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特開2024-42621ガス発生器をモジュールに取り付ける際の位置合わせ機構
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042621
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】ガス発生器をモジュールに取り付ける際の位置合わせ機構
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/264 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
B60R21/264
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147468
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127203
【弁理士】
【氏名又は名称】奈良 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】鹿浦 健司
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054DD11
3D054DD17
3D054DD18
3D054DD21
3D054DD28
3D054FF17
(57)【要約】
【課題】従来よりもガス発生器をエアバッグモジュールなどに迅速且つ容易に取り付けることが可能な位置合わせ機構を得る。
【解決手段】位置合わせ機構80A、80Bは、ガス発生器100の一部およびエアバッグモジュール90A、90Bの一部に組み込まれている。上部側シェル20は、周壁部22の下端から連続して外側に向けて立設されたフランジ25をさらに有している。当該フランジ25は、位置合わせ用突出部81A、81Bと、モジュールに固定可能な固定用突出部と、を有している。位置合わせ用突出部81Aは、フランジ25の外縁から外側に突出するように設けられている。位置合わせ用突出部81Aは、有底筒状の凸部83Aを有している。凸部83Aは、エアバッグモジュール90Aに設けられた穴部82Aに挿入可能なものである。一対の固定用突出部は、フランジ25の外縁から外側に突出するように設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジングの側面から前記ハウジングの外側方向に突出するように前記ハウジングに設けられ、エアバッグモジュールの被固定部への固定用突出部と、を有したガス発生器の前記固定用突出部について、前記エアバッグモジュールの前記被固定部との固定位置の位置合わせをする位置合わせ機構であって、
前記ハウジングの側面から前記ハウジングの外側方向に突出するように、前記固定用突出部の位置からずらした位置において、前記ハウジングに設けられた位置合わせ用突出部と、
前記エアバッグモジュールに設けられ、前記位置合わせ用突出部の少なくとも一部を挿入して起点とすることによって、前記固定用突出部について、前記エアバッグモジュールの前記被固定部との取り付け位置の位置合わせが可能な被挿入部と、
を備えていることを特徴とする位置合わせ機構。
【請求項2】
前記被挿入部は、穴部であり、
前記位置合わせ用突出部の少なくとも一部が、前記穴部に挿入可能な凸部であり、
前記固定用突出部には、取り付け孔が設けられており、
前記エアバッグモジュールの前記被固定部には、取り付け具によって前記取り付け孔を介して前記固定用突出部を固定可能な孔が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の位置合わせ機構。
【請求項3】
前記固定用突出部が2つ以上設けられており、
前記固定用突出部の少なくとも2つが前記位置合わせ用突出部でもあり、
前記被挿入部が前記位置合わせ用突出部と同数設けられており、
前記被固定部のうち前記位置合わせ用突出部と同数の前記被固定部のそれぞれが、前記被挿入部のそれぞれと一体化して形成されており、
前記被挿入部と一体化している前記被固定部のそれぞれは、前記位置合わせ用突出部を前記被挿入部に挿入した場合に挟持して固定する一組の挟持部材を有していることを特徴とする請求項1に記載の位置合わせ機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス発生器をモジュールに取り付ける際、当該取り付けを迅速且つ容易にする位置合わせ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に代表されるように、従来から、ガス発生器をエアバッグモジュールまたは車両などに取り付ける場合に使用する取り付け機構が公知となっている。この取り付け機構は、複数の連通孔を有する筒状本体部と、筒状本体部の一端側の開口部において内向きに形成された内側折曲部と、筒状本体部の反対側の開口部に形成されたフランジ部とを有している。また、このフランジ部には、等間隔に形成された4箇所の凸部に取り付け孔が形成されている。この取り付け孔のそれぞれを、モジュールケースなどに設けられた対応する孔に対して位置合わせした後、ボルトおよびナット、または、リベットなどを用いて締結することにより、ガス発生器をエアバッグモジュールなどに固定することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-140028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のガス発生器においては、ボルトおよびナット、または、リベットなどを用いて締結することが必須であるが、締結用の部品が比較的多く、取り付け工程が煩雑となるので、ガス発生器をエアバッグモジュールなどに迅速且つ容易に取り付けることができていなかった。
