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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042805
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】コンデンサおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/08 20060101AFI20240322BHJP
   H01G 9/00 20060101ALI20240322BHJP
   H01G 2/02 20060101ALI20240322BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20240322BHJP
   H01G 9/06 20060101ALI20240322BHJP
   H01G 2/10 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
H01G9/08 Z
H01G9/00 290K
H01G2/02 101D
H01G11/78
H01G9/06 Z
H01G2/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147669
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000228578
【氏名又は名称】日本ケミコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 庸平
【テーマコード(参考)】
5E078
【Fターム(参考)】
5E078AB02
5E078HA01
5E078HA21
5E078KA06
(57)【要約】
【課題】 本開示の技術は、たとえば、封口部材に対する樹脂層の被覆割合を高め、台座の外側への樹脂の漏れを抑制することを目的とする。
【解決手段】 コンデンサ本体(4)は、外装ケース(12)と、封口部材(16)と、複数の端子リード(18-1、18-2)とを含む。台座(6)は、前記コンデンサ本体の前記封口部材側に設置され、それぞれ前記複数の端子リードを挿通させる複数の挿通孔(36-1、36-2)と、それぞれ前記複数の挿通孔を囲う複数の突出部(38-1、38-2)と、樹脂(60)の注入に用いられる樹脂注入孔(26)と、注入された前記樹脂の確認に用いられる貫通孔(28)と、前記貫通孔を囲う遮蔽部(30)とを含む。樹脂層(8)は前記台座と前記封口部材の間に配置される。前記封口部材と前記遮蔽部の頂面(30-1)との間の隙間の少なくとも一部に前記樹脂層が延在する。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装ケースと、前記外装ケースの開口部に取付けられた封口部材と、前記封口部材から突出する複数の端子リードとを含むコンデンサ本体と、
前記コンデンサ本体の前記封口部材側に設置され、それぞれ前記複数の端子リードを挿通させる複数の挿通孔と、それぞれ前記複数の挿通孔を囲う複数の突出部と、樹脂の注入に用いられる樹脂注入孔と、注入された前記樹脂の確認に用いられる貫通孔と、前記貫通孔を囲う遮蔽部とを含む台座と、
前記台座と前記封口部材の間に配置される樹脂層と
を備え、
前記封口部材と前記遮蔽部の頂面との間の隙間の少なくとも一部に前記樹脂層が延在することを特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
第一領域における前記遮蔽部の遮蔽距離は第二領域における前記遮蔽部の遮蔽距離よりも長く、
前記第一領域は、前記樹脂注入孔と前記貫通孔の間の領域および前記貫通孔に重なる領域として定義され、前記第二領域は前記第一領域以外の領域として定義されることを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記遮蔽部は、前記貫通孔を覆う蓋部を有し、該蓋部が前記第一領域における遮蔽距離を前記第二領域における遮蔽距離よりも長くすることを特徴とする請求項2に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記遮蔽部は、前記樹脂注入孔の中心と前記貫通孔の中心を通る中心線上であって、前記台座の周囲部側に離間部を有し、
前記複数の挿通孔のいずれかの挿通孔の最小断面積、または前記挿通孔と該挿通孔に挿通された端子リードとの間の隙間の最小断面積は、前記遮蔽部の前記頂面に囲まれている頂部開口面積と前記離間部により形成される側部開口面積の合計面積よりも小さいことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【請求項5】
各端子リードは、折曲げ部で折曲げられ、
各挿通孔は、前記折曲げ部よりも前記封口部材側であって前記折曲げ部に隣接する位置に段部を有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【請求項6】
