(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042509
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 5/02 20060101AFI20240321BHJP
G06F 3/04842 20220101ALI20240321BHJP
【FI】
G09B5/02
G06F3/04842
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147273
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100209048
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 元嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】溝上 大志
【テーマコード(参考)】
2C028
5E555
【Fターム(参考)】
2C028BA00
2C028BB01
2C028BC05
5E555AA28
5E555BA07
5E555BB07
5E555BC17
5E555CA14
5E555CB10
5E555CB14
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5E555CC05
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5E555DC09
5E555DC10
5E555DC11
5E555DC13
5E555DC35
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5E555DC60
5E555DC63
5E555DC73
5E555DD07
5E555EA07
5E555EA14
5E555EA25
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】マスキングされた箇所の情報がどのような種類の情報であるかをユーザが容易に識別できる情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供すること。
【解決手段】情報処理装置は、表示装置の表示画面に対する位置の指定の操作を受け付ける受付部と、表示画面に表示されている情報であって、位置の指定の操作によって特定される範囲に含まれる第1の情報に対して、マスクを重ねて表示画面に表示させるマスキング処理部と、位置の指定の操作の種類に応じて、第1の情報の種類を識別させるための識別情報をマスクと対応付けて表示画面に表示させる識別情報処理部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の表示画面に対する位置の指定の操作を受け付ける受付部と、
前記表示画面に表示されている情報であって、前記位置の指定の操作によって特定される範囲に含まれる第1の情報に対して、マスクを重ねて前記表示画面に表示させるマスキング処理部と、
前記位置の指定の操作の種類に応じて、前記第1の情報の種類を識別させるための識別情報を前記マスクと対応付けて前記表示画面に表示させる識別情報処理部と、
を具備する情報処理装置。
【請求項2】
前記識別情報処理部は、前記位置の指定の操作の種類と前記識別情報との対応関係情報に基づいて、前記識別情報を付与する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記マスキング処理部は、前記マスクが表示されている位置の指定の操作が前記受付部によって受け付けられた場合に、前記マスクを外して前記第1の情報を表示させる請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1の情報を含む第2の情報と前記識別情報を表す識別マークとの対応関係を示すリストを生成するリスト生成部をさらに具備する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2の情報は、辞書の用語であり、
前記第1の情報は、前記辞書の用語の説明の内容を表す情報である請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
表示装置の表示画面に対する位置の指定の操作を受け付けることと、
前記表示画面に表示されている情報であって、前記位置の指定の操作によって特定される範囲に含まれる第1の情報に対して、マスクを重ねて前記表示画面に表示させることと、
前記位置の指定の操作の種類に応じて、前記第1の情報の種類を識別させるための識別情報を前記マスクと対応付けて前記表示画面に表示させることと、
を具備する情報処理方法。
【請求項7】
表示装置の表示画面に対する位置の指定の操作を受け付けることと、
前記表示画面に表示されている情報であって、前記位置の指定の操作によって特定される範囲に含まれる第1の情報に対して、マスクを重ねて前記表示画面に表示させることと、
前記位置の指定の操作の種類に応じて、前記第1の情報の種類を識別させるための識別情報を前記マスクと対応付けて前記表示画面に表示させることと、
