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  • 特開-袋ナット付きホース継手 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042598
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】袋ナット付きホース継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 19/025 20060101AFI20240321BHJP
   F16L 33/24 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
F16L19/025
F16L33/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147416
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000233619
【氏名又は名称】株式会社ニチリン
(74)【代理人】
【識別番号】100100170
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 厚司
(72)【発明者】
【氏名】森 浩一
【テーマコード(参考)】
3H014
3H017
【Fターム(参考)】
3H014CA04
3H017KA03
(57)【要約】
【課題】強度を維持しつつ、コストダウンを図ることができる袋ナット付きホース継手を提供する。
【解決手段】ニップル2と、ニップル2の鍔部9に係合する袋ナット3とからなる袋ナット付きホース継手1において、ニップル2は、樹脂製のニップル本体4と、金属製のカラー5とが一体に設けられ、カラー5に、袋ナット3が係合する鍔部9が形成されている。ニップル本体4には、カラー5の反鍔部側の端部が当接する外周凸部6が形成されている。カラー5は、円筒形状を有し、一端には鍔部9が形成され、他端にはニップル本体4が挿入されて固定されている。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニップルと、前記ニップルの鍔部に係合する袋ナットとからなる袋ナット付きホース継手において、
前記ニップルは、樹脂製のニップル本体と、金属製のカラーとが一体に設けられ、
前記カラーに、前記袋ナットが係合する鍔部が形成されている、ことを特徴とする袋ナット付きホース継手。
【請求項2】
前記ニップル本体には、前記カラーの反鍔部側の端部が当接する外周凸部が形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の袋ナット付きホース継手。
【請求項3】
前記カラーは、円筒形状を有し、一端には前記鍔部が形成され、他端には前記ニップル本体が挿入されて固定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の袋ナット付きホース継手。
【請求項4】
前記ニップル本体と前記カラーとの間にOリングが装着されている、ことを特徴とする請求項1に記載の袋ナット付きホース継手。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋ナット付きホース継手に関する。
【背景技術】
【0002】
水道ホースを蛇口やバルブ、各種機器の給水口、排水口等に接続する袋ナット付きホース継手は、特許文献1等で公知である。
【0003】
図5は、従来の袋ナット付きホース継手101の一例である。この袋ナット付きホース継手101は、真鍮製のニップル102と、同じく真鍮製の袋ナット103とからなり、ニップル102の一端はホース104が挿入固定され、他端に設けた鍔部105が袋ナット103に係合している。
【0004】
この種の袋ナット付きホース継手101は、コストダウンの観点からは樹脂化が望ましいが、ニップル102を全て樹脂にすると、ニップル102の鍔部105と袋ナット103との係合部106の強度が低下し、袋ナット103を被取付部材107に取り受けたときにクリープ現象によって袋ナット103が緩んだり、シールが困難になるという問題がある。一方、キッチン等の設置場所によっては、依然として、ステンレスや真鍮等の金属製が望まれることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-94144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたもので、強度を維持しつつ、コストダウンを図ることができる袋ナット付きホース継手を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
【0008】
(1)ニップルと、前記ニップルの鍔部に係合する袋ナットとからなる袋ナット付きホース継手において、
前記ニップルは、樹脂製のニップル本体と、金属製のカラーとが一体に設けられ、
前記カラーに、前記袋ナットが係合する鍔部が形成されている。
【0009】
(2)前記(1)記載の袋ナット付きホース継手において、
前記ニップル本体には、前記カラーの反鍔部側の端部が当接する外周凸部が形成されている。
【0010】
(3)前記(1)又は(2)に記載の袋ナット付きホース継手において、
前記カラーは、円筒形状を有し、一端には前記鍔部が形成され、他端には前記ニップル本体が挿入されて固定されている。
【0011】
(4)前記(1)から(3)のいずれかに記載の袋ナット付きホース継手において、
前記ニップル本体と前記カラーとの間にOリングが装着されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、樹脂製のニップル本体と、金属製のカラーとが一体に設けられ、袋ナットによる締付力が作用する鍔部を有するカラーが金属製であり、ニップル本体が樹脂製であるため、強度を維持しつつ、コストダウンを図ることができるという効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る袋ナット付きホース継手の分解半断面図。
図2図1のニップル本体とカラーとを一体化したニップルの半断面図。
図3図1の袋ナット付きホース継手を用いてホースを被取付部材に連結した状態を示す半断面図。
