における色毎パターン312c~kに対して測色を行うこと等と考えることができる。また、色確認用パターン302に対する測色については、例えば、公知の測色器を用いて行うことができる。このような測色器としては、例えば、印刷装置12に設置されている測色器等を好適に用いることができる。また、測色器として、印刷装置12の外に設置されている測色器を用いてもよい。
【0044】
また、本例において、検索条件のうち、滲み発生インク量としては、滲み確認用パターン304からユーザが判断した値と用いる。滲み確認用パターン304からユーザが判断した値については、例えば、滲み確認用パターン304における2次色パターン314r~bの状態に基づいてユーザが判断した値等と考えることができる。また、この場合、例えば、ユーザが目視等で2次色パターン314r~bの状態を確認し、要求される印刷の品質において問題となる滲みが発生している箇所での色の濃さを判断することで、滲み発生インク量を決定する。また、本例のように、複数色の2次色(レッド色、グリーン色、及びブルー色)に対応する2次色パターン314r~bを滲み確認用パターン304が含む場合、色によって、滲みが発生する色の濃さに差が生じること等も考えられる。そのため、このような場合には、例えば、2次色パターン314r~bのうち、最も少ないインクの量で滲みが発生しているもので滲みが発生している色の濃さに基づき、滲み発生インク量を決定する。
【0045】
本例によれば、例えば、印刷装置12に印刷させるチャートに基づき、検索条件として用いる測色値及び滲み発生インク量を適切に確認することができる。また、これにより、例えば、新たなプロファイルの作成時に近似プロファイルとして用いる既存プロファイルを適切に検索することができる。また、この場合、例えば、色確認用パターン302及び滲み確認用パターン304を含むチャートを1枚の媒体50に対して印刷することで、検索に必要な情報を適切に取得することができる。そのため、本例によれば、例えば、多数のチャートを印刷することなく、新たなプロファイルの作成を適切に行うことができる。
【0046】
また、印刷装置12に印刷させるチャートの具体的な構成については、
図4に図示した構成に限らず、様々に変更が可能である。例えば、色確認用パターン302及び滲み確認用パターン304以外のパターンを更に含むチャートを印刷装置12に印刷させてもよい。この場合も、1枚の媒体50に収まる範囲のチャートを用いることが好ましい。また、本例において用いる滲み確認用パターン304については、例えば、滲みが発生するインクの最大量を確認するためのパターン等と考えることもできる。滲み確認用パターン304としては、例えば、公知のインクリミットチャートにおけるパターンと同一又は同様のパターン等を好適に用いることができる。また、滲み確認用パターン304について、例えば、2次色以外の色の滲みを確認するためのパターンを更に含ませてもよい。また、例えば、1次色の混色の比率を同比率以外にした2次色についての滲みを確認するためのパターンを滲み確認用パターン304に更に含ませること等も考えられる。また、上記においても説明をしたように、本例において、制御PC14は、印刷装置12によって印刷されたチャートに基づき、
図2に示す動作におけるステップS114の動作により、新たなプロファイルの作成に用いる近似プロファイルを選択する。そして、ステップS116の動作により、近似プロファイルに基づき、必要に応じて色味の調整等を行うことで、新たなプロファイルを作成する。また、より具体的に、この場合、印刷装置12は、例えば
図5に示す動作を行うことで、新たなプロファイルを作成する。
【0047】
図5は、新たなプロファイルを作成する動作の一例を示すフローチャートであり、ステップS114及びステップS116において行うより詳細な動作の例を示す。本例において、制御PC14は、チャートに基づいて近似プロファイルを選択する動作(S114)の中で、先ず、近似プロファイルを選択するための検索条件を指定する検索キーの入力を受け付ける(S202)。より具体的に、制御PC14は、例えば、
図3(b)を用いて説明をした表示画面をユーザに対して表示することで、チャートに対する測色値と、滲み発生インク量とを、検索キーとして受け付ける。
【0048】
