(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042501
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】歯科用補綴物特定プログラム、歯科用補綴物特定装置および歯科用補綴物特定方法
(51)【国際特許分類】
A61C 13/00 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
A61C13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147262
(22)【出願日】2022-09-15
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】516077138
【氏名又は名称】株式会社サンクレエ
(74)【代理人】
【識別番号】100110766
【弁理士】
【氏名又は名称】佐川 慎悟
(74)【代理人】
【識別番号】100165515
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 清子
(74)【代理人】
【識別番号】100169340
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 陽輔
(74)【代理人】
【識別番号】100195682
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100206623
【弁理士】
【氏名又は名称】大窪 智行
(72)【発明者】
【氏名】森 正人
(57)【要約】
【課題】 複数個の設計データから所望の歯科用補綴物の製造に用いた設計データを正確に特定することのできる、歯科用補綴物特定プログラム、歯科用補綴物特定装置および歯科用補綴物特定方法を提供する。
【解決手段】 所望の歯科用補綴物の三次元点群座標データを取得する補綴物データ取得部71と、候補となる複数個の設計データの三次元点群座標データを取得する設計データ取得部72と、各設計データの三次元点群座標データを歯科用補綴物の三次元点群座標データの三次元座標系に一致させるように座標変換処理をする座標変換部74と、歯科用補綴物の三次元点群座標データと座標変換後の各設計データの三次元点群座標データとの近似度を算出する近似度算出部75と、歯科用補綴物に最も近似する設計データを所望の歯科用補綴物の設計データとして特定する設計データ特定部76とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯科用補綴物を製造するために歯科用CADソフトウエアにより設計された複数個の設計データから所望の歯科用補綴物の設計データを特定するための歯科用補綴物特定プログラムであって、
所望の歯科用補綴物の三次元点群座標データを取得する補綴物データ取得部と、
候補となる複数個の前記設計データの三次元点群座標データを取得する設計データ取得部と、
前記各設計データの三次元点群座標データを前記歯科用補綴物の三次元点群座標データの三次元座標系に一致させるように座標変換処理をする座標変換部と、
前記歯科用補綴物の三次元点群座標データと座標変換後の前記各設計データの三次元点群座標データとの近似度を算出する近似度算出部と、
前記歯科用補綴物に最も近似する前記設計データを所望の歯科用補綴物の設計データとして特定する設計データ特定部と
してコンピュータを機能させる、前記歯科用補綴物特定プログラム。
【請求項2】
前記近似度算出部は、
前記歯科用補綴物の三次元点群座標データにおける各座標点データを中心とした所定の範囲内に、前記各設計データの三次元点群座標データにおいて対応する座標点データがあるか否かを判別する対応点判別部と、
近似度を示す値として前記対応点判別部において対応する座標点データがあると判別された座標点データの数をカウントする対応点数カウント部とを有し、
前記設計データ特定部は、カウントされた対応点数が最も多い前記設計データを所望の歯科用補綴物の設計データとして特定する、請求項1に記載の歯科用補綴物特定プログラム。
【請求項3】
前記近似度算出部は、
前記歯科用補綴物の三次元点群座標データにおける各座標点データを中心とした所定の範囲内に、前記各設計データの三次元点群座標データにおいて対応する座標点データがあるか否かを判別する対応点判別部と、
前記対応点判別部において対応する座標点データがあると判別された座標点データの数をカウントする対応点数カウント部と、
近似度を示す値として前記歯科用補綴物の三次元点群座標データの全点数に対する、前記対応点数カウント部でカウントされた対応点数の割合を算出する対応点割合算出部とを有し、
前記設計データ特定部は、算出された対応点割合が最も高い前記設計データを所望の歯科用補綴物の設計データとして特定する、請求項1に記載の歯科用補綴物特定プログラム。
【請求項4】
前記近似度算出部は、
前記歯科用補綴物の三次元点群座標データにおける各座標点データに対して、前記各設計データの三次元点群座標データで最も近傍にある座標点データを特定する近傍点特定部と、
近似度を示す値として前記歯科用補綴物の三次元点群座標データにおける各座標点データと前記近傍点特定部により特定された近傍座標点データとの間の距離に基づく平均平方二乗誤差を算出する平均平方二乗誤差算出部とを有し、
前記設計データ特定部は、算出された平均平方二乗誤差が最も小さい前記設計データを所望の歯科用補綴物の設計データとして特定する、請求項1に記載の歯科用補綴物特定プログラム。
【請求項5】
前記歯科用補綴物の三次元点群座標データおよび前記各設計データの三次元点群座標データから、所定数の座標点データをランダムに抽出するランダム抽出部としてコンピュータを機能させるとともに、
前記座標変換部は、ランダムに抽出された前記歯科用補綴物の点群データおよび前記各設計データの点群データの座標変換処理をする、請求項1から請求項4のいずれかに記載の歯科用補綴物特定プログラム。
【請求項6】
前記設計データ特定部によって所望の歯科用補綴物の設計データとして特定された設計データの近似度が、他の全ての前記設計データの近似度に対して異常値であるか否かを判別する異常値判別部と、
前記異常値判別部において異常値ではないと判別された場合に、再度設計データを特定する際の前処理として、
前記各設計データから前記近似度の高い順に所定数の前記設計データを絞り込む設計データ絞込部と、
絞り込まれた所定数の前記設計データの三次元点群座標データおよび前記歯科用補綴物の三次元点群座標データから、直前に抽出された座標点データの数より多い数の座標点データをランダムに再抽出する再抽出部と
してコンピュータを機能させる、請求項5に記載の歯科用補綴物特定プログラム。
【請求項7】
歯科用補綴物を製造するために歯科用CADソフトウエアにより設計された複数個の設計データから所望の歯科用補綴物の設計データを特定するための歯科用補綴物特定装置であって、
所望の歯科用補綴物の三次元点群座標データを取得する補綴物データ取得部と、
候補となる複数個の前記設計データの三次元点群座標データを取得する設計データ取得部と、
前記各設計データの三次元点群座標データを前記歯科用補綴物の三次元点群座標データの三次元座標系に一致させるように座標変換処理をする座標変換部と、
前記歯科用補綴物の三次元点群座標データと座標変換後の前記各設計データの三次元点群座標データとの近似度を算出する近似度算出部と、
前記歯科用補綴物に最も近似する前記設計データを所望の歯科用補綴物の設計データとして特定する設計データ特定部と
を有する、前記歯科用補綴物特定装置。
【請求項8】
