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特開2024-42594情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042594
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20240321BHJP
【FI】
G06Q10/00 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147411
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118876
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 順生
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】木下 英治
(72)【発明者】
【氏名】長坂 真理
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】
【課題】保守サービスの評価を行うことを支援する情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】本実施形態に係る情報処理装置は、1つ以上の保守対象設備の保守作業に必要な時間及び人数の少なくとも一方に関する第1情報と、前記保守作業を行うことが可能な保守員の作業能力に関する第2情報とに基づき、前記1つ以上の保守対象設備を保守する保守サービスの評価指標を算出し、前記保守対象設備及び前記保守員の少なくとも一方に関する少なくとも1つのイベントに基づいて、前記第1情報及び前記第2情報の少なくとも一方を更新し、前記少なくとも一方が更新された第1情報及び第2情報に基づいて、前記評価指標を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の保守対象設備の保守作業に必要な時間及び人数の少なくとも一方に関する第1情報と、前記保守作業を行うことが可能な保守員の作業能力に関する第2情報とに基づき、前記1つ以上の保守対象設備を保守する保守サービスの評価指標を算出し、前記保守対象設備及び前記保守員の少なくとも一方に関する少なくとも1つのイベントに基づいて、前記第1情報及び前記第2情報の少なくとも一方を更新し、前記少なくとも一方が更新された第1情報及び第2情報に基づいて、前記評価指標を算出する、処理部
を備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記第2情報は、複数の前記保守員が、複数の組織のいずれかに属するかを含み、
前記少なくとも1つの保守対象設備は、複数の保守対象設備を含み、
前記第1情報は、前記複数の保守対象設備は、前記複数の組織のうちのいずれによって保守されるかを含み、
前記処理部は、前記組織ごとに前記評価指標を算出する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、イベントが発生する時期が設定された複数の前記イベントを設定し、
前記処理部は、複数の期間ごとに前記期間に含まれる時期を有する前記イベントのみに基づいて、前記第1情報及び前記第2情報の少なくとも一方を更新して、前記評価指標を算出する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記処理部は、設定した前記イベントに基づいてシミュレーション設定を生成し、
前記処理部は、前記複数の期間ごとに前記期間に含まれる時期を有する前記イベントのみに基づいて、前記シミュレーション設定を生成し、
前記処理部は、前記複数の期間ごとに、前記シミュレーション設定に基づき、前記第1情報及び前記第2情報の少なくとも一方を更新して、前記評価指標を算出する
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記作業能力は、前記保守員が前記保守作業を行う能力が高いほど大きい又は小さい値であり、
前記処理部は、前記1つ以上の保守対象設備に対する複数回の前記保守作業に必要な時間を総和した総和時間と、複数の前記保守員の作業能力を総和した総和能力との演算により前記評価指標を算出する
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記組織が保守する必要のある前記保守対象設備に対する複数回の前記保守作業について前記組織の拠点と前記保守対象設備の設置場所との間の移動に要する時間の総和に基づいて、前記組織の前記評価指標を算出する
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第2情報は、複数の前記保守員の作業能力を含み、
前記処理部は、前記保守サービスを行う第1の期間に対して前記評価指標を算出し、前記第1の期間より後の第2の期間に対して前記評価指標を算出し、
前記処理部は、前記第2の期間における前記保守員の作業能力を前記第1の期間における前記保守員の作業能力よりも高い値に更新する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記イベントは、前記保守作業の対象となる新たな保守対象設備が増加又は減少するイベントである
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記イベントは、前記保守作業を行うことが可能な新たな保守員が増加又は減少するイベントである
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記第1情報は、前記保守作業を行う回数に関する情報を含み、
前記イベントは、前記保守作業を行う回数が増加又は減少するイベントである
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記処理部は、前記保守員が前記保守作業を経験した時間長に応じて前記保守員の能力を高くする
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記処理部は、
前記第1情報及び前記第2情報に基づき前記評価指標を算出する指標算出部と、
前記イベントを設定するイベント設定部と、
前記イベント設定部により設定された前記イベントに基づき、前記第1情報及び前記第2情報の少なくとも一方を更新するイベント適用部と、
