(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042764
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】電気接続ユニット
(51)【国際特許分類】
H01R 4/01 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
H01R4/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147552
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】北岡 賢一
(72)【発明者】
【氏名】林 昭宏
(72)【発明者】
【氏名】橋本 大輔
(72)【発明者】
【氏名】舘 健太郎
【テーマコード(参考)】
5E085
【Fターム(参考)】
5E085BB14
5E085BB24
5E085CC06
5E085DD09
5E085EE23
5E085EE25
5E085JJ03
(57)【要約】
【課題】接続部材と相手側接続部材との高い接続信頼性を得つつ、接続作業を容易に行えるようにすることを目的とする。
【解決手段】電気接続ユニット30は、相手側接続部材18と接続される電気接続ユニットであって、相手側接続部材に接触可能な接続部材42と、相手側接続部材と接続部材との間の接触圧を付与する付勢部材60とを備え、付勢部材は、温度上昇により、接触圧を高めるように形態記憶されている形状記憶合金によって構成されている。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側接続部材と接続される電気接続ユニットであって、
前記相手側接続部材に接触可能な接続部材と、
前記相手側接続部材と前記接続部材との間の接触圧を付与する付勢部材と、
を備え、
前記付勢部材は、温度上昇により、前記接触圧を高めるように形態記憶されている形状記憶合金によって構成されている、電気接続ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の電気接続ユニットであって、
前記相手側接続部材の接続状態で、前記付勢部材が前記接続部材に接している、電気接続ユニット。
【請求項3】
請求項2に記載の電気接続ユニットであって、
前記相手側接続部材と前記接続部材との接触箇所とは反対側から、前記付勢部材が前記接続部材に接している、電気接続ユニット。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電気接続ユニットであって、
前記付勢部材は、摂氏25度±15度の温度範囲から摂氏50度以上への温度上昇により、前記接触圧を高めるように形態記憶されている、電気接続ユニット。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電気接続ユニットであって、
前記接続部材は、前記相手側接続部材に接触する第1接触部と、前記第1接触部とは反対側から前記相手側接続部材に接触する第2接触部と、前記第1接触部と前記第2接触部との間で前記相手側接続部材を挟込む弾性力を生じさせるバネ部とを含む、電気接続ユニット。
【請求項6】
請求項5に記載の電気接続ユニットであって、
前記付勢部材は、前記第1接触部と前記相手側接続部材との第1接触箇所とは反対側から前記第1接触部に接する第1付勢接触部と、前記第2接触部と前記相手側接続部材との第2接触箇所とは反対側から前記第2接触部に接する第2付勢接触部と、前記第1付勢接触部と前記第2付勢接触部とを互いに近づく方向に付勢する弾性力を生じさせる中間バネ部を含む、電気接続ユニット。
【請求項7】
請求項6に記載の電気接続ユニットであって、
前記中間バネ部は、前記接続部材に接する付加接触部を含む、電気接続ユニット。
【請求項8】
請求項7に記載の電気接続ユニットであって、
前記第1接触部及び前記第2接触部が位置決め凸部を有し、
前記中間バネ部が、前記位置決め凸部が挿入される位置決め凹部を有し、
前記位置決め凸部が前記位置決め凹部に嵌め込まれた状態で、前記中間バネ部に接触する、電気接続ユニット。
【請求項9】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電気接続ユニットであって、
前記付勢部材は、Ni-Ti合金又はNi-Ti-Cu合金である、電気接続ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気接続ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、メスピンと、形状記憶スプリングとを備えるゼロインサーションフォースコネクタを開示している。特許文献1では、形状記憶スプリングが通電加熱されると、当該形状記憶スプリングの形状回復力によってメスピンが開いた状態となる。これにより、オスピンをメスピンに挿入する際の装着力をゼロにできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電気的な接続箇所において、耐振動性及び接点発熱抑制のために、接触箇所の接触圧を高めることが要請されることが考えられる。しかしながら、接触圧を高めると、接続のために要する力が大きくなり、接続作業性が悪くなる可能性がある。特許文献1に開示の技術では、オスピンの挿入作業時に形状記憶スプリングを通電によって加熱する必要があり、接続作業が面倒である。