歯科用補綴物を製造するために歯科用CADソフトウエアにより設計された複数個の設計データから所望の歯科用補綴物の設計データを特定するための歯科用補綴物特定方法であって、
所望の歯科用補綴物の三次元点群座標データを取得する補綴物データ取得ステップと、
候補となる複数個の前記設計データの三次元点群座標データを取得する設計データ取得ステップと、
前記各設計データの三次元点群座標データを前記歯科用補綴物の三次元点群座標データの三次元座標系に一致させるように座標変換処理をする座標変換ステップと、
前記歯科用補綴物の三次元点群座標データと座標変換後の前記各設計データの三次元点群座標データとの近似度を算出する近似度算出ステップと、
前記歯科用補綴物に最も近似する前記設計データを所望の歯科用補綴物の設計データとして特定する設計データ特定ステップと
を有する、前記歯科用補綴物特定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯科用補綴物を製造するために歯科用CADソフトウエアにより設計された複数個の設計データから所望の歯科用補綴物の設計データを特定するための歯科用補綴物特定プログラム、歯科用補綴物特定装置および歯科用補綴物特定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
虫歯の治療として、一般的に虫歯部分を削り取る治療が行われる。この虫歯治療で削った部分が大きい場合、かぶせ物によって歯の形態を修復する必要がある。このような歯の修復に用いられるかぶせ物等は歯科用補綴物と呼ばれる。
【0003】
従来、歯科用補綴物の製造は、歯科医師による歯型の型取りを行い、その歯型から石膏などで模型を作成し、作成された模型を基に歯科技工士が歯科用補綴物を製造するという工程を経ている。
【0004】
近年では、歯科用補綴物の製造工程のデジタル化が進められており、口腔内を三次元スキャナで読み取り、模型を用いずにスキャンデータから直接的にコンピュータ内で歯科用補綴物の設計を行い、その設計データに基づいてNC加工機等の自動工作機械で製造することが可能となっている。
【0005】
例えば、特開2022-27071号公報では、歯科用補綴物を補綴する対象の形状の情報を少なくとも含む補綴対象データを受信する補綴対象データ受信部と、前記歯科用補綴物の希望のデザインを示すデザイン情報を受信するデザイン情報受信部と、同一の前記歯科用補綴物に対応した前記補綴対象データ及び前記デザイン情報に、前記歯科用補綴物を特定する情報を付加して出力する出力部とを備える歯科用補綴物提供管理装置が提案されている(特許文献1)。
【0006】
このような歯科用補綴物の設計のデジタル化や製造の自動化によって、製造に係る時間は従来に比べて大幅に短縮されており、一人の歯科技工士が短期間に複数の歯科用補綴物を製造できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、歯科用補綴物の完成後、各歯科用補綴物がどの設計データに基づき作成されたものかを特定する納品チェックが行われる。これまでの納品チェックは、設計データと完成した歯科用補綴物とを目視で比較することによりチェックしているが、出来上がった歯科用補綴物が複数存在し、近似する形態のものも存在するため、度々取り間違いミスが起きている。
【0009】
特に、近年のデジタル化に伴い、短期間に複数の歯科用補綴物が製造されるようになったことで、歯科用補綴物に対して比較する設計データの数が増え、目視による特定は困難となっている。
【0010】
この点、特許文献1に記載された発明においては、製造までの過程を管理するものであり、納品チェック機能を有していない。よって、複数の設計データから製造した歯科用補綴物の設計データを特定する納品チェックを行える技術は未だ確立していない。
【0011】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであって、複数個の設計データから所望の歯科用補綴物の製造に用いた設計データを正確に特定することのできる、歯科用補綴物特定プログラム、歯科用補綴物特定装置および歯科用補綴物特定方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る歯科用補綴物特定プログラムは、歯科用補綴物の製造にかかる複数の設計データの中から所望の設計データを正確に特定するという課題を解決するために、歯科用補綴物を製造するために歯科用CADソフトウエアにより設計された複数個の設計データから所望の歯科用補綴物の設計データを特定するための歯科用補綴物特定プログラムであって、所望の歯科用補綴物の三次元点群座標データを取得する補綴物データ取得部と、候補となる複数個の前記設計データの三次元点群座標データを取得する設計データ取得部と、前記各設計データの三次元点群座標データを前記歯科用補綴物の三次元点群座標データの三次元座標系に一致させるように座標変換処理をする座標変換部と、前記歯科用補綴物の三次元点群座標データと座標変換後の前記各設計データの三次元点群座標データとの近似度を算出する近似度算出部と、前記歯科用補綴物に最も近似する前記設計データを所望の歯科用補綴物の設計データとして特定する設計データ特定部としてコンピュータを機能させる。
【0013】
また、本発明の一態様として、歯科用補綴物と設計データとが一致する場合、座標変換を行った三次元点群座標データ同士の座標点データがほぼ一致する位置に存在する点に着目し、複雑なアルゴリズムを用いずに処理負荷を抑制しつつ迅速に近似値を算出するとともに所望する設計データを特定するという課題を解決するために、前記近似度算出部は、前記歯科用補綴物の三次元点群座標データにおける各座標点データを中心とした所定の範囲内に、前記各設計データの三次元点群座標データにおいて対応する座標点データがあるか否かを判別する対応点判別部と、近似度を示す値として前記対応点判別部において対応する座標点データがあると判別された座標点データの数をカウントする対応点数カウント部とを有し、前記設計データ特定部は、カウントされた対応点数が最も多い前記設計データを所望の歯科用補綴物の設計データとして特定するようにしてもよい。
【0014】
さらに、本発明の一態様として、上記の態様と同様に複雑なアルゴリズムを用いずに処理負荷を抑制しつつ迅速に近似値を算出および所望する設計データの特定をし、かつ特定に用いた座標点データの数が異なる設計データ同士の近似度の比較を可能にする課題を解決するために、前記近似度算出部は、前記歯科用補綴物の三次元点群座標データにおける各座標点データを中心とした所定の範囲内に、前記各設計データの三次元点群座標データにおいて対応する座標点データがあるか否かを判別する対応点判別部と、前記対応点判別部において対応する座標点データがあると判別された座標点データの数をカウントする対応点数カウント部と、近似度を示す値として前記歯科用補綴物の三次元点群座標データの全点数に対する、前記対応点数カウント部でカウントされた対応点数の割合を算出する対応点割合算出部とを有し、前記設計データ特定部は、算出された対応点割合が最も高い前記設計データを所望の歯科用補綴物の設計データとして特定するようにしてもよい。
【0015】
また、本発明の一態様として、歯科用補綴物と設計データとが一致する場合、座標変換後の三次元点群座標データ同士の近傍する座標点データの距離は近い点に着目し、複雑なアルゴリズムを用いずに処理負荷を抑制しつつ迅速に近似値を算出するとともに所望する設計データの特定を行うという課題を解決するために、前記近似度算出部は、前記歯科用補綴物の三次元点群座標データにおける各座標点データに対して、前記各設計データの三次元点群座標データで最も近傍にある座標点データを特定する近傍点特定部と、近似度を示す値として前記歯科用補綴物の三次元点群座標データにおける各座標点データと前記近傍点特定部により特定された近傍座標点データとの間の距離に基づく平均平方二乗誤差を算出する平均平方二乗誤差算出部とを有し、前記設計データ特定部は、算出された平均平方二乗誤差が最も小さい前記設計データを所望の歯科用補綴物の設計データとして特定するようにしてもよい。