【0005】
そこで、本発明は、従来よりも、ガス発生器をエアバッグモジュールなどに迅速且つ容易に取り付けることが可能となる位置合わせ機構を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明は、ハウジングと、前記ハウジングの側面から前記ハウジングの外側方向に突出するように前記ハウジングに設けられ、エアバッグモジュールの被固定部への固定用突出部と、を有したガス発生器の前記固定用突出部について、前記エアバッグモジュールの前記被固定部との固定位置の位置合わせをする位置合わせ機構であって、前記ハウジングの側面から前記ハウジングの外側方向に突出するように、前記固定用突出部の位置からずらした位置において、前記ハウジングに設けられた位置合わせ用突出部と、前記エアバッグモジュールに設けられ、前記位置合わせ用突出部の少なくとも一部を挿入して起点とすることによって、前記固定用突出部について、前記エアバッグモジュールの前記被固定部との取り付け位置の位置合わせが可能な被挿入部と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
(2) 上記(1)の位置合わせ機構においては、前記被挿入部は、穴部であり、前記位置合わせ用突出部の少なくとも一部が、前記穴部に挿入可能な凸部であり、前記固定用突出部には、取り付け孔が設けられており、前記エアバッグモジュールの前記被固定部には、取り付け具によって前記取り付け孔を介して前記固定用突出部を固定可能な孔が設けられていることが好ましい。
【0008】
(3) 別の観点として、上記(1)の位置合わせ機構においては、前記固定用突出部が2つ以上設けられており、前記固定用突出部の少なくとも2つが前記位置合わせ用突出部でもあり、前記被挿入部が前記位置合わせ用突出部と同数設けられており、前記被固定部のうち前記位置合わせ用突出部と同数の前記被固定部のそれぞれが、前記被挿入部のそれぞれと一体化して形成されており、前記被挿入部と一体化している前記被固定部のそれぞれは、前記位置合わせ用突出部を前記被挿入部に挿入した場合に挟持して固定する一組の挟持部材を有しているものであってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、従来よりも、ガス発生器をエアバッグモジュールなどに迅速且つ容易に取り付けることが可能となる位置合わせ機構を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施形態に係る位置合わせ機構を含む、ガス発生器の構造およびエアバッグモジュールの一部を示す模式断面図である。
図2】底面側から見た図1のガス発生器の外観図である。
図3】第1実施形態の変形例を示す図である。
図4】第2実施形態に係る位置合わせ機構の少なくとも一部を含む図であって、(a)が底面側から見たガス発生器の外観図、(b)が(a)の矢印方向から見たガス発生器とエアバッグモジュールの一部の断面とを示す図、である。
図5】第3実施形態に係る位置合わせ機構の少なくとも一部を含む図であって、(a)底面側から見たガス発生器の外観図、(b)がエアバッグモジュールにガス発生器を取り付ける場合の説明に用いる図、である。
図6図4のガス発生器のエアバッグモジュールへの取り付け状態の説明に用いる図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
以下、図1および図2を参照して、本発明の第1実施形態に係る位置合わせ機構について説明する。なお、図1に示したガス発生器100は、図2のA-A矢視断面図である。
【0012】
位置合わせ機構80A、80Bは、図1に示したように、ガス発生器100の一部およびエアバッグモジュール90A、90Bの一部に組み込まれている。以下、ガス発生器100およびエアバッグモジュール90A、90Bの説明とともに、位置合わせ機構80A、80Bを具体的に説明する。
【0013】
図1に示すように、本実施形態におけるガス発生器100は、軸方向の両端が閉塞された短尺略円筒状のハウジングを有しており、このハウジングの内部に設けられた収容空間に、内部構成部品としての保持部30、点火器40、カップ状部材50、伝火薬56、ガス発生剤61、下側保持部材62、上側保持部材63、クッション材64及びフィルタ70等が収容されることで構成されている。また、ハウジングの内部に設けられた収容空間には、上述した内部構成部品のうちのガス発生剤61が主として収容されたガス発生剤収容室60が位置している。
【0014】
短尺略円筒状のハウジングは、下部側シェル10と上部側シェル20とを含んでいる。下部側シェル10及び上部側シェル20のそれぞれは、圧延された金属製の板状部材をプレス加工することによって形成されたプレス成形品からなる。
【0015】
下部側シェル10及び上部側シェル20は、それぞれが有底略円筒状に形成されており、これらの開口面同士が向き合うように組み合わされて接合されることによってハウジングが構成されている。下部側シェル10は、底板部11と周壁部12とを有しており、上部側シェル20は、天板部21と周壁部22とを有している。これにより、ハウジングの軸方向の端部は、天板部21と底板部11とによって閉塞されている。なお、下部側シェル10と上部側シェル20との接合には、電子ビーム溶接、レーザー溶接、又は、摩擦圧接等が好適に利用できる。
【0016】
また、上部側シェル20は、周壁部22の下端から連続して外側に向けて立設されたフランジ25をさらに有している。当該フランジ25は、図2に示したように、位置合わせ用突出部81A、81Bと、固定用突出部91A、91Bと、を有している。
【0017】
