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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042814
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】電池セル
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/169 20210101AFI20240322BHJP
   H01M 50/103 20210101ALI20240322BHJP
   H01M 50/15 20210101ALI20240322BHJP
   H01M 50/121 20210101ALI20240322BHJP
   H01M 50/159 20210101ALI20240322BHJP
   H01M 50/16 20210101ALI20240322BHJP
【FI】
H01M50/169
H01M50/103
H01M50/15
H01M50/121
H01M50/159
H01M50/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147683
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社AESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(74)【代理人】
【識別番号】100127236
【弁理士】
【氏名又は名称】天城 聡
(72)【発明者】
【氏名】大岡 愛佳
【テーマコード(参考)】
5H011
【Fターム(参考)】
5H011AA09
5H011DD06
5H011FF03
(57)【要約】
【課題】外装フィルムの封止部の突出を抑える。
【解決手段】電池セル10は、電池要素100と、電池要素100の端部を覆う前方蓋材210と、電池要素100の周りに巻き付けられた巻付部分302と、巻付部分302から引き出された引出部分304と、を有している。巻付部分302の少なくとも一部分と、引出部分304の少なくとも一部分と、は互いに接合されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池要素と、
前記電池要素の端部を覆う蓋材と、
前記電池要素の周りに巻き付けられた巻付部分と、前記巻付部分から引き出された引出部分と、を有する外装フィルムと、
を備え、
前記巻付部分の少なくとも一部分と、前記引出部分の少なくとも一部分と、が互いに接合されている、電池セル。
【請求項2】
前記巻付部分及び前記引出部分の接合部が、前記電池要素の所定方向に向けられた面の少なくとも一部分と重なっている、請求項1に記載の電池セル。
【請求項3】
前記電池要素が、前記端部と前記端部の反対側の他の端部との間の所定の第1方向の長さと、前記第1方向に直交する第2方向の幅と、前記幅より短く前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向の厚さと、を有し、
前記巻付部分及び前記引出部分の接合部が、前記電池要素の前記第3方向に略垂直な面の少なくとも一部分と重なっている、請求項1に記載の電池セル。
【請求項4】
前記電池要素が、前記端部と前記端部の反対側の他の端部との間の所定の第1方向の長さと、前記第1方向に直交する第2方向の幅と、前記幅より短く前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向の厚さと、を有し、
前記巻付部分及び前記引出部分の接合部が、前記電池要素の前記第2方向に略垂直な面の少なくとも一部分と重なっている、請求項1に記載の電池セル。
【請求項5】
前記巻付部分及び前記引出部分の接合部が前記電池要素の周囲の下方以外のいずれかの部分に位置する、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リチウムイオン二次電池セル等の電池セルの様々な構造が開発されている。例えば、特許文献1及び2に記載されている電池セルは、電池要素、2つの蓋材及び外装フィルムを備えている。2つの蓋材は、電池要素の長手方向の両端部を覆っている。外装フィルムは、電池要素の長手方向の周りに巻き付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/157731号
