(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042572
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】車両灯具ユニット
(51)【国際特許分類】
F21S 45/10 20180101AFI20240321BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20240321BHJP
F21S 41/19 20180101ALI20240321BHJP
F21S 41/26 20180101ALI20240321BHJP
F21S 41/39 20180101ALI20240321BHJP
F21S 41/47 20180101ALI20240321BHJP
F21S 41/55 20180101ALI20240321BHJP
F21S 45/70 20180101ALI20240321BHJP
F21W 102/13 20180101ALN20240321BHJP
F21Y 115/00 20160101ALN20240321BHJP
【FI】
F21S45/10
F21S41/143
F21S41/19
F21S41/26
F21S41/39
F21S41/47
F21S41/55
F21S45/70
F21W102:13
F21Y115:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147366
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100122183
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 一郎
(72)【発明者】
【氏名】野末 修平
(72)【発明者】
【氏名】黒田 真吾
(57)【要約】
【課題】光源の熱の影響を緩和する新たな技術を提供する。
【解決手段】車両灯具ユニットは、第1の光源20aと、第1の光源に隣接して配置されている第2の光源20bと、第1の光源から出射した光L1の一部を灯具前方へ反射する第1の反射面17aと、第2の光源から出射した光L2の一部を灯具前方へ反射する第2の反射面17bと、第1の光源20aの出射面及び第2の光源20bの出射面と対向する主背面17cと、を有するリフレクタ16と、第1の光源20aから主背面17cへ向かう光及び第2の光源20bから主背面17cへ向かう光を遮蔽する主遮蔽部18fを有する金属板と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光源と、
前記第1の光源に隣接して配置されている第2の光源と、
前記第1の光源から出射した光の一部を灯具前方へ反射する第1の反射面と、前記第2の光源から出射した光の一部を灯具前方へ反射する第2の反射面と、前記第1の光源の出射面及び前記第2の光源の出射面と対向する主背面と、を有するリフレクタと、
前記第1の光源から前記主背面へ向かう光及び前記第2の光源から前記主背面へ向かう光を遮蔽する主遮蔽部を有する金属板と、
を備えることを特徴とする車両灯具ユニット。
【請求項2】
前記金属板は、板厚が0.2~0.6mmであることを特徴とする請求項1に記載の車両灯具ユニット。
【請求項3】
前記リフレクタは、
前記第1の反射面と対向し、前記第1の光源から出射した光の一部を灯具前方へ反射する第3の反射面を有する上部リフレクタと、
前記第2の反射面と対向し、前記第2の光源から出射した光の一部を灯具前方へ反射する第4の反射面を有する下部リフレクタと、を更に備え、
前記上部リフレクタは、前記第1の光源の出射面と対向する上部背面を有し、
前記下部リフレクタは、前記第2の光源の出射面と対向する下部背面を有し、
前記金属板は、前記第1の光源から前記上部背面へ向かう光を遮蔽する上部遮蔽部と、前記第2の光源から前記下部背面へ向かう光を遮蔽する下部遮蔽部と、を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両灯具ユニット。
【請求項4】
前記リフレクタは、前記第1の反射面及び前記第2の反射面の先端部に、配光パターンのカットオフラインを形成するシェード部を有し、
前記シェード部は、液晶ポリマーからなる樹脂であり、厚みが0.2mm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両灯具ユニット。
【請求項5】
