(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042642
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】半導体装置及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20240321BHJP
H01L 29/739 20060101ALI20240321BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20240321BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240321BHJP
【FI】
H01L29/78 652M
H01L29/78 655G
H01L29/78 652T
H01L29/78 653A
H01L29/78 652J
H01L29/78 658F
H01L29/78 652D
【審査請求】未請求
【請求項の数】28
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023062251
(22)【出願日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】P 2022146836
(32)【優先日】2022-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(72)【発明者】
【氏名】窪内 源宜
(72)【発明者】
【氏名】河野 涼一
(57)【要約】
【課題】コンタクトトレンチを有する構造において、ゲート閾値電圧のばらつきを抑制することができる半導体装置を提供する。
【解決手段】第1導電型の半導体基板10と、半導体基板10に設けられた第1トレンチ11に埋め込まれた絶縁ゲート型電極構造(6,7)と、半導体基板10に第1トレンチ11に接して設けられた第2導電型のベース領域3と、ベース領域3の上部に第1トレンチ11に接して設けられた第1導電型の第1主電極領域4a,4bと、半導体基板10に設けられた第2トレンチ14に埋め込まれ、ベース領域3に接し、ベース領域3よりも高不純物濃度の第2導電型のポリシリコン膜15と、半導体基板10の下面側に設けられた第2主電極領域9を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板に設けられた第1トレンチに埋め込まれた絶縁ゲート型電極構造と、
前記半導体基板に前記第1トレンチに接して設けられた第2導電型のベース領域と、
前記ベース領域の上部に前記第1トレンチに接して設けられた第1導電型の第1主電極領域と、
前記半導体基板に設けられた第2トレンチに埋め込まれ、前記ベース領域に接し、前記ベース領域よりも高不純物濃度の第2導電型のポリシリコン膜と、
前記半導体基板の下面側に設けられた第2主電極領域と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1トレンチ及び前記第2トレンチが、互いに離間することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2トレンチが、前記第1主電極領域には設けられていないことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2トレンチが、前記第1主電極領域に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2トレンチが、前記第1主電極領域を貫通して前記ベース領域に達することを特徴とする請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1トレンチ及び前記第2トレンチが互いに接することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1主電極領域に接して設けられた第2導電型のコンタクト領域を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記コンタクト領域が前記第2トレンチの下面に接することを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2トレンチに前記ポリシリコン膜を介して埋め込まれたコンタクト部を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ポリシリコン膜の上面が、前記第1主電極領域の上面と同じ高さであることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1トレンチ及び前記第2トレンチが同一方向にストライプ状に延伸し、
前記第1主電極領域及びコンタクト領域が、前記第1トレンチ及び前記第2トレンチの延伸方向に平行な方向において、交互に設けられている
ことを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記ポリシリコン膜の上面に凹部が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記第1主電極領域の深さが、前記第2トレンチの深さよりも浅く、
前記第2トレンチが、前記第1主電極領域を貫通し、前記ベース領域に達する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記ポリシリコン膜が、前記第1主電極領域及び前記ベース領域に接することを特徴とする請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記コンタクト領域の深さが、前記第2トレンチの深さよりも浅く、
前記第2トレンチが、前記コンタクト領域を貫通し、前記ベース領域に達する
ことを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記ポリシリコン膜が、前記コンタクト領域及び前記ベース領域に接することを特徴とする請求項15に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記第1主電極領域の深さが、前記第2トレンチの深さよりも深く、
前記第2トレンチの底面が、前記第1主電極領域の内部に位置する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記ポリシリコン膜が、前記第1主電極領域に接し、前記ベース領域から離間することを特徴とする請求項17に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記コンタクト領域の深さが、前記第2トレンチの深さよりも深く、
前記第2トレンチの底面が、前記コンタクト領域の内部に位置する
ことを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記ポリシリコン膜が、前記コンタクト領域に接し、前記ベース領域から離間することを特徴とする請求項19に記載の半導体装置。
【請求項21】
前記ポリシリコン膜の上面が平面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項22】
前記ポリシリコン膜が、前記ベース領域に接し、前記第1主電極領域から離間することを特徴とする請求項13に記載の半導体装置。
【請求項23】
前記ポリシリコン膜が、前記第2トレンチの底面及び側面の一部に沿って設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項24】
前記第1トレンチ及び前記第2トレンチが同一方向にストライプ状に延伸し、
前記第1主電極領域及びコンタクト領域が、前記第1トレンチ及び前記第2トレンチの延伸方向に平行にストライプ状に延伸する
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項25】
前記第2トレンチが、前記コンタクト領域の上部に設けられていることを特徴とする請求項24に記載の半導体装置。
【請求項26】
前記ポリシリコン膜が、前記第2トレンチの側面及び底面がなす角部に選択的に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項27】
前記コンタクト領域の深さが、前記第1主電極領域の深さよりも深いことを特徴とする請求項7に記載の半導体装置。
【請求項28】
第1導電型の半導体基板に第1トレンチを形成する工程と、
前記第1トレンチに絶縁ゲート型電極構造を形成する工程と、
前記半導体基板に前記第1トレンチに接して第2導電型のベース領域を形成する工程と、
前記ベース領域の上部に前記第1トレンチに接して第1導電型の第1主電極領域を形成する工程と、
前記半導体基板の上部に、前記ベース領域に接する第2トレンチを形成する工程と、
前記第2トレンチに、前記ベース領域よりも高不純物濃度の第2導電型のポリシリコン膜を埋め込む工程と、
前記半導体基板の下面側に第2主電極領域を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トレンチゲート構造の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)等の半導体装置において、微細化に伴う耐量低下を補う技術として、ゲートトレンチ間のメサ部を露出するようにコンタクトホールを形成した後に、ゲートトレンチ間のメサ部を更にエッチングし、トレンチ(コンタクトトレンチ)を形成する技術が開発されている。
【0003】
コンタクトトレンチの形成後には、コンタクト抵抗を低減するために、コンタクトトレンチの底面にボロン(B)等のp型不純物をイオン注入して高不純物濃度のコンタクト領域を形成する。その後、コンタクトトレンチに、チタン(Ti)及び窒化チタン(TiN)等のバリアメタル膜を介して、タングステン(W)等のコンタクトプラグを埋め込む。
【0004】
特許文献1は、コンタクト用トレンチの下方に正孔引き抜き領域がボディ領域よりも浅く形成され、オーミック接触していること、及び、正孔引き抜き領域がコンタクト用トレンチの存在範囲内に収まるように配置されてもよいことを開示する。特許文献2は、p+層がソースボディコンタクトトレンチに沿って形成されていることを開示する。
【0005】
特許文献3は、コンタクトホール内にポリシリコン膜を設けて底部以外のポリシリコン膜をエッチバック等で除去し、熱処理をすること、及び、コンタクトホール内には拡散源層が設けられていることを開示する。特許文献4は、コンタクト部の底面に接する半導体基板の表面にはp+型半導体領域が形成され、p+型半導体領域がコンタクト部の底面からn型半導体領域の途中深さに亘って形成されていることを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-186252号公報
【特許文献2】特表2008-530800号公報
【特許文献3】特開2004-303964号公報
【特許文献4】特開2018-22776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、コンタクトトレンチの形成後には、コンタクトトレンチの底面にp型不純物をイオン注入して高不純物濃度のコンタクト領域を形成するのが一般的である。しかしながら、イオン注入後のp型不純物の活性化等の熱履歴により、p型不純物がチャネル近傍へ拡散し、チャネルの不純物濃度が変動することで、ゲート閾値電圧が変動する。このゲート閾値電圧の変動量はウェハ面内やウェハ間の差によって異なるため、ゲート閾値電圧がばらつく。コンタクト領域はできるだけ狭くしたいが、ウェハプロセスのばらつきの影響により制御が困難である。確実にコンタクトさせるために、コンタクト領域を広めに形成するため、p型不純物がチャネル近傍まで拡散し易くなる。