【特許文献2】特開2011-108623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1に記載されている電池セルにおいて、外装フィルムは、電池要素に巻き付けられた巻付部分と、巻付部分から引き出された2つの引出部分と、を有している。2つの引出部分が互いに接合されて封止部が形成されている。しかしながら、この構造においては、封止部の突出を抑えるためには、封止部を折り曲げる必要がある。
【0005】
本発明の目的の一例は、外装フィルムの封止部の突出を抑えることにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、以下のとおりである。
[1]
電池要素と、
前記電池要素の端部を覆う蓋材と、
前記電池要素の周りに巻き付けられた巻付部分と、前記巻付部分から引き出された引出部分と、を有する外装フィルムと、
を備え、
前記巻付部分の少なくとも一部分と、前記引出部分の少なくとも一部分と、が互いに接合されている、電池セル。
[2]
前記巻付部分及び前記引出部分の接合部が、前記電池要素の所定方向に向けられた面の少なくとも一部分と重なっている、[1]に記載の電池セル。
[3]
前記電池要素が、前記端部と前記端部の反対側の他の端部との間の所定の第1方向の長さと、前記第1方向に直交する第2方向の幅と、前記幅より短く前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向の厚さと、を有し、
前記巻付部分及び前記引出部分の接合部が、前記電池要素の前記第3方向に略垂直な面の少なくとも一部分と重なっている、[1]に記載の電池セル。
[4]
前記電池要素が、前記端部と前記端部の反対側の他の端部との間の所定の第1方向の長さと、前記第1方向に直交する第2方向の幅と、前記幅より短く前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向の厚さと、を有し、
前記巻付部分及び前記引出部分の接合部が、前記電池要素の前記第2方向に略垂直な面の少なくとも一部分と重なっている、[1]に記載の電池セル。
[5]
前記巻付部分及び前記引出部分の接合部が前記電池要素の周囲の下方以外のいずれかの部分に位置する、[1]~[4]のいずれか一に記載の電池セル。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記態様によれば、外装フィルムの封止部の突出を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る電池セルの右側面図である。
図2図1のA-A断面模式図である。
図3】実施形態に係る電池セルの製造方法の一例を説明するための図である。
図4】変形例に係る電池セルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態及び変形例について、図面を用いて説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0010】
図1は、実施形態に係る電池セル10の右側面図である。図2は、図1のA-A断面模式図である。図1では、説明のため、外装フィルム300を透過させた状態で図示している。
【0011】
各図には、説明のため、X方向、Y方向及びZ方向が付されている。X方向は、電池セル10の前後方向を示している。Y方向は、X方向に直交している。Y方向は、電池セル10の左右方向を示している。Z方向は、X方向及びY方向の双方に直交している。Z方向は、電池セル10の上下方向を示している。X方向を示す矢印によって指し示される方向、Y方向を示す矢印によって指し示される方向及びZ方向を示す矢印によって指し示される方向は、それぞれ、後方向、左方向及び上方向である。ただし、電池セル10のX方向、Y方向、Z方向、前後方向、左右方向及び上下方向の関係は、この例に限定されない。
【0012】
なお、X方向、Y方向又はZ方向を示すX付き白丸は、紙面の手前から奥に向かう方向が当該方向を示す矢印によって指し示される方向であることを示している。
【0013】
電池セル10は、電池要素100、正極タブ110、負極タブ120、前方蓋材210、後方蓋材220及び外装フィルム300を備えている。外装フィルム300は、巻付部分302及び引出部分304を有している。
【0014】
電池要素100は、略直方体形状となっている。電池要素100の長手方向は、X方向に略平行となっている。電池要素100のX方向の長さは、以下に限定されないが、例えば、300mm以上500mm以下、好ましくは450mm以下である。電池要素100の短手方向は、Z方向に略平行となっている。電池要素100のZ方向の幅は、以下に限定されないが、例えば、90mm以上130mm以下、好ましくは120mm以下である。電池要素100の厚み方向は、Y方向に略平行となっている。電池要素100のY方向の厚さは、以下に限定されないが、例えば、20mm以上50mm以下、好ましくは45mm以下である。ただし、電池要素100の形状は、この例に限定されない。