を備えた請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記イベント設定部は、ユーザの指示に基づき前記イベントを設定する
請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
1つ以上の保守対象設備の保守作業に必要な時間及び人数の少なくとも一方に関する第1情報と、前記保守作業を行うことが可能な保守員の作業能力に関する第2情報とに基づき、前記1つ以上の保守対象設備を保守する保守サービスの評価指標を算出し、
前記保守対象設備及び前記保守員の少なくとも一方に関する少なくとも1つのイベントに基づいて前記第1情報及び前記第2情報の少なくとも一方を更新し、前記少なくとも一方が更新された前記第1情報及び前記第2情報に基づいて前記評価指標を算出する
情報処理方法。
【請求項15】
1つ以上の保守対象設備の保守作業に必要な時間及び人数の少なくとも一方に関する第1情報と、前記保守作業を行うことが可能な保守員の作業能力に関する第2情報とに基づき、前記1つ以上の保守対象設備を保守する保守サービスの評価指標を算出するステップと、
前記保守対象設備及び前記保守員の少なくとも一方に関する少なくとも1つのイベントに基づいて前記第1情報及び前記第2情報の少なくとも一方を更新し、前記少なくとも一方が更新された前記第1情報及び前記第2情報に基づいて前記評価指標を算出するステップと、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、情報処理装置、情報処理方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インフラ設備には、太陽光発電設備やビル設備など、比較的小規模な設備が各地に分散して存在するものがある。そのような設備では、設備を実際に保守する者(エンジニア)が当該設備に常駐していることは少なく、当該設備の管理者が、定期的な保守サービスを専門の保守事業者に依頼する場合が多い。保守事業者は、各地に拠点(組織)を設け、各拠点から各設備にエンジニアを送り、保守サービス(保守事業)を行う。
【0003】
保守事業者にとって、効率的な保守事業を行うためには、各組織が担う仕事量などの指標に、できるだけ偏りがないことが望ましい。そのためには、対象設備に関する情報、人員や拠点を含めた組織に関する情報、保守作業やその結果に関する情報などに基づき、複数の組織にどのように人員を割り振るかを定めた人事計画を作成することが重要である。
【0004】
ビル設備などでは、建物の建築にある程度の期間を要するため、実施する保守事業における将来的に必要となる作業が事前に分かることが多い。例えば、エレベータ、ビル空調、ビル照明等の設置および保守を行う事業者は、建物が完成する前に、当該建物に自身の設備が採用されることが分かっており、当該設備の保守のために必要な作業も分かっている。そのため、保守事業者は、蓄積された過去の情報のみならず、将来の設備の情報、さらに、自身の計画(都合)の情報などに基づき、人事計画を作成することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-323162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態は、保守サービスの評価を行うことを支援する情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本実施形態に係る情報処理装置は、1つ以上の保守対象設備の保守作業に必要な時間及び人数の少なくとも一方に関する第1情報と、前記保守作業を行うことが可能な保守員の作業能力に関する第2情報とに基づき、前記1つ以上の保守対象設備を保守する保守サービスの評価指標を算出し、前記保守対象設備及び前記保守員の少なくとも一方に関する少なくとも1つのイベントに基づいて、前記第1情報及び前記第2情報の少なくとも一方を更新し、前記少なくとも一方が更新された第1情報及び第2情報に基づいて、前記評価指標を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る情報処理装置のブロック図。
図2】設備情報の一例を示す図。
図3】組織情報の一例を示す図。
図4】期間情報の一例を示す図。
図5】イベント情報の一例を示す図。
図6】シミュレーション設定の一例を示す図。
図7A】業務指標算出部が行う作業時間算出処理の一例を示す図。
図7B】業務指標算出部が行う作業時間算出処理の別の例を示す図。
図8A】業務指標算出部が行う能力算出処理の一例を示す図。
図8B】業務指標算出部が行う能力算出処理の別の例を示す図。
図9】業務指標算出部の出力結果の一例を示す図。
図10】入出力部のGUIの一例を示す図。
図11】シミュレーション部が実行する処理のフローチャート。
図12】シミュレーション設定の他の例を示す図。
図13】本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1は、第1実施形態に係る情報処理装置10のブロック図である。情報処理装置10は、処理部100と、入出力部113(GUI)と、出力結果記憶部108とを備える。処理部100は、シミュレーション設定部103と、シミュレーション部112とを備える。
【0011】
ここで、情報処理装置10の全体像について説明する。情報処理装置10は、各地に散在する設備の保守のために、各地の拠点(組織)にどのように人員を割り振るかを定めた人事計画を作成するための装置である。
【0012】
シミュレーション部112は、人事計画作成のために、組織毎に保守サービスの評価指標(以下、業務指標)を算出する。
【0013】
シミュレーション設定部103は、シミュレーション部112が行うシミュレーションのために必要な設定を含む1つ以上のシミュレーション設定を生成する。
【0014】
入出力部113は、本装置10のオペレータであるユーザがデータを入力し、ユーザにデータを表示するためのGUI(Graphic User Interface)である。入出力部113は、シミュレーション部112の出力結果を出力結果記憶部108を介して受領して表示したり、また、ユーザからシミュレーション設定部103によるシミュレーション設定の生成または変更に必要な情報を受領する。本実施形態では入出力部113はユーザからデータまたは指示を受け取るが、入出力部113と通信可能な外部装置からデータまたは指示を受け取ってもよい。
【0015】
シミュレーション部112は、あるシミュレーション設定を反映させた設備情報および組織情報に基づいて、各組織毎の業務指標を算出する。