前記第1の光源及び前記第2の光源の少なくとも一方から出射した光で灯具前方に配光パターンを投影するための投影レンズと、
前記第1の光源と前記第2の光源とが搭載された回路基板と、を更に備え、
前記回路基板は、前記第1の光源及び前記第2の光源を駆動する駆動回路が、前記第1の光源及び前記第2の光源より下方に搭載されており、
前記金属板は、前記駆動回路と前記投影レンズの間に位置するように前記下部遮蔽部から灯具下方に延在した回路保護部を更に有することを特徴とする請求項3に記載の車両灯具ユニット。
【請求項6】
前記リフレクタは、前記主遮蔽部に固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両灯具ユニット。
【請求項7】
前記リフレクタは、背面から車両前方と反対側に突出する位置決めピンが設けられており、
前記金属板は、前記位置決めピンが挿入される位置決め孔が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両灯具ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両灯具ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロービーム用配光パターンやハイビーム用配光パターンを形成する複数個のLEDがアレイ状に回路基板に搭載されている車両用灯具が知られている。例えば、上下2段に配列されている複数のLEDの発光面が車両用灯具の前方を向くように搭載された回路基板と、回路基板の前方に配置され、LEDから出射した光の一部を反射してロービーム用配光パターンやハイビーム用配光パターンを形成するリフレクタと、LEDから出射した光を灯具前方へ投影する投影レンズと、を備える車両用灯具が考案されている(特許文献1)。
【0003】
この車両用灯具は、上下2段の上段側の左右方向に配列されている複数のLEDが主にロービーム用配光パターンを形成する光を出射し、下段側の左右方向に配列されている複数のLEDが主にハイビーム用配光パターンを形成する光を出射する。また、前述のリフレクタは、熱伝導性の高いアルミニウム等の金属材料によって形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第22/009683号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の車両用灯具が備えるリフレクタは、全体が金属製の一部品であり、部品重量が増加するとともに材料費も高い傾向にある。そこで、リフレクタを樹脂製の材料で構成することで軽量化や低コスト化を図ることができるが、金属製のリフレクタと比較して、光源の熱の影響を受けやすい。
【0006】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的の一つは、光源の熱の影響を緩和する新たな技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両灯具ユニットは、第1の光源と、第1の光源に隣接して配置されている第2の光源と、第1の光源から出射した光の一部を灯具前方へ反射する第1の反射面と、第2の光源から出射した光の一部を灯具前方へ反射する第2の反射面と、第1の光源の出射面及び第2の光源の出射面と対向する主背面と、を有するリフレクタと、第1の光源から主背面へ向かう光及び第2の光源から主背面へ向かう光を遮蔽する主遮蔽部を有する金属板と、を備える。
【0008】
この態様によると、金属板により第1の光源や第2の光源からリフレクタの主背面へ向かう光を遮蔽できるので、リフレクタの温度上昇を抑えられる。そのため、耐熱材料である金属材料やセラミックス材料といった高価で重たい材料でなく、樹脂のような安価で軽い材料でリフレクタを構成できる。
【0009】
金属板は、板厚が0.2~0.6mmであってもよい。これにより、各光源とリフレクタとの間に金属板を配置しても、光源から出射した光の利用効率を高めるために各光源をリフレクタにより近づけることができる。
【0010】
リフレクタは、第1の反射面と対向し、第1の光源から出射した光の一部を灯具前方へ反射する第3の反射面を有する上部リフレクタと、第2の反射面と対向し、第2の光源から出射した光の一部を灯具前方へ反射する第4の反射面を有する下部リフレクタと、を更に備えてもよい。上部リフレクタは、第1の光源の出射面と対向する上部背面を有してもよい。下部リフレクタは、第2の光源の出射面と対向する下部背面を有してもよい。金属板は、第1の光源から上部背面へ向かう光を遮蔽する上部遮蔽部と、第2の光源から下部背面へ向かう光を遮蔽する下部遮蔽部と、を有してもよい。これにより、第1の光源からリフレクタの上部背面へ向かう光や第2の光源からリフレクタの下部背面へ向かう光を金属板で遮蔽できるので、リフレクタの温度上昇を抑えられる。