各挿通孔は、前記段部よりも前記封口部材側に配置される小孔部と、前記折曲げ部が配置される大孔部とを含み、
前記樹脂層は前記小孔部の少なくとも一部に延在し、
前記折曲げ部は前記樹脂層に接触することなく露出することを特徴とする請求項5に記載のコンデンサ。
【請求項7】
外装ケースと、前記外装ケースの開口部に取付けられた封口部材と、前記封口部材から突出する複数の端子リードとを含むコンデンサ本体を作製または準備する工程と、
複数の挿通孔と、それぞれ前記複数の挿通孔を囲う複数の突出部と、樹脂の注入に用いられる樹脂注入孔と、注入された前記樹脂の確認に用いられる貫通孔と、前記貫通孔を囲う遮蔽部とを含む台座を作製または準備する工程と、
前記台座を前記コンデンサ本体の前記封口部材側に設置するとともに、前記複数の端子リードをそれぞれ前記複数の挿通孔に挿通させる工程と、
前記樹脂注入孔から前記樹脂を注入して前記台座と前記封口部材の間に樹脂層を形成するとともに、前記封口部材と前記遮蔽部の頂面との間の隙間の少なくとも一部に前記樹脂層を延在させる工程と
を備えることを特徴とするコンデンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、台座および樹脂層を備えるコンデンサおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
台座を備えるコンデンサは、たとえば、台座の外側面(つまり基板実装面)に引き出されて折り曲げられた端子リードを含む。この端子リードが基板などの配線板にはんだ付けされて、コンデンサが配線板に実装される。このようなコンデンサは、表面実装型のコンデンサと呼ばれ、高い汎用性を有し、たとえば自動車に用いられる。
【0003】
コンデンサが自動車内などの屋外に設置されると、コンデンサの設置周囲の環境温度が上昇する。このため、コンデンサは、高温度環境に耐える必要がある。たとえば、コンデンサは、封口部材と台座の間に形成された樹脂層を含み、コンデンサの密閉性が高められる(たとえば、特許文献1)。斯かる構成によれば、コンデンサの耐熱性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60-245121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、封口部材に対する樹脂層の被覆割合が高くなるにつれて、コンデンサの密閉性が高められる。つまり、樹脂層を備えるコンデンサでは、如何にして封口部材に対する樹脂層の被覆割合を高めるか、という課題がある。また、端子リードが通る台座の孔などから漏出する樹脂が配線板への実装の妨げになる場合、台座の外側の樹脂を除去しなければならないという課題がある。
【0006】
そこで、本開示の技術は、たとえば、封口部材に対する樹脂層の被覆割合を高め、台座の外側への樹脂の漏れを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の第1の側面によれば、コンデンサはコンデンサ本体と台座と樹脂層とを備える。コンデンサ本体は、外装ケースと、前記外装ケースの開口部に取付けられた封口部材と、前記封口部材から突出する複数の端子リードとを含む。台座は、前記コンデンサ本体の前記封口部材側に設置され、それぞれ前記複数の端子リードを挿通させる複数の挿通孔と、それぞれ前記複数の挿通孔を囲う複数の突出部と、樹脂の注入に用いられる樹脂注入孔と、注入された前記樹脂の確認に用いられる貫通孔と、前記貫通孔を囲う遮蔽部とを含む。樹脂層は前記台座と前記封口部材の間に配置される。前記封口部材と前記遮蔽部の頂面との間の隙間の少なくとも一部に前記樹脂層が延在する。
【0008】
上記コンデンサにおいて、第一領域における前記遮蔽部の遮蔽距離は第二領域における前記遮蔽部の遮蔽距離よりも長くてもよい。前記第一領域は、前記樹脂注入孔と前記貫通孔の間の領域および前記貫通孔に重なる領域として定義され、前記第二領域は前記第一領域以外の領域として定義される。
【0009】
上記コンデンサにおいて、前記遮蔽部は、前記貫通孔を覆う蓋部を有してもよく、該蓋部が前記第一領域における遮蔽距離を前記第二領域における遮蔽距離よりも長くしてもよい。
【0010】
上記コンデンサにおいて、前記遮蔽部は、前記樹脂注入孔の中心と前記貫通孔の中心を通る中心線上であって、前記台座の周囲部側に離間部を有してもよい。前記複数の挿通孔のいずれかの挿通孔の最小断面積、または前記挿通孔と該挿通孔に挿通された端子リードとの間の隙間の最小断面積は、前記遮蔽部の前記頂面に囲まれている頂部開口面積と前記離間部により形成される側部開口面積の合計面積よりも小さくてもよい。
【0011】
上記コンデンサにおいて、各端子リードは、折曲げ部で折曲げられてもよい。各挿通孔は、前記折曲げ部よりも前記封口部材側であって前記折曲げ部に隣接する位置に段部を有してもよい。
【0012】
上記コンデンサにおいて、各挿通孔は、前記段部よりも前記封口部材側に配置される小孔部と、前記折曲げ部が配置される大孔部とを含んでもよい。前記樹脂層は前記小孔部の少なくとも一部に延在してもよい。前記折曲げ部は前記樹脂層に接触することなく露出してもよい。
【0013】
