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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004255
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】回転電機のステータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/50 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
H02K3/50 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103835
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】519382592
【氏名又は名称】日立Astemo電動機システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】申 俊杰
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 愼悟
(72)【発明者】
【氏名】梅津 勇樹
【テーマコード(参考)】
5H604
【Fターム(参考)】
5H604AA05
5H604AA08
5H604BB08
5H604BB14
5H604CC01
5H604CC05
5H604CC13
5H604QB15
(57)【要約】
【課題】
端部全体の絶縁被覆厚さに影響を及ぼさずに、必要最小限の構成で巻線と配電部材のコイルとの溶接部分の強度を十分に担保するできる回転電機のステータを提供する。
【解決手段】
本発明の回転電機のステータは、ステータコアと、ステータコアに巻き回される巻線(22,24,26)と、一端が巻線に接続され、他端が電源装置と接続されるコイル(61,62,63)を有する配電部材と、巻線の少なくとも一方の端部を被覆する絶縁皮膜(15)と、を備え、巻線と配電部材のコイルとを固定する固定部(81,82,83)を有することを特徴とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータコアと、
前記ステータコアに巻き回される巻線と、
一端が前記巻線に接続され、他端が電源装置と接続されるコイルを有する配電部材と、
前記巻線の少なくとも一方の端部を被覆する絶縁皮膜と、を備え、
前記巻線と前記配電部材の前記コイルとを固定する固定部を有することを特徴とする回転電機のステータ。
【請求項2】
前記固定部は、前記絶縁皮膜とは別に設けられた接着材料で固定されていることを特徴とする請求項1に記載の回転電機のステータ。
【請求項3】
前記接着材料は、前記固定部への塗布時には流動性を有し、硬化して前記固定部に固定される材料であることを特徴とする請求項2に記載の回転電機のステータ。
【請求項4】
前記固定部は、前記ステータの前記巻線の折り返しが無いオープン側に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の回転電機のステータ。
【請求項5】
前記固定部は、発泡型接着剤で固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の回転電機のステータ。
【請求項6】
前記固定部は、UV硬化型接着剤で固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の回転電機のステータ。
【請求項7】
前記固定部は、シート型接着剤で固定されていることを特徴とする請求項1または2に記載の回転電機のステータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転電機のステータに関する。
【背景技術】
【0002】
回転電機のステータは、ステータコアに巻き回された巻線と、電源装置から供給された電力を巻線に伝えるためのコイル等の多数の電線を有している。これらの電線は、モータの振動によって破断することを防止するために、一般に、絶縁樹脂などで一部が固定されている。
【0003】
特許文献1には、頭部コイルエンド6A、口出し線用引き出し線(すなわち始端用セグメントの頭部コイルエンド6A側に飛び出した部分)9、引き出しリード線10、中性点(すなわち終端用セグメントの頭部コイルエンド6A側に飛び出した部分)16が、粉体処理された絶縁樹脂14により絶縁被覆されているセグメント連接型回転電機が開示されている。たとえばエポキシ樹脂粉末を塗布し、加熱して溶融してそれらを絶縁被覆するとともに一体化する。端部側コイルエンドも同様に絶縁樹脂により絶縁被覆されるとともに相互に一体化されている。これにより、振動などに対して引き出しリード線10が振動してたとえば溶接部が破断するなどの問題を解決することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-211810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された固定方法は、上述の部位以外である頭部コイルエンド6A、口出し線用引き出し線9および中性点16を含んだ端部全体を絶縁被覆するため、配電部材と端部側コイルエンドを固定しようとすると、端部全体の被覆膜厚が厚くなり、それにより製品重量・コストの増加及び端部の放熱性が低下する課題があった。