【0011】
リフレクタは、第1の反射面及び第2の反射面の先端部に、配光パターンのカットオフラインを形成するシェード部を有してもよい。シェード部は、液晶ポリマーからなる樹脂であり、厚みが0.2mm以下であってもよい。液晶ポリマーからなる樹脂でリフレクタを構成することで、厚みが0.2mm以下のシェードを有するリフレクタを成型で形成でき、リフレクタの製造コストを低減できる。
【0012】
第1の光源及び第2の光源の少なくとも一方から出射した光で灯具前方に配光パターンを投影するための投影レンズと、第1の光源と第2の光源とが搭載された回路基板と、を更に備えてもよい。回路基板は、第1の光源及び第2の光源を駆動する駆動回路が、第1の光源及び第2の光源より下方に搭載されており、金属板は、駆動回路と投影レンズの間に位置するように下部遮蔽部から灯具下方に延在した回路保護部を更に有してもよい。これにより、外部から太陽光が投影レンズを通じて入射した場合に、灯具内の集光しやすい場所にある駆動回路が熱でダメージを受けることを回路保護部により抑制できる。
【0013】
リフレクタは、主遮蔽部に固定されていてもよい。ここで、固定とは、リフレクタと各遮蔽部とがレーザーによる溶着や接着剤による接着によって一体となっている場合や、金属板を金型に載置した状態でリフレクタとなる樹脂を射出成形するインサート成形によって二部品が強固に一体となっている場合も含む。これにより、予めリフレクタと主遮蔽部との位置決めが精度良く行われている一部品として、車両灯具ユニットの組立に利用できる。
【0014】
リフレクタは、背面から車両前方と反対側に突出する位置決めピンが設けられていてもよい。金属板は、位置決めピンが挿入される位置決め孔が形成されていてもよい。これにより、リフレクタに対して金属板が直接位置決めされる。
【0015】
以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を製造方法、灯具や照明などの装置、発光モジュール、光源などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、リフレクタに与える光源の熱の影響を緩和できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施の形態に係る車両灯具の概略構成を示す側面図である。
【
図2】本実施の形態に係る車両灯具ユニットの主要部の斜視図である。
【
図3】
図2に示す車両灯具ユニットの分解斜視図である。
【
図4】リフレクタと回路基板との間の領域を灯具側方から見た模式図である。
【
図5】リフレクタと各光源に対するプロテクタの位置関係を示す模式図である。
【
図6】リフレクタ、プロテクタ及びヒートシンクの組み付け位置を説明するための分解斜視図である。
【
図7】リフレクタにプロテクタを組み付けた状態を示す背面斜視図である。
【
図8】リフレクタ、プロテクタ及びヒートシンクの位置決めを説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組合せは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0019】
図1は、本実施の形態に係る車両灯具の概略構成を示す側面図である。
図2は、本実施の形態に係る車両灯具ユニットの主要部の斜視図である。
図3は、
図2に示す車両灯具ユニットの分解斜視図である。
図2や
図3に示す車両灯具ユニット10は、車両前部に設けられる車両用前照灯であり、ロービーム用及びハイビーム用の配光パターンのいずれも形成できるように構成されている。
【0020】
車両灯具100は、ランプボディ2と、ランプボディ2の開口部を覆うアウタレンズ4と、ランプボディ2及びアウタレンズ4とで囲まれた灯室6内に設けられた車両灯具ユニット10と、車両灯具ユニット10をエイミング可能に保持するエイミング機構8とを備える。車両灯具ユニット10は、投影レンズ12と、レンズホルダ14と、リフレクタ16と、プロテクタ18と、回路基板20と、ヒートシンク22と、ファン24とを備える。
【0021】