また、ステップS202での動作に続いて、制御PC14は、既存プロファイルに対し、入力された検索キーに基づく検索を行う。また、本例において、制御PC14は、この検索の度差として、滲み発生インク量に基づいて既存プロファイルの選択を行う滲み基準選択(S204)と、測色値に基づいて既存プロファイルの選択を行う色基準選択(S206)とを行う。ステップS204及びS206での動作に関し、既存プロファイルの選択を行うことについては、例えば、検索キーに応じて検索される既存プロファイルを選択すること等と考えることができる。また、本例において、ステップS204の動作は、第1選択段階及び第1選択処理の動作の一例である。ステップS206の動作は、第2選択段階及び第2選択処理の動作の一例である。第2選択段階及び第2選択処理については、例えば、第1選択段階又は第1選択処理で選択された既存プロファイルに対して第1選択段階又は第1選択処理と異なる条件での選択を行う段階又は処理等と考えることができる。
【0049】
また、本例において、制御PC14は、ステップS204での動作により、滲み発生インク量に基づき、既存プロファイルの中から、滲み発生インク量未満のインクの量での印刷が行える既存プロファイルを選択する。この場合、ステップS204の動作について、例えば、滲みが発生する可能性が高いプロファイルを除外する動作等と考えることができる。また、この場合、ステップS206において、制御PC14は、ステップS204で選択された既存プロファイルのみを検索の対象にして検索を行うことで、測色値に基づく既存プロファイルの選択を行う。このように構成すれば、例えば、既存プロファイルに対する検索を効率的かつ適切に行うことができる。ステップS204及びステップS206において既存プロファイルの選択を行う動作については、後に更に詳しく説明をする。また、本例において、制御PC14は、ステップS206での選択結果に基づき、近似プロファイルとして用いる既存プロファイルを決定し、検索結果として、出力する(S208)。より具体的に、本例のステップS206において、制御PC14は、近似プロファイルとしてこの既存プロファイルとして、いずれかの一つの既存プロファイルを用いることを決定する。
【0050】
また、ステップS208での動作に続いて、制御PC14は、近似プロファイルに基づき、新たなプロファイルの作成を行う(S116)。また、本例において、制御PC14は、新たなプロファイルの作成を行う動作の中で、印刷装置12に更にチャートを印刷させ(S210)、印刷されたチャートにおいて色味に問題が生じているか否かを確認する(S212)。この場合、ステップS210において、制御PC14は、ステップS208で近似プロファイルとして選択された既存プロファイルを用いて所定のチャートを示す印刷データを生成し、印刷装置12へ供給することで、印刷装置12にチャートを印刷させる。また、この場合、印刷装置12は、新たに作成するプロファイルを適用する対象の媒体50を用いて、チャートを印刷する。
【0051】
ステップS210で印刷装置12に印刷させるチャートについては、例えば、近似プロファイルを用いることで表現される色を確認するためのチャート等と考えることができる。また、ステップS210で印刷装置12に印刷させるチャートについて、例えば、
図2のステップS112で印刷装置12に印刷させるチャートとは異なる目的のチャート等と考えることもできる。また、上記においても説明をしたように、本例においては、ステップS204で滲み発生インク量に基づいて既存プロファイルの選択を行うことで、使用する媒体50において滲みが発生しない条件の近似プロファイルを選択している。そのため、ステップS210で印刷装置12に印刷させるチャートについては、例えば、主として色の確認を行うためのチャート等と考えることができる。また、この場合、ステップS210で印刷装置12に印刷させるチャートとして、ステップS112で印刷装置12に印刷させるチャートとはパターンが異なるチャートを用いることが考えられる。また、印刷に求められる品質等によっては、例えば、ステップS210で印刷装置12に印刷させるチャートとして、ステップS112で印刷装置12に印刷させるチャートと同じチャートを用いること等も考えられる。
【0052】
また、ステップS212において、制御PC14は、例えば、測色器でチャートを測色した測色結果に基づき、チャートにおいて色味に問題が生じているか否かを確認する。この場合、制御PC14は、例えば、測色結果をモニタ等に表示して、ユーザの判断結果を受け付けることで、チャートにおいて色味に問題が生じているか否かを確認する。また、制御PC14は、例えば予め設定された基準に基づき、ユーザの判断結果を受け付けることなく、自動的に、チャートにおいて色味に問題が生じているか否かを確認してもよい。また、ステップS212において、測色器としては、例えば、ステップS112で印刷装置12に印刷させるチャートに対する測色に用いる測色器と同じ測色器を用いることが考えられる。また、印刷システム10の構成等に応じて、ステップS212で用いる測色器として、ステップS112で印刷装置12に印刷させるチャートに対する測色に用いる測色器と異なる測色器を用いてもよい。また、ステップS212において、制御PC14は、例えば、測色器による測色結果を用いずに、例えばユーザが目視等でチャートを確認した結果に基づき、チャートにおいて色味に問題が生じているか否かを確認してもよい。この場合、制御PC14は、例えば、チャートに対するユーザの確認結果を受け付けることで、チャートにおいて色味に問題が生じているか否かを確認する。
