(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042628
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】ショーツ
(51)【国際特許分類】
A41B 9/04 20060101AFI20240321BHJP
A41B 9/02 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
A41B9/04 E
A41B9/02 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022161266
(22)【出願日】2022-09-15
(71)【出願人】
【識別番号】518177205
【氏名又は名称】ママ・チョイス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西井 紀代子
【テーマコード(参考)】
3B128
【Fターム(参考)】
3B128EA02
3B128EB11
3B128EB19
3B128EC02
3B128EC12
(57)【要約】 (修正有)
【課題】布帛生地を用いることにより、通気性、開放性に長けた形状にしながらも、なおかつ、後身ごろを立体的な形状にすることにより、臀部や鼠径部への食い込みや締め付け、臀部への挟まりや後身ごろのズレ上がり、下尻が露出する、生理ナプキンが安定しない問題を解決するショーツを提供する。
【解決手段】後身ごろとクロッチの縫合部において、後身ごろは直線もしくは外向きに凸の曲線である縫合ラインを有し、クロッチは外向きに凸の曲線である縫合ラインを有し、後身ごろ側の縫合ラインは、クロッチ側の縫合ラインの150~230%の長さを有し、ギャザーを寄せてクロッチ側に縫合することにより、下尻まで、臀部を立体的に包み込むように成したことを特徴とする女性用または子ども用ショーツである。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身ごろと後身ごろとクロッチとベルト部を有するショーツにおいて、
後身ごろとクロッチの縫合部において、後身ごろは直線もしくは外向きに凸の曲線である縫合ラインを有し、クロッチは外向きに凸の曲線である縫合ラインを有し、
後身ごろ側の縫合ラインは、クロッチ側の縫合ラインの150~230%の長さを有し、ギャザーを寄せてクロッチ側に縫合することにより、下尻まで、臀部を立体的に包み込むように成したことを特徴とするショーツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、筒編みされた筒状の無縫製の生地に、低伸縮性の生地を縫合したショーツに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の女性用ショーツの形状は、多くが以下の2つに分類される。
1一部の女性用ショーツは、布帛生地を用いて、身体をしめつけず、通気性、開放性をもたせているが、身体の動きにより、ツッパリ感や食い込みが生じることがある。
2多くの女性用ショーツは、ニット生地を用いて身体に密着させることにより、臀部の形に添わせる形状である。前記ニット生地を用いたショーツの一部には、各パーツを立体的に縫合することにより、臀部への食い込みを軽減したショーツがある。しかしながら、身体に密着するため、締め付けが生じるとともに、通気性、開放性をもたせることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-218670
【特許文献2】特開平11-286801
【特許文献3】特願2019-16871
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1で開示されている技術は、布帛生地で成した女性用ショーツにおいて、後身ごろに膨らみが不足しているため、しゃがんで立ち上がったときに、左右臀部の溝に後身ごろが食い込んだり、臀部にツッパリ感が生じたりするなどの恐れがある。