をプロセッサに実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、国語、英語、数学、理科、社会等の学習において、教科書等における重要部分を学習者が特定のマーカで塗り、さらにその重要部分の上に特定の下敷きフィルムを置くことでその重要部分を見えなくして、暗記学習をする方法がある。また、このような暗記学習と同様の処理を電子機器の表示画面上で行えるようにする技術も知られている。このような技術では、例えば、電子機器の表示画面上に表示されている文字列の一部が指定されることで、その指定された箇所がマスキングされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
辞書には、文字列だけでなく、写真等の文字列以外の情報が含まれていることがある。このような文字列以外の情報もマスキングの対象になり得る。ここで、異なる種類の情報がマスキングの対象となる場合、それぞれのマスキングされた箇所の情報がどのような種類の情報であるかが分からず、学習が効率的に行えない場合がある。
【0005】
実施形態は、マスキングされた箇所の情報がどのような種類の情報であるかをユーザが容易に識別できる情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の情報処理装置は、表示装置の表示画面に対する位置の指定の操作を受け付ける受付部と、表示画面に表示されている情報であって、位置の指定の操作によって特定される範囲に含まれる第1の情報に対して、マスクを重ねて表示画面に表示させるマスキング処理部と、位置の指定の操作の種類に応じて、第1の情報の種類を識別させるための識別情報をマスクと対応付けて表示画面に表示させる識別情報処理部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
実施形態は、マスキングされた箇所の情報がどのような種類の情報であるかをユーザが容易に識別できる情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理装置の一例としての電子辞書の一例のハードウェア構成を示す図である。
【
図2】
図2は、対応テーブルの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、電子辞書の動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、一例のマスキング処理について示すフローチャートである。
【
図6A】
図6Aは、「丸囲み」がされたときのマスク表示及び識別表示の具体例を説明するための図である。
【
図6B】
図6Bは、「丸囲み」がされたときのマスク表示及び識別表示の具体例を説明するための図である。
【
図7A】
図7Aは、「四角囲み」がされたときのマスク表示及び識別表示の具体例を説明するための図である。
【
図7B】
図7Bは、「四角囲み」がされたときのマスク表示及び識別表示の具体例を説明するための図である。
【
図8】
図8は、一例の学習リスト表示処理について示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、学習リストの表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理装置の一例としての電子辞書の一例のハードウェア構成を示す図である。電子辞書10は、プロセッサ11と、ROM12と、RAM13と、ストレージ14と、入力装置15と、表示装置16と、通信装置17とを有する。これらの各々は、システムバス18を介して互いに接続されている。電子辞書10は、電子辞書アプリケーションがインストールされたパーソナルコンピュータ(PC)、タブレット端末、スマートフォン等の電子機器であってもよい。
【0010】
プロセッサ11は、電子辞書10の各種動作を制御するプロセッサである。プロセッサ11は、CPU(Central Processing Unit)等を含む集積回路であってよい。プロセッサ11として、CPU以外のプロセッサ、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphic Processing unit)等が用いられてもよい。プロセッサ11は、マスキングプログラム142に従って処理を実行することで、受付部と、マスキング処理部と、識別情報処理部と、リスト生成部として動作し得る。
【0011】
ROM12は、電子辞書10の起動プログラム等を記録している。RAM13は、プロセッサ11等のための主記憶装置である。
【0012】
ストレージ14には、プロセッサ11で用いられる電子辞書制御プログラム等の各種プログラム、パラメータ等が記憶されている。プロセッサ11は、入力装置15からの入力信号等に応じて各種プログラムを実行することで電子辞書10の動作を制御する。各種プログラムは、例えば辞書プログラム141及びマスキングプログラム142を含む。
【0013】
辞書プログラム141は、ユーザの入力に基づいて辞書コンテンツ143を検索し、検索した結果をユーザに対して提示する一連の処理を実行するためのプログラムである。
【0014】