上記目的を達成するため、本開示の第2の側面によれば、コンデンサの製造方法は、外装ケースと、前記外装ケースの開口部に取付けられた封口部材と、前記封口部材から突出する複数の端子リードとを含むコンデンサ本体を作製または準備する工程と、複数の挿通孔と、それぞれ前記複数の挿通孔を囲う複数の突出部と、樹脂の注入に用いられる樹脂注入孔と、注入された前記樹脂の確認に用いられる貫通孔と、前記貫通孔を囲う遮蔽部とを含む台座を作製または準備する工程と、前記台座を前記コンデンサ本体の前記封口部材側に設置するとともに、前記複数の端子リードをそれぞれ前記複数の挿通孔に挿通させる工程と、前記樹脂注入孔から前記樹脂を注入して前記台座と前記封口部材の間に樹脂層を形成するとともに、前記封口部材と前記遮蔽部の頂面との間の隙間の少なくとも一部に前記樹脂層を延在させる工程とを備える。
【発明の効果】
【0014】
本開示の技術によれば、複数の挿通孔および貫通孔がそれぞれ複数の突出部および遮蔽部に囲われており、封口部材と遮蔽部の頂面との間の隙間の少なくとも一部に樹脂層が延在するので、樹脂の漏出が抑制されるとともに、樹脂層が封口部材の表面を覆う面積が大きくなり、コンデンサの密封性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態に係るコンデンサの一例を示す図である。
図2図1のII-II線断面を示す図である。
図3図1のIII-III線断面を示す図である。
図4】台座の斜視図である。
図5】挿通孔の面積および遮蔽部の遮蔽距離を説明するための図である。
図6】コンデンサの製造工程における樹脂の注入工程の一例を示す図である。
図7】樹脂の充填状態の変化を説明するためのイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は実施の形態に係るコンデンサの一例を示し、図2図1のII-II線断面を示し、図3図1のIII-III線断面を示している。図2および図3において、コンデンサ本体4の一部は省略されている。図4は台座の斜視図である。図4のAは、コンデンサ本体に設置される本体設置面(つまり台座の封口部材側の面部)などを示している。図4のBは、本体設置面の対向面(つまり台座の外側面または基板実装面)などを示している。図1ないし図4に示す構成は一例であって、斯かる構成に本開示の技術が限定されるものではない。本明細書では、コンデンサ本体側が「上」、台座側が「下」として扱われ、図面上の「平面」および「底面」が定義されている。
【0017】
コンデンサ2は電子部品の一例であり、たとえば電解コンデンサまたは電気二重層コンデンサである。このコンデンサ2はコンデンサ本体4と台座6と樹脂層8とを備えている。台座6はコンデンサ本体4に設置され、樹脂層8は台座6とコンデンサ本体4の間の隙間に配置されている。コンデンサ2は回路基板などの配線板に実装可能である。
【0018】
コンデンサ本体4は、単体でコンデンサとして用いることができる。このコンデンサ本体4は、外装ケース12とコンデンサ素子14と封口部材16とを含んでいる。外装ケース12内にコンデンサ素子14が封入され、外装ケース12の開口部に封口部材16が取付けられている。
【0019】
外装ケース12は、たとえば有底筒状のアルミニウムケースである。外装ケース12の開口の先端部はほぼ直角に折り曲げられ、そのため外装ケース12の底とは反対側の端部(以下、「開放端」という)は、平坦面を有している。
【0020】
コンデンサ素子14は、陽極箔と陰極箔の間にセパレータを介在させて巻回させた巻回素子と、巻回素子の同一素子面より導出する端子リード18-1、18-2を含む。このコンデンサ素子14には、電解液を含浸させている。
【0021】
端子リード18-1、18-2は、たとえば導電性のよい金属で形成されている。端子リード18-1は陽極側端子であって、コンデンサ素子14の陽極箔から引き出されるリード部と配線板に実装される端子部とを備える。リード部と端子部は、溶接等により接続され一体化されている。端子リード18-2は陰極側端子であって、コンデンサ素子14の陰極箔から引き出されるリード部と配線板に実装される端子部とを備える。リード部と端子部は溶接等により接続されて一体化されている。リード部は、たとえば円柱状の断面を有する。端子リード18-1、18-2の端子部は相反方向に折曲げられて、折曲げ部20と、折曲げ部20よりも先端側に配置される露出端子部22とを含む。端子部は、露出端子部22において、たとえば矩形形状の断面を有する。つまり、露出端子部22では、端子部が平坦化され、配線板にたとえば平面で対向することができる。端子部は、折曲げ部20よりもリード部側の部分において、たとえば円形状の断面を有する。
【0022】
封口部材16は、たとえば絶縁性ゴムで形成されている。封口部材16は端子リード18-1、18-2に対応する位置に挿通孔24-1、24-2を有している。端子リード18-1、18-2は、それぞれ挿通孔24-1、24-2を貫通して、封口部材16から突出している。
【0023】
