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特開2024-42527異常位置を検出する装置、方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042527
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】異常位置を検出する装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/89 20200101AFI20240321BHJP
【FI】
G01S17/89
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147305
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】安倍 次朗
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AA10
5J084AA13
5J084AB16
5J084AC02
5J084AC04
5J084AC08
5J084AD01
5J084AD07
5J084BA03
5J084BA05
5J084BA19
5J084BA38
5J084BA48
5J084CA65
(57)【要約】
【課題】表面の異変が実際に生じている箇所又は当該箇所を含む領域を特定する技術を提供する。
【解決手段】装置(1)は、測距装置(40)に含まれる複数の照射手段(41i)が対象物に照射した信号に対する反射信号に基づき、対象物の表面に異変が生じている箇所を、照射手段(41i)ごとに抽出する。装置(1)は、表面のうち、2つ以上の照射手段(41i)について抽出された箇所を含む領域を特定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測距装置に含まれる複数の照射手段が対象物に照射した信号に対する反射信号に基づき、前記対象物の表面に異変が生じている箇所を、前記照射手段ごとに抽出し、
前記表面のうち、2つ以上の前記照射手段について抽出された前記箇所を含む領域を特定する、
装置。
【請求項2】
前記反射信号に基づき、前記表面の位置を表すデータを複数含むデータセットを、前記照射手段を識別可能なように作成し、
作成した前記データセットを用いて、前記異変が生じている箇所を、前記照射手段ごとに抽出する
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記表面に含まれる複数の領域の各領域において、前記箇所が抽出された前記照射手段の台数を特定し、
前記複数の領域のうち、異変が生じていることを判定する基準を前記台数が満たしている前記領域を特定する
請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記箇所は、前記対象物の表面までの深度の変化量を参照して抽出される
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記領域を特定する場合は、前記箇所から所定の範囲内にある、他の前記照射手段に紐付けられた前記箇所の数を参照して、前記領域を特定する
請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記照射手段に紐付けられた前記箇所の数に基づいて設定された当該照射手段のデータセットの重みを参照して前記箇所の信頼度を導出する
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記箇所は、前記測距装置の進行方向に交差する方向に沿って深度の変化量を参照して抽出される
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記箇所は、前記測距装置の進行方向に沿って取得された前記表面の位置と前記箇所との距離を参照して抽出される
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
少なくとも1つのプロセッサが、
測距装置に含まれる複数の照射手段が対象物に照射した信号に対する反射信号に基づき、前記対象物の表面に異変が生じている箇所を、前記照射手段ごとに抽出し、前記表面のうち、2つ以上の前記照射手段について抽出された前記箇所を含む領域を特定すること
を含む方法。
【請求項10】
コンピュータに、
測距装置に含まれる複数の照射手段が対象物に照射した信号に対する反射信号に基づき、前記対象物の表面に異変が生じている箇所を、前記照射手段ごとに抽出する処理と、
前記表面のうち、2つ以上の前記照射手段について抽出された前記箇所を含む領域を特定する処理と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常位置を検出する装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
構造物の表面を表す点群データを用いて表面の異常の有無を判断する技術が知られている。例えば、特許文献1には、設備の表面を表す3次元点群データを生成する設備データ生成部と、設備の熱画像データを取得する熱画像データ取得部を含む表示データ生成装置が開示されている。この装置によれば、設備の内部変状の状態を精度良く表示することができるとされている。
【0003】
また、特許文献2には、LiDAR(Light Detection And Ranging)センサを使用して点群及び周囲画像を取得し、点群及び周囲画像を処理させる際に、一連の処理ルーチンを含むエンハンサパイプラインに従って強化データを生成するリファインメントシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2019/111391号公報
【特許文献2】特開2022-51524号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の表示データ生成装置においては、壁面の温度変化から内部の変状を推定することができるが、レーザスキャナ装置のほかに、熱画像データを取得するためにサーモグラフィ装置という新たな装置が必要である。また、特許文献2に記載のリファインメントシステムにおいては、複数のLiDARセンサからの出力データを同期させ、同様のタイムフレームからのデータを相互に関連付けることが記載されている。しかし、複数のデータを相互に関連付けることによっても、それらのデータが実際に表面の異変(形状の変化)が生じていることを示している可能性、即ち信頼度が十分高いとはいえない。
【0006】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、表面の異変が実際に生じている箇所又は当該箇所を含む領域を特定する技術を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る装置は、測距装置に含まれる複数の照射手段が対象物に照射した信号に対する反射信号に基づき、前記対象物の表面に異変が生じている箇所を、前記照射手段ごとに抽出し、前記表面のうち、2つ以上の前記照射手段について抽出された前記箇所を含む領域を特定する。
【0008】