【0005】
前記特許文献2では、男性用パンツにおいて、前身ごろ脇部及び後身ごろ裾部用生地の凹状曲線による、後身ごろ側上縁部と後身ごろ用生地の凸状曲線による左右の側縁部を、それぞれ互いに縫合することにより、後身ごろに膨らみ部を形成するように構成されたものであるが、女性用ショーツにおいては裾部を設けることができない。
また、前記特許文献2の方法では、後身ごろの生地が臀部の内側に膨らんだ場合は、左右臀部の溝に後身ごろが食い込む恐れがあると思われる。
【0006】
一般的な女性用ショーツは、ニット生地で生成されており、上記文献3においても、立体的に成した伸縮性のある後身ごろの生地を臀部に密着させて、前記立体形状を維持することができる。
しかしながら、ニット生地を用いた場合は、締め付けが発生するとともに、通気性をもたせることができない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明は、布帛生地を用いることにより、通気性、開放性に長けた形状にしながらも、なおかつ、後身ごろを立体的な形状にすることにより、臀部や鼠径部への食い込みや締め付け、臀部への挟まりや後身ごろのズレ上がり、下尻が露出する、生理ナプキンが安定しない、という問題を解決するショーツを提供する。
【0008】
前身ごろ(
図7)と後身ごろ(
図8)と表裏の2枚からなるクロッチ(
図9・
図10)とベルト部(
図11)を有するショーツにおいて、後身ごろとクロッチの縫合部において、後身ごろは直線もしくは外向きに凸の曲線である縫合ラインを有し(
図8-13)、クロッチは外向きに凸の曲線である縫合ラインを有し(
図9-19・
図10-21)、後身ごろ側の縫合ライン(
図8-13)は、クロッチ側の縫合ライン(
図9-19・
図10-21)の150~230%の長さを有し、ギャザーを寄せてクロッチ側に縫合することにより、下尻まで、臀部を立体的に包み込むように成したことを特徴とする女性用または子ども用ショーツである。
この発明においてショーツとは、下半身用の下着であり、女性用または子ども用ショーツや、男性用のトランクスも含むものとする。
【発明の効果】
【0009】
後身ごろとクロッチの縫合部は、後身ごろは直線もしくは外向きに凸の曲線である縫合ラインを有し(
図8-13)、クロッチは外向きに凸の曲線である縫合ラインを有し(
図9-19・
図10-21)、さらに、後身ごろ側の縫合ライン(
図8-13)にギャザーを寄せてクロッチ側(
図9-19・
図10-21)に縫合することにより(
図3-8・
図4-8・
図5-8)、後身ごろ下部に膨らみが生じ(
図2・
図5)、下尻まで、臀部を立体的にフィット性よく包み込むことができ、しゃがむ、スポーツをするなど動作や、長時間の座位によって起きる、骨盤の横の広がりや、臀部の後ろへの広がりを吸収することができ、臀部や鼠径部への食い込みや締め付け、臀部への挟まりや後身ごろのズレ上がりを防ぎ、下尻まで臀部をカバーすることができるとともに、生理用ナプキンを安定してつけることができる。また、布帛生地を用いることにより、通気性と開放性に優れ、鼠径部や太ももを締めつけない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本発明のショーツを装着した状態を示す写真(背面)である。
【
図3】この発明の技術を示す、外側を表にした平置き写真である。
【
図4】この発明の技術を示す、肌側を表にした平置き写真である。
【
図6】この発明の着用位置を示す正面斜視図である。
【
図7】この発明の一実施例を示す前身ごろのパターン図である。
【
図8】この発明の一実施例を示す後身ごろのパターン図である。
【
図9】この発明の一実施例を示すクロッチ外側のパターン図である。
【
図10】この発明の一実施例を示すクロッチ肌側のパターン図である。
【
図11】この発明の一実施例を示すベルト部のパターン図である。
