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特開2024-42576シミュレーション装置、シミュレーション方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042576
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】シミュレーション装置、シミュレーション方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
G08G1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147372
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北村 みよ
(72)【発明者】
【氏名】大朏 勇人
(72)【発明者】
【氏名】横田 和哉
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 里穂
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181EE02
5H181MC04
5H181MC27
(57)【要約】      (修正有)
【課題】エネルギーの効率性を評価するために車両の走行を適切に模擬するシミュレーション装置、方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】シミュレーション装置は、実空間における複数の車両の実際の走行から取得される走行履歴の情報を含む交通流データに基づいて仮想車両の走行を模擬する。シミュレーション装置は、交通流データに基づいて仮想的に構築される再現空間において仮想車両の模擬走行計算を行う模擬走行計算部と、交通流データに基づいて再現空間内に再現される複数の車両に対応する再現車両のうち、仮想車両の模擬走行のために参照すべき先行車両を決定する先行車両決定部とを備え、先行車両決定部は、再現車両のうち、仮想車両の進行方向とは異なる方向から仮想車両の走行路上にある交差点に進入する車両を、先行車両として決定する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実空間における複数の車両の実際の走行から取得される走行履歴の情報を含む交通流データに基づいて仮想車両の走行を模擬するシミュレーション装置であって、
前記交通流データに基づいて仮想的に構築される再現空間において前記仮想車両の模擬走行計算を行う模擬走行計算部と、
前記交通流データに基づいて前記再現空間内に再現される前記複数の車両に対応する再現車両のうち、前記仮想車両の模擬走行のために参照すべき先行車両を決定する先行車両決定部と
を備え、
前記先行車両決定部は、前記再現車両のうち、前記仮想車両の進行方向とは異なる方向から前記仮想車両の走行路上にある交差点に進入する車両を、前記先行車両として決定する
シミュレーション装置。
【請求項2】
前記先行車両決定部は、前記再現車両のうち、前記交差点に進入した後の進出方向と前記仮想車両の進行方向との差が予め定められた値より小さい車両を、前記先行車両として決定する
請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項3】
前記先行車両決定部は、前記再現車両のうち、前記仮想車両の走行路上にある交差点から予め定められた第1の範囲内に位置する車両の中から、前記先行車両を決定する、
請求項1又は2に記載のシミュレーション装置。
【請求項4】
前記先行車両決定部は、前記仮想車両の走行路上にある交差点のうち、前記仮想車両の進行方向における前記仮想車両から予め定められた第2の範囲内にある交差点を選択し、前記再現車両のうち、選択した交差点から予め定められた第1の範囲内に位置する車両の中から、前記先行車両を決定する
請求項1又は2に記載のシミュレーション装置。
【請求項5】
前記先行車両決定部は、前記仮想車両の走行路上にある交差点のうち、前記仮想車両の走行路上に一時停止線又は信号が設置された交差点を除外して、前記先行車両を決定する処理を行う
請求項1又は2に記載のシミュレーション装置。
【請求項6】
前記先行車両決定部は、前記再現車両のうち、前記仮想車両の進行方向とは異なる方向から前記仮想車両の走行路上に一時停止線又は信号が設置された交差点に進入する車両を除外して、前記先行車両を決定する処理を行う、
請求項5に記載のシミュレーション装置。
【請求項7】
実空間における複数の車両の実際の走行から取得される走行履歴の情報を含む交通流データに基づいて仮想車両の走行を模擬するシミュレーション方法であって、
前記交通流データに基づいて仮想的に構築される再現空間において前記仮想車両の模擬走行計算を行う段階と、
前記交通流データに基づいて前記再現空間内に再現される前記複数の車両に対応する再現車両のうち、前記仮想車両の模擬走行のために参照すべき先行車両を決定する段階と
を備え、
前記先行車両を決定する段階は、前記再現車両のうち、前記仮想車両の進行方向とは異なる方向から前記仮想車両の走行路上にある交差点に進入する車両を、前記先行車両として決定する
