(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042550
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 5/02 20060101AFI20240321BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
H05K5/02 E
H04Q9/00 371A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147331
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】明田 安泰
【テーマコード(参考)】
4E360
5K048
【Fターム(参考)】
4E360AB03
4E360AB04
4E360AB05
4E360AB08
4E360BD02
4E360BD05
4E360CA02
4E360EA05
4E360EA14
4E360EA24
4E360EB02
4E360EC04
4E360EC05
4E360EC12
4E360ED02
4E360ED12
4E360ED23
4E360ED28
4E360GA04
4E360GA07
4E360GA12
4E360GA46
4E360GA53
4E360GB33
4E360GC08
5K048BA08
5K048HA01
(57)【要約】
【課題】箱体をパネルから取り外す作業の際に、係止を解除するための工具を係止孔に挿入したままにしなくてよいため、箱体のパネルからの取り外し作業を容易、簡単に行うことができる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器1は、箱体10と、箱体10の前面側を覆うパネル20とを備え、箱体10がパネル20に係止される。パネル20の側壁20bには、係止孔21が形成され、箱体10には、係止孔21に係止される爪部17aを有する弾性係止片17と、工具接触突部18とが設けられている。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
箱体と、該箱体の前面側を覆うパネルとを備え、前記箱体が前記パネルに係止される電子機器であって、
前記パネルの側壁には、係止孔が形成され、
前記箱体には、前記係止孔に係止される爪部を有する弾性係止片と、工具接触突部とが設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記弾性係止片の爪部が前記係止孔に係止されている状態で、工具が前記パネルの前記係止孔に挿入されると、前記工具によって前記爪部の前記係止孔に対する係止状態が解除されるとともに、前記工具の前記係止孔に対する挿入が進行すると、前記工具が前記工具接触突部に接触して前記箱体が前記パネルから押し出されることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記パネルの側壁には、前記箱体が前記パネルから押し出される際に、前記弾性係止片の爪部が当接して前記箱体の移動を規制するストッパーが設けられていることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記箱体の周囲には、枠体が取り取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記箱体は、タッチパネルを取り付けた支持体と、該支持体で支持された回路基板と、該支持体に取り付けられ、前記回路基板を保護する保護体と、前記タッチパネルの周囲を囲むように前記支持体に取り付けられたケース枠とを備えていることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記パネルの前面側が壁に取り付けられる空気調和機の壁掛けリモコンであることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱体と、箱体の前面側を覆うパネルとを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筐体の前面開口部を前面蓋体で覆うように前面蓋体を筐体に係合させる電子機器の筐体係合装置として、例えば、特許文献1に示すものが知られている。
この特許文献1に示す電子機器の筐体係合装置において、筐体から前面蓋体を取り外す場合には、上面側からマイナスのドライバーの先端を前面蓋体の差込孔に差し込んで前側に向けて倒し、ドライバーの先端で筐体の開口部近傍をこじ開けるように拡開させ、筐体と前面蓋体に設けられた係止突起との係止状態を解除し、前面蓋体を引き抜くようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の特許文献1に示す電子機器の筐体係合装置にあっては、以下の問題点があった。
即ち、特許文献1に示す電子機器の筐体係合装置において、筐体と前面蓋体に設けられた係止突起との係止状態の解除に際して、ドライバーの先端で筐体の開口部近傍をこじ開けるように拡開させておくことが必要であり、筐体から前面蓋体を取り外す際にドライバーを係止孔に差し込んだまま保持する必要があった。このため、作業者は一方の手でドライバーを持ち、他方の手で前面蓋体を筐体から引き抜かなければならず、筐体から前面蓋体を取り外す作業が困難であり、取り外し作業に長い時間がかかっていた。