レンズホルダ14は、略円筒状のレンズ保持部14aと、レンズ保持部14aから車両後方に向けて突出している3つの脚部14bとを有している。投影レンズ12は、光源から出射した光の光路を制御するレンズ本体部12aと、レンズ本体部12aの外周から外側へ張り出したフランジ状の被取付部12bとが一体に形成されている透明部材である。そして、レンズホルダ14のレンズ保持部14aに投影レンズ12の被取付部12bの位置を合わせてネジ26で固定することで、投影レンズ12がレンズホルダ14に保持される。投影レンズ12は、例えば、アクリルやポリカーボネートといった透明度が高く耐熱性が高い樹脂材料を用いて射出成形によって製造される。
【0022】
本実施の形態に係るリフレクタ16は、コストの低減や軽量化のために樹脂材料で構成されている。リフレクタ16は、前後方向を向く横長のベース面部16aと、リフレクタ16の中央に形成されている開口部16bの左右両側から前方に突出するように設けられている側方反射部16cと、開口部16bの上側の梁状部分の内面が反射面となる上部リフレクタ16dと、開口部16bの下縁部から前方へ張り出したシェード16eとを有する。
【0023】
プロテクタ18は、例えば、板状の金属材料が所定の形状に折り曲げられて形成された部品であり、リフレクタ16と回路基板20との間に配置される。また、プロテクタ18は、2つの開口部18a,18bが形成されている矩形の遮蔽部18cと、遮蔽部18cの下部から前方へクランク状に突き出している回路保護部18dとを有する。回路保護部18dは、投影レンズ12を通じて外部から入射して集光した太陽光が後述する光源の駆動回路に照射されることを防止する。
【0024】
回路基板20は、ロービーム用配光パターンを形成するための複数の発光素子21aが横一列に並んだ第1の光源20aと、ハイビーム用配光パターンを形成するための複数の発光素子21bが横一列に並んだ第2の光源20bと、各発光素子を駆動する駆動回路20cとを有する。第2の光源20bは、第1の光源20aに隣接して配置されている。なお、第1の光源20aは上段側に位置し、第2の光源20bは下段側に位置している。駆動回路20cは、コンデンサやコイルといった受動素子、トランジスタやダイオードといった能動素子、ICチップ、メモリ等を組み合わせたものであり、回路基板20の各光源20a,20bが搭載されている領域よりも下方の領域に搭載されている。
【0025】
第1の光源20aから出射した光は、プロテクタ18の開口部18a及びリフレクタ16の開口部16bを通過する。その際、一部の光は、側方反射部16c、上部リフレクタ16d及びシェード16eのそれぞれの反射面で反射され、配光制御が行われた状態で投影レンズ12へ向けて照射される。投影レンズ12は、第1の光源20aから直接到達した光、及び、各反射面で配光制御された光を車両前方に所望の配光パターンとして投影する。これにより、車両前方のスクリーン上において、主に水平線よりも下方の領域がロービーム用配光パターンの光で照射される。
【0026】
同様に、第2の光源20bから出射した光は、プロテクタ18の開口部18b及びリフレクタ16のシェード16eよりも下方を通過する。その際、一部の光は、シェード16eの下側の反射面で反射され、配光制御行われた状態で投影レンズ12へ向けて照射される。投影レンズ12は、第2の光源20bから直接到達した光、及び、各反射面で配光制御された光を車両前方に所望の配光パターンとして投影する。これにより、車両前方のスクリーン上において、主に水平線よりも上方の領域がハイビーム用配光パターンの光で照射される。このように、投影レンズ12は、第1の光源20a及び第2の光源20bの少なくとも一方から出射した光で灯具前方に配光パターンを投影する。
【0027】
上記した各光源の駆動時には、光源、駆動回路20cを構成する部品、配線等から熱が発生する。光源20a,20b等から発生した熱の一部はヒートシンク22に伝達され、ヒートシンク22の各部、特に、フィン22aから外部へ放出される。この際、冷却用のファン24の回転によって発生する冷却風がフィン22aに沿って流れることで、放熱性が向上する。なお、レンズホルダ14は、ヒートシンク22にネジ28で固定されている。
【0028】
次に、リフレクタ16と各光源との位置関係について説明する。
図4は、リフレクタと回路基板との間の領域を灯具側方から見た模式図である。
図4に示すように、本実施の形態に係る車両灯具ユニット10においては、リフレクタ16と各光源20a,20bとが非常に近接している。特に、リフレクタ16の一部であるシェード16eは、上段の発光素子21aの出射面(発光面)及び下段の発光素子21bの出射面(発光面)の両方と距離が近い。
【0029】
