(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042800
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】自動搬送車および自動搬送車の制御方法
(51)【国際特許分類】
G05D 1/43 20240101AFI20240322BHJP
【FI】
G05D1/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147658
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100130638
【弁理士】
【氏名又は名称】野末 貴弘
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西澤 均
(72)【発明者】
【氏名】北 晋也
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA01
5H301AA09
5H301BB05
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301EE06
5H301GG07
5H301HH01
(57)【要約】
【課題】自動搬送車のガイドセンサの配置位置に制約がある。
【解決手段】自動搬送車100は、複数の車輪1~3を有する車両本体10と、複数の車輪1~3のうちの少なくとも1つの車輪を回転駆動させることができる駆動部20と、床面に敷設されている磁気ガイド線を検出することができるガイドセンサ30と、ガイドセンサ30の検出結果に基づいて、駆動部20を制御することができる制御部40とを備える。ガイドセンサ30は、一方向に並んで配置された複数の磁気センサを有している。制御部40は、複数の磁気センサのうちの少なくとも1つが磁気ガイド線を検出した場合に、磁気ガイド線を検出した磁気センサが磁気ガイド線を検出していない磁気センサの多い方向へ向かって磁気ガイド線から離れるように、駆動部20を制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車輪を有する車両本体と、
複数の前記車輪のうちの少なくとも1つの前記車輪を回転駆動させることができる駆動部と、
床面に敷設されている磁気ガイド線を検出することができるガイドセンサと、
前記ガイドセンサの検出結果に基づいて、前記駆動部を制御することができる制御部と、
を備え、
前記ガイドセンサは、一方向に並んで配置された複数の磁気センサを有しており、
前記制御部は、複数の前記磁気センサのうちの少なくとも1つが前記磁気ガイド線を検出した場合に、前記磁気ガイド線を検出した前記磁気センサが前記磁気ガイド線を検出していない前記磁気センサの多い方向へ向かって前記磁気ガイド線から離れるように、前記駆動部を制御することを特徴とする自動搬送車。
【請求項2】
前記ガイドセンサは、前記自動搬送車の直進方向において、少なくとも一部が少なくとも1つの前記車輪と重なる位置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の自動搬送車。
【請求項3】
前記車両本体は、前記自動搬送車の直進方向に延伸する長尺部を有しており、
複数の前記車輪のうちの少なくとも1つは、前記長尺部に設けられており、
前記ガイドセンサは、前記長尺部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の自動搬送車。
【請求項4】
前記制御部は、前記自動搬送車の直進方向において前記ガイドセンサと少なくとも一部が重なる前記車輪が2本の前記磁気ガイド線の間に位置するように、前記駆動部を制御することができることを特徴とする請求項1に記載の自動搬送車。
【請求項5】
前記ガイドセンサは、2本の前記磁気ガイド線を同時に検出することができることを特徴とする請求項1に記載の自動搬送車。
【請求項6】
前記制御部は、前記磁気ガイド線を検出した前記磁気センサの数に応じて、前記駆動部の制御を変更することができることを特徴とする請求項1に記載の自動搬送車。
【請求項7】
前記制御部は、前記磁気ガイド線を検出した前記磁気センサの数が多いほど、前記車両本体を旋回させるときの旋回量が大きくなるように、前記駆動部を制御することができることを特徴とする請求項6に記載の自動搬送車。
【請求項8】
前記磁気センサは、ホール素子であることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の自動搬送車。
【請求項9】
複数の車輪を有する車両本体と、床面に敷設されている磁気ガイド線を検出することができるガイドセンサとを備えた自動搬送車の制御方法であって、
複数の前記車輪のうちの少なくとも1つの前記車輪が2本の前記磁気ガイド線の間に位置するように、前記自動搬送車の走行を制御することを特徴とする自動搬送車の制御方法。
【請求項10】
2本の前記磁気ガイド線はそれぞれ、一端側が外側に広がるように敷設されており、
2本の前記磁気ガイド線の前記一端側から、少なくとも1つの前記車輪が2本の前記磁気ガイド線の間に位置するように、前記自動搬送車の走行を制御することを特徴とする請求項9に記載の自動搬送車の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動走行によって搬送対象物を搬送する自動搬送車、および、自動搬送車の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
床面に敷設されている磁気ガイド線をガイドセンサによって検出し、検出した磁気ガイド線に沿って自動走行することによって、無人で搬送対象物を搬送可能な自動搬送車(AGV)が知られている。
【0003】
そのような自動搬送車の1つとして、特許文献1には、
図16に示すように、前進走行誘導用のガイドセンサ210a,210cと、後進走行誘導用のガイドセンサ210b,210dとを異なる位置に設けた自動搬送車200が開示されている。この自動搬送車200は、一対の前輪221と、一対の後輪222とを備えており、4つのガイドセンサ210a~210dは、車両の直進方向において、一対の前輪221および一対の後輪222と重ならない位置に設けられている。より具体的には、4つのガイドセンサ210a~210dは、自動搬送車200の直進方向と直交する幅方向の中央の位置に設けられている。
【0004】
自動搬送車200は、走行路に沿って設けられた磁気ガイド線230をガイドセンサ210a~210dによって検出し、磁気ガイド線230に沿って無人で自動走行可能に構成されている。具体的には、ガイドセンサ210a~210dの各々が16個のホール素子を備えており、16個のホール素子の検出信号に基づいて、自動搬送車200の車体中心線240(ガイドセンサ210a~210dの中心線)が磁気ガイド線230の中心線に合致するように、自動搬送車200の走行を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上述した自動搬送車200のように、ガイドセンサ210a~210dの中心線が磁気ガイド線230の中心線に合致するように制御する構成では、自動搬送車200の直進方向において、ガイドセンサ210a~210dを複数の車輪221,222のうちの少なくとも1つと重なる位置に配置すると、磁気ガイド線230が車輪に踏み続けられて劣化する。