台座6は、コンデンサ本体4の封口部材16側に設置されている。台座6は絶縁合成樹脂などの絶縁材で形成されている。この絶縁合成樹脂は、配線板に実装する際の加熱に耐える程度の耐熱性を有していればよく、たとえば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)またはポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル系樹脂、ナイロンなどのポリアミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ユリア樹脂、液晶ポリマー(LCP)、フェノール樹脂、またはエポキシ樹脂である。台座6は、樹脂注入孔26と、貫通孔28と、遮蔽部30と、段部32、34と、挿通孔36-1、36-2と、突出部38-1、38-2と、段差39と、ガイド溝40-1、40-2と、支持部42と、周壁44とを含む。
【0024】
樹脂注入孔26は、樹脂60(図6のB)の注入に用いられる挿通孔の一例であって、挿通孔36-1、36-2からたとえば等距離に形成されている。樹脂注入孔26から注入された樹脂60がコンデンサ本体4および台座6の間の隙間に広がり、樹脂層8が形成される。
【0025】
貫通孔28は、たとえば樹脂注入において樹脂60が最後に流れ込む終端部に形成され、樹脂60の注入経路に沿って終端部に到達した樹脂60の確認に用いられる。この貫通孔28は、樹脂60の注入により押し出される空気の排出にも用いられ、貫通孔28により樹脂60の充填状態の確認が容易になるとともに、空気の排出が容易になる。
【0026】
遮蔽部30は、台座6の本体設置面に設置され、封口部材16に対向している。遮蔽部30は、貫通孔28の周囲部であって貫通孔28と樹脂注入孔26の間に配置され、樹脂60が樹脂注入孔26側から貫通孔28に侵入するのを抑制する。つまり、遮蔽部30は、樹脂60が樹脂層8の形成領域に行き渡る前に貫通孔28が樹脂60で埋まることを抑制する。遮蔽部30は、封口部材16に対向する頂面30-1と、離間部30-2と、蓋部30-3とを含む。遮蔽部30の高さは、封口部材16の外側面と台座6の本体設置面との間の高低差よりも、たとえば0.1~0.6ミリメートル低い。そのため、遮蔽部30の頂面30-1と封口部材16の間に隙間が形成され、樹脂60の侵入により頂面30-1と封口部材16の間の隙間に樹脂層8が延在することができる。樹脂60が隙間を埋めることによりコンデンサ2の密封性が高められる。
【0027】
離間部30-2は、樹脂注入孔26の中心と貫通孔28の中心を通る中心線上であって台座6の周囲部側(つまり、コンデンサ2の中心Oから最も離れた位置)に配置される。遮蔽部30はこの離間部30-2を除き、貫通孔28の周囲を囲っている。このため、注入された樹脂60の先端は、基本的に離間部30-2の近傍に導かれ、離間部30-2を通って貫通孔28に到達する。つまり、離間部30-2を有する遮蔽部30により、樹脂60が台座6と封口部材16の間の隙間の全体に行き渡りやすくなる。離間部30-2の離間距離(つまり、湾曲する遮蔽部30の両端の離間距離)は、たとえば、離間部30-2の直前の樹脂通路幅の1~3倍である。離間距離を狭くすることで、離間部30-2近傍における空気の残留が抑制される。
【0028】
蓋部30-3は、貫通孔28に重なる領域に配置され、貫通孔28を覆っている。蓋部30-3の表面は、頂面30-1の一部を形成している。蓋部30-3が貫通孔28を遮蔽する割合(以下、「遮蔽率」という)が大きいと、遮蔽部30の頂面30-1と封口部材16の間に残留する空間の割合が高くなる。遮蔽率が小さいと、樹脂60が離間部30-2の直前の樹脂通路を流れる前に遮蔽部30を越えた樹脂60で貫通孔28が埋まることになる。遮蔽率の適正範囲は、頂面30-1と封口部材16の間の隙間の大きさ(たとえば0.1~0.6ミリメートル)、注入される樹脂60の粘度や種類、樹脂60の注入圧力、および貫通孔28の直径(たとえば1.0~1.5ミリメートル)、遮蔽部30の高さ(たとえば0.6~1.2ミリメートル)などの関連要因の影響を受ける。本願の発明者は、遮蔽率の実験結果から、遮蔽率の適正範囲の目安がたとえば4~8割であることを突き止めた。そこで、遮蔽率は、既述の関連要因を決定した後の実験により、4~8割の範囲から絞り込まれてもよい。あるいは、遮蔽率は、4~8割の範囲の中央範囲(たとえば5~7割)または中央値(6割)に決定してもよい。
【0029】
図5のAに示すように、貫通孔28に重なる領域および貫通孔28の周辺の領域が、第一領域46および第二領域48に区分される場合、第一領域46における遮蔽部30の遮蔽距離L1は、第二領域48における遮蔽部30の遮蔽距離L2よりも長く、たとえば、蓋部30-3が遮蔽距離L1を遮蔽距離L2よりも長くしている。第一領域46は樹脂注入孔26と貫通孔28の間の領域および貫通孔28に重なる領域として定義され、第二領域48は第一領域46以外の領域として定義される。遮蔽距離L1が遮蔽距離L2よりも長いので、第一領域46における遮蔽部30の樹脂遮蔽機能は、第二領域48における遮蔽部30の樹脂遮蔽機能よりも高くなる。遮蔽距離L1は、たとえば、第一領域46における遮蔽部30のように位置によって異なる距離であり、第二領域48における遮蔽部30のように一定の距離でもよい。遮蔽距離L2は、たとえば、一定の距離であり、位置によって異なる距離でもよい。
