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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042518
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】アサガオ装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 5/00 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
E04G5/00 301C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147288
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】520358645
【氏名又は名称】株式会社SysaPlanning
(74)【代理人】
【識別番号】110003029
【氏名又は名称】弁理士法人ブナ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 澄雄
(57)【要約】
【課題】取り扱いが容易で、仮設足場と枠体の下枠との間に生じる隙間を簡単に塞ぐことができるアサガオ装置を提供する。
【解決手段】落下物を受け止めるために仮設足場に設置されるアサガオ装置であり、仮設足場から斜め上方に突き出すように仮設足場に一端が固定される枠体5と、該枠体5内に取り付けられた面材と、枠体の下枠52と仮設足場との隙間を塞ぐ隙間遮蔽板6と、該隙間遮蔽板6を下枠52に接続する接続材7と、隙間遮蔽板6を下枠の側面上に着脱自在に保持する保持材9と、を備える。接続材7は、一端が隙間遮蔽板6に取り付けられ、他端が下枠52に取り付けられ、かつ折り曲げ可能な可撓性を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
落下物を受け止めるために仮設足場に設置されるアサガオ装置であって、
前記仮設足場から斜め上方に突き出すように、前記仮設足場に一端が固定される枠体と、
該枠体内に取り付けられた面材と、
前記枠体の下枠と前記仮設足場との隙間を塞ぐ隙間遮蔽板と、
該隙間遮蔽板を前記下枠に接続する接続材と、
前記隙間遮蔽板を前記下枠の側面上に着脱自在に保持する保持材と、
を備え、
前記接続材は、一端が前記隙間遮蔽板に取り付けられ、他端が前記下枠に取り付けられており、かつ折り曲げ可能な可撓性を有する、アサガオ装置。
【請求項2】
前記接続材が、可撓性を有する皮革、布、ゴム、合成樹脂、またはそれらの2種以上を貼り合わせた複合シート材である、請求項1に記載のアサガオ装置。
【請求項3】
落下物を受け止めるために仮設足場に設置されるアサガオ装置であって、
前記仮設足場の外面から斜め上方に突き出すように、前記仮設足場の外面に一端が固定される枠体と、
該枠体内に取り付けられた面材と、
前記枠体の下枠と前記仮設足場との隙間を塞ぐ隙間遮蔽板と、
該隙間遮蔽板を前記下枠に接続する接続材と、
前記隙間遮蔽板を前記下枠の側面上に着脱自在に保持する保持材と、を備え、
前記下枠の前記側面は貫通孔を有し、
前記接続材は、横向き片と、該横向き片に直交する縦向き片とからなる略T字形の形状を有し、
前記縦向き片は、前記下枠の前記貫通孔に挿通され、下端部が前記隙間遮蔽板に取り付けられると共に、前記横向き片は、前記隙間遮蔽板が前記下枠に対して回動可能となるように、前記下枠の前記貫通孔の縁部に係止している、アサガオ装置。
【請求項4】
前記縦向き片は、前記横向き片に対して下向きに屈曲している、請求項3に記載のアサガオ装置。
【請求項5】
前記接続材が硬質材からなる、請求項3または4に記載のアサガオ装置。
【請求項6】
落下物を受け止めるために仮設足場に設置されるアサガオ装置であって、
前記仮設足場の外面から斜め上方に突き出すように、前記仮設足場の外面に一端が固定される枠体と、
該枠体内に取り付けられた面材と、
前記枠体の下枠と前記仮設足場との隙間を塞ぐ隙間遮蔽板と、
該隙間遮蔽板を前記下枠に接続する接続材と、
前記隙間遮蔽板を前記下枠の側面上に着脱自在に保持する保持材と、を備え、
前記下枠の前記側面は貫通孔を有し、
前記接続材は、硬質材からなる横向き片と、該横向き片に接続され、可撓性を有する軟質材からなる縦向き片とからなる略T字形の形状を有し、