位置合わせ用突出部81A、81Bは、図2に示したように、上部側シェル20の中心に対して対称的、かつ、フランジ25の外縁から外側に突出するように設けられている。また、位置合わせ用突出部81A、81Bのそれぞれは、図1に示したように、上部方向に向けて突出するようにエンボス加工によって形成された有底筒状の凸部83A、83Bを有している。凸部83Aは、図1に示したように、エアバッグモジュール90A(一部のみ図示)に設けられた穴部82A(被挿入部)に挿入または圧入可能なものである。同様に、凸部83Bは、図1に示したように、エアバッグモジュール90B(一部のみ図示)に設けられた穴部82B(被挿入部)に挿入または圧入可能なものである。なお、エアバッグモジュール90A、90Bは、ガス発生器100のハウジングを固定支持するための部位である。
【0018】
固定用突出部91A、91Bは、図2に示したように、上部側シェル20の中心に対して対称的、かつ、フランジ25の外縁から外側に突出するように設けられているとともに、位置合わせ用突出部81A、81Bの位置に対して90°の角度で交差する位置関係となるように設けられている。また、固定用突出部91A、91Bのそれぞれは、図2に示したように、取り付け孔92A、92Bを有している。取り付け孔92A、92Bは、エアバッグモジュールに設けられた被固定部となる2つの孔(図示せず)の位置と対応するように形成されており、従来と同様、ボルトおよびナット、または、リベットなどの締結具(取り付け具)によって、取り付け孔92A、92Bを当該2つの孔のそれぞれに固定することが可能である。
【0019】
ここで、固定用突出部91A、91Bの取り付け孔92A、92Bを、エアバッグモジュールに設けた上記2つの孔の位置に迅速かつ容易に位置合わせし、ガス発生器100をエアバッグモジュールに固定する方法について説明する。まず、位置合わせ用突出部81A、81Bの凸部83A、83Bのいずれか1つを、エアバッグモジュール90A、90Bの穴部82A、82Bのいずれか1つに挿入して、これを起点とし、残りの凸部を残りの穴部に挿入する。このとき、自動的に、固定用突出部91A、91Bの取り付け孔92A、92Bは、エアバッグモジュールに設けられた2つの孔(図示せず)の位置に重なることになる。その後、従来と同様、ボルトおよびナット、または、リベットなどの締結具(取り付け具)によって、取り付け孔92A、92Bを当該2つの孔のそれぞれに固定する。このようにすることで、2箇所を締結具によって固定するだけでよく、従来よりも、ガス発生器100をエアバッグモジュールに迅速且つ容易に取り付けることが可能となる。なお、エアバッグモジュールに設けられた2つの孔の径と、エアバッグモジュール90A、90Bの穴部82A、82Bの径とを同じにしておくことで、ガス発生器100のハウジング周囲方向の位相が90°ずれた状態で設置されても、上記と同様に、固定用突出部91A、91Bの取り付け孔92A、92Bを、エアバッグモジュールに設けた孔の位置に迅速かつ容易に位置合わせできる。すなわち、エアバッグモジュールへのガス発生器100のハウジング周囲方向の位置合わせを迅速且つ容易とすることができるので、従来よりも、ガス発生器100をエアバッグモジュールに迅速且つ容易に取り付けることが可能となる。
【0020】
図1に示すように、下部側シェル10の底板部11の中央部には、天板部21側に向かって突出する突状筒部13が設けられており、これにより下部側シェル10の底板部11の中央部には、窪み部14が形成されている。突状筒部13は、上述した保持部30を介して点火器40が固定される部位であり、窪み部14は、保持部30に雌型コネクタ部34を設けるためのスペースとなる部位である。
【0021】
突状筒部13は、有底略円筒状に形成されており、その天板部21側に位置する軸方向端部には、平面視円形状の開口部15が設けられている。当該開口部15は、点火器40の一対の端子ピン42が挿通される部位である。
【0022】
下部側シェル10は、上述したように圧延された金属製の板状部材をプレス加工することによって製作されている。具体的には、下部側シェル10は、たとえば上型及び下型からなる一対の金型を用いて、圧延された一枚の金属製の板状部材を上下方向からプレスすることにより、図示する如くの形状に成形されることで製作される。
【0023】
ここで、下部側シェル10を構成する金属製の板状部材としては、たとえばステンレス鋼、鉄鋼、アルミニウム合金、又は、ステンレス合金等からなる金属板が利用され、好適には440MPa以上780MPa以下の引張応力が印加された場合にも破断等の破損が生じないいわゆる高張力鋼板が好適に利用される。なお、プレス加工としては、熱間鍛造で行なわれてもよいし冷間鍛造で行なわれてもよいが、寸法精度の向上の観点から、より好適には冷間鍛造で行われる。
【0024】
上部側シェル20は、上述したように圧延された金属製の板状部材をプレス加工することによって製作されている。具体的には、上部側シェル20は、たとえば上型及び下型からなる一対の金型を用いて、圧延された一枚の金属製の板状部材を上下方向からプレスすることにより、図示する如くの形状に成形されることで製作される。ここで、上部側シェル20を構成する金属製の板状部材としては、上述した下部側シェル10の場合と同様に、ステンレス鋼、鉄鋼、アルミニウム合金、又は、ステンレス合金等からなる金属板が利用可能である。
【0025】
図1に示すように、点火器40は、火炎を発生させるための点火装置であり、点火部41と、上述した一対の端子ピン42と、を備えている。点火部41は、その内部に、作動時において着火して燃焼することで火炎を発生する点火薬と、この点火薬を着火させるための抵抗体とを含んでいる。一対の端子ピン42は、点火薬を着火させるために点火部41に接続されている。
【0026】
より詳細には、点火部41は、カップ状に形成されたスクイブカップと、当該スクイブカップの開口端を閉塞し、一対の端子ピン42が挿通されてこれを保持する基部とを備えており、スクイブカップ内に挿入された一対の端子ピン42の先端を連結するように抵抗体(ブリッジワイヤ)が取付けられ、この抵抗体を取り囲むように又はこの抵抗体に近接するようにスクイブカップ内に点火薬が装填された構成を有している。