本発明の一態様に係る方法は、少なくとも1つのプロセッサが、測距装置に含まれる複数の照射手段が対象物に照射した信号に対する反射信号に基づき、前記対象物の表面に異変が生じている箇所を、前記照射手段ごとに抽出し、前記表面のうち、2つ以上の前記照射手段について抽出された前記箇所を含む領域を特定することを含む。
【0009】
本発明の一態様に係るプログラムは、測距装置に含まれる複数の照射手段が対象物に照射した信号に対する反射信号に基づき、前記対象物の表面に異変が生じている箇所を、前記照射手段ごとに抽出する処理と、前記表面のうち、2つ以上の前記照射手段について抽出された前記箇所を含む領域を特定する処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、表面の異変が実際に生じている箇所又は当該箇所を含む領域を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の例示的実施形態1に係る異常位置検出システム2の構成を示すブロック図である。
図2】例示的実施形態1に係る異常位置検出方法S1の流れを示すフロー図である。
図3】例示的実施形態2に係る異常位置検出システム2Aの構成を示すブロック図である。
図4】例示的実施形態3に係る異常位置検出システム2Bの構成を示すブロック図である。
図5】3次元Lidarによって複数のデータセットを取得する方法を示す模式図である。
図6】抽出部が表面の形状が変化する変化箇所を抽出する方法を説明する模式図である。
図7】抽出部が表面の形状が変化する変化箇所を抽出する他の方法を示す模式図である。
図8】相対的に密集する複数の変化箇所が含まれる領域を特定する方法を説明する模式図である。
図9】特定部が、密集領域を特定する方法の具体例を示す模式図である。
図10】特定部が、トンネル内の表面を矩形状に分割した領域の1つを特定する模式図である。
図11】例示的実施形態4に係る異常位置検出システム2Bの構成を示すブロック図である。
図12】例示的実施形態5に係る異常位置検出システム2Cの構成を示すブロック図である。
図13】ソフトウェアによって異常位置検出装置を実現するための構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔例示的実施形態1〕
本発明の第1の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態は、後述する例示的実施形態の基本となる形態である。
【0013】
(異常位置検出システム2の構成)
本例示的実施形態に係る異常位置検出システム2の構成について、図1を参照して説明する。図1は、異常位置検出システム2の構成を示すブロック図である。異常位置検出システム2は、構造物の表面の形状変化(異変)を検出する装置である。表面の形状変化が異変であるか否かは、その形状変化が、構造物の表面が本来有している形状と比較することにより判定できる。
【0014】
図1に示すように、異常位置検出システム2は、異常位置検出装置1と測距装置40とを備える。異常位置検出装置1は、抽出部(抽出手段)11と特定部(特定手段)12とを備える。異常位置検出装置1は、測距装置40が取得した、表面形状データを取得する。
【0015】
測距装置40は、信号を照射する照射部(照射手段)41を備える。照射部41は、信号を照射するn個の照射部41i(i=1~n、nは2以上の整数)を含んで構成される。照射部41は、信号として光又は電波等を照射する。光としては、可視光、赤外線、紫外線、又はこれらのレーザ光等である。一例として、測距部40は、照射部41が光等を2次元的又は3次元的に射出し、射出した光に対する反射光を検出し、光を射出したタイミングから反射光を検出するタイミングまでの所要時間に基づき測定対象の表面の3次元点群データを取得する。なお、測距方法はこれに限らず、光に代えて電波を用いて測距してもよく、また、測距原理として、光の飛行時間法でなく、三角測量方式でもよい。
【0016】
異常位置検出装置1の抽出部11は、測距装置40に含まれる複数の照射部41iが対象物に照射した信号に対する反射信号に基づき、対象物の表面に異変が生じている箇所を、照射部41iごとに抽出する。特定部12は、表面のうち、2つ以上の照射部41iについて抽出された箇所を含む領域を特定する。
【0017】
以上のように、本例示的実施形態に係る異常位置検出装置1においては、測距装置40に含まれる複数の照射部41iが対象物に照射した信号に対する反射信号に基づき、対象物の表面に異変が生じている箇所を、照射部41iごとに抽出し、表面のうち、2つ以上の照射部41iについて抽出された箇所を含む領域を特定する、という構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る異常位置検出装置1によれば、表面の異変が実際に生じている箇所又は当該箇所を含む領域を特定することができるという効果を奏する。
【0018】
(異常位置検出方法の流れ)
本例示的実施形態に係る異常位置検出方法S1の流れについて、図2を参照して説明する。図2は、本例示的実施形態に係る異常位置検出方法S1の流れを示すフロー図である。
【0019】
図2に示すように、異常位置検出方法S1は、ステップS11とステップS12とを含む。ステップS11において、少なくとも1つのプロセッサ(例えば抽出部11)は、測距装置に含まれる複数の照射部41iが対象物に照射した信号に対する反射信号に基づき、対象物の表面に異変が生じている箇所を、照射部41iごとに抽出する。
【0020】
次に、ステップS12において、少なくとも1つのプロセッサ(例えば特定部12)は、表面のうち、2つ以上の照射部41iについて抽出された箇所を含む領域を特定する。
【0021】
以上のように、本例示的実施形態に係る異常位置検出方法S1においては、測距装置に含まれる複数の照射部41iが対象物に照射した信号に対する反射信号に基づき、対象物の表面に異変が生じている箇所を、照射部41iごとに抽出するステップと、表面のうち、2つ以上の照射部41iについて抽出された箇所を含む領域を特定するステップと、を含む構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る異常位置検出方法S1によれば、表面の異変が実際に生じている箇所又は当該箇所を含む領域を特定することができるという効果が得られる。
【0022】
〔例示的実施形態2〕
次に、本発明の第2の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
(異常位置検出システム2Aの構成)
本例示的実施形態に係る異常位置検出システム2の構成について、図3を参照して説明する。図3は、異常位置検出システム2Aの構成を示すブロック図である。異常位置検出システム2は、構造物の表面の形状変化を検出する装置である。形状変化は、たとえば、表面に生じている異変であってもよい。本例示的実施形態において、構造物とは、ビル、トンネル、橋梁、擁壁、道路等の建築物である。このような構造物は、経年劣化等によりコンクリートが剥落する等して強度が次第に低下する。そのため、定期的な点検が必要とされている。
【0024】
