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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042754
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】半導体装置及び温度特性検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01K 7/00 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
G01K7/00 321C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147537
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】亀山 禎史
(72)【発明者】
【氏名】川上 史樹
(72)【発明者】
【氏名】小山 哲弘
(72)【発明者】
【氏名】南 正隆
(57)【要約】
【課題】半導体装置の検査温度が正確には分からない環境下において、バンドギャップリファレンス回路の温度特性をより精度良く検査できる。
【解決手段】一実施形態によれば、バンドギャップリファレンス回路の温度特性が検査される前に、複数サンプルについて基準電圧及び絶対温度比例電圧の温度依存性が予め測定されている。温度特性が検査される際、所定温度における当該バンドギャップリファレンス回路の基準電圧と複数サンプルの基準電圧の中央値との差ΔVrefに基づいて、所定温度における当該バンドギャップリファレンス回路の絶対温度比例電圧と複数サンプルの絶対温度比例電圧の中央値との差ΔVptatが算出される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の温度範囲において温度に対して一定の基準電圧と、絶対温度に比例する絶対温度比例電圧と、を出力するバンドギャップリファレンス回路を備え、
前記バンドギャップリファレンス回路の温度特性が検査される前に、複数サンプルについて前記基準電圧及び前記絶対温度比例電圧の温度依存性が予め測定されており、
前記温度特性が検査される際、所定温度における当該バンドギャップリファレンス回路の前記基準電圧と前記複数サンプルの前記基準電圧の中央値との差ΔVrefに基づいて、前記所定温度における当該バンドギャップリファレンス回路の前記絶対温度比例電圧と前記複数サンプルの前記絶対温度比例電圧の中央値との差ΔVptatが算出される、
半導体装置。
【請求項2】
前記温度特性が検査される際、前記差ΔVrefと前記差ΔVptatとの比を温度によらず一定とする、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記温度特性が検査される際、
当該半導体装置を動作保証の下限温度及び上限温度に設定し、
前記下限温度及び上限温度における前記差ΔVrefの平均値に基づいて、前記差ΔVptatが算出される、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記温度特性が検査された前記バンドギャップリファレンス回路から出力された前記基準電圧を分圧した複数の基準分圧電圧の差の変化量に基づいて、経年劣化を判定する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記バンドギャップリファレンス回路は、第1のバンドギャップリファレンス回路であり、前記基準電圧として第1の基準電圧を出力し、
前記第1のバンドギャップリファレンス回路と異なる電源領域に形成され、第2の基準電圧を出力する第2のバンドギャップリファレンス回路をさらに含み、
温度特性が検査された前記第2のバンドギャップリファレンス回路から出力された前記第2の基準電圧を分圧した複数の基準分圧電圧の差の変化量に基づいて、経年劣化を判定する、
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記バンドギャップリファレンス回路は、第1のバンドギャップリファレンス回路であり、前記基準電圧として第1の基準電圧を出力し、
第2の基準電圧を出力する第2のバンドギャップリファレンス回路と、
前記第1の基準電圧が入力される第1のアナログ/デジタルコンバータと、
前記第2の基準電圧が入力される第2のアナログ/デジタルコンバータと、をさらに備え、
前記第2のバンドギャップリファレンス回路の前記温度特性が検査される際、
前記温度特性が検査された前記第1のバンドギャップリファレンス回路から出力された前記第1の基準電圧が分圧された第1の基準分圧電圧が、前記第1のアナログ/デジタルコンバータにおいて、前記第1の基準電圧を基準として第1のデジタル信号に変換されると共に、前記第2のアナログ/デジタルコンバータにおいて、前記第2の基準電圧を基準として第2のデジタル信号に変換され、
前記第1及び第2のデジタル信号の差に基づいて、前記第2のバンドギャップリファレンス回路の前記温度特性が検査される、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
温度に対して一定の基準電圧と絶対温度に比例する絶対温度比例電圧とを出力するバンドギャップリファレンス回路の温度特性検査方法であって、
前記バンドギャップリファレンス回路の温度特性を検査する前に、複数サンプルについて前記基準電圧及び前記絶対温度比例電圧の温度依存性を予め測定しておき、
前記温度特性を検査する際、所定温度における当該バンドギャップリファレンス回路の前記基準電圧と前記複数サンプルの前記基準電圧の中央値との差ΔVrefに基づいて、前記所定温度における当該バンドギャップリファレンス回路の前記絶対温度比例電圧と前記複数サンプルの前記絶対温度比例電圧の中央値との差ΔVptatを算出する、
温度特性検査方法。
【請求項8】
前記温度特性を検査する際、前記差ΔVrefと前記差ΔVptatとの比を温度によらず一定とする、
請求項7に記載の温度特性検査方法。
【請求項9】
前記温度特性を検査する際、
前記バンドギャップリファレンス回路を動作保証の下限温度及び上限温度に設定し、
前記下限温度及び上限温度における前記差ΔVrefの平均値に基づいて、前記差ΔVptatを算出する、
請求項7に記載の温度特性検査方法。
【請求項10】
前記温度特性が検査された前記バンドギャップリファレンス回路から出力された前記基準電圧を分圧した複数の基準分圧電圧の差の変化量に基づいて、経年劣化を判定する、
請求項7に記載の温度特性検査方法。
【請求項11】
前記バンドギャップリファレンス回路は、第1のバンドギャップリファレンス回路であり、前記基準電圧として第1の基準電圧を出力し、
前記第1のバンドギャップリファレンス回路と異なる電源領域に形成され、第2の基準電圧を出力する第2のバンドギャップリファレンス回路をさらに含み、
温度特性が検査された前記第2のバンドギャップリファレンス回路から出力された前記第2の基準電圧を分圧した複数の基準分圧電圧の差の変化量に基づいて、経年劣化を判定する、
請求項10に記載の温度特性検査方法。
【請求項12】
前記バンドギャップリファレンス回路は、第1のバンドギャップリファレンス回路であり、前記基準電圧として第1の基準電圧を出力し、
第2の基準電圧を出力する第2のバンドギャップリファレンス回路の温度特性を検査する際、