【0005】
そこで、本開示は、接続部材と相手側接続部材との高い接続信頼性を得つつ、接続作業を容易に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の電気接続ユニットは、相手側接続部材と接続される電気接続ユニットであって、前記相手側接続部材に接触可能な接続部材と、前記相手側接続部材と前記接続部材との間の接触圧を付与する付勢部材と、を備え、前記付勢部材は、温度上昇により、前記接触圧を高めるように形態記憶されている形状記憶合金によって構成されている、電気接続ユニットである。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、接続部材と相手側接続部材との高い接続信頼性を得つつ、接続作業を容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は実施形態に係る機電一体化ユニットを示す概略図である。
【
図2】
図2は電気接続ユニットを示す斜視図である。
【
図3】
図3は外側接続端及び付勢部材を示す斜視図である。
【
図4】
図4は外側接続端及び付勢部材を示す側面図である。
【
図5】
図5は外側接続端及び付勢部材を示す一部切欠斜視断面図である。
【
図6】
図6はバスバを電気接続ユニットに接続する作業例を示す説明図である。
【
図7】
図6は使用状態における電気接続ユニットの動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の電気接続ユニットは、次の通りである。
【0011】
(1)相手側接続部材と接続される電気接続ユニットであって、前記相手側接続部材に接触可能な接続部材と、前記相手側接続部材と前記接続部材との間の接触圧を付与する付勢部材と、を備え、前記付勢部材は、温度上昇により、前記接触圧を高めるように形態記憶されている形状記憶合金によって構成されている、電気接続ユニットである。
【0012】
本開示によると、温度上昇前の状態で相手側接続部材と電気接続ユニットとの接続作業を行うことで、当該接続作業を容易に行える。また、接続後の温度上昇により、接続部材と相手側接続部材との接触圧が高まるため、高い接続信頼性を得ることができる。
【0013】
(2)(1)の電気接続ユニットであって、前記相手側接続部材の接続状態で、前記付勢部材が前記接続部材に接していてもよい。
【0014】
この場合、ジュール熱によって接続部材の温度が上昇すると、熱が付勢部材に容易に伝わる。これにより、付勢部材の温度が上昇し、接触圧が高められる。
【0015】
(3)(2)の電気接続ユニットであって、前記相手側接続部材と前記接続部材との接触箇所とは反対側から、前記付勢部材が前記接続部材に接していてもよい。
【0016】
ジュール熱は、相手側接続部材と接続部材との接触箇所で生じ易いことが考えられる。この接触箇所で生じた熱が付勢部材に効果的に伝わり、付勢部材の温度が上昇し易い。
【0017】
(4)(1)から(3)のいずれか1つの態様に係る電気接続ユニットであって、前記付勢部材は、摂氏25度±15度の温度範囲から摂氏50度以上への温度上昇により、前記接触圧を高めるように形態記憶されていてもよい。
【0018】
この場合、摂氏25度±15度の温度範囲で相手側接続部材と電気接続ユニットとの接続作業を行うことで、当該接続作業を容易に行える。ジュール熱等によって付勢部材が摂氏50度に温度上昇すると、接続部材と相手側接続部材との接触圧が高まるため、高い接続信頼性を得ることができる。
【0019】
(5)(1)から(4)のいずれか1つの態様に係る電気接続ユニットであって、前記接続部材は、前記相手側接続部材に接触する第1接触部と、前記第1接触部とは反対側から前記相手側接続部材に接触する第2接触部と、前記第1接触部と前記第2接触部との間で前記相手側接続部材を挟込む弾性力を生じさせるバネ部とを含んでもよい。
【0020】
この場合、温度上昇前の状態においても、接続部材のバネ部によって、相手側接続部材と接続部材とを安定して接続した状態に維持することができる。
【0021】
(6)(5)の電気接続ユニットであって、前記付勢部材は、前記第1接触部と前記相手側接続部材との第1接触箇所とは反対側から前記第1接触部に接する第1付勢接触部と、前記第2接触部と前記相手側接続部材との第2接触箇所とは反対側から前記第2接触部に接する第2付勢接触部と、前記第1付勢接触部と前記第2付勢接触部とを互いに近づく方向に付勢する弾性力を生じさせる中間バネ部を含んでもよい。
【0022】
ジュール熱は、第1接触箇所及び第2接触箇所で生じ易いことが考えられる。これらの接触箇所で生じた熱が付勢部材に効果的に伝わり、付勢部材が温度上昇し易くなる。また、加熱された付勢部材は、第1付勢接触部及び第2付勢接触部によって第1接触部及び第2接触部を効果的に相手側接続部材に向けて押すことができる。
【0023】
(7)(6)の電気接続ユニットであって、前記中間バネ部は、前記接続部材に接する付加接触部を含んでもよい。
【0024】