前記縦向き片は、前記下枠の前記貫通孔に挿通され、下端部が前記隙間遮蔽板に取り付けられると共に、前記横向き片は、前記下枠の前記貫通孔の縁部に係止している、アサガオ装置。
【請求項7】
前記軟質材が、皮革、布、ゴム、合成樹脂、またはそれらの2種以上を貼り合わせた複合シート材である、請求項6に記載のアサガオ装置。
【請求項8】
前記下枠が上部に溝開口を有する断面溝形で構成され、前記保持材が、前記隙間遮蔽板に一端が取り付けられた弾性部材であり、
前記隙間遮蔽板が前記下枠の側面に対向した状態で、前記弾性部材の他端が前記下枠の溝開口内に挿入され溝開口縁部に係止して、前記隙間遮蔽板を着脱自在に保持している、請求項1~7のいずれかに記載のアサガオ装置。
【請求項9】
落下物を受け止めるために仮設足場に設置されるアサガオ装置であって、
前記仮設足場の外面から斜め上方に突き出すように、前記仮設足場の外面に一端が固定される枠体と、
該枠体内に取り付けられた面材と、
前記枠体の下枠と前記仮設足場との隙間を塞ぐ隙間遮蔽板と、
該隙間遮蔽板を前記下枠に接続する接続材と、
を備え、
前記接続材は、前記隙間遮蔽板を前記下枠の側面に対面させた状態において、前記下枠の側面下部に取り付けられる第1の支持部と、該第1の支持部から前記下枠の側面上方に離隔した位置で前記隙間遮蔽板の表面に取り付けられる第2の支持部と、両端が前記第1の支持部と前記第2の支持部とにそれぞれ回動自在に軸支されるリンク部とを備えた、アサガオ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルの建設現場等において落下物を受け止めるために仮設足場に設置されるアサガオ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、建設現場等の仮設足場には、仮設足場の上から落下した資材や工具等の落下物を受け止めるために、アサガオ装置が設置されている。アサガオ装置は、仮設足場から斜め上方に張り出した枠体を備えており、枠体内に落下物を受け止めるためのシート材、パネル材等の面材を取り付けたものであり、枠体の下枠が仮設足場に取り付けられる。
しかし、仮設足場と枠体の下枠との間に隙間があると、小さな落下物といえども、このような隙間を通って道路等に落下する危険性がある。そこで、従来から、仮設足場と枠体の下枠との間の隙間を塞ぐための遮蔽板を取付けることが提案されている。
【0003】
特許文献1には、上記隙間を塞ぐために、枠体の下枠に蝶番を介して延長板(遮蔽板)を取り付けたアサガオ装置が記載されている(段落[0063]~[0065])。延長板は蝶番を介して下枠に取り付けられているので、不使用時や保管・移送時等の際には、延長板を下枠上に回動させることができる。
【0004】
特許文献2には、アサガオ装置に適応する落下防止装置が記載されている。この落下防止装置は、落下物受取装置の基端部(上記下枠に相当)に固定される固定部材と、該固定部材から仮設足場に向けて延びる遮蔽部材(遮蔽板)とを備え、固定部材に対して遮蔽部材を複数の蝶番により回動自在に枢結することにより、不使用時には、遮蔽部材を固定部材に向けて回動することにより、該固定部材の上に重ねられるように構成されている。
特許文献2では、固定部材に遮蔽部材を重ね合わせたユニットとすることにより、アサガオ装置への後付けを可能にしている(段落[0042])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-117340号公報
【特許文献2】特許第5919408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、取り扱いが容易で、仮設足場と枠体の下枠との間に生じる隙間を簡単に塞ぐことができるアサガオ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1のアサガオ装置は、落下物を受け止めるために仮設足場に設置されるものであって、仮設足場から斜め上方に突き出すように仮設足場に一端が固定される枠体と、該枠体内に取り付けられた面材と、枠体の下枠と仮設足場との隙間を塞ぐ隙間遮蔽板と、該隙間遮蔽板を下枠に接続する接続材と、隙間遮蔽板を下枠の側面上に着脱自在に保持する保持材と、を備え、接続材は、一端が隙間遮蔽板に取り付けられ、他端が下枠に取り付けられており、かつ折り曲げ可能な可撓性を有する。
【0008】