前記温度特性が検査された前記第1のバンドギャップリファレンス回路から出力された前記第1の基準電圧を分圧した第1の基準分圧電圧を、第1のアナログ/デジタルコンバータにおいて、前記第1の基準電圧を基準として第1のデジタル信号に変換すると共に、第2のアナログ/デジタルコンバータにおいて、前記第2の基準電圧を基準として第2のデジタル信号に変換し、
前記第1及び第2のデジタル信号の差に基づいて、前記第2のバンドギャップリファレンス回路の前記温度特性を検査する、
請求項7に記載の温度特性検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は半導体装置及び温度特性検査方法に関し、例えば、バンドギャップリファレンス回路を備える半導体装置及び温度特性検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ナビゲーション機能、オーディオ機能等を有する情報処理装置が、車載電子システムとして、車両に搭載されている。このような車載電子システムに使用される半導体装置については、ISO(International Standard Organization)26262に準拠した高い安全性が求められる。
【0003】
そのため、車載電子システムに使用される半導体装置は、動作保証の温度範囲(例えば、-40~125℃)において高速処理を実現するために、内部の温度を監視する温度センサを有する。
特許文献1、2には、温度センサとしてバンドギャップリファレンス(BGR:Band Gap Reference)回路を備えた半導体装置が開示されている。
【0004】
バンドギャップリファレンス回路は、例えば製造ばらつき等に基づく温度特性のばらつきを有する。そのため、半導体装置の製造時に、動作保証の温度範囲において温度を正確に測定できるように、各半導体装置におけるバンドギャップリファレンス回路の温度特性を検査する。
【0005】
例えば、半導体装置であるIC(Integrated Circuit)チップが多数形成された半導体ウエハを温度調節可能なウエハチャック上に固定し、ウエハチャックの温度を半導体装置の動作保証の下限温度及び上限温度に設定する。各設定温度において、半導体ウエハにプローブカードのプローブを接触させ、各半導体装置の動作を検査すると共に、各半導体装置におけるバンドギャップリファレンス回路の温度特性を検査する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-198523号公報
【特許文献2】特開2020-106362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明者らは、バンドギャップリファレンス回路を備えた半導体装置に関し、以下の課題を見出した。
上記の検査では、半導体ウエハ上における各半導体装置の検査温度(プローブを接触させて温度特性を検査する際の温度)は、ウエハチャックの設定温度に対して、例えば±1℃程度の誤差に収まると考えられてきた。
しかしながら、発明者らが調査したところ、半導体ウエハ上における半導体装置の検査温度は、ウエハチャックの設定温度から例えば最大10℃程度ずれてしまうことが判明した。
【0008】
具体的には、ウエハチャックの設定温度が125℃の場合、半導体装置の検査温度は、115℃程度まで降下し得ることが判明した。他方、ウエハチャックの設定温度が-40℃の場合、半導体装置の検査温度は、-30℃程度まで上昇し得ることが判明した。半導体装置に接触させたプローブ(特に限定されないが、例えば数千本程度)を介して熱が移動するが、種々の要因によって、この熱移動量が不安定になっていることが一因と考えられる。
【0009】
ここで、検査時に、プローブの温度をウエハチャックの設定温度に一致させることは、種々の要因によって難しい。そのため、半導体装置の検査温度が正確には分からない環境下において、バンドギャップリファレンス回路の温度特性をより精度良く検査する必要がある。
【0010】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるだろう。
なお、半導体装置の検査温度がばらつく原因は、半導体装置に接触させたプローブを介した熱移動以外にも種々考えられ、特定の原因に限定されない。また、本開示は、車載電子システムに使用される半導体装置に限定されない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実施形態によれば、バンドギャップリファレンス回路の温度特性が検査される前に、複数サンプルについて基準電圧及び絶対温度比例電圧の温度依存性が予め測定されている。温度特性が検査される際、所定温度における当該バンドギャップリファレンス回路の基準電圧と複数サンプルの基準電圧の中央値との差に基づいて、所定温度における当該バンドギャップリファレンス回路の絶対温度比例電圧と複数サンプルの絶対温度比例電圧の中央値との差が算出される。
【発明の効果】
【0012】
前記一実施形態によれば、半導体装置の検査温度が正確には分からない環境下において、バンドギャップリファレンス回路の温度特性をより精度良く検査できる半導体装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、第1の実施形態に係る半導体装置のブロック図である。
図2図2は、バンドギャップリファレンス回路BGR1の回路構成の一例を示す回路図である。
図3図3は、図2に示す基準電圧Vref1、絶対温度比例電圧Vptat1、及びバイポーラトランジスタBT2のベース・エミッタ間電圧Vbe2の温度依存性を示すグラフである。
図4図4は、製造ばらつき等に基づく基準電圧Vref1のばらつきのシミュレーション結果を示すグラフである。
図5図5は、製造ばらつき等に基づく絶対温度比例電圧Vptat1の温度依存性のばらつきについてのシミュレーション結果を示すグラフである。
図6図6は、基準電圧Vref1の温度依存性を示すグラフである。
図7図7は、絶対温度比例電圧Vptat1の温度依存性を示すグラフである。
図8図8は、基準電圧Vref1の温度依存性を示すグラフである。
図9図9は、絶対温度比例電圧Vptat1の温度依存性を示すグラフである。
図10図10は、第2の実施形態に係る半導体装置のブロック図である。
図11図11は、温度センサモジュールTHS1、THS2の回路構成の一例を示す回路図である。
図12図12は、温度センサモジュールTHS1、THS2の回路構成の一例を示す回路図である。
図13図13は、温度センサモジュールTHS1、THS2の回路構成の一例を示す回路図である。
図14図14は、温度センサモジュールTHS1、THS2の回路構成の一例を示す回路図である。
図15図15は、温度センサモジュールTHS1における経年劣化を模式的に示すグラフである。
図16図16は、温度センサモジュールTHS1における経年劣化を模式的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、様々な処理を行う機能ブロックとして図面に記載される各要素は、ハードウェア的には、CPU、メモリ、その他の回路で構成でき、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。従って、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、又はそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0015】