シミュレーション方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1又は2に記載のシミュレーション装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シミュレーション装置、シミュレーション方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プローブデータを収集し、交差点での車両優先度の判定方法が記載されている。特許文献2には、プローブ車両の現在位置における進行方向と走行速度を検出することが記載されている。特許文献3には、交通流データを用い、仮想後続車両の走行を模擬する技術が開示されている。近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する研究開発が行われている。
[先行技術文献]
[特許文献]
特許文献1 特表2013-545176号公報
特許文献2 特開2014-115877号公報
特許文献3 特開2014-232497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、本技術においては、エネルギーの効率性を評価するために車両の走行を適切に模擬することが課題である。本願は上記課題の解決のため、交通流データから走行を模擬する車両の前方を走行する他車両を適正に選択する技術の達成を目的としたものである。そして、延いてはエネルギーの効率化に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、シミュレーション装置が提供される。前記シミュレーション装置は、実空間における複数の車両の実際の走行から取得される走行履歴の情報を含む交通流データに基づいて仮想車両の走行を模擬する。前記シミュレーション装置は、前記交通流データに基づいて仮想的に構築される再現空間において前記仮想車両の模擬走行計算を行う模擬走行計算部を備える。前記シミュレーション装置は、前記交通流データに基づいて前記再現空間内に再現される前記複数の車両に対応する再現車両のうち、前記仮想車両の模擬走行のために参照すべき先行車両を決定する先行車両決定部を備える。前記先行車両決定部は、前記再現車両のうち、前記仮想車両の進行方向とは異なる方向から前記仮想車両の走行路上にある交差点に進入する車両を、前記先行車両として決定する。
【0005】
上記のシミュレーション装置において、前記先行車両決定部は、前記再現車両のうち、前記交差点に進入した後の進出方向と前記仮想車両の進行方向との差が予め定められた値より小さい車両を、前記先行車両として決定してよい。
【0006】
上記いずれかのシミュレーション装置において、前記先行車両決定部は、前記再現車両のうち、前記仮想車両の走行路上にある交差点から予め定められた第1の範囲内に位置する車両の中から、前記先行車両を決定してよい。
【0007】
上記いずれかのシミュレーション装置において、前記先行車両決定部は、前記仮想車両の走行路上にある交差点のうち、前記仮想車両の進行方向における前記仮想車両から予め定められた第2の範囲内にある交差点を選択し、前記再現車両のうち、選択した交差点から予め定められた第1の範囲内に位置する車両の中から、前記先行車両を決定してよい。
【0008】
上記いずれかのシミュレーション装置において、前記先行車両決定部は、前記仮想車両の走行路上にある交差点のうち、前記仮想車両の走行路上に一時停止線又は信号が設置された交差点を除外して、前記先行車両を決定する処理を行ってよい。
【0009】
上記いずれかのシミュレーション装置において、前記先行車両決定部は、前記再現車両のうち、前記仮想車両の進行方向とは異なる方向から前記仮想車両の走行路上に一時停止線又は信号が設置された交差点に進入する車両を除外して、前記先行車両を決定する処理を行ってよい。
【0010】
本発明の第2の態様においては、シミュレーション方法が提供される。前記シミュレーション方法は、実空間における複数の車両の実際の走行から取得される走行履歴の情報を含む交通流データに基づいて仮想車両の走行を模擬する。前記シミュレーション方法は、前記交通流データに基づいて仮想的に構築される再現空間において前記仮想車両の模擬走行計算を行う段階を備える。前記シミュレーション方法は、前記交通流データに基づいて前記再現空間内に再現される前記複数の車両に対応する再現車両のうち、前記仮想車両の模擬走行のために参照すべき先行車両を決定する段階を備える。前記先行車両を決定する段階は、前記再現車両のうち、前記仮想車両の進行方向とは異なる方向から前記仮想車両の走行路上にある交差点に進入する車両を、前記先行車両として決定する。
【0011】
本発明の第3の態様においては、プログラムが提供される。前記プログラムは、コンピュータを、上記いずれかのシミュレーション装置として機能させる。
【0012】
上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態に係るシステム5の全体構成を示す図である。
図2】シミュレーション装置100の機能構成を示す。
図3】仮想車両30が走行している道路とは異なる道路から交差点に進入する再現車両20の中から先行車両を決定する方法を説明するための図である。
図4】仮想車両30が走行する道路に進入する再現車両20の中から先行車両候補を抽出する処理の対象とならない交差点の一例を模式的に示す。
図5】シミュレーション装置100が実行するシミュレーション方法に関する処理の手順を示すフローチャートである。
図6】先行車両を決定するための処理の実行手順を示すフローチャートである。
図7】コンピュータ2000の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0015】
図1は、一実施形態に係るシステム5の全体構成を示す図である。システム5は、シミュレーション装置100と、サーバ80とを備える。