構造物の点検において、作業員の目視点検に代えて、測距装置を用いて表面形状の変化を検知し、検知した結果に基づき構造物の表面に生じた異変を検出する場合がある。そして、構造物が、ある位置にて本来有すると考えられる表面形状から変化がある場合に、そのある場所にて剥落又は崩落等の異常(または、異変)が発生している可能性がある。しかし、測距装置を用いて異変を検知する場合、測距装置からの信号には、一般に、測定誤差、ノイズ等が含まれる。この結果、検知された結果が、実際の異常(または、異変)かどうかの判断が難しい場合がある。本当の異常を見逃すことは大きな事故に繋がる虞があるため、異常は、正確に検出される必要がある。しかし、変化を見落とさぬよう検出しようとすると、本来異常が生じていない多数の変化が検出される。この結果、検知された変化を本当の異常位置であるかどうかを、作業者が確認するために多大な労力が必要となる虞がある。本例示的実施形態に係る異常位置検出システム2は、測距装置によって複数の表面形状データ(測距データセット)を取得し、複数の表面形状データで共通して表面の形状の変化(異変)が認められた測距データ(変化箇所)、又はそれらを含む領域を特定する。これにより、表面に生じた異変を検知する処理において測定誤差、又はノイズ等を排除することができる。
【0025】
図3に示すように、異常位置検出システム2Aは、異常位置検出装置1と測距装置40とを備える。異常位置検出装置1は、抽出部(抽出手段)11と特定部(特定手段)12とを備える。異常位置検出装置1は、測距装置40が取得した、表面形状データを取得する。
【0026】
なお、図3に示す例示的実施形態では、異常位置検出装置1の抽出部11と特定部12が1つの異常位置検出装置1として一体化されているように記載しているが、これらは必ずしも1つの異常位置検出装置1として一体化されている必要はない。例えば、抽出部11と特定部12が別々に配置されていてもよい。そして、これらが有線通信又は無線通信、または、専用線で接続されていてもよい。また、抽出部11と特定部12の全部又は一部がクラウド上にあってもよい。この点は、以下に示す装置構成についても同様である。
【0027】
(測距装置40)
測距装置40は、信号を照射するn個の照射部(照射手段)41i(i=1~nの整数)と、照射部41iから照射された信号に対する反射信号を照射部41iごとに受信するn個の受信部(受信手段)42i(i=1~nの整数)と、を備える。対象物に信号を照射する照射部と、該信号に対する反射信号を受信する受信部とを総称して「チャネル」と表す。言い換えると、チャネルは、象物に信号を照射する照射部と、該信号に対する反射信号を受信する受信部とを含む。測距装置40は、複数のチャネルを有する。複数のチャネルを総称して「信号部」とも表す。
【0028】
測距装置40は、対象物に信号を照射し、照射した信号に対する反射信号を取得する。測距装置40は、信号を照射したタイミングから反射信号を取得するまでの所要時間に基づき反射点までの距離を求める。測距装置40は、信号を照射した方向と、求めた距離とから、その反射点の3次元座標を取得する。距離と方向を測定する原理は、上述した例に限定されない。一例として、測距装置は3次元Lidar(Light detection and ranging)を用いることができる。Lidarとは、断続的に光を照射して対象物の各反射点(本例示的実施形態では構造物の表面の一点)から反射した反射光を受信部42で受信(検出)し、上記所要時間から距離を求める測距装置である。3次元Lidarは、光を照射(または、射出)した照射部41から見た構造物の表面の複数の位置(点)の3次元座標を表す3つの値の組を点群データとして取得する。以降、説明の便宜上、3次元座標を表す3つの値の組を、単に、『3次元座標』とも表す。点群データとは、複数の点の3次元座標の集合である。反射点の方向は、光を射出した方向として取得される。光としては、可視光、赤外線、紫外線、又はこれらのレーザ光等である。光は、「信号」の一形態である。3次元Lidarは、光を2次元的又は3次元的に射出し、射出した光に対する反射光を検出し、光を射出したタイミングから反射光を検出するタイミングまでの所要時間に基づき測定対象の表面の3次元点群データを取得する。なお、測距方法はこれに限らず、光に代えて電波を用いて測距してもよく、また、測距原理として、光の飛行時間法でなく、三角測量方式でもよい。
【0029】
照射部41iと受信部42iとの測距セットは、あるタイミングにて、対象物の表面における1つの点を測距する。測距装置40はそのような測距セットを複数有する。複数の測距セットは、対象物の表面における少なくとも一部の領域について、あるタイミングにて測距する、その場合に、各測距セットは、その一部の領域のうちの相互に異なる点について測距する。言い換えると、1組の照射部41iと受信部42iとは、該一部の範囲のうちの1つの点について測距する。複数の測距セットは、対象物の表面のうちの他の領域についても同様に測距することで、対象物の表面全体の離散的な測距データを取得する。1組の照射部41iと受信部42iとで取得されるすべての測距データを、測距データセットと称する。この場合に、複数の照射部41iと受信部42iの測距セットにより、複数の測距データセットが得られる。測距データセットは、1つの測距セットによって測距された、対象物(構造物)の表面上の点の位置を表すデータを複数含む。この場合に、該測距データセットを、対象物の表面の形状(位置)を表す表面形状データであるということもできる。あるいは、測距データセットは、対象物の表面上の点の位置を表すデータを複数含むともいうことができる。以下では、「測距データセット」を単に「データセット」と称する。また、以下では「照射部41iと受信部42iの測距セット」を単に「照射部41i」ということがある。また、複数の測距データセットは、必ずしも、測距セットごとに異なるデータセットでなくてもよい。たとえば、測距データセットは、1つのデータセットであって、測距セットを識別可能なデータセットであってもよい。この場合に、測距データセットは、たとえば、表面の点と、該点ついて取得した測距セットを表す識別子とが関連付けされたセットであってもよい。
【0030】
(異常位置検出装置1)
異常位置検出装置1における抽出部11は、一例として、反射信号に基づき、表面の位置を表すデータを複数含むデータセットを、照射部41iを識別可能なように作成し、作成したデータセットを用いて、異変が生じている箇所を、照射部41iごとに抽出してもよい。つまり、抽出部11は、測距装置40に含まれる複数の照射部41iごとに取得された測距データセットから、測距データセットごとに、対象物の表面がなす形状が変化する箇所(以降、「変化箇所」と表す)を抽出する。表面形状が変化するとは、その構造物が本来有すると考えられる表面形状から変化しているということである。つまり、変化箇所は、その構造物が本来有する形状に異変が生じている箇所ともいえる。一例として、抽出部11は、対象物の表面のうち、隣接する領域にある複数の表面形状データが有するパターンとは異なるパターンを有する箇所を、表面の形状が変化する変化箇所として抽出する。
【0031】
