IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

特開2024-42670車両を運転するための方法および運転者アシストシステム
<>
  • 特開-車両を運転するための方法および運転者アシストシステム 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042670
(43)【公開日】2024-03-28
(54)【発明の名称】車両を運転するための方法および運転者アシストシステム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240321BHJP
【FI】
G08G1/16 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023146686
(22)【出願日】2023-09-11
(31)【優先権主張番号】10 2022 209 678.9
(32)【優先日】2022-09-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ションヘル,ミヒャエル
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL06
5H181LL09
5H181LL15
(57)【要約】
【課題】 本発明は、運転者アシストシステム(102)を有する車両(100)を運転するための方法に関する。
【解決手段】 この場合、前記運転者アシストシステム(102)の車間距離機能(104)が、前記車両(100)のブレーキシステムへのシステム介入(118)および/または駆動システムへのシステム介入(118)を用いて、先行する目標対象物(112)に対する車間距離(110)を速度に依存する安全車間距離(114)に調整し、前記車両(100)のカーブ走行(120)の間、前記車間距離機能(104)を低下させる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者アシストシステム(102)を有する車両(100)を運転するための方法において、前記運転者アシストシステム(102)の車間距離機能(104)が、前記車両(100)のブレーキシステムへのシステム介入(118)および/または駆動システムへのシステム介入(118)を用いて、先行する目標対象物(112)に対する車間距離(110)を、速度に依存する安全車間距離(114)に調整し、前記車両(100)のカーブ走行(120)の間、前記車間距離機能(104)を低下させる、車両(100)を運転するための方法。
【請求項2】
前記カーブ走行(120)の間、前記安全車間距離(114)を短くする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記カーブ走行(120)の間、前記システム介入(118)を弱める、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記車間距離機能(104)を、前記車両(100)の傾斜状態(126)に依存して低下させる、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記傾斜状態(126)が予め規定された限界値(128)よりも大きいときに、前記車間距離機能(104)を低下させる、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記車間距離機能(104)を前記傾斜状態(126)に比例して低下させる、請求項4または5記載の方法。
【請求項7】
前記傾斜状態(126)が予め規定された限界値(130)よりも大きいときに、前記車間距離機能(104)を停止させる、請求項4から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記車間距離(110)が速度に依存した注意車間距離(124)を下回ると、前記運転者アシストシステム(102)の注意機能(122)が、前記ブレーキシステムおよび/または前記駆動システムへの低限界のシステム介入(118)を用いて、前記車両(100)の運転者(106)の注意を交通事象に向けるように仕向け、前記カーブ走行(120)の間、前記注意機能(122)を低下させる、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記カーブ走行(120)の間、前記注意車間距離(124)を短くする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