【0007】
すなわち、特許文献1に記載の自動搬送車200は、ガイドセンサの配置位置に制約がある。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するものであり、ガイドセンサの配置位置の自由度が高い自動搬送車、および、自動搬送車の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の自動搬送車は、
複数の車輪を有する車両本体と、
複数の前記車輪のうちの少なくとも1つの前記車輪を回転駆動させることができる駆動部と、
床面に敷設されている磁気ガイド線を検出することができるガイドセンサと、
前記ガイドセンサの検出結果に基づいて、前記駆動部を制御することができる制御部と、
を備え、
前記ガイドセンサは、一方向に並んで配置された複数の磁気センサを有しており、
前記制御部は、複数の前記磁気センサのうちの少なくとも1つが前記磁気ガイド線を検出した場合に、前記磁気ガイド線を検出した前記磁気センサが前記磁気ガイド線を検出していない前記磁気センサの多い方向へ向かって前記磁気ガイド線から離れるように、前記駆動部を制御することを特徴とする。
【0010】
本発明の自動搬送車の制御方法は、複数の車輪を有する車両本体と、床面に敷設されている磁気ガイド線を検出することができるガイドセンサとを備えた自動搬送車の制御方法であって、
複数の前記車輪のうちの少なくとも1つの前記車輪が2本の前記磁気ガイド線の間に位置するように、前記自動搬送車の走行を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の自動搬送車によれば、制御部は、複数の磁気センサのうちの少なくとも1つが磁気ガイド線を検出した場合に、磁気ガイド線を検出した磁気センサが磁気ガイド線を検出していない磁気センサの多い方向へ向かって磁気ガイド線から離れるように、駆動部を制御する。したがって、自動搬送車の直進方向において、ガイドセンサが車輪と重なる位置に設けられている場合でも、ガイドセンサと重なる車輪が磁気ガイド線から離れるように制御することができるので、磁気ガイド線が車輪に踏み続けられることを抑制することができる。すなわち、自動搬送車の直進方向において、車輪と重なる位置にガイドセンサを設けることが可能となるので、ガイドセンサの配置位置の自由度が高い。
【0012】
本発明の自動搬送車の制御方法によれば、少なくとも1つの車輪が2本の磁気ガイド線の間に位置するように、自動搬送車の走行を制御するので、磁気ガイド線が車輪に踏み続けられることを抑制することができる。すなわち、自動搬送車の直進方向において、車輪と重なる位置にガイドセンサを設けることが可能となるので、ガイドセンサの配置位置の自由度が高い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】第1の実施形態における自動搬送車の構成を模式的に示す側面図である。
【
図2】第1の実施形態における自動搬送車を上方から見たときの構成を模式的に示す平面図である。
【
図3】床面に敷設されている磁気ガイド線と自動搬送車との位置関係の一例を示す平面図である。
【
図4】(a)は、第2の長尺部に設けられている車輪と、第2の長尺部の先端との間にガイドセンサが設けられている場合の自動搬送車の構成を模式的に示す平面図であり、(b)は、ガイドセンサが第2の長尺部に設けられている車輪に対して、第2の長尺部の先端とは反対側に設けられている場合の自動搬送車の構成を模式的に示す平面図である。
【
図5】ガイドセンサの詳細な構成を模式的に示す平面図である。
【
図6】磁気センサが第1の磁気ガイド線を検出した場合の制御方法を説明するための図であって、(a)は、最も左側に位置する第1の磁気センサが第1の磁気ガイド線を検出している状態を示す図、(b)は、自動搬送車を右方向に移動させて、第1の磁気センサが第1の磁気ガイド線を検出しなくなった状態を示す図である。
【
図7】(a)は、最も右側に位置する第5の磁気センサが第2の磁気ガイド線を検出している状態を示す図、(b)は、最も左側に位置する第1の磁気センサが第1の磁気ガイド線を再び検出した状態を示す図である。
【
図8】磁気センサが第2の磁気ガイド線を検出した場合の制御方法を説明するための図であって、(a)は、最も右側に位置する第5の磁気センサが第2の磁気ガイド線を検出している状態を示す図、(b)は、自動搬送車を左方向に移動させて、第5の磁気センサが第2の磁気ガイド線を検出しなくなった状態を示す図である。
【
図9】(a)は、最も左側に位置する第1の磁気センサが第1の磁気ガイド線を検出している状態を示す図、(b)は、最も右側に位置する第5の磁気センサが第2の磁気ガイド線を再び検出した状態を示す図である。
【
図10】制御部によって行われる制御の流れを示すフローチャートである。
【
図11】(a)は、第1の磁気センサおよび第2の磁気センサが第1の磁気ガイド線を検出した場合の旋回量を説明するための図であり、(b)は、第1の磁気センサのみが第1の磁気ガイド線を検出した場合の旋回量を説明するための図である。
【
図12】(a)は、2本の磁気ガイド線がそれぞれ、一端側が外側に広がるように敷設されている場合に、自動搬送車が傾いた状態で後進を開始するときの自動搬送車の制御を説明するための図であり、(b)は、2本の磁気ガイド線が平行に敷設されている場合に、自動搬送車が傾いた状態で後進を開始するときの自動搬送車の制御を説明するための図である。
【
図13】第2の実施形態における自動搬送車のガイドセンサの詳細な構成を模式的に示す平面図である。
【
図14】第2の実施形態における自動搬送車の制御を説明するための図であって、(a)は、第1の磁気センサのみが第1の磁気ガイド線を検出し、他の磁気センサは、2本の磁気ガイド線を検出していない状態を示し、(b)は、自動搬送車を右方向に移動させた状態を示し、(c)は、自動搬送車を再び直進させた状態を示す図である。
【
図15】第3の実施形態における自動搬送車のガイドセンサの詳細な構成を模式的に示す平面図である。
【
図16】特許文献1に記載の自動搬送車の構成を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態を示して、本発明の特徴を具体的に説明する。
【0015】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態における自動搬送車100の構成を模式的に示す側面図である。
図2は、第1の実施形態における自動搬送車100を上方から見たときの構成を模式的に示す平面図である。ただし、
図2、および、後述する
図3、
図10では、視認性の理由により、後述するアーム部12(12a,12b)を省略している。
【0016】
なお、