【0016】
設備情報とは、ある事業者が保守サービスを提供する設備(保守対象設備)および、ある事業者がそれぞれの設備に対して行う保守作業(作業)に関する情報(第1情報)である。設備情報(第1情報)は、例えば、保守対象設備の保守を担当する組織、年間の保守作業の契約回数、保守対象設備の保守作業に1回あたり必要な時間及び人数の少なくとも一方などを含む。詳細は後述する。
【0017】
組織情報とは、保守サービスを実際に実施する保守員(エンジニア)および組織の拠点などの情報(第2情報)である。組織情報は、例えば、組織の拠点の位置、各保守員がどの組織に属するか、保守員の作業能力に関する情報を含む。
【0018】
設備情報記憶部101は、設備情報を格納する。
図2は、設備情報記憶部101に格納される設備情報の一例を示す図である。設備情報は、例えば、設備テーブル301と、作業テーブル302と、型式補正係数303を含む。
【0019】
設備テーブル301は、ある保守対象設備に関する情報を格納する。
図2では、設備テーブル301には、F1~F15のIDで指定される15個の設備の情報が示されている。項目としては、ある保守対象設備を担当する「組織」、当該設備に作業を行う回数である「契約回数」、作業を行う場合に必要となる保守エンジニアの「人数」、当該設備の「型式」、当該設備が存在する場所として「緯度」、「経度」などの位置情報が含まれる。設備テーブル301は、上記以外の項目を含んでもよい。例えば、設備テーブル301は、設備が導入された時期(年月日)を含んでもよい。作業の回数は本実施形態では1年あたりに行う回数である。
【0020】
作業テーブル302は、作業に関する情報を格納する。
図2では、T1~T3のIDで指定される3つの作業の情報が示されている。項目としては、ある作業が実行される頻度を表す「作業回数」、当該作業の1回の所要時間を示す「時間」、人数補正を行うかの2値のフラグ、型式補正を行うかの2値のフラグなどが含まれる。ここで、「作業回数」が「契約」の場合は、設備テーブル301の契約回数に従った作業回数となることを表している。また、人数補正=Yの作業は、2人以上必要な作業であり、設備テーブル301の人数に従った作業人数で行われることを表している。人数補正=Nの作業は1人で行われる。作業は、例えば、法定作業を含む。時間は、現地で行う作業の所要時間でもよいし、設備に向かうまでの移動時間を含んでもよい。型式補正=Yは、設備の種類によって作業の所要時間を補正することを表す。型式補正=Nは、設備の種類に拘わらず作業の所要時間を補正しないことを表す。
【0021】
型式補正係数303は、設備の種類によって作業の所要時間を補正するための係数である。作業テーブル302において型式補正=Yの作業は、型式補正係数303に従って作業の所要時間を補正することを表している。例えば、図2の例では、型式V200の設備に関する作業は、型式V100の設備に関する作業に比べて、1.1倍の時間がかかる。型式補正係数は、例えば、ユーザの過去の経験に基づいて決定されてもよい。
【0022】
なお人数および型式以外についても、補正係数が導入されてもよい。例えば、設備の経年劣化を考慮した係数が導入されてもよい。
【0023】
例えば、設備テーブル301には、設備F1は、組織O1が担当し、型式はV100であり、・・・ということが示されている。そして、例えば、作業テーブル302には、作業T1は、作業回数が契約によって決定され、1回の所要時間が60分であり、人数補正は行うが型式補正は行わない、ということが示されている。また、組織O1は設備F1~F5を担当し、組織O2は設備F6~F10を担当し、組織O3は設備F11~F15を担当していることが示されている。設備テーブル301に含まれる契約回数は、契約によって定められた作業の回数である。設備テーブル301の設備F1~F15のそれぞれごとに、作業T1~T3が行われる。例えば設備F11には、契約で定められた12回の作業T1と、年1回の作業T2と、年2回の作業T3が行われる。
【0024】
組織情報記憶部102は、組織情報を格納する。
図3は、組織情報記憶部102に格納される組織情報の例を示す図である。組織情報は、例えば、位置情報401と、エンジニア情報402と、能力情報403と、を含む。
【0025】
位置情報401は、各組織の拠点の位置に関する情報を格納する。図3では、緯度経度情報が格納されており、O1~O3のIDで指定される3つの組織の拠点が示されている。
【0026】
エンジニア情報402は、各保守エンジニアに関する情報を格納する。図3では、W1~W8のIDで指定される8人のエンジニアの入社年と所属組織が格納されている。例えば、エンジニアW1は、2010年入社で、組織O1に属していることが示されている。
【0027】
能力情報403は、経験年数など保守作業を経験した時間長によって作業能力がどのように変化するかを表す係数が格納されている。例えば、経験年数が満3年(入社してから4年目)以降のエンジニアを1人前とみなし、経験年数が満2年のエンジニアは、同じ作業時間で1人前のエンジニアの80%分の作業しか行えない(あるいは、行ってはいけない)ことが示されている。
【0028】
シミュレーション設定部103は、シミュレーションのための設定(シミュレーション設定)を生成する。シミュレーション設定は、あるイベントに関する情報(イベント情報)と、当該イベントが発生する期間(時期)、および組織に関する情報(対象範囲情報)との組み合わせを含む。詳しくは後述する。シミュレーション設定部103は、期間情報記憶部104と、イベント情報記憶部105と、を備える。
【0029】
期間情報記憶部104は、期間情報を格納する。期間情報は、シミュレーションの対象の期間を示す情報である。
図4は、期間情報記憶部104に格納されている期間情報501の一例を示したものである。図4の例では、2021年と2022年の2年分の期間(区分)がシミュレーション対象期間(対象期間)となっている。対象期間はユーザによって設定され、より長い期間を対象期間としてもよい。対象期間はシミュレーションを行う時点より後の期間であっても、前の期間であってもよい。
【0030】
また、現時点でのシミュレーションの対象区分が2021年であることが矢印で示されている。ここで、同じ区分内では、設備および組織の状態が変化しないものとして扱われる。区分は、任意の期間を単位としてよい。図4の例では、区分は1年単位であるが、区分は月単位でもよいし、四半期単位でもよい。区分が短くなるほど、設備または組織の変化に柔軟に対応してシミュレーションを行うことができる。