(第1の実施形態)
<半導体装置の構成>
まず、図1を参照して、第1の実施形態に係る半導体装置について説明する。図1は、第1の実施形態に係る半導体装置のブロック図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係る半導体装置100は、例えばICチップであり、バンドギャップリファレンス回路BGR1を備えている。図1に示すように、バンドギャップリファレンス回路BGR1は、基準電圧Vref1及び絶対温度比例電圧Vptat1を出力する。
【0016】
基準電圧Vref1は、所定の温度範囲において温度に対して一定である。ここで、一定とは、当然のことながら、ある程度の許容範囲を有し、完全に一定である必要はない。基準電圧Vref1は、アナログ電圧信号であり、外部端子T1を介して、半導体装置100の外部に出力される。
【0017】
他方、絶対温度比例電圧Vptat1は、絶対温度に比例する。絶対温度比例電圧Vptat1は、アナログ電圧信号であり、外部端子T2を介して、半導体装置100の外部に出力される。
【0018】
このように、バンドギャップリファレンス回路BGR1は、温度に対して一定の基準電圧Vref1を生成する基準電圧生成回路である。さらに、バンドギャップリファレンス回路BGR1は、絶対温度比例電圧Vptat1を生成するため、温度を検出可能な温度センサとしての機能も有する。
【0019】
ここで、図2は、バンドギャップリファレンス回路BGR1の回路構成の一例を示す回路図である。図2に示すバンドギャップリファレンス回路BGR1は、ブロコウ・セルと呼ばれるバンドギャップリファレンス回路である。
図2に示すバンドギャップリファレンス回路BGR1は、抵抗R1~R4、バイポーラトランジスタBT1、BT2、アンプAMPを備えている。
【0020】
図2に示すように、抵抗R1、R2の一端は、それぞれ電源VCCに接続されている。抵抗R1、R2の抵抗値は等しい。抵抗R1の他端は、バイポーラトランジスタBT1のコレクタに接続され、抵抗R2の他端は、バイポーラトランジスタBT2のコレクタに接続されている。バイポーラトランジスタBT1のエミッタは、抵抗R3の一端に接続され、抵抗R3の他端は、抵抗R4の一端に接続されている。バイポーラトランジスタBT2のエミッタは、抵抗R3と抵抗R4との間のノードに接続されている。抵抗R4の他端は、接地されている。
【0021】
図2に示すように、アンプAMPの反転(-)入力端子は、抵抗R1とバイポーラトランジスタBT1のコレクタとの間のノードに接続されている。一方、アンプAMPの非反転(+)入力端子は、抵抗R2とバイポーラトランジスタBT2のコレクタとの間のノードに接続されている。
【0022】
アンプAMPの出力端子は、基準電圧Vref1を出力すると共に、バイポーラトランジスタBT1、BT2のベースに共通に接続されている。アンプAMPの負帰還ループによって、バイポーラトランジスタBT1、BT2のコレクタ電流が等しくなるように制御される。
なお、アンプAMPの出力端子と基準電圧Vref1を外部へ出力する外部端子T1との間に、ボルテージフォロワ等のアナログバッファ回路が設けられていてもよい。
【0023】
図2に示すように、抵抗R4の両端間の電圧が、絶対温度比例電圧Vptat1であり、抵抗R3と抵抗R4との間のノードから出力される。
なお、当該ノードと絶対温度比例電圧Vptat1を外部へ出力する外部端子T2との間に、ボルテージフォロワ等のアナログバッファ回路が設けられていてもよい。
【0024】
図2には、基準電圧Vref1と絶対温度比例電圧Vptat1との関係が図示されている。図2に示すように、バイポーラトランジスタBT2のベース・エミッタ間電圧Vbe2とすると、Vref1=Vbe2+Vptat1が成立する。
なお、バイポーラトランジスタBT1のベース・エミッタ間電圧Vbe1とすれば、バイポーラトランジスタBT1、BT2のベース・エミッタ間電圧Vbe1、Vbe2の差ΔVbeは、ΔVbe=Vbe2-Vbe1で表される。図2に示すように、ΔVbeは、抵抗R3の両端間の電圧に等しい。
【0025】
なお、図2に示す回路は、バンドギャップリファレンス回路BGR1の構成のあくまでも一例である。バンドギャップリファレンス回路BGR1の構成は、図2に示す回路に限定されない。バンドギャップリファレンス回路BGR1の構成は、所定の温度範囲において温度に対して一定な基準電圧Vref1と、絶対温度に比例する絶対温度比例電圧Vptat1とを出力できれば、何ら限定されない。
【0026】
ここで、図3は、基準電圧Vref1、絶対温度比例電圧Vptat1、及びバイポーラトランジスタBT2のベース・エミッタ間電圧Vbe2の温度依存性を示すグラフである。図3において、横軸は温度(℃)、縦軸は電圧を示している。図2図3に示す通り、Vref1≒Vbe2+Vptat1が成立する。
なお、バイポーラトランジスタBT1、BT2のコレクタ電流を一致させた場合、Vref1=Vbe2+Vptat1が成立するが、回路設計上、バイポーラトランジスタBT1、BT2のコレクタ電流を意図的にずらす場合もある。そのため、図3では、Vref1≒Vbe2+Vptat1と記載されている。
【0027】
図3に示すように、絶対温度比例電圧Vptat1は、正の温度依存性を有する。他方、バイポーラトランジスタBT2のベース・エミッタ間電圧Vbe2は、負の温度依存性を有する。絶対温度比例電圧Vptat1とバイポーラトランジスタBT2のベース・エミッタ間電圧Vbe2とが相殺され、所定の温度範囲において温度に対して一定の基準電圧Vref1が得られる。例えば、図2に示すバンドギャップリファレンス回路BGR1では、抵抗R3、R4の比及びバイポーラトランジスタBT1、BT2のトランジスタ比等が調整され、このような基準電圧Vref1が得られる。
なお、所定の温度範囲は、例えば、半導体装置100における動作保証の温度範囲(例えば、-40~125℃)である。
【0028】
上述の通り、バンドギャップリファレンス回路BGR1は、例えば製造ばらつき等に基づく温度特性のばらつきを有する。そのため、半導体装置100の製造時に、動作保証の温度範囲において温度を正確に測定できるように、バンドギャップリファレンス回路BGR1の温度特性が検査される。
【0029】
本実施形態に係る半導体装置100では、バンドギャップリファレンス回路BGR1の温度特性が検査される前に、複数サンプルについて基準電圧Vref1及び絶対温度比例電圧Vptat1の温度依存性が予め測定されている。例えば、各サンプルを恒温槽に入れ、±1℃以下の温度誤差において、各温度における基準電圧Vref1及び絶対温度比例電圧Vptat1を測定する。サンプル数は、例えば100個以上である。より具体例としては、サンプル数は、数百個~数千個程度である。
【0030】
ここで、図4は、製造ばらつき等に基づく基準電圧Vref1の温度依存性のばらつきについてのシミュレーション結果を示すグラフである。図4において、横軸は温度(℃)、縦軸は基準電圧Vref1(V)を示している。図4には、全サンプルの基準電圧Vref1の中央値Vref_mも一点鎖線で示されている。
【0031】
図4に示すように、-40~125℃において、基準電圧の中央値Vref_mは、約1.23~1.25Vであり、温度上昇に伴って約20mV(0.02V)増加するが、温度に対して略一定である。また、図4に示すように、基準電圧Vref1のばらつきもの幅、-40~125℃において、約30mV(0.03V)で略一定である。
