(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042630
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】農業機器デュアルコア冗長制御システム
(51)【国際特許分類】
A01C 11/02 20060101AFI20240321BHJP
G05B 9/03 20060101ALI20240321BHJP
G05B 9/02 20060101ALI20240321BHJP
A01B 61/00 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
A01C11/02 332
G05B9/03
G05B9/02 A
A01B61/00
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022162193
(22)【出願日】2022-10-07
(31)【優先権主張番号】111134843
(32)【優先日】2022-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】390023582
【氏名又は名称】財團法人工業技術研究院
【氏名又は名称原語表記】INDUSTRIAL TECHNOLOGY RESEARCH INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】No.195,Sec.4,ChungHsingRd.,Chutung,Hsinchu,Taiwan 31040
(74)【代理人】
【識別番号】100185694
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 隆志
(72)【発明者】
【氏名】呉▲スン▼毅
(72)【発明者】
【氏名】鄭世賢
(72)【発明者】
【氏名】柯文清
(72)【発明者】
【氏名】李士畦
(72)【発明者】
【氏名】簡全基
【テーマコード(参考)】
2B041
2B062
5H209
【Fターム(参考)】
2B041AA13
2B041AB05
2B041AC01
2B041AC05
2B041AC06
2B041AC07
2B041AC11
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2B041HA11
2B041HA14
2B041HA22
2B041HA28
2B041HA30
2B062AA03
2B062AB01
2B062CA05
2B062CA25
2B062CB06
2B062CB20
5H209AA17
5H209BB07
5H209CC01
5H209CC03
5H209DD04
5H209DD11
5H209DD18
5H209DD20
5H209GG04
5H209HH13
5H209JJ09
5H209SS01
5H209SS07
5H209SS08
(57)【要約】
【課題】機器の安全性を効果的に向上させる農業機器デュアルコア冗長制御システムを提供する。
【解決手段】
農業機器デュアルコア冗長制御システムは、メインコアユニット、第1通信ユニット及びサブコアユニットを備える。メインコアユニットは、第1優先度で機器の運転プログラムを制御する。第1通信ユニットは、メインコアユニットに接続され、運転プログラムの関連データを送信する。サブコアユニットは、前記第1通信ユニットに接続され、第1通信ユニットを介してメインコアユニットからの複数のデータを受信し、前記複数のデータのうち1つ以上が異常条件を満たす場合、サブコアユニットは、第1優先度よりも高い第2優先度で機器の運転プログラムを制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1優先度で機器の運転プログラムを制御するメインコアユニットと、
前記メインコアユニットに接続され、前記運転プログラムの関連データを送信する第1通信ユニットと、
前記第1通信ユニットに接続されるサブコアユニットと、
を備え、
前記サブコアユニットは、前記第1通信ユニットを介して前記メインコアユニットからの複数のデータを受信し、前記複数のデータの1つ以上が異常条件を満たす場合、前記第1優先度よりも高い第2優先度で前記機器の前記運転プログラムを制御する、農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項2】
前記メインコアユニットに接続され、無線制御信号を受信する無線信号受信器と、
前記機器の運転プログラムを制御するための前記無線制御信号を発信する無線信号発信器と、
を更に備える請求項1に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項3】
前記無線制御信号は、赤外線、無線ネットワーク(Wi‐Fi)、第4世代移動通信ネットワーク(4G)及び/又は第5世代移動通信ネットワーク(5G)に基づく信号である請求項2に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項4】
前記サブコアユニットは、前記第2優先度で前記機器の前記運転プログラムを制御する前、前記機器の前記運転プログラムを制御する前記メインコアユニットを先に停止する請求項1に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項5】