【0015】
電池要素100は、不図示の少なくとも1つの正極、不図示の少なくとも1つの負極及び不図示の少なくとも1つのセパレータを有している。例えば、複数の正極及び複数の負極がY方向に交互に積層されている。セパレータの少なくとも一部分は、Y方向に隣り合う正極及び負極の間に位置している。例えば、複数枚のシート状のセパレータの各々がY方向に隣り合う正極及び負極の間に位置していてもよい。或いは、1枚のシート状のセパレータがY方向に隣り合う正極及び負極の間の領域を通過するつづら折り形状になっていてもよい。或いは、正極、負極及びセパレータは、セパレータが正極及び負極の間に配置されるように巻回されていてもよい。一例において、正極及び負極の一方の両面がセパレータによって覆われた状態で正極、負極及びセパレータは巻回されている。他の例において、正極、セパレータ及び負極をこの順に含む単位積層体を複数含む積層体が巻回されていてもよい。ただし、正極、負極及びセパレータの巻回構造は、これらの例に限定されない。
【0016】
正極タブ110は、電池要素100の前方に配置されている。正極タブ110の後端部は、正極集電体102aに電気的に接続されている。正極集電体102aは、電池要素100の正極から前方に向けて引き出されている。これによって、正極タブ110は、電池要素100の正極に電気的に接続されている。
【0017】
負極タブ120は、電池要素100の後方に配置されている。負極タブ120の前端部は、負極集電体104aに電気的に接続されている。負極集電体104aは、電池要素100の負極から後方に向けて引き出されている。これによって、負極タブ120は、電池要素100の負極に電気的に接続されている。
【0018】
前方蓋材210は、電池要素100の前端部を覆っている。前方蓋材210は、例えば、樹脂、金属等からなっている。前方蓋材210の前面からは、正極タブ110の前端部が突出している。前方から見て、前方蓋材210は、略長方形形状となっている。前方から見て、前方蓋材210の長手方向はZ方向に略平行となっており、前方蓋材210の短手方向はY方向に略平行となっている。
【0019】
後方蓋材220は、電池要素100の後端部を覆っている。後方蓋材220は、例えば、樹脂、金属等からなっている。後方蓋材220の後面からは、負極タブ120の後端部が突出している。後方から見て、後方蓋材220は、略長方形形状となっている。後方から見て、後方蓋材220の長手方向はZ方向に略平行となっており、後方蓋材220の短手方向はY方向に略平行となっている。
【0020】
巻付部分302は、前方及び後方の双方に向けて開口した略筒形状となっている。これによって、巻付部分302は、内周面302a及び外周面302bを有している。内周面302aは、外装フィルム300の電池要素100のX方向の周りの内側に位置している。外周面302bは、外装フィルム300の電池要素100のX方向の周りの外側に位置している。
【0021】
巻付部分302の前方の開口の内部には、前方蓋材210が配置されている。巻付部分302の後方の開口の内部には、後方蓋材220が配置されている。巻付部分302は、電池要素100、前方蓋材210及び後方蓋材220のX方向の周りに1周巻き付けられている。これによって、前方蓋材210、後方蓋材220及び巻付部分302は、電池要素100を収容する収容空間500を形成している。収容空間500には、電池要素100とともに、不図示の電解液が収容されている。
【0022】
前方蓋材210のX方向の周りの外周面と、巻付部分302の前方の開口のX方向の周りの内周面302aと、は例えば熱融着によって互いに接合されている。これによって、電池要素100の前方に前方封止部510が形成されている。
【0023】
後方蓋材220のX方向の周りの外周面と、巻付部分302の後方の開口のX方向の周りの内周面302aと、は例えば熱融着によって互いに接合されている。これによって、電池要素100の後方に後方封止部520が形成されている。
【0024】