【0016】
さらに、本発明の一態様として、近似度を算出する際のコンピュータの負荷を軽減し、所望の歯科用補綴物の製造に用いた設計データを特定するための処理速度を速めるという課題を解決するために、前記歯科用補綴物の三次元点群座標データおよび前記各設計データの三次元点群座標データから、所定数の座標点データをランダムに抽出するランダム抽出部を有し、前記座標変換部は、ランダムに抽出された前記歯科用補綴物の点群データおよび前記各設計データの点群データの座標変換処理をするようにしてもよい。
【0017】
また、本発明の一態様として、処理速度の高速化を図りつつ特定した設計データの正しさを確認し、正しさが確認できない場合には再計算させることで処理速度の高速化と特定精度の正確さのバランスを図る処理方法を提供するという課題を解決するために、前記設計データ特定部によって所望の歯科用補綴物の設計データとして特定された設計データの近似度が、他の全ての前記設計データの近似度に対して異常値であるか否かを判別する異常値判別部と、前記異常値判別部において異常値ではないと判別された場合に、再度設計データを特定する際の前処理として、前記各設計データから前記近似度の高い順に所定数の前記設計データを絞り込む設計データ絞込部と、絞り込まれた所定数の前記設計データの三次元点群座標データおよび前記歯科用補綴物の三次元点群座標データから、直前に抽出された座標点データの数より多い数の座標点データをランダムに再抽出する再抽出部とを有するようにしてもよい。
【0018】
本発明に係る歯科用補綴物特定装置は、歯科用補綴物の製造にかかる複数の設計データの中から所望の設計データを正確に特定するという課題を解決するために、歯科用補綴物を製造するために歯科用CADソフトウエアにより設計された複数個の設計データから所望の歯科用補綴物の設計データを特定するための歯科用補綴物特定装置であって、所望の歯科用補綴物の三次元点群座標データを取得する補綴物データ取得部と、候補となる複数個の前記設計データの三次元点群座標データを取得する設計データ取得部と、前記各設計データの三次元点群座標データを前記歯科用補綴物の三次元点群座標データの三次元座標系に一致させるように座標変換処理をする座標変換部と、前記歯科用補綴物の三次元点群座標データと座標変換後の前記各設計データの三次元点群座標データとの近似度を算出する近似度算出部と、前記歯科用補綴物に最も近似する前記設計データを所望の歯科用補綴物の設計データとして特定する設計データ特定部とを有する。
【0019】
本発明に係る歯科用補綴物特定方法は、歯科用補綴物の製造にかかる複数の設計データの中から所望の設計データを正確に特定するという課題を解決するために、歯科用補綴物を製造するために歯科用CADソフトウエアにより設計された複数個の設計データから所望の歯科用補綴物の設計データを特定するための歯科用補綴物特定方法であって、所望の歯科用補綴物の三次元点群座標データを取得する補綴物データ取得ステップと、候補となる複数個の前記設計データの三次元点群座標データを取得する設計データ取得ステップと、前記各設計データの三次元点群座標データを前記歯科用補綴物の三次元点群座標データの三次元座標系に一致させるように座標変換処理をする座標変換ステップと、前記歯科用補綴物の三次元点群座標データと座標変換後の前記各設計データの三次元点群座標データとの近似度を算出する近似度算出ステップと、前記歯科用補綴物に最も近似する前記設計データを所望の歯科用補綴物の設計データとして特定する設計データ特定ステップとを有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複数個の設計データから所望の歯科用補綴物の製造に用いた設計データを正確に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る歯科用補綴物特定装置の一実施形態を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態における座標変換部により座標変換させる前の設計データおよび歯科用補綴物の三次元点群座標データを、同一の三次元座標系に表示した状態を示す斜視図である。
【
図3】本実施形態における座標変換部により座標変換させた後の設計データおよび歯科用補綴物の三次元点群座標データを、同一の三次元座標系に表示した状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明に係る歯科用補綴物特定プログラムのフローチャートを示す図である。
【
図5】本実施形態の歯科用補綴物特定プログラムにおける第一の近似度算出部のフローチャートを示す図である。
【
図6】本実施形態の歯科用補綴物特定プログラムにおける第二の近似度算出部のフローチャートを示す図である。
【
図7】本実施形態の歯科用補綴物特定プログラムにおける第三の近似度算出部のフローチャートを示す図である。
【
図8】本実施形態の歯科用補綴物特定プログラムにおいて、ファイル名1-001.stl~1-010.stlの10個の設計データを対象に、Fast Global Registrationにより座標変換処理を行い、近似度として設計データごとの対応点数を算出した結果を示す棒グラフ図である。
【
図9】
図8と同じ設計データおよび座標変換処理を行い、近似度として設計データごとの対応点数の割合を算出した結果を示す棒グラフ図である。
【
図10】
図8および
図9と同じ設計データおよび座標変換処理を行い、近似度として設計データごとの平均平方二乗誤差を算出した結果を示す棒グラフ図である。
【
図11】実施例1において用いられた歯科用補綴物を製造するために歯科用CADソフトウエアにより設計された設計データの三次元データを示す斜視図である。
【
図12】
図11の設計データにおける三次元データを10000点の座標点からなる三次元点群座標データに変換した状態を示す斜視図である。
【
図13】本実施例1において製造された歯科用補綴物の三次元点群座標データと、その設計データの三次元点群座標データとを(1)RANSAC、(2)Point to Plane ICPおよび(3)Fast Global Registrationにより座標を一致させ、重ね合わせた状態を示す斜視図である。
【
図14】本実施例1において、ファイル名1-001.stl~1-010.stlの10個の設計データを対象に、RANSACにより座標変換処理を行い、近似度として設計データごとの対応点数、対応点の割合および平均平方二乗誤差を算出した結果を示す棒グラフ図である。
【
図15】本実施例1において、ファイル名1-001.stl~1-010.stlの10個の設計データを対象に、Point to Plane ICPにより座標変換処理を行い、近似度として設計データごとの対応点数、対応点の割合および平均平方二乗誤差を算出した結果を示す棒グラフ図である。
【
図16】本実施例1において、ファイル名1-001.stl~1-010.stlの10個の設計データを対象に、Fast Global Registrationにより座標変換処理を行い、近似度として設計データごとの対応点数、対応点の割合および平均平方二乗誤差を算出した結果を示す棒グラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る歯科用補綴物特定プログラム、歯科用補綴物特定装置および歯科用補綴物特定方法の一実施形態について図面を用いて説明する。