マスキングプログラム142は、ユーザによる指定に応じて、表示装置16に表示されている情報をマスキングする一例の処理を実行するためのプログラムである。実施形態では、マスキングプログラム142は、ユーザによる指定の操作の種類を判別し、判別した操作の種類に応じてマスキングされた情報の箇所に識別情報を付与するための処理を実行するためのプログラムも含む。識別情報は、マスキングされた箇所の情報がどのような種類の情報であるかを識別するための情報である。識別情報は、ユーザがマスキングされた箇所の情報がどのような情報であったかを思い出したり、推定したりするために用いられ得る。
【0015】
辞書コンテンツ143は、国語辞書、英語辞書、数学辞書、科学辞書といった各種の辞書の内容を収録したコンテンツデータである。辞書コンテンツ143は、例えば用語とその用語の説明の情報を含む。用語の説明の情報は、用語を説明するための文章による解説、用語に関連する各種の情報、例えば用語の存在した年代を表す情報、用語を表す写真といった情報を含み得る。
【0016】
さらに、実施形態では、ストレージ14には、対応テーブル144が記憶される。対応テーブル144は、ユーザによる指定の操作の種類と、それによって付与される識別情報との対応関係を記憶したテーブルである。
【0017】
図2は、対応テーブル144の一例を示す図である。対応テーブル144は、「操作」、「識別情報」、「識別マーク」の情報を対応付けて記憶している。
【0018】
「操作」は、指定の操作の種類の情報である。例えば、「丸囲み」は、情報を丸く囲むことによって指定する操作であることを示す。また、例えば、「四角囲み」は、情報を四角く囲むことによって指定する操作であることを示す。また、例えば、「右からなぞる」は、情報を表示画面の右方向からなぞることによって指定する操作であることを示す。また、例えば、「左からなぞる」は、情報を表示画面の左方向からなぞることによって指定する操作であることを示す。
【0019】
また、「識別情報」は、対応する種類の操作によって付与される識別情報の種類の情報である。例えば、「図」は、付与される識別情報が用語に関連する「図」であることを示す。また、例えば、「解説」は、付与される識別情報が用語の「解説」であることを示す。また、例えば、「人物」は、付与される識別情報が「人物」の用語であることを示す。また、例えば、「年」は、付与される識別情報が用語に関する「年代」であることを示す。識別情報として設定される情報は、
図2に示したものに限らずに適宜に設定され得る。
【0020】
また、「識別マーク」は、「識別情報」を表すマークである。識別マークは、例えば
図2に示すようなマスキング処理の操作を想起させるマークであり得る。一方で、識別マークは、
図2に示したものに限らずに適宜に設定され得る。例えば、識別マークは、「図」、「解説」、「人物」、「年」いったものを表す絵文字のような、マスキングされた箇所の情報がどのような種類の情報であるかを直接的に想起させるマークであってもよい。
【0021】
さらに、実施形態では、ストレージ14には、学習リスト145が記憶される。ユーザによってマスキングされた辞書コンテンツ143の見出し語のリストである。
図3は、学習リスト145の一例を示す図である。学習リスト145は、辞書コンテンツ143に含まれる辞書コンテンツ毎に生成される。学習リスト145は、「見出し語」、「範囲情報」、「識別情報」の情報を対応付けて記憶している。
【0022】
「見出し語」は、ユーザによってマスキングされた情報に対応する見出し語である。例えば、
図3は、「〇〇国語辞典」の「芥川龍之介」及び「安部公房」の情報の中でマスキングがされたことを示している。
【0023】
「範囲情報」は、マスキングされた情報の範囲を表す情報である。範囲を表す情報は、例えばユーザによって指定された範囲の表示画面上での座標であり得る。
【0024】
「識別情報」は、マスキングされた情報に付与された識別情報を示す。例えば、
図3は、「芥川龍之介」については識別情報として「図」及び「解説」が付与され、「安部公房」については識別情報として「解説」が付与されていることを示している。この場合、「芥川龍之介」についての範囲情報R1は、丸囲みされた範囲の座標情報と四角囲みされた範囲の座標情報の双方を含む。一方、「安部公房」についての範囲情報R2は、四角囲みされた範囲の座標情報のみを含む。
【0025】
ここで、
図1の説明に戻る。入力装置15は、入力キー、タッチパネル等を含む。また、入力装置15は、マイクロホン等の音声入力装置を含んでいてもよい。入力装置15を介したユーザ操作に応じて、そのユーザ操作の内容を示す信号がシステムバス18を介してプロセッサ11に入力される。
【0026】
表示装置16は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等である。表示装置16は、電子辞書10に一体的に設けられていてもよいし、電子辞書10とは別に設けられていてもよい。表示装置16には、各種の画像が表示される。
【0027】
通信装置17は、外部の通信ネットワークと通信するための回路を含む。
【0028】
次に、電子辞書10の動作を説明する。
図4は、電子辞書10の動作を示すフローチャートである。
図4の処理は、例えば電子辞書の電源がオンされた場合に開始される。
【0029】