【0016】
車両10a、車両10b及び車両10cは、実空間内を実際に走行する車両である。車両10aは、車載装置12aを備え、車両10bは車載装置12bを備え、車両10cは車載装置12cを備える。本実施形態において、車両10a、車両10b及び車両10cを「車両10」と総称する場合がある。本実施形態において、車載装置12a、車載装置12b及び車載装置12cを「車載装置12」と総称する場合がある。
【0017】
車載装置12は、それぞれの車両10の走行履歴情報を取得して、サーバ80に送信する。走行履歴情報は、例えば車両10内に設けられたセンサから取得したデータを含む。走行履歴情報は、予め定められた時間間隔で取得した車両10の位置、速度、灯体の点灯状態、及び時刻情報等を含んでよい。灯体は、例えば、車両10の制動灯、方向指示灯、非常点滅表示灯、駐車灯等であってよい。
【0018】
サーバ80は、車両10から送信された走行履歴情報を受信する。サーバ80は、車両10から受信した走行履歴情報に基づいて、交通流データを生成する。交通流データは、複数の時刻における車両10の位置、速度、灯体の点灯状態を示すデータであってよい。交通流データは、例えば、フローティングカーデータ(FCD)またはプローブカーデータなどと称されるデータであってよい。
【0019】
シミュレーション装置100は、サーバ80から取得した交通流データに基づいて、仮想車両30の走行を模擬する。例えば、シミュレーション装置100は、交通流データに基づいて、交通流データから再現される仮想的な再現空間において、仮想車両30の走行を模擬する。
【0020】
再現空間は、例えば、仮想的な地図上において、車両10aの位置に対応する位置に仮想的な再現車両20aをプロットし、車両10bの位置に対応する位置に仮想的な再現車両20bをプロットし、車両10cの位置に対応する位置に仮想的な再現車両20cをプロットした仮想的な二次元空間である。本実施形態において、再現車両20a、再現車両20b及び再現車両20cを「再現車両20」と総称する場合がある。再現車両20の灯体の点灯状態は、再現空間における再現車両20の属性情報として表現される。
【0021】
シミュレーション装置100は、仮想車両30の模擬走行の計算を行う場合、仮想車両30の前方を走行する再現車両20aの情報を参照して、模擬走行させる。一例として、シミュレーション装置100は、再現車両20aの位置を参照して、再現車両20aとの間に一定の車間距離が開いた状態で走行するように、仮想車両30の速度及び加速度の制御を逐次に行う。シミュレーション装置100は、再現車両20aの属性情報として制動灯の点灯されたときには、仮想車両30を模擬的に制動し、仮想車両30を減速させる。
【0022】
シミュレーション装置100は、仮想車両30の車両性能情報に基づいて、模擬走行における仮想車両30の運動状態を計算し、模擬走行における仮想車両30の単位消費電力当たりの走行距離(いわゆる電費)、バッテリ充電頻度、車体の構造疲労度等の、仮想車両30の走行特性を計算する。これにより、実際に試験用車両を製作して実空間で実走しなくても、実空間の交通流を考慮した電費を仮想的に評価することができる。したがって、実空間において電費が高い車両を設計することが容易となる。ひいては、エネルギーの効率化に寄与する。
【0023】
図2は、シミュレーション装置100の機能構成を示す。シミュレーション装置100は、処理部200と、記憶部280とを備える。処理部200は、模擬走行計算部220と、先行車両決定部240とを備える。
【0024】
シミュレーション装置100はコンピュータを含んで構成され得る。処理部200は、演算処理を行うCPU等のプロセッサにより実装されてよい。記憶部280は、フラッシュメモリ等の不揮発性記憶媒体、ランダムアクセスメモリ等の揮発性記憶媒体を含んでよい。シミュレーション装置100は、記憶部280に含まれる不揮発性記憶媒体に記憶されたプログラムに従って処理部200が動作することによって、各種の処理を実行してよい。
【0025】
シミュレーション装置100は、実空間における複数の車両10の実際の走行から取得される走行履歴の情報を含む交通流データに基づいて仮想車両30の走行を模擬する。模擬走行計算部220は、交通流データに基づいて仮想的に構築される再現空間において仮想車両30の模擬走行計算を行う。先行車両決定部240は、交通流データに基づいて再現空間内に再現される複数の車両10に対応する再現車両20のうち、仮想車両30の模擬走行のために参照すべき先行車両を決定する。先行車両決定部240は、再現車両20のうち、仮想車両30の進行方向とは異なる方向から仮想車両30の走行路上にある交差点に進入する車両を、先行車両として決定する。これにより、仮想車両30の走行路上にある交差点に進入する車両を先行車両となり得る車両として特定することができる。したがって、仮想車両30が交差点に差し掛かる前に減速したり、再現車両20が交差点に差し掛かる前に交差点を通過したりするような、実空間において行われるドライバー操作を模擬走行計算で行うことが可能になる。そのため、実空間の走行に即した態様で走行性能を評価することができる。
【0026】
先行車両決定部240は、再現車両20のうち、交差点に進入した後の進出方向と仮想車両30の進行方向との差が予め定められた値より小さい車両を、先行車両として決定する。これにより、交差点には進入するが、仮想車両30とは異なる方向に進む再現車両20を、先行車両の対象から除外することができる。これにより、先行車両の決定精度を高めることができる。
【0027】