【0031】
シミュレーション対象期間内の全ての区分についてシミュレーションが行われると、シミュレーション部112はシミュレーションを終了する。図4に示す状態では、2022年のシミュレーションがまだ行われていないため、シミュレーション部112は2021のシミュレーションが終了した後、対象区分を2022年に変更して、2021年と同様にシミュレーションを行うことで、シミュレーションが終了する。
【0032】
イベント情報記憶部105は、イベント情報を格納する。イベント情報はユーザの入力に基づき格納される。イベントは、設備情報および組織情報のうち少なくとも一方に変更を与える。イベントは、例えば、保守対象設備の増減および契約内容変更、エンジニアの追加(入社)、昇進、異動および退職、新規組織の設立、既存組織の統合および廃止、既存組織の拠点の位置の変更等を含む。イベントは、未来に発生する予定のイベントであってもよいし、ユーザが設けた架空のイベントであってもよい。イベントは、区分の開始時に発生し、区分の途中では発生しない。
【0033】
図5は、イベント情報記憶部105に格納されているイベント情報の一例としてイベント情報701、702を示す図である。イベント情報には、例えば、イベントID(eventID)、イベント適用(発生)時期(TIME)、イベントの対象となる組織、イベントタイプ(TYPE)、イベントのターゲットID(ID)、および補足情報(INFO)が格納されている。例えば、イベント情報701は、設備情報F16、F17で示される新しい設備の保守に関するイベントを表し、それぞれ「2022年に組織O1が型式V200の新しい設備の保守を担当することになり、契約回数は12、人数は2である」ことを示す。また、イベント情報702は、エンジニアに関するイベントを表し、「2022年に組織O1に新しいエンジニアW9が所属し、エンジニアW9は2022年入社である」ことを示す。
【0034】
図6は、シミュレーション設定部103が生成するシミュレーション設定の例としてシミュレーション設定1031~1033を示したものである。シミュレーション設定1031~1033のそれぞれは、1つ以上のシミュレーション設定Sxxを含む。ここでは簡単のために、シミュレーション設定1031~1033のそれぞれは、1つのシミュレーション設定S00~S02のみを含むとする。
【0035】
既述のように、シミュレーション設定部103は、イベント情報と、期間情報とに基づき、ユーザの指示に従って、イベントおよび期間等を設定することによりシミュレーション設定を生成する。シミュレーション設定部103はイベントを設定するイベント設定部、103A、期間を設定する期間設定部103Bを含む。生成されるシミュレーション設定は、適用するイベント情報と、シミュレーションの対象範囲情報とを含む。
【0036】
図6に示されるテーブル601、603、605が対象範囲情報の一例である。対象範囲情報には、例えば、シミュレーションID(simID)、シミュレーションの対象となる組織の範囲、対象期間の開始時期と終了時期および対象組織の数が格納されている。対象範囲情報の対象期間の開始時期と終了時期は、期間情報(図4参照)に基づいて決定される。本例では、期間情報が示すすべての期間が対象期間に設定され、固定されている。但し、ユーザが、期間情報が示す期間の一部を対象期間として選択してもよい。
【0037】
例えば、シミュレーション設定1032は、対象範囲情報603とイベント情報604を含む。シミュレーション設定1032は、シミュレーション設定S01として識別される。シミュレーションIDは、シミュレーション設定が生成されるごとに一定のルールにしたがって生成されてもよいし(例えば番号が1つずつ増えるなど)、ユーザがシミュレーションIDを指定できるようにしてもよい。
【0038】
対象範囲情報601において、シミュレーション設定S00は、全て(3つ)の組織が対象であり、2021年から2022年までに発生するイベント数は0であるという設定である。対象範囲情報603においては、全て(3つ)の組織が対象であり、2021年から2022年までに発生するイベント数は2であるという設定である。
【0039】
イベント情報604は、イベント情報記憶部105に格納されているイベント情報を流用したものである。イベント情報604には、シミュレーション設定S01が示すイベントのイベント情報が含まれている。そのため、イベント情報記憶部105からイベントE01とイベントE02が選択される。なお、前述のシミュレーション設定S00は、発生するイベント数は0であることを示しているので、イベント情報602は空である。
【0040】
シミュレーション部112は、設備情報記憶部101と、組織情報記憶部102と、シミュレーション設定適用部106と、業務指標算出部107(指標算出部)と、を備える。シミュレーション部112は、シミュレーション設定部103から取得するシミュレーション設定に基づいて、組織ごとの業務指標を算出する。説明の便宜上、現時点ではシミュレーション設定部103に格納されているシミュレーション設定は図6のシミュレーション設定1031のみであるとする。そのため、シミュレーション設定1031が適用された場合のシミュレーションについて説明する。
【0041】
シミュレーション部112は、シミュレーションを行う前に、まず設備情報記憶部101および組織情報記憶部102を図2及び図3に示す状態に初期化し、期間情報記憶部104を図4に示す状態に初期化する。
【0042】
シミュレーション設定適用部106は、シミュレーション設定部103から取得するシミュレーション設定1032(図6参照)を用いて、設備情報記憶部101および組織情報記憶部102を更新する。どのシミュレーション設定を用いるかはユーザによって選択される。
【0043】
業務指標算出部107は、更新後の設備情報および組織情報に基づき、対象期間(2021~2022年)の業務指標を算出する。ここで、最初の対象区分は2021年であるので、まず2021年の業務指標が算出される。
【0044】
まず、業務指標算出部107は、2021年において設備F1~F15に対する作業T1~T3に費やされた所要時間を算出し、組織ごとに所要時間を総和することにより、作業の総時間を算出する。
【0045】
図7Aは、業務指標算出部107が行う所要時間計算処理の結果の一例を示す図である。例えば、設備F1の作業T1(図2参照)は、年間12回契約であり、1回の所要時間が60分であり、2人必要であるから、1年の総時間は1440分(60分×12回×2人)となる。以下同様に計算され、テーブル801~803が得られる。図7Bについては後述する。