本発明の第2のアサガオ装置は、落下物を受け止めるために仮設足場に設置されるものであって、仮設足場の外面から斜め上方に突き出すように、仮設足場の外面に一端が固定される枠体と、該枠体内に取り付けられた面材と、枠体の下枠と仮設足場との隙間を塞ぐ隙間遮蔽板と、該隙間遮蔽板を下枠に接続する接続材と、隙間遮蔽板を下枠の側面上に着脱自在に保持する保持材と、を備え、下枠の側面は貫通孔を有し、接続材は、横向き片と、該横向き片に直交する縦向き片とからなる略T字形の形状を有し、縦向き片は、下枠の貫通孔に挿通され、下端部が隙間遮蔽板に取り付けられると共に、横向き片は、隙間遮蔽板が下枠に対して回動可能となるように、下枠の貫通孔の縁部に係止している。
【0009】
本発明の第3のアサガオ装置は、落下物を受け止めるために仮設足場に設置されるものであって、仮設足場の外面から斜め上方に突き出すように、仮設足場の外面に一端が固定される枠体と、該枠体内に取り付けられた面材と、枠体の下枠と仮設足場との隙間を塞ぐ隙間遮蔽板と、該隙間遮蔽板を下枠に接続する接続材と、隙間遮蔽板を下枠の側面上に着脱自在に保持する保持材と、を備え、下枠の側面は貫通孔を有し、接続材は、硬質材からなる横向き片と、該横向き片に接続され、折り曲げ可能な可撓性を有する軟質材からなる縦向き片とからなる略T字形の形状を有し、縦向き片は、下枠の貫通孔に挿通され、下端部が隙間遮蔽板に取り付けられると共に、横向き片は、下枠の貫通孔の縁部に係止している。
【0010】
本発明の第4のアサガオ装置は、落下物を受け止めるために仮設足場に設置されるものであって、仮設足場の外面から斜め上方に突き出すように仮設足場の外面に一端が固定される枠体と、該枠体内に取り付けられた面材と、枠体の下枠と仮設足場との隙間を塞ぐ隙間遮蔽板と、該隙間遮蔽板を下枠に接続する接続材と、を備え、接続材は、隙間遮蔽板を下枠の側面に対面させた状態において、下枠の側面下部に取り付けられる第1の支持部と、該第1の支持部から下枠の側面上方に離隔した位置で隙間遮蔽板の表面に取り付けられる第2の支持部と、両端が第1の支持部と第2の支持部とにそれぞれ回動自在に軸支されるリンク部とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明のアサガオ装置は、取り扱いが容易で、仮設足場と枠体の下枠との間に生じる隙間を簡単に塞ぐことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るアサガオ装置を示す斜視図である。
図2】(a)は本発明の一実施形態に係るアサガオ装置の枠体を仮設足場に固定するための固定金具を示す平面図であり、(b)はその側面図である。
図3】本発明における隙間遮蔽板の取付け状態の一例を示す正面図である。
図4】(a)は図3の側面図、(b)は(a)に示す隙間遮蔽板の格納状態を示す側面図である。
図5図3の隙間遮蔽板の使用状態を示す側面図である。
図6】本発明の他の実施形態に係るアサガオ装置における隙間遮蔽板の取付け構造を示しており、(a)および(b)はそれぞれ下枠の正面図および断面図、(c)は隙間遮蔽板の正面図である。
図7】(a)は図6に示す隙間遮蔽板の取付けに使用される接続材の斜視図、(b)はその断面図である。
図8】(a)は隙間遮蔽板の格納状態を示す断面図、(b)はその使用状態の一例を示す断面図である。
図9】本発明における隙間遮蔽板の取付け構造のさらに他の例を示しており、(a)および(b)はそれぞれ下枠の正面図および断面図、(c)は隙間遮蔽板の正面図である。
図10】(a)は接続材の分解図、(b)はその組立状態を示す正面図である。
図11】本発明の別の実施形態に係るアサガオ装置における隙間遮蔽板の格納状態を示す側面図である。
図12図11に示す隙間遮蔽板と下枠とを接続する接続材の一例を示しており、(a)はその側面図、(b)は平面図、(c)は一部の分解斜視図である。
図13】(a)および(b)は図11に示す隙間遮蔽板を格納状態から展開する動作を示す説明図である。
図14】本発明の別の実施形態における接続材の他の例を示しており、(a)は隙間遮蔽板の格納状態における部分側面図、(b)は接続材の斜視図、(c)はA-A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明のアサガオ装置の一実施形態を、図1~5に基づいて説明する。図1に示すように、本考案の一実施形態に係るアサガオ装置1は、主としてビルやマンション等の中高層建築物の建設または補修工事の現場において、資材や工具等の落下物を受け止めるために仮設足場に設置されるものであり、仮設足場の支柱2に一端が固定されて斜め上方に突き出した、枠体5と、この枠体5内に張設されたシート材10(面材)とを備える。枠体5は、縦枠51と下枠52と上枠53とからなる。