先行車両決定部240は、再現車両20のうち、仮想車両30の走行路上にある交差点から予め定められた第1の範囲内に位置する車両の中から、先行車両を決定する。これにより、第1の範囲外の再現車両20を先行車両とするか否かを判断するための演算を省略することができる。したがって、シミュレーション装置100における処理負荷を軽減することができる。
【0028】
先行車両決定部240は、仮想車両30の走行路上にある交差点のうち、仮想車両30の進行方向における仮想車両30から予め定められた第2の範囲内にある交差点を選択し、再現車両20のうち、選択した交差点から予め定められた第1の範囲内に位置する車両の中から、先行車両を決定する。これにより、仮想車両30の後方にある交差点や、仮想車両30から距離の離れた交差点に関する処理を省略することができる。そのため、模擬走行計算において必要となる仮想車両30の進行方向前方かつ予め定められた範囲内の交差点を対象として先行車両を決定する処理を行うことで、シミュレーション装置100における処理負荷を軽減することができる。
【0029】
先行車両決定部240は、仮想車両30の走行路上にある交差点のうち、仮想車両30の走行路上に一時停止線又は信号が設置された交差点を除外して、先行車両を決定する処理を行う。先行車両決定部240は、再現車両20のうち、仮想車両30の進行方向とは異なる方向から仮想車両30の走行路上に一時停止線又は信号が設置された交差点に進入する車両を除外して、先行車両を決定する処理を行う。このように、一時停止線や交通信号機のある交差点については、交差点に進入する車両を先行車両とするか否かの対象外とすることで、仮想車両30が交差点を通過する直前に再現車両20が交差点に進入してきた場合に、その再現車両20を先行車両として判断してしまい、仮想車両30が急制動を掛けたるような制御が行われないようにすることができる。
【0030】
図3は、仮想車両30が走行している道路とは異なる道路から交差点に進入する再現車両20の中から先行車両を決定する方法を説明するための図である。図3に示されるように、道路31は道路32及び道路33と互いに異なる場所で交差している。道路31には、道路32との交差点に交通信号機及び停止線が設けられていないとする。道路31には、道路33との交差点にも交通信号機及び停止表示が設けられていないとする。
【0031】
図3に示す再現空間では、再現車両20aが、道路32上を走行しており、再現車両20b及び再現車両20cが道路33上を走行している。図3は、この再現空間において仮想車両30が道路31上を模擬走行する状態を示す。
【0032】
先行車両決定部240は、仮想車両30の進行方向において、仮想車両30の現在位置から半径R2の範囲370内に交差点が存在するか否かを判断する。R2は、例えば100mであってよい。図3の例では、先行車両決定部240は、道路31と道路32との交差点、及び、道路31と道路33との交差点が、半径R2の範囲370内に存在すると判断する。
【0033】
先行車両決定部240は、仮想車両30の現在位置から半径R1の範囲370内に交差点が存在する場合、当該交差点から半径R2の範囲内に再現車両20が存在するか否かを判断する。R1は、例えば30mである。図3の例では、先行車両決定部240は、道路31と道路32との交差点から半径R1の範囲350内に再現車両20aが存在すると判断し、道路31と道路33との交差点から半径R1の範囲360内に再現車両20b及び再現車両20cが存在すると判断する。
【0034】
交差点から半径R1の範囲内に再現車両20が存在すると判断した場合、先行車両決定部240は、仮想車両30の移動方向ベクトルを算出する。更に、先行車両決定部240は、交差点から半径R2の範囲内に存在する再現車両20の走行履歴情報を取得する。先行車両決定部240は、走行履歴情報に基づいて、交差点から半径R2の範囲内に存在する再現車両20が交差点に進入するときの移動方向ベクトルを、進入ベクトルとして算出する。図3の例では、先行車両決定部240は、再現車両20aの進入ベクトル320a、再現車両20bの進入ベクトル320b、及び再現車両20cの進入ベクトル320cを算出する。進入ベクトルは、交差点から半径R1の範囲内に存在する再現車両20の現時点における移動方向ベクトルであってよい。進入ベクトルは、再現車両20が道路31から予め定められた距離だけ離れた位置における再現車両20の移動方向ベクトルであってよい。進入ベクトルは、再現車両20が道路31に進入するタイミングにおける再現車両20の移動方向ベクトルであってよい。
【0035】
移動方向ベクトルは、各車両の移動方向を表すベクトルである。注目時刻における仮想車両30の移動方向ベクトルは、注目時刻における仮想車両30の位置と、一つ前の時刻における仮想車両30の位置と差から算出され得る。同様に、注目時刻における再現車両20の移動方向ベクトルは、注目時刻における再現車両20の位置と、一つ前の時刻における再現車両20の位置と差から算出され得る。
【0036】
先行車両決定部240は、再現車両20aの進入ベクトル320a、再現車両20bの進入ベクトル320b、及び再現車両20cの進入ベクトル320cのそれぞれについて、仮想車両30の移動方向ベクトル330となす角度が予め定められた第1の角度閾値以上であるか否かを判断する。先行車両決定部240は、仮想車両30の移動方向ベクトル330となす角度が予め定められた第1の角度閾値以上の進入ベクトルを持つ再現車両20を、先行車両候補として抽出する。図3の例では、先行車両決定部240は、再現車両20a、再現車両20b及び再現車両20cを先行車両候補として抽出する。第1の角度閾値は、例えば20°等の値であってよい。