図1および
図2におけるX軸方向は、自動搬送車100の直進方向であり、Y軸方向は、自動搬送車100の幅方向であり、Z軸方向は、高さ方向である。X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のうちの任意の2方向は、互いに直交する方向である。なお、本明細書では、自動搬送車100の説明に際し、「上方」の文言を用いることがあるが、これは、水平な床面に、後述する複数の車輪1~3が接するように自動搬送車100が置かれた状態を基準としている。
【0017】
第1の実施形態における自動搬送車100は、複数の車輪1~3を有する車両本体10と、駆動部20と、ガイドセンサ30と、制御部40とを備える。
【0018】
図2に示すように、車両本体10は、3つの車輪1~3を有する。ただし、車輪の数が3つに限定されることはない。車両本体10に設けられた複数の車輪1~3には、駆動部20によって回転駆動される駆動輪と、駆動部20によって駆動されない従動輪とが含まれる。
図2に示す例では、車輪1と車輪2が従動輪であり、車輪3が駆動輪である。
【0019】
ただし、従動輪の数が2つに限定されることはないし、駆動輪の数が1つに限定されることはない。例えば、駆動輪は、自動搬送車100の幅方向に2つ並んで設けられていてもよい。その場合、2つの駆動輪の速度差を利用して、自動搬送車100の左右方向の向きを制御することが可能である。また、独立して回転可能な2つの駆動輪を設けるようにしてもよい。その場合、2つの駆動輪は、例えば、自動搬送車100の直進方向の重なる位置に設けることが可能である。
【0020】
本実施形態において、車両本体10は、自動搬送車100の直進方向に延伸する長尺部11と、自動搬送車100の直進方向に延伸し、搬送対象物を支持するアーム部12とを備えている。長尺部11には、第1の長尺部11aと第2の長尺部11bとが含まれる。アーム部12には、第1のアーム部12aと第2のアーム部12bとが含まれる。なお、
図1において、第1の長尺部11aは、第2の長尺部11bと重なる位置に設けられており、第1のアーム部12aは、第2のアーム部12bと重なる位置に設けられている。
【0021】
図2に示すように、第1の長尺部11aは、自動搬送車100の幅方向において、車両本体10の一端側に位置し、第2の長尺部11bは、他端側に位置する。第1の長尺部11aと第2の長尺部11bとの間は、空間となっている。
【0022】
本実施形態において、第1のアーム部12aは、鉛直方向において、少なくとも一部が第1の長尺部11aと重なる位置であって、第1の長尺部11aの上方に位置する。第2のアーム部12bは、鉛直方向において、少なくとも一部が第2の長尺部11bと重なる位置であって、第2の長尺部11bの上方に位置する。ただし、鉛直方向において、第1のアーム部12aは、第1の長尺部11aと全く重ならない位置に設けられていてもよいし、第2のアーム部12bは、第2の長尺部11bと全く重ならない位置に設けられていてもよい。第1のアーム部12aと第2のアーム部12bとの間は、空間となっている。
【0023】
複数の車輪1~3のうちの少なくとも1つは、長尺部11に設けられていてもよい。本実施形態における自動搬送車100では、
図2に示すように、車両本体10の中央部が空間となっており、従動輪である車輪1と車輪2が長尺部11に設けられている。具体的には、車輪1は、第1の長尺部11aに設けられており、車輪2は、第2の長尺部11bに設けられている。また、駆動輪である車輪3は、車両本体10のうち、長尺部11ではない位置に設けられている。
図2に示す構成例では、車輪3は、自動搬送車100の幅方向の中心線Laに対して、第1の長尺部11a側に設けられている。
【0024】
本実施形態において、車輪1および車輪2の幅は、長尺部11の幅よりも短く、かつ、ガイドセンサ30の幅よりも短い。なお、車輪1、車輪2、長尺部11およびガイドセンサ30の幅はそれぞれ、自動搬送車100の幅方向の寸法を意味する。
【0025】
本実施形態における自動搬送車100は、前進および後進が可能である。複数の車輪1~3のうち、車輪3側に進む場合が前進であり、車輪1、2側に進む場合が後進である。ただし、車輪3側に進む場合を後進とし、車輪1、2側に進む場合を前進と定義してもよい。
【0026】
駆動部20は、車両本体10に搭載され、複数の車輪1~3のうちの少なくとも1つの車輪を回転駆動させることができる。本実施形態では、上述したように、複数の車輪1~3のうち、車輪3が駆動輪であるため、駆動部20は、車輪3を回転駆動させることができる。車輪3の回転駆動制御には、車両本体10を前進、後進および旋回させるための制御が含まれる。
【0027】
ガイドセンサ30は、床面に敷設されている磁気ガイド線50を検出することができる。
図3は、床面に敷設されている磁気ガイド線50と、自動搬送車100との位置関係の一例を示す平面図である。ここでは、床面に、第1の磁気ガイド線50aおよび第2の磁気ガイド線50bの2本の磁気ガイド線50が平行に敷設されているものとして説明する。磁気ガイド線50は、例えば、磁気テープである。ただし、磁気ガイド線50の数は1本でもよいし、3本以上でもよい。
【0028】
ガイドセンサ30は、自動搬送車100の直進方向において、少なくとも一部が少なくとも1つの車輪と重なる位置に設けられていてもよい。本実施形態では、ガイドセンサ30は、長尺部11に設けられており、長尺部11に設けられている車輪2と、直進方向において少なくとも一部が重なる。より詳しくは、
図1および
図2に示すように、ガイドセンサ30は、直進方向における第2の長尺部11bの先端に設けられている。本実施形態では、自動搬送車100の幅方向において、第2の長尺部11bの寸法は、ガイドセンサ30の寸法と車輪2の幅の合計値よりも小さい。すなわち、自動搬送車100の直進方向において、ガイドセンサ30の一部は、車輪2と重なっている。
【0029】
ただし、ガイドセンサ30は、
図4(a)に示すように、第2の長尺部11bの先端と車輪2との間に設けられていてもよい。また、ガイドセンサ30は、
図4(b)に示すように、第2の長尺部11bのうち、車輪2よりも前進側、すなわち、車輪2に対して、第2の長尺部11bの先端とは反対側に設けられていてもよい。さらに、ガイドセンサ30は、第2の長尺部11bではなく、第1の長尺部11aに設けられていてもよい。
【0030】
図5に示すように、ガイドセンサ30は、一方向に並んで配置された複数の磁気センサ31を有している。磁気センサ31は、磁気ガイド線50を検出できるものであればどのようなものでもよく、例えば、ホール素子である。
図5に示す例では、ガイドセンサ30は、第1の磁気センサ31a~第5の磁気センサ31eの5個の磁気センサ31を有している。ただし、磁気センサ31の数が5個に限定されることはない。本実施形態において、複数の磁気センサ31が並ぶ一方向は、自動搬送車100の幅方向である。
【0031】
本実施形態において、自動搬送車100の幅方向における全ての磁気センサ31の寸法L1は、