【0027】
ここで、抵抗体としては一般にニクロム線等が利用され、点火薬としては一般にZPP(ジルコニウム・過塩素酸カリウム)、ZWPP(ジルコニウム・タングステン・過塩素酸カリウム)、鉛トリシネート等が利用される。なお、上述したスクイブカップ及び基部は、一般に金属製又はプラスチック製である。
【0028】
保持部30に用いられる樹脂としては、硬化後において耐熱性、耐久性、耐腐食性等に優れた樹脂材料が好適に選択されて利用される。その場合、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂に限られず、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂(たとえばナイロン6又はナイロン66等)、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等に代表される熱可塑性樹脂を利用することも可能である。これら熱可塑性樹脂を原材料として選択する場合には、成形後において保持部30の機械的強度を確保するためにこれら樹脂材料にガラス繊維等をフィラーとして含有させることが好ましい。しかしながら、熱可塑性樹脂のみで十分な機械的強度が確保できる場合には、上述の如くのフィラーを添加する必要はない。
【0029】
衝突を検知した際には、端子ピン42を介して抵抗体に所定量の電流が流れる。抵抗体に所定量の電流が流れることにより、抵抗体においてジュール熱が発生し、点火薬が燃焼を開始する。燃焼により生じた高温の火炎は、点火薬を収納しているスクイブカップを破裂させる。抵抗体に電流が流れてから点火器40が作動するまでの時間は、抵抗体にニクロム線を利用した場合には一般に2ミリ秒以下である。
【0030】
点火器40は、突状筒部13に設けられた開口部15に端子ピン42が挿通するように下部側シェル10の内側から挿入された状態で底板部11に取付けられている。具体的には、底板部11に設けられた突状筒部13の周囲には、樹脂成形部からなる保持部30が設けられており、点火器40は、当該保持部30によって保持されることにより、底板部11に固定されている。
【0031】
ここで、突状筒部13に設けられた開口部15の大きさは、点火器40の最大外形部分である点火部41の外形よりも小さく構成されている。このように構成することにより、万が一保持部30に予期せぬ破損が生じた場合であっても、ハウジングの内部の圧力上昇を受けて点火器40が当該開口部15を通過してハウジングの外部に飛び出てしまうことが防止でき、ガス発生器100の安全な動作が確保されることになる。
【0032】
保持部30は、型を用いた射出成形(より特定的にはインサート成形)によって形成されるものであり、下部側シェル10の底板部11に設けられた開口部15を経由して底板部11の内表面の一部から外表面の一部にまで達するように流動性の絶縁性樹脂材料を底板部11に付着させてこれを固化させることによって形成されている。このとき、圧縮しながら、射出成形を行ってもよい。
【0033】
点火器40は、保持部30の成形の際に、開口部15に端子ピン42が挿通するように下部側シェル10の内側から挿入された状態とされ、この状態において点火器40と下部側シェル10との間の空間を充填するように上述した流動性の絶縁性樹脂材料が流し込まれることにより、保持部30を介して底板部11に固定される。このとき、圧縮しながら、射出成形を行ってもよい。
【0034】
射出成形によって形成される保持部30の原料としては、硬化後において耐熱性、耐久性、耐腐食性等に優れた樹脂材料が好適に選択されて利用される。その場合、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂に限られず、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂(たとえばナイロン6又はナイロン66等)、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等に代表される熱可塑性樹脂を利用することも可能である。これら熱可塑性樹脂を原材料として選択する場合には、成形後において保持部30の機械的強度を確保するためにこれら樹脂材料にガラス繊維等をフィラーとして含有させることが好ましい。しかしながら、熱可塑性樹脂のみで十分な機械的強度が確保できる場合には、上述の如くのフィラーを添加する必要はない。
【0035】
保持部30は、下部側シェル10の底板部11の内表面の一部を覆う内側被覆部31と、下部側シェル10の底板部11の外表面の一部を覆う外側被覆部32と、下部側シェル10の底板部11に設けられた開口部15内に位置し、上記内側被覆部31及び外側被覆部32にそれぞれ連続する連結部33とを有している。
【0036】
保持部30は、内側被覆部31、外側被覆部32及び連結部33のそれぞれの底板部11側の表面において底板部11に固着している。また、保持部30は、点火器40の点火部41の下方端寄りの部分の側面及び下面と、点火器40の端子ピン42の上方端寄りの部分の表面とにそれぞれ固着している。これにより、開口部15は、端子ピン42と保持部30とによって完全に埋め込まれた状態となり、当該部分におけるシール性が確保されることでハウジングの内部の空間の気密性が確保されている。
【0037】
なお、保持部30の内側被覆部31は、底板部11に設けられた突状筒部13の軸方向端部のみを覆うように設けられており、これにより突状筒部13のハウジングの内部に位置する外周面は、保持部30によって覆われずに露出した状態となっている。
【0038】