【0053】
また、ステップS212において、色味に問題が生じていない場合(S212、Yes)、近似プロファイルをそのまま用いることが可能と考えることができる。そのため、この場合、制御PC14は、近似プロファイルをそのまま用いて、新たなプロファイルを作成(生成)する。より具体的に、この場合、制御PC14は、例えば、近似プロファイルとして選択されている既存プロファイルをコピーし、コピーしたプロファイルに対して対応する媒体50の種類や媒体50の名称等を適宜設定することで、新たなプロファイルを作成する。
【0054】
また、ステップS212において、色味に問題が生じている場合(S212、No)、制御PC14は、近似プロファイルに対し、色調の補正を行う(S214)。より具体的に、本例のステップS214において、制御PC14は、例えば、インクの色毎に設定されるインクリミットの値を調整することで、色味の調整を行う。インクリミットの値については、例えば、予め設定された100%の濃度での印刷を行う場合に単位面積あたりに吐出するインクの量に対応する値等と考えることができる。この場合、インクリミットの値を調整することで、例えば、調整量に応じて、100%以外の濃度での印刷時に単位面積あたりに吐出するインクの量も変化する。また、インクリミットの値をインクの色毎に個別に調整することで、例えば、色味の調整を適切に行うことができる。本例のステップS214において、制御PC14は、例えば、ユーザによって選択される任意の画像を印刷装置12に印刷させ、ユーザに確認させる。また、この場合、例えば、制御PC14は、例えば、インクリミットの値を互いに異ならせて、同じ画像を印刷装置12に印刷させる。そして、その中で色味の適切な画像をユーザに選択させ、選択結果をユーザから受け付けることで、インクリミットの値の調整量を決定する。このように構成すれば、例えば、色味の調整を適切に行うことができる。また、この場合、ステップS214において、例えば求められる印刷の品質等に応じて、画像の印刷とインクリミットの値の調整とを、複数回繰り返して行ってもよい。このように構成すれば、例えば、色味の調整をより高い精度で適切に行うことができる。
【0055】
また、ステップS214において、色味の調整を行った場合、制御PC14は、近似プロファイルとして選択されている既存プロファイルに対し、色味の調整の結果を反映させて、新たなプロファイルを作成する。この場合、制御PC14は、例えば、近似プロファイルとして選択されている既存プロファイルをコピーし、コピーしたプロファイルに対して対応する媒体50の種類や媒体50の名称等を適宜設定し、更に色味の調整の結果を反映させることで、新たなプロファイルを作成する。本例によれば、例えば、新たな媒体50を用いる場合等に、新たなプロファイルを適切に作成することができる。
【0056】
また、制御PC14の動作の変形例においては、上記の動作について、適宜変更をすること等も考えられる。例えば、ステップS206において、制御PC14は、複数の既存プロファイルを選択してもよい。この場合、ステップS208において、制御PC14は、近似プロファイルとして、複数の既存プロファイルを選択してもよい。また、この場合、制御PC14は、例えば、複数の近似プロファイルに対してステップS210~S214を行い、これらの動作の中で、最終的に、いずれか一つの近似プロファイルを選択する。そして、その近似プロファイルに基づき、新たなプロファイルを作成する。このように構成した場合も、例えば、新たなプロファイルを適切に作成することができる。
【0057】
続いて、ステップS204及びステップS206において既存プロファイルの選択を行う動作等について、更に詳しく説明をする。上記においても説明をしたように、本例において、制御PC14は、滲み発生インク量に基づいて既存プロファイルを選択し、その選択結果に対して測色値に基づく選択を行うことで、近似プロファイルを決定する。そして、この近似プロファイルに基づき、新たなプロファイルを作成する。このように構成すれば、例えば、滲みを防止しつつ所望の色を表現できる新たなプロファイルの作成を適切に行うことができる。