【0037】
先行車両決定部240は、走行履歴情報に基づいて、道路31への進入後における再現車両20の移動方向ベクトルを、進出ベクトルとして算出する。図3の例では、先行車両決定部240は、再現車両20aの進出ベクトル322a、再現車両20bの進出ベクトル322b、及び再現車両20cの進出ベクトル322cを算出する。進出ベクトルは、再現車両20が道路31に進入した後に予め定められた距離だけ走行した位置における再現車両20の移動方向ベクトルであってよい。
【0038】
先行車両決定部240は、再現車両20aの進出ベクトル322a、再現車両20bの進出ベクトル322b、及び再現車両20cの進出ベクトル322cのそれぞれについて、仮想車両30の移動方向ベクトル330となす角度が予め定められた第2の角度閾値以下であるか否かを判断する。先行車両決定部240は、仮想車両30の移動方向ベクトル330となす角度が予め定められた第2の角度閾値以上の進出ベクトルを持つ再現車両20を、先行車両として抽出する。第2の角度閾値は、例えば20°等の値であってよい。図3の例では、再現車両20bの進出ベクトル322bは仮想車両30の移動方向ベクトル330とは実質的に逆向きであるので、先行車両決定部240は再現車両20bを先行車両として決定しない。図3の例では、先行車両決定部240は、仮想車両30の移動方向ベクトル330となす角度が予め定められた第2の角度閾値以上の進出ベクトルを持つ再現車両20は、再現車両20a及び再現車両20cの2台であると判断する。
【0039】
仮想車両30の移動方向ベクトル330となす角度が予め定められた第2の角度閾値以上の進出ベクトルを持つ複数の再現車両20が存在する場合、先行車両決定部240は、走行履歴情報に基づいて、当該複数の再現車両20のうち、道路31に到達するタイミングが最も早い再現車両20を、先行車両として決定してよい。図3の例では、先行車両決定部240は、再現車両20aを、先行車両として決定する。
【0040】
図4は、仮想車両30が走行する道路に進入する再現車両20の中から先行車両候補を抽出する処理の対象とならない交差点の一例を模式的に示す。図4に示す再現空間では、再現車両20aが、道路42上を走行しており、再現車両20bが道路43上を走行している。図4は、この再現空間において仮想車両30が道路41上を模擬走行する状態を示す。
【0041】
道路41には、一時停止すべきことを指定する道路標識等による停止線410が道路42との交差点に設けられている。道路41には、道路43との交差点に交通信号機420が設けられている。道路41と道路42との交差点及び道路41と道路43との交差点はいずれも、仮想車両30の現在位置から半径R2の範囲470内に存在する。しかし、先行車両決定部240は、停止線410又は交通信号機420が設けられた交差点については、先行車両候補を選択する処理を行わない。つまり、先行車両決定部240は、停止線410又は交通信号機420が設けられた交差点に進入する再現車両20a及び再現車両20bについては、先行車両候補として抽出される対象から除外する。
【0042】
実空間において、例えば道路41を走行する車両が停止線410で停止している場合、道路42から道路41に進入する車両に譲ってもらったり減速してもらえる場合がある。また、停止線410で停止している車両は、道路42から道路41に進入する車両の合間をぬって発進する場合もある。しかし、交通流データを用いるシミュレーションにおいては、そのような対応をとることができないので、交差点から半径R1以内に再現車両20が存在する限り、仮想車両30は交差点に進入せずに停止し続けることになってしまい、現実に対応する模擬走行を行うことができない。同様に、交通信号機が設けられた交差点については、シミュレーションにおいて交通信号機の停止表示を判別できない場合においては、赤信号で停車している再現車両20が存在する場合は、再現車両20が停車している期間は交差点から半径R1以内に再現車両20が存在し続けることとなる。そのため、仮想車両30は交差点に進入せずに停止することになってしまい、現実に対応する模擬走行を行うことができない。そのため、停止線又は交通信号機が設けられた交差点で交差する道路については、先行車両候補を抽出する処理の対象とはせずにシミュレーションを行うことが望ましい。
【0043】
各交差点に停止線及び交通信号機が設けられているか否かの情報は、模擬走行計算を行う前に予め設定されてよい。先行車両決定部240は、交通流データに基づいて、複数の再現車両20が列をなして停車する状態が定期的に発生する場所を特定し、特定した場所に交通信号機が設けられていると判断してよい。先行車両決定部240は、交通流データに基づいて、交差点を通過する前に再現車両20が一時停止している場所を特定し、特定した場所に停止線が設けられていると判断してよい。
【0044】
図5は、シミュレーション装置100が実行するシミュレーション方法に関する処理の手順を示すフローチャートである。本処理が開始すると、S502において、模擬走行計算部220は、仮想車両30の車両性能情報及び計画経路情報を、記憶部280から取得する。
【0045】
車両性能情報は、仮想車両の車両性能についての情報である。例えば、車両性能情報は、仮想車両が備える駆動モータ、バッテリ、及び電気装備等の電気的特性についての情報、並びに、仮想車両の重量、サイズ、および車輪摩擦係数等の機械的特性についての情報を含んでよい。計画経路情報は、再現空間内において仮想車両に走行させる経路として予め計画された地図上の始点と終点を結ぶ経路である計画経路の情報を含んでよい。