【0046】
次に、業務指標算出部107は、2021年における各組織に属する保守エンジニアの作業能力を算出し、組織ごとに保守エンジニアの作業能力を総和することにより、組織ごとの総能力を算出する
【0047】
図8Aは、業務指標算出部107が行う作業能力計算処理の結果の一例を示す図である。例えば、組織O1には保守エンジニア{W1,W4,W6}が所属し、それぞれ入社{12,3,1}年目である。能力情報403(図3参照)に従うと、2021年の各保守エンジニアの作業能力は{1.0,0.8,0.4}となる。以下同様に計算され、テーブル901が得られる。なお、業務指標算出部107は先に保守エンジニアの作業能力を算出してもよい。図8Aのテーブル902及び図9については後述する。
【0048】
次に、業務指標算出部107は、算出した組織毎の総時間および総能力に基づいて、組織毎の業務指標を算出する。
【0049】
業務指標は、ある組織にかかる負荷を示している。ユーザは、各組織において可能な限り業務指標に偏りが出ない人事計画を作成する必要がある。例えば、業務指標が大きい組織は、提供するサービスの質が低下する懸念があり、業務指標が小さい組織は、余分な人件費がかかっている懸念があるためである。
【0050】
本実施形態においては、業務指標として、組織毎の作業の総時間と総能力の商を採用する。すなわち、業務指標=総時間/総能力、である。なお、業務指標の算出方法はこれに限られない。また、業務指標には、例えば、組織の拠点から対象設備までの距離に基づく移動時間が考慮されてもよい。
【0051】
図9は、業務指標算出部107が出力する出力結果の一例である。テーブル1001が図6のシミュレーション設定1031における出力結果である。テーブル1002およびテーブル1003は、それぞれシミュレーション設定1032およびシミュレーション設定1033における出力結果であり、詳細は後述する。対象区分が2021年の処理を行った時点ではテーブル1001の2021年の部分が生成又は出力される。業務指標算出部107は、テーブル801~803から、各組織が作業T1~T3に費やした所要時間の総時間{7800,11100,8340}を算出し、また、各組織に属する保守エンジニアの作業能力の総能力{2.2,2.4,1.6}を算出する。そして、業務指標算出部107は、算出した総時間および総能力から、各組織の負荷{59,77,86}を算出する。ここでは総時間は分、負荷は時間が単位となっている。
【0052】
以上の計算により、シミュレーション部112は2021年における業務指標を出力する。次に、シミュレーション部112は、対象区分を2022年に移行し、同様に計算を行う。こうして、2022年における出力結果がテーブル1001に追加されて図9のテーブル1001に示す状態となり、シミュレーション設定1031におけるシミュレーションが完了する。
【0053】
シミュレーション設定1031に含まれるシミュレーション設定S00の場合、2021年と同様に2022年もイベントは発生しないので、業務指標算出部107は、2021年における計算と同様に、2022年における業務指標を計算する。つまり、2022年における設備F1~F15に対する作業T1~T3に費やされた総時間は、テーブル801、802、803と同様である。ただし、2022年では、全てのエンジニアの経験年数が1年増加しているため、各組織の総能力も増加している。そのため、設定S00ではイベントは発生しないが、2021年と2022年とで出力される業務指標の値は異なる(図9のテーブル1001参照)。
【0054】
業務指標算出部107によって出力された出力結果は、出力結果記憶部108に格納される。出力結果記憶部108に格納された出力結果は、入出力部113によってユーザに見える形で出力されてもよい。
【0055】
以上、図6のシミュレーション設定1031におけるシミュレーションについて説明した。次に、図6のシミュレーション設定1032における(即ち、イベントが発生する場合の)シミュレーションについて説明する。しかし、既述のように、現時点ではシミュレーション設定部103にはシミュレーション設定1031のみが格納されているため、イベントが発生する場合のシミュレーションを行うためには、新たなシミュレーション設定を作成する必要がある。
【0056】
入出力部113は、シミュレーション設定を追加または変更するためのデータ入力機能を備える。入出力部113は、設定編集部109と、イベント登録部110と、イベント継承部111と、を備える。
【0057】
図10は、入出力部113のGUI(Graphic User Interface)画面の例である。画面1101は、シミュレーション設定用のGUIの一例である。入出力部113は、この画面で、シミュレーション設定の追加または削除などを行うことができる。
【0058】
イベント登録部110は、ユーザからのデータ入力に基づき、シミュレーション設定部103におけるイベント情報記憶部105にイベント情報を格納(登録)する。イベント登録部110は、画面1101を介してユーザの入力を受領してもよいし、csvファイルなどに格納されたイベント情報を受領してもよい。ここでは、ユーザが画面1101を通してイベント情報を追加するものとする。イベント情報の登録の詳細は、後述する画面1103の説明で記載する。「シミュレーション追加」ボタンは、画面1102に遷移するボタンである。
【0059】
イベント継承部111は、既存の(実行済みの)シミュレーション設定を継承または削除することで、新たなシミュレーション設定を容易に作成する。画面1102は、イベント継承部111のGUIの一例である。イベント継承部111は、ユーザの入力に応じて、既存のシミュレーション設定に新たなイベント等を追加または削除することで、新たなシミュレーション設定を生成することができる。イベント継承部111は、自動的にイベントを追加等して、新たなシミュレーション設定を生成してもよい。より詳しくは、以下の通りである。
【0060】
新たにシミュレーション設定を生成する際、最初は各項目が空の状態であるシミュレーション設定を生成する。イベント継承部111は、新たに生成されたシミュレーション設定の対象範囲情報(対象組織(範囲)および対象期間)をユーザ入力等に基づき編集する。そして、イベント継承部111は、既存のシミュレーション設定を継承または削除する。
【0061】