【0030】
段部32は、台座6の基板実装面であって、樹脂注入孔26の周りに形成されている。段部32は、たとえば樹脂注入の際に樹脂注入孔26に接続される樹脂注入装置の位置合わせに用いられる。段部32は、樹脂注入孔26の近傍の樹脂60が台座6の基板実装面よりも突出しないようにするための空間を提供する。
【0031】
段部34は、台座6の基板実装面であって、貫通孔28の周りに形成されている。段部34は、貫通孔28の近傍の樹脂60が台座6の基板実装面よりも突出しないようにするための空間を提供する。
【0032】
挿通孔36-1、36-2は、端子リード18-1、18-2に対応する位置に形成されている孔である。コンデンサ本体4から突出している端子リード18-1、18-2は、それぞれ挿通孔36-1、36-2を貫通し、台座6の外側面側、つまり台座6の基板実装面側に引き出されている。挿通孔36-1、36-2は、樹脂注入孔26の中心と貫通孔28の中心を通る中心線から離れており、この中心線に対して、たとえば線対称になるように配置されている。
【0033】
突出部38-1、38-2は、台座6の本体設置面に設置され、封口部材16に対向している。突出部38-1は、挿通孔36-1の周囲に形成され、挿通孔36-1を囲って、樹脂層8と挿通孔36-1とを隔てている。突出部38-2は、挿通孔36-2の周囲に形成され、挿通孔36-2を囲って、樹脂層8と挿通孔36-2とを隔てている。突出部38-1、38-2の高さは、たとえば、封口部材16の外側面と台座6の本体設置面との間の高低差よりも僅かに(たとえば、0.1~0.3ミリメートル)低い。そのため、突出部38-1、38-2と封口部材16の間に隙間が形成される。樹脂注入孔26から注入された樹脂60が突出部38-1、38-2と封口部材16の間の隙間に侵入でき、樹脂層8がこの隙間に延在することができる。樹脂60が隙間を埋めることによりコンデンサ2の密封性が高められる。
【0034】
突出部38-1、38-2は、封口部材16と対向する表面に複数の溝部50を有している。溝部50は、突出部38-1、38-2の外側面から挿通孔36-1、36-2に延びて通気路または樹脂通路を形成する。溝部50は、樹脂注入により押し出される空気または樹脂60を挿通孔36-1、36-2に導くことができる。溝部50の幅、深さ、設置間隔または設置個数は、空気または樹脂60の通過量を考慮して適宜に設定されればよく、たとえば、3本から8本が好適である。また、溝部50は、樹脂注入孔26と対向する部分に設置しないことが好ましい。樹脂注入孔26と対向する部分は、樹脂注入孔26から注入された樹脂60が直線的に流れる場所でもある。そのため、溝部50が、樹脂注入孔26と対向する部分に設置されていると、挿通孔36-1、36-2に樹脂60が侵入しやすく、樹脂60が挿通孔36-1、36-2から流出する恐れがあるが、溝部50を樹脂注入孔26と対向する部分に形成しないことで、このような現象をより抑制できる。挿通孔36-1、36-2は、段部52を有し、段部52よりも封口部材16側に配置される小孔部54と、段部52よりも基板実装面側に配置される大孔部56とを含む。
【0035】
段部52は、端子リード18-1、18-2の折曲げ部20よりも封口部材16側であって折曲げ部20に隣接する位置に配置される。段部52は、挿通孔36-1、36-2内の樹脂60が毛細管現象により基板実装面に移動するのを抑制する。段部52は、コンデンサ2の中心O側で幅W1を有し、コンデンサ2の側部側で幅W2を有する。幅W1は、たとえば幅W2よりも大きく、そのためコンデンサ2の中心O側で折曲げ部20近傍の空間が確保されている。
【0036】
本体設置面および基板実装面に平行な面において、小孔部54は、たとえば角が丸められている長方形の断面形状を有し、端子リード18-1、18-2の端子部の断面(矩形形状の断面および円形状の断面)よりも大きな断面を有する。図5のAに示されている小孔部54の断面積S1は、本体設置面および基板実装面に平行な面における小孔部54の面積であって、たとえば以下の式(1)を満たす。断面積S1は、挿通孔36-1または挿通孔36-2の最小断面積である。
S1<S2+S3 ・・・(1)
S2: 遮蔽部30の頂面30-1に囲まれている頂部開口面積
S3: 離間部30-2により形成される側部開口面積
【0037】
断面積S1が頂部開口面積S2と側部開口面積S3の合計面積よりも小さいと、小孔部54において、ある程度の流動抵抗が得られる。小孔部54は折曲げ部20に隣接する段部52まで延びており、比較的大きな高さHを有する。そのため、流動抵抗を有する領域の距離が長くなり、樹脂60の侵入抑制効果が高くなる。樹脂60の侵入を小孔部54に留めることができる。
【0038】
本体設置面および基板実装面に平行な面において、小孔部54と端子リード18-1または端子リード18-2の間の隙間の断面積S4が以下の式(2)を満たすことが好ましい。
S4=S1-S5<S2+S3 ・・・(2)
S5: 小孔部54における端子リード18-1または端子リード18-2の断面積