【0046】
S504において、模擬走行計算部220は、記憶部280に記憶された交通流データから、一の時刻における交通流データを読み込んで再現空間を構築し、再現空間内において仮想車両30を単位時間だけ模擬走行させる。ここで、単位時間は、交通流データの記録時刻の間隔でなくてもよい。模擬走行計算部220は、記憶部280に記憶された計画経路情報が示す計画経路に沿って、車両性能情報が示す車両性能に基づいて、模擬走行計算を行う。
【0047】
S506において、模擬走行計算部220は、模擬走行計算によって得られた仮想車両30の現在位置に基づいて、仮想車両30が計画経路の終点に到着したか否かを判断する。仮想車両30が計画経路の終点に到着したと判断される場合、本フローチャートの処理を終了する。この場合、シミュレーション装置100は、計画経路を模擬走行した期間における仮想車両30の各種走行データに基づいて、仮想車両30の電費情報等の走行特性を計算して、外部に出力してよい。
【0048】
S506において仮想車両30が計画経路の終点に到着していないと判断した場合、S512において、先行車両決定部240は、再現車両20の中から、先行車両を決定するための処理を行う。S512の処理については、図6に関連して説明する。
【0049】
S512において先行車両を決定するための処理が完了すると、S504に移行する。S512で先行車両が決定された場合、模擬走行計算部220は、決定された先行車両を参照して次の時間ステップにおける模擬走行計算を行う。例えば、模擬走行計算部220は、交通流データから次の時間ステップのデータを読み込み、再現空間の現在時刻を進め、決定された先行車両を参照して模擬走行計算を行う。S512で先行車両が決定されなかった場合、S504において、模擬走行計算部220は、先行車両なしで次の時間ステップにおける模擬走行計算を行う。例えば、模擬走行計算部220は、交通流データから次の時間ステップのデータを読み込み、再現空間の現在時刻を進め、先行車両なしで模擬走行計算を行う。
【0050】
図6は、先行車両を決定するための処理の実行手順を示すフローチャートである。具体的には、図6は、仮想車両30が交差点付近を走行している場合に先行車両を選択する処理に関するフローチャートである。図6の処理は、S512の処理の少なくとも一部として適用可能である。
【0051】
S532において、先行車両決定部240は、停止線及び交通信号機のいずれも存在しない交差点の位置情報を取得する。S534において、先行車両決定部240は、仮想車両30の現在位置から交差点までの距離が100m以下であるかを判断する。つまり、先行車両決定部240は、図3等に関連して説明したように、仮想車両30の現在位置から半径R2の範囲内に交差点が存在するか否かを判断する。仮想車両30の現在位置から交差点までの距離が100mを超える場合、本フローチャートの処理を終了する。この場合、仮想車両30が走行する道路に進入する再現車両20は先行車両として決定されない。
【0052】
仮想車両30の現在位置から交差点までの距離が100m以内の場合、S536において、先行車両決定部240は、交差点から再現車両20までの距離が30m以内であるか否かを判断する。つまり、先行車両決定部240は、図3等に関連して説明したように、交差点から半径R1の範囲内に再現車両20が存在するか否かを判断する。交差点から再現車両20までの距離が30mを超える場合、本フローチャートの処理を終了する。この場合、仮想車両30が走行する道路に進入する再現車両20は先行車両として決定されない。
【0053】
S536において交差点から再現車両20までの距離が30m以内であると判断された場合、S538において、先行車両決定部240は、仮想車両30の移動方向ベクトルを取得する。続いて、先行車両決定部240は、S540において、交差点から30m以内に存在する再現車両20の進入ベクトルを取得し、S542において、交差点から30m以内に存在する再現車両20の進出ベクトルを取得する。
【0054】
S544において、先行車両決定部240は、仮想車両30の移動方向ベクトルが再現車両20の進入ベクトルと相違するか否かを判断する。例えば、図3に関連して説明したように、先行車両決定部240は、仮想車両30の移動方向ベクトルと再現車両20の進入ベクトルとがなす角度が第1の角度閾値以上であるか否かを判断する。仮想車両30の移動方向ベクトルが再現車両20の進入ベクトルと相違しない場合、本フローチャートの処理を終了する。この場合、仮想車両30が走行する道路に進入する再現車両20は先行車両として決定されない。
【0055】
S544において仮想車両30の移動方向ベクトルが再現車両20の進入ベクトルと相違する場合、先行車両決定部240は、S546において、仮想車両30の移動方向ベクトルと相違する再現車両20の進入ベクトルを持つ再現車両20を、先行車両候補として抽出する。
【0056】
続いて、S548において、先行車両決定部240は、先行車両候補として抽出した再現車両20の進出ベクトルが仮想車両30の移動方向ベクトルと整合しているか否かを判断する。例えば、図3に関連して説明したように、先行車両決定部240は、仮想車両30の移動方向ベクトルと再現車両20の進出ベクトルとがなす角度が第2の角度閾値以下であるか否かを判断する。先行車両候補として抽出した再現車両20の進出ベクトルが仮想車両30の移動方向ベクトルと整合していない場合、S562において、先行車両決定部240は、S546で抽出した再現車両20を先行車両候補から除外し、本フローチャートの処理を終了する。この場合、仮想車両30が走行する道路に進入する再現車両20は先行車両として決定されない。