例えば、ユーザがシミュレーション設定1032(図6参照)でシミュレーションを行ったとする。その後、ユーザはシミュレーション設定1032のうち、対象組織(テーブル603の「範囲」)をO1に変更し、その他の条件はシミュレーション設定1032から据え置きでシミュレーションを行いたいとする。この場合、ユーザは対象範囲情報を対象組織がO1になるように変更し、シミュレーション設定S01を継承するようにデータ入力を行う。これにより図6のシミュレーション設定1033を容易に生成することができる。
【0062】
このように、イベント継承部111によって、既存のシミュレーション設定のうち指定したものだけが選択されて継承される。なお、イベント継承部111は、生成されたシミュレーション設定において、期間終了より後に発生するイベントが存在するときは、このイベントを自動で削除してもよい。
【0063】
そして、画面1101にも新たに生成されたシミュレーション設定が追加される。例えば画面1101のシミュレーション設定S00の下に、新たに生成されたシミュレーション設定が追加される。
【0064】
画面1101の「イベント」ボタンが押下されると、画面1103に遷移する。画面1103は、設定編集部109のGUIの一例である。
【0065】
設定編集部109は、新しいイベントを追加する、既存のイベントを削除する、または、イベントの有効/無効設定を変更する。有効/無効設定は、あるイベントを有効/無効にしてシミュレーションを行うための設定である。有効無効設定は、例えば、あるイベントを追加した場合のシミュレーション結果と追加しない場合のシミュレーション結果を比較したい場合などに用いられる。
【0066】
以上のようにして、新たなシミュレーション設定が追加される。例えば、イベント継承部111によって設定S00が継承され、設定編集部109によって新たなイベント情報701が追加されると、イベント情報記憶部105にイベント情報701が追加され(図5参照)、シミュレーション設定部103は、シミュレーション設定1032を生成する(図6参照)。
【0067】
以下、シミュレーションの動作の具体例として、シミュレーション設定1032におけるシミュレーションについて説明する。
【0068】
まず、シミュレーション設定1032に含まれるシミュレーション設定S01では、2021年に発生するイベントはないので、2021年においては、テーブル1002に示されるように、シミュレーション設定1031のときと同様に業務指標が算出される。
【0069】
図7Bは、業務指標算出部107が行う所要間計算処理の結果の一例を示す図である。対象区分が2022年になると、シミュレーション設定1032においては、設備F16と設備F17が追加される(図6参照)。そのため、業務指標算出部107は、2022年における設備F1~F17に対する作業T1~T3に費やされた所要時間を算出する。これにより、テーブル804が得られる。
【0070】
次に、業務指標算出部107は、各組織の総能力を計算する。シミュレーション設定1032ではエンジニアの増減は起きないため、シミュレーション設定1031のときと同様に、各組織の総能力が算出される。
【0071】
そして、シミュレーション結果はテーブル1002(図9参照)のようになる。テーブル1001とテーブル1002を比較すると、組織O1の2022年の負荷が50から80に増加していることがわかる。
【0072】
ユーザは、このような出力結果を知ることで、シミュレーション設定1032においては、組織O1に対して何らかの対策が必要であると判断することができる。また、ユーザは、組織O1に対する対策を施した状態でシミュレーションを行うこともできる。例えば、ユーザは、組織O1にエンジニアを1人追加してシミュレーションを行い、組織O1の2022年の負荷をどれだけ減らせるか等を知ることができる。
【0073】
このようにして、ユーザは、将来起きる可能性がある事象(イベント)に対して、事前にどのように対処すれば、組織によって業務指標に偏りが少なくなるかを知ることができる。つまり、本実施形態によれば、組織によって業務指標に偏りが少ない人事計画を生成することができる。
【0074】
図11はシミュレーション部112の行う処理のフローチャートである。以下、図11を参照しながらシミュレーション部112の行う処理を説明する。
【0075】
まず、シミュレーション部112は、設備情報記憶部101および組織情報記憶部102を初期化し、例えば予め定めた状態(例えば図2および図3に示す状態)とする(ステップS201)。
【0076】
次に、シミュレーション部112は、期間情報記憶部104を初期化し、例えば予め定めた状態(例えば図4に示す状態)とする(ステップS202)。
【0077】
次に、シミュレーション設定適用部106は、ユーザの入力によって選択されたシミュレーション設定(例えばシミュレーション設定1031~1033のいずれか)に含まれるイベントを選択する(ステップS203)。
【0078】
次に、シミュレーション設定適用部106は、選択したイベントを設備情報記憶部101と組織情報記憶部102に適用し、設備情報および組織情報を更新する(ステップS204)。
【0079】
次に、業務指標算出部107は、更新された設備情報と組織情報に基づいて業務指標を算出する(ステップS205)。
【0080】
次に、シミュレーション部112は、対象期間内における全ての区分についてのシミュレーションが終了したかどうかを判定し(ステップS206)、終了していない場合はステップS207に移行する(ステップS206:No)。そして、シミュレーション部112は、対象区分を一つ先に進め、ステップ203に戻る(ステップS207)。
【0081】
対象期間内の全ての区分についてシミュレーションが終了した場合には、シミュレーション部112は、シミュレーション結果を出力して処理を終了する(ステップS208)。なお、シミュレーション部112は、1つの区分について処理が終了する毎にシミュレーション結果を出力してもよい。
【0082】
(具体例)
ここで、ある特定の組織に着目してシミュレーションを行う例を示す。上記の説明において、シミュレーション設定1032における2022年の各組織の業務指標の値は、組織O1が他の組織に比べて大きい。そのため、2022年に組織O1に何らかの対策をする必要があるとする。また、組織O2および組織O3については問題ないとする。このような場合、全ての組織についてシミュレーションを行う必要はなく、組織O1についてのみシミュレーションを行うことで、情報処理装置10の処理を高速化し、負荷を低減することができる。
【0083】