これにより、付加接触部によって接続部材の熱が付勢部材に伝わり易くなり、当該付勢部材が効果的に温度上昇する。第1付勢接触部、第2付勢接触部及び付加接触部を介して中間バネ部に効果的に熱が伝わり、当該中間バネ部が効果的に温度上昇する。
【0025】
(8)(7)の電気接続ユニットであって、前記第1接触部及び前記第2接触部が位置決め凸部を有し、前記中間バネ部が、前記位置決め凸部が挿入される位置決め凹部を有し、前記位置決め凸部が前記位置決め凹部に嵌め込まれた状態で、前記中間バネ部に接触してもよい。
【0026】
これにより、付勢部材の位置決め構造によって、接続部材の熱が付勢部材に伝わり易くなる。
【0027】
(9)(1)から(8)のいずれか1つの態様に係る電気接続ユニットであって、前記付勢部材は、Ni-Ti合金又はNi-Ti-Cu合金であってもよい。
【0028】
これにより、温度上昇によって、形状記憶により元の形状に戻すことができると共に、弾性係数を大きくして接続部材と相手側接続部材との接触圧を高めることができる。
【0029】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の電気接続ユニットの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0030】
[実施形態]
以下、実施形態に係る電気接続ユニットについて説明する。電気接続ユニットは、相手側接続部材と接続されるユニットである。本実施形態では、電気接続ユニットは、回転電機に組込まれており、当該回転電機におけるコイル線を、電気機器に接続する。電気機器は、例えば、回転電機を駆動制御するインバータである。かかる電気接続ユニットは、端子台ユニットと称されてもよい。
【0031】
<電気接続ユニットを備える機電一体化ユニットの全体構成について>
説明の便宜上、回転電機及びインバータを一体化した機電一体化ユニットの全体構成について説明する。
図1は機電一体化ユニット10を示す概略図である。機電一体化ユニット10は、回転電機20と、インバータ12とを備える。
【0032】
回転電機20は、ケース22、電機子24及び界磁を備える回転電機である。
図1では、筒状のケース22内に、ステータとしての電機子24が固定されている例が示される。界磁は、ロータとして電機子24内に配置されている。電機子24が発生させる磁界によって界磁が回転し、又は、界磁の回転によって電機子24が起電力を発生させる。本実施形態では、回転電機20が3相交流モータとして使用可能な回転電機であることが想定されている。回転電機は、モータとしての動作に加えて又は代えて発電機として動作可能であってもよい。回転電機20は、車両を走行させるための走行用電気モータとして用いられてもよい。
【0033】
電機子24は、ステータコアと、複数のコイル線26(
図2参照)とを備える。ステータコアは、複数のティースを含み、複数のティースは、回転軸を囲むように設けられている。各コイル線26は、1つ又は複数のティースに巻回されている。複数のコイル線26の複数の端部のうちの少なくとも一部は、複数のティースの間から電機子24の軸方向一端側に引出され、上記インバータ12に電気的に接続される接続端である。
【0034】
インバータ12は、インバータ回路を有する機器である。インバータ12は、回転電機20に一体化されることが想定される。例えば、インバータ12は、回転電機20のケース22に対してボルト固定等によって一体化される。
【0035】
インバータ12は、インバータ回路の出力端に接続されたバスバ18を備える。バスバ18は、銅、銅合金等の金属板材によって形成された細長板状部材である。本実施形態では、インバータ12から3相に対応する3つのバスバ18が間隔をあけて並列状態で回転電機20に向って延びている。バスバ18の先端部は、先端側に向って徐々に薄くなるように形成されていてもよい(
図3から
図5参照)。
【0036】
電気接続ユニット30は、例えば、回転電機20を構成する一部品として当該回転電機20に組込まれる。電気接続ユニット30は、接続複合部品40を備える。接続複合部品40の一端部がコイル線26の端部に接続され、他端部がインバータ12のバスバ18の端部に接続可能な位置に支持される。
【0037】
電気接続ユニット30が組込まれた回転電機20に、インバータ12を一体化させようとすると、バスバ18が接続複合部品40の他端部に接続可能な位置に配置される。これにより、バスバ18が対応する接続複合部品40に接続される。バスバ18は、接続複合部品40の接続対象となる相手側接続部材の一例である。
【0038】
電気接続ユニット30についてより具体的に説明する。
図2は電気接続ユニット30を示す斜視図である。
図1及び
図2に示すように、電気接続ユニット30は、接続複合部品40を備える。本実施形態では、電気接続ユニット30は、3相のそれぞれに対応して3つの接続複合部品40を備える。
【0039】
接続複合部品40は、バスバ18が接続される部品である。接続複合部品40は、接続部材42と、付勢部材60とを備える。接続部材42は、バスバ18と接触し、主たる電流経路となる部材である。付勢部材60は、接続部材42とバスバ18との間の接触圧を付与する部材である。
【0040】