シェード16eは、第1の光源20aから出射した光L1の一部を灯具前方へ反射する第1の反射面17aと、第2の光源20bから出射した光L2の一部を灯具前方へ反射する第2の反射面17bと、発光素子21aの出射面及び発光素子21bの出射面と対向する主背面17cとを有する。そこで、本実施の形態では、回路基板20とリフレクタ16との間に、発光素子21aからリフレクタ16の主背面17cへ向かう光L1’及び発光素子21bから主背面17cへ向かう光L2’を遮蔽する主遮蔽部18fを有するプロテクタ18が配置されている。
【0030】
したがって、プロテクタ18により第1の光源20aや第2の光源20bからリフレクタ16の主背面17cへ向かう光を遮蔽できるので、リフレクタ16の温度上昇を抑えられる。そのため、耐熱材料である金属材料やセラミックス材料といった高価で重たい材料でなく、樹脂のような安価で軽い材料でリフレクタを構成できる。
【0031】
本実施の形態に係るリフレクタ16は、第1の反射面17aと対向し、第1の光源20aから出射した光の一部を灯具前方へ反射する第3の反射面17dを有する上部リフレクタ16dを更に備える。また、
図2や
図3に示すリフレクタ16では図示されていないが、第2の反射面17bと対向し、第2の光源20bから出射した光の一部を灯具前方へ反射する第4の反射面17gを有する下部リフレクタ16gを更に備えてもよい。
【0032】
上部リフレクタ16dは、第1の光源20aの出射面と対向する上部背面17hを有している。また、下部リフレクタ16gは、第2の光源20bの出射面と対向する下部背面17kを有している。そして、プロテクタ18は、第1の光源20aから上部背面17hへ向かう光を遮蔽する上部遮蔽部18gと、第2の光源20bから下部背面17kへ向かう光を遮蔽する下部遮蔽部18hとを有している。これにより、第1の光源20aからリフレクタ16の上部背面17hへ向かう光や第2の光源20bからリフレクタ16の下部背面17kへ向かう光をプロテクタ18で遮蔽できるので、リフレクタ16の温度上昇を抑えられる。
【0033】
シェード16eは、第1の反射面17a及び第2の反射面17bの先端部において、配光パターンのカットオフラインを形成する。シェード16eは、先端部の厚みD1が0.2mm以下であり、液晶ポリマーからなる樹脂で形成されている。液晶ポリマーは、成形品が薄肉であっても良好な流動性を示すため、本実施の形態に係るシェード16eのような部品を射出成形で製造する際に好適である。このように、液晶ポリマーからなる樹脂でリフレクタ16を構成することで、厚みが0.2mm以下のシェード16eを有するリフレクタ16を型を用いて成形でき、リフレクタ16の製造コストを低減できる。
【0034】
本実施の形態に係るプロテクタ18は、駆動回路20cと投影レンズ12の間に位置するように下部遮蔽部18hから灯具下方に延在した回路保護部18kを更に有している。これにより、外部から太陽光Sが投影レンズ12を通じて入射した場合に、灯具内の集光しやすい場所にある駆動回路20cが熱でダメージを受けることを下部遮蔽部18hにより抑制できる。
【0035】
図5は、リフレクタと各光源に対するプロテクタの位置関係を示す模式図である。本実施の形態に係るプロテクタ18は、金属板の板厚D2が0.2~0.6mmであるとよい。これにより、各光源20a,20bとリフレクタ16との間にプロテクタ18を配置しても、各光源をリフレクタ16により近づけることができる。また、発光素子21a,21bの出射面S1とプロテクタ18の各遮蔽部(主遮蔽部18f、上部遮蔽部18g、下部遮蔽部18hとの距離D3は、0.5~0.9mmであるとよい。換言すると、発光素子21aの出射面S1と主背面17cとの最短距離D4は、0.1~0.7mmであり、発光素子21bの出射面S2と主背面17cとの最短距離D5は、0.1~0.7mmである。
【0036】
また、リフレクタ16の各背面(主背面17c、上部背面17h、下部背面17k)とプロテクタ18との距離は、極力狭い方が好ましく、接していてもよい。その結果、光源から出射した光のうち、プロテクタ18で遮蔽される光の割合が減るため、各光源から出射した光が実際の灯具の照射に利用される利用効率が高まる。
【0037】
また、リフレクタ16は、各遮蔽部に固定されていてもよい。ここで、固定とは、リフレクタと各遮蔽部とがレーザーによる溶着や接着剤による接着によって一体となっている場合や、金属板を金型に載置した状態でリフレクタとなる樹脂を射出成形するインサート成形によって二部品が強固に一体となっている場合も含む。これにより、予めリフレクタと主遮蔽部との位置決めが精度良く行われている一部品として、車両灯具ユニットの組立に利用できるため、組立の際にリフレクタとプロテクタとの位置合わせが不要になる。