車両(100)のための運転者アシストシステム(102)において、前記運転者アシストシステム(102)が、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法を相応の装置で実施、実行および/または制御するために構成されている、車両(100)のための運転者アシストシステム(102)。
【請求項11】
コンピュータプログラム製品において、該コンピュータプログラム製品は、このコンピュータプログラム製品の実行時に、プロセッサを、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法を実施、実行および/または制御するように促すために設計されている、コンピュータプログラム製品。
【請求項12】
機械読み取り可能な記憶媒体において、該記憶媒体に請求項11記載のコンピュータプログラム製品が記憶されている、機械読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者アシストシステムを有する車両を運転するための方法、対応する運転者アシストシステム並びに対応するコンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のダイナミック式の運転者アシストシステムは、車両の駆動システムおよび/または車両のブレーキシステムへのシステム介入によって先行車両に対して速度に依存した安全車間距離を維持することができる。このために、車両間の車間距離が安全車間距離に近づくと、駆動トルクが低下され、かつ/またはブレーキトルクが高められ得る。車間距離が十分に大きいと、運転者アシストシステムは、介入なしに車間距離を監視することができる。これによって、車両は、車間距離が安全車間距離よりも大きい間は、アクセルペダルおよびブレーキペダルを介して従来形式で操作され得る。しかしながら、走行速度のための安全車間距離を下回る程度に、車両が先行車両に接近すると、運転者アシストシステムがシステム介入を作動し、安全車間距離が維持されるように、車両を減速させる。
【発明の概要】
【0003】
このような背景から、ここに記載した提案により、独立請求項による運転者アシストシステムを有する車両を運転するための方法、対応する運転者アシストシステム、並びに対応するコンピュータプログラム製品が紹介されている。ここに紹介された提案の好適な実施態様および改良は、明細書から得られ、また従属請求項に記載されている。
【発明の効果】
【0004】
車両のダイナミック式の運転者アシストシステムは、先行車両に対する車両の車間距離を連続的に監視する。したがって、運転者アシストシステムは、車両の運転者の注意が短時間そらされているかまたは運転者が車間距離を誤って見積っている場合、他の車両に許容できない程度に接近したときに車両のブレーキおよび/または駆動装置に少なくとも低限界のシステム介入を作動させることができる。低限界のシステム介入は、運転者にとって感知可能な衝撃をもたらす。したがって、運転者の注意は、再び完全に車両周囲の交通事象に向けられる。この場合、車両は特に二輪車であってよい。二輪車の小さい質量に基づいて、衝撃ははっきりと感じ取られる。
【0005】
それにしたがって、車間距離を大きくするために若しくは先行車両への接近を低下させるために運転者の介入が行われなければ、運転者アシストシステムはより強いシステム介入によって車両を制動することができ、それによって安全車間距離が維持される。
【0006】
特に二輪車において、主に直進走行中に運転者の注意力は低下することがある。したがって、運転者アシストシステムはその利点を完全に発揮することができ、許容できない接近を運転者に警告することができる。しかしながら、カーブ走行中に運転者は、自分でいつでも先行車両に対する車間距離をコントロールできるように、集中させられる。カーブ走行中には、走行速度のために必要な本来の安全車間距離も、衝突の危険性を高めることなしに、著しく下回ってよい。特に非常に狭いカーブにおいて、先行車両に非常に近く接近することがある。何故ならば、先行車両は、カーブの制動開始ポイントから著しく減速し、カーブのほぼ頂点で再び相応に強く加速するからである。このような予備知識を運転者は利用することができ、頂点の直前で先行車両に非常に近く接近して車間距離を詰めることができる。
【0007】
ここに紹介された提案によれば、ダイナミック式の運転者アシストシステムの車間距離機能は、車両のカーブ走行中に少なくとも抑制される。それによって、遅れたシステム介入および/または弱められたシステム介入がカーブ走行中に得られる。追加的に、カーブ走行中のシステム介入による運転者の困惑は避けられる。
【0008】