【0058】
また、より具体的に、本例のステップS204において、制御PC14は、滲み確認用パターン304における2次色パターン314r~b(
図3参照)に基づいてユーザが判断した滲み発生インク量に基づき、滲みが発生する既存プロファイルを除外し、それ以外の既存プロファイルを選択する。この場合、制御PC14は、例えば、既存プロファイルのうち、いずれかの色のインクについて滲み発生インク量以上のインクを使用する設定を含む既存プロファイルを除外する。また、これにより、制御PC14は、例えば、滲みが発生する可能性が高い既存プロファイルを除外する。既存プロファイルに関し、いずれかの色のインクについて滲み発生インク量以上のインクを使用する設定を含むことについては、例えば、その既存プロファイルを用いていずれかの色を表現する場合に滲み発生インク量以上のインクを使用すること等と考えることができる。また、既存プロファイルを用いる場合に滲みが発生することについては、例えば、いずれかの色について予め設定された100%の濃度での印刷を行う場合に滲みが発生すること等と考えることもできる。また、この場合、100%の濃度での印刷を行う場合のインクの量について、例えば、色の入力値が100の場合のインクの量(入力100時のインクボリューム)等と考えることができる。そのため、ステップS204での動作については、例えば、入力100時のインクボリュームが滲み発生インク量以上になる既存プロファイルを除外していると考えることもできる。
【0059】
また、本例において、制御PC14は、ステップS204での動作の中で、その後に行う既存プロファイルの選択に用いるパラメータの準備等を更に行う。また、制御PC14は、このようなパラメータの準備として、例えば、測色値の補間や単位面積あたりのインクの量の算出等を行う。この場合、測色値の補間については、例えば、その後にステップS206で行う動作で用いるパラメータを準備する動作等と考えることができる。また、本例において、制御PC14は、色確認用パターン302における色毎パターン312c~k(
図3参照)に対する測色の結果に対して補間を行う。より具体的に、色毎パターン312c~kとしては、例えば、所定の刻み幅(例えば5%程度)で色の濃さを変化させたパターンを用いることが考えられる。また、上記においても説明をしたように、本例において、色毎パターン312c~kは、単位面積あたりのインクの量を複数段階で異ならせたパターンである。そのため、本例において用いる測色値については、例えば、単位面積あたりのインクの量と対応付けて測色された色を示していると考えることができる。そして、この場合、制御PC14は、色毎パターン312c~kに対する測色値に対し、例えば線形補間等の方法で補間を行うことで、より小さな刻み幅(例えば、1%程度)で測色値とインクの量との関係を示すデータを生成する。また、この場合、測色値としては、例えば、Lab表色系の色を用いることが考えられる。また、制御PC14において行うパラメータの準備のうち、単位面積あたりのインクの量の算出については、例えば、既存プロファイルにおいて様々な色を表現するために用いるインクの量を算出する動作等と考えることができる。ステップS204において、制御PC14は、このインクの量と、滲み発生インク量とを比較することで、上記のように、滲みが発生する可能性が高い既存プロファイルを除外する。
【0060】
また、印刷装置12のインクジェットヘッド122においては、例えば、吐出するインクの量を可変にすること等も考えられる。この場合、インクジェットヘッド122について、例えば、互いに異なる複数段階の容量でインクを吐出可能と考えることができる。そして、この場合、既存プロファイルとしても、複数段階のインクの容量を考慮したプロファイルを用いることが考えられる。また、この場合、上記の単位面積あたりのインクの量の算出等においても、既存プロファイルに基づき、複数段階のインクの容量を考慮して、インクの量を算出することが考えられる。このように構成すれば、例えば、複数段階の容量でインクを吐出可能なインクジェットヘッド122を用いる場合等にも、滲みが発生する可能性が高い既存プロファイルを適切に除外することができる。
【0061】
また、本例のステップS206において、制御PC14は、ステップS204で除外されなかった既存プロファイルに対し、上記のように補間がされた測色値に基づき、更なる選択を行う。この場合、例えば、
図6に示す動作により、既存プロファイルの選択を行うことが考えられる。
【0062】