【0008】
本発明は、コンタクトトレンチを有する構造において、ゲート閾値電圧のばらつきを抑制することができる半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、第1導電型の半導体基板と、半導体基板に設けられた第1トレンチに埋め込まれた絶縁ゲート型電極構造と、半導体基板に第1トレンチに接して設けられた第2導電型のベース領域と、ベース領域の上部に第1トレンチに接して設けられた第1導電型の第1主電極領域と、半導体基板に設けられた第2トレンチに埋め込まれ、ベース領域に接し、ベース領域よりも高不純物濃度の第2導電型のポリシリコン膜と、半導体基板の下面側に設けられた第2主電極領域とを備えることを特徴とする半導体装置であることを要旨とする。
【0010】
本発明の他の態様は、第1導電型の半導体基板に第1トレンチを形成する工程と、第1トレンチに絶縁ゲート型電極構造を形成する工程と、半導体基板に第1トレンチに接して第2導電型のベース領域を形成する工程と、ベース領域の上部に第1トレンチに接して第1導電型の第1主電極領域を形成する工程と、半導体基板の上部に、ベース領域に接する第2トレンチを形成する工程と、第2トレンチに、ベース領域よりも高不純物濃度の第2導電型のポリシリコン膜を埋め込む工程と、半導体基板の下面側に第2主電極領域を形成する工程とを含む半導体装置の製造方法であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コンタクトトレンチを有する構造において、ゲート閾値電圧のばらつきを抑制することができる半導体装置及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態に係る半導体装置の一例を示す水平方向の断面図である。
【
図2】
図1のA-A方向から見た垂直方向の断面図である。
【
図4】
図1のB-B方向から見た垂直方向の断面図である。
【
図5】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例の工程断面図である。
【
図6】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例の
図5に引き続く工程断面図である。
【
図7】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例の
図6に引き続く工程断面図である。
【
図8】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例の
図7に引き続く工程断面図である。
【
図9】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例の
図8に引き続く工程断面図である。
【
図10】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例の
図9に引き続く工程断面図である。
【
図11】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例の
図10に引き続く工程断面図である。
【
図12】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例の
図11に引き続く工程断面図である。
【
図13】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例の
図12に引き続く工程断面図である。
【
図14】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例の
図13に引き続く工程断面図である。
【
図15】比較例に係る半導体装置の製造方法の工程断面図である。
【
図16】比較例に係る半導体装置の製造方法の
図15に引き続く工程断面図である。
【
図17】第2実施形態に係る半導体装置の一例を示す垂直方向の断面図である。
【
図18】第2実施形態に係る半導体装置の一例を示す垂直方向の他の断面図である。
【
図19】第3実施形態に係る半導体装置の一例を示す垂直方向の断面図である。
【
図20】第3実施形態に係る半導体装置の一例を示す垂直方向の他の断面図である。
【
図21】第4実施形態に係る半導体装置の一例を示す垂直方向の断面図である。
【
図22】第4実施形態に係る半導体装置の一例を示す垂直方向の他の断面図である。
【
図23】第5実施形態に係る半導体装置の一例を示す水平方向の断面図である。
【
図24】
図23のA-A方向から見た垂直方向の断面図である。
【
図25】第6実施形態に係る半導体装置の一例を示す垂直方向の断面図である。
【
図26】第7実施形態に係る半導体装置の一例を示す垂直方向の断面図である。
【
図27】第7実施形態に係る半導体装置の一例を示す垂直方向の他の断面図である。
【
図28】第8実施形態に係る半導体装置の一例を示す水平方向の断面図である。
【
図29】
図28のA-A´線で切断した垂直方向の断面図である。
【
図30】
図28のB-B´線で切断した垂直方向の断面図である。
【
図31】第9実施形態に係る半導体装置の一例を示す垂直方向の断面図である。
【
図32】第9実施形態に係る半導体装置の一例を示す垂直方向の他の断面図である。
【
図33】第10実施形態に係る半導体装置の一例を示す水平方向の断面図である。
【
図34】
図33のA-A´線で切断した垂直方向の断面図である。
【
図35】
図33のC-C´線で切断した垂直方向の断面図である。
【
図36】第11実施形態に係る半導体装置の一例を示す垂直方向の断面図である。
【
図37】第11実施形態に係る半導体装置の一例を示す垂直方向の他の断面図である。
【
図38】第12実施形態に係る半導体装置の一例を示す垂直方向の断面図である。
【
図39】第13実施形態に係る半導体装置の一例を示す水平方向の断面図である。
【
図40】
図39のA-A´線で切断した垂直方向の断面図である。
【
図41】
図39のB-B´線で切断した垂直方向の断面図である。
【
図42】第14実施形態に係る半導体装置の一例を示す垂直方向の断面図である。
【
図43】第15実施形態に係る半導体装置の一例を示す垂直方向の断面図である。
【
図44】第16実施形態に係る半導体装置の一例を示す垂直方向の断面図である。
【
図45】第16実施形態に係る半導体装置の一例を示す垂直方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下において、図面を参照して本発明の第1~第17実施形態を説明する。以下の説明で参照する図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0014】
以下の説明では、「第1主電極領域」及び「第2主電極領域」は、主電流が流入若しくは流出する半導体素子の主電極領域である。「第1主電極領域」とは、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)であれば、エミッタ領域又はコレクタ領域のいずれか一方となる半導体領域を意味する。電界効果トランジスタ(FET)や静電誘導トランジスタ(SIT)であれば、ソース領域又はドレイン領域のいずれか一方となる半導体領域を意味する。静電誘導サイリスタ(SIサイリスタ)やゲートターンオフサイリスタ(GTO)であれば、アノード領域又はカソード領域のいずれか一方となる半導体領域を意味する。また、「第2主電極領域」とは、IGBTであれば、上記第1主電極領域とはならないエミッタ領域又はコレクタ領域のいずれか一方となる領域を意味する。FETやSITであれば、上記第1主電極領域とはならないソース領域又はドレイン領域のいずれか一方となる半導体領域を意味する。SIサイリスタやGTOであれば、上記第1主電極領域とはならないアノード領域又はカソード領域のいずれか一方となる領域を意味する。即ち、「第1主電極領域」がソース領域であれば、「第2主電極領域」はドレイン領域を意味する。「第1主電極領域」がエミッタ領域であれば、「第2主電極領域」はコレクタ領域を意味する。「第1主電極領域」がアノード領域であれば、「第2主電極領域」はカソード領域を意味する。なお、単に「主電極領域」と記載する場合は、技術的及び文脈的に妥当な第1主電極領域又は第2主電極領域のいずれか一方を包括的に意味する。
【0015】
また、以下の説明における上下等の方向の定義は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。例えば、対象を90°回転して観察すれば上下は左右に変換して読まれ、180°回転して観察すれば上下は反転して読まれることは勿論である。また、「上面」を「おもて面」と読み替えてもよく、「下面」を「裏面」と読み替えてもよい。
【0016】
また、以下の説明では、第1導電型がn型、第2導電型がp型の場合について例示的に説明する。しかし、導電型を逆の関係に選択して、第1導電型をp型、第2導電型をn型としても構わない。また「n」や「p」に付す「+」や「-」は、「+」及び「-」が付記されていない半導体領域に比して、それぞれ相対的に不純物濃度が高い又は低い半導体領域であることを意味する。ただし同じ「n」と「n」とが付された半導体領域であっても、それぞれの半導体領域の不純物濃度が厳密に同じであることを意味するものではない。
【0017】
(第1実施形態)
<半導体装置の構造>
第1実施形態に係る半導体装置として、IGBTを一例に説明する。
図1は、第1実施形態に係る半導体装置の活性領域の一部を上面(おもて面)側から見た水平方向の断面を示す。
図2は、
図1のA-A方向から見た垂直方向の断面を示す。
図2のB-B方向から見た水平方向の断面が
図1に対応する。
【0018】
図2に示すように、第1実施形態に係る半導体装置は、半導体基板10を備える。半導体基板10は、例えばシリコン(Si)基板で構成されている。半導体基板10は、Si基板に限定されず、例えば炭化珪素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、酸化ガリウム(Ga
2O
3)、ダイヤモンド(C)又は窒化アルミニウム(AlN)等のSiよりも禁制帯幅が広い半導体(ワイドバンドギャップ半導体)からなる半導体基板であってもよい。
【0019】
半導体基板10は、第1導電型(n-型)のドリフト層1を備える。ドリフト層1の上面側には、ドリフト層1よりも高不純物濃度のn型の蓄積層2が設けられている。蓄積層2の下面は、ドリフト層1の上面に接する。蓄積層2を設けることにより、キャリアの注入促進効果(IE効果)を高めて、オン電圧を低減することができる。なお、蓄積層2は必ずしも設けられていなくてよい。
【0020】
蓄積層2の上面側には、第2導電型(p-型)のベース領域3が設けられている。ベース領域3の下面は、蓄積層2の上面に接する。蓄積層2が設けられない場合には、ベース領域3の下面は、ドリフト層1の上面に接する。ベース領域3の上面側には、n+型の第1主電極領域(エミッタ領域)4a,4bが設けられている。エミッタ領域4a,4bの下面は、ベース領域3の上面に接する。エミッタ領域4a,4bの不純物濃度は、ドリフト層1及び蓄積層2の不純物濃度よりも高い。
【0021】
半導体基板10の上部には、複数のトレンチ(ゲートトレンチ)11が互いに離間して並列して設けられている。ゲートトレンチ11は、半導体基板10の上面から、半導体基板10の上面に対して垂直方向である深さ方向に設けられている。ゲートトレンチ11は、エミッタ領域4a,4b、ベース領域3及び蓄積層2を貫通してドリフト層1に達する。ゲートトレンチ11の側面(側壁)には、エミッタ領域4a,4b、ベース領域3及び蓄積層2の側面が接している。