運転者アシストシステムを有する車両を運転するための方法が提案されており、この場合、運転者アシストシステムの車間距離機能が、車両のブレーキシステムへのシステム介入および/または駆動システムへのシステム介入を用いて、先行する目標対象物に対する車間距離を速度に依存する安全車間距離に調整し、車両のカーブ走行の間、車間距離機能を低下させる。
【0009】
本発明の複数の実施例のアイデアは、特に以下に記載した考え方および知識に基づくものであるとみなされてよい。
【0010】
運転者アシストシステムは、車両のコントロールユニット内に組み込まれていてよい。車両は、特に二輪車若しくは自動二輪車であってよい。運転者アシストシステムはセンサ情報を処理し、制御信号を生成することができる。特に、運転者アシストシステムは、車両の少なくとも1つの距離センサのセンサ信号を処理し、車両の駆動システムのための制御信号および選択的または補足的に車両のブレーキシステムのための制御信号を提供する。制御信号は車両へのシステム介入を制御する。システム介入は、特に車両の減速をもたらすことができる。
【0011】
制御信号は、例えば車両を減速させるための高められたブレーキトルクおよび/または低下された駆動トルクを要求することができる。この場合、車両は、駆動トルクの低下によっても、またブレーキトルクの上昇によっても、または駆動トルクの低下とブレーキトルクの上昇との組み合わせによっても減速させることができる。
【0012】
距離センサは、車両の前方の検出領域を検出し、検出領域内の対象物に対する車間距離を車間距離情報に表示することができる。距離センサは、例えばレーダセンサ、ライダーセンサまたはカメラであってよい。車間距離は、時間間隔として表示されてよい。時間間隔は、先行する対象物が所定のポイントを通過する時点と、車両が同じポイントを通過する時点との間の時間長さに相当する。それにより、車両の速度を介して先行する対象物に対する車間距離が得られる。
【0013】
距離センサは、車両のカーブ走行時に、低下された検出能力を有していてよい。特に、カーブ走行中の二輪車の傾斜状態によって、検出領域の基準面は二輪車の接地面に対して斜めに調整されてよい。基準面は、直立した二輪車において概ね接地面に相当する。それによって、距離センサは特にカーブに入る際にカーブ内側で、二輪車に対して僅かな車間距離で接地面上の新たな対象物を検出することがあるが、この対象物は実際には二輪車にとって重要ではない。このような対象物は、不都合な状況下で移動する対象物として解釈され、根拠のないシステム介入を引き起こし得る。さらに、接地面に対する基準面の傾斜位置によって、カーブ外側で、実際に存在する対象物は検出領域から消失して、もはや検出することができない。したがって、特にカーブ出口で、このような対象物が突然再び検出され、困惑的なシステム介入を生ぜしめることがある。
【0014】
速度に依存する安全車間距離は、速度が高くなるにつれてより大きくなる。安全車間距離は、特に簡単に一定の安全時間間隔によって表される。安全時間間隔は車両の実際の速度とは無関係であってよい。低い速度では安全時間間隔に基づいて、より小さい安全車間距離が生じる。高い速度では安全時間間隔に基づいて、より大きい安全車間距離が生じる。
【0015】
安全車間距離若しくは安全時間間隔は、車両の運転者によって制御され得る。この場合、運転者は例えば使用者インターフェースを介して、より大きい安全時間間隔若しくはより大きい安全車間距離またはより小さい安全時間間隔若しくはより小さい安全車間距離が使用されるかどうかを選択することができる。安全車間距離若しくは安全時間間隔は、必要とされる最小値よりも小さく選択することはできない。安全車間距離若しくは安全時間間隔は、二輪車のアクセルペダル若しくは運転ハンドルを介して制御されてもよい。
【0016】
運転者アシストシステムの車間距離機能は、先行車両に対する測定された時間間隔を安全時間間隔と比較するか、若しくは測定された車間距離を速度に依存する安全車間距離と比較することができる。時間間隔と安全時間間隔との間の差がより小さくなると、運転者アシストシステムは、車両を減速させるためにシステム介入を作動させることができる。システム介入によって、時間間隔と安全時間間隔との間の差はゆっくりと変えられる。したがって時間間隔は、ゆっくりと安全時間間隔に近づく。システム介入は、時間間隔がおよそ安全時間間隔の公差範囲内にあって、車両が先行する対象物の後ろを概ね同じ速度で走行するようになるまで、繰り返されるかまたは続行されてよい。
【0017】
カーブ走行は、車両のセンサ信号を用いて検知され得る。カーブ走行は、舵角信号を用いて検知され得る。カーブ走行は、選択的にまたは補足的に、加速度信号および/または回転角速度信号等の惰性センサ信号を使用して検知され得る。加速度信号は、例えばカーブ走行から得られた遠心力を表し得る。回転角速度信号は、例えばカーブに入る際の二輪車の傾きを表し得る。カーブ走行中に、運転者は、車両を安全に操作するために集中し、少なくともほんの少しの支援を必要とする。