図6は、ステップS206での制御PC14のより具体的な動作の一例を示すフローチャートである。本例のステップS206において、制御PC14は、チャートに対する測色値と、既存プロファイルを用いた場合に表現される色とを比較する。また、この比較について、単位面積あたりのインクの量を揃えて比較を行う。より具体的に、制御PC14は、例えば、先ず、ステップS204で選択された既存プロファイルに対し、既存プロファイル毎に、その既存プロファイルに基づき、単位面積あたりのインクの量の基準として用いる基準インク量を設定する(S302)。本例において、ステップS302の動作は、基準インク量設定段階及び基準インク量設定処理の動作の一例である。また、ステップS302において、制御PC14は、既存プロファイル毎に、基準インク量として、その既存プロファイルを用いて予め設定された所定の濃度での印刷を行う場合に単位面積あたりに吐出するインクの量を設定する。より具体的に、本例において、制御PC14は、この所定の濃度として、100%の濃度を用いる。この場合、基準インク量について、例えば、色の入力値が100の場合のインクの量(入力100時のインクボリューム)等と考えることもできる。
【0063】
また、ステップS302での動作に続いて、制御PC14は、既存プロファイル毎に、その既存プロファイルに対応付けられる色差(ΔE)を算出する(S304)。本例において、ステップS304の動作は、色差算出段階及び色差算出処理の動作の一例である。また、本例のステップS304において、制御PC14は、既存プロファイル毎に、その既存プロファイルにおいて基準インク量に対応する色であるプロファイル対応色と、測色値に基づく測色算出色とを算出する。そして、制御PC14は、プロファイル対応色と測色算出色との色差を算出する。本例において、プロファイル対応色及び測色算出色としては、Lab表色系で色を示す値であるLab値を用いる。また、プロファイル対応色については、例えば、既存プロファイルにおいて基準インク量に対応付けられている色等と考えることができる。より具体的に、本例において、プロファイル対応色として、インクの色毎に、既存プロファイルにおいて100%の濃度に対応付けられているLab値を用いる。この場合、プロファイル対応色について、例えば、既存プロファイルにおいて入力100時のインクボリュームに対応付けられているLab値等と考えることもできる。
【0064】
また、測色算出色としては、上記において説明をしたように補間を行った測色値のうち、測色値に対応付けられているインクの量が基準インク量に近い測色値を用いる。この場合、測色算出色について、例えば、上記の補間の処理等を行うことで算出される色等と考えることができる。また、測色算出色について、例えば、基準インク量に対応する色として測色値に基づいて算出される色等と考えることもできる。より具体的に、本例において、制御PC14は、基準プロファイル毎に、補間された測色値のデータの中から、対応付けられているインクの量がその既存プロファイルに対する基準インク量に最も近い測色値を選択する。そして、選択した測色値を示すLab値を測色算出色として用いて、プロファイル対応色と測色算出色との色差を算出する。また、本例において、制御PC14は、このような色差の算出を印刷装置12において用いるインクの色毎に行うことで、CMYKの色毎に、プロファイル対応色と測色算出色との色差を算出する。
【0065】
また、本例のステップS304において、制御PC14は、既存プロファイル毎に、インクの色毎の色差に加えて、インクを吐出しない状態での色差を更に算出する。この場合、インクを吐出しない状態での色差については、例えば、インクが付着していない状態での媒体50の色の色差等と考えることができる。インクを吐出しない状態での色差については、例えば、媒体50の色(媒体50の地の色)に対応する色差等と考えることもできる。また、インクを吐出しない状態での色差について、例えば、いわゆる紙白の色差に対応するものと考えることもできる。本例において、制御PC14は、インクの濃度が0%の場合に対応するプロファイル対応色及び測色算出色に基づき、インクを吐出しない状態での色差を算出する。
【0066】
また、ステップS304での動作に続いて、制御PC14は、ステップS304で算出された色差に基づき、近似プロファイルとして用いる既存プロファイルを選択する(S306)。本例において、ステップS306の動作は、プロファイル選択段階及びプロファイル選択処理の動作の一例である。また、ステップS306において、制御PC14は、例えば、予め設定された計算式を用いて、インクの色毎に求めた色差やその分散等に基づき、近似プロファイルとして用いる既存プロファイルを選択する。また、この場合において、インクを吐出しない状態での色差に更に基づくことで、例えば、媒体50の地の色を更に考慮して、既存プロファイルの選択を行う。本例によれば、例えば、近似プロファイルとして用いる既存プロファイルを適切に選択することができる。