前記メインコアユニットは、第2通信ユニットを介して第1センサモジュールに接続され、前記第1センサモジュールは、傾斜センシングデータ、温度センシングデータ、周波数センシングデータ及び加速度センシングデータを取得する請求項1に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項6】
前記第2通信ユニットは、集積回路バス(I2C)である請求項5に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項7】
前記メインコアユニットは、アナログデジタル変換器を介して第2センサモジュールに接続され、前記第2センサモジュールは、距離センシングデータ及び衝突センシングデータを取得する請求項1に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項8】
前記運転プログラムは、キャリア移動、ロボットアームの動作、スロットル制御、エンジン始動及びフレームアウトのうちの1つ以上を含む請求項1に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項9】
前記複数のデータは、傾斜センシングデータ、温度センシングデータ、周波数センシングデータ、加速度センシングデータ、距離センシングデータ及び衝突センシングデータのうちの1つ以上を含む請求項1に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項10】
前記異常条件は、送信内容異常、データフォーマット異常及びプログラム未処理異常の1つ以上を含む請求項1に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項11】
前記第1通信ユニットは、コントローラエリアネットワーク(CANbus)である請求項1に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項12】
機器の運転プログラムを制御するメインコアユニットと、
前記メインコアユニットに接続され、前記運転プログラムの関連データを送信する第1通信ユニットと、
前記第1通信ユニットに接続されるサブコアユニットと、
を備え、
前記サブコアユニットは、前記第1通信ユニットを介して前記メインコアユニットからの複数のデータを受信し、異常状況の発生時、前記機器の前記運転プログラムを制御する前記メインコアユニットを先に停止してから、前記機器の前記運転プログラムを制御する、農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項13】
前記異常状況は、前記複数のデータの1つ以上が異常条件を満たすものである請求項12に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項14】
前記異常条件は、送信内容異常、データフォーマット異常、プログラム未処理異常のうちの1つ以上を含む請求項13に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項15】
前記メインコアユニットは、第1優先度で前記機器の運転プログラムを制御し、前記異常状況の発生時、前記サブコアユニットは、前記機器の運転プログラムを制御する前記メインコアユニットを先に停止してから、前記第1優先度よりも高い第2優先度で前記機器の前記運転プログラムを制御する請求項12に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項16】
前記メインコアユニットに接続され、無線制御信号を受信する無線信号受信器と、
前記機器の運転プログラムを制御するための前記無線制御信号を発信する無線信号発信器と、
を更に備える請求項12に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項17】
前記無線制御信号は、赤外線、無線ネットワーク(Wi‐Fi)、第4世代移動通信ネットワーク(4G)及び/又は第5世代移動通信ネットワーク(5G)に基づく信号である請求項16に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項18】
前記メインコアユニットは、第2通信ユニットを介して第1センサモジュールに接続され、前記第1センサモジュールは、傾斜センシングデータ、温度センシングデータ、周波数センシングデータ及び加速度センシングデータを取得する請求項12に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項19】
前記第2通信ユニットは、集積回路バス(I2C)である請求項18に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項20】
前記メインコアユニットは、アナログデジタル変換器を介して第2センサモジュールに接続され、前記第2センサモジュールは、距離センシングデータ及び衝突センシングデータを取得する請求項12に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項21】
前記運転プログラムは、キャリア移動、ロボットアームの動作、スロットル制御、エンジン始動及びフレームアウトのうちの1つ以上を含む請求項12に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項22】