【0018】
車間距離機能は、傾斜路を介して低下され得る。したがって、カーブ走行が検知されたときの車間距離機能の突然の変化は避けられる。同様に、車間距離機能は、カーブ走行の終わりに再び傾斜路を介して高められる。言い換えれば、車間距離機能は、ランプアウトおよびランプインされ得る。
【0019】
カーブ走行の間、安全車間距離は短くされ得る。カーブ走行が検知されると、安全車間距離のために低下された目標値が使用され得る。短縮された安全車間距離によって、車両はカーブ走行時に、システム介入が作動される前に、先行車両により近く接近することができる。
【0020】
選択的にまたは補足的に、カーブ走行の間、システム介入は弱められ得る。カーブ走行が検知され、この際に安全車間距離を下回る場合に、あまり強く減速されない。弱められたシステム介入によって、車間距離は安全車間距離よりも短くされ得る。
【0021】
車間距離が速度に依存した注意車間距離を下回ると、運転者アシストシステムの注意機能が、ブレーキシステムおよび/または駆動システムへの低限界のシステム介入を用いて、車両の運転者の注意を交通事象に向けるように仕向ける。注意機能は、カーブ走行の間、やはり低下させられる。低限界のシステム介入は、運転者にとって、結果として生ぜしめられる衝撃に基づいて感知され易いが、車両の重大な速度変化を生ぜしめることはない。直進走行時に、運転者は低限界のシステム介入を感知し、運転者の動作を、システム介入を中止するように適応させることができる。運転者はカーブにおいて運転者の走行任務に集中しているので、低限界のシステム介入だけで集中を妨げることがある。運転者は、システム介入によってむしろ気をそらされ、最終的にあまり確実にカーブを通過できないことがある。カーブ走行中にシステム介入を弱めることによって、運転者はカーブ走行に完全に集中できる。速度に依存した注意車間距離は、速度に依存しない注意時間間隔によって表され得る。
【0022】
注意車間距離はカーブ走行中に短縮されてよい。カーブ走行が検知されると、注意車間距離のために低下された目標値が使用されてよい。低下された注意車間距離によって、車両はカーブ走行時に、低限界のシステム介入が作動される前に、先行車両により近く接近することができる。
【0023】
車間距離機能若しくは注意機能は、二輪車の傾斜状態に依存して低下され得る。カーブ走行は、二輪車の傾斜角度を用いて検知され得る。傾斜角度は傾斜状態を表し得る。傾斜状態は、二輪車の、垂直からのずれと解釈されてよい。傾斜角度は、二輪車の傾斜角度センサによって検出され得る。傾斜角度は複数のセンサ情報を集めることによっても算出され得る。
【0024】
車間距離機能若しくは注意機能は、傾斜状態が予め規定された限界値より大きいときに低下されてよい。車間距離機能は、二輪車の予め定められた傾斜状態から低下され得る。直進走行時に二輪車の傾斜状態は非常に小さい。しかしながら、二輪車の連続的な小さいバランス運動に基づいて、垂直線を中心とした公差範囲内では二輪車の直進走行が前提とされてよい。カーブ走行のための限界値は、垂直線から例えば10°~30°のずれの間であってよい。特に、限界値は、垂直線から概ね20°のずれにあってよい。
【0025】
車間距離機能若しくは注意機能は、傾斜状態に比例して低下され得る。車間距離機能若しくは注意機能は、垂直線からの傾斜状態若しくはずれが大きければ大きいほど、より強く低下されてよい。車間距離機能若しくは注意機能は、傾斜状態に依存して予め定められた減衰ファクターで徐々に低下されてもよい。
【0026】
傾斜状態が予め規定された限界値よりも大きいと、車間距離機能若しくは注意機能は停止され得る。規定された傾斜状態から、車間距離機能若しくは注意機能は遮断されてよい。非常に狭いカーブを通るカーブ走行時に、運転者は確実に二輪車の走行に集中する。例えば35°~55°の傾斜状態から、車間距離機能若しくは注意機能は停止されてよい。特に、車間距離機能若しくは注意機能は、45°の傾斜状態から停止されてよい。
【0027】
この方法は、好適な形式でコンピュータにより実行され、例えばソフトウエアまたはハードウエアにより、あるいはソフトウエアとハードウエアとの混合形式により、例えば運転者アシストシステムで実行されてよい。
【0028】
ここに紹介された提案はさらに、車両のための運転者アシストシステムを提供し、この場合、運転者アシストシステムは、ここに紹介された方法のバリエーションのステップを相応の装置で実施、制御または実行するために構成されている。
【0029】