【
図12】この発明の一実施例を示すパターンの全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、骨盤下部位置に着用する筒編みされた筒状の無縫製の生地でできた、快適なフィット感を持つベルト部(
図1-1)を伸ばしながら、低伸縮性の布帛生地からなる身ごろに縫合し、ギャザーを生じさせ(
図1-2)、脚ぐりは身ごろ上部のギャザーが連続して広がるような形状をなし(
図1-3)、かつクロッチと後身ごろの縫合部(
図3-8・
図4-8・
図5-8)において、後身ごろ側にギャザーを寄せて膨らみをもたせ、臀部や脚ぐりを締め付けない設計とするものである。
【0012】
本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。ただし本発明は、以下の例に限定及び制限されない。
【0013】
本発明を適用したショーツは、前身ごろ(
図7)と後身ごろ(
図8)とクロッチ(
図9・
図10)とベルト部(
図11)の4つの部分で構成される。
【0014】
前身ごろ(
図7)と後身ごろ(
図8)は、本実施例においては、綿100%の布帛、ダブルガーゼ生地を用いる。
【0015】
クロッチ外側(
図9)は、本実施例においては、前身ごろ(
図7)・後身ごろ(
図8)と同じダブルガーゼ、クロッチ肌側(
図10)はオーガニックコットン100%の天竺生地を用い、クロッチは二重の生地で構成される。
【0016】
ベルト部(
図1-1・
図11)は、筒編みされた筒状の無縫製の生地を用いる。
【0017】
ベルト部(
図1-1・
図11)は、本実施例においては、綿70%・シルク20%・ナイロン7%・ポリウレタン3%の生地を用いる。
【0018】
仕上がり時の高さが3~7cmのベルト部が、着用した際に、上前腸骨棘と大転子の間に位置するように(
図6-10)、逆算して、身ごろとクロッチの丈を設定する。
【0019】
前記ベルト部(
図1-1・
図11)の高さは、3cm以下では、着用時に撚れやすく、7cm以上では、着用時に上前腸骨棘と大転子の間に収まりづらい。よって3~7cmが望ましい。
【0020】
身ごろは低伸縮性の素材を用い、身ごろ最下部の脚ぐり(
図1-3)は、身ごろ上部のギャザー(
図1-2)が連続して広がる設計で、通気性と開放性に優れ、鼠径部や太ももを締めつけない。
【0021】
前身ごろの上縁(
図7-16)、後身ごろの上縁(
図8-18)は、それぞれ、平置き時のベルト幅(
図11-23)に対し、180%~300%の幅を有する。
【0022】
前記前身ごろの上縁(
図7-16)、後身ごろの上縁(
図8-18)が、それぞれ、ベルト幅(
図11-23)の300%以上の長さを有する場合は、ギャザー量が過剰でショーツの形状として適さない。一方、前記前身ごろの上縁(
図7-16)、後身ごろの上縁(
図8-18)が、それぞれ、平置き時のベルト幅(
図11-23)の長さの180%以下である場合は、ギャザー量が過少で、鼠径部や太もも周りを締めつけず、通気性を持たせるための、脚ぐりの開口面積を確保できない。
【0023】
前記後身ごろとクロッチの縫合部(
図3-8・
図4-8・
図5-8)において、後身ごろは直線もしくは外向きに凸の曲線である縫合ラインを有し(
図8-13)、クロッチは外向きに凸の曲線である縫合ラインを有し(
図9-19・
図10-21)、
後身ごろ側の縫合ライン(
図8-13)は、クロッチ側の縫合ライン(
図9-19・
図10-21)の150~230%の長さを有し、ギャザーを寄せてクロッチ側に縫合する(
図3-8・
図4-8・
図5-8)ことにより、下尻まで、臀部を立体的に包み込むように成す(
図2・
図5)とともに、臀部の膨らみに後身ごろがフィットし、クロッチ部が固定されるため、生理用ナプキンを安定してつけることができる。
【0024】
[0021][0022][0023]における前記寸法の比率は、いずれもパターンの実寸であり、仕上がり時の寸法によるものではない。