例として、組織O1に着目する。ユーザの入力に応じて、イベント継承部111はイベント継承対象をS01に設定して、シミュレーション設定S02を生成する。このようにして生成されたシミュレーション設定S02には、シミュレーション設定S01に含まれるイベントE01およびイベントE02が継承されている。
【0084】
そして、設定編集部109が、ユーザの入力に応じて、シミュレーション設定S01にイベントを追加する。例えば、イベント情報702(図5参照)のようなイベントをさらに追加する。このような処理を行うと、シミュレーション設定1033(図6参照)が得られる。
【0085】
シミュレーション部112は、シミュレーション設定1033において、シミュレーションを行う。
【0086】
作業時間に関しては、2021年についてはテーブル801、2022年についてはテーブル804と同じになる。能力に関しては、2022年にエンジニアが1人追加されるため、2022年における能力はテーブル903となる(図8B参照)。また、2021年における能力はテーブル901のままである。
【0087】
出力結果はテーブル1003となる(図9参照)。テーブル1003を参照すると、組織O1の2022年の負荷が69になっており、シミュレーション設定S01のときから減少していることがわかる。このように、シミュレーション設定を様々に変えてシミュレーションを行うことで、ユーザは組織によって業務指標に偏りが少ない人事計画を生成することができる。
【0088】
本実施形態では、シミュレーション設定1031~1033のそれぞれにシミュレーション設定S00、S01、S02を1つのみ含めたが、2つ以上のシミュレーション設定Sxx(xは任意の数字)を含めてもよい。これにより複数パターンのシミュレーションを連続して実行することができ、ユーザは複数パターンのシミュレーション結果を横断的に視認することができる。
【0089】
図12は、1つのシミュレーション設定に、複数のシミュレーション設定Sxxを含める例を示す。例えばシミュレーション設定S00、S01を含むシミュレーション設定1034を生成してもよい。シミュレーション設定1034はテーブル607、608を含む。テーブル607はテーブル601、603を結合したものである。テーブル608は、テーブル604と同じである。
【0090】
また、シミュレーション設定S00、S01、S02を含むシミュレーション設定1035を生成してもよい。シミュレーション設定1035はテーブル609、610を含む。テーブル609はテーブル601、603、605を結合したものである。テーブル610は、テーブル604、606を結合したものである。
【0091】
以上、本実施形態によれば、組織毎に業務指標が偏らない人事計画の生成を支援することができる。
【0092】
(ハードウェア構成)
図13は、各実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成を示す。情報処理装置は、コンピュータ装置650により構成される。コンピュータ装置650は、CPU651と、入力インタフェース652と、表示装置653と、通信装置654と、主記憶装置655と、外部記憶装置656とを備え、これらはバス657により相互に接続されている。
【0093】
CPU(中央演算装置)651は、主記憶装置655上で、コンピュータプログラムである情報処理プログラムを実行する。情報処理プログラムは、情報処理装置の上述の各機能構成を実現するプログラムのことである。情報処理プログラムは、1つのプログラムではなく、複数のプログラムやスクリプトの組み合わせにより実現されていてもよい。CPU651が、情報処理プログラムを実行することにより、各機能構成は実現される。
【0094】
入力インタフェース652は、キーボード、マウス、及びタッチパネルなどの入力装置からの操作信号を、情報処理装置に入力するための回路である。入力インタフェース652は各実施形態に係る情報処理装置のGUIに対応する。
【0095】
表示装置653は、情報処理装置から出力される情報を表示する。表示装置653は、例えば、LCD(液晶ディスプレイ)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、CRT(ブラウン管)、又はPDP(プラズマディスプレイ)であるが、これに限られない。コンピュータ装置650から出力された情報は、この表示装置653に表示することができる。表示装置653は各実施形態に係る情報処理装置の出力部に対応する。
【0096】
通信装置654は、情報処理装置が外部装置と無線又は有線で通信するための回路である。情報は、通信装置654を介して外部装置から入力することができる。外部装置から入力した情報を、主記憶装置655や外部記憶装置656に格納することができる。
【0097】
主記憶装置655は、情報処理プログラム、情報処理プログラムの実行に必要な情報、及び情報処理プログラムの実行により生成された情報などを記憶する。情報処理プログラムは、主記憶装置655上で展開され、実行される。主記憶装置655は、例えば、RAM、DRAM、SRAMであるが、これに限られない。各実施形態に係る情報処理装置の各記憶部又は情報ベースは、主記憶装置655上に構築されてもよい。
【0098】
外部記憶装置656は、情報処理プログラム、情報処理プログラムの実行に必要な情報、及び情報処理プログラムの実行により生成された情報などを記憶する。これらの情報処理プログラムや情報は、情報処理プログラムの実行の際に、主記憶装置655に読み出される。外部記憶装置656は、例えば、ハードディスク、光ディスク、フラッシュメモリ、及び磁気テープであるが、これに限られない。情報処理装置の各記憶部又は情報ベースは、外部記憶装置656上に構築されてもよい。
【0099】
なお、情報処理プログラムは、コンピュータ装置650に予めインストールされていてもよいし、CD-ROMなどの記憶媒体に記憶されていてもよい。また、情報処理プログラムは、インターネット上にアップロードされていてもよい。
【0100】
また、情報処理装置は、単一のコンピュータ装置650により構成されてもよいし、相互に接続された複数のコンピュータ装置650からなるシステムとして構成されてもよい。
【0101】
なお、本発明は上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、各実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0102】
本実施形態は、以下のように構成することもできる。
[項目1]