【0022】
ゲートトレンチ11の底面及び側面を覆うようにゲート絶縁膜6が設けられている。ゲート絶縁膜6としては、例えば二酸化珪素膜(SiO2膜)、酸窒化珪素(SiON)膜、ストロンチウム酸化物(SrO)膜、窒化珪素(Si3N4)膜、アルミニウム酸化物(Al2O3)膜、マグネシウム酸化物(MgO)膜、イットリウム酸化物(Y2O3)膜、ハフニウム酸化物(HfO2)膜、ジルコニウム酸化物(ZrO2)膜、タンタル酸化物(Ta2O5)膜、ビスマス酸化物(Bi2O3)膜のいずれか1つの単層膜或いはこれらの複数を積層した複合膜等が採用可能である。
【0023】
ゲートトレンチ11の内側には、ゲート絶縁膜6を介してゲート電極7が埋め込まれている。ゲート絶縁膜6及びゲート電極7により絶縁ゲート型電極構造(6,7)が構成される。ゲート電極7の材料としては、例えば燐(P)やボロン(B)等の不純物を高不純物濃度に添加したポリシリコン膜(ドープドポリシリコン膜)が使用可能である。
【0024】
なお、複数の絶縁ゲート型電極構造(6,7)のうちの一部の絶縁ゲート型電極構造(6,7)がゲートランナーに接続されるゲートトレンチ部であり、残りの絶縁ゲート型電極構造(6,7)がゲートランナーに接続されないダミートレンチ部であってよい。
【0025】
隣り合うゲートトレンチ11の間隔は、例えば0.5μm以上、1.5μm以下程度である。隣り合うゲートトレンチ11の間には、半導体基板10の上部で構成されるメサ部が設けられている。メサ部は、隣り合うゲートトレンチ11に挟まれた半導体基板10の領域であり、ゲートトレンチ11の最も深い位置よりも上方の領域である。
【0026】
半導体基板10のメサ部及び絶縁ゲート型電極構造(6,7)の上面には層間絶縁膜20が設けられている。層間絶縁膜20は、例えば、「NSG」と称される燐(P)や硼素(B)を含まないノンドープのシリコン酸化膜(SiO2膜)、燐を添加したシリコン酸化膜(PSG膜)、硼素を添加したシリコン酸化膜(BSG膜)、硼素及び燐を添加したシリコン酸化膜(BPSG膜)、シリコン窒化物膜(Si3N4膜)、高温酸化膜(HTO膜)等の単層膜や、これらの積層膜で構成されている。
【0027】
半導体基板10のメサ部上に位置する層間絶縁膜20には、層間絶縁膜20を貫通するコンタクトホール20aが設けられている。半導体基板10のメサ部には、コンタクトホール20aに連続するようにトレンチ(コンタクトトレンチ)14が設けられている。コンタクトトレンチ14は、半導体基板10のメサ部の上面から、メサ部の上面に対して垂直方向である深さ方向に設けられている。
【0028】
図2のコンタクトトレンチ14の周囲を囲む破線の領域Aの拡大図を
図3に示す。
図3に示すように、エミッタ領域4a,4bが現れる断面において、コンタクトトレンチ14は、エミッタ領域4a,4bを貫通し、ベース領域3に到達している。コンタクトトレンチ14の深さD1は、エミッタ領域4a,4bの深さD3よりも深く、例えば0.2μm以上、1.0μm以下程度である。なお、コンタクトトレンチ14の深さD1は、エミッタ領域4a,4bの深さD3と同一であってもよく、エミッタ領域4a,4bの深さD3よりも浅くてもよい。コンタクトトレンチ14の底面の幅は、例えば0.1μm以上、0.5μm以下程度である。
【0029】
コンタクトトレンチ14の側面は、開口部から底面に向かって狭くなるテーパ形状(順テーパ形状)である。なお、コンタクトトレンチ14の側面は、コンタクトトレンチ14の底面に対して略垂直であってもよく、或いは、開口部から底面に向かって広くなるテーパ形状(逆テーパ形状)でもよい。コンタクトトレンチ14の底面は平面であるが、これに限定されず、下に凸の曲面等であってもよい。
【0030】
コンタクトトレンチ14の下部には、ベース領域3よりも高不純物濃度のp+型のポリシリコン膜15が埋め込まれている。ポリシリコン膜15は、ボロン(B)等のp型不純物を高不純物濃度に添加したポリシリコン膜(ドープドポリシリコン膜)である。ポリシリコン膜15の下面は、ベース領域3に接している。ポリシリコン膜15の側面は、ベース領域3及びエミッタ領域4a,4bに接している。
【0031】
ポリシリコン膜15の厚さT1は、例えば0.1μm以上、0.8μm以下程度であり、コンタクトトレンチ14の深さの1/10以上、4/5以下程度である。ポリシリコン膜15の上面の中央部には、凹部15xが設けられている。凹部15xの深さD2は、例えば0.01μm以上、0.1μm以下程度であり、ポリシリコン膜15の厚さT1の1/10以上、1/2以下程度である。凹部15xの開口部の幅W1は、例えば0.1μm以上、0.4μm以下程度であり、ポリシリコン膜15の上面の幅W2の1/5以上、4/5以下程度である。
【0032】
コンタクトトレンチ14の上部及びコンタクトホール20aにはコンタクト部30が埋め込まれている。コンタクト部30の下面は、ポリシリコン膜15の上面に接している。コンタクト部30の側面は、エミッタ領域4a,4b及び層間絶縁膜20に接している。コンタクト部30は、エミッタ領域4a,4b及びポリシリコン膜15にオーミック接触する。
【0033】
コンタクト部30は、バリアメタル膜及びコンタクトプラグで構成されている。バリアメタル膜としては、例えば、チタン(Ti)又は窒化チタン(TiN)等の単層膜、或いは、Ti及びTiNの積層膜等が使用可能である。コンタクトプラグとしては、タングステン(W)等の金属が使用可能である。コンタクト部30とエミッタ領域4a,4b及びポリシリコン膜15の間には金属シリサイド層が形成されていてもよい。
【0034】
図1に示すように、ゲートトレンチ11は、一方向(
図1の上下方向)に互いに平行に延伸する直線状(ストライプ状)の平面パターンを有する。コンタクトトレンチ14は、ゲートトレンチ11の延伸方向に平行に延伸する直線状(ストライプ状)の平面パターンを有する。コンタクトトレンチ14に埋め込まれたコンタクト部30、及びコンタクト部30の下に隠れたポリシリコン膜15は、コンタクトトレンチ14の延伸方向に延伸する平面パターンを有する。
【0035】
コンタクトトレンチ14の一方の側面(
図1の左側の側面)には、n
+型のエミッタ領域4a及びp
+型のコンタクト領域5aが接している。エミッタ領域4a及びコンタクト領域5aは、互いに接して、ゲートトレンチ11及びコンタクトトレンチ14の延伸方向に平行に、交互且つ周期的に設けられている。コンタクトトレンチ14の他方の側面(
図1の右側の側面)には、n
+型のエミッタ領域4b及びp
+型のコンタクト領域5bが接している。エミッタ領域4b及びコンタクト領域5bは、互いに接して、ゲートトレンチ11及びコンタクトトレンチ14の延伸方向に平行に、交互且つ周期的に設けられている。
【0036】
図4は、
図1のB-B方向から見たコンタクト領域5a,5bを通過する位置の垂直方向の断面において、
図3と同様のコンタクトトレンチ14の周辺の領域を示す。
図4に示すように、コンタクト領域5a,5bが現れる断面において、コンタクト領域5a,5bの下面は、ベース領域3の上面に接している。コンタクト領域5a,5bの不純物濃度は、ベース領域3の不純物濃度よりも高い。
【0037】
コンタクト領域5a,5bの深さD4は、
図3に示したエミッタ領域4a,4bの深さD3よりも深い。なお、コンタクト領域5a,5bの深さD4は、エミッタ領域4a,4bの深さD3と同一であってもよく、エミッタ領域4a,4bの深さD3よりも浅くてもよい。
【0038】
コンタクト領域5a,5bの深さD4は、コンタクトトレンチ14の深さD1よりも浅い。なお、コンタクト領域5a,5bの深さD4は、コンタクトトレンチ14の深さD1と同一であってもよく、コンタクトトレンチ14の深さD1よりも深くてもよい。
【0039】
コンタクトトレンチ14に埋め込まれたポリシリコン膜15の下面は、ベース領域3に接している。ポリシリコン膜15の側面は、ベース領域3及びコンタクト領域5a,5bに接している。ポリシリコン膜15の不純物濃度は、ベース領域3及びコンタクト領域5a,5bの不純物濃度よりも高い。コンタクト部30の側面は、コンタクト領域5a,5bに接している。コンタクト部30は、ポリシリコン膜15及びコンタクト領域5a,5bにオーミック接触する。
【0040】
図2~
図4に示すように、層間絶縁膜20上には、表面電極(エミッタ電極)40が設けられている。表面電極40は、コンタクト部30を介してエミッタ領域4a,4b及びコンタクト領域5a,5bに電気的に接続されている。表面電極40は、アルミニウム(Al)やAl合金、銅(Cu)等の金属が使用可能である。Al合金としては、Al-シリコン(Si)、Al-銅(Cu)-Si、Al-Cu等が挙げられる。
【0041】
図2に示すように、ドリフト層1の下面側には、ドリフト層1よりも高不純物濃度のn型のフィールドストップ(FS)層8が設けられている。FS層8の上面は、ドリフト層1の下面に接している。FS層8は、ベース領域3の下面側から広がる空乏層が、後述する第2主電極領域(コレクタ領域)9に到達することを防止する。
【0042】
FS層8の下面側には、p+型のコレクタ領域9が設けられている。コレクタ領域9の上面は、FS層8の下面に接している。コレクタ領域9の不純物濃度は、ベース領域3の不純物濃度よりも高い。
【0043】
コレクタ領域9の下面側には、裏面電極(コレクタ電極)50が設けられている。裏面電極50は、例えば金(Au)からなる単層膜や、チタン(Ti)、ニッケル(Ni)、金(Au)の順で積層された金属膜で構成できる。
【0044】
第1実施形態に係る半導体装置の動作時は、表面電極40を接地電位として、裏面電極50に正電圧を印加し、ゲート電極7に閾値以上の正電圧を印加すると、ベース領域3のゲートトレンチ11の側面側に反転層(チャネル)が形成されてオン状態となる。オン状態では、裏面電極50からコレクタ領域9、FS層8、ドリフト層1、蓄積層2、ベース領域3の反転層及びエミッタ領域4a,4bを経由して表面電極40へ電流が流れる。一方、ゲート電極7に印加される電圧が閾値未満の場合、ベース領域3に反転層が形成されないため、オフ状態となり、裏面電極50から表面電極40へ電流が流れない。
【0045】
<半導体装置の製造方法>
次に、
図2又は
図3の断面に対応する
図5~
図14を参照して、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を説明する。なお、以下に述べる半導体装置の製造方法は一例であり、特許請求の範囲に記載した趣旨の範囲であれば、この変形例を含めて、これ以外の種々の製造方法により実現可能であることは勿論である。
【0046】
まず、
図5に示すように、第1導電型(n
-型)のシリコン(Si)ウェハ等からなる半導体基板10を用意する。次に、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチングにより、半導体基板10の上面側からドリフト層1の一部を選択的に除去する。この結果、
図6に示すように、半導体基板10の上部に複数のゲートトレンチ11が形成される。
【0047】
次に、熱酸化法又は化学気相成長(CVD)法等により、ゲートトレンチ11の底面及び側面にゲート絶縁膜6を形成する。次に、CVD法等により、ゲート絶縁膜6を介してゲートトレンチ11の内側を埋め込むように、燐(P)やボロン(B)等の不純物を高濃度で添加したポリシリコン膜(ドープドポリシリコン膜)を堆積する。その後、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチングにより、半導体基板10上のポリシリコン膜及びゲート絶縁膜6を選択的に除去する。この結果、