前記複数のデータは、傾斜センシングデータ、温度センシングデータ、周波数センシングデータ、加速度センシングデータ、距離センシングデータ及び衝突センシングデータのうちの1つ以上を含む請求項12に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項23】
前記第1通信ユニットは、コントローラエリアネットワーク(CANbus)である請求項12に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冗長制御システムに関し、特に農業機器用のデュアルコア冗長制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動化技術とインターネットの発展により,従来の農業は、農業をインテリジェント化する方向に向かっており、自動化されたロボット技術と情報通信技術(Information and Communication Technology,ICT)を利用することで整地、耕作、施肥、収穫などの農作業の効率を大幅に向上させることが可能となっている。
【0003】
例えば、自動田植機は、運転者に、昇降、前進、後進、旋回及び停止の機能を提供し、田植え作業を行うことができる。しかし、前述の自動田植機の制御システムの多くは、動力、方向、安全検出などの制御を含む単一コア制御のみを使用している。このような単一のコアで全体の動作を制御する方法では、単一のコアが故障すると、機械的な誤動作が発生し、安全上の問題につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、農業機器デュアルコア冗長制御システムを如何に提供するかが業界の課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、メインコアユニット、第1通信ユニット及びサブコアユニットを備える農業機器デュアルコア冗長制御システムを提供する。メインコアユニットは、第1優先度で機器の運転プログラムを制御する。第1通信ユニットとは、メインコアユニットに接続され、運転プログラムの関連データを送信する。サブコアユニットは、第1通信ユニットに接続され、第1通信ユニットを介してメインコアユニットからの複数のデータを受信し、複数のデータの1つ以上が異常条件を満たす場合、第1優先度よりも高い第2優先度で前記機器の運転プログラムを制御する。
【0006】
本発明は、メインコアユニット、第1通信ユニット及びサブコアユニットを備える農業機器デュアルコア冗長制御システムを提供する。メインコアユニットは、第1優先度で機器の運転プログラムを制御する。第1通信ユニットとは、メインコアユニットに接続され、運転プログラムの関連データを送信する。サブコアユニットは、第1通信ユニットに接続される。サブコアユニットは、第1通信ユニットを介してメインコアユニットからの複数のデータを受信し、異常状況の発生時、機器の前記運転プログラムを制御するメインコアユニットを先に停止してから、機器の前記運転プログラムを制御する、農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【発明の効果】
【0007】
本発明の実施形態によれば、農業機器デュアルコア冗長制御システムは、メインコアユニット及びサブコアユニットを含み、サブコアユニットは、メインコアユニットの動作状態を継続的に監視することができ、メインコアユニットに異常が発生した場合、サブコアユニットが機器の運転プログラムを直ちに停止して危険を回避し、サブコアユニットが再び機器の運転プログラムを引き継ぐことができるため、機器の安全性を効果的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態のシステムブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態のメインコアユニット制御のフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施形態のサブコアユニット制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明をより明確かつ分かりやすくするために、以下では、実施形態を挙げ、図面と合わせて詳細に説明する。
【0010】
図面の説明を明瞭かつ便利にするために、図面中の各部材は、サイズ及び比率を拡大又は縮小して示すことがある。以下の説明及び/又は特許請求の範囲において、要素が別の要素に「接続されている」又は「結合されている」と言及される場合、それは他の要素に直接接続又は結合され得るか、又は介在する要素が存在し得る。ある要素が別の要素に「直接接続されている」又は「直接結合されている」と言及する場合、介在する要素は存在せず、要素又は層の間の関係を説明するために使用される他の言葉は、同じように解釈されるべきである。「第1」や「第2」などの序数は、順序の先後の関係はなく、同じ名前の2つの異なる要素を区別するためにのみ使用される。理解を容易にするために、以下の実施形態において同じ要素は同じ記号で示される。
【0011】
先ず、
図1は、本発明の一実施形態のシステムブロック図である。農業機器デュアルコア冗長制御システム150は、主にメインコアユニット10、第1通信ユニット20及びサブコアユニット30を備える。ここで言う農業機器とは、一般的に農業機器全般を指すが、本発明はこれに限定するものではなく、他の種類の機器にも適用できる。
【0012】