1つ以上の保守対象設備の保守作業に必要な時間及び人数の少なくとも一方に関する第1情報と、前記保守作業を行うことが可能な保守員の作業能力に関する第2情報とに基づき、前記1つ以上の保守対象設備を保守する保守サービスの評価指標を算出し、前記保守対象設備及び前記保守員の少なくとも一方に関する少なくとも1つのイベントに基づいて、前記第1情報及び前記第2情報の少なくとも一方を更新し、前記少なくとも一方が更新された第1情報及び第2情報に基づいて、前記評価指標を算出する、処理部
を備えた情報処理装置。
[項目2]
前記第2情報は、複数の前記保守員が、複数の組織のいずれかに属するかを含み、
前記少なくとも1つの保守対象設備は、複数の保守対象設備を含み、
前記第1情報は、前記複数の保守対象設備は、前記複数の組織のうちのいずれによって保守されるかを含み、
前記処理部は、前記組織ごとに前記評価指標を算出する、
項目1に記載の情報処理装置。
[項目3]
前記処理部は、イベントが発生する時期が設定された複数の前記イベントを生成し、
前記処理部は、複数の期間ごとに前記期間に含まれる時期を有する前記イベントのみに基づいて、前記第1情報及び前記第2情報の少なくとも一方を更新して、前記評価指標を算出する
項目1又は2に記載の情報処理装置。
[項目4]
前記処理部は、設定した前記イベントに基づいてシミュレーション設定を生成し、
前記処理部は、前記複数の期間ごとに前記期間に含まれる時期を有する前記イベントのみに基づいて、前記シミュレーション設定を生成し、
前記処理部は、前記複数の期間ごとに、前記シミュレーション設定に基づき、前記第1情報及び前記第2情報の少なくとも一方を更新して、前記評価指標を算出する
項目3に記載の情報処理装置。
[項目5]
前記作業能力は、前記保守員が前記保守作業を行う能力が高いほど大きい又は小さい値であり、
前記処理部は、前記1つ以上の保守対象設備に対する複数回の前記保守作業に必要な時間を総和した総和時間と、複数の前記保守員の作業能力を総和した総和能力との演算により前記評価指標を算出する
項目1~4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目6]
前記処理部は、前記組織が保守する必要のある前記保守対象設備に対する複数回の前記保守作業について前記組織の拠点と前記保守対象設備の設置場所との間の移動に要する時間の総和に基づいて、前記組織の前記評価指標を算出する
項目2~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目7]
前記第2情報は、複数の前記保守員の作業能力を含み、
前記処理部は、前記保守サービスを行う第1の期間に対して前記評価指標を算出し、前記第1の期間より後の第2の期間に対して前記評価指標を算出し、
前記処理部は、前記第2の期間における前記保守員の作業能力を前記第1の期間における前記保守員の作業能力よりも高い値に更新する、
項目1~6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目8]
前記イベントは、前記保守作業の対象となる新たな保守対象設備が増加又は減少するイベントである
項目1~7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目9]
前記イベントは、前記保守作業を行うことが可能な新たな保守員が増加又は減少するイベントである
項目1~8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目10]
前記第1情報は、前記保守作業を行う回数に関する情報を含み、
前記イベントは、前記保守作業を行う回数が増加又は減少するイベントである
項目1~9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目11]
前記処理部は、前記保守員が前記保守作業を経験した時間長に応じて前記保守員の能力を高くする
項目1~10のいずれか一項に記載の情報処理装置。
[項目12]
前記処理部は、
前記第1情報及び前記第2情報に基づき前記評価指標を算出する指標算出部と、
前記イベントを設定するイベント設定部と、
前記イベント設定部により設定された前記イベントに基づき、前記第1情報及び前記第2情報の少なくとも一方を更新するイベント適用部と、
を備えた項目1に記載の情報処理装置。
[項目13]
前記イベント設定部は、ユーザの指示に基づき前記イベントを設定する
項目12に記載の情報処理装置。
[項目14]
1つ以上の保守対象設備の保守作業に必要な時間及び人数の少なくとも一方に関する第1情報と、前記保守作業を行うことが可能な保守員の作業能力に関する第2情報とに基づき、前記1つ以上の保守対象設備を保守する保守サービスの評価指標を算出し、
前記保守対象設備及び前記保守員の少なくとも一方に関する少なくとも1つのイベントに基づいて前記第1情報及び前記第2情報の少なくとも一方を更新し、前記少なくとも一方が更新された前記第1情報及び前記第2情報に基づいて前記評価指標を算出する
情報処理方法。
[項目15]
1つ以上の保守対象設備の保守作業に必要な時間及び人数の少なくとも一方に関する第1情報と、前記保守作業を行うことが可能な保守員の作業能力に関する第2情報とに基づき、前記1つ以上の保守対象設備を保守する保守サービスの評価指標を算出するステップと、
前記保守対象設備及び前記保守員の少なくとも一方に関する少なくとも1つのイベントに基づいて前記第1情報及び前記第2情報の少なくとも一方を更新し、前記少なくとも一方が更新された前記第1情報及び前記第2情報に基づいて前記評価指標を算出するステップと、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。
【符号の説明】
【0103】
10 情報処理装置
100 処理部
101 設備情報記憶部
102 組織情報記憶部
103 シミュレーション設定部
103A イベント設定部
103B 期間設定部
104 期間情報記憶部
105 イベント情報記憶部
106 シミュレーション設定適用部
107 業務指標算出部(指標算出部)
108 出力結果記憶部
109 設定編集部
110 イベント登録部
111 イベント継承部
112 シミュレーション部
113 入出力部
650 コンピュータ装置
652 入力インタフェース
653 表示装置
654 通信装置
655 主記憶装置
656 外部記憶装置
657 バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13