図5に示すように、第1の磁気ガイド線50aと第2の磁気ガイド線50bとの間の距離L2よりも短い。したがって、複数の磁気センサ31のうちの少なくとも1つが第1の磁気ガイド線50aを検出したときに、他の磁気センサ31が第2の磁気ガイド線50bを同時に検出することはない。同様に、複数の磁気センサ31のうちの少なくとも1つが第2の磁気ガイド線50bを検出したときに、他の磁気センサ31が第1の磁気ガイド線50aを同時に検出することはない。
【0032】
ここで、ガイドセンサ30は、自動搬送車100が後進する際に使用されるセンサである。すなわち、2本の磁気ガイド線50(50a、50b)は、自動搬送車100が後進する際に、ガイドセンサ30によって検出されるガイド線である。
【0033】
自動搬送車100は、
図2および
図3に示すように、ガイドセンサ30とは別に、前進用のガイドセンサ32を備えていてもよい。前進用のガイドセンサ32は、床面に敷設されている前進用の磁気ガイド線51(
図3参照)を検出することができる。ただし、本発明の自動搬送車100において、前進用のガイドセンサ32は、必須の構成要素ではないため、省略することが可能である。
【0034】
サイズの一例として、車両本体10の直進方向における寸法は、1500mmであり、幅方向における寸法は、900mmである。直進方向における第1の長尺部11aおよび第2の長尺部11bの寸法は、1000mmである。ガイドセンサ30の幅方向における寸法は、80mmであり、前進用のガイドセンサ32の幅方向における寸法は、150mmである。ガイドセンサ30の床面からの高さは、50mm以下である。従動輪である車輪1および車輪2の直径は150mmであり、幅は50mmである。駆動輪である車輪3の直径は230mmであり、幅は90mmである。ただし、上述した寸法はあくまで一例であって、自動搬送車100の寸法が上述した寸法に限定されることはない。
【0035】
制御部40は、ガイドセンサ30の検出結果に基づいて、駆動部20を制御することができる。具体的には、制御部40は、複数の磁気センサ31のうちの少なくとも1つが磁気ガイド線50を検出した場合に、磁気ガイド線50を検出した磁気センサ31が磁気ガイド線50を検出していない磁気センサ31の多い方向へ向かって磁気ガイド線50から離れるように、駆動部20を制御する。この制御について、
図6~
図9を参照しながら説明する。
【0036】
図6(a)は、ガイドセンサ30の複数の磁気センサ31a~31eのうち、最も左側に位置する第1の磁気センサ31aが左側の第1の磁気ガイド線50aを検出している状態を示している。なお、
図6~
図9では、磁気ガイド線50を検出した磁気センサ31にハッチングを施して、磁気ガイド線50を検出していない磁気センサ31と区別している。すなわち、
図6(a)において、第2の磁気センサ31b~第5の磁気センサ31eは、磁気ガイド線50を検出していない。
【0037】
図6(a)に示すように、第1の磁気センサ31aが第1の磁気ガイド線50aを検出した場合、制御部40は、第1の磁気ガイド線50aを検出した第1の磁気センサ31aが第1の磁気ガイド線50aを検出していない磁気センサ31の多い方向へ向かって第1の磁気ガイド線50aから離れるように、駆動部20を制御する。第1の磁気センサ31aは、複数の磁気センサ31a~31eのうち、最も左側に位置する磁気センサであり、第1の磁気ガイド線50aを検出していない磁気センサ31の多い方向は右方向であるため、制御部40は、自動搬送車100が右方向に移動するように、駆動部20を制御する。駆動部20は、自動搬送車100が右方向に移動するように、車輪3を回転させる。
【0038】
なお、第1の磁気センサ31aだけでなく、第2の磁気センサ31bなどの他の磁気センサ31も第1の磁気ガイド線50aを検出した場合も同様である。例えば、第1の磁気センサ31aと第2の磁気センサ31bが第1の磁気ガイド線50aを検出した場合、制御部40は、第1の磁気ガイド線50aを検出した第1の磁気センサ31aおよび第2の磁気センサ31bが第1の磁気ガイド線50aを検出していない磁気センサ31の多い方向へ向かって第1の磁気ガイド線50aから離れるように、駆動部20を制御する。
【0039】
自動搬送車100が右方向に移動することにより、
図6(b)に示すように、第1の磁気センサ31aは、第1の磁気ガイド線50aを検出しなくなる。
図6(b)に示す状態では、全ての磁気センサ31a~31eが第1の磁気ガイド線50aおよび第2の磁気ガイド線50bを検出していない。第1の磁気センサ31aが第1の磁気ガイド線50aを検出しなくなると、制御部40は、自動搬送車100がそのまま直進するように、駆動部20を制御する。
【0040】
その後、第5の磁気センサ31eが第2の磁気ガイド線50bを検出する(
図7(a))。制御部40は、第2の磁気ガイド線50bを検出した第5の磁気センサ31eが第2の磁気ガイド線50bを検出していない磁気センサ31の多い方向へ向かって第2の磁気ガイド線50bから離れるように、駆動部20を制御する。第5の磁気センサ31eは、複数の磁気センサ31a~31eのうち、最も右側に位置する磁気センサであり、第2の磁気ガイド線50bを検出していない磁気センサ31の多い方向は左方向であるため、制御部40は、自動搬送車100が左方向に移動するように、駆動部20を制御する。第5の磁気センサ31eが第2の磁気ガイド線50bを検出しなくなると、制御部40は、自動搬送車100がそのまま直進するように、駆動部20を制御する。
【0041】
ここまでの制御で、車輪2が第1の磁気ガイド線50aと第2の磁気ガイド線50bの間におさまることもあるし、場合によっては、第1の磁気センサ31aが第1の磁気ガイド線50aを再び検出する(
図7(b))。第1の磁気センサ31aが再び第1の磁気ガイド線50aを検出した場合、制御部40は、第1の磁気センサ31aが第1の磁気ガイド線50aを検出していない磁気センサ31の多い方向へ向かって第1の磁気ガイド線50aから離れるように制御する。このような制御を繰り返すことで、車輪2が第1の磁気ガイド線50aと第2の磁気ガイド線50bの間におさまる。これにより、第1の磁気ガイド線50aおよび第2の磁気ガイド線50bが第2の長尺部11bに設けられている車輪2に踏み続けられることを抑制することができる。
【0042】
図8(a)は、ガイドセンサ30の複数の磁気センサ31a~31eのうち、最も右側に位置する第5の磁気センサ31eが右側の第2の磁気ガイド線50bを検出している状態を示している。
図8(a)に示すように、第1の磁気センサ31a~第4の磁気センサ31dは、磁気ガイド線50を検出していない。
【0043】
図8(a)に示すように、第5の磁気センサ31eが第2の磁気ガイド線50bを検出した場合、制御部40は、第2の磁気ガイド線50bを検出した第5の磁気センサ31eが第2の磁気ガイド線50bを検出していない磁気センサ31の多い方向へ向かって第2の磁気ガイド線50bから離れるように、駆動部20を制御する。上述したように、第2の磁気センサ31bは、複数の磁気センサ31a~31eのうち、最も右側に位置する磁気センサであり、第2の磁気ガイド線50bを検出していない磁気センサ31の多い方向は左方向であるため、制御部40は、自動搬送車100が左方向に移動するように、駆動部20を制御する。駆動部20は、自動搬送車100が左方向に移動するように、車輪3を回転させる。