保持部30の外側被覆部32の外部に面する部分には、雌型コネクタ部34が形成されている。この雌型コネクタ部34は、点火器40とコントロールユニット(不図示)とを結線するためのハーネスの雄型コネクタ(図示せず)を受け入れるための部位であり、下部側シェル10の底板部11に設けられた窪み部14内に位置している。
【0039】
底板部11には、突状筒部13、保持部30及び点火器40を覆うようにカップ状部材50が組付けられている。カップ状部材50は、底板部11側の端部が開口した略円筒形状を有しており、内部に伝火薬56が収容された伝火室55を含んでいる。カップ状部材50は、その内部に設けられた伝火室55が点火器40の点火部41に面することとなるように、ガス発生剤61が収容されたガス発生剤収容室60内に向けて突出して位置するように配置されている。
【0040】
カップ状部材50は、上述した伝火室55を規定する頂壁部51及び側壁部52と、側壁部52の開口端側の部分から径方向外側に向けて延設された延設部53とを有している。延設部53は、下部側シェル10の底板部11の内表面に沿って延びるように形成されている。具体的には、延設部53は、突状筒部13が設けられた部分及びその近傍における底板部11の内底面の形状に沿うように曲成された形状を有しており、その径方向外側の部分にフランジ状に延出する先端部54を含んでいる。
【0041】
延設部53の先端部54は、ハウジングの軸方向に沿って底板部11と下側保持部材62との間に配置されており、これによりハウジングの軸方向に沿って底板部11と下側保持部材62とによって挟み込まれている。ここで、下側保持部材62は、その上方に配置されたガス発生剤61、クッション材64、上側保持部材63及び天板部21によって底板部11側に向けて押し付けられた状態にあるため、カップ状部材50は、その延設部53の先端部54が下側保持部材62によって底板部11側に向けて押し付けられた状態となり、底板部11に対して固定されることになる。
【0042】
なお、カップ状部材50の側壁部52の開口端側の部分が、保持部30のハウジングの内部に位置する部分である内側被覆部31に外挿されることで当該保持部30に対して圧入固定されている。当該圧入固定は、ハウジングに対するカップ状部材50の組付けの際に、その組付作業が容易に行なえるようにするための固定部位であるが、当該圧入固定によってもカップ状部材50が底板部11に対して固定されることになる。
【0043】
カップ状部材50は、頂壁部51及び側壁部52のいずれにも開口を有しておらず、その内部に設けられた伝火室55を取り囲んでいる。このカップ状部材50は、点火器40が作動することによって伝火薬56が着火された場合に伝火室55内の圧力上昇又は発生した熱の伝導に伴って破裂又は溶融するものであり、その機械的強度は比較的低いものが使用される。
【0044】
そのため、カップ状部材50としては、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属製の部材、又は、エポキシ樹脂等に代表される熱硬化性樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド樹脂(たとえばナイロン6又はナイロン66等)、ポリプロピレンスルフィド樹脂、ポリプロピレンオキシド樹脂等に代表される熱可塑性樹脂等の樹脂製の部材からなるものが好適に利用される。
【0045】
なお、カップ状部材50としては、このようなものの他にも、鉄又は銅等に代表されるような機械的強度の高い金属製の部材からなり、その側壁部52に開口を有し、当該開口を閉塞するようにシールテープが貼着されたもの等を利用することも可能である。
【0046】
伝火室55に充填された伝火薬56は、点火器40が作動することによって生じた火炎によって点火され、燃焼することによって熱粒子を発生する。伝火薬56としては、ガス発生剤61を確実に燃焼開始させることができるものであることが必要であり、一般的には、B/KNO3等に代表される金属粉/酸化剤からなる組成物などが用いられる。伝火薬56は、粉状のもの、又は、バインダによって所定の形状に成型されたもの等が利用される。バインダによって成型された伝火薬56の形状としては、たとえば顆粒状、円柱状、シート状、球状、単孔円筒状、多孔円筒状、タブレット状など種々の形状がある。
【0047】
下部側シェル10及び上部側シェル20からなるハウジングの内部の空間のうち、上述のカップ状部材50が配置された部分を取り巻く空間には、ガス発生剤61が収容されたガス発生剤収容室60が位置している。具体的には、上述したように、カップ状部材50は、ハウジングの内部に形成されたガス発生剤収容室60内に突出して配置されており、このカップ状部材50の側壁部52の外表面に面する部分に設けられた空間がガス発生剤収容室60として構成されている。
【0048】
また、ガス発生剤収容室60をハウジングの径方向に取り巻く空間には、ハウジングの内周に沿ってフィルタ70が配置されている。フィルタ70は、円筒状の形状を有しており、その中心軸がハウジングの軸方向と実質的に合致するように配置されることにより、ガス発生剤61が収容されたガス発生剤収容室60を径方向において取り囲んでいる。
【0049】