【0032】
図5は、製造ばらつき等に基づく絶対温度比例電圧Vptat1の温度依存性のばらつきについてのシミュレーション結果を示すグラフである。図5において、横軸は温度(℃)、縦軸は絶対温度比例電圧Vptat1(V)を示している。図5には、全サンプルの絶対温度比例電圧Vptat1の中央値Vref_mも一点鎖線で示されている。
【0033】
図5に示すように、-40~125℃において、絶対温度比例電圧Vptat1は、約1.3~1.6mV/℃の傾きで、温度に対して線形性を有している。また、図5に示すように、絶対温度比例電圧Vptat1のばらつきの幅も、-40~125℃において、約30mV(0.03V)で略一定である。
【0034】
ここで、図4図5のそれぞれにおいて、あるサンプルの曲線及び直線に着目する。そのサンプルのある温度における基準電圧Vref1と全サンプルの基準電圧の中央値Vref_mとの差をΔVref1とする。また、当該サンプルのその温度における絶対温度比例電圧Vptat1と全サンプルの絶対温度比例電圧の中央値Vptat_mとの差をΔVptat1とする。
【0035】
発明者らは、両者の比ΔVptat1/ΔVref1が、温度によらず略一定であり、サンプルによらず、略同じ値になることを見出した。
なお、本明細書における中央値は、厳密な定義での中央値だけでなく、平均値を含むものとする。また、基準電圧Vref1及び絶対温度比例電圧Vptat1のばらつきは、正規分布であるため、平均値と厳密な定義での中央値とは略一致する。
【0036】
本実施形態に係る半導体装置100では、このような基準電圧Vref1及び絶対温度比例電圧Vptat1についてのばらつき特性を利用して、バンドギャップリファレンス回路BGR1の温度特性が検査される。具体的には、温度変化の小さいΔVref1に基づいて、温度特性を示すΔVptat1を算出し、温度特性を検査する。
【0037】
そのため、本実施形態に係る半導体装置100では、検査温度が正確には分からない環境下においても、バンドギャップリファレンス回路BGR1の温度特性をより精度良く検査できる。
以下に、バンドギャップリファレンス回路BGR1の温度特性検査方法について説明する。
【0038】
<温度特性検査方法>
次に、図6図7を参照して、バンドギャップリファレンス回路BGR1の温度特性検査方法について説明する。
図6は、基準電圧Vref1の温度依存性を示すグラフである。図6において、横軸は温度T(℃)、縦軸は基準電圧Vref1(V)を示している。図6には、検査対象のバンドギャップリファレンス回路BGR1の基準電圧Vref1が実線で示されており、予め測定された複数サンプルの基準電圧の中央値Vref_mが一点鎖線で示されている。
【0039】
図7は、絶対温度比例電圧Vptat1の温度依存性を示すグラフである。図7において、横軸は温度T(℃)、縦軸は絶対温度比例電圧Vptat1(V)を示している。図7には、検査対象のバンドギャップリファレンス回路BGR1の絶対温度比例電圧Vptat1が実線で示されており、予め測定された複数サンプルの絶対温度比例電圧の中央値Vptat_mが一点鎖線で示されている。
【0040】
図6図7は、半導体装置100の動作保証の下限温度である-40℃に検査温度を設定し、基準電圧Vref1及び絶対温度比例電圧Vptat1を測定する様子を示している。
まず、図6に示すように、検査の設定温度が-40℃であるのに対し、実際には測定温度Tm[℃]において、基準電圧Vref1(Tm)が測定されたものとする。すなわち、測定温度Tm[℃]は、-40℃の近傍だが、未知である。図6に示すように、測定温度Tm[℃]は、-40℃よりも高くなり易く、例えば-30℃程度である。
【0041】
図6に示すように、基準電圧Vref1及び基準電圧の中央値Vref_mは、温度に対して略一定である。そのため、-40℃における基準電圧の中央値Vref_m(-40)は、測定温度Tm[℃]における基準電圧の中央値Vref_mと略同じ値である。従って、基準電圧Vref1と基準電圧の中央値Vref_mとの差ΔVref1は、測定温度Tm[℃]における基準電圧Vref1(Tm)と-40℃における基準電圧の中央値Vref_m(-40)との差ΔVref1’と略等しい。また、図3を参照すると、-40℃とTm[℃]とにおけるVref1の変化は、Vptat1の変化に比べ、無視できる程小さい。
すなわち、算出したΔVref1’≒ΔVref1が成立するため、算出したΔVref1’=ΔVref1とみなす。
【0042】
次に、図7に示すように、上述のΔVptat1/ΔVref1=一定の関係を用いて、測定温度Tm[℃]における絶対温度比例電圧Vptat1(Tm)と絶対温度比例電圧の中央値Vptat_mとの差ΔVptat1を算出する。例えば、ΔVptat1/ΔVref1=1.0とすると、ΔVptat1=ΔVref1である。
算出したΔVptat1が、各バンドギャップリファレンス回路BGR1の温度特性を示す固有値である。
【0043】
図7にも示すように、絶対温度比例電圧Vptat1=Vptat_m+ΔVptat1が成立するため、算出したΔVptat1を代入し、絶対温度比例電圧Vptat1の温度特性式が得られる。
詳細には後述するように、算出したΔVptat1は、デジタル信号に変換され、例えば、バンドギャップリファレンス回路BGR1を制御するコントローラのヒューズビット等の記憶部に記憶される。
【0044】
また、図7に示すように、測定温度Tm[℃]における絶対温度比例電圧Vptat1(Tm)から算出したΔVptat1を減じると、測定温度Tm[℃]における絶対温度比例電圧の中央値Vptat_m(Tm)の値が得られる。
ここで、図7に示すように、絶対温度比例電圧の中央値Vptat_mは、定数α、βを用いて、Vptat_m=α×T+βで表され、既知である。例えば、直線の傾きを示す定数αは約1.5[mV/℃]、定数βは約400[mV]である。
すなわち、Vptat_m(Tm)=α×Tm+βであるため、Tm={Vptat_m(Tm)-β}/αから測定温度Tm[℃]が得られる。
【0045】
以上に説明したように、バンドギャップリファレンス回路BGR1の温度特性を検査する際、発明者らが見出したΔVptat1/ΔVref1=一定の関係を用いて、温度変化の小さいΔVref1に基づいて、温度特性を示すΔVptat1を算出する。そして、算出したΔVptat1を用いて、バンドギャップリファレンス回路BGR1の絶対温度比例電圧Vptat1を補正する。
【0046】
ここで、図7において、測定温度Tm[℃]における絶対温度比例電圧Vptat1(Tm)と-40℃における絶対温度比例電圧Vptat1(-40)との差をΔVptat1とすると、実際の値よりも大きくなってしまう。
【0047】
これに対し、本実施形態に係る半導体装置100では、温度特性を検査する際、図6に示す温度変化の小さいΔVref1に基づいて、温度特性を示すΔVptat1を算出する。そのため、検査温度が正確には分からない環境下においても、バンドギャップリファレンス回路BGR1の温度特性をより精度良く検査できる。
【0048】
続いて、図8図9を参照して、バンドギャップリファレンス回路BGR1の温度特性検査方法について説明する。