【0067】
続いて、上記において説明をした構成に関する補足説明等を行う。上記においても説明をしたように、本例において、例えば対応する既存プロファイルが存在しない新たな媒体50を用いる場合、制御PC14は、滲み発生インク量及び測色値に基づき、既存プロファイルの中から、近似プロファイルを選択する。そして、近似プロファイルに対し、必要に応じて色味の調整を行って、新たな媒体50に対応する新たなプロファイルを作成する。そして、この場合、滲み発生インク量及び測色値に基づくことで、例えば、新たなプロファイルの作成に用いる近似プロファイルを効率的かつ適切に検索することができる。また、これにより、例えば、新たなプロファイルを効率的かつ適切に作成することができる。
【0068】
また、この点に関し、プロファイルについては、通常、そのプロファイルを用いることで印刷装置12において所望の色を表現できることが望まれる。また、この場合において、例えば、媒体50上で滲みが発生しない範囲のインクの量で、様々な色を表現することが望まれる。そして、既存プロファイルに基づいて新たなプロファイルを作成する場合、色の表現については、例えば上記において説明をした色味の調整のように、プロファイルを作成する処理の中である程度の調整を行うことが比較的容易であると考えることができる。これに対し、滲みが発生するインクの量については、媒体50の吸収性等に密接に関連しているため、通常、調整の余地が小さいと考えることができる。そのため、新たなプロファイルを既存プロファイルに基づいて作成する場合において、既存プロファイルをそのまま用いると滲みが発生する場合、滲みを防止しつつ所望の色を表現するように調整を行うことは、通常、より困難になる。これに対し、本例において、制御PC14は、上記のように、滲み発生インク量に基づき、滲みが発生する可能性が高い既存プロファイルを除外する。そして、制御PC14は、除外されなかった既存プロファイルを対象にして、測色値に基づく検索を行う。このように構成すれば、例えば、近似プロファイルとして用いる既存プロファイルをより適切に選択することができる。
【0069】
また、上記においても説明をしたように、測色値に基づく検索の動作では、既存プロファイル毎に、基準インク量の設定や色差の算出等の演算を行う。そのため、検索の対象の既存プロファイルの数が多くなると、検索に要する時間が膨大になるおそれがある。これに対し、本例によれば、例えば、滲み発生インク量に基づいて選択された既存プロファイルのみを対象にして測色値に基づく検索を行うことで、検索に要する時間が膨大になることを適切に防止することもできる。そのため、本例によれば、例えば、既存プロファイルに対する検索をより効率的に行うことも可能になる。また、上記において説明をした事項等から理解できるように、本例においては、例えばチャートの印刷を1回行うことで、滲み発生インク量及び測色値の確認を行うことが可能である。そのため、この点でも、効率的に近似プロファイルの選択を行うことができる。また、印刷システム10の構成や印刷に求められる品質等によっては、例えば、必要に応じてチャートの印刷を複数回行って、滲み発生インク量及び測色値の確認を行ってもよい。
【0070】
また、新たな媒体50に対応する新たなプロファイルの作成に用いる近似プロファイルを選択することのみを考えた場合、例えば、媒体50の素材等に着目して、既存プロファイルの絞り込みを行えばよいようにも思われる。また、このように絞り込みを行うことで、滲みが発生しにくく、かつ、色味の調整の必要性が少ない既存プロファイルを選択できそうにも思われる。しかし、この場合、対象となる既存プロファイルが少数に限定されることで、例えば、最適な近似プロファイルの選択が難しくなること等も考えられる。これに対し、本例においては、滲み発生量及び測色値に基づく検索を行うことで、同じ素材の媒体50用の既存プロファイル等に限られないより多くの既存プロファイルの中から、近似プロファイルを選択することが可能になる。また、この場合において、例えば上記において説明をしたように、インクを吐出しない状態での色差を更に考慮することで、媒体50の地の色等も考慮して、より適切な近似プロファイルを選択することができる。また、上記においても説明をしたように、本例においては、近似プロファイルに対し、必要に応じて、色味の調整を行っている。このように構成すれば、例えば、近似プロファイルをそのまま用いるのみでは新たな媒体50で適切に印刷を行えない場合等にも、新たな媒体に対応する新たなプロファイルを適切に作成することができる。また、これにより、例えば、多様な新たな媒体50に対応する新たなプロファイルを適切に作成することが可能になる。