【0006】
また、端部全体の被覆膜厚を薄くしようとすると、配電部材のどのあたりが端部側コイルエンドに固定されるか、強固に固定できるかは制御・予測が困難であるという課題があった。
【0007】
本発明の目的は、上記事情に鑑み、端部全体の絶縁被覆厚さに影響を及ぼさずに、必要最小限の構成で巻線と配電部材のコイルとの溶接部分の強度を十分に担保するできる回転電機のステータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の一態様は、本ステータコアと、ステータコアに巻き回される巻線と、一端が巻線に接続され、他端が電源装置と接続されるコイルを有する配電部材と、巻線の少なくとも一方の端部を被覆する絶縁皮膜と、を備え、巻線と配電部材のコイルとを固定する固定部を有することを特徴とする。
【0009】
本発明のより具体的な構成は、特許請求の範囲に記載される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、端部全体の絶縁被覆厚さに影響を及ぼさずに、必要最小限の構成で巻線と配電部材のコイルとの溶接部分の強度を十分に担保するできる回転電機のステータを提供できる。
【0011】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例の回転電機のステータの一例を示す斜視図
図2図1のステータコア13と配電部材14を拡大する図
図3図1のステータコア13の側面図
図4図1の配電部材14の拡大図
図5図1の配電部材14および各相巻線の拡大図
図6】実施例の回転電機のステータの一例を示す斜視図
図7】実施例2の配電部材コイル61,62,63と各相巻線22,24,26との固定部を拡大する上面図
図8】実施例3の配電部材コイル61,62,63と各相巻線22,24,26との固定部を拡大する上面図
図9】実施例4の配電部材コイル61,62,63と各相巻線22,24,26との固定部を拡大する上面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例について詳述する。以下、この実施例のセグメント順次接合型ステータコイルを有する高電圧車両用回転電機の例を図に示す各実施形態に基づいて説明する。以下で述べる寸法、形状、材質等は説明のための例示であって、回転電機ステータの仕様に応じ変更が可能である。以下では、全ての図面において同様の要素には同一の符号を付し、重複説明を省略する。
【実施例0014】
[ステータの構成]
図1は本実施例の回転電機のステータの一例を示す斜視図であり、図2図1のステータコア13と配電部材14を拡大する図である。図1は、巻線12の端部が在る側としての、いわゆるオープン側を示している。本実施例の回転電機のステータ(以下、単に「ステータ」と称する。)10が用いられる回転電機は、車両が駆動するときは電動機として機能し、車両が制動時にある時は発電機として機能するモータ・ジェネレータで、三相回転電機である。回転電機は、主に、図1に示されるステータ10と、ステータ10の内周側に所定の隙間を隔てて配置されるロータ(図示しない)とで構成される。
【0015】
ステータ10は、図1に示すように、ステータコア13と、ステータコア13に巻回される各相巻線12と、中性線11と配電部材14を含む。
【0016】
[ステータコア構成]
ステータコア13には、複数(例えば、72個)のスロット31が設けられている。複数のスロット31には、それぞれ、各相巻線12が配置されている。スロット31は、例えば、オープンスロットとして構成されている。すなわち、周方向において、スロット31の幅は、径方向に沿って略一定である。これにより、スロット31は、各相巻線12がステータコア13の中心側から挿入可能に構成されている。
【0017】
[各相巻線の構成]
各相巻線12は複数の絶縁皮膜付きの導体コイルで構成され、導体コイルには絶縁皮膜付き平角線が用いられる。、各相巻線12は、各相巻線12がステータコア13に巻回され、それぞれの一端が配電部品用に引き出される構成であれば、他の構成であってもよい。例えば、各相巻線12は、巻線の断面形状が、四角形だけではなく、菱形、台形及び円形でも構わない。
【0018】
各相巻線12を構成する絶縁皮膜付きの導体コイルとしては、断面が四角形状の平角線を用いる。素線としては、銅線、銅錫合金線および銀メッキ銅線等を用いることができる。絶縁皮膜としては、ポリイミド(ポリアミドイミド、ピーク、ポリウレタン、ポリエステルまたはポリエステルイミドでも可)のエナメル皮膜が用いられる。
【0019】
各相巻線12は、ステータコア13に分布巻きの方法で巻回される三相巻線である。三相回転電機のステータ10には、U相巻線23、24、V相巻線25、26、W相巻線21、22の各相巻線が巻回される。また、巻線を構成する導体コイルは、ステータコア13の一方の軸方向端部32から複数の導体コイルを決まった数のスロット間隔だけ離れた2つのスロット31に跨って挿入し、ステータコア13の他方の軸方向端部33に突き出した導体の先端部をコイル捻り方法に従って順次接合して周方向に沿って巻き回し、これを繰り返して所定の巻数としている。
【0020】