【0044】
なお、第5の磁気センサ31eだけでなく、第4の磁気センサ31dなどの他の磁気センサ31も第2の磁気ガイド線50bを検出した場合も同様である。例えば、第4の磁気センサ31dと第5の磁気センサ31eが第2の磁気ガイド線50bを検出した場合、制御部40は、第2の磁気ガイド線50bを検出した第4の磁気センサ31dおよび第5の磁気センサ31eが第2の磁気ガイド線50bを検出していない磁気センサ31の多い方向へ向かって第2の磁気ガイド線50bから離れるように、駆動部20を制御する。
【0045】
また、第3の磁気センサ31cのみが第1の磁気ガイド線50aまたは第2の磁気ガイド線50bを検出した場合、制御部40は、車両本体10を旋回させる制御は行わない。一方、例えば、第2の磁気センサ31bと第3の磁気センサ31cが第1の磁気ガイド線50aを検出した場合、制御部40は、第2の磁気センサ31bと第3の磁気センサ31cが第1の磁気ガイド線50aを検出していない磁気センサ31の多い方向へ向かって第1の磁気ガイド線50aから離れるように、駆動部20を制御する。
【0046】
自動搬送車100が左方向に移動することにより、
図8(b)に示すように、第5の磁気センサ31eは、第2の磁気ガイド線50bを検出しなくなる。
図8(b)に示す状態では、全ての磁気センサ31a~31eが第1の磁気ガイド線50aおよび第2の磁気ガイド線50bを検出していない。第5の磁気センサ31eが第2の磁気ガイド線50bを検出しなくなると、制御部40は、自動搬送車100がそのまま直進するように、駆動部20を制御する。
【0047】
その後、第1の磁気センサ31aが第1の磁気ガイド線50aを検出する(
図9(a))。制御部40は、第1の磁気ガイド線50aを検出した第1の磁気センサ31aが第2の磁気ガイド線50bを検出していない磁気センサ31の多い方向へ向かって第2の磁気ガイド線50bから離れるように、駆動部20を制御する。すなわち、制御部40は、自動搬送車100が右方向に移動するように、駆動部20を制御する。第1の磁気センサ31aが第1の磁気ガイド線50aを検出しなくなると、制御部40は、自動搬送車100がそのまま直進するように、駆動部20を制御する。
【0048】
ここまでの制御で、車輪2が第1の磁気ガイド線50aと第2の磁気ガイド線50bの間におさまることもあるし、場合によっては、第5の磁気センサ31eが第2の磁気ガイド線50bを再び検出する(
図9(b))。第5の磁気センサ31eが再び第2の磁気ガイド線50bを検出した場合、制御部40は、第5の磁気センサ31eが第2の磁気ガイド線50bを検出していない磁気センサ31の多い方向へ向かって第2の磁気ガイド線50bから離れるように制御する。このような制御を繰り返すことで、車輪2が第1の磁気ガイド線50aと第2の磁気ガイド線50bの間におさまる。これにより、第1の磁気ガイド線50aおよび第2の磁気ガイド線50bが第2の長尺部11bに設けられている車輪2に踏み続けられることを抑制することができる。
【0049】
すなわち、本実施形態における自動搬送車100では、ガイドセンサ30が左側の第1の磁気ガイド線50aを検出した場合には、自動搬送車100を右方向に移動させ、ガイドセンサ30が右側の第2の磁気ガイド線50bを検出した場合には、自動搬送車100を左方向に移動させる。そのような制御を行うことにより、制御部40は、自動搬送車100の直進方向においてガイドセンサ30と少なくとも一部が重なる車輪2が2本の磁気ガイド線50の間、すなわち、第1の磁気ガイド線50aと第2の磁気ガイド線50bの間に位置するように、駆動部20を制御することができる。これにより、自動搬送車100の走行時に、第1の磁気ガイド線50aおよび第2の磁気ガイド線50bが車輪2に踏み続けられることを抑制することができる。
【0050】
上述したように、本実施形態における自動搬送車100では、複数の磁気センサ31のうちの少なくとも1つが磁気ガイド線50を検出した場合に、磁気ガイド線50を検出した磁気センサ31が磁気ガイド線50を検出していない磁気センサ31の多い方向へ向かって磁気ガイド線50から離れるように、制御部40が駆動部20を制御する。したがって、自動搬送車100の直進方向において、ガイドセンサ30が車輪2と重なる位置に設けられている場合でも、車輪2が磁気ガイド線50から離れるように制御することができるので、磁気ガイド線50が車輪2に踏み続けられることを抑制することができる。すなわち、自動搬送車100の直進方向において、車輪と重なる位置にガイドセンサ30を設けることが可能となるので、ガイドセンサ30の配置位置の自由度が高い。
【0051】
特に、本実施形態における自動搬送車100のように、車両本体10が長尺部11を有しており、複数の車輪のうちの少なくとも1つの車輪2が長尺部11に設けられている構成では、設計上、ガイドセンサ30を長尺部11に設けざるを得ない場合がある。しかしながら、そのような場合でも、上述したように、長尺部11に設けられている車輪2が磁気ガイド線50から離れるように制御することができるので、磁気ガイド線50が車輪2に踏み続けられることを効果的に抑制することができる。
【0052】
また、自動搬送車100の直進方向においてガイドセンサ30と少なくとも一部が重なる車輪2が2本の磁気ガイド線50(50a,50b)の間に位置するように、制御部40が駆動部20を制御することにより、2本の磁気ガイド線50(50a,50b)が車輪2に踏み続けられることを抑制しつつ、自動搬送車100の走行を精度良く制御することができる。
【0053】
図10は、上述した制御の流れを示すフローチャートである。ステップS1からステップS4の制御は、自動搬送車100の走行時に、制御部40によって行われる。
【0054】
自動搬送車100が直進走行を開始すると、制御部40は、ステップS1の制御を行う。ステップS1では、ガイドセンサ30の複数の磁気センサ31a~31eのうち、磁気ガイド線50を検出している磁気センサ31があるか否かを判定する。磁気ガイド線50を検出している磁気センサ31があると判定すると、ステップS2に進み、磁気ガイド線50を検出している磁気センサ31が無いと判定すると、再びステップS1の判定を行う。
【0055】
ステップS2では、磁気ガイド線50を検出している磁気センサ31が磁気ガイド線50を検出していない磁気センサ31の多い方向へ向かって磁気ガイド線50から離れるように、駆動部20を制御する。
【0056】
ステップS3では、磁気ガイド線50を検出した磁気センサ31が磁気ガイド線50を検出しなくなったか否かを判定する。磁気ガイド線50を検出した磁気センサ31が磁気ガイド線50を検出していると判定すると、再びステップS3の判定を行う。例えば、ステップS2で、自動搬送車100が右方向に移動するように制御部40が駆動部20を制御した場合、ステップS3の判定が行われている間は、自動搬送車100が右方向に移動する制御が継続して行われる。