図8は、基準電圧Vref1の温度依存性を示すグラフである。図9は、絶対温度比例電圧Vptat1の温度依存性を示すグラフである。図8図9に示したグラフは、それぞれ図6図7に示したグラフと同じである。
【0049】
しかしながら、図8図9は、半導体装置100の動作保証の上限温度である125℃に検査温度を設定し、基準電圧Vref1及び絶対温度比例電圧Vptat1を測定する様子を示している。
まず、図8に示すように、検査の設定温度が125℃であるのに対し、実際には測定温度Tm[℃]において、基準電圧Vref1(Tm)が測定されたものとする。すなわち、測定温度Tm[℃]は、125℃の近傍だが、未知である。図8に示すように、測定温度Tm[℃]は、125℃よりも低くなり易く、例えば115℃程度である。
【0050】
図8に示すように、基準電圧Vref1及び基準電圧の中央値Vref_mは、温度に対して略一定である。そのため、125℃における基準電圧の中央値Vref_m(125)は、測定温度Tm[℃]における基準電圧の中央値Vref_mと略同じ値である。従って、基準電圧Vref1と基準電圧の中央値Vref_mとの差ΔVref1は、測定温度Tm[℃]における基準電圧Vref1(Tm)と125℃における基準電圧の中央値Vref_m(125)との差ΔVref1’と略等しい。また、図3を参照すると、125℃とTm[℃]とにおけるVref1の変化は、Vptat1の変化に比べ、無視できる程小さい。
すなわち、算出したΔVref1’≒ΔVref1が成立するため、算出したΔVref1’=ΔVref1とみなす。
【0051】
次に、図9に示すように、ΔVptat1/ΔVref1=一定の関係を用いて、測定温度Tm[℃]における絶対温度比例電圧Vptat1(Tm)と絶対温度比例電圧の中央値Vptat_mとの差ΔVptat1を算出する。例えば、ΔVptat1/ΔVref1=1.0とすると、ΔVptat1=ΔVref1である。
算出したΔVptat1が、バンドギャップリファレンス回路BGR1の温度特性を示す固有値である。
【0052】
図9にも示すように、絶対温度比例電圧Vptat1=Vptat_m+ΔVptat1が成立するため、算出したΔVptat1を代入し、絶対温度比例電圧Vptat1の温度特性式も得られる。
詳細には後述するように、算出したΔVptat1は、デジタル信号に変換され、例えば、バンドギャップリファレンス回路BGR1を制御するコントローラのヒューズビット等の記憶部に記憶される。
【0053】
また、図9に示すように、測定温度Tm[℃]における絶対温度比例電圧Vptat1(Tm)からΔVptat1を減じると、測定温度Tm[℃]における絶対温度比例電圧の中央値Vptat_m(Tm)の値が得られる。
図9に示すように、絶対温度比例電圧の中央値Vptat_mは、定数α、βを用いて、Vptat_m=α×T+βで表される。すなわち、Vptat_m(Tm)=α×Tm+βであるため、Tm={Vptat_m(Tm)-β}/αから測定温度Tm[℃]が得られる。
【0054】
以上に説明したように、バンドギャップリファレンス回路BGR1の温度特性を検査する際、発明者らが見出したΔVptat1/ΔVref1=一定の関係を用いて、温度変化の小さいΔVref1に基づいて、温度特性を示すΔVptat1を算出する。そして、算出したΔVptat1を用いて、バンドギャップリファレンス回路BGR1の絶対温度比例電圧Vptat1を補正する。
【0055】
ここで、図9において、測定温度Tm[℃]における絶対温度比例電圧Vptat1(Tm)と125℃における絶対温度比例電圧Vptat1(125)との差をΔVptat1とすると、実際の値よりも小さくなってしまう。
【0056】
これに対し、本実施形態に係る半導体装置100では、温度特性を検査する際、図8に示す温度変化の小さいΔVref1に基づいて、温度特性を示すΔVptat1を算出する。そのため、検査温度が正確には分からない環境下においても、バンドギャップリファレンス回路BGR1の温度特性をより精度良く検査できる。
【0057】
なお、図6に示すように、測定温度Tm[℃]が-40℃の近傍の場合、測定温度Tm[℃]は、-40℃よりも高くなり易い。その場合、図6に示すように、実際のΔVref1よりも、算出したΔVref1’の方が大きい。その結果、ΔVptat1の算出値も実際の値よりも大きくなる。
【0058】
他方、図8に示すように、測定温度Tm[℃]が125℃の近傍の場合、測定温度Tm[℃]は、125℃よりも低くなり易い。その場合、図8に示すように、実際のΔVref1よりも、算出したΔVref1’の方が小さい。その結果、ΔVptat1の算出値も実際の値よりも小さくなる。
【0059】
従って、ΔVptat1を算出する際、測定温度Tm[℃]が-40℃の近傍及び125℃の近傍の両方の場合に得られたΔVref1の平均を用いることが好ましい。それによって、基準電圧Vref1と基準電圧の中央値Vref_mとの差ΔVref1の算出値を実際の値により近付けられる。
【0060】
(第2の実施形態)
<半導体装置の構成>
次に、図10を参照して、第2の実施形態に係る半導体装置について説明する。図10は、第2の実施形態に係る半導体装置のブロック図である。
図10に示すように、第2の実施形態に係る半導体装置200は、例えばICチップであり、温度センサモジュールTHS1~THS4を備えている。
【0061】
図10に示すように、温度センサモジュールTHS1は、図1に示すバンドギャップリファレンス回路BGR1を備えている。図1に示す第1の実施形態に係る半導体装置100と同様に、バンドギャップリファレンス回路BGR1は、基準電圧Vref1を外部端子T1に出力すると共に、絶対温度比例電圧Vptat1を外部端子T2に出力する。
図10に示すように、温度センサモジュールTHS2~THS4も、それぞれバンドギャップリファレンス回路BGR2~BGR4を備えている。
【0062】
図10に示すように、温度センサモジュールTHS1、THS2は、同じ電源領域PD1に形成されている。
温度センサモジュールTHS3は、電源領域PD2に形成されている。電源領域PD2は、電源領域PD1と電源電圧が異なる領域である。電源領域PD2は、電源分離セルPIC1に囲まれ、電源領域PD1と電源が分離されている。
温度センサモジュールTHS4は、電源領域PD3に形成されている。電源領域PD3は、低消費電力モード(例えばスリープモード)時に電源電圧が遮断される領域である。電源領域PD3は、電源分離セルPIC2に囲まれ、電源領域PD1と電源が分離されている。
【0063】
なお、電源領域PD2、PD3は必須ではない。また、電源領域PD2、PD3のいずれか一方のみが設けられていてもよい。
さらに、温度センサモジュールの数は、複数であればよく、何ら限定されない。
【0064】
ここで、温度センサモジュールTHS1の温度特性は、第1の実施形態に記載された温度特性検査方法によって検査されている。図10に示すように、温度特性検査済みの温度センサモジュールTHS1は、基準電圧Vrl1、Vrh1を出力する。基準電圧Vrl1、Vrh1は、温度センサモジュールTHS2~THS4のそれぞれに入力される。
【0065】
詳細には後述するように、基準電圧Vrl1、Vrh1は、温度特性検査済みの温度センサモジュールTHS1において、基準電圧Vref1から生成される。温度センサモジュールTHS2~THS4のそれぞれは、基準電圧Vrl1、Vrh1に基づいて、バンドギャップリファレンス回路BGR2~BGR4の温度特性を検査できる。
【0066】