【0014】
図1に示すように、シート材10が取り付けられた枠体5は、仮設足場の外面に複数並設され、使用時には仮設足場から斜め上方に突き出している。
枠体5を形成する縦枠51、下枠52および上枠53は、断面溝形の形状を有する。縦枠51は、上面に枠体5を上方から保持する吊材4を接続するための吊り金具41が設けられ、下面には枠体5を下方から支持する支持部材3を取り付けるための支持部材取付金具33、34が設けられる。枠体5は仮設足場の外面に枠体固定金具15により取り付けられる。
このような枠体5の材質は特に制限されないが、軽量で強度のあるものが好ましく、例えば、アルミ、スチール等の金属が好ましい。
【0015】
枠体固定金具15は、図2(a)、(b)に示すように、枠体取付金具17と、この間に挟持された2つの枠体回転金具19とを、ピン18によりそれぞれの貫通孔20を挿通されて固定するので、枠体5、5同士に適切な間隙を持たせて上下方向へ回動させることができる。
枠体5を仮設足場の支柱2と接続する枠体固定金具15は、例えば、図2(a)に示すように、隣り合う枠体5、5の間に設置され、支柱2に固定するクランプ16と、このクランプ16に取り付けられ、貫通孔20を有するコ字型の枠体取付金具17と、この枠体保持金具17とピン18で回動可能に接続される枠体回転金具19により構成することができる。この枠体回転金具19は、枠体5の両端に取り付けられたL字型の金属板であり、短手側にピン18を挿通する貫通孔20を有する。
枠体取付金具17と、隣り合う2つの枠体5、5の各枠体回転金具19とは、ピン18で固定される。その際、隣り合う枠体5、5は所定の間隙(例えば29cmの間隔)を有する。この間隙は強風時等に隣り合う枠体同士が接触し破損するのを防止するためである。
【0016】
図1に戻って、シート材10は枠体5内に張設され落下物を受け止める役割を有する。シート材10は、2つの縦枠51、51間に架け渡されている。シート材10としては、例えば、繊維シートと合成樹脂とを貼り合わせた可撓性シートが使用可能であり、具体的にはポリエステルの布帛に塩化ビニル樹脂を貼り合わせたターポリン等が挙げられる。シート材10を取り付けたアサガオ装置1は、軽量で設置や持ち運びや保管が容易であるという利点がある。
なお、図2(a)(b)において、符号54は、下枠52aの両端に立設した角パイプであり、シート材10を張った角筒形の支持材(図示せず)を角パイプ54に挿し込んで取り付けるものである。角パイプは上枠53にも設けられており、両角パイプで上記支持材を固定保持する。
シート材10を面材として使用したアサガオ装置は、例えば、実用新案登録第3194130号公報に記載されている。
【0017】
本実施形態では、枠体5の下枠52と仮設足場の外面との間に生じる隙間11(図5参照)を塞ぐために、図3に示すような隙間遮蔽板6が設けられる。隙間遮蔽板6は、下枠52とほぼ同じ長さを有する平板状であり、アルミニウム板、スチール板等の金属板からなる。
隙間遮蔽板6は、接続材7によって下枠52に接続される。接続材7は、一端が隙間遮蔽板6に取り付けられ、他端が下枠52に取り付けられており、折り曲げ可能な可撓性を有する。
【0018】
折り曲げ可能な可撓性を有する接続材7としては、例えば、皮革、布、ゴム、合成樹脂、またはそれらの2種以上を貼り合わせた複合シート材等が挙げられる。接続材7は、シートの形態を有し、図3に示すように、下枠52と隙間遮蔽板6とに跨って配置され、リベット等の固定部材8によって固定される。接続材7は、例えば中央部に1箇所配置されているだけでもよいが、下枠52および隙間遮蔽板6の長手方向に沿って、適宜な間隔をあけて、複数箇所に配置されているのが好ましい。
【0019】
図4(a)は図3に示す隙間遮蔽装置の側面図であり、隙間遮蔽板6は下枠52から吊り下げられた状態にある。前記したように、接続材7は折り曲げ可能な可撓性を有するので、図4(a)に矢印で示すように、接続材7を折り曲げて、隙間遮蔽板6を自在に回動させることができる。図4(b)は、隙間遮蔽板6を下枠52の側面52aに対向した位置に回動させた状態を示している。すなわち、図4(b)は、隙間遮蔽板6の格納状態を示している。