より具体的には、接続部材42は、内側接続端44と、外側接続端50と、内側接続端44と外側接続端50との間に介在する中間導体部46とが一体化された構成とされている。本実施形態では、1枚の金属板材がプレス加工されることによって、内側接続端44と外側接続端50と中間導体部46とが一体化された接続部材42が構成される。接続部材42は、電流経路となる部分であるため、付勢部材60よりも導電性に優れた金属によって形成されることが好ましい。接続部材42は、例えば、銅又は銅合金によって形成される。
【0041】
内側接続端44は、コイル線26の端部に接続される。例えば、コイル線26が平角導体によって構成されており、扁平なコイル線26の端部が内側接続端44に重ね合わせて配置される。この状態で、コイル線26の端部と内側接続端44とがネジ及びナットによって締結固定される。または、コイル線26の端部に端子が圧着又は溶接によって接続される。当該端子が内側接続端44に重ね合わされて、ネジ及びナットによって締結固定される。
【0042】
内側接続端44とコイル線26との接続構成は、特に限定されず、溶接、圧入接続、かしめ接続等であってもよい。接続複合部品40に対して複数のコイル線26の端部が接続されてもよい。
【0043】
中間導体部46は、長尺形状に形成されている。中間導体部46は、直線状であってもよいし、途中で曲っていてもよい。中間導体部46の一端部に内側接続端44が設けられ、他端部に外側接続端50が設けられる。
【0044】
電気接続ユニット30は、支持ベース32を備える。支持ベース32は、複数の接続複合部品40を相互に絶縁した状態で一定の位置で保持する。本実施形態では、支持ベース32は、方形板状に形成されている。例えば、中間導体部46をインサート部品として金型成形することによって支持ベース32が形成される。支持ベース32は、接続複合部品40の一部を内部で支持するように、複数の部品が組合わされた構成であってもよい。内側接続端44は、中間導体部46の一端部から延びて支持ベース32のうち電機子24側の面から突出している。これにより、内側接続端44が、コイル線26の端部と接続可能な位置に配置される。外側接続端50は、支持ベース32から外方に露出している。本実施形態では、支持ベース32のうち電機子24とは反対側の外向き面から電機子24の径方向外側に突出している。
【0045】
支持ベース32は、ネジ止又は嵌込構造等によって、回転電機20のケース22に固定される。これにより、電気接続ユニット30が回転電機20内において一定位置に保持される。
【0046】
なお、接続部材42において、内側接続端44をその接続先部品に接続するための構成は任意である。また、接続部材42を保持するための構成も任意である。
【0047】
外側接続端50は、支持ベース32から回転電機20の外側に向けて突出しており、バスバ18と接続される。本実施形態では、外側接続端50は、バスバ18を挟持するように構成される。付勢部材60が、外側接続端50がバスバ18を挟持する際の接触圧を大きくする。
【0048】
<外側接続端について>
接続部材42のうちの外側接続端50、及び、付勢部材60についてより具体的に説明する。
図3は外側接続端50及び付勢部材60を示す斜視図である。
図4は外側接続端50及び付勢部材60を示す側面図である。
図5は外側接続端50及び付勢部材60を示す一部切欠斜視断面図である。
図3から
図5においてバスバ18が部分的に示されている。
【0049】
外側接続端50は、第1挟持部53Aと第2挟持部53Bとを有する。第1挟持部53Aと第2挟持部53Bとは、中間導体部46の厚み方向において対向している。第1挟持部53Aと第2挟持部53Bとの間にバスバ18の端部が配置される。
【0050】
第1挟持部53Aは、金属板のプレス加工によって形成された部分であり、第1基部54Aと、第1バネ部55Aと、第1接触部56Aとを有する。
【0051】
第1基部54Aは、中間導体部46の他端の縁から中間導体部46の厚み方向一方側に向けて曲っている方形板状部分と、当該方形板状部分の先端縁から中間導体部46から遠ざかる方向に向けて当該中間導体部46と平行な姿勢で延出している方形板状分とを含む。外側接続端50を側面視すると、第1基部54Aは、L字状に曲る板状部分である。
【0052】
第1バネ部55Aは、第1基部54Aの先端から第2挟持部53B側でかつ中間導体部46に向ってU字状に曲げ返された部分である。本実施形態では、第1挟持部53Aは、複数(ここでは2つ)の第1バネ部55Aを含む。2つの第1バネ部55Aが、相互間で隙間を隔てた状態で、曲げ返されている。つまり、2つの第1バネ部55Aの間にスリットSが存在しており、各第1バネ部55Aは互いに干渉せずに弾性変形することができる。スリットSは、第1基部54A側に入り込むように延びていてもよい。スリットSは省略されてもよい。
【0053】
第1接触部56Aは、バスバ18に接触する部分である。ここでは、第1接触部56Aは、第1バネ部55Aの先端から中間導体部46に向うように延びている。ここでは、複数(2つ)の第1接触部56Aが第1バネ部55Aのそれぞれから延び出ている。第1接触部56Aは、基端側から先端側に向う中間部で最も第2挟持部53Bに近づくように曲っている。より具体的には、第1接触部56Aの長手方向中間部が鈍角をなして曲っており、その曲げ箇所が第2挟持部53B側に向って凸をなしている。
【0054】