【0023】
歯科用補綴物特定装置1は、複数個の設計データから所望の歯科用補綴物の設計データを特定するための装置であって、本実施形態では、
図1に示すように、主として、表示手段2と、入力手段3と、三次元スキャナ手段4と、記憶手段6および演算処理手段7を備えたコンピュータ5とにより構成されている。
【0024】
表示手段2は、液晶ディスプレイ等で構成されており、ユーザに各種の情報を表示するものであり、例えば、演算条件などを入力するための入力画像や、演算処理により特定された設計データの出力結果を表示させる出力画像などを表示する。
【0025】
入力手段3は、マウスやキーボード等で構成されており、ユーザによる各種の選択や指示を入力するものであり、本実施形態では、演算条件などの入力や近似度の算出方法の選択等に用いられる。
【0026】
なお、本実施形態では、表示手段2および入力手段3をそれぞれ別個に有しているが、この構成に限定されるものではなく、タッチパネルのように表示機能および入力機能を兼ね備えた表示入力手段により構成してもよい。
【0027】
三次元スキャナ手段4は、三次元スキャナ装置等で構成されており、製造した歯科用補綴物の三次元データの読み取りを行うものである。本実施形態における三次元スキャナ手段4は、読み取った歯科用補綴物の三次元データのSTL(Stereolithography)データを生成し、当該STLデータから、複数個の座標点データによって構成される三次元点群座標データに変換して出力することができる。
【0028】
なお、三次元スキャナ手段4は、市販の三次元スキャナ装置でもよく、歯科用補綴物特定装置1のみに用いる専用設計された三次元スキャナ装置でもよい。また、三次元スキャナ手段4による出力形式は特に限定されるものではなく、STLデータ等の点群データ以外の形式で出力してもよく、その場合には演算処理手段7が当該三次元データを取得し、汎用プログラム等を用いて三次元点群座標データに変換してもよい。
【0029】
コンピュータ5は、歯科用補綴物特定プログラム1aを実行処理するための装置であり、本実施形態では、
図1に示すように、記憶手段6および演算処理部7を備えている。また、コンピュータ5は、図示しないが、演算処理部7等への給電を行う電源装置やLAN(Local area network)、Wi-Fi(Wireless Fidelity)およびBluetoothなどの通信手段などを備えている。
【0030】
記憶手段6は、各種のデータを記憶するとともに、演算処理手段7が演算処理を行う際のワーキングエリアとして機能するものである。本実施形態において、記憶手段6は、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等で構成されており、
図1に示すように、プログラム記憶部61と、所望の歯科用補綴物の三次元点群座標データを記憶する補綴物データ記憶部62と、歯科用補綴物を製造するための設計データの三次元点群座標データを記憶する設計データ記憶部63とを有する。
【0031】
プログラム記憶部61には、候補となる複数個の設計データから所望の歯科用補綴物の製造に用いられてた設計データを特定するための歯科用補綴物特定プログラム1aがインストールされている。そして、演算処理手段7が歯科用補綴物特定プログラム1aを実行することにより、コンピュータ5を後述する各構成部として機能させるようになっている。
【0032】
なお、歯科用補綴物特定プログラム1aの利用形態は、上記構成に限られるものではない。例えば、CD-ROMやDVD-ROM等のように、コンピュータ5で読み取り可能な非一時的な記録媒体に歯科用補綴物特定プログラム1aを記憶させておき、当該記録媒体から直接読み出して実行してもよい。また、外部サーバ等からクラウドコンピューティング方式やASP(Application Service Provider)方式で歯科用補綴物特定プログラム1aを利用してもよい。
【0033】
補綴物データ記憶部62は、歯科用補綴物の三次元点群座標データを記憶する記憶領域であり、本実施形態では、三次元スキャナ手段4から出力された歯科用補綴物の三次元点群座標データを記憶している。
【0034】
歯科用補綴物の三次元点群座標データは、複数個の座標点データにより構成されており、個々の点を識別する識別名と、各点の三次元座標系のX座標値、Y座標値、Z座標値とにより構成されている。
【0035】
設計データ記憶部63は、歯科用補綴物を製造するために歯科用CADソフトウエアにより設計された複数個の設計データの三次元点群座標データを記憶する記憶領域であり、本実施形態では、予め歯科用CADソフトウエアから取得した設計データの三次元点群座標データを記憶している。
【0036】
設計データの三次元点群座標データは、歯科用補綴物の三次元点群座標データと同様に、複数個の座標点データにより構成されており、個々の点を識別する識別名と、各点の三次元座標系のX座標値、Y座標値、Z座標値とにより構成されている。また、本実施形態では、設計データごとに、病院名や患者名など、納品チェックに用いられる識別情報を対応付けて記憶している。
【0037】
なお、設計データを作成する歯科用CADソフトウエアは、特に限定されるものではなく、市販の歯科用CADソフトウエアでもよく、歯科用補綴物特定装置1のみに用いるために専用にプログラムされたソフトウエアでもよい。
【0038】
演算処理手段7は、CPU(Central Processing Unit)等で構成されており、プログラム記憶部61にインストールされた歯科用補綴物特定プログラム1aを実行することにより、
図1に示すように、補綴物データ取得部71、設計データ取得部72、ランダム抽出部73、座標変換部74、近似度算出部75、設計データ特定部76、異常値判別部77、設計データ絞込部78および再抽出部79として機能する。以下、各構成部についてより詳細に説明する。
【0039】
補綴物データ取得部71は、所望の歯科用補綴物の三次元点群座標データを取得するものであり、本実施形態では、三次元スキャナ手段4から出力され、補綴物データ記憶部62に記憶されている所望の歯科用補綴物の三次元点群座標データを取得するようになっている。
【0040】
設計データ取得部72は、候補となる複数個の設計データの三次元点群座標データを取得するものであり、本実施形態では、設計データ記憶部63に記憶されている複数個の設計データの三次元点群座標データを取得するようになっている。このとき、取得する設計データの範囲は、設計データ記憶部63に記憶されている全ての設計データでもよく、入力手段3により選択された一部(例えばフォルダ毎)の設計データであってもよい。また、先に実行された処理で特定された設計データを候補から自動的に外す処理を備えていてもよい。
【0041】
ランダム抽出部73は、次に説明する座標変換部74における処理の負荷を軽減するとともに処理速度を速めるために、補綴物データ取得部71が取得した歯科用補綴物の三次元点群座標データおよび設計データ取得部72が取得した各設計データの三次元点群座標データの全ての座標点データから所定数の座標点データをランダムに抽出するものである。本実施形態におけるランダム抽出部73は、抽出する数を3000点、5000点および10000点のうちから任意に選択できるようになっている。
【0042】