【0020】
隙間遮蔽板6が下枠52の側面52aに対面した格納状態において、隙間遮蔽板6を着脱自在に保持するための保持材9が隙間遮蔽板6に設けられる。この保持材9は、円弧状に湾曲した弾性部材91と、該弾性部材91の外面に配置され、一端が弾性部材91と共にリベット等で一体に固定された軟質材92とから構成される。弾性部材91としては、弾性を有する合成樹脂やゴム材等が使用可能である。弾性部材91の具体例としては、塩化ビニル樹脂、ゴム等からなるパイプを軸方向に2つに裁断して得られる断面が半円形の部材が使用可能であり、当該部材の周方向の一端を隙間遮蔽板6に固定すれば、強い弾性力または付勢力によって隙間遮蔽板6を下枠52の側面52aに押し付けるようにして保持させることができ、取り外しも簡単に行うことができる。
軟質材92としては、前記した接続材7と同様な部材が使用可能である。この軟質材92は、弾性部材91の保持機能を補強するものであり、必要に応じて使用すればよい。
【0021】
図5は、図3に示す隙間遮蔽装置の使用状態を示す側面図である。同図に示すように、枠体5の下枠52と仮設足場の外面102との間に生じる隙間11を塞ぐには、図4(b)に示す格納状態から、保持材9を押し開いて隙間遮蔽板6を開放し、下向きに回動させて、隙間遮蔽板6の先端を仮設足場の外面102に当接させればよい。
これにより、上からの落下物が隙間11を通って落下するのを隙間遮蔽板6で阻止することができ、安全性が高まる。
ところで、仮設足場の外面102には、現場に応じて、養生枠や、防音パネル等の被覆部材が取付けられることがあり、そのため、枠体5の下枠52と仮設足場の外面102との間に生じる隙間11の幅wが変化することがある。このような場合でも、本実施形態では、隙間遮蔽板6を下向きに回動させて、先端を仮設足場の外面102に当接させるだけであるから、確実に隙間11を塞ぐことができる。
【0022】
次に、本発明の他の実施形態を図6~8に基づいて説明する。なお、前述の実施形態と同じ構成部材には、同一の符号を付して説明を省略する。図6(a)および(b)はそれぞれ下枠521の正面図および断面図、(c)は隙間遮蔽板61の正面図であり、図7(a)は図6(a)~(c)に示す隙間遮蔽装置に使用される接続材71の斜視図、(b)はその断面図である。
【0023】
図6(a)および(b)に示すように、下枠521は溝形の形状を有し、一方の側面521aには、適宜な間隔で複数(本実施形態では4つ)の貫通孔12が形成されている。一方、隙間遮蔽板61は、その上部で、上記貫通孔12に対応する部位には、リベット止めのための孔13がそれぞれ形成されている。また、隙間遮蔽板61の中央部には、保持材9が設けられている。
【0024】
図7(a)、(b)に示す接続材71は、隙間遮蔽板61を下枠521に接続するためのものである。接続材71は、横向き片71aと、該横向き片71aに直交する縦向き片71bとからなる略T字形の形状を有する。横向き片71aと縦向き片71bとは一体に形成されている。接続材71としては、アルミニム板、スチール板等の金属板や硬質の合成樹脂板等の硬質材が使用可能である。
また、接続材71の縦向き片71bは、前記横向き片71aと平行な直線状であってもよいが、前記横向き片71aに対して屈曲しているのが好ましい。屈曲角度θは90°以上で180°未満であるのがよく、好ましくは100°以上150°以下であるのがよい。
【0025】
接続材71を用いて隙間遮蔽板61を下枠521に接続するには、まず縦向き片71bを下枠521の内側より貫通孔12に挿通させ、縦向き片71bの下端部を隙間遮蔽板61に取り付ける。これには、縦向き片71bの下端部に形成された孔13´および隙間遮蔽板61に設けた孔13を一致させ、これらの孔13、13´にリベット21(図8参照)を挿通させ、一体に固定すればよい。この状態で横向き片71aは、下枠521の貫通孔12の縁部に係止するようになり、その結果、隙間遮蔽板61が下枠521から脱落するのを防止すると共に、隙間遮蔽板61が下枠521に対して上下方向に回動可能となる。
【0026】
図8(a)は隙間遮蔽板61の格納状態を示す断面図であり、図8(b)はその使用状態の一例を示す断面図である。隙間遮蔽板61は、図8(a)に示す格納状態から、矢印で示すように下向きに回動することができる。これにより、隙間遮蔽板61を先端が仮設足場の外面102(図5参照)に当接するまで回動させることにより、仮設足場の外面102と下枠521との間の隙間を塞ぐことができ、安全性が高まる。