メインコアユニット10は、第1スイッチユニット80を介して起動ユニット84に接続され、起動ユニット84は、エンジン100に接続される。メインコアユニット10は、第2スイッチユニット82を介してフレームアウトユニット86にも接続され、フレームアウトユニット86は、エンジン100に接続される。メインコアユニット10は、第1優先度で機器の運転プログラムを制御する。例えば、前記の運転プログラムは、キャリア移動、ロボットアームの操作、スロットル制御、エンジン始動、及びフレームアウトのうちの1つ又は複数を含む。第1スイッチユニット80及び第2スイッチユニット82は、例えばリレーであってよい。
【0013】
第1通信ユニット20は、メインコアユニット10に接続される。第1通信ユニット20は、運転プログラムの関連データを送信する。例えば、前記の関連データには、エンジンセンシング、キャリア移動、ロボットアームの動作、スロットル制御、エンジンの始動及びフレームアウト等のデータのうちの1つ以上を含む。第1通信ユニット20は、例えば、コントローラエリアネットワーク(CANbus)であってよい。
【0014】
サブコアユニット30は、第1通信ユニット20に接続される。サブコアユニット30は、第1通信ユニット20を介してメインコアユニット10からの複数のデータを受信する。異常状況の発生時、サブコアユニット30は、第1優先度よりも高い第2優先度で前記機器の運転プログラムを制御する。上述の異常状況は、実際の必要に応じて定義することができ、例えば、異常状況は、前記複数のデータのうちの1つ以上が異常条件を満たす場合であり得る。一実施形態において、前記の異常条件は、送信内容異常、データフォーマット異常、プログラム未処理異常などのいずれか1つ又は複数の組み合わせを含む。前記複数のデータが、送信内容異常、データフォーマット異常、プログラム未処理異常のいずれか1つ又は複数の組み合わせに適合する場合、前記複数のデータが異常条件を満たすと判定される。言い換えれば、サブコアユニット30は、第1通信ユニット20を介してメインコアユニット10からの複数のデータを読み取り、メインコアユニット10の状態を判定する。一部の実施形態では、サブコアユニット30が第2優先度で前記機器の運転プログラムを制御する前、前記機器の運転プログラムを制御するメインコアユニット10を先に停止する。
【0015】
第1センサモジュール40は、第2通信ユニット60及びエンジン100にそれぞれ接続される。第1センサモジュール40は、傾斜センサユニット42、温度センサユニット44、周波数センサユニット46及び加速度センサユニット48を含む。第1センサモジュール40は、例えば、傾斜センシングデータ、温度センシングデータ、周波数センシングデータ、及び加速度センシングデータのうちの1つ以上を取得する。
【0016】
具体的には、傾斜センサユニット42は、エンジン100の傾きセンシングデータを取得し、第2通信ユニット60を介してメインコアユニット10に傾斜センシングデータを送り返す。温度センサユニット44は、エンジン100の温度センシングデータ(例えば、シリンダーヘッド温度、油温など)を取得し、第2通信ユニット60を介してメインコアユニット10に温度センシングデータを送り返す。周波数センサユニット46は、エンジン100の周波数センシングデータ(例えば、点火周波数)を取得し、第2通信ユニット60を介して周波数センシングデータをメインコアユニット10に送り貸す。加速度センサユニット48は、エンジン100の加速度センシングデータを取得し、第2通信ユニット60を介して加速度センシングデータをメインコアユニット10に送り返す。加速度センサユニット48は、例えば、加速度計、ジャイロスコープであってよい。
【0017】
第2通信ユニット60は、メインコアユニット10に接続される。第2通信ユニット60は、例えば、集積回路バス(Inter‐IntegratedCircuit、I2C)であってよい。
【0018】
第2センサモジュール50は、アナログデジタル変換器72に接続され、アナログデジタル変換器72は、メインコアユニット10に接続される。第2センサモジュール50は、距離センサユニット52及び衝突センサユニット54を含む。第2センサモジュール50は、距離センシングデータ及び衝突センシングデータを取得する。より具体的には、距離センサユニット52は、機器及び他のオブジェクト(壁や車両など)との間の距離センシングデータを取得し、アナログデジタル変換器72を介して距離センシングデータをメインコアユニット10に送り返す。距離センサユニット52は、例えば、超音波センサ、レーダセンサであってよい。衝突センサユニット54は、エンジン及び/又は機器及び他のオブジェクトとの衝突によって生成された衝突センシングデータを取得し、アナログデジタル変換器72を介して衝突センシングデータをメインコアユニット10に送り返す。
【0019】
また、モータ制御モジュール88及びバッテリ管理システム90は、第1通信ユニット20を介してメインコアユニット及びサブコアユニット30にそれぞれ接続される。バッテリ管理システム90は、バッテリの充電と放電を制御し、バッテリの過充電、過放電、及び過熱を回避することができる。スロットル制御モータ92は、デジタルアナログ変換器70及びエンジン100にそれぞれ接続され、デジタルアナログ変換器70は、メインコアユニット10に接続される。スロットル制御モータ92は、エンジン100の出力速度及びパワーを変更することができる。
【0020】