特定部12は、表面に含まれる複数の領域の各領域において、異変が生じている箇所が抽出された照射部41iの台数を特定し、複数の領域のうち、異変が生じていることを判定する基準を台数が満たしている領域を特定してもよい。あるいは、特定部12は、変化箇所が、異なる照射部41iのデータセットに基づいて、測距データごとに抽出された変化箇所が相対的に密集している箇所、又は、複数の変化箇所が含まれる領域を特定してもよい。相対的に密集するとは、表面上の他の場所に比べて密集している(変化箇所の密度が他の場所より大きい)ということである。領域とは、一例として、1つの変化箇所から所定の距離の範囲内の領域であってもよい。あるいは、領域とは、対象物の表面を任意に分割した複数の領域のうちの1つの領域であってもよい。言い換えると、複数の測距セットのうちの所定のセット数以上の測距セットが、それぞれ、ある領域における点を変化箇所であると抽出する場合に、該ある領域は、変化箇所が密集している箇所であると判断される。所定のセット数は、たとえば、2以上の値である。この場合に、所定のセット数以上という条件は、異変が生じていることを判断する基準を表すともいうことができる。所定のセット数は、所定の測距セット(または、チャネル)の台数であってもよい。ある領域について変化箇所を特定した測距セットが、異変が生じていることを判定する基準を満たしている場合に、特定部12は、該ある領域が、異変が生じている領域であると判定する。
【0032】
異常位置検出装置1は、信号を照射する測距装置40に含まれる複数の照射部41iごとに取得された対象物の表面を表すデータセットから、データセットごとに表面の形状が変化する変化箇所を抽出し、異なる照射部41のデータセットに基づいて、相対的に密集する複数の変化箇所、又は当該複数の変化箇所が含まれる領域を特定する装置である。以下では、異常位置検出装置1が特定するもの(複数の変化箇所、又は当該複数の変化箇所が含まれる領域)を単に「領域」と記載することがある。
【0033】
データセットは、一例として、対象物である構造物を検査する範囲の測距データである。3次元Lidarを用いた場合は、データセットとは、構造物の検査する範囲の点群データである。測距装置40は、構造物の検査する範囲のデータセットを複数取得する。
【0034】
データセットは、たとえば、光を射出した地点、即ち照射部41iの位置を原点とする3次元座標データの集合である。測距装置が移動する場合は、座標データの原点も変わる。複数の測距データセットを用いて異変を特定するためには、異常位置検出装置1がデータ処理する前に、データセットは共通な座標に位置合わせされる。共通な座標とは、例えば、世界座標である。なお、位置合わせは抽出部11が行ってもよく、特定部12が行ってもよい。あるいは、位置合わせ処理を行う処理部を別途設けてもよい。世界座標に位置合わせしたデータセットは、データベースに記録されてもよい。
【0035】
ユーザは、測距装置40を対象物に沿って持ち運んで対象物のデータセットを取得させてもよい。あるいは、ユーザは、測距装置40を載せた車両を対象物に沿って走行させて対象物のデータセットを取得させてもよい。あるいは、ユーザは、測距装置40を載せた飛行体(たとえば、ドローン)を対象物に沿って飛行させて対象物のデータセットを取得させてもよい。測距装置40は照射部41iと受信部42iとの測距セットを複数セット備えているので、1回の測距により複数のデータセットを得ることができる。
【0036】
前述のように、特定部12は、異なる照射部41iのデータセットに基づいて、変化箇所が複数抽出された領域を特定する。1組だけの照射部41と受信部42の測距セットにより変化箇所が抽出された場合は、測距誤差やノイズが原因である可能性がある。しかし、照射部41iと受信部42iの測距セットにより変化箇所が、複数の測距セットについて密集して抽出された場合は、測距誤差やノイズが原因である可能性が減少する。複数の測距セットが、ある1つのタイミングにて、ある領域における相互に異なる点に向けて、それぞれ、信号を照射し、該信号に対する反射信号に基づき変化箇所を特定する場合には、複数の測距セットによって、同時にノイズが検知される可能性はさらに減少する。従って、照射部41iと受信部42iの複数の測距セットにより変化箇所が密集して抽出された領域は、1組の照射部41と受信部42との測距セットにより変化箇所が抽出された領域よりも、その領域に実際に形状変化(異常)が生じている可能性が高い。つまり、特定部12は、測距装置40によって得られたデータセットによって表面形状が変化したと判断される領域のうち、その判断の信頼度が高いと考えられる複数の変化箇所、又は当該複数の変化箇所が含まれる領域を特定する。なお、「複数の変化箇所が含まれる領域」を特定する理由は、複数の変化箇所は、完全に同じ位置ではなく、それらの位置がわずかに異なっているためである。
【0037】
以上のように、本例示的実施形態に係る異常位置検出装置1においては、信号を照射する測距装置40に含まれる複数の照射部41iごとに取得された対象物の表面の形状を表すデータセットから、データセットごとに表面の形状が変化する変化箇所を抽出し、変化箇所が、異なる照射部41iのデータセットに基づいて、相対的に密集する複数の変化箇所、又は当該複数の変化箇所が含まれる領域を特定する、という構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る異常位置検出装置1によれば、測距装置40により取得された測距データから、表面の異変が実際に生じている信頼度が高い変化箇所又は当該変化箇所を含む領域を特定することができるという効果が得られる。
【0038】
あるいは、本例示的実施形態に係る異常位置検出装置1は、測距装置に含まれる複数の照射手段が対象物に照射した信号に対する反射信号に基づき、対象物の表面に異変が生じている箇所を、照射手段ごとに抽出し、表面のうち、2つ以上の照射手段について抽出された箇所を含む領域を特定する、という構成が採用されていると表すこともできる。あるいは、異常位置検出装置1は、複数のチャネルを含む信号部と、特定部と有する、という構成が採用されていると表すこともできる。この場合に、特定部は、チャネルごとに反射信号から対象物の表面に異変が生じている箇所を特定し、2つ以上のチャネルについて特定された箇所を含む領域を特定する。したがって、表面の異変が実際に生じている箇所又は当該箇所を含む領域を特定することができるという効果を奏する。
【0039】
〔例示的実施形態3〕
本発明の第3の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0040】
(異常位置検出システム2Bの構成)
図4は、本例示的実施形態3に係る異常位置検出システム2Bの構成を示すブロック図である。図4に示すように、異常位置検出システム2Bは、異常位置検出装置1Aとデータベース20とを備える。異常位置検出装置1Aは、制御部10、出力部15、メモリ16、及び入出力IF(入出力インタフェース)17を備える。制御部10は、抽出部11、特定部12、及び信頼度導出部13を備える。また、異常位置検出システム2Bに表示部25が接続されている。
【0041】
制御部10は、少なくとも1つのプロセッサを備えている(図示せず)。プロセッサは、メモリ16に記録された各種プログラムを読み込んで実行することにより、抽出部11、特定部12、及び信頼度導出部13としての機能を実現する。あるいは、後述するように、プログラムに代えて、専用の集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよい。
【0042】
出力部15は、特定部12が特定した情報を、入出力IFを介して表示部25に出力する。メモリ16は、各種プログラム、特定部12が特定した情報、所定の範囲等のデータを記録する。入出力IF17は、異常位置検出システム2Bが外部と情報通信を行うためのインタフェースである。
【0043】
抽出部11は、基本的に例示的実施形態2において説明した抽出部11と同様の機能を有するが、例示的実施形態2においては、抽出部11は測距装置40から測距データを取得したのに対し、本例示的実施形態では、抽出部11はデータベース20から測距データを取得する点が異なっている。抽出部11、特定部12、及び信頼度導出部13の詳細については後述する。