【0057】
一方、ステップS3において、磁気ガイド線50を検出した磁気センサ31が磁気ガイド線50を検出しなくなったと判定すると、ステップS4に進む。
【0058】
ステップS4では、自動搬送車100が直進するように、駆動部20を制御する。
【0059】
上述したステップS1からステップS4の処理は、自動搬送車100の走行中に繰り返し行われる。
【0060】
上述した制御によって、車輪2が2本の磁気ガイド線50(50a,50b)の間に位置するように、自動搬送車100の走行を制御することができる。すなわち、本発明の自動搬送車の制御方法は、複数の車輪1~3のうちの少なくとも1つの車輪が2本の磁気ガイド線50(50a,50b)の間に位置するように、自動搬送車の走行を制御する。
【0061】
ここで、制御部40は、磁気ガイド線50を検出した磁気センサ31の数に応じて、駆動部20の制御を変更するようにしてもよい。例えば、制御部40は、磁気ガイド線50を検出した磁気センサ31の数が多いほど、車両本体10を旋回させるときの旋回量が大きくなるように、駆動部20を制御するようにしてもよい。
【0062】
図11(a)は、第1の磁気センサ31aおよび第2の磁気センサ31bが第1の磁気ガイド線50aを検出した場合の旋回量を説明するための図であり、
図11(b)は、第1の磁気センサ31aのみが第1の磁気ガイド線50aを検出した場合の旋回量を説明するための図である。
図11(a)、(b)に示すように、第1の磁気センサ31aおよび第2の磁気センサ31bが第1の磁気ガイド線50aを検出した場合、制御部40は、第1の磁気センサ31aのみが第1の磁気ガイド線50aを検出した場合と比べて、車両本体10の旋回量が大きくなるように駆動部20を制御する。すなわち、第1の磁気センサ31aおよび第2の磁気センサ31bが第1の磁気ガイド線50aを検出した場合の旋回時の角度θ1(
図11(a))は、第1の磁気センサ31aのみが第1の磁気ガイド線50aを検出した場合の旋回時の角度θ2(
図11(b))よりも大きい。
【0063】
このように、磁気ガイド線50を検出した磁気センサ31の数が多いほど、車両本体10を旋回させるときの旋回量が大きくなるように、制御部40が駆動部20を制御することにより、磁気ガイド線50を検出した磁気センサ31がより迅速に磁気ガイド線50から離れるように制御することができる。これにより、磁気ガイド線50が車輪2に踏まれている場合でも、より迅速に、車輪2を磁気ガイド線50から離すことができる。
【0064】
ここで、2本の磁気ガイド線50、すなわち、第1の磁気ガイド線50aと第2の磁気ガイド線50bは、平行に敷設されているものとして説明した。しかしながら、2本の磁気ガイド線50はそれぞれ、一端側が外側に広がるように敷設されていてもよい。2本の磁気ガイド線50がそれぞれ、一端側が外側に広がるように敷設されていることにより、自動搬送車100が傾いた状態で走行を開始する場合でも、より確実に車輪2が第1の磁気ガイド線50aと第2の磁気ガイド線50bの間に位置するように、自動搬送車100の走行を制御することが可能となる。このことを、
図12を参照しながら説明する。
【0065】
図12(a)は、2本の磁気ガイド線50(50a,50b)がそれぞれ、一端側が外側に広がるように敷設されている場合に、自動搬送車100が傾いた状態で後進走行を開始するときの自動搬送車100の制御を説明するための図である。
図12(b)は、2本の磁気ガイド線50(50a,50b)が平行に敷設されている場合に、自動搬送車100が傾いた状態で後進走行を開始するときの自動搬送車100の制御を説明するための図である。
図12(a)、(b)に示すように、自動搬送車100が傾いた状態とは、2本の磁気ガイド線50が平行に延伸している部分の延伸方向と、自動搬送車100の直進方向とが一致していない状態を意味する。
【0066】
なお、2本の磁気ガイド線50(50a,50b)がそれぞれ、一端側が外側に広がるように敷設されているとは、
図12(a)に示すように、第1の磁気ガイド線50aの一端側が第2の磁気ガイド線50bから遠ざかるように延伸し、第2の磁気ガイド線50bの一端側が第1の磁気ガイド線50aから遠ざかるように延伸している状態を意味する。すなわち、第1の磁気ガイド線50aと第2の磁気ガイド線50bは、他端側からある位置までは平行に敷設されているが、ある位置からは、一端側に向かうほど、第1の磁気ガイド線50aと第2の磁気ガイド線50bの間隔が広くなるように敷設されている。
【0067】
はじめに、
図12(b)に示すように、2本の磁気ガイド線50(50a,50b)が平行に敷設されている場合について説明する。自動搬送車100が傾いた状態で第2の磁気ガイド線50bの一端側に近づくことにより、
図12(b)に示すように、ガイドセンサ30の複数の磁気センサ31のうち、最も左側に位置する第1の磁気センサ31aが右側に位置する第2の磁気ガイド線50bを検出する場合がある。この場合、制御部40は、第1の磁気センサ31aが磁気ガイド線50を検出していない磁気センサ31の多い方向へ向かって第2の磁気ガイド線50bから離れるように、すなわち、自動搬送車100が右方向に移動するように駆動部20を制御するため、自動搬送車100は、第1の磁気ガイド線50aおよび第2の磁気ガイド線50bから遠ざかってしまう。この場合、ガイドセンサ30は、第1の磁気ガイド線50aおよび第2の磁気ガイド線50bを検出できなくなるため、自動搬送車100は自動走行ができなくなる。
【0068】
これに対して、
図12(a)に示すように、2本の磁気ガイド線50(50a,50b)がそれぞれ、一端側が外側に広がるように敷設されている場合、自動搬送車100が傾いた状態にある場合でも、ガイドセンサ30は、第1の磁気ガイド線50aと第2の磁気ガイド線50bとの間に位置する。したがって、自動搬送車100が直進することによって、ガイドセンサ30の複数の磁気センサ31a~31eのうち、最も右側の第5の磁気センサ31eが右側に位置する第2の磁気ガイド線50bを検出することができる。この場合、制御部40は、第5の磁気センサ31eが磁気ガイド線50を検出していない磁気センサ31の多い方向へ向かって第2の磁気ガイド線50bから離れるように、すなわち、自動搬送車100が左方向に移動するように駆動部20を制御する。これにより、自動搬送車100が第1の磁気ガイド線50aと第2の磁気ガイド線50bの両方から遠ざかってしまうことを防いで、自動搬送車100の車輪2が第1の磁気ガイド線50aと第2の磁気ガイド線50bとの間に位置するように、自動搬送車100の走行を制御することができる。
【0069】
第1の磁気ガイド線50aと第2の磁気ガイド線50bとの間隔が広がっている部分において、第1の磁気ガイド線50aと第2の磁気ガイド線50bとの間の角度θ3(
図12(a))は、5.5°以下であることが好ましい。第1の磁気ガイド線50aと第2の磁気ガイド線50bとの間の上記角度θ3が5.5°以下であることにより、ガイドセンサ30によって磁気ガイド線50をより確実に検出することができる。