ガス発生剤61は、点火器40が作動することによって生じた熱粒子によって着火され、燃焼することによってガスを発生させる薬剤である。ガス発生剤61としては、非アジド系ガス発生剤を用いることが好ましく、一般に燃料と酸化剤と添加剤とを含む成形体としてガス発生剤61が形成される。燃料としては、たとえばトリアゾール誘導体、テトラゾール誘導体、グアニジン誘導体、アゾジカルボンアミド誘導体、ヒドラジン誘導体等又はこれらの組み合わせが利用される。具体的には、たとえばニトログアニジン、硝酸グアニジン、シアノグアニジン、5-アミノテトラゾール等が好適に利用される。また、酸化剤としては、たとえば塩基性硝酸銅等の塩基性硝酸塩、過塩素酸アンモニウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸塩、又は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、アンモニアから選ばれたカチオンを含む硝酸塩等が利用される。硝酸塩としては、たとえば硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等が好適に利用される。また、添加剤としては、バインダ、スラグ形成剤、燃焼調整剤等が挙げられる。バインダとしては、たとえばカルボキシメチルセルロースの金属塩、ステアリン酸塩等の有機バインダ、又は、合成ヒドロキシタルサイト、酸性白土等の無機バインダが好適に利用可能である。スラグ形成剤としては窒化珪素、シリカ、酸性白土等が好適に利用可能である。また、燃焼調整剤としては、金属酸化物、フェロシリコン、活性炭、グラファイト等が好適に利用可能である。
【0050】
ガス発生剤61の成形体の形状には、顆粒状、ペレット状、円柱状等の粒状のもの、ディスク状のものなど様々な形状のものがある。また、円柱状のものでは、成形体内部に貫通孔を有する有孔状(たとえば単孔筒形状又は多孔筒形状等)の成形体も利用される。これらの形状は、ガス発生器100が組み込まれるエアバッグ装置の仕様に応じて適宜選択されることが好ましく、たとえばガス発生剤61の燃焼時においてガスの生成速度が時間的に変化する形状を選択するなど、仕様に応じた最適な形状を選択することが好ましい。また、ガス発生剤61の形状の他にもガス発生剤61の線燃焼速度、圧力指数などを考慮に入れて成形体のサイズ及び充填量を適宜選択することが好ましい。
【0051】
フィルタ70は、たとえばステンレス鋼又は鉄鋼等の金属線材を巻き回して焼結したもの、金属線材を編み込んだ網材をプレス加工することによって押し固めたもの、あるいは孔あき金属板を巻き回したもの等が利用される。ここで、網材としては、具体的にはメリヤス編みの金網、平織りの金網、又は、クリンプ織りの金属線材の集合体等が利用される。また、孔あき金属板としては、たとえば、金属板に千鳥状に切れ目を入れるとともにこれを押し広げて孔を形成して網目状に加工したエキスパンドメタル、又は、金属板に孔を穿つとともにその際に孔の周縁に生じるバリを潰すことでこれを平坦化したフックメタル等が利用される。この場合において、形成される孔の大きさ及び形状は、必要に応じて適宜変更が可能であり、同一金属板上において異なる大きさ及び形状の孔が含まれていてもよい。なお、金属板としては、たとえば鋼板(マイルドスチール)又はステンレス鋼板が好適に利用でき、またアルミニウム、銅、チタン、ニッケル又はこれらの合金等の非鉄金属板を利用することもできる。
【0052】
フィルタ70は、ガス発生剤収容室60にて発生したガスがこのフィルタ70中を通過する際に、ガスが有する高温の熱を奪い取ることによってガスを冷却する冷却手段として機能するとともに、ガス中に含まれる残渣(スラグ)等を除去する除去手段としても機能する。したがって、ガスを十分に冷却し、かつ残渣が外部に放出されないようにするためには、ガス発生剤収容室60内にて発生したガスが確実にフィルタ70中を通過するようにすることが必要である。
【0053】
フィルタ70に対面する部分の上部側シェル20の周壁部22(すなわち、フランジ25が設けられた位置よりも天板部21側に位置する部分の周壁部)には、ガス噴出口23が複数設けられている。このガス噴出口23は、フィルタ70を通過したガスをハウジングの外部に導出するためのものである。上部側シェル20の周壁部22のフィルタ70側に位置する主面には、上記ガス噴出口23を閉塞するようにシールテープ24が貼付されている。このシールテープ24としては、片面に粘着部材が塗布されたアルミニウム箔等が利用される。これにより、ガス発生剤収容室60の気密性が確保されている。
【0054】
ガス発生剤収容室60のうち、底板部11側に位置する端部近傍には、下側保持部材62が配置されている。下側保持部材62は、環状の形状を有しており、フィルタ70と底板部11との境目部分を覆うように配置されている。下側保持部材62は、フィルタ70の底板部11側に位置する内周面に接触することでフィルタ70を位置決めして保持するとともに、底板部11との間でカップ状部材50の先端部54を挟み込むことでカップ状部材50を保持している。
【0055】
下側保持部材62は、作動時において、ガス発生剤収容室60にて発生したガスが、フィルタ70の内部を経由することなくフィルタ70の下端と底板部11との間の隙間から流出してしまうことを防止する。下側保持部材62は、たとえば金属製の板状部材をプレス加工等することによって形成されたものであり、好適には普通鋼又は特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板又はステンレス鋼板等)からなる部材にて構成される。
【0056】
ガス発生剤収容室60のうち、天板部21側に位置する端部には、上側保持部材63が配置されている。上側保持部材63は、略円盤状の形状を有しており、フィルタ70と天板部21との境目部分を覆うように配置されている。上側保持部材63は、フィルタ70の天板部21側に位置する内周面に接触することでフィルタ70を位置決めして保持するとともに、その内部に配置されたクッション材64を保持している。
【0057】
上側保持部材63は、作動時において、ガス発生剤収容室60にて発生したガスが、フィルタ70の内部を経由することなくフィルタ70の上端と天板部21との間の隙間から流出してしまうことを防止する。上側保持部材63は、下側保持部材62と同様に、たとえば金属製の板状部材をプレス加工等することによって形成されたものであり、好適には普通鋼又は特殊鋼等の鋼板(たとえば、冷間圧延鋼板又はステンレス鋼板等)からなる部材にて構成される。
【0058】