ランダム抽出部73が、全ての座標点データから所定数の座標点データをランダムに抽出する方法は特に限定されるものではないが、抽出された点群データにより設計された歯の形状および製造された歯科用補綴物の形状が全体的に表れるように、抽出された点同士の間隔がおよそ一定になるように抽出するのが好ましい。
【0043】
座標変換部74は、各設計データの三次元点群座標データを歯科用補綴物の三次元点群座標データの三次元座標系に一致させるものであり、本実施形態では、ランダム抽出部73により抽出された各設計データの点群データを歯科用補綴物の点群データの三次元座標系に一致させるように座標変換処理する。
【0044】
つまり、歯科用CADソフトウエアで設計された設計データの三次元点群座標データと、三次元スキャナにより取得された歯科用補綴物の三次元点群座標データとは、
図2に示すように、設計や読み込みを行った位置や角度によって必ずしも座標系は一致していない。よって、このまま歯科用補綴物の三次元点群座標データと候補となる設計データの三次元点群座標データとを比較しても、形状が近似しているかどうかなどを正確に特定することができない。そこで座標変換部74では、座標変換処理を実行し、
図3に示すように、各設計データの三次元点群座標データを歯科用補綴物の三次元点群座標データの三次元座標系に一致させる処理を行い、正確な特定を行えるようにしている。
【0045】
本実施形態における座標変換部74は、座標変換を行う手法として、RANSAC(RANdom SAmple Consensus)やPoint to Plane ICP、Fast Global Registrationなどを用いている。これらRANSAC等は、従来、同じ対象物を複数の角度から撮影等して得られた三次元点群データ同士を一つの座標系に位置合わせをする手法であるが、座標変換部74では異なる対象物である設計データと歯科用補綴物の三次元点群座標データの座標を一致させるのに用いている。この点、後述の実施例1で説明しているように、これらの手法を用いることで正確に座標を一致させることができることを確認している。
【0046】
近似度算出部75は、歯科用補綴物の三次元点群座標データと、候補となる設計データの三次元点群座標データとを比較するときに、当該設計データが所望の歯科用補綴物の設計データか否かを正確に特定するための基準となる近似度を算出するものである。
【0047】
本実施形態における近似度算出部75は、以下に説明する第一の近似度算出部75aから第三の近似度算出部75cの3つの手法のうち、入力手段3により選択された1つの手法(1つの近似度算出部75)によって近似度を算出する。
【0048】
なお、本実施形態では、
図1に示すように、第一の近似度算出部75aから第三の近似度算出部75cの3つの近似度算出部75を全て有する構成であるが、これに限定されるものではなく、図示しないが、これら3つのうちいずれか1つまたは2つの近似度算出部75を有する構成であってもよい。
【0049】
第一の近似度算出部75aは、歯科用補綴物の各座標点データに対して、座標変換後の設計データの各座標点データのうち、対応する点の数を近似度として算出するものである。つまり、歯科用補綴物と設計データとが一致する場合、三次元点群座標データで表される形状は一致していることから、座標変換を行った三次元点群座標データ同士は、座標点データはほぼ一致する位置に存在するはずであり、ランダムに抽出したとしても一致する座標点データは多いものと考えられる。
【0050】
そこで第一の近似度算出部75aは、対応する点(位置がほぼ一致する点)の数を算出するため、対応点の有無を判別する対応点判別部751と、対応点の数をカウントする対応点数カウント部752とを有する。
【0051】
対応点判別部751は、歯科用補綴物の三次元点群座標データにおける座標点データを中心とした所定の範囲内に、座標変換後の設計データの三次元点群座標データにおける座標点データがあるか否かの判別処理をするものである。
【0052】
例えば、歯科用補綴物の三次元点群座標データにおいて、一つの座標点データのX座標値が100、Y座標値が100、Z座標値が100であり、かつ、対応するか否かの基準となる所定の範囲がX座標、Y座標、Z座標いずれの座標値も±0.1の範囲とした場合、座標変換後の設計データの三次元点群座標データの座標点データにおいて、X座標値、Y座標値、Z座標値がいずれも99.9~100.1の範囲内の座標点データがある場合には、対応する座標点データがあると判別する。
【0053】
対応点数カウント部752は、対応点判別部751において対応する座標点データがあると判別された歯科用補綴物の座標点データの数をカウントする。なお、歯科用補綴物の座標点データに対して対応する点が複数あった場合(1点に対して複数点が対応している場合)は、対応する点の数にかかわらず1だけカウントしてもよく、点数に応じて加算してカウントしてもよい。
【0054】
第二の近似度算出部75bは、対応する点の割合を近似度として算出するものである。つまり、第一の近似度算出部75aと同様に、歯科用補綴物と設計データとが一致する場合、座標変換後の三次元点群座標データ同士は、多くの座標点データが対応している。しかしながら、対応点の数は、ランダムに抽出した座標点データの数に比例するため、抽出した座標点データの数が異なるデータ同士では比較ができない。そこで、第二の近似度算出部75bでは、抽出した座標点データの数が異なる場合でも比較が可能となるように、近似度として対応する点の割合を算出している。
【0055】
そこで第二の近似度算出部75bは、対応する点の割合を算出するため、対応点判別部751と、対応点数カウント部752と、対応点割合算出部753とを有する。ここで対応点判別部751および対応点数カウント部752は、第一の近似度算出部75aと同じ処理であるため説明は省略する。
【0056】
対応点割合算出部753は、歯科用補綴物の三次元点群座標データの全点数に対する、対応点数カウント部752でカウントされた対応点数の割合を算出するものであり、本実施形態では、抽出された点群データの数を分母とし、対応点数カウント部752においてカウントされた対応点数を割る(除算する)ことで、対応点の割合を算出している。第二の近似度算出部75bでは、この対応点の割合を近似度としている。
【0057】
第三の近似度算出部75cは、歯科用補綴物の三次元点群座標データにおける各座標点データに対して、最も近傍に位置する設計データの三次元点群座標データの座標点データとの距離(誤差)に基づく近似度を算出するものである。つまり、歯科用補綴物と設計データとが一致する場合、形状は一致しているため座標変換後の三次元点群座標データ同士の近傍点同士の距離は近い(誤差は小さい)ものと考えられる。
【0058】
そこで本実施形態における第三の近似度算出部75cは、最も近傍に位置する座標点データとの距離を算出するため、近傍点を特定する近傍点特定部754と、近傍点同士の平均距離(誤差)を算出する平均平方二乗誤差算出部755とを有する。
【0059】
近傍点特定部754は、歯科用補綴物の三次元点群座標データにおける各座標点データに対して、各設計データの三次元点群座標データで最も近傍にある座標点データを特定するものである。
【0060】
本実施形態における近傍点特定部754は、歯科用補綴物の三次元点群座標データの各座標点データの三次元座標値と、設計データの各座標点データの三次元座標値とに基づき、三平方の定理などを用いて2点間距離を算出し、算出された距離の最も短い座標点データを最も近傍にある座標点データとして特定するようになっている。
【0061】