【0071】
また、上記においても説明をしたように、本例においては、制御PC14等のコンピュータについて、例えば、プロファイル作成装置として機能すると考えることができる。そして、この場合、プロファイル作成装置について、例えば、上記において説明をした検索処理及びプロファイル作成処理等に対応する動作を行う処理部を備えると考えることができる。より具体的に、この場合、プロファイル作成装置について、例えば、検索処理部及びプロファイル作成処理部等を備えると考えることができる。また、この場合、例えば、制御PC14等の動作を制御するプログラムに従うことで、制御PC14等の少なくとも一部(例えばCPU等)がこれらの処理部として機能すると考えることができる。
【0072】
また、上記においては、主に、印刷データの生成に用いるプロファイルに関し、既存プロファイルに対する検索を行う動作や、必要に応じて新たなプロファイルを作成する動作等について、説明をした。そして、この場合、プロファイルについて、例えば、印刷データを生成する処理において用いる設定を示す情報である設定情報の一例と考えることもできる。また、この場合、上記において説明をした既存プロファイルについて、例えば、既存の設定情報である既存設定情報の一例と考えることができる。既存のプロファイルに基づいて新たなプロファイルを作成する動作については、例えば、設定情報作成段階の動作の一例と考えることができる。設定情報作成段階については、例えば、検索段階での検索結果に基づいて選択される既存設定情報に基づいて新たな設定情報を作成する段階等と考えることができる。
【0073】
また、印刷システム10の構成の変形例においては、例えば、プロファイル以外の設定情報を用いること等も考えられる。より具体的に、印刷システム10の構成の変形例においては、印刷装置12により、例えば、1色のインク(例えば、黒色のインク)を用いてモノトーン(モノクローム・トーン)印刷を行うこと等も考えられる。そして、この場合、例えば、印刷装置12にモノトーン印刷をさせるための印刷データの生成に用いる設定を示す設定情報を用いることが考えられる。また、このような設定情報としては、例えば、インクリミットの値やバリアブルドット(VD)での濃淡を調整するための情報を用いることが考えられる。また、この場合、例えば新たな媒体50を用いる場合等に、必要に応じて、より良好な画質でのモノトーン印刷が可能になる新たな設定情報を作成することが考えられる。より具体的に、この場合も、例えば、滲み確認用パターンを含むチャートを印刷装置12に印刷させ、滲み発生インク量を確認することが考えられる。また、滲み発生インク量に基づいて既存設定情報に対する検索を行い、検索結果に基づいて選択される既存設定情報に基づいて新たな設定情報を作成することが考えられる。このように構成すれば、例えば、新たな設定情報において、インクの量やバリアブルドットでの設定値等について、より適切な設定値を用いることが可能になる。また、上記の動作において、新たな設定情報を作成することは、例えば、新たな設定情報を示すファイル(設定ファイル)を作成することであってよい。この場合、設定情報を示すファイルとしては、例えば、設定情報の内容に応じた形式のファイルを用いることが考えられる。また、例えばカラー印刷を行う場合との処理(設定方法等)の共通性を高めるために、プロファイルと同じ形式で設定情報を示すファイルを用いること等も考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、例えばプロファイル作成方法等に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0075】
10・・・印刷システム、102・・・ヘッド部、104・・・プラテン、106・・・主走査駆動部、108・・・副走査駆動部、110・・・制御部、12・・・印刷装置、122・・・インクジェットヘッド、14・・・制御PC、202・・・検索ワード入力部、204・・・検索条件設定部、206・・・ボタン、208・・・ボタン、212・・・測色値設定部、214・・・滲み条件設定部、216・・・ボタン、218・・・ボタン、220・・・検索結果表示部、222・・・ボタン、224・・・ボタン、302・・・色確認用パターン、304・・・滲み確認用パターン、312・・・色毎パターン、314・・・2次色パターン、50・・・媒体