【0038】
また、各光源から第1の反射面17aや第2の反射面17bに向かう光が、主遮蔽部18fで遮蔽されると、所望の配光パターンが形成されないおそれがある。そこで、出射した光の主遮蔽部18fの幅W1は、主背面17cの幅W2より0.04~0.08mm程度小さくなるように設定されている。加えて、主遮蔽部18fは、各光源の出射面S1と主背面17cとの最短距離を結んだ2つの線A1,A2の間の領域からはみ出さないように設けられている。ここで、出射面S1(S2)とは、光が実際に出射する表面領域である。
【0039】
換言すると、プロテクタ18は、主遮蔽部18fと上部遮蔽部18gとの間の開口幅W3が、第1の反射面17aと第3の反射面17dとの間の開口幅W4より大きい。また、プロテクタ18は、主遮蔽部18fと下部遮蔽部18hとの間の開口幅W5が、第2の反射面17bと第4の反射面17gとの間の開口幅W6より大きい。
【0040】
プロテクタ18の各部の大きさを上述の条件の範囲で設定することで、各光源から第1の反射面17aや第2の反射面17bに向かう光が、主遮蔽部18fで遮蔽されなくなり、所望の配光パターンの形成に必要な光の一部がケラレることが避けられる。
【0041】
以上のように、リフレクタ16に対するプロテクタ18の位置決め精度は重要である。例えば、リフレクタ16に対するプロテクタ18の位置が正規の位置からずれていると、本来ケラレることなく第1の反射面17aや第2の反射面17bに向かう光の一部が、主遮蔽部18fで遮蔽されることがある。例えば、ヒートシンク22に対してリフレクタ16やプロテクタ18をそれぞれ位置決めする場合、リフレクタ16に対するプロテクタ18の位置決め精度は、ヒートシンクに対するリフレクタ16の位置決め誤差と、ヒートシンクに対するプロテクタ18の位置決め誤差との両方の影響を受ける。
【0042】
そこで、本実施の形態に係る車両灯具ユニット10では、リフレクタ16に対してプロテクタ18の位置決めを行う構成を採用している。
図6は、リフレクタ、プロテクタ及びヒートシンクの組み付け位置を説明するための分解斜視図である。
図7は、リフレクタにプロテクタを組み付けた状態を示す背面斜視図である。
図8は、リフレクタ、プロテクタ及びヒートシンクの位置決めを説明するための模式図である。
【0043】
図6、
図7に示すように、リフレクタ16は、背面から車両前方と反対側に突出する位置決めピン16hが設けられている。プロテクタ18は、位置決めピン16hが挿入される位置決め孔18mが形成されている。ヒートシンク22は、位置決めピン16hが挿入される位置決め孔22bが形成されている。そして、位置決めピン16hを、位置決め孔18m及び位置決め孔22bに挿入し、ネジなどの締結部材で互いを固定する。これにより、
図8に示すように、リフレクタ16に対してプロテクタ18が直接位置決めされるので、ヒートシンク22に対してリフレクタ16やプロテクタ18をそれぞれ位置決めする場合と比較して、リフレクタ16に対するプロテクタ18の位置決め精度が向上する。
【0044】
以上、本発明を上述の実施の形態を参照して説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、実施の形態の構成を適宜組み合わせたものや置換したものについても本発明に含まれるものである。また、当業者の知識に基づいて実施の形態における組合せや処理の順番を適宜組み替えることや各種の設計変更等の変形を実施の形態に対して加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施の形態も本発明の範囲に含まれうる。
【符号の説明】
【0045】
10 車両灯具ユニット、 12 投影レンズ、 14 レンズホルダ、 16 リフレクタ、 16b 開口部、 16d 上部リフレクタ、 16e シェード、 16g 下部リフレクタ、 16h ピン、 17a 第1の反射面、 17b 第2の反射面、 17c 主背面、 17d 第3の反射面、 17g 第4の反射面、 17h 上部背面、 17k 下部背面、 18 プロテクタ、 18c 遮蔽部、 18d 回路保護部、 18f 主遮蔽部、 18g 上部遮蔽部、 18h 下部遮蔽部、 18k 回路保護部、 20 回路基板、 20a 第1の光源、 20b 第2の光源、 20c 駆動回路、 21a 発光素子、 21b 発光素子。