図4】本発明の第2実施形態に係る袋ナット付きホース継手のニップル本体とカラーとを一体化したニップルを示す半断面図。
図5】従来の袋ナット付きホース継手を用いてホースを被取付部材に連結した状態を示す半断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を添付図面に従って説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1実施形態に係る袋ナット付きホース継手1を示す。袋ナット付きホース継手1は、ニップル2と、袋ナット3とからなる。
【0016】
ニップル2は、ニップル本体4と、カラー5とで構成されている。
【0017】
ニップル本体4は、PPS、POM等の合成樹脂製で、円筒形状を有している。ニップル本体4の外面には、外周凸部6が形成されている。外周凸部6の一端側には、カラー取付部7が形成され、外周凸部6の他端側には、ホース取付部8が形成されている。ホース取付部8には、外周に複数の凸部8aと凹部8bとが形成されるとともに、Oリング用溝8c、ソケット用溝8dが形成されている。
【0018】
カラー5は、SUS304,SUS316等のステンレス鋼等の金属製で、円筒形状を有している。カラー5の一端には、袋ナット3が係合する鍔部9が形成されている。鍔部9の厚さは、0.4~0.6mmであるが、これに限るものではない。鍔部9は、一例として円筒形状の素材の一端を90度外方に曲げ加工することで形成されているが、これに限らず、切削や、鍛造、あるいは管状の板材を溶接するようにしてもよい。カラー5の他端は、ニップル本体4のカラー取付部7の外径より大きく形成され、カラー取付部7が挿入可能になっている。
【0019】
袋ナット3は、従来と同様に真鍮製が好ましいが、金属であれば真鍮製でなくてもよい。袋ナット3は、内周面に雌ねじ10と、ガスケット装着溝11とが形成されている。袋ナット3の一端の内周面には、半径方向内方に突出して、カラー5の鍔部9に係合する係合部12が形成されている。
【0020】
図2に示すように、ニップル本体4と、カラー5とは、ニップル本体4の外周凸部6がカラー5の端面に当接するまで、カラー5の反鍔部側にニップル本体4のカラー取付部7を挿入して、接着剤等で固定されて、ニップル本体4とカラー5とが一体化したニップル2となっている。また、図3に示すように、ニップル2は、ホース取付部8側から袋ナット3に挿入され、カラー5の鍔部9が袋ナット3の係合部12に当接した状態で、ガスケット13が、ガスケット装着溝11に装着されている。
【0021】
図3に示すように、ニップル2のニップル本体4には、ホース15が取り付けられている。ホース15の取付は、まず、ホース取付部8のОリング用溝8cにОリング14を装着した後、ニップル2に対してソケット16をホース取付部8側から外周凸部6に向けて挿入し、ソケット16の端部をソケット用溝8dに向かってカシメることで、ニップル本体4にソケット16を取り付ける。次に、ニップル本体4とソケット16との間にホース15を挿入し、図示は省略するが、ソケット16の外側から径方向内側に押圧して、ニップル2とホース15とを結合させる。
【0022】
次に、本実施形態の袋ナット付きホース継手1による取付方法について説明する。
【0023】
袋ナット付きホース継手1を、蛇口やバルブ、各種機器の給水口、排水口等の部材(以下、「被取付部材」という。)17に取り付けるには、袋ナット付きホース継手1を被取付部材17に近づけて、袋ナット3の雌ねじ10を被取付部材17の外周に形成された雄ねじ18に掛け合わせて、袋ナット3を回す。これにより、袋ナット3の係合部12がニップル2の鍔部9に係合し、袋ナット3の雌ねじ10が進むにつれて、ニップル2が被取付部材17に向かって引き寄せられる。この結果、カラー5の鍔部9がガスケット13を介して被取付部材17の端面に押し付けられて、シールされる。
【0024】
ニップル2の鍔部9は、金属製で樹脂よりも強度が高いため、袋ナット3で強く締め付けられても、変形することなく被取付部材17の端面に押し付けられ、確実にシールされる。また、取付後に鍔部9がクリープ現象によって変形することもないので、袋ナット3が緩むこともない。さらに、取り付け後、袋ナット付きホース継手1に曲げや捩じりの力が掛かっても、金属製のカラー5の鍔部9は変形しないので、シール機能は維持される。ニップル2は、樹脂製のニップル本体4と金属製のカラー5とからなるため、強度を維持しつつ、コストダウンを図ることができる。
【0025】
図4は、本発明の第2実施形態に係る袋ナット付きホース継手1のニップル2を示す。このニップル2は、カラー5とニップル本体4のカラー取付部7との間にOリング19が装着されている以外は、第1実施形態のニップル2と同様であるため、対応する部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0026】
第2実施形態のニップル2は、ニップル本体4のカラー取付部7が第1実施形態よりも長く形成されるとともに、外周にOリング用溝7aが形成されて、当該Oリング用溝7aにOリング19が装着されている。ニップル本体4と、カラー5とは、接着剤等で固定されて、ニップル本体4とカラー5とが一体化したニップル2となっている。
【0027】
第2実施形態のニップル2は、カラー5とニップル本体4との間にOリング19が装着されているので、ニップル2の内外のシール性を、さらに向上させることができる。
【0028】
本発明は、前記実施形態に限るものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨の範囲内で修正し変更することができる。
【0029】
例えば、金属製のカラー5と樹脂製のニップル本体4とは、ニップル本体4の射出成形時にカラー4を挿入して、インサート成形により一体に形成してもよいし、ねじ止めしてもよい。また、カラー5は、少なくともその鍔部9の部分のみを金属製としてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1…袋ナット付きホース継手
2…ニップル
3…袋ナット
4…ニップル本体
5…カラー
6…外周凸部
7…カラー取付部
8…ホース取付部
9…鍔部
15…ホース
17…被取付部材
19…Oリング

図1
図2
図3
図4
図5