【0005】
従って、本発明はこの従来の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、箱体をパネルから取り外す作業の際に、係止を解除するための工具を係止孔に挿入したままにしなくてよいため、箱体のパネルからの取り外し作業を容易、簡単に行うことができる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る電子機器は、箱体と、該箱体の前面側を覆うパネルとを備え、前記箱体が前記パネルに係止される電子機器であって、前記パネルの側壁には、係止孔が形成され、前記箱体には、前記係止孔に係止される爪部を有する弾性係止片と、工具接触突部とが設けられていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る電子機器によれば、箱体をパネルから取り外す作業の際に、係止を解除するための工具を係止孔に挿入したままにしなくてよい構造とし、箱体のパネルからの取り外し作業を容易、簡単に行うことができる電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電子機器としての壁掛けリモコンが壁に取り付けられている状態を係止を解除するための工具としてのマイナスのドライバーとともに示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る電子機器としての壁掛けリモコンが壁に取り付けられている状態の正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る電子機器としての壁掛けリモコンが壁に取り付けられている状態の底面図である。
【
図5】
図1に示す壁掛けリモコンの分解斜視図である。
【
図6】
図1に示す壁掛けリモコンを構成する箱体の斜視図である。
【
図9】
図1に示す壁掛けリモコンを構成するパネルの斜視図である。
【
図10】
図1に示す壁掛けリモコンの箱体をパネルから取り外す作業を説明するための図であって、マイナスのドライバーが弾性係止片の爪部に当接した状態を示している。
【
図11】
図1に示す壁掛けリモコンの箱体をパネルから取り外す作業を説明するための図であって、ドライバーによって弾性係止片の爪部の係止孔に対する係止状態が解除された状態を示している。
【
図12】
図1に示す壁掛けリモコンの箱体をパネルから取り外す作業を説明するための図であって、ドライバーが工具接触突部に接触して箱体が後側に(パネルから)押し出された状態を示している。
【
図13】
図3における4-4線に沿う断面図であり、弾性係止片の爪部の係止孔に対する係止状態が解除された後、箱体が後側に向けて押し出された状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。また、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0010】
本実施形態に係る電子機器の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」の方向を示す用語については、
図2乃至
図13における矢印で記載した方向に基づいて定められる。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器としての壁掛けリモコンが壁に取り付けられている状態を係止を解除するための工具としてのマイナスのドライバーとともに示す斜視図である。同図に示す本実施形態に係る電子機器としての壁掛けリモコン1は、空気調和機のリモコンで壁2に取り付けられた状態で使用される。壁2はその壁掛けリモコン1が取りつく面(表面)が上下方向及び左右方向に延在するように立設されている。
【0011】
壁掛けリモコン1は、上面、底面、左側面、右側面、前面、後面を有する直方体状の箱体10と、箱体10の前面側を覆い壁2の表面に取り付けられるパネル20とを備え、箱体10がパネル20に係止されるようになっている。
このような構造とすることで、壁掛けリモコン1を壁2に取り付けた後に、故障修理やメンテナンス等のために作業者が箱体10をパネル20から取り外せるようにしてある。
【0012】
図5は、壁掛けリモコン1の分解斜視図であり、箱体10は、同図に示すように、後面側にタッチパネル12を取り付けた支持体11と、回路基板13と、保護体14と、ケース枠15とを備えている。
支持体11は、上下方向、左右方向、及び前後方向に延びる矩形状を有し、絶縁性の合成樹脂を成形することによって形成される。タッチパネル12は、矩形状のパネルであり、支持体11の後面側に取り付けられている。タッチパネル12は、操作者による冷暖房の運転モードや室内温度などの設定操作を受け付ける。
【0013】
また、回路基板13は、矩形状を有し、支持体11の前面側において支持体11に設けられた支柱11a,11bに取り付けねじ13a,13bによって取り付けられる。