【0070】
上述したように、2本の磁気ガイド線50(50a,50b)がそれぞれ、一端側が外側に広がるように敷設されている場合において、本発明の自動搬送車の制御方法は、2本の磁気ガイド線50(50a,50b)の一端側から、少なくとも1つの車輪が2本の磁気ガイド線50(50a,50b)の間に位置するように、自動搬送車100の走行を制御することができる。
【0071】
<第2の実施形態>
第2の実施形態における自動搬送車100が第1の実施形態における自動搬送車100と異なるのは、ガイドセンサ30の構成である。具体的には、第2の実施形態における自動搬送車100において、ガイドセンサ30は、2本の磁気ガイド線50(50a,50b)を同時に検出することができる。
【0072】
図13は、第2の実施形態における自動搬送車100のガイドセンサ30の詳細な構成を模式的に示す平面図である。ガイドセンサ30は、第1の磁気センサ31a~第7の磁気センサ31gの7個の磁気センサ31を有している。ただし、磁気センサ31の数が7個に限定されることはない。複数の磁気センサ31は、自動搬送車100の幅方向に並んでいる。
【0073】
本実施形態において、自動搬送車100の幅方向における全ての磁気センサ31の寸法L1は、
図13に示すように、第1の磁気ガイド線50aと第2の磁気ガイド線50bとの間の距離L2よりも長い。したがって、
図13に示すように、最も左側の第1の磁気センサ31aが左側の第1の磁気ガイド線50aを検出しているときに、最も右側の第7の磁気センサ31gが右側の第2の磁気ガイド線50bを同時に検出することが可能である。
【0074】
本実施形態における自動搬送車100でも、制御部40は、複数の磁気センサ31のうちの少なくとも1つが磁気ガイド線50を検出した場合に、磁気ガイド線50を検出した磁気センサ31が磁気ガイド線50を検出していない磁気センサ31の多い方向へ向かって磁気ガイド線50から離れるように、駆動部20を制御する。この制御について、
図14を参照しながら説明する。
【0075】
図14(a)は、ガイドセンサ30の複数の磁気センサ31a~31gのうち、最も左側に位置する第1の磁気センサ31aのみが左側の第1の磁気ガイド線50aを検出し、第1の磁気センサ31a以外の磁気センサ31b~31gは、第1の磁気ガイド線50aおよび第2の磁気ガイド線50bを検出していない状態を示している。
【0076】
図14(a)に示すように、第1の磁気センサ31aが第1の磁気ガイド線50aを検出した場合、制御部40は、第1の磁気ガイド線50aを検出した第1の磁気センサ31aが第1の磁気ガイド線50aを検出していない磁気センサ31の多い方向へ向かって第1の磁気ガイド線50aから離れるように、駆動部20を制御する。第1の磁気センサ31aは、複数の磁気センサ31a~31gのうち、左側に位置する磁気センサであり、第1の磁気ガイド線50aを検出していない磁気センサ31の多い方向は右方向であるため、制御部40は、自動搬送車100が右方向に移動するように、駆動部20を制御する。駆動部20は、自動搬送車100が右方向に移動するように、車輪3を回転させる。
【0077】
自動搬送車100が右方向に移動することにより、
図14(b)に示すように、最も右側に位置する第7の磁気センサ31gが右側の第2の磁気ガイド線50bを検出するようになる。このとき、第1の磁気センサ31aは、第1の磁気ガイド線50aを検出し続けている。第1の磁気センサ31aが第1の磁気ガイド線50aを検出し、第7の磁気センサ31gが第2の磁気ガイド線50bを検出すると、制御部40は、自動搬送車100がそのまま直進するように、駆動部20を制御する。
【0078】
その後、第1の磁気センサ31aが第1の磁気ガイド線50aを検出しなくなって、第7の磁気センサ31gのみ、または、第6の磁気センサ31fと第7の磁気センサ31gが第2の磁気ガイド線50bを検出するようになると、制御部40は、自動搬送車100が左方向に移動するように、駆動部20を制御する。
図14(c)は、自動搬送車100が左方向に移動するように制御されて、第1の磁気ガイド線50aおよび第2の磁気ガイド線50bの延伸方向に自動搬送車100が直進する状態を示している。自動搬送車100の直進時には、
図14(c)に示すように、第1の磁気センサ31aが第1の磁気ガイド線50aを検出し続け、第7の磁気センサ31gが第2の磁気ガイド線50bを検出し続ける。
【0079】
本実施形態における自動搬送車100では、上述したように、第1の磁気センサ31aが第1の磁気ガイド線50aを検出し、第7の磁気センサ31gが第2の磁気ガイド線50bを検出する場合がある。この場合、制御部40は、第1の磁気センサ31aが第1の磁気ガイド線50aを検出していない磁気センサ31の多い方向へ向かって第1の磁気ガイド線50aから離れるように、自動搬送車100を右方向に移動させる制御と、第7の磁気センサ31gが第2の磁気ガイド線50bを検出していない磁気センサ31の多い方向へ向かって第2の磁気ガイド線50bから離れるように、自動搬送車100を左方向に移動させる制御とを行うように、駆動部20を制御する。このため、結果的に、制御部40は、自動搬送車100が直進するように駆動部20を制御することになる。
【0080】
ただし、「制御部40は、複数の磁気センサ31のうちの少なくとも1つが磁気ガイド線50を検出した場合に、磁気ガイド線50を検出した磁気センサ31が磁気ガイド線50aを検出していない磁気センサ31の多い方向へ向かって磁気ガイド線50から離れるように、駆動部20を制御する」内容には、例えば、磁気ガイド線50を検出した磁気センサ31が磁気ガイド線50から離れるように制御するが、磁気センサ31によって2本の磁気ガイド線50ba,50bが検出された場合には、上記制御をキャンセルして、実際の車輪3の角度がそのままになる場合や、自動搬送車100が磁気ガイド線50から離れる方向に移動しない場合も含まれる。
【0081】
なお、第1の磁気センサ31aだけでなく、第1の磁気センサ31aと第2の磁気センサ31bが第1の磁気ガイド線50aを検出しているが、他の磁気センサ31c~31gが第2の磁気ガイド線50bを検出していない場合の制御方法についても同様である。
【0082】
また、最も右側に位置する第7の磁気センサ31gが右側の第2の磁気ガイド線50bを検出しているが、他の磁気センサ31a~31fが第1の磁気ガイド線50aおよび第2の磁気ガイド線50bを検出していない場合の制御は、自動搬送車100の移動方向が左になるだけで、上述した制御と同じである。
【0083】
<第3の実施形態>
第3の実施形態における自動搬送車100が第1の実施形態における自動搬送車100と異なるのは、ガイドセンサ30の構成である。具体的には、第3の実施形態における自動搬送車100において、ガイドセンサ30は、2本の磁気ガイド線50(50a,50b)を同時に検出することができる。
【0084】