なお、隙間遮蔽板61の回動可能範囲は、接続材71の屈曲角度θにより定まり、例えば、屈曲角度θが90°であれば、下枠521の側面521aに対して0°~90°の範囲で回動可能である。
その他は、前述の実施形態と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0027】
次に、本発明のさらに他の実施形態を図9~10に基づいて説明する。なお、前述の実施形態と同じ構成部材には、同一の符号を付して説明を省略する。
図9(a)および(b)はそれぞれ下枠522の正面図および断面図、(c)は隙間遮蔽板62の正面図であり、図10(a)は図9(a)~(c)に示す隙間遮蔽装置に使用される接続材72の分解図、(b)はその組立状態を示す平面図である。
【0028】
図9(a)および(b)に示すように、下枠521は溝形の形状を有し、一方の側面521aには、適宜な間隔で複数(本実施形態では4つ)の貫通孔121が形成されている。一方、隙間遮蔽板61は、その上部で、上記貫通孔12に対応する部位には、リベット止めのための孔131がそれぞれ横向きに形成されている。また、隙間遮蔽板62の中央部には、前記と同様な保持材9が設けられている。
【0029】
図10(a)、(b)に示す接続材72は、隙間遮蔽板61を下枠521に接続するものであり、横向き片72aと、該横向き片72aに直交する縦向き片72bとを接続した略T字形の形状を有する。横向き片72aは、例えばアルミニム板、スチール板等の金属板や硬質の合成樹脂板等の硬質材からなる。縦向き片72bは、折り曲げ可能な可撓性を有する軟質材からなる。軟質材としては、例えば皮革、布、ゴム、合成樹脂、またはそれらの2種以上を貼り合わせた複合シート材等が使用可能である。
横向き片72aと縦向き片72bとの接続は、特に制限されないが、本実施形態では、横向き片72aおよび縦向き片72bにそれぞれ設けた孔131´、131´を一致させて、当該孔131´、131´にリベット(図示せず)を挿通させて一体に接続している(図8(b)参照)。
縦向き片72bに設けた他の孔131は、隙間遮蔽板61に設けた孔131と一致させて、当該孔131、131にリベット(図示せず)を挿通させて一体に接続するものである。
【0030】
このように構成される本実施形態のアサガオ装置では、前述の実施形態と同様にして、略T字形に組み立てた接続材72の縦向き片72bを、下枠522の内側から貫通孔121に挿通させ、横向き片72aを貫通孔121の縁部に係止させる。
次に、縦向き片72bに設けた他の孔131を、隙間遮蔽板61に設けた孔131と一致させて、リベットを挿通させて一体に接続する。
【0031】
本実施形態における隙間遮蔽装置は、前記した2つの実施形態の要素をそれぞれ取り入れた構成となっている。すなわち、横向き片72aは、下枠522の貫通孔121の縁部に係止するので、隙間遮蔽板62が下枠522から脱落するのを防止することができ、取り付けも簡単である。ちなみに、下枠522の貫通孔121の開口幅は、縦向き片72bが挿通するのみに必要な大きさであればよく、従って縦向き片72bの厚さと同じか、それよりもわずかに大きい程度であり、前述の実施形態における貫通孔12よりも小さく形成されている。
また、縦向き片72bは、折り曲げ可能な可撓性を有する軟質材からなるので、隙間遮蔽板62を上下方向に自在に回動させることができ、仮設足場の外面と下枠522との隙間11が大きさ如何にかかわらず、確実に仮設足場の外面と下枠522との隙間11を塞ぐことができる。
その他は、前述の実施形態と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0032】
次に、本発明の別の実施形態を図11~14に基づいて説明する。なお、前述の実施形態と同じ構成部材には、同一の符号を付して説明を省略する。
図11は、本実施形態における隙間遮蔽板63の格納状態を示す側面図である。図12は、図11に示す隙間遮蔽板63と下枠523とを接続する接続材73を示しており、(a)は該接続材73の側面図、(b)は平面図、(c)は端部の分解斜視図である。
【0033】
図11に示すように、隙間遮蔽板63は、格納状態において、下枠523の外側面と対面する位置で保持されており、前述の実施形態で使用したような保持材9は使用されていないが、必要に応じて使用してもよい。保持材9を使用していない理由は、接続材73自体が隙間遮蔽板63を格納状態等で保持する機能を有するからである。