また、保護体14は、支持体11の前面側において支持体11に設けられた支柱11c11d、11e、11fに図示しない取り付けねじによって取り付けられ、回路基板13を保護する。
【0014】
図7及び
図8は、保護体の斜視図であり、保護体14は、上下方向及び左右方向に延びる矩形状の底板部14aと、底板部14aの下縁から前方に延びる下側壁14bと、底板部14aの上縁から前方に延びる上側壁14cと、底板部14aの左縁から前方に延びる左側壁14dと、底板部14aの右縁から前方に延びる右側壁14eとを備えている。保護体14は、絶縁性の合成樹脂を成形することによって形成される。箱体10の前面側に開口する開口部16は、底板部14a、下側壁14b、上側壁14c、左側壁14d、及び右側壁14eで囲まれている。また、保護体14には、パネル20の後述する下側壁20bに形成された係止孔21に係止される爪部17aを有する弾性係止片17と、工具接触突部18とが設けられている。
【0015】
図10から
図12には、壁掛けリモコン1の箱体10をパネル20から取り外す際の各部の状態が、順を追って示されている。より詳細には
図10には、壁掛けリモコン1の箱体10をパネル20から取り外すに際し、係止を解除するための工具としてのマイナスのドライバー3が弾性係止片17の爪部17aに当接した状態が示されている。
図11には、
図10に示す状態からドライバー3の挿入が進んで、ドライバー3によって弾性係止片17の爪部17aの係止孔21に対する係止状態が解除された状態が示されている。
図12には、
図11に示す状態からドライバー3の挿入が更に進んで、ドライバー3が工具接触突部18に接触して箱体10が後側に(パネル20から)押し出された状態が示されている。このようにして、壁掛けリモコン1の箱体10をパネル20から取り外すことができる。
【0016】
工具接触突部18は、
図7に示すように、保護体14の底板部14aの下側壁14b側の端部において左右方向に所定間隔をあけて一対設けられている。各工具接触突部18は、底板部14aから前方に向けて山形に突出する複数枚の板状体で構成される。
工具接触突部18は、係止を解除するための工具としてのマイナスのドライバー3によって爪部17aの係止孔21に対する係止状態を解除する際に、ドライバー3が工具接触突部18に接触して保護体14とともに箱体10を後側に向けて押し出す機能を有するものである。工具接触突部18の機能については、弾性係止片17及び係止を解除するための工具としてのマイナスのドライバー3との協働関係を含めて、
図1及び
図10乃至
図12を参照して箱体10をパネル20から取り外す方法について説明する際に、詳細に説明する。
【0017】
また、弾性係止片17は、
図7に示すように、工具接触突部18に対応して左右方向に所定間隔をおいて一対設けられている。各弾性係止片17は、各工具接触突部18の下端部から後方に向けて延びる延出部18aに設けられている。各弾性係止片17は、延出部18aの後端部近傍から下方に向けて折り返すように湾曲し、更に、前方に延びるように形成されている。各弾性係止片17の前端には、前述した爪部17aが設けられている。
また、保護体14の上側壁14cには、
図6に示すように、後述するパネル20の上側壁20cに設けられた突起23が入り込む凹部14fが形成されている。凹部14fは、
図6に示すように、保護体14の上側壁14cにおいて左右方向に所定間隔をあけて一対設けられている。
【0018】
また、ケース枠15は、
図5に示すように、四角枠状に形成され、
図4乃至
図6に示すように、タッチパネル12の周囲を囲むように支持体11に取り付けられる。
そして、箱体10の周囲には、
図6に示すように、四角枠状の枠体19が取り付けられている。枠体19は、具体的には、支持体11の周囲に取り付けられる。この枠体19は、壁掛けリモコン1に設けられた図示しないLED光を光源とし面発光する導光板でありリモコン操作者に対し、例えば空気調和機の運転状態などを知らせる機能を有する。
【0019】
一方、壁2に取り付けられるパネル20は、
図5に示すように、箱体10の前面側において前面側に開口する開口部16を覆うものである。
図9は、
図1に示す壁掛けリモコンを構成するパネルの斜視図である。パネル20は、
図9に示すように、上下方向及び左右方向に延びる矩形状の底板部20aと、底板部20aの下縁から後方に延びる下側壁20bと、底板部20aの上縁から後方に延びる上側壁20cと、底板部20aの左縁から後方に延びる左側壁20dと、底板部20aの右縁から後方に延びる右側壁20eとを備えている。パネル20は、絶縁性の合成樹脂を成形することによって形成される。パネル20の底板部20aには、外部からの通信用の配線20f等が接続されている。
【0020】
パネル20は、箱体10の開口部16を覆うに際し、下側壁20bに対し保護体14の下側壁14bが内側に位置し、同様に上側壁20cと上側壁14cが、左側壁20dと左側壁14dが、右側壁20eと右側壁14eが、底板部20aと底板部14aが、それぞれ同じ位置関係となっている。パネル20の底板部20aに取り付けられた通信用の配線20f等が開口部16内に位置し、この状態でパネル20の底板部20aが開口部16を覆う。
そして、パネル20の底板部20aの前面側が壁2の表面に図示しない取り付けねじにより取り付けられる。
【0021】