導体コイルは、1本の絶縁皮膜付き導体をU字形またはV字形に成形されたものである。導体コイルは、ステータコア13の一方の軸方向端部32に折り曲げ部が来るようにして、2つの脚部をステータコア13の軸方向端部32から他方の軸方向端部33に向かって決まった数のスロット間隔だけ離れた2つのスロット31に挿入する。他方の軸方向端部33側に突き出された2本の脚部は、捻り治具にて折り曲げられ、隣接する導体コイルの脚部(絶縁皮膜を剥離された剥離部)に溶接される。溶接は同相同士に実施してこれを繰り返しで溶接する。中性点を形成する中性線11とU相巻線23、24とV相巻線25、26、W相巻線21、22を溶接する。
【0021】
図2では、インバータ等の回転電気駆動回路と接続するための配電部材14は、複数の絶縁皮膜付き円形線(平角線でも可)を所定の形状に成形した上、樹脂モールドで一体化したものである。配電部材14は、絶縁皮膜が剥離された絶縁皮膜剥離部41,42,43,44,45,46を有する。絶縁皮膜剥離部41,42はU相巻線23,24と溶接接続され、絶縁皮膜剥離部43,44はV相巻線25,26と溶接接続され、絶縁皮膜剥離部45,46はW相巻線27,28と溶接接続される。
【0022】
図3図1のステータコア13の側面図である。図3では、ステータの端部にある導体コイルの脚部(絶縁皮膜を剥離された剥離部)を含むコイルエンド27、中性線11(図示せず)および配電部材14の絶縁皮膜が剥離された絶縁皮膜剥離部41,42,43,44,45,46が、絶縁樹脂の粉体塗料を用いた粉体塗装によって形成された絶縁皮膜15で被覆されている。本実施例では、コイルエンド27、中性線11(図示せず)および配電部材14の絶縁皮膜が剥離された絶縁皮膜剥離部41,42,43,44,45,46の表面に、例えばエポキシ樹脂粉末を塗布し、加熱して溶融し、それらを絶縁被覆するとともに一体化している。このように粉末は、加熱して溶融することで容易に流動できるため、細い隙間へもよく浸透し、複雑な形状であっても絶縁皮膜剥離部41,42,43,44,45,46を漏れなく絶縁樹脂で被覆できる導体コイルの脚部(絶縁皮膜を剥離された剥離部)を含むコイルエンド27、中性線11および配電部材14の絶縁皮膜が剥離された絶縁皮膜剥離部41,42,43,44,45,46は、粉体塗装の一つ工程によって、絶縁樹脂で被覆される。
【0023】
図4図1の配電部材14の拡大図である。図4では、配電部材14の絶縁皮膜が剥離された絶縁皮膜剥離部41とU相巻線23の溶接部(溶接接続ポイント)71、配電部材剥離部43とV相巻線25の溶接接続ポイント73、配電部材剥離部45とW相巻線21の溶接接続ポイント75は、配電部材剥離部42とU相巻線24の溶接接続ポイント72、配電部材剥離部44とV相巻線26の溶接接続ポイント74および配電部材剥離部46とW相巻線22の溶接接続ポイント76より、配電部材14と回転電機駆動回路との締結部77,78,79から離れている。このため、回転電機駆動回路からと、U相、V相、W相巻線からの異相振動より、溶接接続ポイント71,73,75は、溶接接続ポイント72,74,76より高い応力集中が発生し、溶接部が亀裂する恐れが高い。
【0024】
図5図1の配電部材14および各相巻線の拡大図である。図5の四角枠内は、配電部材コイル61,62,63と各相巻線22,24,26との固定部を拡大する上面図であり、巻線や配電部材のコイルの振動による破断を防止するために特に固定を必要とする部分である。本実施例において、剥離部全体を被覆する絶縁皮膜15は、絶縁皮膜を形成すると同時に、上記溶接部の強度を補強する機能を有する。特に、配電部材コイル61,62,63と各相巻線22,26,24の固定部81,82,83へ絶縁樹脂にて補強し、溶接部で発生する振動による応力を抑えることができる。
【0025】
但し、剥離部全体を粉体塗装で形成した絶縁皮膜15は、製造(環境、寸法、樹脂粉末の状態等)のバラツキより、固定部81,82,83を安定的に得ることが困難である。特に、製造のバラツキより配電部材コイル61,62,63と各相巻線22,26,24の隙間幅のバラツキの影響は大きい。
【0026】
固定部81,82,83の上記バラツキを無くすためには、以下の2種類の方法が考えられる。第1の方法は、粉体塗装をバラツキ隙間の最大値を考慮して厚く塗布する。この方法のメリットは、粉体塗装が1つの工程で完了することである。デメリットは、絶縁皮膜が厚く塗布され、ステータ10の放熱性を悪化することである。絶縁樹脂は放熱性係数が低く、厚くなるほどステータ10の放熱性は悪化する。第2の方法では、粉体塗装は絶縁性を満足する最小厚みで塗装した上に、固定部には、塗布時に高い流動性を有する接着材料を設置して固定する。本実施例では、高いチクソ性を有するチクソ性接着剤100で配電部材コイル61,62,63と各相巻線22,26,24を固定部81,82,83で固定する。この方法のメリットは、粉体塗装した絶縁皮膜の厚さが最小限で抑えるため、ステータ10の放熱性を維持する上、固定部81、82、83を安定的に得ることが実現できる。本実施例では、この方法を採用する。
【0027】
図5では、固定部81,82,83に高チクソ性接着剤100を設けている。高チクソ性接着剤は、塗布時は低い粘度を有し、固定時は高い粘度を有する接着剤である。したがって、高チクソ性接着剤100は、塗布時は低い粘度で固定部81,82,83の隙間へ流れ込み、塗布完了時は所定の接着固定箇所に的確に配置できる。高チクソ性接着剤100は、塗布完了後、所定恒温x時間で硬化して、配電部材コイル61,62,63と各相巻線22,26,24を固定接続している。