【0034】
接続材73は、隙間遮蔽板63を下枠523の側面に対面させた状態において、下枠523の側面下部に取り付けられる第1の支持部21と、該第1の支持部21から下枠523の側面523aの上方に離隔した位置で隙間遮蔽板63の表面に取り付けられる第2の支持部22と、両端が第1の支持部21と第2の支持部22とにそれぞれ回動自在に軸支されるリンク部23とを備える。
第1の支持部21および第2の支持部22には、図12(b)に示すように、リベット等の固定具を挿通させるための孔132が形成されている。
リンク部23の一端は、図12(c)に示すように、第1の支持部21とピン24で回動自在に接続される。リンク部23の他端も同様にして第1の支持部21と回動自在に接続される。接続材73は、例えば、アルミニム板、スチール板等で形成される。
【0035】
次に、図11に示す格納状態から隙間遮蔽板63を展開する動作を、図13(a)、(b)に基づいて説明する。図13(a)に示すように、第1の支持部21の回動軸を支点として格納状態の隙間遮蔽板63を下向きに回動させると、隙間遮蔽板63は、第2の支持部22の回動軸を支点としてさらに下向きに回動する。
これにより、隙間遮蔽板63は、図13(b)に示すように、下枠523の側面523aから下向きに展開することができる。この展開する過程で、隙間遮蔽板63は、仮設足場の外面に当接して、下枠523と仮設足場の外面との間に生じた隙間を塞ぐことができる。
隙間遮蔽板63を格納する場合は、前記と逆に隙間遮蔽板63を上向きに回動させればよい。本実施形態では、前記した実施形態における格納状態で隙間遮蔽板63を保持する保持材9を必要としないので、取り扱いが簡単になる。
【0036】
本実施形態における接続材の他の例を図14に示す。図14(a)は隙間遮蔽板63の格納状態における部分側面図、図14(b)は接続材74´の斜視図、図14(c)はA-A線断面図である。
接続材74´は、隙間遮蔽板63を下枠523の側面に対面させた状態において、下枠523の側面下部に取り付けられる第1の支持部21´と、該第1の支持部21´から下枠523の側面523aの上方に離隔した位置で隙間遮蔽板63の表面に取り付けられる第2の支持部22´と、両端が第1の支持部21´と第2の支持部22´とにそれぞれ回動自在に軸支されるリンク部23´とを備える。
第1の支持部21´および第2の支持部22´には、図14(b)、(c)に示すように、リベット等の固定具を挿通させるための孔132´が形成されている。
【0037】
第1の支持部21´および第2の支持部22´は、図14(b)、(c)に示すように、それぞれ一対のL形部材を含み、両L形部材をリンク部23´を介して対向させ、ピン25で両L形部材を接合して製造することができる。これにより、第1の支持部21´および第2の支持部22´は、リンク部23´を回動自在に保持する。
このような接続材74´は、前記した接続材74と同様にして使用可能であり、保持材9を使用することなく取り扱いが簡単であるという効果がある。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変更や改善が可能である。例えば、上記実施形態では、枠体内に取り付けられる面材としてシート材10を用いたが、シート材10に代えて、繊維強化プラスチック材等からなるパネル材を使用してもよい。このようなパネル材を使用したアサガオ装置は、例えば、実開平7-42843号公報に記載されている。
【符号の説明】
【0039】
1 アサガオ装置
2 支柱
3 支持部材
33、34 支持部材取付金具
4 吊材
41 吊り金具
5 枠体
51 縦枠
52、521、522、523 下枠
53 上枠
6、61、62、63 隙間遮蔽板
7、71、72、73、73´ 接続材
8 固定部材
9 保持材
10 シート材
11 隙間
12、121 貫通孔
13、13´、131、131´ 孔
14 リベット
15 枠体固定金具
16 クランプ
17 枠体取付金具
18 ピン
19 枠体回転金具
20 貫通孔
21、21´ 第1の支持部
22、22´ 第2の支持部
23、23´ リンク部
24、25 ピン
71a、72a 横向き片
71b、72b 縦向き片
102 仮設足場の外面
図1
図2
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図14