図7に示すように、ゲートトレンチ11の内側にゲート絶縁膜6及びポリシリコン膜のゲート電極7からなる絶縁ゲート型電極構造(6,7)が形成される。
【0048】
次に、ドリフト層1の上面の全面に、p-型のベース領域3を形成するためのボロン(
B)等のp型不純物をイオン注入する。次に、ドリフト層1の上面の全面に、n型の蓄積層2を形成するための燐(P)又は砒素(As)等のn型不純物をイオン注入する。
【0049】
次に、ドリフト層1の上面にフォトレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ技術によりフォトレジスト膜をパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜をイオン注入用マスクとして用いて、p+型のコンタクト領域5a,5bを形成するためにボロン(B)等のp型不純物をイオン注入する。その後、フォトレジスト膜を除去する。
【0050】
次に、ドリフト層1の上面にフォトレジスト膜を塗布し、フォトリソグラフィ技術によりフォトレジスト膜をパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜をイオン注入用マスクとして用いて、n+型のエミッタ領域4a,4bを形成するために燐(P)又は砒素(As)等のn型不純物をイオン注入する。その後、フォトレジスト膜を除去する。なお、蓄積層2を形成するためのイオン注入、ベース領域3を形成するためのイオン注入、エミッタ領域4a,4bを形成するためのイオン注入、及びコンタクト領域5a,5bを形成するためのイオン注入の順番は特に限定されず、順番を入れ替えてもよい。
【0051】
次に、熱処理により、半導体基板10に注入された不純物イオンを活性化させる。この結果、
図8に示すように、半導体基板10の上部に、n型の蓄積層2、p
-型のベース領域3、n
+型のエミッタ領域4及びp
+型のコンタクト領域(
図1及び
図4参照)が形成される。
【0052】
次に、CVD法等により、絶縁ゲート型電極構造(6,7)、エミッタ領域4の上面に層間絶縁膜20を成膜する。次に、層間絶縁膜20の上面にフォトレジスト膜23を塗布し、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジスト膜23をパターニングする。パターニングされたフォトレジスト膜23をエッチング用マスクとして用いて、ドライエッチングにより、層間絶縁膜20の一部を選択的に除去する。この結果、
図9に示すように、層間絶縁膜20に、エミッタ領域4の一部を露出するコンタクトホール20aが開口される。その後、フォトレジスト膜23を除去する。
【0053】
次に、層間絶縁膜20をエッチング用マスクとして用いて、反応性イオンエッチング(RIE)等のドライエッチングにより、メサ部のエミッタ領域4及びベース領域3の一部を選択的に除去する。この結果、
図10に示すように、コンタクトホール20aに連続するように、エミッタ領域4を貫通し、ベース領域3に到達するコンタクトトレンチ14が形成される。コンタクトトレンチ14によりエミッタ領域4が分断されてエミッタ領域4a,4bとなる。
【0054】
次に、CVD法等により、ボロン(B)等のp型不純物が高不純物濃度にドープされたポリシリコン膜を堆積する。そして、ドライエッチング等によりポリシリコン膜をエッチバックして、ポリシリコン膜の一部を選択的に除去する。この結果、
図11に示すように、コンタクトトレンチ14の下部にp
+型のポリシリコン膜15が埋め込まれる。ポリシリコン膜15の上面の中央部には、ポリシリコン膜の堆積時の形状に由来する凹部15xが形成される。ポリシリコン膜15を形成後には、熱処理を行わなくてよい。なお、ポリシリコン膜15のp型不純物の拡散がチャネルの不純物濃度に影響しない程度の熱処理を行ってもよい。
【0055】
次に、スパッタリング法又は蒸着法、及びドライエッチング等により、コンタクトトレンチ14及びコンタクトホール20aに、チタン(Ti)及び窒化チタン(TiN)等のバリアメタル膜を形成する。次に、CVD法及びエッチバック等により、コンタクトトレンチ14及びコンタクトホール20aに、バリアメタル膜を介して、タングステン(W)等のコンタクトプラグを埋め込む。この結果、
図12に示すように、コンタクトトレンチ14及びコンタクトホール20aに、バリアメタル膜及びコンタクトプラグからなるコンタクト部30が埋め込まれる。
【0056】
次に、スパッタリング法又は蒸着法等により、
図13に示すように、コンタクト部30及び層間絶縁膜20の上面に表面電極40を堆積する。
【0057】
次に、研削又は化学機械研磨(CMP)等により、半導体基板10を下面側から研削し、半導体基板10の厚さを製品厚さに調整する。次に、半導体基板10の下面の全面に亘って、n型のFS層8を形成するための燐(P)又はセレン(Se)等のn型不純物をイオン注入する。次に、半導体基板10の下面の全面に亘って、n型のFS層8を形成するためのイオン注入の加速電圧よりも低い加速電圧で、p
+型のコレクタ領域9を形成するためのボロン(B)等のp型不純物をイオン注入する。次に、熱処理により、半導体基板10に注入された不純物イオンを活性化させる。この結果、
図14に示すように、半導体基板10の下部にn型のFS層8及びp
+型のコレクタ領域9が形成される。
【0058】
次に、スパッタリング法又は蒸着法等により、半導体基板10の下面の全面に金(Au)等からなる裏面電極50を形成する。その後、半導体基板10を切断(ダイシング)して個片化することにより、
図1~
図4に示した第1実施形態に係る半導体装置が完成する。
【0059】
ここで、比較例に係る半導体装置の製造方法について説明する。比較例に係る半導体装置の製造方法は、
図10に示したコンタクトトレンチ14の形成工程までは、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様である。比較例に係る半導体装置の製造方法では、
図10に示したコンタクトトレンチ14の形成後、
図15に示すように、コンタクトトレンチ14の底面にp型不純物をイオン注入する。その後、熱処理を行うことにより、p型不純物を活性化させて、
図16に示すように、p
+型のコンタクト領域16を形成する。その後、コンタクトトレンチ14にバリアメタル膜及びコンタクトプラグを埋め込む。
【0060】
比較例に係る半導体装置の製造方法では、コンタクトトレンチ14の底面へのp型不純物のイオン注入後の熱処理等により、p型不純物がチャネル近傍まで拡散する。この結果、チャネルの不純物濃度が変動して、ゲート閾値電圧がばらつく。コンタクトトレンチ14の位置はウェハプロセスのばらつきにより多少変動するため、コンタクト領域16を広めに形成する必要があり、p型不純物がチャネル近傍まで拡散し易くなる。
【0061】
これに対して、第1実施形態に係る半導体装置及びその製造方法によれば、コンタクトトレンチ14にポリシリコン膜15を設けることにより、ポリシリコン膜15がコンタクト部30とオーミック接触するため、コンタクト抵抗を低減することができる。このため、コンタクトトレンチ14の底面へのp型不純物をイオン注入は不要となる。よって、イオン注入されたp型不純物がチャネル近傍まで拡散することがなくなり、チャネルの不純物濃度の変動に起因したゲート閾値電圧のばらつきを抑制することができる。
【0062】
また、ウェハプロセスのばらつきによりコンタクトトレンチ14の位置がずれても、ポリシリコン膜15によりオーミック接触に必要な面積を確保することができる。よって、ポリシリコン膜15の幅を、イオン注入によるコンタクト領域16の幅よりも狭くすることができる。よって、p型不純物のチャネルへの拡散を最小限とすることが可能となり、ゲート閾値電圧のばらつきを抑制することができる。
【0063】
また、比較例に係る半導体装置の製造方法では、微細化によりコンタクトトレンチ14のアスペクト比が大きいため、バリアメタル膜の成膜時に、コンタクトトレンチ14の側壁と底面との接続部においてバリアメタル膜が切断され、その切断部を起点としてバリアメタル膜の剥がれが生じる場合がある。
【0064】
これに対して、第1実施形態に係る半導体装置によれば、コンタクトトレンチ14の下部にポリシリコン膜15が埋め込まれているため、コンタクトトレンチ14のコンタクト部30が設けられる部分のアスペクト比は小さくなる。このため、コンタクト部30となるバリアメタル膜を成膜時に、バリアメタルの切断を防止することができるので、切断部を起点とするバリアメタル膜の剥がれを防止することができる。
【0065】
(第2実施形態)
図17は、第2実施形態に係る半導体装置のエミッタ領域4が現れる断面を示しており、
図3に示した第1実施形態に係る半導体装置の断面に対応する。
図17に示すように、第2実施形態に係る半導体装置は、コンタクトトレンチ14がエミッタ領域4を貫通せずに、ベース領域3から離間する点が、第1実施形態に係る半導体装置と異なる。コンタクトトレンチ14の深さD1は、エミッタ領域4の深さD3よりも浅い。コンタクトトレンチ14の底面は、エミッタ領域4の内部に位置する。コンタクトトレンチ14に埋め込まれたポリシリコン膜15の側面及び下面は、エミッタ領域4に接している。
【0066】
図18は、第2実施形態に係る半導体装置のコンタクト領域5が現れる断面を示しており、
図4に示した第1実施形態に係る半導体装置の断面に対応する。
図18に示すように、コンタクトトレンチ14がコンタクト領域5を貫通せずに、ベース領域3から離間する。コンタクト領域5の深さD4は、
図17に示したエミッタ領域4の深さD3よりも深い。コンタクトトレンチ14の底面は、コンタクト領域5の内部に位置する。コンタクトトレンチ14に埋め込まれたポリシリコン膜15の側面及び下面は、コンタクト領域5に接している。第2実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0067】
第2実施形態に係る半導体装置によれば、コンタクトトレンチ14がエミッタ領域4及びコンタクト領域5を貫通せずに、ベース領域3から離間する場合でも、コンタクトトレンチ14にポリシリコン膜15を設けることにより、ウェハプロセスに起因したゲート閾値電圧のばらつきを抑制することができる。
【0068】
(第3実施形態)
図19は、第3実施形態に係る半導体装置のエミッタ領域4a,4bが現れる断面を示しており、
図3に示した第1実施形態に係る半導体装置の断面に対応する。
図19に示すように、第3実施形態に係る半導体装置は、コンタクトトレンチ14の下部に埋め込まれたポリシリコン膜15が略矩形の断面形状を有する点が、第1実施形態に係る半導体装置と異なる。ポリシリコン膜15の上面には凹部が設けられておらず、ポリシリコン膜15の上面は平面である。ポリシリコン膜15の厚さT1は、
図3に示したポリシリコン膜15の厚さT1よりも薄い。
【0069】
図19に示したポリシリコン膜15の形状は、CVD法等によりポリシリコン膜を全面に成膜する際の成膜条件や、ドライエッチング又はウェットエッチングにより、ポリシリコン膜の一部を除去する際のエッチング条件を調整することにより形成可能である。
【0070】
図20は、第3実施形態に係る半導体装置のコンタクト領域5が現れる断面を示しており、
図4に示した第1実施形態に係る半導体装置の断面に対応する。コンタクト領域5の深さD4は、
図19に示したエミッタ領域4a,4bの深さD3及びコンタクトトレンチ14の深さD1よりも深い。コンタクトトレンチ14の底面は、コンタクト領域5の内部に位置する。ポリシリコン膜15の側面及び下面は、コンタクト領域5に接している。第3実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0071】