【0025】
上記のようなショーツの製造は、次のようにして行う。
すなわち、各パーツの裁断を行い、後身ごろのクロッチ縫合部(
図8-13)にギャザーを寄せる。
後身ごろのクロッチ縫合部(
図8-13)、クロッチ外側の後身ごろ縫合部(
図9-19)、クロッチ肌側の後身ごろ縫合部(
図10-21)の3カ所を縫合し、一方で、前身ごろのクロッチ縫合部(
図7-17)、クロッチ外側の前身ごろ縫合部(
図9-20)、クロッチ肌側の前身ごろ縫合部(
図10-22)の3カ所を、縫合する。
もしくは、後身ごろのクロッチ縫合部(
図8-13)と、クロッチ外側の後身ごろ縫合部(
図9-19)をまず縫合したのち、さらにクロッチ肌側の後身ごろ縫合部(
図10-21)を縫合する。一方で、前身ごろとクロッチ外側、クロッチ肌側も、同様の手順で縫合する。
いずれかの方法で、前身ごろ、クロッチ外側、クロッチ肌側、後身ごろを縫合し、表に返す。
【0026】
前記前身ごろの脇(
図7-12)と前記後身ごろの脇(
図8-14)、前記前身ごろの脇(
図7-11)と前記後身ごろの脇(
図8-15)をそれぞれ縫合する。
【0027】
前記筒編みされた筒状の無縫製の生地(
図1-1)を、生地に編み込まれている弾性糸が生地の表面に出ていない方の面が外側に来るように、輪の状態のまま二つ折りにし、裁断した側のラインを伸ばしながら、低伸縮性の生地の前身ごろの上縁(
図7-16)、後身ごろの上縁(
図8-18)にそれぞれ縫合することにより、身ごろ上部にギャザーを寄せる。
前記筒編みされた筒状の無縫製の生地を平置きしたときの幅(
図11-23)に、前身ごろ上縁の幅(
図7-16)と後身ごろ上縁の幅(
図8-18)がそれぞれ対応するように縫合する。
【0028】
縫い代を身ごろ側に倒して、縫い代を押さえるようにステッチを入れる。
ほかに随時、縁の三つ折り縫いや、縁かがり縫い等の手順が発生する。
【0029】
この発明の使用方法として、ベルト部(
図1-1)が、上前腸骨棘と大転子の間に位置するように(
図6-10)着用することが推奨される。
【0030】
この発明におけるショーツは、特に女性用に意図されるが、子どもまたは男性用製品への適用も含む。
【0031】
後身ごろとクロッチの縫合部は、後身ごろは直線もしくは外向きに凸の曲線である縫合ラインを有し(
図8-13)、クロッチは外向きに凸の曲線である縫合ラインを有し(
図9-19・
図10-21)、さらに、後身ごろ側の縫合ライン(
図8-13)にギャザーを寄せてクロッチ側(
図9-19・
図10-21)に縫合することにより(
図3-8・
図4-8・
図5-8)、後身ごろ下部に膨らみが生じ(
図2・
図5)、下尻まで、臀部を立体的にフィット性よく包み込むことができ、しゃがむ、スポーツをするなど動作や、長時間の座位によって起きる、骨盤の横の広がりや、臀部の後ろへの広がりを吸収することができ、臀部や鼠径部への食い込みや締め付け、臀部への挟まりや後身ごろのズレ上がりを防ぎ、下尻まで臀部をカバーすることができるとともに、生理用ナプキンを安定してつけることができる。また、布帛生地を用いることにより、通気性と開放性に優れ、鼠径部や太ももを締めつけない。
【符号の説明】
【0032】
1 ベルト部
2 ベルト部と身ごろの縫合部
3 身ごろ最下部の脚ぐり
4 前身ごろ
5 後身ごろ
6 クロッチ外側
7 クロッチ肌側
8 後身ごろのクロッチ縫合部
9 前身ごろのクロッチ縫合部
10 着用位置
11 前身ごろの脇縫合部
12 前身ごろの脇縫合部
13 後身ごろのクロッチ縫合部とその幅
14 後身ごろの脇縫合部
15 後身ごろの脇縫合部
16 前身ごろのベルト部縫合部とその幅
17 前身ごろのクロッチ縫合部
18 後身ごろのベルト部縫合部とその幅
19 クロッチ外側の後身ごろ縫合部とその幅
20 クロッチ外側の前身ごろ縫合部
21 クロッチ肌側の後身ごろ縫合部とその幅
22 クロッチ肌側の前身ごろ縫合部
23 ベルト部裁断ラインの身ごろ縫合部の幅
【0033】