【0039】
断面積S4が頂部開口面積S2と側部開口面積S3の合計面積よりも小さいと、小孔部54における樹脂60の流動抵抗が、たとえば貫通孔28における樹脂60の流動抵抗よりも大きくなる。そのため、大きい流動抵抗を有する領域の距離が長くなり、樹脂60の侵入抑制効果が一層高くなる。
【0040】
段差39は、突出部38-1、38-2の周囲および突出部38-1、38-2の間に形成される。段差39は、たとえば、突出部38-1、38-2の間の間隙を通る樹脂60の流量を調整する。また、段差39は、たとえば、段部52の形成に必要な厚さを台座6に与える。段差39は、たとえば傾斜面57を有してもよい。傾斜面57は、段差39への樹脂60の衝突を緩和させるとともに段差39の近傍における空気の残留を抑制する。
【0041】
ガイド溝40-1、40-2は、台座6の基板実装面に形成され、挿通孔36-1、36-2から外側(台座6の外縁側)に延びている。折曲げられた端子リード18-1、18-2の露出端子部22は、ガイド溝40-1、40-2に配置されている。なお、ガイド溝40-1、40-2は、露出端子部22の外側に形成された複数のガイド突起により形成されてもよい。ガイド溝40-1、40-2は、実装時のコンデンサ2の安定性を確保することに寄与する。
【0042】
周壁44は、台座6の周囲部であって外装ケース12の開放端の外側に配置され、外装ケース12の開放端を囲っている。周壁44の内側面は、有底筒状の外装ケース12の外周に沿わせるため、円形状を有する。周壁44は、突出部38-1、38-2より高くてもよく、突出部38-1、38-2と同じ高さまたは突出部38-1、38-2より低くてもよい。
【0043】
支持部42は、台座6の基板実装面であって、台座6の角部の近傍に形成されている。支持部42は、コンデンサ2が配線板に実装された状態において、点接触によりコンデンサ2の姿勢を安定させることができる。支持部42が配線板に接触するとき、端子リード18-1、18-2の露出端子部22は、配線板からわずかに離間する。この露出端子部22と配線板の間の隙間により、接続に必要なはんだの厚さを確保することができる。
【0044】
樹脂層8は、外装ケース12の開放端の内側であって、台座6と封口部材16の間に備えられる。この樹脂層8は、コンデンサ本体4と台座6とを密着させ、台座6とともに封口部材16の外側面を封止する。また、樹脂層8は、外装ケース12および封口部材16に対する台座6の結合力を強め、コンデンサ本体4および台座6の一体性を高める。樹脂層8は部分的に封口部材16の外側面を単独で封止してもよい。
【0045】
樹脂層8は、たとえば、挿通孔36-1、36-2の小孔部54の一部または全体に延在し、コンデンサ2の密封性が高められている。樹脂層8は、たとえば、大孔部56に延在しておらず、端子リード18-1、18-2の折曲げ部20が樹脂60に覆われることなく露出している。折曲げ部20が露出しているので、はんだを折曲げ部20に付着させることができ、はんだによるコンデンサ2の接続強度を高めることができる。コンデンサ2の高い接続強度は、たとえばコンデンサ2の耐振性を高める。
【0046】
樹脂層8を形成する樹脂60は、たとえば封口部材16の外側を封止する封止樹脂であって、充填時には液状であるが、充填後に固化する。充填時には、液状の樹脂60がコンデンサ本体4と台座6の間の隙間と、小孔部54の一部または全体を満たし、充填後には、樹脂60が固化して樹脂層8を形成する。樹脂層8を形成する樹脂60は、台座6、外装ケース12および封口部材16に対して親和性があり、気体の遮断性を有すればよく、アルミニウムの線膨張係数(約23×10-6/℃)に近い線膨張係数を有し、硬化する際の収縮量が少なく、非吸湿性を有することが好ましい。樹脂60は、たとえばエポキシ樹脂、アルキッド系樹脂、ウレタン樹脂、熱硬化性樹脂、または紫外線硬化樹脂であればよい。また、エポキシ樹脂は、たとえば酸無水物を用いた二液混合型のエポキシ樹脂であってもよいし、一液型のエポキシ樹脂であってもよい。このような材料から形成された樹脂層8は、固化状態において、コンデンサ2を配線板に設置する際の熱処理温度(たとえば270℃)に対して耐熱性を有する。
【0047】
図6は、コンデンサの製造工程における樹脂60の注入工程の一例を示している。図7は、樹脂60の充填状態の変化を説明するためのイメージを示している。図6に示されている工程および図7に示されているイメージは一例であり、図6に示されている工程および図7に示されているイメージにより本開示の技術が限定されるものではない。
【0048】
コンデンサの製造工程は、本開示のコンデンサの製造方法の一例であって、この製造工程は、コンデンサ本体4の作製工程、台座6の作製工程、台座6の取付工程、端子リード18-1、18-2の成形工程、樹脂60の注入工程、および樹脂60の硬化工程を含む。
【0049】
コンデンサ本体4の作製工程では、先ず、端子リード18-1を接続した陽極箔と端子リード18-2を接続した陰極箔の間にセパレータを介在させてこれらを巻回して、コンデンサ素子14を形成する。コンデンサ素子14に電解液を含浸させ、このコンデンサ素子14を外装ケース12に封入後、外装ケース12の開口部に封口部材16が取付けられ、コンデンサ本体4が作製および準備される。外装ケース12は、たとえばアルミニウムから形成される。