運転者アシストシステムは、信号またはデータを処理するための少なくとも1つのコンピュータユニットと、信号またはデータを記憶するための少なくとも1つの記憶装置と、通信プロトコル内に埋め込まれたデータを読み込むかまたはアウトプットするための少なくとも1つのインターフェースおよび/または通信インターフェースとを備える電気機器であってよい。コンピュータユニットは、例えば信号プロセッサと、センサ信号を処理し、かつセンサ信号に応じてデータ信号をアウトプットするためのマイクロコントローラまたはいわゆるシステムASICであってよい。記憶装置は、例えばフラッシュメモリー、EPROMまたは磁気記憶装置であってよい。インターフェースは、センサからのセンサ信号を読み込むためのセンサインターフェースとして、並びに/またはデータ信号および/若しくは制御信号をアクチュエータにアウトプットするためのアクチュエータインターフェースとして構成されていてよい。通信インターフェースは、データをワイヤレスでおよび/または有線誘導で読み込むためにまたはアウトプットするために構成されていてよい。インターフェースは、例えばマイクロコントローラ上で別のソフトウェアモジュールの隣に設けられているソフトウェアモジュールであってもよい。
【0030】
特にコンピュータプログラム製品またはコンピュータプログラムがコンピュータまたは装置で実行されるときに、前記実施例による方法のステップを実施、実行および/または制御するための、例えば半導体記憶装置、ハードディスク記憶装置または光学式記憶装置等の機械読み取り可能な担体または記憶媒体に記憶可能なプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品またはコンピュータプログラムも有利である。
【0031】
本発明の可能な特徴および利点の幾つかは、様々な実施例に関連してここに記載されていることを指摘しておく。当業者は、本発明のその他の実施例を得るために、コントロールユニットおよび方法の特徴を、適切な形式で組み合わせ、適合させまたは交換できることを認識している。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】1実施例による運転者アシストシステムを有する二輪車を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明の実施例を添付の図面を用いて説明するが、この場合、図面も明細書も本発明を限定的に解釈するものではない。
【0034】
図面は概略的なものであって、縮尺どおりではない。同じ符号は同じまたは同じ作用を有する特徴を示す。
【0035】
図1は、1実施例による運転者アシストシステム102を有する二輪車100の図を示す。運転者アシストシステム102は車間距離機能104を有している。車間距離機能104の作動中、二輪車100の運転者106は運転者要求108を介して二輪車100の速度をプリセットする。運転者要求108は、二輪車100の運転ハンドル若しくはアクセルグリップおよび/またはブレーキ操作エレメントを介して読み込まれる。車間距離機能104は、先行する目標対象物112に対する二輪車100の車間距離110を、少なくとも速度に依存する安全車間距離114に維持するように構成されている。このために、運転者アシストシステム102は、二輪車100の車間距離センサからの車間距離情報116を読み込む。車間距離センサは、二輪車100の前方の検出領域内の対象物を検出する。この場合、車間距離センサは、目標対象物112を検出し、二輪車100と目標対象物112との間の車間距離110を車間距離情報116内に形成する。
【0036】
車間距離機能104は、車間距離110を速度に依存する安全車間距離114と比較する。車間距離110が、安全車間距離114を下回る程度に安全車間距離114に近づくと、車間距離機能104は、二輪車100を減速させるために、二輪車100のブレーキシステムおよび/または駆動システムへのシステム介入118を作動制御する。
【0037】
この際に、システム介入118は、運転者106の運転者要求108とオーバーラップする。この場合、要求された加速度がシステム介入118によって低下される。要求された減速度がシステム介入118によって増大される。
【0038】
ここで紹介された提案において、車間距離機能104はカーブ走行120が検知されると低下される。この場合、例えば安全車間距離114はカーブ走行120の間は低下される。選択的にまたは補足的に、システム介入118はカーブ走行120の間は弱められてよい。カーブ走行120の始まりおよび終わりにおけるシステム介入118の強さの急激な変化を避けるために、安全車間距離114および/またはシステム介入118は、ランプアウトつまり傾斜路を介して低下されてよく、またランプインつまり傾斜路を介して再び高められてよい。
【0039】