ステップS1において、プロセッサ11は、電子辞書10のトップ画面を表示装置16に表示する。トップ画面には、例えば電子辞書10の辞書コンテンツ143の一覧が表示される。また、トップ画面には、後で説明する学習リストの表示ボタンが表示されてもよい。
【0030】
ステップS2において、プロセッサ11は、辞書コンテンツ143を起動するか否かを判定する。例えば、一覧表示された辞書コンテンツ143の何れかが選択された場合には、辞書コンテンツ143を起動すると判定される。ステップS2において、辞書コンテンツ143を起動すると判定されたときには、処理はステップS3に移行する。ステップS2において、辞書コンテンツ143を起動すると判定されていないときには、処理はステップS10に移行する。
【0031】
ステップS3において、プロセッサ11は、起動された辞書のトップ画面を表示装置16に表示する。トップ画面は、例えば検索用語の入力欄を含む。トップ画面は、検索用語の入力欄以外の入力欄、ボタン等を含んでいてもよい。
【0032】
ステップS4において、プロセッサ11は、用語の検索を実施するか否かを判定する。例えば、検索用語の入力欄に用語が入力された場合に、用語の検索を実施すると判定される。ステップS4において、用語の検索を実施すると判定されたときには、処理はステップS5に移行する。ステップS4において、用語の検索を実施すると判定されていないときには、処理はステップS9に移行する。
【0033】
ステップS5において、プロセッサ11は、入力された検索用語と対応する見出し語を有する用語を辞書コンテンツ143の中から検索する。そして、プロセッサ11は、検索した用語の情報を表示装置16に表示する。
【0034】
ステップS6において、プロセッサ11は、マスキング処理を実施する。マスキング処理の実施後、処理はステップS7に移行する。以下、マスキング処理について説明する。
図5は、一例のマスキング処理について示すフローチャートである。ここで、以下の例では、表示装置16の表示画面上の位置がタッチパネルを用いて指定できるものとして説明が続けられる。一方で、表示画面上の位置の指定は、必ずしもタッチパネルを用いて行われる必要はない。
【0035】
ステップS101において、プロセッサ11は、表示画面のマスキング箇所とは異なる箇所へのタッチがあったか否かを判定する。ステップS101において、表示画面のマスキング箇所とは異なるタッチがあったと判定されたときには、処理はステップS102に移行する。ステップS101において、表示画面のマスキング箇所とは異なるタッチがあったと判定されていないとき、すなわちマスキング箇所がタッチされた場合又は表示画面へのタッチがされていないときには、
図5の処理は終了する。この場合、処理は
図4のステップS7に移行する。
【0036】
ステップS102において、プロセッサ11は、ユーザのタッチの軌跡、すなわち指定位置の変化を検出する。
【0037】
ステップS103において、プロセッサ11は、マスキングが指示されたか否かを判定する。例えば、プロセッサ11は、対応テーブル144を参照してユーザのタッチの軌跡が対応テーブル144に登録されている何れかの「操作」に対応しているか否かを判定する。そして、プロセッサ11は、ユーザのタッチの軌跡が何れかの「操作」に対応しているときには、マスキングが指示されたと判定する。ステップS103において、マスキングが指示されたと判定されたときには、処理はステップS104に移行する。ステップS103において、マスキングが指示されたと判定されていないときには、処理はステップS101に戻る。なお、ユーザのタッチの軌跡がマスキングの指示以外の予め決められた指示に対応しているときには、その指示に基づいて処理が実施されてよい。
【0038】
ステップS104において、プロセッサ11は、タッチの軌跡によって指定された範囲をマスク表示する。
【0039】
ステップS105において、プロセッサ11は、操作の種類に応じた識別情報をマスク上に表示する。
【0040】
図6A及び
図6Bを用いて「丸囲み」がされたときのマスク表示及び識別表示の具体例を説明する。
図6Aは、マスク表示前の表示装置16の表示を示している。
図6Aでは、例えば、「芥川龍之介」の情報が表示されている。この場合、表示装置16の表示画面には、見出し語161である「芥川龍之介」とともにその解説162と写真163とが表示される。ユーザは、例えばタッチペンを用いて写真163を符号164で示すようにして丸囲みしたとする。
【0041】
このとき、
図6Bに示すようにして丸囲みされた範囲に例えば黒塗りのマスクが重ねて表示され、その内容を確認することができなくなる。一方で、内容を識別するための識別情報165がマスクの上に表示される。丸囲みの場合には、識別情報165として「図」が表示される。
【0042】
図7A及び
図7Bを用いて「四角囲み」がされたときのマスク表示及び識別表示の具体例を説明する。
図7Aは、マスク表示前の表示装置16の表示を示している。
図7Aも
図6Aと同様に「芥川龍之介」の情報が表示されている例が示されている。すなわち、表示装置16の表示画面には、見出し語161である「芥川龍之介」とともにその解説162と写真163とが表示される。ユーザは、例えばタッチペンを用いて解説162における2箇所を符号164で示すようにして四角囲みしたとする。
【0043】
このとき、