【0044】
データベース20は、測距装置40(例えば3次元Lidar)によって取得された複数のデータセットを記録している。3次元Lidarによって取得されたデータセットは点群データセットである。複数のデータセットは、例示的実施形態2で説明したように、複数の照射部41iと受信部42iの測距セットを用いて1回の測定で取得してもよく、1セットの照射部41と受信部42を用いて1つのデータセットを取得する操作を複数回繰り返して取得してもよい。
【0045】
複数の測距セットを備える測距装置40の場合は、ある測距セットによって取得された点群データの各々には、データ取得時にその測距セットを示す識別データが紐付けられている。また、複数のデータセットが、1つの測距セットにより複数回取得された複数のデータセットの場合は、例えばデータセットに紐付けられた測定時刻が識別情報となる。点群データには、その測定時刻が付与されているので、その時刻によってある変化箇所がどの時間帯に測定された点群データであるかを識別することができる。
【0046】
図5は、3次元Lidarによって複数のデータセットを取得する方法を示す模式図である。図5は、移動車両32に搭載した測距装置40を用いて、トンネル30の内部の表面の測距データを取得する場合の模式図である。測距装置40には、3セットの照射部41i(i=1,2,3)と受信部42i(i=1,2,3)が含まれている。そのため、1回の測距で3セットのデータセットが得られる。図5に示す例では、照射部41iは、移動車両32の進行方向Fに交差する方向に沿ってレーザ光をスキャンする。交差する方向とは、進行方向Fに対して80°から100°程度とすることができる。図示の例では、略垂直な(略90°の)方向にスキャンしている。
【0047】
図5では、照射部411と受信部421で取得される点群データの1回のスキャン範囲35、照射部412と受信部422で取得される点群データの1回のスキャン範囲36、照射部413と受信部423で取得される点群データの1回のスキャン範囲37で示している。照射部411、照射部412、及び、照射部413は、たとえば、あるタイミングにてレーザ光をトンネルの内壁に向けて照射する。受信部421は、照射部411が照射したレーザ光に対する反射光を取得する。受信部422は、照射部412が照射したレーザ光に対する反射光を取得する。受信部423は、照射部413が照射したレーザ光に対する反射光を取得する。図では、理解を容易にするため、3つのスキャン範囲が離れているように記載しているが、実際は近接している。例えば、1回の測距で得られた3セットのデータセットが互いに数cm程度離れていても、幅が10cm程度の陥凹部を十分検出することができる。また、図示の例では、測距装置40を移動車両32に搭載した例を示しているが、作業員(ユーザ)が測距装置40を持参してトンネル30内を移動してもよい。
【0048】
測距装置40は、例えば20フレーム/秒で測距データを取得する。1フレームあたり1スキャンのデータを記録する場合、1秒間に移動車両32が進む距離の範囲を3セットの照射部41iと受信部42iを用いて合計60スキャンの測距データを取得することになる。こうして得られたデータセットは、原点位置が移動車両32の移動に伴って移動したデータセットである。そのため、得られたデータセットは、例えば世界座標に座標変換(位置合わせ)された後、データベース20に送信され記録される。座標変換は、慣性計測装置(Inertial Measurement Unit, IMU)やSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)等の技術を用いて行うことができる。座標変換は、測距装置40が備える座標変換部(図示せず)が行ってもよい。あるいは、異常位置検出システム2Bが、得られたデータセットを座標変換した後、データベース20に記録してもよい。測距装置40が取得したデータセットは、例えばインターネット等の情報通信網を介してデータベース20に送信されてもよい。
【0049】
次に、抽出部11が表面の形状が変化する変化箇所を抽出する方法について説明する。図6は、抽出部11が表面の形状が変化する変化箇所を抽出する方法を説明する模式図である。図6の501は、測距装置40がレーザスキャンする方向を示す。測距装置40は、たとえば、移動車両32から道路面に略平行で測距装置40の進行方向に略垂直な方向から道路面に略垂直な平面内を矢印Dに示す方向にスキャンする。この場合に、スキャン角度θは、最大で約180°である。測距装置40が道路面から所定の高さにある場合に、スキャンする範囲は、スキャン角度がさらに広い範囲であってもよい。
【0050】
図6の502は、照射角度θと深度との関係を示すグラフの一例である。深度は、原点からトンネル30の内部表面までの距離である。例えば、35aから35iまでの測距データが図6の501に示す範囲351に含まれる測距データであるとする。範囲351は、トンネル30の頂部あたりであり、照射角度θが大きくなるにつれて、深度はゆるやかに増加し、その後緩やかに減少している。502に示すグラフを参照すると、35aから35iまでの測距データのうち、符号35dに示す測距データのみが、他のデータが形成する緩やかなカーブから外れて深度の変化量が大きくなっている。つまり、測距データ35dは、その位置の表面に窪みが形成されていることを示唆している。そこで、抽出部11は、測距データ35dを変化箇所として抽出する。このように、抽出部11は、対象物の表面までの深度の変化量を参照して変化箇所を抽出してもよい。また、抽出部11は、測距装置の進行方向に交差する方向に沿って深度の変化量を参照して変化箇所を抽出してもよい。測距装置の進行方向に交差する方向とは、測距装置40がレーザスキャンする方向でもよい。
【0051】
図7は、抽出部11が表面の形状が変化する変化箇所を抽出する他の方法を示す模式図である。図7の601は、複数のデータセットによって推定されるトンネル30の表面の位置(範囲)352を示す。表面の位置352は、測距装置40の進行方向Fを長辺、進行方向Fの略垂直な方向を短辺とし、短辺を小さく取れば、ほぼ平面的な長方形352と考えることができる。図7の602に示すように、この長方形352に、スキャン範囲35の測距データ35x、35yと、スキャン範囲36の測距データ36xと、スキャン範囲37の測距データ37x、37yとが含まれている。しかし、スキャン範囲36の測距データ36yは、この長方形352の面からやや離れた位置に存在する。通常、トンネルの内面は一様な曲面で構成されている。そのため、測距データ36yのように、他の測距データが存在する平面、又は曲面から離れた位置にある測距データは、変化箇所として抽出することができる。つまり、抽出部11は、複数のデータセットによって推定される表面の位置と変化箇所との距離を参照して、当該変化箇所を抽出してもよい。また、抽出部11は、測距装置40の進行方向Fに沿って取得された表面の位置と変化箇所との距離を参照して、当該変化箇所を抽出してもよい。
【0052】
次に、特定部12が実行する、相対的に密集している複数の変化箇所、又は当該複数の変化箇所が含まれる領域を特定する方法について説明する。図8は、相対的に密集している複数の変化箇所が含まれる領域(以下「密集領域」という。)を特定する方法を説明する模式図である。領域を特定する場合は、特定部12は、変化箇所から所定の範囲内にある、他の照射部41i(データセット)に紐付けられた変化箇所の数を参照して、領域を特定してもよい。