第1接触部56Aは、挟持対象となるバスバ18に向けて部分的に突出する部分突部57Aを有する。部分突部57Aは、挟持対象となるバスバ18側から見て突部であればよい。例えば、部分突部57Aは、金属板をプレス加工等することによって形成されている。このため、部分突部57Aは、挟持対象となるバスバ18側から見ると突部であるが、反対側から見ると凹部であってもよい。
【0055】
本実施形態では、第1接触部56Aのうち上記曲げ箇所の幅方向中央に部分突部57Aが形成されている。部分突部57Aは、例えば、第1接触部56Aの延在方向に沿って細長い部分球状に形成される。
【0056】
第1接触部56Aを第1基部54A側に近付けるように、上記第1バネ部55Aが弾性変形することができる。第1バネ部55Aが元の形状に戻ろうとする弾性力によって第1接触部56Aが第2挟持部53B側に付勢される。
【0057】
第1接触部56Aの先端に位置決め凸部58Aが延び出ている。位置決め凸部58Aは、第1接触部56Aよりも細幅に形成されている。
【0058】
第2挟持部53Bは、金属板のプレス加工によって形成された部分であり、第2基部54Bと、第2バネ部55Bと、第2接触部56Bとを有する。
【0059】
ここで、中間導体部46は、2つの板状部分46aが重ね合わされた構成とされている。例えば、2つの板状部分46aが曲げ返し部分46bを介して重ね合わされるように曲げられている(
図3参照)。2つの板状部分46aは、曲げ返し部分46bを介して重ね合せ状態に保たれる。一方の板状部分46aに上記第1挟持部53Aが形成され、他方の板状部分46aに第2挟持部53Bが形成されることによって、第1挟持部53Aと第2挟持部53Bとが1枚の金属板の曲げ加工によって形成されることができる。なお、第1挟持部53Aと第2挟持部53Bとが溶接、かしめ構造又はねじ止等によって接合されて一体化されてもよい。
【0060】
第2基部54Bと第2バネ部55Bと第2接触部56Bとは、第1基部54Aと第1バネ部55Aと第1接触部56Aとに対して、挟持対象となるバスバ18の厚み方向中央の仮想的な面を介して鏡像対称性を有する構成とされている。
【0061】
すなわち、第2基部54Bは、上記一方の板状部分46aの縁から上記第1基部54Aとは反対側に向けて曲っている方形板状部分と、当該方形板状部分から中間導体部46から遠ざかる方向に延出する板状部分とを含む。
【0062】
第2バネ部55Bは、第2基部54Bの先端から第2挟持部53B側でかつ中間導体部46に向ってU字状に曲げ返された部分である。第2接触部56Bは、第2バネ部55Bの先端から中間導体部46に向うように延びている。第1挟持部53Aが第1バネ部55A及び第1接触部56Aを複数組含むとの同様に、第2挟持部53Bは、第2バネ部55B及び第2接触部56Bを複数組含む。第2接触部56Bは、第1接触部56Aと対向する位置に配置されており、バスバ18の厚み方向において、第1接触部56Aとは反対側からバスバ18に接触できる。
【0063】
第2バネ部55B及び第2接触部56Bの曲げ形状は、第1バネ部55A及び第1接触部56Aの曲げ形状と同様である。第2接触部56Bは、第1接触部56Aと同様に、部分突部57B及び位置決め凸部58Bを有している。
【0064】
初期状態における第1接触部56Aと第2接触部56Bとの最小隙間は、バスバ18の厚みよりも小さい。バスバ18の挟持前の状態において、第1接触部56Aと第2接触部56Bとは接触していてもよいし、接触していなくてもよい。
【0065】
第1接触部56Aと第2接触部56Bとの間にバスバ18が挿入されると、第1接触部56Aと第2接触部56Bとの隙間を大きくするように、第1バネ部55A及び第2バネ部55Bが弾性変形する。第1接触部56Aと第2接触部56Bとの間にバスバ18が配置された状態で、第1バネ部55A及び第2バネ部55Bが元の形状に戻ろうとする弾性力によって、第1接触部56A及び第2接触部56Bが互いに接近方向に付勢され、第1接触部56A及び第2接触部56Bがバスバ18を挟持する。つまり、第1バネ部55A及び第2バネ部55Bは、第1接触部56A及び第2接触部56Bの間でバスバ18を挟込む弾性力を生じさせるバネ部として機能する。
【0066】
第1接触部56A及び第2接触部56Bの間でバスバ18を挟込む弾性力を生じさせるバネ部の構成例は上記例に限られない。例えば、バネ部は、第1接触部及び第2接触部のうちの一方のみを弾性変位可能に支持する構成であってもよい。また、外側接続端50がバネ部を有していることは必須ではない。
【0067】
付勢部材60は、接続部材42とバスバ18との間の接触圧を付与する部材である。
【0068】
本実施形態では、付勢部材60は、金属板をプレス加工等することによって形成された部材であり、第1付勢接触部62と、第2付勢接触部64と、中間バネ部66とを含む。
【0069】
中間バネ部66は、板状基部の両端から当該板状基部の一方主面側に鋭角に曲げられた一対の曲げ延長部分を含む。例えば、付勢部材を側面視した状態で、中間バネ部66は、2等辺三角形のうちの底辺及び底辺の両端の角を含む形状をなしている。
【0070】