無線信号受信器94は、無線信号発信器96の無線制御信号を受信する。ワイヤレス制御信号は、例えば、赤外線、ワイヤレスネットワーク(Wi‐Fi)、第4世代モバイルネットワーク(4th generation mobile networks,4G)及び/又は第5世代モバイルネットワーク(5th generation mobile networks,5G)に基づく信号であってよい。無線信号発信器96は、例えば、リモートコントローラであってよい。このようにして、ユーザは、機器の運転プログラムをローカル又はリモート制御することができる。
【0021】
既存の農業機器制御システムのほとんどは、電力、方向及び安全検出の制御を含む単一コア制御のみを使用している。しかし、単一コアで全体の動作を制御するこの方法は、単一コアが故障した時に機械的な誤動作を引き起こしやすく、安全上の問題につながる。
【0022】
これに対し、本発明の実施形態によれば、農業機器デュアルコア冗長制御システム150は、メインコアユニット10及びサブコアユニット30を含む。このうち、サブコアユニット30は、メインコアユニット10の動作状態を継続的に監視でき、メインコアユニット10に異常が発生した場合、サブコアユニットが機器の動作プログラムを直ちに停止して危険を回避し、サブコアユニット30が再び機器の運転プログラムを引き継ぐことができる。したがって、機器の安全性を効果的に向上させることができる。
【0023】
また、前述のように、本発明の実施形態によれば、農業機器デュアルコア冗長制御システム150は、メインコアユニット10及びサブコアユニット30を含む。メインコアユニット10に異常が発生した場合、サブコアユニット30は、メインコアユニット10の動作状態を継続的に監視でき、サブコアユニット30が機器の運転プログラムを引き継ぐため、機器に追加の保護メカニズムを提供することができる。したがって、前記機器の信頼性を効果的に向上させることができる。
【0024】
また、本発明の実施形態によると、農業機器デュアルコア冗長制御システム150は、デュアルコア制御を採用しているため、機器の安全性及び信頼性を向上させることができる。従って、機器が市場で受け入れられる度合を大幅に向上させ、市場競争力を高めることができる。
【0025】
図2は、本発明の一実施形態のメインコアユニットの制御フローチャートである。
図2に示すように、本実施形態のメインコアユニット10の制御フローは、次のステップを含む。
【0026】
ステップS200において、無線信号発信器96を使用して無線制御信号を無線信号受信器94に送信し、メインコアユニット10は、無線制御信号に対応する制御コマンドに従って、第1スイッチユニット80、起動ユニット84及びエンジン100をイネーブルにし、機器を起動する。
【0027】
ステップS210において、メインコアユニット10は、第1優先度でマシンの動作プログラム(例えば、キャリア移動、ロボットアームの操作、スロットル制御、エンジン始動及びフレームアウトなど)を制御する。
【0028】
ステップS220において、メインコアユニット10は、センサモジュール(第1センサモジュール40及び第2センサモジュール50)が異常であるかを検査し、メインコアユニット10がセンサモジュールの送信内容の誤り、データフォーマットの誤りを検出する場合、数値が設定値を超えることを検出する場合(例えば、傾斜角度が過度に大きい、温度が過度に高い等)、異常状態であると判定し、ステップS230に進む。メインコアユニット10がセンサモジュールは正常であると確認した場合、引き続き第1優先度で機器の運転プログラムを制御する。
【0029】
ステップS230において、メインコアユニット10は、第2スイッチユニット82をイネーブルにし、機器の運転プログラムを停止する。
【0030】
ステップS240において、メインコアユニット10は、異常が排除されたかを確認し、異常が排除されたことを確認した場合、ステップS210に戻り、メインコアユニット10は、第1優先度で機器の動作プログラムを制御する。異常が依然として排除されていないと確認した場合、ステップS230に戻り、メインコアユニット10が第2スイッチユニット82をイネーブルにし、その機器の運転プログラムを停止する。
【0031】
図3は、本発明の一実施形態のサブコアユニットの制御フローチャートである。
図3に示すように、本実施形態のサブコアユニット30の制御フローは、以下のステップを含む。
【0032】
ステップS300において、無線信号発信器96を使用して無線制御信号を無線信号受信器94に送信し、メインコアユニット10は、無線制御信号に対応する制御コマンドに従って、第1スイッチユニット80、起動ユニット84及びエンジン100をイネーブルにし、機器を起動する。
【0033】
ステップS310において、メインコアユニット10は、第1優先度で機器の運転プログラム(例えば、キャリア移動、ロボットアームの操作、スロットル制御、エンジン始動及びフレームアウトなど)を制御する。
【0034】
ステップS320において、サブコアユニット30は、第1通信ユニット20を介してメインコアユニット10からの複数のデータ(例えば、キャリア移動、ロボットアームの操作、スロットル制御、エンジン始動、フレームアウト、傾斜センシングデータ、温度センシングデータ、周波数センシングデータ、加速度センシングデータなど)を受信し、異常条件を満たすかどうかを確認し、言い換えれば、サブコアユニット30は、第1通信ユニット20を介してメインコアユニット10からの複数のデータを読み取り、メインコアユニット10の状態を判定する。
【0035】
ステップS330において、前述の複数のデータが異常条件を満たすことが確認された場合、メインコアユニット10を異常と判断してステップS330に進む。複数のデータが異常条件を満たさないことが確認された場合は、ステップS310に戻り、メインコアユニット10が第1の優先順位で機器の動作プログラムを制御する。