平均平方二乗誤差算出部755は、歯科用補綴物の三次元点群座標データにおける各座標点データと近傍点特定部754により特定された近傍座標点データとの間の距離に基づく平均平方二乗誤差を算出するものである。具体的には、歯科用補綴物の各座標点データとそれに対応する近傍点特定部754により特定された近傍する設計データの座標点データとの2点の距離を二乗し、それら全てを加算し、加算した値を歯科用補綴物の三次元点群座標データにおける座標点データの数で割り(除算)、その割った値の平方根(ルート)を求めることで算出される。第三の近似度算出部75cでは、この平均平方二乗誤差の値を近似度としている。
【0062】
つぎに、設計データ特定部76について説明する。設計データ特定部76は、近似度算出部75によって算出された近似度に基づき、候補となる複数個の設計データから、所望の歯科用補綴物の設計データを特定するものである。本実施形態では、近似度の大小を比較することにより特定しており、具体的には、選択された近似度算出部75(第一近似度算出部75a~第三の近似度算出部75c)に応じて、以下のように特定する。
【0063】
第一の近似度算出部75aが選択された場合、上述のとおり、歯科用補綴物と設計データとが一致する場合は対応する座標点データの数は多く、歯科用補綴物と設計データとが一致していない場合は対応する点が少ないと考えられる。そこで設計データ特定部76は、候補となっている設計データごとの対応点数同士を比較し、対応点数が最も多い設計データを所望の歯科用補綴物の設計データとして特定する。
【0064】
第二の近似度算出部75bが選択された場合、上述のとおり、歯科用補綴物と設計データとが一致する場合は対応点の割合が高く、歯科用補綴物と設計データとが一致していない場合は対応点の割合は低いと考えられる。そこで設計データ特定部76は、候補となっている設計データ毎に算出された対応点の割合同士を比較し、算出された対応点の割合が最も高い設計データを所望の歯科用補綴物の設計データとして特定する。これにより、座標点データの数が異なる設計データ同士の比較が可能となる。
【0065】
第三の近似度算出部75cが選択された場合、上述のとおり、歯科用補綴物と設計データとが一致する場合は近傍点同士の距離の平均値は小さく(近く)、歯科用補綴物と設計データとが一致していない場合は近傍点同士の距離の平均値は大きい(遠い)と考えられる。そこで設計データ特定部76は、候補となっている設計データ毎に算出された平均平方二乗誤差同士を比較し、算出され平均平方二乗誤差が最も小さい設計データを所望の歯科用補綴物の設計データとして特定する。
【0066】
異常値判別部77は、設計データ特定部76により特定された設計データが所望の歯科用補綴物の設計データであることを確認し、特定精度を高める処理である。
【0067】
つまり、設計データ特定部76で特定された設計データは、上述のとおり、所望の歯科用補綴物の設計データである可能性が高く、特定された設計データの近似度は他の候補の設計データの近似度に対して、顕著に異なる値を示すと考えられる。
【0068】
しかしながら、本実施形態では、処理速度を速めるために、処理する座標点データの点数を減らし、かつランダムに抽出された座標点データによって設計データの特定を実行している。このため歯科用補綴物と設計データとが一致する場合であっても、点数が少なくなるに従い、座標点データ同士の距離は離れることになる。よって、座標を一致させても歯科用補綴物に対する設計データの座標点データが離れて対応点の範囲外になったり、近傍点の平均距離が遠くなることもあり得る。
【0069】
そこで、異常値判別部77は、設計データ特定部76によって所望の設計データとして特定された設計データの近似度が、他の全ての設計データの近似度に対して異常値であるか否かを判別することで、特定された設計データが所望の歯科用補綴物の設計データであるかを確認し、異常値でない場合には確認が取れないとして再度の特定処理を行うものである。
【0070】
本実施形態における異常値判別部77は、特定された設計データの近似度が他の全ての設計データの近似度に対して異常値であるか否かを判別する手法として、多変数間の相関関係から既知のサンプルとの関係を距離として算出するマハラノビス距離に基づき判別している。つまり、他の全ての設計データの近似度を基準にマハラノビス距離を算出し、特定された設計データの近似度が事前に指定したマハラノビス距離の正常値範囲外である場合は、異常値であると判別し、正常値範囲内にある場合は異常値ではないと判別するようになっている。
【0071】
なお、異常値を判別する手法は、マハラノビス距離によるものに限定されるものではなく、異常検知に用いられるスミルノフ・グラブス検定やOneClassSVMなどによるものから適宜選択してもよい。
【0072】
設計データ絞込部78は、異常値判別部77において異常値ではないと判別された場合に、再度設計データを特定する際の前処理として、各設計データから前記近似度の高い順に所定数の設計データを絞り込むものである。再処理する対象を絞り込むことで、再処理に係る負荷を軽減し、処理速度の遅延を最小限に抑えるためである。絞り込む件数は、特に限定されるものではないが、本実施形態では、5~10件の範囲内で任意に選択することができる。
【0073】
再抽出部79は、設計データ絞込部78によって絞り込まれた所定数の設計データの三次元点群座標データおよび歯科用補綴物の三次元点群座標データから、直前に抽出された座標点データの数より多い数の座標点データをランダムに再抽出するものである。つまり、特定された設計データの近似度と他の候補となっていた設計データの近似度とに顕著な違いが見られない理由として、ランダムに抽出される点数が少なく、座標点データ同士の距離が遠かったことが考えられる。よって、点数を増やして座標点データ同士の距離を縮め、密にした状態で再度の特定を行う。
【0074】
本実施形態における再抽出部79は、ランダム抽出部73において抽出する数を3000点または5000点を選択していた場合は、10000点の座標点データをランダムに再抽出するようになっている。そして、本実施形態では、以下の作用の説明において詳述するように、再抽出された座標点データに基づき、座標変換部74による座標変換処理、近似度算出部75による算出処理および設計データ特定部76による特定処理を実行するようになっている。
【0075】
つぎに、本実施形態の歯科用補綴物特定プログラム1a、歯科用補綴物特定装置1および歯科用補綴物特定方法の作用について説明する。
【0076】
本実施形態の歯科用補綴物特定プログラム1aは、
図4に示すように、各ステップによって複数個の設計データから所望の歯科用補綴物の製造に用いた設計データを特定する。
【0077】
まず、補綴物データ取得部71が、補綴物データ記憶部62に記憶されている歯科用補綴物の三次元点群座標データを取得する(補綴物データ取得ステップ:S1)。この補綴物データ記憶部62に記憶されている歯科用補綴物の三次元点群座標データは、三次元スキャナ手段4により出力された、製造された歯科用補綴物の三次元点群座標データである。三次元スキャナ手段4による歯科用補綴物の読み取りは、歯科用補綴物特定プログラム1aをスタートさせる直前でもよく、それよりも前に予め読み取らせてもよい。
【0078】
つぎに、設計データ取得部72が、設計データ記憶部63から所望の歯科用補綴物を製造するために歯科用CADソフトウエアにより設計された設計データの三次元点群座標データを取得する(設計データ取得ステップ:S2)。設計データがフォルダ毎に管理されている場合は、対象となるフォルダ内の各設計データの三次元点群座標データを取得するようにしてもよい。
【0079】