<半導体装置の詳細な回路構成>
次に、図11を参照して、本実施形態に係る半導体装置200の詳細な回路構成について説明する。図11は、温度センサモジュールTHS1、THS2の回路構成の一例を示す回路図である。
【0067】
まず、温度センサモジュールTHS1について説明する。
図11に示すように、温度センサモジュールTHS1は、バンドギャップリファレンス回路BGR1、セレクタSLa1、SLb1、A/DコンバータADC1、コントローラCTR1を備えている。
【0068】
バンドギャップリファレンス回路BGR1は、図1図2に示す第1の実施形態に係るバンドギャップリファレンス回路BGR1と同様である。図11に示すように、バンドギャップリファレンス回路BGR1は、基準電圧Vref1を外部端子T1に出力すると共に、絶対温度比例電圧Vptat1を外部端子T2に出力する。
【0069】
図11に示すように、基準電圧Vref1をラダー抵抗によって分圧した複数の基準電圧(基準分圧電圧)Vrl1、Vrm11、Vrm12、Vrh1(Vrl1<Vrm11<Vrm12<Vrh1)が生成される。ここで、基準電圧Vrl1は、半導体装置200の動作保証の下限温度(例えば-40℃)における絶対温度比例電圧Vptat1と同レベルの電圧である。基準電圧Vrh1は、半導体装置200の動作保証の上限温度(例えば125℃)における絶対温度比例電圧Vptat1と同レベルの電圧である。
【0070】
基準電圧Vrm11、Vrm12(Vrm12>Vrm11)は、それぞれ半導体装置200の動作保証の下限温度より高く上限温度より低い所定温度における絶対温度比例電圧Vptat1と同レベルの電圧である。
なお、基準電圧Vrm11、Vrm12は、必須ではない。基準電圧Vrl1と基準電圧Vrh1との基準電圧は、基準電圧Vrm11、Vrm12の2個に限定されず、1個でも3個以上でもよい。
【0071】
図11に示すように、セレクタSLa1には、絶対温度比例電圧Vptat1及び基準電圧Vrl1、Vrm11、Vrm12、Vrh1が入力される。
セレクタSLa1は、コントローラCTR1から出力される選択制御信号sca1に基づいて、入力された電圧信号のいずれか一つを選択する。
【0072】
セレクタSLb1には、基準電圧Vref1が入力される。セレクタSLb1は、コントローラCTR1から出力される選択制御信号scb1に基づいて、基準電圧Vref1を選択する。
なお、図11において、セレクタSLb1には、基準電圧Vref1のみが入力されているが、実際には、図示されていない他の信号も入力される。そのため、セレクタSLb1が設けられている。
【0073】
A/DコンバータADC1には、セレクタSLa1を介して、絶対温度比例電圧Vptat1及び基準電圧Vrl1、Vrm11、Vrm12、Vrh1のいずれか一つのアナログ電圧信号が入力される。
また、A/DコンバータADC1には、セレクタSLb1を介して、アナログ電圧信号である基準電圧Vref1が入力される。
【0074】
A/DコンバータADC1は、セレクタSLb1を介して入力された基準電圧Vref1を基準信号として、セレクタSLa1を介して入力された電圧信号をデジタル電圧信号Vd1に変換する。すなわち、デジタル電圧信号Vd1は、絶対温度比例電圧Vptat1及び基準電圧Vrl1、Vrm11、Vrm12、Vrh1がA/D変換されたデジタル信号を含む。
A/DコンバータADC1から出力されたデジタル電圧信号Vd1は、コントローラCTR1のヒューズビットFB1に記憶される。
【0075】
コントローラCTR1は、温度センサモジュールTHS1を制御する。具体的には、図11に示すように、コントローラCTR1は、セレクタSLa1、SLb1に対して、それぞれ選択制御信号sca1、scb1を出力する。また、コントローラCTR1は、A/DコンバータADC1から出力されたデジタル電圧信号Vd1を記憶するヒューズビットFB1を備えている。
【0076】
また、図11に示すように、コントローラCTR1は、温度センサモジュールTHS2のコントローラCTR2と接続されていてもよい。そのため、コントローラCTR1、CTR2は、ヒューズビットFB1、FB2に記憶されたデータを互いに送受信できてもよい。
なお、コントローラCTR1は、温度センサモジュールTHS1の外部に設けられていてもよい。また、ヒューズビットFB1は、コントローラCTR1の外部に設けられていてもよい。
【0077】
ここで、温度センサモジュールTHS1の温度特性は、第1の実施形態に記載された温度特性検査方法によって検査されている。
図11に示すように、本実施形態に係る半導体装置200では、温度特性検査済みの温度センサモジュールTHS1が、基準電圧Vrl1、Vrh1を出力する。基準電圧Vrl1、Vrh1は、温度センサモジュールTHS2~THS4のそれぞれに入力される。詳細には後述するように、温度センサモジュールTHS2~THS4のそれぞれは、基準電圧Vrl1、Vrh1に基づいて、バンドギャップリファレンス回路BGR2~BGR4の温度特性を検査できる。
【0078】
次に、温度センサモジュールTHS2について説明する。
温度センサモジュールTHS2は、温度センサモジュールTHS1と同様の回路構成を有する。具体的には、温度センサモジュールTHS2は、バンドギャップリファレンス回路BGR2、セレクタSLa2、SLb2、A/DコンバータADC2、コントローラCTR2を備えている。
なお、温度センサモジュールTHS3、THS4は、温度センサモジュールTHS2と同様の回路構成を有し、同様に動作するため、説明を省略する。
【0079】
バンドギャップリファレンス回路BGR2も、図1図2に示す第1の実施形態に係るバンドギャップリファレンス回路BGR1と同様に、基準電圧Vref2を出力すると共に、絶対温度比例電圧Vptat2を出力する。
他方、図11に示すように、バンドギャップリファレンス回路BGR2が出力する基準電圧Vref2及び絶対温度比例電圧Vptat2を外部に出力するための外部端子は設けられていない。このような構成によって、外部端子数を削減できる。
【0080】
図11に示すように、基準電圧Vref2をラダー抵抗によって分圧した複数の基準電圧(基準分圧電圧)Vrl2、Vrm21、Vrm22、Vrh2(Vrl2<Vrm21<Vrm22<Vrh2)が生成される。ここで、基準電圧Vrl2は、半導体装置200の動作保証の下限温度(例えば-40℃)における絶対温度比例電圧Vptat2と同レベルの電圧である。基準電圧Vrh2は、半導体装置200の動作保証の上限温度(例えば125℃)における絶対温度比例電圧Vptat2と同レベルの電圧である。基準電圧Vrm21、Vrm22(Vrm22>Vrm21)は、それぞれ半導体装置200の動作保証の下限温度より高く上限温度より低い所定温度における絶対温度比例電圧Vptat2と同レベルの電圧である。
【0081】
図11に示すように、セレクタSLa2には、セレクタSLa1と同様に、絶対温度比例電圧Vptat2及び基準電圧Vrl1、Vrm11、Vrm12、Vrh1が入力される。さらに、セレクタSLa2には、基準電圧Vref2も入力される。
セレクタSLa2は、コントローラCTR2から出力される選択制御信号sca2に基づいて、入力された電圧信号のいずれか一つを選択する。
【0082】
セレクタSLb2には、セレクタSLb1と同様に、基準電圧Vref1が入力される。さらに、セレクタSLb2には、温度センサモジュールTHS1から出力された基準電圧Vrl1、Vrh1も入力される。