図15は、第3の実施形態における自動搬送車100のガイドセンサ30の詳細な構成を模式的に示す平面図である。ガイドセンサ30は、第1の磁気センサ31a~第13の磁気センサ31mの13個の磁気センサ31を有している。ただし、磁気センサ31の数が13個に限定されることはない。複数の磁気センサ31は、自動搬送車100の幅方向に並んでいる。
【0085】
本実施形態において、自動搬送車100の幅方向における全ての磁気センサ31の寸法L1は、
図15に示すように、第1の磁気ガイド線50aと第2の磁気ガイド線50bとの間の距離L2よりも長い。
図15に示す例では、第1の磁気ガイド線50aと第2の磁気ガイド線50bとの間の中央と、幅方向におけるガイドセンサ30の中央とが一致する状態において、第2の磁気センサ31bと第3の磁気センサ31cが第1の磁気ガイド線50aを検出し、第11の磁気センサ31kと第12の磁気センサ31lが第2の磁気ガイド線50bを検出する。
【0086】
本実施形態における自動搬送車100でも、制御部40は、複数の磁気センサ31のうちの少なくとも1つが磁気ガイド線50を検出した場合に、磁気ガイド線50を検出した磁気センサ31が磁気ガイド線50を検出していない磁気センサ31の多い方向へ向かって磁気ガイド線50から離れるように、駆動部20を制御する。
【0087】
第3の実施形態における自動搬送車100の制御方法は、第2の実施形態における自動搬送車100の制御方法と同じである。ただし、制御部40は、自動搬送車100の直進時に、
図15に示すように、第2の磁気センサ31bと第3の磁気センサ31cが第1の磁気ガイド線50aを検出し、第11の磁気センサ31kと第12の磁気センサ31lが第2の磁気ガイド線50bを検出するように、駆動部20を制御する。自動搬送車100の直進時に、第2の磁気センサ31bと第3の磁気センサ31cが第1の磁気ガイド線50aを検出した場合、制御部40は、第2の磁気センサ31bと第3の磁気センサ31cが第1の磁気ガイド線50aを検出していない磁気センサ31の多い方向へ向かって第1の磁気ガイド線50aから離れる方向に制御しようとする。しかしながら、第11の磁気センサ31kと第12の磁気センサ31lが第2の磁気ガイド線50bを検出するため、制御部40は同時に、第11の磁気センサ31kと第12の磁気センサ31lが第2の磁気ガイド線50bを検出していない磁気センサ31の多い方向へ向かって第2の磁気ガイド線50bから離れる方向に制御しようとする。結果として、第2の磁気センサ31bと第3の磁気センサ31cが第1の磁気ガイド線50aを検出し、第11の磁気センサ31kと第12の磁気センサ31lが第2の磁気ガイド線50bを検出した場合は、上述した制御をキャンセルし、実際の車輪3の角度がそのままで、自動搬送車100は直進する。上記のように、制御部40が駆動部20を制御することにより、幅方向におけるガイドセンサ30の中央を、第1の磁気ガイド線50aと第2の磁気ガイド線50bとの間の中央に近づけることができる。これにより、第2の長尺部11bに設けられている車輪2が第1の磁気ガイド線50aと第2の磁気ガイド線50bとの間に位置するように、より精度良く制御することができる。
【0088】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0089】
例えば、上述した実施形態において、ガイドセンサ30は、自動搬送車100の直進方向において、少なくとも一部が少なくとも1つの車輪と重なる位置に設けられているものとして説明したが、全ての車輪と重ならない位置に設けられていてもよい。
【0090】
上述した実施形態において、車両本体10は、自動搬送車100の直進方向に延伸する長尺部11を有しているものとして説明したが、長尺部11を有していなくてもよい。
【0091】
本出願における自動搬送車および自動搬送車の制御方法は、以下の通りである。
<1>.複数の車輪を有する車両本体と、
複数の前記車輪のうちの少なくとも1つの車輪を回転駆動させることができる駆動部と、
床面に敷設されている磁気ガイド線を検出することができるガイドセンサと、
前記ガイドセンサの検出結果に基づいて、前記駆動部を制御することができる制御部と、
を備え、
前記ガイドセンサは、一方向に並んで配置された複数の磁気センサを有しており、
前記制御部は、複数の前記磁気センサのうちの少なくとも1つが前記磁気ガイド線を検出した場合に、前記磁気ガイド線を検出した前記磁気センサが前記磁気ガイド線を検出していない前記磁気センサの多い方向へ向かって前記磁気ガイド線から離れるように、前記駆動部を制御することを特徴とする自動搬送車。
<2>.前記ガイドセンサは、前記自動搬送車の直進方向において、少なくとも一部が少なくとも1つの前記車輪と重なる位置に設けられていることを特徴とする<1>に記載の自動搬送車。
<3>.前記車両本体は、前記自動搬送車の直進方向に延伸する長尺部を有しており、
複数の前記車輪のうちの少なくとも1つは、前記長尺部に設けられており、
前記ガイドセンサは、前記長尺部に設けられていることを特徴とする請求項<1>または<2>に記載の自動搬送車。
<4>.前記制御部は、前記自動搬送車の直進方向において前記ガイドセンサと少なくとも一部が重なる前記車輪が2本の前記磁気ガイド線の間に位置するように、前記駆動部を制御することができることを特徴とする<1>~<3>のいずれか一つに記載の自動搬送車。
<5>.前記ガイドセンサは、2本の前記磁気ガイド線を同時に検出することができることを特徴とする<1>~<4>のいずれか一つに記載の自動搬送車。
<6>.前記制御部は、前記磁気ガイド線を検出した前記磁気センサの数に応じて、前記駆動部の制御を変更することができることを特徴とする<1>~<5>のいずれか一つに記載の自動搬送車。
<7>.前記制御部は、前記磁気ガイド線を検出した前記磁気センサの数が多いほど、前記車両本体を旋回させるときの旋回量が大きくなるように、前記駆動部を制御することができることを特徴とする<6>に記載の自動搬送車。
<8>.前記磁気センサは、ホール素子であることを特徴とする<1>~<7>のいずれか一つに記載の自動搬送車。
<9>.複数の車輪を有する車両本体と、床面に敷設されている磁気ガイド線を検出することができるガイドセンサとを備えた自動搬送車の制御方法であって、
複数の前記車輪のうちの少なくとも1つの前記車輪が2本の前記磁気ガイド線の間に位置するように、前記自動搬送車の走行を制御することを特徴とする自動搬送車の制御方法。
<10>.2本の前記磁気ガイド線はそれぞれ、一端側が外側に広がるように敷設されており、
2本の前記磁気ガイド線の前記一端側から、少なくとも1つの前記車輪が2本の前記磁気ガイド線の間に位置するように、前記自動搬送車の走行を制御することを特徴とする<9>に記載の自動搬送車の制御方法。
【符号の説明】
【0092】
1 車輪
2 車輪
3 車輪
10 車両本体
11 長尺部
11a 第1の長尺部
11b 第2の長尺部
12 アーム部
12a 第1のアーム部
12b 第2のアーム部
20 駆動部
30 ガイドセンサ
31 磁気センサ
32 前進用のガイドセンサ
40 制御部
50 磁気ガイド線
50a 第1の磁気ガイド線
50b 第2の磁気ガイド線
51 前進用の磁気ガイド線
100 自動搬送車