第3実施形態に係る半導体装置によれば、コンタクトトレンチ14の下部に埋め込まれたポリシリコン膜15が略矩形の断面形状を有する場合でも、ウェハプロセスに起因したゲート閾値電圧のばらつきを抑制することができる。更に、第1実施形態に係る半導体装置と比較してポリシリコン膜15の厚さT1が薄く、コンタクト部30がコンタクトトレンチ14の下方まで設けられているため、ラッチアップをより抑制することができる。
【0072】
(第4実施形態)
図21は、第4実施形態に係る半導体装置のエミッタ領域4a,4bが現れる断面を示しており、
図3に示した第1実施形態に係る半導体装置の断面に対応する。
図21に示すように、第4実施形態に係る半導体装置は、コンタクトトレンチ14に埋め込まれたポリシリコン膜15がU字状の断面形状を有する点が、第1実施形態に係る半導体装置と異なる。ポリシリコン膜15は、コンタクトトレンチ14の底面及び側面の下部に沿って設けられている。
【0073】
図21に示したポリシリコン膜15の形状は、CVD法等によりポリシリコン膜を全面に成膜する際の成膜条件や、ドライエッチング又はウェットエッチングにより、ポリシリコン膜の一部を除去する際のエッチング条件を調整することにより形成可能である。
【0074】
図22は、第4実施形態に係る半導体装置のコンタクト領域5が現れる断面を示しており、
図4に示した第1実施形態に係る半導体装置の断面に対応する。
図22に示すように、コンタクト領域5の深さD4は、
図21に示したエミッタ領域4a,4bの深さD3及びコンタクトトレンチ14の深さD1よりも深い。コンタクトトレンチ14の底面は、コンタクト領域5の内部に位置する。ポリシリコン膜15は、コンタクト領域5に接している。なお、コンタクト領域5の深さD4が、
図21に示したコンタクトトレンチ14の深さD1よりも浅くてもよい。その場合、コンタクトトレンチ14の側面においてポリシリコン膜15がコンタクト領域5に接していればよい。第4実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0075】
第4実施形態に係る半導体装置によれば、コンタクトトレンチ14に埋め込まれたポリシリコン膜15がU字状の断面形状を有する場合でも、ウェハプロセスに起因したゲート閾値電圧のばらつきを抑制することができる。また、ポリシリコン膜15とコンタクト部30のオーミック接触面積が大きいため、コンタクト抵抗をより低減することができる。
【0076】
(第5実施形態)
図23は、第5実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面を示し、
図1に示した第1実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面に対応する。
図23に示すように、第5実施形態に係る半導体装置は、ゲートトレンチ11及びコンタクトトレンチ14の延伸方向に平行に、エミッタ領域4a,4bがストライプ状に延伸する部分を有する点が、第1実施形態に係る半導体装置と異なる。ゲートトレンチ11及びコンタクトトレンチ14の延伸方向に直交する方向に、ゲートトレンチ11、エミッタ領域4a、コンタクトトレンチ14及びエミッタ領域4bが並列して周期的に設けられている。
【0077】
図24は、
図23のA-A方向から見た垂直方向の断面の一部を示す。
図24のB-B方向から見た水平方向の断面が
図23に対応する。
図24に示すように、ベース領域3の上部にエミッタ領域4a,4b及びコンタクト領域5が設けられている。エミッタ領域4a,4bはコンタクト領域5を挟むように設けられている。エミッタ領域4a,4bの深さD3は、コンタクト領域5の深さD4よりも浅い。また、エミッタ領域4a,4bは、コンタクトトレンチ14の側壁に接し、コンタクトトレンチ14内のポリシリコン膜15とコンタクトホール20a内のコンタクト部30に接するように設けられている。或いは、エミッタ領域4a,4bは、コンタクトホール20a内のコンタクト部30に接し、ポリシリコン膜15とは接していなくてもよい。
【0078】
コンタクト領域5は、エミッタ領域4a,4b及びコンタクトトレンチ14の下面側に設けられる。コンタクト領域5は、コンタクトトレンチ14の側壁と底部を覆い、ポリシリコン膜15に接するように設けられている。コンタクト領域5は、ゲートトレンチ11及びコンタクトトレンチ14の延伸方向に平行にストライプ状に設けられている。
【0079】
コンタクトトレンチ14は、コンタクト領域5の上部に設けられている。コンタクトトレンチ14の側壁及び底面は、コンタクト領域5に接している。コンタクトトレンチ14の下部にはポリシリコン膜15が埋め込まれている。ポリシリコン膜15の上面の中央部には凹部15xが設けられている。ポリシリコン膜15の側面及び下面は、コンタクト領域5に接している。コンタクト部30は、ポリシリコン膜15にオーミック接触している。なお、コンタクト領域5は、ゲートトレンチ11及びコンタクトトレンチ14の延伸方向に平行方向において、選択的に設けられてもよい。第5実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0080】
第5実施形態に係る半導体装置によれば、第1実施形態に係る半導体装置とエミッタ領域4a,4b及びコンタクト領域5の配置が異なる場合でも、コンタクトトレンチ14にポリシリコン膜15を設けることにより、ポリシリコン膜15をコンタクト部30とオーミック接触させることができる。よって、コンタクトトレンチ14の底面へのp型不純物をイオン注入によりコンタクト領域5を形成する際に、ポリシリコン膜15を設けない場合と比較して、コンタクトトレンチ14に接するp+型のコンタクト領域5の幅を狭く、且つ浅くすることができるので、ウェハプロセスに起因したゲート閾値電圧のばらつきを抑制することができる。
【0081】
(第6実施形態)
図25は、第6実施形態に係る半導体装置のコンタクト領域5が現れる断面を示しており、
図4に示した第1実施形態に係る半導体装置の断面に対応する。第6実施形態に係る半導体装置のエミッタ領域4a,4bが現れる断面は、
図3と同様である。
図25に示すように、第6実施形態に係る半導体装置は、コンタクト領域5の深さD4が、
図4に示したコンタクト領域5の深さD4よりも深く、コンタクトトレンチ14の深さD1よりも深い点が、第1実施形態に係る半導体装置と異なる。
【0082】
コンタクト領域5の深さD4は、コンタクト領域5を形成するためのイオン注入の加速電圧を調整することにより調整可能である。コンタクトトレンチ14の底面は、コンタクト領域5の内部に位置する。コンタクトトレンチ14に埋め込まれたポリシリコン膜15の側面及び下面は、コンタクト領域5に接している。第6実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0083】
第6実施形態に係る半導体装置によれば、
図3に示すようにエミッタ領域4a,4bの深さD3がコンタクトトレンチ14の深さD1よりも浅く、且つ
図25に示すようにコンタクト領域5の深さD4がコンタクトトレンチ14の深さD1よりも深い場合でも、コンタクトトレンチ14にポリシリコン膜15を設けることにより、ウェハプロセスに起因したゲート閾値電圧のばらつきを抑制することができる。
【0084】
(第7実施形態)
図26は、第7実施形態に係る半導体装置のエミッタ領域4a,4bが現れる断面を示しており、
図3に示した第1実施形態に係る半導体装置の断面に対応する。
図26に示すように、第7実施形態に係る半導体装置は、ポリシリコン膜15a,15bが、コンタクトトレンチ14の側面及び底面がなす角部に選択的に設けられている点が、第1実施形態に係る半導体装置と異なる。
【0085】
図26に示したポリシリコン膜15a,15bの形状は、CVD法等によりポリシリコン膜を全面に成膜する際の成膜条件や、ドライエッチング又はウェットエッチングにより、ポリシリコン膜の一部を除去する際のエッチング条件を調整することにより形成可能である。コンタクトトレンチ14の底面の中央部は、オーバーエッチにより抉れて凹部が形成されていてもよい。
【0086】
ポリシリコン膜15aは、エミッタ領域4a及びベース領域3に接している。ポリシリコン膜15bは、エミッタ領域4b及びベース領域3に接している。ポリシリコン膜15a,15bは、互いに離間して設けられている。ポリシリコン膜15a,15bの間には、コンタクト部30が設けられている。コンタクト部30の下面は、ベース領域3に接している。エミッタ領域4a,4bの深さD3は、コンタクトトレンチ14の深さD1よりも浅い。なお、エミッタ領域4a,4bの深さD3は、コンタクトトレンチ14の深さD1と同一でもよく、コンタクトトレンチ14の深さD1よりも深くてもよい。
【0087】
図27は、第7実施形態に係る半導体装置のコンタクト領域5が現れる断面を示しており、
図4に示した第1実施形態に係る半導体装置の断面に対応する。
図27に示すように、コンタクト領域5の深さD4は、
図21に示したエミッタ領域4a,4bの深さD3及びコンタクトトレンチ14の深さD1よりも深い。なお、コンタクト領域5の深さD4は、コンタクトトレンチ14の深さD1と同一でもよく、コンタクトトレンチ14の深さD1よりも浅くてもよい。コンタクトトレンチ14の底面は、コンタクト領域5の内部に位置する。ポリシリコン膜15a,15bは、コンタクト領域5に接している。ポリシリコン膜15a,15bの間において、コンタクト部30の下面は、ベース領域3に接している。第7実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0088】
第7実施形態に係る半導体装置によれば、ポリシリコン膜15a,15bが、コンタクトトレンチ14の側面及び底面がなす角部に選択的に設けられている場合でも、ウェハプロセスに起因したゲート閾値電圧のばらつきを抑制することができる。
【0089】
(第8実施形態)
第8実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面を
図28に示す。
図28のA-A´線で切断した垂直方向の断面を
図29に示す。
図29のE-E方向から見た水平方向での断面が
図28に対応する。
図28に示すように、第8実施形態に係る半導体装置は、ゲートトレンチ11及びコンタクトトレンチ14の延伸方向に平行に、エミッタ領域4a,4b及びベース領域3が交互且つ周期的に設けられている点が、
図1に示した第1実施形態に係る半導体装置と異なる。第8実施形態に係る半導体装置では、ベース領域3の上面側にp
+型のコンタクト領域が設けられていない。
【0090】
図29に示すように、ベース領域3の上面側にはエミッタ領域4a,4bが設けられている。エミッタ領域4a,4bを貫通してベース領域3に達するようにコンタクトトレンチ14が設けられている。コンタクトトレンチ14の下面は、ベース領域3の上面よりも深く形成されている。なお、コンタクトトレンチ14の下面は、ベース領域3の上面と同じ深さであってもよい。また、コンタクトトレンチ14は、エミッタ領域4a,4bを貫通せずにエミッタ領域4a,4bの内部に設けられていてもよく、その場合、コンタクトトレンチ14の下面は、ベース領域3の上面よりも浅くてもよい。
【0091】
コンタクトトレンチ14の下部には、ベース領域3よりも高不純物濃度のp+型のポリシリコン膜15が埋め込まれている。ポリシリコン膜15の上面の中央部には凹部15xが設けられている。ポリシリコン膜15の下面はベース領域3に接している。ポリシリコン膜15の側面はベース領域3及びエミッタ領域4a,4bに接している。
【0092】