【0050】
台座6の作製工程では、たとえば、金型を用いた樹脂成型により、既述の形状を有する台座6を絶縁合成樹脂から作製して、台座6を準備する。
【0051】
台座6の取付工程では、台座6の挿通孔36-1、36-2にコンデンサ本体4の端子リード18-1、18-2を貫通させる。そして、台座6を移動させて台座6をコンデンサ本体4の封口部材16側に取付ける。この取付工程では、台座6の突出部38-1、38-2を封口部材16側に配置させる。
【0052】
端子リード18-1、18-2の成形工程では、端子リード18-1、18-2が台座6のガイド溝40-1、40-2に沿って折り曲げられる。段部52に隣接する位置であって大孔部56の中に端子リード18-1、18-2の折曲げ部20が形成され、端子リード18-1、18-2の露出端子部22がガイド溝40-1、40-2に配置される。この成形工程により、台座6がコンデンサ本体4に固定される。
【0053】
樹脂60の注入工程では、コンデンサ本体4の移動が規制され、図6のAに示されるように、ディスペンサなどの樹脂吐出装置の樹脂吐出部58が台座6の樹脂注入孔26に押当てられる。そして、液状の樹脂60が樹脂注入孔26から注入される。液状の樹脂60は、コンデンサ本体4と台座6の間の隙間に充填される。図6のB、図7のA、図7のBに示されるように、樹脂60は樹脂注入孔26の周囲に広がり、部分的に突出部38-1、38-2に衝突し、部分的に突出部38-1、38-2の間および突出部38-1、38-2の外側を通って貫通孔28側に流れる。
【0054】
図7のAに示すように、突出部38-1、38-2に衝突した樹脂60は、たとえば、突出部38-1、38-2と封口部材16の間の隙間に侵入し、流動抵抗により、この隙間または小孔部54の中で停止する。突出部38-1、38-2の間を通った樹脂60は、遮蔽部30に衝突して左右に分かれるとともに、遮蔽部30の頂面30-1と封口部材16の間の隙間に侵入する。頂面30-1と封口部材16の間の樹脂60は、流動抵抗のため減速または停止する。左右に分かれた樹脂60は、基本的には遮蔽部30に沿って離間部30-2に向かうため、強い勢いで遮蔽部30に衝突することがない。そのため、遮蔽部30の遮蔽距離L2が遮蔽距離L1よりも短くても、樹脂60が頂面30-1と封口部材16の間に侵入することが抑制される。突出部38-1、38-2の外側を通った樹脂60は、封口部材16の縁部に沿って離間部30-2に向かう。図7のBに示されるように、樹脂60の注入工程の最終段階において、樹脂60は離間部30-2およびその近傍を除き充填される。樹脂60は最終的に離間部30-2に到達し、貫通孔28に侵入する。
【0055】
樹脂60の注入工程では、たとえば、監視カメラが貫通孔28の内部を監視する。図6のCに示されるように、たとえば、貫通孔28の内部全体に樹脂60が確認されると、樹脂60の注入を停止する。貫通孔28の内部の一部に樹脂60が確認されると、樹脂60の注入を停止してもよい。樹脂注入の停止により、樹脂60の注入工程を終了する。
【0056】
樹脂60の硬化工程では、注入された樹脂60をたとえば加熱する。加熱された樹脂60は、硬化前に粘度が低下する。低粘度化された樹脂60は、突出部38-1、38-2と封口部材16の間の隙間の樹脂60の量を増加させてもよく、小孔部54内の樹脂60の量を増加させてもよく、頂面30-1と封口部材16の間の隙間の樹脂60の量を増加させてもよく、貫通孔28内の樹脂60の量を増加させてもよい。つまり、樹脂60の硬化工程において、樹脂60または樹脂層8が封口部材16の外側表面を覆う割合(以下、「被覆率」という)を上昇させてもよい。挿通孔36-1、36-2の段部52は、毛細管現象による低粘度化された樹脂60の移動を抑制でき、大孔部56への樹脂60の侵入を抑制できる。
【0057】
実施の形態によれば、たとえば以下の効果が得られる。
【0058】
(1) 樹脂層8が突出部38-1、38-2と封口部材16の間の隙間、小孔部54の内部、遮蔽部30の頂面30-1と封口部材16の間の隙間、および貫通孔28の内部に延在するので、樹脂層8が封口部材16の表面を覆う面積および既述の被覆率が大きくなり、コンデンサ2の密封性が向上する。
【0059】
(2) 断面積S1または断面積S4が抑制されているので、小孔部54における流動抵抗が比較的高い。また、小孔部54の高さHが比較的大きいので、比較的高い流動抵抗を有する領域の長さが比較的長い。そのため、小孔部54における樹脂60の移動が抑制でき、樹脂層8の延在の端部を小孔部54までに抑えることができる。
【0060】
(3) 端子リード18-1、18-2の折曲げ部20が露出しているので、はんだを折曲げ部20に付着させることができ、コンデンサ2の接続強度を高めることができ、たとえば、コンデンサ2の耐振性を高めることができる。
【0061】