第1付勢接触部62は、中間バネ部66の一端部から延出し、第2付勢接触部64は、中間バネ部66の他端部から延出している。第1付勢接触部62及び第2付勢接触部64は、中間バネ部66から遠ざかるに連れて互いに近づく方向に向っている。第1付勢接触部62及び第2付勢接触部64の先端部はループ状に外側に曲げ返されている。なお、複数(ここでは2つ)の第1接触部56AがスリットSを介して分れていることに対応して、複数(ここでは2つ)の第1付勢接触部62がスリットを介して分れている。同様に、複数(ここでは2つ)の第2接触部56BがスリットSを介して分れていることに対応して、複数(ここでは2つ)の第2付勢接触部64がスリットSを介して分れている。
【0071】
中間バネ部66を弾性変形させつつ、第1付勢接触部62と第2付勢接触部64とを開くことができる。中間バネ部66が元に戻ろうとする弾性力によって、第1付勢接触部62と第2付勢接触部64とが接近方向に付勢され得る。
【0072】
中間バネ部66に、上記位置決め凸部58A、58Bを嵌め込み可能な位置決め凹部66Hが形成されている。ここでは、位置決め凹部66Hは、中間バネ部66を厚み方向に貫通する孔であり、複数(ここでは4つ)の位置決め凸部58A、58Bに対応して複数(ここでは4つ)の位置決め凹部66Hが形成されている。
【0073】
バスバ18の接続前の初期状態において、付勢部材60は、接続部材42に対して次のように装着されている。
【0074】
すなわち、第1基部54A及び第2基部54Bの間の空間において、付勢部材60が第1接触部56A及び第2接触部56Bの先端側から第1接触部56A及び第2接触部56Bに外嵌めされる。
【0075】
この際、第1付勢接触部62と第2付勢接触部64とのうちの最接近部分が、第1接触部56Aと第2接触部56Bとの外面の凹んでいる部分に配置される。第1接触部56Aと第2接触部56Bとの外面の凹んでいる部分は、第1接触部56Aと第2接触部56Bの内面(つまり、対向面)のうち最も凸になっている部分の反対側に位置する。第1接触部56Aと第2接触部56Bの内面(つまり、対向面)のうち最も凸になっている部分は、バスバ18に接触する部分である。よって、付勢部材60は、接続部材42の接触部56A、56Bとバスバ18との接触箇所とは反対側から、接触部56A、56Bに接することができる。なお、接触部56A、56Bとバスバ18との接触圧が作用する方向に沿って見て、付勢部材60と接触部56A、56Bとの接触領域の少なくとも一部が、接触部56A、56Bとバスバ18との接触領域の少なくとも一部に重なればよい。
【0076】
また、位置決め凸部58A、58Bが上記位置決め凹部66Hに嵌め込まれることができる。これにより、付勢部材60が第1接触部56A及び第2接触部56Bに対して横に位置ずれし難くなる。位置決め凸部58A、58Bが上記位置決め凹部66Hに嵌め込まれた状態で、位置決め凸部58A、58Bが中間バネ部66に接触してもよい。位置決め凸部58A、58Bが中間バネ部66に接触する部分66Pは、第1付勢接触部62並びに第2付勢接触部64と、第1接触部56A並びに第2接触部56Bとが接触する部分とは別の場所で、中間バネ部66が接続部材42に接する付加接触部66Pとして機能することができる。
【0077】
初期状態における第1付勢接触部62と第2付勢接触部64との最小隙間は、初期状態における第1接触部56Aと第2接触部56Bとの外面間の最小幅よりも小さいことが好ましい。これにより、バスバ18の接続前の初期状態において、中間バネ部66の弾性力によって、第1付勢接触部62と第2付勢接触部64との間に、第1接触部56Aと第2接触部56Bを挟持することができる。
【0078】
付勢部材60は、温度上昇により、接続部材42とバスバ18との間の接触圧を高めるように形態記憶されている形状記憶合金によって構成されている。
【0079】
接触圧が高まる前の温度は、例えば、バスバ18を接続部材42に接続する作業がなされる温度であり、例えば、常温に属する温度である。常温は、例えば、摂氏25度±15度である。以下、温度について言及がある場合、摂氏温度による温度である。
【0080】
接触圧が高まる温度は、バスバ18を接続部材42に接続する作業がなされる温度よりも高い温度である。接触圧が高まる温度は、例えば、常温を超える温度であってもよい。接触圧が高まる温度は、例えば、本電気接続ユニット30の使用環境温度に、ジュール熱等による加熱の影響が加味された温度であってもよい。接触圧が高まる温度は、例えば、50度以上の温度であってもよい。
【0081】
つまり、付勢部材60は、25度±15度の温度範囲から50度以上への温度上昇により、接触圧を高めるように形態記憶されていてもよい。
【0082】
形態記憶は、温度上昇により、形状変化して又は物性値が変化することで、前記接触圧を高めるように形態記憶されていればよい。
【0083】
例えば、付勢部材60は、接触圧が高まる前の温度における第1付勢接触部62と第2付勢接触部64との最小隙間よりも、接触圧が高まった後における当該最小隙間が小さくなるように形状記憶されていることが考えられる。つまり、温度上昇によって、第1付勢接触部62と第2付勢接触部64との最小隙間が小さくなる。
【0084】
また、例えば、付勢部材60は、温度上昇によって物性値の一例である弾性係数が大きくなって、バネ荷重を高めることができるように、形態記憶されていてもよい。
【0085】