【0036】
ステップS330において、サブコアユニット30は、第2スイッチユニット82をイネーブルにし、機器の運転プログラムを停止する。次に、ステップS340において、サブコアユニット30は、第1優先度よりも高い第2優先度で機器の運転プログラムを制御する。
【0037】
ステップS350において、サブコアユニット30は、センサモジュール(第1センサモジュール40及び第2センサモジュール50)が異常であるかどうかを検査し、サブコアユニット30がセンサモジュールの送信内容の誤り、データフォーマットの誤りを検出した場合、データが設定値(例えば、傾斜角度が過度に大きい、温度が過度に高い等)を超えたことを検出した場合、異常状態であると判定し、ステップS330に進む。サブコアユニット30がセンサモジュールは正常であると確認した場合、
引き続き第2優先度で機器の運転プログラムを制御する。
【0038】
本発明の農機デュアルコア冗長制御システムは、機器の運転プログラムをローカル又はリモート操作し、農業インテリジェント化の発展趨勢に適合することができる。
【0039】
まとめると、本発明の実施形態によれば、農業機器デュアルコア冗長制御システム150は、メインコアユニット10及びサブコアユニット30を含む。このうち、サブコアユニット30は、メインコアユニット10の動作状態を継続的に監視することができ、メインコアユニット10に異常が発生した場合、サブコアユニットが機器の運転プログラムを直ちに停止して危険を回避し、サブコアユニット30が再び機器の運転プログラムを引き継ぐことができる。したがって、機器の安全性を効果的に向上させることができる。
【0040】
また、前述のように、本発明の実施形態によれば、農業機器デュアルコア冗長制御システム150は、メインコアユニット10及びサブコアユニット30を含む。メインコアユニット10に異常が発生した場合、サブコアユニット30は、メインコアユニット10の動作状態を継続的に監視することができ、サブコアユニット30が機器の運転プログラムを引き継ぐため、機器に追加の保護メカニズムを提供することができる。したがって、機器の信頼性を効果的に向上させることができる。
【0041】
また、本発明の実施形態によれば、農業機器デュアルコア冗長制御システム150は、デュアルコア制御を採用しているため、機器の安全性と信頼性を向上させることができる。したがって、機器の市場での受け入れ度を大幅に向上させ、市場競争力を高めることができる。
【0042】
本発明は、上記のように実施形態によって開示したが、これは本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、幾らかの変更及び修飾を行うことができるため、本発明の保護範囲は、後述の特許請求の範囲に定義するものを基準とする。
【符号の説明】
【0043】
10 メインコアユニット
20 第1通信ユニット
30 サブコアユニット
40 第1センサモジュール
42 傾斜センサユニット
44 温度センサユニット
46 周波数センサユニット
48 加速度センサユニット
50 第2センサモジュール
52 距離センサユニット
54 衝突センサユニット
60 第2通信ユニット
70 デジタルアナログ変換器
72 アナログデジタル変換器
80 第1スイッチユニット
82 第2スイッチユニット
84 起動ユニット
86 フレームアウトユニット
88 モータ制御モジュール
90 バッテリ管理システム
92 スロットル制御モータ
94 無線信号受信器
96 無線信号発信器
100 エンジン
150 農業機器デュアルコア冗長制御システム
S200 ステップ
S210 ステップ
S220 ステップ
S230 ステップ
S240 ステップ
S300 ステップ
S310 ステップ
S320 ステップ
S330 ステップ
S340 ステップ
S350 ステップ
【手続補正書】
【提出日】2024-02-03
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1優先度で機器の運転プログラムを制御するメインコアユニットと、
前記メインコアユニットに接続され、前記運転プログラムの関連データを送信する第1通信ユニットと、
前記第1通信ユニットに接続されるサブコアユニットと、
を備え、
前記サブコアユニットは、前記第1通信ユニットを介して前記メインコアユニットからの複数のデータを受信し、前記複数のデータの1つ以上が異常条件を満たす場合、前記機器の前記運転プログラムを制御する前記メインコアユニットを先に停止し、前記第1優先度よりも高い第2優先度で前記機器の前記運転プログラムを制御する、農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項2】
前記メインコアユニットに接続され、無線制御信号を受信する無線信号受信器と、
前記機器の運転プログラムを制御するための前記無線制御信号を発信する無線信号発信器と、
を更に備える請求項1に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項3】
前記無線制御信号は、赤外線、無線ネットワーク(Wi‐Fi)、第4世代移動通信ネットワーク(4G)及び/又は第5世代移動通信ネットワーク(5G)に基づく信号である請求項2に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項4】