(4) 突出部38-1、38-2および遮蔽部30が、それぞれ挿通孔36-1、36-2および貫通孔28を囲い、突出部38-1、38-2と遮蔽部30は互に離れている。そのため、樹脂60の注入工程において、注入された樹脂60が隙間内を比較的自由に移動できる。樹脂60が突出部38-1、38-2の間の間隙を通過するので、たとえば、突出部38-1、38-2と封口部材16の間の隙間に侵入しようとする樹脂60の圧力が抑制され、樹脂60が挿通孔36-1、36-2に侵入することが抑制される。突出部38-1、38-2、遮蔽部30などの遮蔽物の設置により、樹脂60の漏出を抑制することができる。
【0062】
実施の形態について、特徴事項、利点または変形例等を以下に列挙する。
【0063】
(1) コンデンサ本体4、台座6および樹脂層8の素材は、実施の形態で述べた素材に限定されない。これらの素材は、電解コンデンサ、電気二重層コンデンサまたは類似のコンデンサで採用されている他の素材でもよい。実施の形態のコンデンサ2は、コンデンサ素子14に電解液を含浸することにより形成される電解コンデンサであるが、コンデンサ2は電解コンデンサに限らない。コンデンサ2は、コンデンサ素子14に導電性高分子を含浸することにより形成される固体電解質層を有する固体電解コンデンサでもよく、導電性高分子を含浸したコンデンサ素子14に電解液を含浸させることにより形成されるハイブリッド型コンデンサでもよい。
【0064】
(2) 上記実施の形態では、折曲げ部20が露出している。しかしながら、折曲げ部20は樹脂層8に埋没していてもよい。折曲げ部20の露出または埋没に関わらず、樹脂層8が封口部材16の表面を覆う面積を大きくすることができ、コンデンサ2の密封性が向上できる。
【0065】
(3) 第一領域46における遮蔽部30の遮蔽距離L1は、第二領域48における遮蔽部30の遮蔽距離L2と同じか小さくてもよい。段部52の幅W1は、幅W2と同じか小さくてもよい。また、挿通孔36-1、36-2の段部52が折曲げ部20から比較的離れ、小孔部54の高さHが低くてもよい。樹脂層8が突出部38-1、38-2と封口部材16の間に延在しなくてもよい。台座6は段差39を含まなくてもよい。樹脂層8が頂面30-1と封口部材16の間の隙間の少なくとも一部に延在すれば、樹脂層8が封口部材16の表面を覆う面積を大きくすることができ、コンデンサ2の密封性が向上できる。挿通孔36-1、36-2は、階段状に形成された複数の段部52を有していてもよい。
【0066】
(4) 突出部38-1、38-2および遮蔽部30の形状は、既述の形状に限定されることなく、適宜変更してもよい。たとえば、突出部38-1、38-2の溝部50は、必要に応じて設置してもよい。遮蔽部30では、第一領域46における遮蔽部30が第二領域48における遮蔽部30よりも厚くてもよく、厚さの相違により遮蔽距離L1が遮蔽距離L2よりも長くてもよい。つまり、実施の形態では、蓋部30-3が貫通孔28に重なっているが、蓋部30-3に相当する遮蔽部30が台座6の基板実装面まで延びて、第一領域46における遮蔽部30が厚くなっていてもよい。この場合、第二領域48における遮蔽部30からの厚さの増加分が蓋部30-3に相当し、既述の遮蔽率の適正範囲に基づき、蓋部30-3に相当する部分の大きさが調整されてもよい。
【0067】
(5) 上記実施の形態では、樹脂60が最終的に離間部30-2に到達し、貫通孔28に侵入する。しかしながら、離間部30-2に到達した樹脂60が貫通孔28に侵入する前に、遮蔽部30を越えた樹脂60が貫通孔28を部分的に埋めてもよい。遮蔽部30は、遮蔽部30を越える樹脂60の量を抑制するので、離間部30-2に到達した樹脂60が貫通孔28を最終的に埋めることができ、貫通孔28が最終的に埋められた後に樹脂60の注入を停止することができる。
【0068】
以上説明したように、本開示の最も好ましい実施の形態等について説明したが、本開示の技術は、上記記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載され、または明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能であることは勿論であり、斯かる変形や変更が、本開示の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本開示の技術は、広く電子機器に利用でき、有用である。
【符号の説明】
【0070】
2 コンデンサ
4 コンデンサ本体
6 台座
8 樹脂層
12 外装ケース
14 コンデンサ素子
16 封口部材
18-1、18-2 端子リード
20 折曲げ部
22 露出端子部
24-1、24-2、36-1、36-2 挿通孔
26 樹脂注入孔
28 貫通孔
30 遮蔽部
30-1 頂面
30-2 離間部
30-3 蓋部
32、34、52 段部
38-1、38-2 突出部
39 段差
40-1、40-2 ガイド溝
42 支持部
44 周壁
46 第一領域
48 第二領域
50 溝部
54 小孔部
56 大孔部
57 傾斜面
58 樹脂吐出部
60 樹脂

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7