コンタクトトレンチ14の上部及び層間絶縁膜20のコンタクトホール20aにはコンタクト部30が設けられている。コンタクト部30は、埋込部30a及びプラグ部30bを含む。埋込部30a及びプラグ部30bは、互いに一体的に形成されていてもよく、個別に形成されていてもよい。埋込部30aは、コンタクト部30の下部であり、コンタクトトレンチ14に埋め込まれた部分である。埋込部30aはポリシリコン膜15にオーミック接触している。プラグ部30bは、コンタクト部30の上部であり、コンタクトホール20aに設けられた部分である。
【0093】
図28のB-B´線で切断した垂直方向の断面を
図30に示す。
図30に示すように、ベース領域3の上面に層間絶縁膜20が設けられている。ベース領域3の上部にコンタクトトレンチ14が設けられている。コンタクトトレンチ14の下部にはポリシリコン膜15が埋め込まれている。コンタクトトレンチ14の上部には、コンタクト部30の埋込部30aが埋め込まれている。埋込部30aは、ポリシリコン膜15にオーミック接触している。層間絶縁膜20のコンタクトホール20aにはコンタクト部30のプラグ部30bが設けられている。第8実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第1実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0094】
第8実施形態に係る半導体装置によれば、ベース領域3の上面側にp+型のコンタクト領域が設けられていない場合でも、ポリシリコン膜15がコンタクト部30とオーミック接触することができる。よって、コンタクトトレンチ14の底面へのp型不純物をイオン注入が不要となるので、リフロー等の長時間加熱をしなければ、隣接するゲートトレンチ11の間のメサ部のシリコン(Si)にボロン(B)等のp型不純物が拡散するようなことが無くなり、ゲート閾値に影響を及ぼさない。よって、ウェハプロセスに起因したゲート閾値電圧のばらつきを抑制することができる。
【0095】
(第9実施形態)
第9実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面は、
図28に示した第8実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面のコンタクト部30aがポリシリコン膜15である点が異なる。
図28のA-A´線で切断した第9実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面を
図31に示す。
図31に示すように、第9実施形態に係る半導体装置は、コンタクトトレンチ14の上部までポリシリコン膜15が埋め込まれている点が、
図29に示した第8実施形態に係る半導体装置と異なる。
【0096】
ポリシリコン膜15の上面の高さは、エミッタ領域4a,4bの上面の高さと略一致する。ポリシリコン膜15は、更に層間絶縁膜20のコンタクトホール20aの途中まで設けられていてもよい。その場合、ポリシリコン膜15の上面の高さが、エミッタ領域4a,4bの上面の高さよりも上方に位置してもよい。
【0097】
コンタクト部30は、コンタクトトレンチ14に埋め込まれた埋込部30aを有さず、層間絶縁膜20のコンタクトホール20aに設けられたプラグ部30bのみを有する。プラグ部30bが、ポリシリコン膜15とオーミック接触している。
【0098】
図28のB-B´線で切断した第9実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面を
図32に示す。
図32に示すように、第9実施形態に係る半導体装置は、コンタクトトレンチ14の上部までポリシリコン膜15が埋め込まれている点が、
図30に示した第8実施形態に係る半導体装置と異なる。
【0099】
コンタクト部30は、コンタクトトレンチ14に埋め込まれた埋込部30aを有さず、層間絶縁膜20のコンタクトホール20aに設けられたプラグ部30bのみを有する。プラグ部30bが、ポリシリコン膜15とオーミック接触している。第9実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第8実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0100】
第9実施形態に係る半導体装置によれば、ポリシリコン膜15が、コンタクトトレンチ14の上部まで設けられている場合でも、ポリシリコン膜15がコンタクト部30のプラグ部30bとオーミック接触することができる。よって、コンタクトトレンチ14の底面へのp型不純物をイオン注入が不要となるので、ウェハプロセスに起因したゲート閾値電圧のばらつきを抑制することができる。
【0101】
(第10実施形態)
第10実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面を
図33に示す。
図33のA-A´線で切断した第10実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面を
図34に示す。
図34のE-E方向から見た水平方向での断面が
図33に対応する。
図33に示すように、第10実施形態に係る半導体装置は、ゲートトレンチ11の延伸方向に平行に、エミッタ領域4a,4b及びベース領域3が交互且つ周期的に設けられている点は、
図28に示した第8実施形態に係る半導体装置と同様である。しかし、第10実施形態に係る半導体装置は、コンタクトトレンチ14が、ゲートトレンチ11の延伸方向に沿って間欠的に設けられている点が、第8実施形態に係る半導体装置と異なる。
【0102】
コンタクトトレンチ14は、エミッタ領域4a,4bには設けられていない。エミッタ領域4a,4bは、ゲートトレンチ11の延伸方向に沿って、間欠的に設けられている。エミッタ領域4a,4bは、ゲートトレンチ11の延伸方向とは直交する方向において、隣接するゲートトレンチ11の間に亘って設けられている。
【0103】
コンタクトトレンチ14は、ベース領域3にのみ選択的に設けられている。コンタクトトレンチ14は、ゲートトレンチ11の延伸方向を長手方向として、ベース領域3の両端に亘って設けられている。なお、コンタクトトレンチ14は、ベース領域3の両端の内側の一部に設けられていてもよい。また、コンタクトトレンチ14は、ベース領域3の両端に亘り、更にエミッタ領域4a,4bの一部まで延伸して設けられていてもよい。
【0104】
図34に示すように、ベース領域3の上面側にはエミッタ領域4aが設けられている。エミッタ領域4aの上面には層間絶縁膜20が設けられている。層間絶縁膜20のコンタクトホール20aには、コンタクト部30のプラグ部30bが設けられている。プラグ部30bの下面は、エミッタ領域4aの上面に接している。
【0105】
図33のB-B´線で切断した第10実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面は、
図30に示した第8実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面と同様である。なお、
図30に示したエミッタ領域4a,4bが形成されない部分の層間絶縁膜20のコンタクトホール20aの幅を、
図34に示したエミッタ領域4a,4bが形成される部分の層間絶縁膜20のコンタクトホール20aの幅よりも広くしてもよい。
【0106】
図33のC-C´線で切断した第10実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面を
図35に示す。
図35に示すように、ベース領域3の上面側にエミッタ領域4a,4bが設けられている。エミッタ領域4a,4bの上面には、コンタクト部30のプラグ部30bが設けられている。エミッタ領域4a,4bを貫通し、ベース領域3に達するように、コンタクトトレンチ14が設けられている。コンタクトトレンチ14の下部にはポリシリコン膜15が設けられている。コンタクトトレンチ14の上部にはコンタクト部30の埋込部30aが設けられている。埋込部30aは、ポリシリコン膜15にオーミック接触している。なお、ポリシリコン膜15の上面の中央部の凹部15xは設けなくてもよく、ポリシリコン膜15の上面が平らであってもよい。第10実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第8実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0107】
第10実施形態に係る半導体装置によれば、コンタクトトレンチ14がベース領域3に間欠的に設けられている場合でも、ポリシリコン膜15がコンタクト部30とオーミック接触することができる。よって、コンタクトトレンチ14の底面へのp型不純物をイオン注入が不要となるので、ウェハプロセスに起因したゲート閾値電圧のばらつきを抑制することができる。
【0108】
(第11実施形態)
第11実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面は、
図33に示した第10実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面と同様である。
図33のA-A´線で切断した第11実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面は、
図34に示した第10実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面と同様である。
【0109】
図33のB-B´線で切断した第11実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面を
図36に示す。
図36に示すように、第11実施形態に係る半導体装置は、コンタクトトレンチ14の下面及び側面に接するようにp
+型のコンタクト領域5が設けられている点が、
図30に示した第10実施形態に係る半導体装置と異なる。コンタクト領域5は、コンタクトトレンチ14の側面には接せず、コンタクトトレンチ14の下面にのみ接するように設けてもよい。コンタクト領域5は、ポリシリコン膜15に接している。
【0110】
図33のC-C´線で切断した第11実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面を
図37に示す。
図37に示すように、第11実施形態に係る半導体装置は、コンタクトトレンチ14の下面及び側面に接するようにp
+型のコンタクト領域5が設けられている点が、
図35に示した第10実施形態に係る半導体装置と異なる。なお、
図36及び
図37において、コンタクト領域5は、コンタクトトレンチ14の側面には接せず、コンタクトトレンチ14の下面にのみ接するように設けてもよい。コンタクト領域5は、ポリシリコン膜15に接している。また、ポリシリコン膜15の上面の中央部の凹部15xは設けなくてもよく、ポリシリコン膜15の上面が平らであってもよい。第11実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第10実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0111】
第11実施形態に係る半導体装置によれば、ポリシリコン膜15がコンタクト部30の埋込部30aとオーミック接触することができる。よって、コンタクトトレンチ14の底面へのp型不純物をイオン注入によりコンタクト領域5を形成する際に、ポリシリコン膜15を設けない場合と比較して、コンタクトトレンチ14の下面及び側面に接するp+型のコンタクト領域5の幅を狭く、且つ浅くすることができるので、ウェハプロセスに起因したゲート閾値電圧のばらつきを抑制することができる。
【0112】
(第12実施形態)