形状記憶合金は、例えば、Ni-Ti合金又はNi-Ti-Cu合金であってもよい。Ni-Ti合金又はNi-Ti-Cu合金であれば、25度±15度の温度範囲から50度以上に温度変化することで、形状変化し、さらに、弾性係数を高めるように、形態記憶することができる。これにより、温度上昇によって、付勢接触部62、64が接触部56A、56Bを接近方向に付勢する力を高めることができる。
【0086】
なお、形状記憶合金は、Ni-Ti合金又はNi-Ti-Cu合金以外の合金であってもよい。
【0087】
<電気接続ユニットの動作について>
本電気接続ユニット30の動作について説明する。
【0088】
初期状態において接続部材42の外側接続端50に付勢部材60が装着されている。なお、温度上昇前(例えば、常温)であれば、付勢接触部62、64の隙間が比較的大きく開いていることが考えられる。このため、付勢部材60は外側接続端50に容易に装着され得る。
【0089】
図6に示すように、バスバ18が外側接続端50に接続される。すなわち、バスバ18が接触部56A、56Bの間に挿入される。すると、バスバ18が接触部56A、56Bのうち対向する部分、ここでは、部分突部57A、57Bに接する。接触部56A、56Bの間にバスバ18の厚みに応じた隙間が形成されるように、接触部56A、56Bが互いに離れる方向に押し広げられる。この際、接触部56A、56Bには、バネ部55A、55Bのバネ荷重による付勢力F1と、付勢部材60のバネ荷重による付勢力F2が作用している。よって、バスバ18の挿入作業時においては、接触部56B、56Bとバスバ18との間には、付勢力F1と付勢力F2との合力による接触圧が作用している。このため、接触部56B、56Bとバスバ18との間には、付勢力F1と付勢力F2との合力に比例する摩擦力が作用する。
【0090】
付勢力F2は、温度上昇後の付勢力F3よりは小さい。このため、バスバ18を接続するために要する力を小さくできる。また、接続作業時に接触圧を小さくすることによって、バスバ18及び接触部56A、56Bのめっき摩耗を抑制できる。これにより、接続複合部品40とバスバ18との接続状態において、酸化防止、耐食防止といっためっきの機能が発揮され、高い接続信頼性が得られる。
【0091】
なお、バスバ18の挿入作業が終った状態においても、常温であれば、接触部56B、56Bとバスバ18との間には、付勢力F1と付勢力F2との合力による接触圧が作用している。
【0092】
電気接続ユニット30が電気回路の中継接続箇所として用いられる場合、
図7に示すように、バスバ18及び接続部材42の一方に電源80が電気的に接続され、他方に負荷82が電気的に接続されていると考えることができる。このため、電流がバスバ18と接続部材42とに流れる。
【0093】
電流がバスバ18及び接続部材42に流れると、ジュール熱によってバスバ18及び接続部材42が温度上昇する。バスバ18と接続部材42との接触箇所ではジュール熱によって温度上昇し易いことも考えられる。バスバ18及び接続部材42の熱が付勢部材60に伝わり、付勢部材60も温度上昇する。これにより、付勢部材60は記憶された形状に変形し、又は、付勢部材60の弾性係数等の物性値が変えられ、付勢部材60によるバネ荷重が高くなる。すると、付勢部材60による付勢力F3が、上記付勢力F2よりも大きくなる。このため、バスバ18及び接続部材42との間の接触圧も大きくなる。これにより、振動条件下においても、バスバ18と接続部材42とが安定して接触した状態に保たれる。また、バスバ18とび接続部材42との電気抵抗が低下し、当該接触箇所において過大に発熱することが抑制される。
【0094】
例えば、本電気接続ユニット30が電源回路又は高圧が印加される回路に適用される場合には、ジュール熱による発熱が期待される。高圧とは、例えば、60V以上であり、より好ましくは、90V以上である。
【0095】
もっとも、本電気接続ユニット30は、信号回路又は低圧が印加される回路に適用されてもよい。
【0096】
接続部材42の温度上昇は、バスバ18及び接続部材42におけるジュール熱以外の熱によってもたらされてもよい。例えば、電気接続ユニット30周りの制御機器、駆動回路の熱、内燃機関の熱又はバッテリーの熱によって、接続部材42が温度上昇してもよい。
【0097】
<効果等>
以上のように構成された電気接続ユニット30によると、バスバ18に接触可能な接続部材42と、バスバ18と接続部材42との間の接触圧を付与する付勢部材60とを備えており、付勢部材60は、温度上昇により、接触圧を高めるように形態記憶されている形状記憶合金によって構成されている。
【0098】
このため、温度上昇前の状態でバスバ18と電気接続ユニット30との接続作業を行うことで、低い挿入力で、当該接続作業性を容易に行える。また、温度上昇後よりも、バスバ18と接続部材42との接触圧が小さいため、バスバ18と接続部材42とのめっき摩耗が抑制される。このため、バスバ18と接続部材42との接続状態で、めっきの機能が発揮され、バスバ18と接続部材42との接続信頼性が確保される。
【0099】
また、温度上昇後においては、接続部材42とバスバ18との接触圧が高まり、耐振動性が確保される。また、接続部材42とバスバ18との間での電気抵抗が低下し、それらの接触箇所における発熱が抑制される。これにより、温度上昇状態において高い接続信頼性が得られる。また、常温に戻ると、バスバ18と接続部材42との接触圧が相対的に低い状態に戻るため、接続部材42に対するバスバ18の挿脱を伴うメンテナンスが容易に実施され得る。