パネル20の下側壁20bには、
図9に示すように、一対の係止孔21が左右方向に所定間隔をあけて形成されている。各係止孔21は、下側壁20bにおいて上下方向に貫通している。
また、パネル20の下側壁20bには、
図12に示すように、ドライバー3により箱体10が後側に(パネル20から)押し出される際に、弾性係止片17の爪部17aが当接して箱体10の移動を規制するストッパー22が設けられている。ストッパー22は、パネル20の下側壁20bの係止孔21のある箇所の先端において上方に突出するように形成されている。
【0022】
また、パネル20の上側壁20cには、
図9に示すように、箱体10がパネル20に係止される際に、保護体14に形成された凹部14fに入り込む突起23が設けられている。突起23は、上側壁20cの、保護体14に形成された凹部14fに対応する位置に左右方向に間隔をあけて一対設けられている。
箱体10は、保護体14に形成された凹部14fにパネル20の突起23が入り込んだ状態で、弾性係止片17の爪部17aがパネル20の係止孔21に係止されることで、パネル20に係止される。そして、箱体10の開口部16がパネル20によって覆われる。
【0023】
次に、箱体10をパネル20から取り外す方法について、
図1及び
図10乃至
図12を参照して説明する。
箱体10をパネル20から取り外すに際し、先ず、作業者は、
図10に示すように、係止を解除するための工具としてのマイナスのドライバー3を、壁2に取り付けられた壁掛けリモコン1の下方からパネル20の係止孔21に矢印Aで示す方向に挿入する。すると、
図10に示すように、ドライバー3の先端が弾性係止片17の爪部17a端に当接する。係止を解除するための工具として用いるマイナスのドライバー3のサイズとして、先端の刃幅は係止孔21に挿入できる幅として5mm、刃厚は2mm、軸の付根から先端までの軸長は35mm程度とするものを選定することが好ましい。
【0024】
そして、
図11に示すように、ドライバー3の係止孔21に対する矢印Aで示す方向の挿入を更に進行させると、ドライバー3によって爪部17aが押圧されて弾性係止片17が上方に向けて弾性変形し、弾性係止片17の爪部17aの係止孔21に対する係止状態が解除される。
【0025】
更に、
図12に示すように、ドライバー3の係止孔21に対する矢印Aで示す方向の挿入を更に進行させると、ドライバー3が工具接触突部18に接触して保護体14とともに箱体10が後側に(パネル20から)押し出される。この際に、箱体10は、保護体14に形成された凹部14fにパネル20の突起23が入り込んでいることから、突起23を支点として後側に向けて回転するように押し出される。そして、弾性係止片17は元の状態に弾性変形して復元し、爪部17aがパネル20の下側壁20bの係止孔21とストッパー22との間に位置する。
【0026】
その後、作業者は、ドライバー3を係止孔21から引き抜き、片方あるいは両方の手で箱体10を持って、
図13に示すように、突起23の凹部14fに対する嵌合状態を解除しつつ矢印Bで示す後方向に箱体10を引く。
これにより、箱体10をパネル20から取り外すことができる。
ここで、ドライバー3が工具接触突部18に接触して箱体10が後側に向けて押し出された時(
図12に示す状態の時)に、ドライバー3を係止孔21から引き抜いたとしても、弾性係止片17の爪部17aと、パネル20の係止孔21との位置がずれているために、爪部17aが再び係止孔21に入り係止されてしまうことはない。
【0027】
一方、特許文献1に示す電子機器の筐体係合装置の場合には、筐体と前面蓋体に設けられた係止突起との係止状態の解除に際して、マイナスのドライバーの先端を前面蓋体の係止孔に差し込んで前側に向けて倒し、ドライバーの先端で筐体の開口部近傍をこじ開けるように拡開させておく必要がある。このとき、ドライバーの先端を前面蓋体の係止孔から引き抜くと、筐体の開口部近傍が閉じてしまい、筐体と前面蓋体に設けられた係止突起との係止状態が解除できない。
【0028】
このように、本実施形態に係る電子機器としての壁掛けリモコン1によれば、パネル20の下側壁20bには、係止孔21が形成され、箱体10には、パネル20の係止孔21に係止される爪部17aを有する弾性係止片17と、工具接触突部18とが設けられている。そして、弾性係止片17の爪部17aが係止孔21に係止されている状態で、係止を解除する工具としてのマイナスのドライバー3がパネル20の係止孔21に挿入されると、ドライバー3によって爪部17aの係止孔21に対する係止状態が解除されるとともに、ドライバー3の係止孔21に対する挿入が進行すると、ドライバー3が工具接触突部18に接触して箱体10が後側に(パネル20から)押し出される。
【0029】
これにより、弾性係止片17の爪部17aの係止孔21に対する係止解除動作と箱体10の後側に向けての押し出し動作とがドライバー3を係止孔21に押し込むだけで完了する。このように、作業者は、箱体10のパネル20からの取り外し作業の際にドライバー3を係止孔21から引き抜くので、ドライバー3を手で保持する必要がなく、よって箱体10のパネル20からの取り外し作業を容易、簡単に行うことができる。このため、箱体10のパネル20からの取り外し作業の作業時間を短縮することができる。