上側保持部材63の内部には、ガス発生剤収容室60に収容されたガス発生剤61に接触するように環状形状のクッション材64が配置されている。これにより、クッション材64は、ガス発生剤収容室60の天板部21側の部分において天板部21とガス発生剤61との間に位置することになり、ガス発生剤61を底板部11側に向けて押圧している。このクッション材64は、成形体からなるガス発生剤61が振動等によって粉砕されてしまうことを防止する目的で設けられるものであり、好適にはセラミックスファイバの成形体、ゼオライトの成形体、ロックウール、発泡樹脂(たとえば発泡シリコーン、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレン等)、又は、クロロプレン及びEPDMに代表されるゴム等からなる部材にて構成される。
【0059】
次に、以上において説明したガス発生器100の作動時における動作について説明する。本実施形態におけるガス発生器100が搭載された車両が衝突した場合には、車両に別途設けられた衝突検知手段によって衝突が検知され、これに基づいて車両に別途設けられたコントロールユニットからの通電によって点火器40が作動する。伝火室55に収容された伝火薬56は、点火器40が作動することによって生じた火炎によって点火されて燃焼し、多量の熱粒子を発生させる。この伝火薬56の燃焼によってカップ状部材50は破裂又は溶融し、上述の熱粒子がガス発生剤収容室60へと流れ込む。
【0060】
流れ込んだ熱粒子により、ガス発生剤収容室60に収容されたガス発生剤61が着火されて燃焼し、多量のガスを発生させる。ガス発生剤収容室60にて発生したガスは、フィルタ70の内部を通過し、その際、フィルタ70によって熱が奪われて冷却されるとともに、ガス中に含まれるスラグがフィルタ70によって除去されてハウジングの外周縁部に流れ込む。
【0061】
ハウジングの内圧の上昇に伴い、上部側シェル20のガス噴出口23を閉塞していたシールテープ24による封止が破られ、ガス噴出口23を介してガスがハウジングの外部へと噴出される。噴出されたガスは、ガス発生器100に隣接して設けられたエアバッグの内部に導入され、エアバッグを膨張及び展開する。
【0062】
本実施形態によれば、従来よりも、ガス発生器100をエアバッグモジュールなどに迅速且つ容易に取り付けることが可能となる位置合わせ機構80A、80Bを提供できる。
【0063】
また、ガス発生器100のハウジングには、作動時の発生ガスの圧力に耐えることができる程度の高強度の金属製部材などが使用されている。そのため、凸部83A、83Bがハウジングと一体化して形成されている場合、ボルトなどの締結具を代替できるような強度を有したものとなる。すなわち、従来から採用されているハウジングを形成する金属製部材などの特性を有効活用することができる。
【0064】
ここで、一変形例として、有底筒状の凸部83A、83Bの代わりに、図3に示したように、バーリング加工によって底部のない筒状の凸部83Cを形成してもよい。このような変形例においても、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、図3において、凸部83C以外の部位は、上記実施形態と同様の部位であるので、符号の図示を省略している。
【0065】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る位置合わせ機構について、図4を参照しながら説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と下二桁が同じ番号の符号は、同様のものであるので、説明を省略することがある。また、特に説明しない部分に関しては、上記第1実施形態と同様であるので、説明を省略することがある。
【0066】
本実施形態における位置合わせ機構180A、180Bは、(1)有底筒状の凸部83A、83Bの代わりに、突出部181Aから上部方向に立設した板状の凸部183A、183Bを有している点、(2)エアバッグモジュール90A、90Bの穴部82A、82Bの代わりに、板状の凸部183A、183Bが挿入可能または圧入可能なスリット状の穴部182A、182Bをエアバッグモジュール190A、190Bに有している点、で、第1実施形態と異なっている。
【0067】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0068】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る位置合わせ機構について、図5および図6を参照しながら説明する。なお、本実施形態において、第1実施形態と下二桁が同じ番号の符号は、同様のものであるので、説明を省略することがある。また、特に説明しない部分に関しては、上記第1実施形態と同様であるので、説明を省略することがある。
【0069】
図5(b)に示したように、本実施形態における位置合わせ機構280A、280B、280Cは、上記各実施形態と同様の位置合わせ機能だけでなく、取り付け固定機能まで有したものである。以下、具体的に説明する。
【0070】
図5(a)に示したように、ガス発生器300は、位置合わせ用突出部81A、81B、固定用突出部91A、91Bの代わりに、突出部281A、281B、281Cを有している点で、第1実施形態のガス発生器100と異なっている。また、位置合わせ機構280Aは、エアバッグモジュール290A(一部のみ図示)の一部である、被挿入部282Aと、図5(b)の二点鎖線で示した突出部281Aをガス発生器300の軸を中心に回動するように被挿入部282A(図6参照)に挿入した場合に挟持する一組の挟持部材282A1、282A2と、を有している点で、第1実施形態の位置合わせ機構80A、80Bと異なっている。位置合わせ機構280B、280Cは、設けられた位置が異なる(図5(b)のガス発生器300の中心軸に対して位置合わせ機構280Aから120°ずつ、ずれた位置(回動した位置)となっている)以外、位置合わせ機構280Aと同様のものであるので、説明を省略する。また、エアバッグモジュール290A、290B、290Cの全体は図示を省略している。