第12実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面は、
図33に示した第10実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面のコンタクト部30aがポリシリコン膜15である点が異なる。
図33のA-A´線で切断した第12実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面は、
図34に示した第10実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面と同様である。
【0113】
図33のB-B´線で切断した第12実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面は、
図32に示した第9実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面と同様である。即ち、
図32に示すように、第12実施形態に係る半導体装置は、コンタクトトレンチ14の上部までポリシリコン膜15が埋め込まれている点が、
図30に示した第10実施形態に係る半導体装置と異なる。ポリシリコン膜15は、コンタクト部30のプラグ部30bに接している。
【0114】
図33のC-C´線で切断した第12実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面を
図38に示す。
図38に示すように、第12実施形態に係る半導体装置は、コンタクトトレンチ14の上部までポリシリコン膜15が埋め込まれている点が、
図35に示した第10実施形態に係る半導体装置と異なる。ポリシリコン膜15は、コンタクト部30のプラグ部30bに接している。なお、ポリシリコン膜15の上面の中央部の凹部15xは設けなくてもよく、ポリシリコン膜15の上面が平らであってもよい。第12実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第10実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0115】
第12実施形態に係る半導体装置によれば、ポリシリコン膜15が、コンタクトトレンチ14の上部まで設けられている場合でも、ポリシリコン膜15がコンタクト部30のプラグ部30bとオーミック接触することができる。よって、コンタクトトレンチ14の底面へのp型不純物をイオン注入が不要となるので、ウェハプロセスに起因したゲート閾値電圧のばらつきを抑制することができる。
【0116】
(第13実施形態)
第13実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面を
図39に示す。
図39に示すように、第13実施形態に係る半導体装置は、ゲートトレンチ11の延伸する方向に沿ってコンタクトトレンチ14が間欠的に設けられている点は、
図33に示した第10実施形態に係る半導体装置と同様である。しかし、第13実施形態に係る半導体装置は、ゲートトレンチ11の延伸する方向とは直交する方向において、コンタクトトレンチ14がゲートトレンチ11に接するように設けられている点が、
図33に示した第10実施形態に係る半導体装置と異なる。コンタクトトレンチ14は、隣接するゲートトレンチ11の間に亘って設けられている。
【0117】
図39のA-A´線で切断した第13実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面を
図40に示す。
図40に示すように、第13実施形態に係る半導体装置は、エミッタ領域4aの上面に設けられた層間絶縁膜20のコンタクトホール20aの幅が広い点が、
図34に示した第10実施形態に係る半導体装置と異なる。
【0118】
図39のB-B´線で切断した第13実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面を
図41に示す。
図41に示すように、第13実施形態に係る半導体装置は、コンタクトトレンチ14の両側が、互いに隣接するトレンチ11に接している点が、
図30に示した第10実施形態に係る半導体装置と異なる。コンタクトトレンチ14に設けられたポリシリコン膜15及びコンタクト部30の埋込部30aも、互いに隣接するトレンチ11に接している。なお、
図41のポリシリコン膜15の上面の中央部には凹部15xを設けてもよい。
【0119】
図39のC-C´線で切断した第13実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面は、
図35に示した第10実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面と同様である。第13実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第10実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0120】
第13実施形態に係る半導体装置によれば、コンタクトトレンチ14がゲートトレンチ11に接する場合でも、ポリシリコン膜15がコンタクト部30とオーミック接触することができる。よって、コンタクトトレンチ14の底面へのp型不純物をイオン注入が不要となるので、ウェハプロセスに起因したゲート閾値電圧のばらつきを抑制することができる。
【0121】
(第14実施形態)
第14実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面は、
図39に示した第13実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面と同様である。
図39のA-A´線で切断した第14実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面は、
図40に示した第13実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面と同様である。
【0122】
図39のB-B´線で切断した第14実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面を
図42に示す。
図42に示すように、第14実施形態に係る半導体装置は、コンタクトトレンチ14の下面に接するようにp
+型のコンタクト領域5が設けられている点が、
図41に示した第13実施形態に係る半導体装置と異なる。なお、ポリシリコン膜15の上面の中央部には凹部15xを設けてもよい。
【0123】
図39のC-C´線で切断した第14実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面は、
図37に示した第11実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面と同様である。第14実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第13実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0124】
第14実施形態に係る半導体装置によれば、ポリシリコン膜15がコンタクト部30の埋込部30aとオーミック接触することができる。よって、コンタクトトレンチ14の底面へのp型不純物をイオン注入によりコンタクト領域5を形成する際に、コンタクトトレンチ14に接するp+型のコンタクト領域5の幅を狭く、且つ浅くすることができるので、ウェハプロセスに起因したゲート閾値電圧のばらつきを抑制することができる。
【0125】
(第15実施形態)
第15実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面は、
図39に示した第13実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面のコンタクト部30aがポリシリコン膜15である点が異なる。
図39のA-A´線で切断した第15実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面は、
図40に示した第13実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面と同様である。
【0126】
図39のB-B´線で切断した第15実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面を
図43に示す。
図43に示すように、第15実施形態に係る半導体装置は、コンタクトトレンチ14の上部までポリシリコン膜15が埋め込まれている点が、
図41に示した第13実施形態に係る半導体装置と異なる。ポリシリコン膜15は、コンタクト部30のプラグ部30bとオーミック接触している。なお、ポリシリコン膜15の上面の中央部には凹部15xを設けてもよい。
【0127】
図39のC-C´線で切断した第15実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面は、
図38に示した第12実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面と同様である。
図38に示すように、第15実施形態に係る半導体装置は、コンタクトトレンチ14の上部までポリシリコン膜15が埋め込まれている点が、
図35に示した第13実施形態に係る半導体装置と異なる。第15実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第13実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0128】
第15実施形態に係る半導体装置によれば、ポリシリコン膜15が、コンタクトトレンチ14の上部まで設けられている場合でも、ポリシリコン膜15がコンタクト部30のプラグ部30bとオーミック接触することができる。よって、コンタクトトレンチ14の底面へのp型不純物をイオン注入が不要となるので、ウェハプロセスに起因したゲート閾値電圧のばらつきを抑制することができる。
【0129】
(第16実施形態)
第16実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面は、
図39に示した第13実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面と同様である。
図39のA-A´線で切断した第15実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面を
図44に示す。
図44に示すように、第16実施形態に係る半導体装置は、エミッタ領域4aの上面に設けられた層間絶縁膜20の部分にはコンタクトホールが設けられていない点が、
図40に示した第13実施形態に係る半導体装置と異なる。
【0130】
図39のB-B´線で切断した第16実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面は、
図41に示した第13実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面と同様である。
図39のC-C´線で切断した第16実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面を
図45に示す。
図45は、
図35に示した第13実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面とコンタクト部30bが層間絶縁膜20に埋め込まれている点が異なる。この場合、