【0053】
図8の701は、複数のフレームF1~Fnのうち、フレームF1に含まれるスキャンデータから抽出部11が抽出した変化箇所を示す。フレームF1には、スキャン範囲35から測距データ3511,3512,3513,3514が変化箇所として抽出されている。また、スキャン範囲36から測距データ3611が変化箇所として抽出されている。また、スキャン範囲37から測距データ3711,3712が変化箇所として抽出されている。なお、実際のフレームには、より多くのスキャンデータが含まれている。同様に、すべてのフレームF1~Fnにおいて変化箇所が抽出されている。
【0054】
次に、702に示すように、すべての変化箇所を世界座標に配置した場合に、異なる照射部41i(測距セット)に紐付けられたデータセットに基づいて、複数の変化箇所が相対的に密集している範囲を探索する。例えば、702に示すように、範囲Aには、スキャン範囲35,36,37から1つずつの変化箇所が狭い範囲に集まっている。範囲Bも同様である。範囲Cには、スキャン範囲35,36から1つずつと、スキャン範囲37から2つの変化箇所が狭い範囲に集まっている。
【0055】
このような場合、特定部12は、図8の703に示すように、範囲Aを密集領域R1と、範囲Bを密集領域R2と、範囲Cを密集領域R3として特定する。出力部15は、特定された密集領域R1、R2及びR3に関する情報を入出力IFを介して表示部25に出力する。表示部25は、例えばディスプレイであり、密集領域R1、R2及びR3に関する情報を表示する。密集領域R1、R2及びR3に関する情報とは、例えば、密集領域R1、R2及びR3に含まれる変化箇所の数とその位置データ等である。
【0056】
次に、具体的に複数のデータセットに基づく変化箇所が集まっている範囲を探索する方法について説明する。図9は、特定部12が、密集領域を特定する方法の具体例を示す模式図である。例えば、変化箇所3735に着目する。そして、変化箇所3735から所定の範囲(距離)内に他のデータセットに基づく変化箇所が存在するか否かを探索する。所定の範囲は、例えば、測距誤差、ノイズの大きさ、データセット共通の座標(世界座標など)に変換する際の座標変換誤差のうちの少なくともいずれかに基づいて決定することができる。
【0057】
深度の変化量が、測距誤差、ノイズの大きさ、又は共通の座標に変換する際の座標変換誤差程度以上であるものを抽出することにより、複数の測距データで変化箇所として抽出されたものは、これらによる誤差である可能性が小さいと考えられる。従って、測距誤差、ノイズの大きさ、共通の座標に変換する際の座標変換誤差などによる変化箇所を極力排除することができる。SLAMを用いて座標変換する場合、座標変換誤差が大きくなる可能性がある。それは、トンネル内のように背景にランドマークがない環境では、位置変化量の導出に誤差が大きくなるためである。そのような場合、座標変換誤差を用いて上述の所定の範囲を設定してもよい。
【0058】
例えば、予め決定された所定の距離をrとしてメモリ16に記録しておく。この場合、図9に示すように、変化箇所3735から半径rの点線で示す円内に他の変化箇所があるかどうかを探索する。ここでは、距離r内に変化箇所3583と3659がある。これらはいずれも着目した変化箇所3735とは異なるデータセットから得られた変化箇所である。この場合、特定部12は、変化箇所3735,3583,3659を含む領域を密集領域R1として特定する。
【0059】
次に、変化箇所3583に着目する。そして、変化箇所3583から半径rの点線で示す円内に他の変化箇所があるかどうかを探索する。ここでは、距離r内に変化箇所3735がある。変化箇所3583と変化箇所3735は、異なるデータセットから得られた変化箇所である。そこで、特定部12は、変化箇所3583,3735を含む領域を特定する(領域は図示せず)。次に、変化箇所3659に着目して同様に探索し、特定部12は、変化箇所3659,3735を含む領域を特定する(領域は図示せず)。
【0060】
また、特定部12は、トンネル内の表面を任意に分割した複数の領域のうちの1つの領域を特定してもよい。図10は、特定部12が、トンネル内の表面を矩形状に分割した領域の1つを特定する模式図である。図中の黒丸(●)は、分割した領域図に、抽出された変化箇所をプロットしたものである。図のRxに示す領域には、3つの変化箇所がある。これらの3つの変化箇所は、いずれも異なるデータセットから抽出された変化箇所であるとする。この場合、特定部12は、領域Rxを密集領域Rxとして特定してもよい。
【0061】
特定部12は、領域ではなく、相対的に密集する複数の変化箇所そのものを特定してもよい。例えば、図9に示す例の場合、特定部12は、変化箇所3735に着目し、変化箇所3735から所定の距離内にある他のデータセットに基づく変化箇所3583と3659のそれぞれを、「密集した変化箇所」と特定してもよい。同様に、特定部12は、変化箇所3583に着目し、所定の範囲内にある変化箇所3735を特定し、変化箇所3583,3735を「密集した変化箇所」と特定してもよい。変化箇所3659についても同様である。
【0062】
異常位置検出装置1Aは、信頼度導出部13を備えてもよい。信頼度導出部13は、一例として、所定の範囲内にある複数の照射部41i(データセット)にそれぞれ紐付けられた変化箇所の数に基づいて、当該変化箇所の信頼度を導出する。
【0063】
例えば、図9を参照し、変化箇所3735に着目した場合、変化箇所3735から所定の範囲内にある他のデータセットに紐付けられた変化箇所は2つ(3583と3735)である。そこで、信頼度導出部13は、変化箇所3735の信頼度を例えば「2」と導出する。また、変化箇所3583に着目した場合、変化箇所3583から所定の範囲内にある他のデータセットに紐付けられた変化箇所は1つ(3735)である。そこで、信頼度導出部13は、変化箇所3583の信頼度を例えば「1」と導出する。ある変化箇所の近傍に他のデータセットの変化箇所が多くあるほど、その変化箇所は本当に形状が変化しているという信頼度が高まる。そこで、信頼度が高い変化箇所を作業員が目視検査する等の対策を効率良く実行することができる。
【0064】
信頼度導出部13は、照射部41i(データセット)に紐付けられた変化箇所の数に基づいて設定された当該照射手段のデータセットの重みを参照して変化箇所の信頼度を導出してもよい。重みは、測距セットごとのデータセットを参照して信頼度導出部13が設定してもよく、ユーザが重みを設定して入力してもよい。
【0065】
測距セットは、それぞれ特性を有している場合がある。例えば、ある測距セットで得られたデータセットは、誤差が比較的大きい場合がある。逆に、ある測距セットで得られたデータセットは、誤差が比較的小さい場合がある。そのような場合、誤差が比較的大きい測距セットで得られた測距データには、小さい重みを乗じて信頼度を導出してもよい。逆に、誤差が比較的小さい測距セットで得られた測距データには、大きい重みを乗じて信頼度を導出してもよい。このようにすることで、信頼度の大小をより細やかに導出することができる。
【0066】
信頼度導出部13は、領域の信頼度を導出してもよい。例えば、信頼度導出部13は、図9で示した領域R1の信頼度を高と導出することができる。また、信頼度導出部13は、図10で示した領域Rxの信頼度を高と導出することができる。