【0057】
S548において先行車両候補として抽出した再現車両20の進出ベクトルが仮想車両30の移動方向ベクトルと整合していると判断した場合、S550において、仮想車両30の移動方向ベクトルと整合する進出ベクトルを持つ再現車両20を先行車両として選択し、本フローチャートの処理を終了する。
【0058】
本実施形態に係るシミュレーション装置100によれば、信号や一時停止がない交差点から仮想車両30が走行する道路に進入してくる再現車両20の中から、先行車両を適切に選択することができる。これにより、自車は、脇道から流入する他車を無視することなく、実際の交通流に即した模擬走行計算を行うことができる。これにより、実際の交通流に即した環境における車両の走行性能の予測精度を高めることができる。
【0059】
図7は、本発明の複数の実施形態が全体的又は部分的に具現化され得るコンピュータ2000の例を示す。コンピュータ2000にインストールされたプログラムは、コンピュータ2000を、実施形態に係るシステム5等のシステム又はシステムの各部、もしくはシミュレーション装置100等の装置又は当該装置の各部として機能させる、当該システム又はシステムの各部もしくは当該装置又は当該装置の各部に関連付けられるオペレーションを実行させる、及び/又は、実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ2000に、本明細書に記載の処理手順及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU2012によって実行されてよい。
【0060】
本実施形態によるコンピュータ2000は、CPU2012、及びRAM2014を含み、それらはホストコントローラ2010によって相互に接続されている。コンピュータ2000はまた、ROM2026、フラッシュメモリ2024、通信インタフェース2022、及び入力/出力チップ2040を含む。ROM2026、フラッシュメモリ2024、通信インタフェース2022、及び入力/出力チップ2040は、入力/出力コントローラ2020を介してホストコントローラ2010に接続されている。
【0061】
CPU2012は、ROM2026及びRAM2014内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。
【0062】
通信インタフェース2022は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。フラッシュメモリ2024は、コンピュータ2000内のCPU2012によって使用されるプログラム及びデータを格納する。ROM2026は、アクティブ化時にコンピュータ2000によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ2000のハードウエアに依存するプログラムを格納する。入力/出力チップ2040はまた、キーボード、マウス及びモニタ等の様々な入力/出力ユニットをシリアルポート、パラレルポート、キーボードポート、マウスポート、モニタポート、USBポート、HDMI(登録商標)ポート等の入力/出力ポートを介して、入力/出力コントローラ2020に接続してよい。
【0063】
プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM、又はメモリカードのようなコンピュータ可読記憶媒体又はネットワークを介して提供される。RAM2014、ROM2026、又はフラッシュメモリ2024は、コンピュータ可読記憶媒体の例である。プログラムは、フラッシュメモリ2024、RAM2014、又はROM2026にインストールされ、CPU2012によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ2000に読み取られ、プログラムと上記様々なタイプのハードウエアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ2000の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0064】
例えば、コンピュータ2000及び外部デバイス間で通信が実行される場合、CPU2012は、RAM2014にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース2022に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース2022は、CPU2012の制御下、RAM2014及びフラッシュメモリ2024のような記録媒体内に提供される送信バッファ処理領域に格納された送信データを読み取り、読み取った送信データをネットワークに送信し、ネットワークから受信された受信データを、記録媒体上に提供される受信バッファ処理領域等に書き込む。
【0065】
また、CPU2012は、フラッシュメモリ2024等のような記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM2014に読み取られるようにし、RAM2014上のデータに対し様々な種類の処理を実行してよい。CPU2012は次に、処理されたデータを記録媒体にライトバックする。