前記メインコアユニットは、第2通信ユニットを介して第1センサモジュールに接続され、前記第1センサモジュールは、傾斜センシングデータ、温度センシングデータ、周波数センシングデータ及び加速度センシングデータを取得する請求項1に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項5】
前記第2通信ユニットは、集積回路バス(I2C)である請求項4に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項6】
前記メインコアユニットは、アナログデジタル変換器を介して第2センサモジュールに接続され、前記第2センサモジュールは、距離センシングデータ及び衝突センシングデータを取得する請求項1に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項7】
前記運転プログラムは、キャリア移動、ロボットアームの動作、スロットル制御、エンジン始動及びフレームアウトのうちの1つ以上を含む請求項1に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項8】
前記複数のデータは、傾斜センシングデータ、温度センシングデータ、周波数センシングデータ、加速度センシングデータ、距離センシングデータ及び衝突センシングデータのうちの1つ以上を含む請求項1に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項9】
前記異常条件は、送信内容異常、データフォーマット異常及びプログラム未処理異常の1つ以上を含む請求項1に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項10】
前記第1通信ユニットは、コントローラエリアネットワーク(CANbus)である請求項1に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項11】
第1優先度で機器の運転プログラムを制御するメインコアユニットと、
前記メインコアユニットに接続され、前記運転プログラムの関連データを送信する第1通信ユニットと、
前記第1通信ユニットに接続されるサブコアユニットと、
を備え、
前記サブコアユニットは、前記第1通信ユニットを介して前記メインコアユニットからの複数のデータを受信し、異常状況の発生時、前記機器の前記運転プログラムを制御する前記メインコアユニットを先に停止してから、前記第1優先度よりも高い第2優先度で前記機器の前記運転プログラムを制御する、農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項12】
前記異常状況は、前記複数のデータの1つ以上が異常条件を満たすものである請求項11に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項13】
前記異常条件は、送信内容異常、データフォーマット異常、プログラム未処理異常のうちの1つ以上を含む請求項12に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項14】
前記メインコアユニットに接続され、無線制御信号を受信する無線信号受信器と、
前記機器の運転プログラムを制御するための前記無線制御信号を発信する無線信号発信器と、
を更に備える請求項11に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項15】
前記無線制御信号は、赤外線、無線ネットワーク(Wi‐Fi)、第4世代移動通信ネットワーク(4G)及び/又は第5世代移動通信ネットワーク(5G)に基づく信号である請求項14に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項16】
前記メインコアユニットは、第2通信ユニットを介して第1センサモジュールに接続され、前記第1センサモジュールは、傾斜センシングデータ、温度センシングデータ、周波数センシングデータ及び加速度センシングデータを取得する請求項11に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項17】
前記第2通信ユニットは、集積回路バス(I2C)である請求項16に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項18】
前記メインコアユニットは、アナログデジタル変換器を介して第2センサモジュールに接続され、前記第2センサモジュールは、距離センシングデータ及び衝突センシングデータを取得する請求項11に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項19】
前記運転プログラムは、キャリア移動、ロボットアームの動作、スロットル制御、エンジン始動及びフレームアウトのうちの1つ以上を含む請求項11に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項20】
前記複数のデータは、傾斜センシングデータ、温度センシングデータ、周波数センシングデータ、加速度センシングデータ、距離センシングデータ及び衝突センシングデータのうちの1つ以上を含む請求項11に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。
【請求項21】
前記第1通信ユニットは、コントローラエリアネットワーク(CANbus)である請求項11に記載の農業機器デュアルコア冗長制御システム。