運転者アシストシステム102はさらに注意機能122を有している。注意機能122は、車間距離110が注意車間距離124より小さいときに、弱められたシステム介入118を用いて運転者106の注意を二輪車100の周りの交通事象に向けるように構成されている。この場合、注意車間距離124は安全車間距離114よりも大きい。弱められたシステム介入118によって、運転者106によって明らかに気づかれる衝撃が生ぜしめられる。この場合、この衝撃は、周囲の音の大きさとは無関係に気づくことができる。
【0040】
1実施例では、注意機能122は、カーブ走行120が検知されると低下される。この場合、例えば注意車間距離124は、カーブ走行120の間は低下される。選択的にまたは補足的に、弱められたシステム介入118は、カーブ走行120の間はさらに弱められてよい。
【0041】
1実施例では、車間距離機能104および/または注意機能122は、二輪車100の傾斜状態126に依存して低下されるか若しくは抑制される。二輪車100の傾斜状態126若しくは傾斜角度は、カーブ走行120が狭くなればなるほど、より大きくなる。
【0042】
車間距離機能104および/または注意機能122は、予め規定された限界値128から弱められてよい。傾斜状態126が限界値128より小さい場合、二輪車100の直進走行が前提とされる。
【0043】
車間距離機能104および/または注意機能122は、1実施例では、傾斜状態126が大きければ大きいほど、より強く弱められる。それによって狭いカーブにおける減衰は、広いカーブにおけるよりも強い。
【0044】
1実施例では、車間距離機能104および/または注意機能122は、傾斜状態の予め規定された限界値130から機能停止若しくは停止される。
【0045】
以下に、本発明の可能な実施形態が、改めて要約され若しくは言葉の選択をやや変えて示されている。
【0046】
カーブ走行中の二輪車における機能DDA(Dynamic Drive Assist:ダイナミックトライブアシスト)のシステム介入の抑制について説明する。
【0047】
車両は、運転者に高い快適性および高い安全性を提供する様々な運転者アシストシステムを有していてよい(例えばアダプティブクルーズコントロール「Adaptive Cruise Control(ACC)」およびハイウエイアシスト「Highway Assist(HWA)」等)。さらに、その他のアシストシステムは、車間距離警告および非常ブレーキ介入により安全性獲得を行う。「Dynamic Drive Assist(DDA)(ダイナミックドライブアシスト)」と称呼される、運転者に合わせたアシスト機能では、アクセルペダルを運転者に委ねている間、特にペダルによる制動は広い部分で運転者から取り上げられる。
【0048】
機能DDAは、運転者(ACCと同様に)によって明確に作動され得る。いくつかのケースでは、自動的な作動も考えられる。ここで紹介された提案によって、この機能は二輪車のためにも使用され得る。この場合、重点は、「緩やかな」減速によって運転者に起こり得る衝突(運転者の不注意による)を知らせることである。
【0049】
二輪車における主な目的は、「緩やかな」減速によって、先行する車両への起こり得る衝突を不注意な運転者に認識させることである。これは特に、(ある程度の)直進走行時に必要とされる。ここでは、システムによる「緩やかな」減速は、車両安定性に関連して危険ではない。傾斜状態においても、システムによる(調整された)小さい減速は、車両安定性を脅かすことなく可能である。それにも拘わらず、このような介入はしばしば運転者にとってあまり快適でないと感じられる。
【0050】
二輪車におけるカーブ走行時の、周辺センサ装置による(例えばレーダセンサ装置による)正確な対象物検出および対象物選択は、直進走行時と同じロバスト性を提供しないので、この場合、システムに基づく部分的に「自発的な」車両減速がシステムにより行われる。これは、運転者にとってしばしば不快である。
【0051】
さらに、二輪車の運転者はカーブ通過時に、道路交通および先行する交通に常に気を配っている。先行車両との車間距離は、運転者の個人的なリスク評価に依存していて、また先行車両が場合によっては、オートバイ集団走行時のようにやはり二輪車に乗った友人であるかどうかにも依存している。
【0052】
ここで紹介された提案によれば、二輪車におけるシステムによる車両減速は常に、車両がカーブに入ると直ちに自動的に作動停止されるようになっている。これは、傾斜状態センサおよび加速センサによって検知され得る。
【0053】
二輪車の運転者はカーブ走行時には注意深い。つまりここでは、DDAはシステム支援を必要としない。したがって、直進走行からカーブ走行への移行時にシステムによる可能な減速は解除される。カーブ走行から直進走行への移行時に、(必要であれば)減速がシステムにより「衝撃なしに」生ぜしめられる。