図45に示すように、エミッタ領域4a,4bの側面がコンタクト部30の埋込部30aと接する。なお、ポリシリコン膜15の上面の中央部の凹部15xは設けなくてもよく、ポリシリコン膜15の上面が平らであってもよい。第16実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第13実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【0131】
第16実施形態に係る半導体装置によれば、エミッタ領域4aの上面に設けられた層間絶縁膜20の部分にコンタクトホールが設けられていない場合でも、ポリシリコン膜15がコンタクト部30とオーミック接触することができる。よって、コンタクトトレンチ14の底面へのp型不純物をイオン注入が不要となるので、ウェハプロセスに起因したゲート閾値電圧のばらつきを抑制することができる。
【0132】
(第17実施形態)
第17実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面は、
図33に示した第10実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面とコンタクト領域5a、5bがベース領域3の上部に形成されている点が異なる。第17実施形態に係る半導体装置の、エミッタ領域4を含む、トレンチ11の延伸方向に対し垂直な方向の断面は、
図33のA-A´線で切断した断面と同じであり、第15実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面を示す
図44と同様である。また、第17実施形態に係る半導体装置の、コンタクト領域5a、5bを含む、トレンチ11の延伸方向に対し垂直な方向の断面は、
図1のB-B´線で切断した断面と同じであり、第1実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面を示す
図4と同様である。さらに第17実施形態に係る半導体装置の、コンタクト部30の、トレンチ11の延伸方向に対し並行な方向の断面は、
図33のC-C´線で切断した断面と同じであり、第16実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面を示す
図35、または第11実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面を示す
図37と同様である。
【0133】
第17実施形態に係る半導体装置によれば、第15実施形態に比べ、コンタクト領域5を形成していることで、リフロー等での加熱に伴うポリシリコン膜15からのベース領域3へのp型不純物の拡散の影響をより低減することができる。
【0134】
なお、第17実施形態における半導体装置の、コンタクト領域5a、5bを含む、トレンチ11の延伸方向に対し垂直な方向の断面は、第2実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面を示す
図18もしくは第3実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面を示す
図20と同様、であってもよく、コンタクト部30の、トレンチ11の延伸方向に対し並行な方向の断面は、第11実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面を示す
図37と同様であってもよい。この場合、第17実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0135】
(その他の実施形態)
上記のように第1~第17実施形態を記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0136】
例えば、第1~第17実施形態に係る半導体装置として、IGBTを例示したが、逆導通型IGBT(RC-IGBT)や、逆阻止絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(RB-IGBT)にも適用可能である。RC-IGBTでは、IGBTを有するトランジスタ部のメサ部のコンタクトトレンチ構造と、ダイオード部のメサ部のコンタクトトレンチ構造に、第1~第7実施形態に係る半導体装置のコンタクトトレンチ構造を適用可能である。なお、メサ部とは、隣り合うトレンチの間の部分を示す。また、
図2に示したIGBTのp
+型のコレクタ領域9をn
+型のドレイン領域とした構成のMOSFETにも適用可能である。
【0137】
また、第1~第17実施形態が開示する構成を、矛盾の生じない範囲で適宜組み合わせることができる。このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0138】
1…ドリフト層
2…蓄積層
3…ベース領域
4,4a,4b…第1主電極領域(エミッタ領域)
5,5a,5b…コンタクト領域
6…ゲート絶縁膜
7…ゲート電極
8…フィールドストップ(FS)層
9…第2主電極領域(コレクタ領域)
10…半導体基板
11…トレンチ(ゲートトレンチ)
14…トレンチ(コンタクトトレンチ)
15,15a,15b…ポリシリコン膜
15x…凹部
16…コンタクト領域
20…層間絶縁膜
20a…コンタクトホール
23…フォトレジスト膜
30…コンタクト部
30a…埋込部
30b…プラグ部
40…表面電極(エミッタ電極)
50…裏面電極(コレクタ電極)
【手続補正書】
【提出日】2023-07-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0095
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0095】
(第9実施形態)
第9実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面は、
図28に示した第8実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面の
埋込部30aがポリシリコン膜15である点が異なる。
図28のA-A´線で切断した第9実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面を
図31に示す。
図31に示すように、第9実施形態に係る半導体装置は、コンタクトトレンチ14の上部までポリシリコン膜15が埋め込まれている点が、
図29に示した第8実施形態に係る半導体装置と異なる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0112
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0112】
(第12実施形態)
第12実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面は、
図33に示した第10実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面の
埋込部30aがポリシリコン膜15である点が異なる。
図33のA-A´線で切断した第12実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面は、
図34に示した第10実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面と同様である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0125
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0125】
(第15実施形態)
第15実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面は、
図39に示した第13実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面の
埋込部30aがポリシリコン膜15である点が異なる。
図39のA-A´線で切断した第15実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面は、
図40に示した第13実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面と同様である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0129
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0129】
(第16実施形態)
第16実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面は、
図39に示した第13実施形態に係る半導体装置の水平方向の断面と同様である。
図39のA-A´線で切断した第
16実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面を
図44に示す。
図44に示すように、第16実施形態に係る半導体装置は、エミッタ領域4aの上面に設けられた層間絶縁膜20の部分にはコンタクトホールが設けられていない点が、
図40に示した第13実施形態に係る半導体装置と異なる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0130
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0130】
図39のB-B´線で切断した第16実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面は、
図41に示した第13実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面と同様である。
図39のC-C´線で切断した第16実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面を
図45に示す。
図45は、
図35に示した第13実施形態に係る半導体装置の垂直方向の断面と
プラグ部30bが層間絶縁膜20に埋め込まれている点が異なる。この場合、
図45に示すように、エミッタ領域4a,4bの側面がコンタクト部30の埋込部30aと接する。なお、ポリシリコン膜15の上面の中央部の凹部15xは設けなくてもよく、ポリシリコン膜15の上面が平らであってもよい。第16実施形態に係る半導体装置の他の構成は、第13実施形態に係る半導体装置と同様であるので、重複した説明を省略する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0136
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0136】
例えば、第1~第17実施形態に係る半導体装置として、IGBTを例示したが、逆導通型IGBT(RC-IGBT)や、逆阻止絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(RB-IGBT)にも適用可能である。RC-IGBTでは、IGBTを有するトランジスタ部のメサ部のコンタクトトレンチ構造と、ダイオード部のメサ部のコンタクトトレンチ構造に、第1~第
17実施形態に係る半導体装置のコンタクトトレンチ構造を適用可能である。なお、メサ部とは、隣り合うトレンチの間の部分を示す。また、
図2に示したIGBTのp
+型のコレクタ領域9をn
+型のドレイン領域とした構成のMOSFETにも適用可能である。