図7Bに示すようにして四角囲みされたそれぞれの範囲に黒塗りのマスクが重ねて表示され、その内容を確認することができなくなる。一方で、内容を識別するための識別情報165がそれぞれのマスクの上に表示される。四角囲みの場合には、識別情報165として「解説」が表示される。
【0044】
「右からなぞる」操作がされた場合及び「左からなぞる」操作がされた場合も、「丸囲み」及び「四角囲み」と同様に、指定された範囲に例えば黒塗りのマスクが重ねて表示される。そして、内容を識別するための識別情報として「人物」又は「年」が対応するマスクの上に表示される。
【0045】
図6B及び
図7Bでは、マスクの色は、黒であるとされている。しかしながら、マスクの色は限定されない。また、例えば、丸囲みの場合には赤塗りのマスク、四角囲みの場合には青塗りのマスクといったように操作の種類に応じて表示されるマスクの色が異なっていてもよい。また、識別情報は、マスクと対応付けられていれば必ずしもマスクの上に表示される必要はない。
【0046】
ここで、
図5の説明に戻る。識別情報の表示後のステップS106において、プロセッサ11は、ユーザの操作の内容に従って、ストレージ14に記憶された対応する辞書コンテンツ143の学習リスト145を更新する。その後、処理はステップS101に戻る。具体的には、プロセッサ11は、ユーザによってマスキングがされた用語の見出し語が学習リスト145にない場合にはその見出し語を学習リスト145に追加する。そして、プロセッサ11は、学習リスト145の対応する見出し語に、ユーザによって付与されたマスキングの範囲の情報及び付与された識別情報を対応付ける。
【0047】
ここで、
図4の説明に戻る。マスキング処理の後のステップS7において、プロセッサ11は、マスキング箇所のタッチがあったか否かを判定する。ステップS7において、マスキング箇所のタッチがあったと判定されたときには、処理はステップS8に移行する。ステップS7において、マスキング箇所のタッチがあったと判定されていないときには、処理はステップS9に移行する。
【0048】
ステップS8において、プロセッサ11は、マスクなし表示をする。その後、処理はステップS9に移行する。具体的には、プロセッサ11は、ユーザによって指定された位置に重ねられたマスクを外して表示をする。プロセッサ11は、例えば、
図6Bのような表示を
図6Aのような表示に戻したり、
図7Bのような表示を
図7Aのような表示に戻したりする。これにより、ユーザは、マスキング箇所の内容が実際にどのような内容であるかを確認し得る。
【0049】
ステップS9において、プロセッサ11は、起動中の辞書コンテンツ143を終了するか否かを判定する。例えば、辞書コンテンツ143の終了ボタンが選択された場合には、起動中の辞書コンテンツ143を終了すると判定される。ステップS9において、辞書コンテンツ143を終了すると判定されていないときには、処理はステップS4に移行する。ステップS9において、辞書コンテンツ143を終了すると判定されたときには、処理はステップS12に移行する。
【0050】
ステップS2において辞書コンテンツ143を起動しないと判定されたときのステップS10において、プロセッサ11は、学習リストを表示するか否かを判定する。例えば、学習リストの表示ボタンが選択された場合には、学習リストを表示すると判定される。ステップS10において、学習リストを表示すると判定されたときには、処理はステップS11に移行する。ステップS10において、学習リストを表示すると判定されていないときには、処理はステップS12に移行する。
【0051】
ステップS11において、プロセッサ11は、学習リスト表示処理を実施する。学習リスト表示処理の後、処理はステップS6又はS12に移行する。以下、学習リスト表示処理について説明する。
図8は、一例の学習リスト表示処理について示すフローチャートである。
【0052】
ステップS201において、プロセッサ11は、ストレージ14に記憶された学習リスト145に基づき、学習リストを表示装置16に表示する。その後、処理はステップS202に移行する。
【0053】
図9は、学習リストの表示例を示す図である。
図9に示すように、学習リストは、辞書コンテンツ名の表示領域166を含む。辞書コンテンツ名の表示領域166は、マスキングがされた情報を含む辞書コンテンツ143の名称を表示するための表示領域である。また、学習リストは、見出し語の表示領域167を含む。見出し語の表示領域167は、マスキングが施された情報含む見出し語を表示するための表示領域である。これらの辞書コンテンツ名の表示領域166及び見出し語の表示領域167の表示により、ユーザは、自身がどのような用語に対してマスキングをしたかを確認し得る。すなわち、ユーザは、現在、どのような用語に対する学習をしているかを確認し得る。
【0054】
さらに、
図9に示すように、学習リストは、識別情報の表示領域168を含む。識別情報の表示領域168は、マスキング処理によって付与された識別情報に対応する識別マークの表示領域である。識別情報の表示領域168の表示により、ユーザは、自身がどのようなマスキングをしたかを確認し得る。すなわち、ユーザは、現在、対応する用語のどのような内容に対する学習をしているかを確認し得る。
【0055】