【0067】
(異常位置検出システム2Bの効果)
以上のように、本例示的実施形態に係る異常位置検出システム2Bにおいては、異常位置検出装置1Aとデータベース20とを備えるという構成が採用されている。そのため、測距装置が取得したデータセットを記録したデータベース20からデータセットを取得することができる。このため、本例示的実施形態に係る異常位置検出システム2Bによれば、例示的実施形態1に係る異常位置検出システム2の奏する効果に加えて、複数の構造物(対象物)で取得されたデータセットを、1つの異常位置検出装置1Aを用いて処理することができるという効果が得られる。
【0068】
また、本例示的実施形態に係る異常位置検出システム2Bにおいては、異常位置検出装置1Aに信頼度導出部13を備えるという構成が採用されている。このため、本例示的実施形態に係る異常位置検出システム2Bによれば、例示的実施形態1に係る異常位置検出システム2の奏する効果に加えて、特定された複数の変化箇所が本当に形状が変化しているかどうかの信頼度を導出することができるという効果が得られる。
【0069】
〔例示的実施形態4〕
本発明の第4の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、例示的実施形態1~3にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、その説明を適宜省略する。
【0070】
図11は、例示的実施形態4に係る異常位置検出システム2Cの構成を示すブロック図である。本例示的実施形態に係る異常位置検出システム2Cは、例示的実施形態2に係る異常位置検出システム2Aの構成に加えて、動作制御部18を備える。動作制御部18は、特定部12によって特定された、相対的に密集する複数の変化箇所、又は当該複数の変化箇所が含まれる領域に対して所定の動作を実行するよう、所定の動作を実行可能な装置を制御する。
【0071】
以下に、所定の動作について説明する。特定部12によって、相対的に密集する複数の変化箇所、又は当該複数の変化箇所が含まれる領域が特定された場合、異常位置検出システム2から特定された変化箇所又は領域(以下、「特定情報」と称する。)が出力される。その場合、特定情報が間違いではないのか、形状変化は補修が必要な程度の変化であるのか等を確認することが必要となる。このような確認動作を「所定の動作」と称する。
【0072】
そのような所定の動作としては、例えば、特定情報が出力されたことを検知した場合、変化箇所を光学カメラ等で撮影するように光学カメラ等を制御する動作が考えられる。この場合、光学カメラは所定の動作を実行可能な装置である。その場合は、移動車両32に測距装置40とともに光学カメラ等を搭載しておく。動作制御部18は、特定情報が出力されたことを検知した場合、変化箇所を撮影するように光学カメラ等を制御する。特定情報が出力されたら、作業者又は動作制御部18が、光学撮影に都合がよい位置まで移動車両32をバックさせてもよい。
【0073】
また、所定の動作としては、測距装置40のレーザ照射方向を変えて、又は移動車両32をバックさせて、再度、変化箇所の深度測定を実行する動作でもよい。動作制御部18は、特定情報が出力されたら、変化箇所の深度を再度測距するように測距装置40を制御する。
【0074】
また、所定の動作としては、変化箇所についての打音検査を実施する動作でもよい。特定情報が出力されたら、動作制御部18は、移動車両32に搭載した打音検査装置(図示せず)を、変化箇所の打音検査をするように制御してもよい。打音検査は、作業者が表面をハンマーで叩いてその音を聞いて判断する方法のほか、振動の送受信をレーザで行うレーザ打音法などが考えられる。
【0075】
また、所定の動作としては、変化箇所を人が識別可能とする目印を付す動作でもよい。特定情報が出力されたら、動作制御部18は、移動車両32に搭載した目印付着装置(図示せず)を、変化箇所付近に作業員が識別可能な目印を付着させるように動作させてもよい。目印付着装置は、例えば着色剤を入れたカプセルを発射する。カプセルが表面に衝突すると、カプセルが割れて着色剤が表面に付着する。あるいは、目印付着装置は、表面に付着する、着色した粘着材を発射してもよい。着色剤又は粘着材が付着した箇所は、作業者が改めて確認をして、本当に異変が生じているかどうか、またその異変が補修必要な程度であるかどうかを確認することができる。
【0076】
図12は、例示的実施形態4に係る異常位置検出システム2Dの構成を示すブロック図である。本例示的実施形態に係る異常位置検出システム2Dは、例示的実施形態3に係る異常位置検出システム2Bの構成に加えて、動作制御部18を備える。動作制御部18は、上述した異常位置検出システム2Cが備える動作制御部18と同様である。
【0077】
例示的実施形態4に係る異常位置検出システム2C及び2Dにおいては、いずれも動作制御部18を備える。これにより、特定された変化箇所が、本当に異変が生じているかどうか、またその変化が補修必要な程度であるかどうかを改めて確認することができる。
【0078】
〔ソフトウェアによる実現例〕
異常位置検出システム2,2A,2B,2Cの一部又は全部(以下、「異常位置検出システム2等」と称する。)の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0079】
後者の場合、異常位置検出システム2等は、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータによって実現される。このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を図13に示す。コンピュータCは、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCを異常位置検出システム2等として動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、プログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、異常位置検出システム2等の各機能が実現される。
【0080】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0081】
なお、コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)を更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタなどの入出力機器を接続するための入出力インタフェースを更に備えていてもよい。
【0082】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0083】
〔付記事項1〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0084】
〔付記事項2〕
上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
【0085】
(付記1)
測距装置に含まれる複数の照射手段が対象物に照射した信号に対する反射信号に基づき、前記対象物の表面に異変が生じている箇所を、前記照射手段ごとに抽出し、前記表面のうち、2つ以上の前記照射手段について抽出された前記箇所を含む領域を特定する、装置。