【0100】
例えば、耐振動性及び接点における発熱抑制のために、端子のバネ荷重を高くすることが想定される。この場合、接続のために要する力が大きくなり、接続作業性が悪化する可能性がある。接続作業性を高めるために、てこの原理を利用したレバーを組込んだり、ボルトの締付け力を利用したりする構成が考えられる。これらの場合、重量化、大型化及び複雑化する可能性がある。
【0101】
本電気接続ユニット30によると、重量化、大型化及び大型化を抑制しつつ、接続作業の容易化及び接続信頼性の向上が可能となる。なお、電気接続ユニット30において、上記レバー又はボルトを利用した接続構造が適用されてもよい。
【0102】
また、バスバ18と接続部材42との接続状態で、付勢部材60が接続部材42に接しているため、ジュール熱によって接続部材42が温度上昇すると、その熱が付勢部材60に容易に伝わる。これにより、電気接続ユニット30の使用状態において、接続部材42の温度が上昇し易くなり、接触圧が効果的に高められる。
【0103】
また、ジュール熱は、バスバ18と接続部材42との接触箇所で生じ易いと考えられる。そこで、バスバ18と接続部材42との接触箇所とは反対側から、付勢部材60が接続部材42に接していれば、当該接触箇所で生じた熱が付勢部材60に効果的に伝わる。これにより、電気接続ユニット30の使用状態において、接続部材42の温度がより上昇し易くなり、接触圧がより効果的に高められる。
【0104】
付勢部材60は、25度±15度の温度範囲から50度以上への温度上昇により、前記接触圧を高めるように形態記憶されていれば、25度±15度の温度範囲でバスバ18と電気接続ユニット30との接続作業を行うことで、当該接続作業性を容易に行える。ジュール熱等によって付勢部材60が50度に温度上昇すると、バスバ18と接続部材42との接触圧が高まるため、高い接続信頼性を得ることができる。
【0105】
また、付勢部材60がNi-Ti合金又はNi-Ti-Cu合金であれば、温度上昇時に、形状記憶により元の形状に戻すことができると共に、弾性係数を大きくして接続部材42とバスバ18との接触圧を高めることができる。
【0106】
また、接続部材42は、第1接触部56Aと、第2接触部56Bと、バネ部55A、55Bを含むため、温度上昇前の状態においても、接続部材42のバネ部55A、55Bによって、バスバ18と接続部材42とを安定して接続した状態に維持することができる。
【0107】
また、付勢部材60は、第1付勢接触部62と、第2付勢接触部64と、中間バネ部66とを含んでおり、第1付勢接触部62は、第1接触部56Aとバスバ18との第1接触箇所とは反対側から第1接触部56Aに接し、第2付勢接触部64は、第2接触部56Bとバスバ18との接触箇所とは反対側から第2接触部56Bに接する。ジュール熱は、第1接触箇所及び第2接触箇所で生じ易いことが想定されるため、それらの接触箇所で生じた熱が効果的に付勢部材60に伝わる。また、温度上昇した付勢部材60は、第1付勢接触部62及び第2付勢接触部64によって、第1接触部56A及び第2接触部56Bを効果的にバスバ18に向けて押すことができる。これにより、電気接続ユニット30の使用状態において、接触圧が効果的に高められ、接続信頼性が高められる。
【0108】
また、中間バネ部66が接続部材42に接する付加接触部66Pを含むため、当該付加接触部66Pによっても接続部材42の熱が付勢部材60に伝わり易くなる。これにより、第1付勢接触部62、第2付勢接触部64及び付加接触部を介して付勢部材60に熱が伝わり、中間バネ部66が効果的に温度上昇する。
【0109】
また、第1接触部56A及び第2接触部56Bが位置決め凸部58A、58Bを有し、中間バネ部66が、位置決め凸部58A、58Bが挿入される位置決め凹部66Hを有している。そして、位置決め凸部58A、58Bが位置決め凹部66Hに嵌め込まれた状態で、中間バネ部66に接触する。このため、位置決め構造を利用して、接続部材42の熱が付勢部材60に伝わり易くできる。
【0110】
[変形例]
本実施形態では、電気接続ユニット30が端子台ユニットである例が説明されたが、電気接続ユニット30に係る構成は、端子台ユニット以外の各種電気接続部に適用可能である。
【0111】
なお、上記実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【符号の説明】
【0112】
10 機電一体化ユニット
12 インバータ
18 バスバ(相手側接続部材)
20 回転電機
22 ケース
24 電機子
26 コイル線
30 電気接続ユニット
32 支持ベース
40 接続複合部品
42 接続部材
44 内側接続端
46 中間導体部
46a 板状部分
46b 曲げ返し部分
50 外側接続端
53A 第1挟持部
53B 第2挟持部
54A 第1基部
54B 第2基部
55A 第1バネ部(バネ部)
55B 第2バネ部(バネ部)
56A 第1接触部
56B 第2接触部
57A、57B 部分突部
58A、58B 位置決め凸部
60 付勢部材
62 第1付勢接触部
64 第2付勢接触部
66 中間バネ部
66H 位置決め凹部
66P 付加接触部
80 電源
82 負荷
S スリット