【0028】
上述したように、配電部材コイル61,62,63と各相巻線22,26,24とを、絶縁皮膜15とは別に、固定部81,82,83によって固定することで、絶縁皮膜15の厚さを厚くすることなく、必要最小限の構成によって、配電部材コイル61,62,63と各相巻線22,26,24とを確実に固定することができる。また、固定部には、塗布時に流動性の高い材料を用いることで、図5に示すような、巻線同士がねじられて複雑な形状を有する部分の隙間にも確実に塗布することができる。
【0029】
さらに、絶縁皮膜15とは別に固定部81,82,83を設けるため、既存のステータコアにも固定部81,82,83を追加することができる。
【0030】
図6は、実施例の回転電機のステータの一例を示す側面図である。紙面左側は図1に示したオープン側であり、紙面右側はオープン側の反対にあるクローズ側であり、巻線を折り返している側である。。オープン側は溶接の為にコイルの絶縁皮膜を剥離するため、コイルの剥き出しを防ぐために粉体塗装は必須である。一方、クローズ側は粉体塗装や接着剤100を設けていない又はオープン側よりも少量としている。クローズ側の巻線12は絶縁皮膜の剥離がされておらず、例えば放熱性の観点から、粉体塗装や接着剤100の使用を控える方が好ましい。
【実施例0031】
図7は実施例2の配電部材コイル61,62,63と各相巻線22,24,26との固定部を拡大する上面図である。本実施例は、固定部に発泡型接着材101を用いた例を示している。発泡型接着剤101は、常温では粘性を持つ液体であるが、ある一定の温度を超えると接着剤の中に含まれる発泡剤が発泡し、さらに熱を加えると硬化反応が生じ、それにより対象物を接着する材料である。特に硬化時に材料が発泡することで接着剤自体の体積が増大し、狭小部を埋めることができる。接着部に塗布した後、所定の温度と時間で発泡させ、所定の温度と時間で硬化させることで、配電部材コイル61,62,63と各相巻線22,26,24とを隙間なく固定することができる。
【実施例0032】
図8は実施例3の配電部材コイル61,62,63と各相巻線22,24,26との固定部を拡大する上面図である。本実施例では、固定部にUV硬化型接着剤102を用いた例を示す。UV硬化型接着剤は、常温では粘性を持つ液体であるが、UV光を照射するとゲル化反応が生じ、その後熱を加えると硬化して対象物を接着する材料である。特に接着剤の塗布後に加熱では無くUV光照射によってゲル化することができるため、硬化の為に熱を加えた際、粘度が低下して接着部の形状が変化することを抑制することができる。接着部に塗布した後、所定のUV照射量でゲル化させ、所定の温度と時間で硬化させることで配電部材コイル61,62,63と各相巻線22,26,24とを固定することができる。
【実施例0033】
図9は実施例4の配電部材コイル61,62,63と各相巻線22,24,26との固定部を拡大する上面図である。本実施例では、固定部にシート型接着材103を用いた例を示す。シート型接着剤は常温では固体であるが、ある一定の温度を超えると流動化し、さらに熱を加えると硬化反応が生じ、それにより対象物を接着する材料である。特に常温で固体状態であるため、接着しようとする部位に配置することが容易である。加えてシート状であるため、固定部の形状に合わせて形状の調整が可能である。接着部に配置した後、所定の温度と時間で溶融させることで接着面積を増加させ、所定の温度と時間で硬化させることで配電部材コイル61,62,63と各相巻線22,26,24を固定することができる。
【0034】
本発明によれば、端部全体の被覆厚さに影響を及ぼさずに、配電部材コイル61,62,63を明確に固定して、溶接接続ポイント71,73,75の強度を担保することができる。それにより、少量の材料で配電部材コイル61,62,63を固定できるため、製品重量・コストを低減することができる。また、コイルエンド全体の被覆膜厚を増やすことなく固定できるため、モータの放熱性を確保できる。
【0035】
固定部に用いる接着材料は、絶縁皮膜とは異なる接着性のある材料で固定するため、固定部の外観品質を目視確認がし易くなるほか、固定部に接着材料を塗布した後にその形状の修正及び接着材料の除去が可能である。
【0036】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0037】
10…回転電機のステータ、11…中性線、12…各相巻線、13…ステータコア、14…配電部材、15…剥離部全体を被覆する絶縁皮膜、21,22…W相巻線、23,24…U相巻線、25,26V相巻線、27…オープン側コイルエンド、28…クローズ側コイルエンド、29…コイル脚部の溶接部、31…スロット、32,33…軸方向端面、41,42,43,44,45,46…配電部材剥離部、61,62,63…配電部材コイル、71,72,73,74,75,76…配電部材と各相巻線の溶接部、77,78,79…配電部材と回転電機駆動回路の締結側、81,82,83…接着固定部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9