上記の構成によれば、照射手段ごとに抽出された領域から、表面の形状の異変が実際に生じている信頼度が高い箇所又は当該箇所を含む領域を特定することができる。
【0086】
(付記2)
前記反射信号に基づき、前記表面の位置を表すデータを複数含むデータセットを、前記照射手段を識別可能なように作成し、作成した前記データセットを用いて、前記異変が生じている箇所を、前記照射手段ごとに抽出する付記1に記載の装置。
上記の構成によれば、異変が生じている領域を高精度に特定することができる。
【0087】
(付記3)
前記表面に含まれる複数の領域の各領域において、前記箇所が抽出された前記照射手段の台数を特定し、前記複数の領域のうち、異変が生じていることを判定する基準を前記台数が満たしている前記領域を特定する付記1又は2に記載の装置。
上記の構成によれば、測距装置における測定のばらつきに対してロバストに、異変が生じている領域を特定することができる。
【0088】
(付記4)
前記箇所は、前記対象物の表面までの深度の変化量を参照して抽出される、付記1から3のいずれか1つに記載の装置。
上記の構成によれば、表面形状データの信頼度が高いと考えられる深度データ又は当該深度データを含む領域を特定することができる。
【0089】
(付記5)
前記箇所は、複数の前記データセットによって推定される前記表面の位置と前記箇所との距離を参照して抽出される、付記2に記載の装置。
上記の構成によれば、周辺の形状と異なる位置を変化箇所として抽出することができる。
【0090】
(付記6)
前記領域を特定する場合は、前記箇所から所定の範囲内にある、他の前記照射手段に紐付けられた前記箇所の数を参照して、前記領域を特定する、付記2または付記5に記載の装置。
上記の構成によれば、複数の変化箇所を含む領域を特定することができる。
【0091】
(付記7)
前記所定の範囲は、測距誤差、ノイズの大きさ、前記データセットを共通の座標に変換する際の誤差のうちの少なくともいずれかに基づいて設定される、付記6に記載の装置。
上記の構成によれば、これらの誤差に基づく変化箇所を排除することができる。
【0092】
(付記8)
前記所定の範囲内にある複数の前記照射手段にそれぞれ紐付けられた前記箇所の数に基づいて、当該箇所の信頼度を導出する、付記1から7のいずれか1つに記載の装置。
上記の構成によれば、変化箇所のうち、より信頼度が高い変化箇所を特定することができる。
【0093】
(付記9)
前記照射手段に紐付けられた前記箇所の数に基づいて設定された当該照射手段のデータセットの重みを参照して前記箇所の信頼度を導出する、付記8に記載の装置。
上記の構成によれば、箇所が実際に形状が変化している可能性の大きさ(信頼度)を判断することができる。
【0094】
(付記10)
前記箇所は、前記測距装置の進行方向に交差する方向に沿って深度の変化量を参照して抽出される、付記1から9のいずれか1つに記載の装置。
上記の構成によれば、測距装置がレーザスキャンする方向に沿って箇所を特定することができる。
【0095】
(付記11)
前記箇所は、前記測距装置の進行方向に沿って取得された前記表面の位置と前記箇所との距離を参照して抽出される、付記1から9のいずれか1つに記載の装置。
上記の構成によれば、測距装置の進行方向に沿って箇所を特定することができる。
【0096】
(付記12)
少なくとも1つのプロセッサが、測距装置に含まれる複数の照射手段が対象物に照射した信号に対する反射信号に基づき、前記対象物の表面に異変が生じている箇所を、前記照射手段ごとに抽出し、前記表面のうち、2つ以上の前記照射手段について抽出された前記箇所を含む領域を特定する方法。
上記の構成によれば、付記1の構成により得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0097】
(付記13)
コンピュータに、測距装置に含まれる複数の照射手段が対象物に照射した信号に対する反射信号に基づき、前記対象物の表面に異変が生じている箇所を、前記照射手段ごとに抽出する処理と、前記表面のうち、2つ以上の前記照射手段について抽出された前記箇所を含む領域を特定する処理と、を実行させるプログラム。
【0098】
(付記14)
付記13に記載のプログラムを記録した、コンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体。
【0099】
(付記15)
信号を照射する複数の照射手段と、前記信号に対する反射信号を前記照射手段ごとに受信する受信手段と、前記照射手段ごとに前記反射信号から構造物の表面の形状が変化する変化箇所を抽出する抽出手段と、異なる前記照射手段の前記データセットに基づいて、相対的に密集する複数の変化箇所、又は当該複数の変化箇所が含まれる領域を特定する特定手段と、を備える異常位置検出システム。
上記の構成によれば、付記1の構成により得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0100】
(付記16)
前記特定手段によって特定された、相対的に密集する複数の変化箇所、又は当該複数の変化箇所が含まれる領域に対して所定の動作を実行するよう、前記所定の動作を実行可能な装置を制御する動作制御手段を更に備える、付記15に記載の異常位置検出システム。
【0101】
(付記17)
コンピュータを付記1~11の何れか一に記載の装置として動作させるための異常位置検出プログラムであって、前記コンピュータを前記各手段として機能させる、ことを特徴とするプログラム。
【0102】
(付記18)
少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、信号を照射する測距装置に含まれる複数の照射手段ごとに取得された対象物の表面の位置を表すデータセットから、前記データセットごとに前記表面の形状が変化する変化箇所を抽出する抽出処理と、異なる前記照射手段の前記データセットに基づいて、相対的に密集する複数の変化箇所、又は当該複数の変化箇所が含まれる領域を特定する特定処理と、を実行する装置。
なお、この装置は、更にメモリを備えていてもよく、このメモリには、前記抽出処理と、前記特定処理とを前記プロセッサに実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【0103】
(付記19)
対象物に信号を照射する照射部及び前記信号に対する反射信号を受信する受信部を含むチャネルを、複数含む信号部と、前記チャネルごとに前記反射信号から前記対象物の表面に異変が生じている箇所を特定し、2つ以上の前記チャネルについて特定された前記箇所を含む領域を特定する特定部とを備える装置。
上記の構成によれば、チャネルごとに抽出された領域から、表面の形状の異変が実際に生じている信頼度が高い箇所又は当該箇所を含む領域を特定することができる。
【符号の説明】
【0104】
1,1A…異常位置検出装置
2,2A,2B,2C…異常位置検出システム
10…制御部
11…抽出部
12…特定部
13…信頼度導出部
15…出力部
16…メモリ
17…入出力IF
18…動作制御部
20…データベース
25…表示部
30…トンネル
32…移動車両
35,36,37…スキャン範囲
40…測距装置
41…照射部
42…受信部
図1
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