セレクタSLb2は、コントローラCTR2から出力される選択制御信号scb2に基づいて、入力された電圧信号のいずれか一つを選択する。
【0083】
A/DコンバータADC2には、セレクタSLa2を介して、絶対温度比例電圧Vptat2及び基準電圧Vref2、Vrl2、Vrm21、Vrm22、Vrh2のいずれか一つのアナログ電圧信号が入力される。
また、A/DコンバータADC2には、セレクタSLb2を介して、基準電圧Vref2、Vrl1、Vrh1のいずれか一つのアナログ電圧信号が入力される。
【0084】
A/DコンバータADC2は、セレクタSLb2を介して入力された基準電圧Vref2を基準信号として、セレクタSLa2を介して入力された絶対温度比例電圧Vptat2及び基準電圧Vrl2、Vrm21、Vrm22、Vrh2をデジタル電圧信号Vd1に変換する。すなわち、デジタル電圧信号Vd2は、絶対温度比例電圧Vptat2及び基準電圧Vrl2、Vrm21、Vrm22、Vrh2がA/D変換されたデジタル信号を含む。
【0085】
他方、A/DコンバータADC2は、セレクタSLa2を介して入力された基準電圧Vref2を基準信号として、セレクタSLb2を介して入力された基準電圧Vrl1、Vrh1もデジタル電圧信号Vd1に変換する。すなわち、デジタル電圧信号Vd2は、基準電圧Vrl1、Vrh1がA/D変換されたデジタル信号も含む。
A/DコンバータADC2から出力されたデジタル電圧信号Vd2は、コントローラCTR2のヒューズビットFB2に記憶される。
【0086】
コントローラCTR2は、温度センサモジュールTHS2を制御する。具体的には、図11に示すように、コントローラCTR2は、セレクタSLa2、SLb2に対して、それぞれ選択制御信号sca2、scb2を出力する。また、コントローラCTR2は、A/DコンバータADC2から出力されたデジタル電圧信号Vd2を記憶するヒューズビットFB2を備えている。
【0087】
ここで、温度センサモジュールTHS1の温度特性は、第1の実施形態に記載された温度特性検査方法によって検査されている。
図11に示すように、本実施形態に係る半導体装置200では、温度特性検査済みの温度センサモジュールTHS1が、基準電圧Vrl1、Vrh1を出力する。基準電圧Vrl1、Vrh1は、温度センサモジュールTHS2に入力される。温度センサモジュールTHS2は、基準電圧Vrl1、Vrh1に基づいて、バンドギャップリファレンス回路BGR2の温度特性を検査できる。
以下に、バンドギャップリファレンス回路BGR2の温度特性検査方法について説明する。
【0088】
<温度特性検査方法>
次に、図12を参照して、バンドギャップリファレンス回路BGR2の温度特性検査方法について説明する。図12は、温度センサモジュールTHS1、THS2の回路構成の一例を示す回路図である。図12には、図11に示した信号のうち、バンドギャップリファレンス回路BGR2の温度特性を検査する際に用いる信号のみが示されている。
【0089】
まず、図12に示すように、温度特性検査済みの温度センサモジュールTHS1から出力された基準電圧Vrl1、Vrh1が、温度センサモジュールTHS2に入力される。温度センサモジュールTHS2において、基準電圧Vrl1、Vrh1は、セレクタSLb2を介して、A/DコンバータADC2に入力される。
【0090】
基準電圧Vrl1、Vrh1は、A/DコンバータADC2において、セレクタSLa2を介して入力された基準電圧Vref2を基準信号として、デジタル電圧信号Vd2に変換される。デジタル電圧信号Vd2は、ヒューズビットFB2に記憶される。
ここで、基準電圧Vref2を基準信号としてA/D変換された基準電圧Vrl1、Vrh1のデジタル電圧信号をD_ref2_rl1、D_ref2_rh1とする(不図示)。
【0091】
なお、基準電圧Vrl1、Vrh1は、温度センサモジュールTHS1のA/DコンバータADC1において、セレクタSLb1を介して入力された基準電圧Vref1を基準信号として、デジタル電圧信号Vd1に変換される。デジタル電圧信号Vd1は、ヒューズビットFB1に記憶される。
ここで、基準電圧Vref1を基準信号としてA/D変換された基準電圧Vrl1、Vrh1のデジタル電圧信号をD_ref1_rl1、D_ref1_rh1とする(不図示)。
【0092】
ここで、図6に示すように、基準電圧Vref1と基準電圧の中央値Vref_mとの差をΔVref1とし、同様に、基準電圧Vref2と基準電圧の中央値Vref_mとの差ΔVref2とする。
【0093】
基準電圧Vref2を基準とした基準電圧Vrl1のデジタル電圧信号D_ref2_rl1と基準電圧Vref1を基準とした基準電圧Vrl1のデジタル電圧信号D_ref1_rl1との差は、基準電圧Vrl1が共通である。そのため、以下の式(1)が成立する。
D_ref2_rl1-D_ref1_rl1=D_Δref2-D_Δref1
・・・(1)
【0094】
式(1)において、D_Δref2はΔVref2のデジタル値、D_Δref1はΔVref1のデジタル値である。すなわち、式(1)の右辺は、ΔVref2-ΔVref1のデジタル値である。
従って、以下の式(2)が成立する。
ΔVref2-ΔVref1≒D_ref2_rl1-D_ref1_rl1
・・・(2)
ΔVref1は既知であるため、式(2)を変形すれば、ΔVref2が得られる。
ΔVref2≒D_ref2_rl1-D_ref1_rl1+ΔVref1
【0095】
ここで、バンドギャップリファレンス回路BGR2が出力する絶対温度比例電圧Vptat2と絶対温度比例電圧の中央値Vptat_mとの差をΔVptat2とする。
第1の実施形態において説明したように、ΔVptat2/ΔVref2=一定の関係から、バンドギャップリファレンス回路BGR2の温度特性を示す固有値であるΔVptat2が得られる。
このように、温度特性検査済みの温度センサモジュールTHS1から出力された基準電圧Vrl1を用いて、バンドギャップリファレンス回路BGR2の温度特性を検査できる。
【0096】
同様に、基準電圧Vref2を基準とした基準電圧Vrh1のデジタル電圧信号D_ref2_rh1と基準電圧Vref1を基準とした基準電圧Vrh1のデジタル電圧信号D_ref1_rh1との差は、基準電圧Vrh1が共通である。そのため、以下の式(3)が成立する。
D_ref2_rh1-D_ref1_rh1=D_Δref2-D_Δref1
・・・(3)
【0097】
上述の通り、式(3)の右辺は、ΔVref2-ΔVref1のデジタル値である。
従って、以下の式(4)が成立する。
ΔVref2-ΔVref1≒D_ref2_rh1-D_ref1_rh1
・・・(4)
ΔVref1は既知であるため、式(4)を変形すれば、ΔVref2が得られる。
ΔVref2≒D_ref2_rl1-D_ref1_rl1+ΔVref1
【0098】
従って、ΔVptat2/ΔVref2=一定の関係から、バンドギャップリファレンス回路BGR2の温度特性を示す固有値であるΔVptat2が得られる。
このように、温度特性検査済みの温度センサモジュールTHS1から出力された基準電圧Vrh1を用いても、バンドギャップリファレンス回路BGR2の温度特性を検査できる。
【0099】