【0030】
また、本実施形態に係る電子機器としての壁掛けリモコン1によれば、パネル20の下側壁20bには、箱体10が後側に(パネル20から)押し出される際に、弾性係止片17の爪部17aが当接して箱体10の移動を規制するストッパー22が設けられている。
これにより、ドライバー3が工具接触突部18に接触して箱体10が後側に(パネル20から)押し出される際(
図12に示す状態の際)に、箱体10が過剰に移動して爪部17aがパネル20の下側壁20bに沿って過剰に移動しようとすると、爪部17aがストッパー22に当接して箱体10の移動が規制される。このため、箱体10が後側に(パネル20から)押し出される際に、箱体10の脱落、落下を確実に防止することができる。これにより、箱体10の脱落、落下を回避するために、箱体10に手を添えるなどの動作の必要がなく、箱体10のパネル20からの取り外し作業の作業時間をより短縮することができる。
【0031】
また、本実施形態に係る電子機器としての壁掛けリモコン1によれば、箱体10の周囲には、枠体19が取り取り付けられている。
前述したように、箱体10をパネル20から取り外すに際し、先ず、作業者は、
図10に示すように、係止を解除するための工具としてのマイナスのドライバー3を、壁2に取り付けられた壁掛けリモコン1の下方からパネル20の係止孔21に矢印Aで示す方向に挿入する。この際に、ドライバー3は、
図10に示すように、壁2と枠体19との間においてパネル20の係止孔21に矢印Aで示す方向に挿入される。
【0032】
そして、作業者が、
図11に示すように、ドライバー3の係止孔21に対する矢印Aで示す方向の挿入を更に進行させて弾性係止片17の爪部17aの係止孔21に対する係止状態を解除し、更に、
図12に示すように、ドライバー3の係止孔21に対する矢印Aで示す方向の挿入を更に進行させてドライバー3を工具接触突部18に接触させて箱体10を後側に向けて押し出す。
この箱体10の取り外し作業の際に、ドライバー3の係止孔21に対する矢印Aで示す方向の挿入をするだけで、弾性係止片17の爪部17aの係止孔21に対する係止解除動作と箱体10の後側に向けての押し出し動作とが完了するので、ドライバー3をよじったりドライバー3の挿入角度を変更したりする必要はない。このため、箱体10の取り外し作業の際に、ドライバー3が枠体19に接触し、枠体19を損傷させる事態を回避することができる。
【0033】
そして、箱体10をパネル20に取り付けるに際しては、先ず、作業者は、箱体10を片手あるいは両手で持って、パネル20の突起23を箱体10の凹部14fに入れ込む。
次いで、作業者は、箱体10を突起23を支点として前側に向けて回転させて、弾性係止片17の爪部17aをパネル20の係止孔21に係止させればよい。
これにより、箱体10がパネル20に係止され、パネル20に取り付けられる。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、電子機器として、パネル20の前面側が壁2に取り付けられる空気調和機の壁掛けリモコン1としてあるが、空気調和機の壁掛けリモコン1以外の電子機器であってもよい。
【0035】
また、係止を解除するための工具として、マイナスのドライバー3を用いるとしてあるが、弾性係止片17の爪部17aの係止孔21に対する係止状態を解除できるものであれば、マイナスのドライバー3以外の係止を解除するための工具、例えば、係止孔21に挿入可能な程度に細長いプレート状の金属板などであってもよい。
また、電子機器としての壁掛けリモコン1は、上下方向に立つように延びる壁2に取り付けず、例えば据置で使用されるようなものであってもよい。
【0036】
また、係止孔21はパネル20の下側壁20bに形成されているが、パネル20の下側壁20b以外の、上側壁20c、左側壁20d、及び右側壁20eのいずれかに形成されていてもよい。
また、弾性係止片17及び工具接触突部18は、保護体14の下側壁14b側に設けられているが、係止孔21の形成位置に応じて保護体14の下側壁14b側以外の、上側壁14c側、左側壁14d側、及び右側壁14e側のいずれかに設けられていてもよい。
【0037】
また、パネル20の下側壁20bに、ストッパー22を設ける必要は必ずしもない。
また、箱体10の周囲に、枠体19が取り取り付けられている必要は必ずしもない。
更に、箱体10は、上下方向、左右方向、及び前後方向に延びる矩形状であれば、後面側にタッチパネル12を取り付けた支持体11と、回路基板13と、保護体14と、ケース枠15とを備えていなくてもよい。
また、爪部17aを有する弾性係止片17及び工具接触突部18の形状は、図示した例に限られない。
【符号の説明】
【0038】
1 壁掛けリモコン(電子機器)
2 壁
3 マイナスのドライバー(工具)
10 箱体
11 支持体
12 タッチパネル
13 回路基板
14 保護体
14a 底板部
14b 下側壁
14c 上側壁
14d 左側壁
14e 右側壁
14f 凹部
15 ケース枠
16 開口部
17 弾性係止片
17a 爪部
18 工具接触突部
18a 延出部
19 枠体
20 パネル
20a 底板部
20b 下側壁
20c 上側壁
20d 左側壁
20e 右側壁
21 係止孔
22 ストッパー
23 突起