【0071】
一組の挟持部材282A1、282A2のそれぞれは板ばねとなっており、この板ばねの原理(弾性力)を用いて突出部281Aを挟持し固定している。同様に、一組の挟持部材282B1、282B2は、突出部281Bを挟持して固定し、一組の挟持部材282C1、282C2は、突出部281Cを挟持して固定している。すなわち、一組の挟持部材282A1、282A2、一組の挟持部材282B1、282B2、一組の挟持部材282C1、282C2のそれぞれの組は、被挿入部282Aを形成するだけでなく、ガス発生器300をエアバッグモジュールに取り付け固定可能な被固定部の一部にもなっている。
【0072】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。また、ガス発生器300をエアバッグモジュールに取り付ける場合において、ボルトなどの締結具を必要としないので、従来よりも部品点数の削減に貢献できる。また、大容量のエアバッグを膨らませる場合、ガス発生器を2つ使用する場合がある。そのような場合、本実施形態のような略三角形のハウジングを有するガス発生器300を千鳥状に配置することで、省スペース化が可能となる。なお、略三角形の上部側シェル220の輸送・保管時、ガス発生器300の輸送・保管時にも同様の省スペース化効果が得られるので、輸送コストの低減、および、保管スペースの縮小も可能となる。
【0073】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。例えば、図示しないが、上記実施形態のハウジングの代わりに、長筒状のいわゆるシリンダ型ハウジングを用いてもよい。
【0074】
また、上記第1、第2実施形態においては、2つの固定用突出部を用いたが、強固に取り付け固定できるのであれば、ガス発生器のハウジングをエアバッグモジュールに取り付け固定する場合、1つの固定用突出部を用いて行ってもよい。このとき、エアバッグモジュール側の取り付け孔は、固定用突出部の数と同数設ければよい。
【0075】
また、上記第1、第2実施形態においては、3つ以上の固定用突出部を用いて、ガス発生器のハウジングをエアバッグモジュールに取り付け固定するようなものに変形してもよい。このとき、エアバッグモジュール側の取り付け孔は、固定用突出部の数と同数設ければよい。なお、3つの固定用突出部を用いる場合には、等間隔に設けて、ガス発生器のハウジングの形状が略三角形状の外観となるようにすることが好ましい。
【0076】
また、上記第1、第2実施形態においては、2つの位置合わせ用突出部を用いたが、位置合わせ用突出部を1つのみ設けて、この位置合わせ用突出部のみを位置合わせの起点として用い、固定用突出部をエアバッグモジュールの取り付け孔の位置にガイドするような使い方をしてもよい。このとき、エアバッグモジュール側の被挿入部は、位置合わせ用突出部の数と同数設ければよい。
【0077】
また、上記第1、第2実施形態においては、2つの位置合わせ用突出部を用いたが、3つ以上の位置合わせ用突出部を設けてもよい。このとき、エアバッグモジュール側の被挿入部は、位置合わせ用突出部の数と同数設ければよい。
【0078】
また、上記第3実施形態においては、3つの位置合わせ用突出部(固定用突出部でもある)を設けたものを示したが、2つの位置合わせ用突出部(固定用突出部でもある)を設けたもの、または、4つ以上の位置合わせ用突出部(固定用突出部でもある)を設けたものとしてもよい。このとき、エアバッグモジュール側の被挿入部と一体化されている被固定部は、位置合わせ用突出部(固定用突出部でもある)の数と同数設ければよい。
【0079】
また、上記各実施形態においては、フランジを上部側シェルに設け、当該フランジから延設された状態の位置合わせ用突出部および固定用突出部としたが、これに限られない。たとえば、上部側シェルの周壁部または下部側シェルの周壁部から直接、位置合わせ用突出部および固定用突出部が突出するように設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0080】
10、110、210 下部側シェル
11、111、211 底板部
12、112、212 周壁部
13、113、213 突状筒部
14 窪み部
15 開口部
20、120、220 上部側シェル
21、121、221 天板部
22、122、222 周壁部
23、123、223 ガス噴出口
24 シールテープ
25、125、225 フランジ
30、130、230 保持部
31 内側被覆部
32、132、232 外側被覆部
33 連結部
34、134、234 雌型コネクタ部
40 点火器
41 点火部
42、142、242 端子ピン
50 カップ状部材
51 頂壁部
52 側壁部
53 延設部
54 先端部
55 伝火室
56 伝火薬
60 ガス発生剤収容室
61 ガス発生剤
62 下側保持部材
63 上側保持部材
64 クッション材
70 フィルタ
80A、80B、180A、180B、280A、280B、280C 位置合わせ機構
81A、81B、181A、181B、281A、281B、281C 位置合わせ用突出部
82A、82B、182A、182B 穴部
83A、83B、83C、183A、183B 凸部
90A、90B、190A、190B、290A、290B、290C エアバッグモジュール
91A、91B、191A、191B 固定用突出部
92A、92B、192A、192B 取り付け孔
100、200、300 ガス発生器
281A、281B、281C 突出部
282A 被挿入部
282A1、282A2、282B1、282B2、282C1、282C2 挟持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6