ステップS202において、プロセッサ11は、学習リストに表示された何れかの識別マーク又は見出し語が選択されたか否かを判定する。ステップS202において、学習リストに表示された何れかの識別マーク又は見出し語が選択されたと判定されたときには、処理はステップS203に移行する。ステップS202において、学習リストに表示された何れかの識別マーク又は見出し語が選択されていないと判定されたときには、処理はステップS204に移行する。
【0056】
ステップS203において、プロセッサ11は、選択された識別マーク又は見出し語と対応する用語を辞書コンテンツ143の中から検索する。そして、プロセッサ11は、検索した用語の情報を表示装置16に表示する。その後、
図8の処理は終了し、処理は
図4のステップS6に移行する。つまり、学習リストの表示から用語の表示に切り替わる。ここで、
図8では示されていないが、ステップS202において、学習リストに表示された何れかの辞書コンテンツ名が選択されたときに、その辞書コンテンツが起動されてもよい。この場合には、処理は
図4のステップS3に移行してよい。
【0057】
ステップS204において、プロセッサ11は、学習リストの表示を終了するか否かを判定する。例えば、学習リストの表示の終了ボタンが選択された場合には、学習リストの表示を終了すると判定される。ステップS204において、学習リストの表示を終了すると判定されていないときには、処理はステップS202に戻る。ステップS204において、学習リストの表示を終了すると判定されたときには、
図8の処理は終了する。この場合、処理は
図4のステップS12に移行する。
【0058】
ここで、
図4の説明に戻る。ステップS12において、プロセッサ11は、電子辞書10の電源をオフするか否かを判定する。例えば、ユーザによって電源ボタンが押された場合、長時間の無操作期間があった場合には、電子辞書10の電源をオフすると判定される。ステップS12において、電子辞書10の電源をオフしないと判定されたときには、処理はステップS1に戻る。ステップS12において、電子辞書10の電源をオフすると判定されたときには、
図4の処理は終了する。
【0059】
以上説明したように本実施形態によれば、表示装置に表示されている情報のうちのユーザによって指定された情報がマスキングされる。そして、本実施形態では、マスキングの操作の内容に応じてマスキングされた箇所に識別情報が付与される。これにより、ユーザは、マスキングされた箇所がどのような種類の情報であるかを識別し得る。したがって、ユーザは、例えば、後の学習時において識別情報を見ることにより、マスキングされた箇所がどのような情報であるかを思い出したり、推定したりできる。また、ユーザが自身の操作と識別情報とを対応付けて覚えることによって、ユーザはマスキングした情報を覚えやすくなることも期待される。
【0060】
また、本実施形態では、マスキングがされた用語とユーザによってマスキングされた情報に付与された識別マークとが対応付けられた学習リストが生成される。このような学習リストに基づく表示により、ユーザは、自身がどのような学習をしているかを容易に確認し得る。つまり、学習リストは、ユーザ自身の学習内容の把握及び管理に使用され得る。さらに、学習リストが表示され、表示された学習リストの用語の選択により、対応する用語の情報までジャンプすることができる。これによって、ユーザによる利便性も高い。
【0061】
[変形例]
以下、本実施形態の変形例を説明する。前述した実施形態では、ユーザによって表示装置16においてユーザにより指定された情報がマスキングされ、マスキングされた箇所がタッチされることでマスクが外される。外されたマスクの情報は、学習リスト145から削除されてもよいし、学習リスト145から削除されなくてもよい。学習リスト145から削除される場合には、再度の情報の指定によってマスキングが再び付与され得る。一方で、学習リスト145から削除されない場合には、例えばタッチされた後の一定期間だけマスクなし表示が行われる。
【0062】
また、実施形態では、ユーザによる情報の指定の操作の種類とそれによって付与される識別情報の組み合わせは、予め決められていて対応テーブル144に記憶されている。このユーザによる情報の指定の操作の種類とそれによって付与される識別情報と組み合わせは、ユーザによって決められてもよい。例えば、ユーザがタッチパネルを操作して情報の指定の操作を登録し、さらにそれによって付与される識別情報と識別マークとを入力することで、対応テーブル144にこれらの情報が対応付けて登録されてよい。
【0063】
また、実施形態では、電子辞書10の表示装置16に表示される辞書コンテンツ143の情報に対してマスキングが付与され得る。これに対し、実施形態は、任意の電子文書に対するマスキングに対して適用され得る。つまり、実施形態は、任意の電子文書を表示する機能を有する情報処理装置に対して適用され得る。
【0064】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0065】
10 電子辞書、11 プロセッサ、12 ROM、13 RAM、14 ストレージ、15 入力装置、16 表示装置、17 通信装置、18 システムバス、141 辞書プログラム、142 マスキングプログラム、143 辞書コンテンツ、144 対応テーブル、145 学習リスト。