【0054】
二輪車の運転者がカーブ走行の間、先行する交通を考慮することに集中していて、その集中が途切れていないと仮定して、不必要なシステム介入(減速)は阻止/抑制されてよい。このために、システムによる減速は、検知されたカーブ走行時に取り消されるか若しくは阻止される。
【0055】
したがって、カーブ走行中における先行車両の短時間の検出または短時間の検出ロスが、不快なシステム特性を生ぜしめることはない。
【0056】
二輪車の運転者は、前方の人物に対する個人的に選択した間隔を、システム(DDA機能)による影響なしに、マニュアルで維持することができる。ここで紹介された提案において、機能(DDA)は、二輪車の直進走行時に車両減速または加速低下によって介入するが、カーブ走行時にはこのシステム反応は生じない。
【0057】
最後に、「有する」、「含有する」等の概念は、その他の部材またはステップを除外するものではなく、また「1つ」等の概念は複数を除外するものではないことを指摘しておく。請求項の符号は、限定とみなされるものではない。
【符号の説明】
【0058】
100 二輪車
102 運転者アシストシステム
104 車間距離機能
106 運転者
108 運転者要求
110 車間距離
112 目標対象物
114 安全車間距離
118 システム介入
120 カーブ走行
122 注意機能
124 注意車間距離
126 傾斜状態
128 限界値
130 限界値
図1
【手続補正書】
【提出日】2024-01-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者アシストシステム(102)を有する車両(100)を運転するための方法において、前記運転者アシストシステム(102)の車間距離機能(104)が、前記車両(100)のブレーキシステムへのシステム介入(118)および/または駆動システムへのシステム介入(118)を用いて、先行する目標対象物(112)に対する車間距離(110)を、速度に依存する安全車間距離(114)に調整し、前記車両(100)のカーブ走行(120)の間、前記車間距離機能(104)を低下させる、車両(100)を運転するための方法。
【請求項2】
前記カーブ走行(120)の間、前記安全車間距離(114)を短くする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記カーブ走行(120)の間、前記システム介入(118)を弱める、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
前記車間距離機能(104)を、前記車両(100)の傾斜状態(126)に依存して低下させる、請求項1または2記載の方法。
【請求項5】
前記傾斜状態(126)が予め規定された限界値(128)よりも大きいときに、前記車間距離機能(104)を低下させる、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記車間距離機能(104)を前記傾斜状態(126)に比例して低下させる、請求項記載の方法。
【請求項7】
前記傾斜状態(126)が予め規定された限界値(130)よりも大きいときに、前記車間距離機能(104)を停止させる、請求項記載の方法。
【請求項8】
前記車間距離(110)が速度に依存した注意車間距離(124)を下回ると、前記運転者アシストシステム(102)の注意機能(122)が、前記ブレーキシステムおよび/または前記駆動システムへの低限界のシステム介入(118)を用いて、前記車両(100)の運転者(106)の注意を交通事象に向けるように仕向け、前記カーブ走行(120)の間、前記注意機能(122)を低下させる、請求項1または2記載の方法。
【請求項9】
前記カーブ走行(120)の間、前記注意車間距離(124)を短くする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
車両(100)のための運転者アシストシステム(102)において、前記運転者アシストシステム(102)が、請求項1または2記載の方法を相応の装置で実施、実行および/または制御するために構成されている、車両(100)のための運転者アシストシステム(102)。
【請求項11】
コンピュータプログラム製品において、該コンピュータプログラム製品は、このコンピュータプログラム製品の実行時に、プロセッサを、請求項1または2記載の方法を実施、実行および/または制御するように促すために設計されている、コンピュータプログラム製品。
【請求項12】
機械読み取り可能な記憶媒体において、該記憶媒体に請求項11記載のコンピュータプログラム製品が記憶されている、機械読み取り可能な記憶媒体。
【外国語明細書】