なお、温度特性検査済みの温度センサモジュールTHS1から出力された基準電圧Vrl1、Vrh1のいずれか一方を用いて、ΔVptat2を求めてもよい。しかしながら、基準電圧Vrl1、Vrh1の両方から算出したΔVref2の平均値を用いて、ΔVptat2を求めるのが好ましい。
【0100】
ここで、図13は、温度センサモジュールTHS1、THS2の回路構成の一例を示す回路図である。図13は、温度特性検査済みのバンドギャップリファレンス回路BGR1、BGR2から出力された絶対温度比例電圧Vptat1、Vptat2がA/D変換される様子を示している。
【0101】
図13に示すように、温度特性検査済みのバンドギャップリファレンス回路BGR1から出力された絶対温度比例電圧Vptat1は、セレクタSLa1を介して、A/DコンバータADC1に入力される。絶対温度比例電圧Vptat1は、A/DコンバータADC1において、セレクタSLb1を介して入力された基準電圧Vref1を基準信号として、デジタル電圧信号Vd1に変換される。デジタル電圧信号Vd1は、ヒューズビットFB1に記憶される。
【0102】
同様に、温度特性検査済みのバンドギャップリファレンス回路BGR2から出力された絶対温度比例電圧Vptat2は、セレクタSLa2を介して、A/DコンバータADC2に入力される。絶対温度比例電圧Vptat2は、A/DコンバータADC2において、セレクタSLb2を介して入力された基準電圧Vref2を基準信号として、デジタル電圧信号Vd2に変換される。デジタル電圧信号Vd2は、ヒューズビットFB2に記憶される。
【0103】
<経年劣化判定方法>
次に、図14を参照して、温度特性検査済みの温度センサモジュールTHS1、THS2における経年劣化判定方法について説明する。図14は、温度センサモジュールTHS1、THS2の回路構成の一例を示す回路図である。図14には、図11に示した信号のうち、温度センサモジュールTHS1、THS2の経年劣化を判定する際に用いる信号のみが示されている。以下に説明する経年劣化判定動作は、例えば半導体装置200を起動する度に実行される。
【0104】
図14に示すように、温度センサモジュールTHS1では、基準電圧Vref1をラダー抵抗によって分圧した基準電圧Vrl1、Vrm11、Vrm12、Vrh1が、セレクタSLa1を介して、A/DコンバータADC1に入力される。基準電圧Vrl1、Vrm11、Vrm12、Vrh1は、A/DコンバータADC1において、セレクタSLb1を介して入力された基準電圧Vref1を基準信号として、デジタル電圧信号Vd1に変換される。デジタル電圧信号Vd1は、ヒューズビットFB1に記憶される。
【0105】
同様に、温度センサモジュールTHS2では、基準電圧Vref2をラダー抵抗によって分圧した基準電圧Vrl2、Vrm21、Vrm22、Vrh2が、セレクタSLa2を介して、A/DコンバータADC2に入力される。基準電圧Vrl2、Vrm21、Vrm22、Vrh2は、A/DコンバータADC2において、セレクタSLb2を介して入力された基準電圧Vref2を基準信号として、デジタル電圧信号Vd2に変換される。デジタル電圧信号Vd2は、ヒューズビットFB2に記憶される。
【0106】
ここで、図15図16は、温度センサモジュールTHS1における経年劣化を模式的に示すグラフである。
図15図16のそれぞれにおいて、並んで示された2つのグラフは、初期状態と経年劣化状態とを示している。いずれのグラフにおいても、横軸は温度(℃)、縦軸は電圧である。いずれのグラフにおいても、基準電圧Vrl1、Vrm11、Vrm12、Vrh1、Vref1が示されている。
【0107】
図15図16には、基準電圧Vrl1と基準電圧Vrm11との差ΔVrl、基準電圧Vrm11と基準電圧Vrm12との差ΔVrm、基準電圧Vrm12と基準電圧Vrh1との差ΔVrhが示されている。基準電圧差ΔVrl、ΔVrm、ΔVrhは、例えば、ヒューズビットFB1に記憶された基準電圧Vrl1、Vrm11、Vrm12、Vrh1のデジタル値を用いて、コントローラCTR1が算出する。もちろん、基準電圧差ΔVrl、ΔVrm、ΔVrhをヒューズビットFB1に記憶してもよい。
【0108】
図15図16に示すように、経年劣化によって、基準電圧差ΔVrl、ΔVrm、ΔVrhが変化する。図15では、経年劣化によって、基準電圧差ΔVrl、ΔVrm、ΔVrhが大きくなっている。他方、図16では、経年劣化によって、基準電圧差ΔVrl、ΔVrm、ΔVrhが小さくなっている。
【0109】
図15図16に示すように、経年劣化によって、基準電圧差ΔVrl、ΔVrm、ΔVrhが大きくも小さくもなり得る。そのため、例えば、基準電圧差ΔVrl、ΔVrm、ΔVrhの初期値からの変化量が所定の閾値を超えた場合、コントローラCTR1が経年劣化状態であると判定する。
【0110】
以上に説明したように、本実施形態に係る半導体装置200では、基準電圧Vrl1、Vrm11、Vrm12、Vrh1の差ΔVrl、ΔVrm、ΔVrhの変化量に基づいて、経年劣化を判定できる。
温度センサモジュールTHS2~THS4についても同様に、経年劣化を判定できる。
【0111】
特許文献2では、温度センサモジュールの近傍に経年劣化判定用の温度センサモジュールを別途設ける必要があったが、本実施形態に係る半導体装置200では、その必要はない。
【0112】
また、同じ電源領域PD1に形成された温度センサモジュールTHS1、THS2の経年劣化速度は同様である。それに対し、異なる電源領域PD2、PD3に形成された温度センサモジュールTHS3、THS4は、電源電圧や電圧印加時間が異なるため、経年劣化速度が異なる。
【0113】
このような場合、特許文献2では、電源領域PD1、PD2、PD3毎に、経年劣化判定用の温度センサモジュールを設ける必要があった。
それに対し、本実施形態に係る半導体装置200では、各温度センサモジュールTHS1~THS4自身が、経年劣化を判定できる。そのため、異なる電源領域PD2、PD3に形成された温度センサモジュールTHS3、THS4も、自身で適切に経年劣化を判定できる。
【0114】
なお、基準電圧差ΔVrl、ΔVrm、ΔVrhのいずれかを用いて、経年劣化を判定してもよい。また、例えば基準電圧Vrl1、Vrh1の差を用いて、経年劣化を判定してもよい。
【0115】
上述したプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、RAM(Random-Access Memory)、ROM(Read-Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid-State Drive)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、又はその他の形式の伝搬信号を含む。
【0116】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0117】
100、200 半導体装置
AMP アンプ
BGR2~BGR4 バンドギャップリファレンス回路
BT1、BT2 バイポーラトランジスタ
CTR1、CTR2 コントローラ
FB1、FB2 ヒューズビット
PD1、PD2、PD3 電源領域
PIC1、PIC2 電源分離セル
R1~R4 抵抗
SLa1、SLb1、SLa2、SLb2 セレクタ
T1、T2 外部端子
THS1~THS4 温度センサモジュール
図1
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図16