ランダム抽出部73は、補綴物データ取得部71が取得した歯科用補綴物の三次元点群座標データから所定数の座標点データをランダムに抽出するとともに、設計データ取得部72が取得した設計データの三次元点群座標データから同数の座標点データをランダムに抽出する(ランダム抽出ステップ:S3)。本実施形態では、入力手段3によって入力または選択された点数の座標点データをランダムに抽出する。
【0080】
座標変換部74は、ランダムに抽出された各設計データの点群データを、ランダムに抽出された歯科用補綴物の点群データの三次元座標系に一致させる座標変換処理を実行する(座標変換ステップ:S4)。本実施形態では、座標変換を行う手法として、従来、同じ対象物を複数の角度から取得された三次元点群データ同士を一つの座標系に位置合わせに用いられるRANSAC等を応用しており、設計データと歯科用補綴物の座標を正確に一致させることができる。
【0081】
次に、近似度算出部75が、補綴物データ取得部71が取得した歯科用補綴物の三次元点群座標データと、座標変換部74が座標変換した後の各設計データの三次元点群座標データとの近似度を算出する(近似度算出ステップ:S5)。本実施形態における近似度算出部75は、
図5~
図7に示すように、入力手段3により予め選択された第一の近似度算出部75aから第三の近似度算出部75cのいずれかの方法(プログラム)に基づき近似度を算出する。
【0082】
第一の近似度算出部75aが選択された場合には、
図5に示すように、対応点判別部751が、歯科用補綴物の三次元点群座標データにおける各座標点データを中心とした所定の範囲内に、各設計データの三次元点群座標データごとに対応する座標点データがあるか否かを判別する(対応点判別ステップ:S51)。そして、対応点数カウント部752が、対応する座標点データがあると判別された座標点データの数をカウントする(対応点カウントステップ:S52)。これにより、
図8に示すように、近似度として設計データごとの歯科用補綴物に対する対応点数が算出される。算出後は、次のステップS6に進む。
【0083】
ステップS6では、近似度算出部75によって算出された近似度に基づき、歯科用補綴物の作成に用いられた設計データを特定する(設計データ特定ステップ:S6)。上述のように、第一の近似度算出部75が選択されて、近似度として設計データごとの対応点数が算出された場合、歯科用補綴物と設計データとが一致していれば、算出した対応点数は最も多いはずである。よって、設計データ特定部76は、設計データごとの対応点数同士を比較し、対応点数の最も多かった設計データを所望の設計データとして特定する。つまり、本実施形態では、
図8に示すように、ファイル名1-001.stlの対応点数(カウント数)が最も多い。よって、設計データ特定部76はファイル名1-001.stlの設計データを所望の歯科用補綴物の設計データとして特定する。
【0084】
また、第二の近似度算出部75bが選択された場合には、
図6に示すように、第一の近似度算出部75aと同様に、対応点判別部751が対応する点の有無を判別し(対応点判別ステップ:S51)、対応点数カウント部752が対応する座標点データの数をカウントする(対応点カウントステップ:S52)。そして、対応点割合算出部753が、歯科用補綴物の三次元点群座標データ(または抽出された点群データ)の全点数に対する対応点数の割合を算出する(対応点割合算出ステップ:S53)。これにより、
図9に示すように、設計データごとの対応点割合が算出される。算出後、次のステップS6に進む。
【0085】
ここで歯科用補綴物と、設計データとが一致していれば、対応点の割合は高いはずである。よって、設計データ特定部76は、設計データごとの対応点の割合同士を比較し、対応点の割合が最も高い設計データを所望の歯科用補綴物の設計データとして特定する(設計データ特定ステップ:S6)。つまり、本実施形態では、
図9に示すように、ファイル名1-001.stlの対応点の割合が最も高い。よって、設計データ特定部76はファイル名1-001.stlの設計データを所望の歯科用補綴物の設計データとして特定する。
【0086】
また、第三の近似度算出部75cが選択された場合には、
図7に示すように、近傍点特定部754が歯科用補綴物の三次元点群座標データにおける各座標点データに対する、各設計データの三次元点群座標データで最も近傍にある座標点データを特定する(近傍点特定ステップ:S54)。そして、平均平方二乗誤差算出部755が、近傍する点同士の2点間距離(誤差)に基づく平均平方二乗誤差を算出する(平均平方二乗誤差算出ステップ:S55)。これにより、
図10に示すように、設計データごとの平均平方二乗誤差が算出される。算出後、次のステップS6に進む。
【0087】
ここで歯科用補綴物と、設計データとが一致していれば、算出された平均平方二乗誤差は小さいはずである。よって、設計データ特定部76は、設計データごとの平均平方二乗誤差同士を比較し、平均平方二乗誤差の最も小さい設計データを所望の歯科用補綴物の設計データとして特定する(設計データ特定ステップ:S6)。つまり、
図10に示すように、ファイル名1-001.stlの平均平方二乗誤差が最も小さい。よって、設計データ特定部76はファイル名1-001.stlの設計データを所望の歯科用補綴物の設計データとして特定する。
【0088】
次に、本実施形態では、特定した設計データが、所望の歯科用補綴物の設計データであるか否かの確認処理を行う。具体的には、
図4に示すように、異常値判別部77が、特定した設計データの近似度が他の全ての設計データの近似度に対して異常値であるか否かを判別する(異常値判別ステップ:S7)。本実施形態では、他の全ての設計データの近似度を基準にマハラノビス距離を算出し、特定された設計データの近似度が事前に指定したマハラノビス距離の正常値範囲外であるか否かを判別する。
【0089】
そして、特定された設計データの近似度がマハラノビス距離の正常値範囲外である場合、異常値判別部77は、特定した設計データが異常値であると判別する(S7:YES)。この場合は、他の全ての設計データの近似度に対して、特定された設計データの近似度が顕著に異なる値であったことを示しており、特定した設計データが歯科用補綴物の設計データである可能性が高いと考えられる。よって、特定した設計データが、所望の歯科用補綴物設計データであるとして、歯科用補綴物特定プログラム1aを終了する(エンド)。
【0090】
一方、特定された設計データの近似度がマハラノビス距離の正常値範囲内である場合、異常値判別部77は、特定した設定部データが異常値ではないと判別する(S7:NO)。この場合は、他の全ての設計データの近似度と特定された設計データの近似度とに顕著な違いが見られないことを示しており、特定した設計データが歯科用補綴物の設計データでない可能性がある。そこで、再度設計データを特定する処理を行う。
【0091】
まず、再度設計データを特定する前処理として、設計データ絞込部78が、算出された設計データの近似度を比較し、近似度の高い順に所定数の設計データに絞り込みを行う(設計データ絞込ステップ:S8)。第一の近似度算出部75aが選択されている場合は近似度の多い順、第二の近似度算出部75bが選択されている場合は近似度の高い順、第三の近似度算出部75cが選択されている場合は近似度の小さい順が、それぞれの近似度の高い順となる。
【0092】
一方、特定された設計データの近似度が、他の設計データの近似度に対して顕著な違いが見られなかった理由として、ランダムに抽出された点数が少なかった可能性がある。そこで再抽出部79が、絞り込まれた所定数の設計データの三次元点群座標データおよび歯科用補綴物の三次元点群座標データから、直前に抽出された座標点データの数より多い数の座標点データをランダムに再抽出する(再抽出ステップ:S9)。
【0093】