【0066】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理にかけられてよい。CPU2012は、RAM2014から読み取られたデータに対し、本明細書に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々な種類のオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々な種類の処理を実行してよく、結果をRAM2014にライトバックする。また、CPU2012は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU2012は、第1の属性の属性値が指定されている、条件に一致するエントリを当該複数のエントリの中から検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0067】
上で説明したプログラム又はソフトウエアモジュールは、コンピュータ2000上又はコンピュータ2000近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバーシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能である。コンピュータ可読記憶媒体に格納されたプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ2000に提供してよい。
【0068】
コンピュータ2000にインストールされ、コンピュータ2000をシミュレーション装置100として機能させるプログラムは、CPU2012等に働きかけて、コンピュータ2000を、シミュレーション装置100の各部としてそれぞれ機能させてよい。これらのプログラムに記述された情報処理は、コンピュータ2000に読込まれることにより、ソフトウェアと上述した各種のハードウエア資源とが協働した具体的手段であるシミュレーション装置100の各部として機能する。そして、これらの具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ2000の使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより、使用目的に応じた特有のシミュレーション装置100が構築される。
【0069】
様々な実施形態が、ブロック図等を参照して説明された。ブロック図において各ブロックは、(1)オペレーションが実行されるプロセスの段階又は(2)オペレーションを実行する役割を持つ装置の各部を表わしてよい。特定の段階及び各部が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウエア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、論理AND、論理OR、論理XOR、論理NAND、論理NOR、及び他の論理オペレーション、フリップフロップ、レジスタ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)等のようなメモリ要素等を含む、再構成可能なハードウエア回路を含んでよい。
【0070】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、処理手順又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段をもたらすべく実行され得る命令を含む製品の少なくとも一部を構成する。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0071】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0072】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ又はプログラマブル回路に対し、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して提供され、説明された処理手順又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段をもたらすべく、コンピュータ可読命令を実行してよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0073】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0074】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の序順で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0075】
5 システム
10 車両
12 車載装置
20 再現車両
30 仮想車両
31 道路
32 道路
33 道路
41 道路
42 道路
43 道路
80 サーバ
100 シミュレーション装置
200 処理部
220 模擬走行計算部
240 先行車両決定部
280 記憶部
320 進入ベクトル
322 進出ベクトル
330 移動方向ベクトル
350 範囲
360 範囲
370 範囲
410 停止線
420 交通信号機
470 範囲
2000 コンピュータ
2010 ホストコントローラ
2012 CPU
2014 RAM
2020 入力/出力コントローラ
2022 通信インタフェース
2024 フラッシュメモリ
2026 ROM
2040 入力/出力チップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7