このように、本実施形態では、再度設計データを特定する際の前処理として、処理対象とする設計データの数を減らす一方、処理する座標点データの数を増やすことで、全体的な処理の負荷を抑制しつつ、特定精度を高めることができる。
【0094】
その後、前処理後の絞り込みを行い、かつ抽出データ数を増やした設計データの座標点データを対象に、再度設計データの特定を実行する(S4~S6)。そして、特定された設計データの近似度が、絞り込まれた他の全ての設計データの近似度に対して異常値になるまで再度の特定処理を繰り返す(S4~S9)。
【0095】
なお、図示しないが、異常値ではないと2回以上判別された場合については、再度の設計データの特定は行わず、最後に特定した設計データを所定の設計データとして歯科用補綴物特定プログラム1aを終了してもよく、また特定は行わず「所定の設計データなし」などメッセージを表示手段2に表示させて歯科用補綴物特定プログラム1aを終了させてもよい。
【0096】
以上のような本実施形態の歯科用補綴物特定プログラム1a、歯科用補綴物特定装置1および歯科用補綴物特定方法によれば、以下の効果を奏することができる。
1.設計データの三次元点群座標データを歯科用補綴物の三次元点群座標データの三次元座標系に一致させることで、座標値に基づく近似度を算出することができる。
2.算出負荷の少ない対応点数、対応点の割合および平均平方二乗誤差のいずれかを用いることで、設計データの特定に用いる近似度を迅速に算出することができる。また、対応点の割合では、算出に用いた座標点データの数が異なる近似値同士の比較も可能にすることができる。
3.複雑なアルゴリズムを用いずに算出された近似度の大小を比較することによって、所望する設計データの特定をすることができる。
4.処理の対象とする三次元点群座標データの点数を減らしつつランダムに抽出することで、設計データの特定に係る処理負荷を軽減し、処理速度を速めることができる。よって、候補となる設計データが多数であっても迅速な特定が可能になる。
5.設計データを特定した後、その特定された設計データの近似度が、他の全ての設計データの近似度に対して顕著に近似した値であるか否かを判別することで、特定された設計データの正否を確認することができる。そして、顕著な値で無い場合には再度の特定処理を行うことで、特定精度を高めることができる。
6.再度設計データを特定する際に、前処理として、対象とする設計データの絞り込みを行うとともに抽出する座標点データの数を増やすことで、全体的な処理の負荷を抑制しつつ、直前の特定処理よりも高い精度で再度の特定を行うことができる。
【0097】
つぎに、本発明に係る歯科用補綴物特定プログラム、歯科用補綴物特定装置および歯科用補綴物特定方法の具体的な実施例について説明する。なお、本発明の技術的範囲は、以下の実施例によって示される特徴に限定されるものではない。
【実施例0098】
本実施例1では、本発明に係る歯科用補綴物特定プログラムおよび歯科用補綴物特定装置を作成し、これらによって、歯科用補綴物を製造するための複数個の設計データから、実際に製造した歯科用補綴物の設計データを特定できるかの検証実験を行った。
【0099】
[検証実験に用いた設計データおよび歯科用補綴物]
本実施例1において検証実験に用いた歯科用補綴物は、
図11に示すように、奥歯に被せるかぶせ物であって、当該設計データにより製造されたものである。また、設計データは、
図12に示すように、三次元点群座標データに変換した。また、候補となる設計データとして、歯科用補綴物の設計データ(正解の設計データ)を含む10個の設計データを用意した。
【0100】
[歯科用補綴物の三次元点群座標データおよび三次元スキャナ]
製造した歯科用補綴物を歯科用三次元スキャナで読み取り、三次元点群座標データに変換した。歯科用三次元スキャナにはDOF社製のEDGE、デジタルプロセス社製のDORAおよび3shape社製のTrios3を用いた。なお、歯科用三次元スキャナの機種の違いによる精度差はみられなかった。
【0101】
[座標変換処理方法]
歯科用補綴物の三次元点群座標データと設計データの三次元点群座標データとの座標を一致させる座標変換には、RANSAC、Point to Plane ICPおよびFast Global Registrationの3手法を用いた。
図13に示すように、いずれの手法を用いても、歯科用補綴物の三次元点群座標データと設計データの三次元点群座標データとの座標を一致させることができた。
【0102】
[複数個の設計データの近似度の算出]
製造した歯科用補綴物の設計に用いた設計データを含む10個の設計データを対象として、各設計データの三次元点群座標データと歯科用補綴物の三次元点群座標データとの近似度を算出した。算出した近似度は、対応点数、対応点の割合および平均平方二乗誤差である。以下、算出結果について説明する。
【0103】
座標変換にRANSACを用いた場合、
図14の上段に示すように、対応点数は、正解である最も左に記載されたファイル名1-001.stlの設計データが多かった。また、他の全ての設計データの対応点数に比べて、顕著に多い結果となった。
図14の中段に示すように、対応点の割合についても同様にファイル名1-001.stlの割合が最も高かく、他の設計データと比べても顕著に高かった。
【0104】
一方、
図14の最下段に示すように、平均平方二乗誤差については、1-005.stlが最も小さく、正解のファイル名1-001.stlは2番目に小さい結果となった。
【0105】
つぎに、座標変換にPoint to Plane ICPを用いた場合、
図15の上段および中段に示すように、対応点数および対応点の割合は、正解である最も左に記載されたファイル名1-001.stlの設計データが最も多く(高く)、他の全ての設計データの対応点数に比べて、顕著に多い(高い)結果となった。
【0106】
また、
図15の最下段に示すように、平均平方二乗誤差についても、正解のファイル名1-001.stlが最も小さい値となっており、正解の設計データを特定できる結果となった。
【0107】
さらに、座標変換にFast Global Registrationを用いた場合、
図16の上段および中段に示すように、対応点数および対応点割合は、正解である最も左に記載されたファイル名1-001.stlの設計データが最も多く(高く)、他の全ての設計データの対応点数に比べて、顕著に多い(高い)結果となった。また、
図16の最下段に示すように、平均平方二乗誤差についても、正解のファイル名1-001.stlが最も小さい値となっており、正解の設計データを特定できる結果となった。
【0108】
以上のとおり、歯科用補綴物の三次元点群座標データと、設計データの三次元点群座標データの座標を一致させ、対応点数、対応点の割合および平均平方二乗誤差を算出することによって、歯科用補綴物の設計に用いた設計データを特定することが実証された。また、座標変換にRANSACを用いた場合の平均二乗誤差は、正解の設計データが2番目に小さい値となったが、少なくとも上位の結果となった。よって、このような場合には座標変換手法を変えるか、または、処理する三次元点群座標データの座標点データの数を増やすことで、精度が向上し、正確な特定ができるものと考えられる。
【0109】
なお、本発明に係る歯科用補綴物特定プログラム、歯科用補綴物特定装置および歯科用補綴物特定方法は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。例えば、設計データ記憶部63は、設計データを歯科用CADソフトウエアで生成されたSTLデータ等の三次元データのまま記憶しておき、特定処理を行うときに汎用プログラム等を用いて三次元点群座標データに変換してもよい。