図2に示すように、前方から見て、引出部分304は、巻付部分302の電池要素100の右下側の角に位置する一端から引き出されている。引出部分304は、電池要素100の右側面に沿って折り曲げられている。これによって、引出部分304は、内面304a及び外面304bを有している。内面304aは、電池要素100が位置する側に位置している。外面304bは、電池要素100が位置する側の反対側に位置している。電池要素100の右側面側において、巻付部分302の外周面302bと、引出部分304の内面304aと、は例えば熱融着によって互いに接合されている。これによって、電池要素100の右方に側方封止部530が形成されている。すなわち、側方封止部530は、巻付部分302及び引出部分304の接合部を含んでいる。側方封止部530は、電池要素100の右側面に沿って形成されている。したがって、側方封止部530を折り曲げることなく側方封止部530の突出を抑えることができる。
【0025】
外装フィルム300の電池要素100のX方向の周りの内周面及び外周面は、例えば、ポリプロピレン(PP)樹脂等の熱可塑性樹脂にすることができる。この例では、巻付部分302の外周面302b及び引出部分304の内面304aを熱可塑性樹脂にすることができる。したがって、熱融着によって巻付部分302の外周面302b及び引出部分304の内面304aを接合しやすくすることができる。
【0026】
実施形態において、電池要素100のY方向の厚さは、電池要素100のZ方向の幅より短くなっている。この場合、電池要素100のY方向の両側の側面は、電池要素100のZ方向の両側の側面よりも平坦にすることができる。例えば、複数の正極、複数の負極及び複数のセパレータが電池要素100の厚み方向に積層されている場合、電池要素100の幅方向の両側の側面には、各正極、各負極及び各セパレータの端部が位置している。或いは、セパレータが、電池要素100の厚み方向に交互に積層された正極及び負極の間の領域を通過するつづら折り形状である場合、電池要素100の幅方向の両側の側面には、セパレータの折り返しが存在している。或いは、正極、負極及びセパレータが巻回されている場合、電池要素100の幅方向の両側の側面には、正極、負極及びセパレータの折り曲げが存在している。したがって、電池要素100のこれらのいずれの構造においても、電池要素100のY方向の両側の側面は、電池要素100のZ方向の両側の側面よりも平坦にすることができる。実施形態において、側方封止部530は、電池要素100のY方向に略垂直な面の少なくとも一部分と重なっている。具体的には、側方封止部530は、電池要素100の右方向に向けられた面の少なくとも一部分と重なっている。したがって、側方封止部530を電池要素100の比較的平坦性が面に沿って配置することができる。このため、側方封止部530が電池要素100のZ方向に略垂直な面と重なっている場合と比較して、側方封止部530を容易に形成することができる。
【0027】
一例において、複数の電池セル10がY方向に積層されて電池モジュールが構成されることがある。この例において、各電池セル10の下面は、平坦であることが望ましい。実施形態においては、側方封止部530が電池要素100の側方に位置しており、電池要素100の下方に位置していない。このため、側方封止部530が電池要素100の下方に位置する場合と比較して、電池セル10の下面を平坦にすることができる。側方封止部530が設けられる位置は、実施形態に係る位置に限定されない。側方封止部530は、例えば、電池要素100の上方に位置していてもよい。すなわち、側方封止部530は、電池要素100のX方向の周囲の下方以外のいずれかの部分に位置させることができる。
【0028】
図2に示す例において、引出部分304のZ方向の長さは、電池要素100のZ方向の幅と略等しくなっている。すなわち、側方封止部530は、電池要素100の右側面の略全体と重なっている。しかしながら、引出部分304のZ方向の長さは、電池要素100のZ方向の幅より短くてもよい。例えば、引出部分304のZ方向の長さは、電池要素100のZ方向の幅の50%以下であってもよい。すなわち、側方封止部530は、電池要素100の右側面の一部分のみと重なっていてもよい。
【0029】
図3は、実施形態に係る電池セル10の製造方法の一例を説明するための図である。図3において、Y方向を示す矢印によって指し示される方向及びZ方向を示す矢印によって指し示される方向は、それぞれ、下方向及び左方向である。この例において、電池セル10は、以下のようにして製造されている。
【0030】
まず、電池要素100を製造する。電池要素100は、少なくとも1つの正極、少なくとも1つの負極及び少なくとも1つのセパレータを有している。
【0031】
次いで、正極タブ110と、前方蓋材210と、を互いに接合させる。同様にして、負極タブ120と、後方蓋材220と、を互いに接合させる。次いで、正極タブ110と、正極集電体102aと、を互いに接合させる。同様にして、負極タブ120と、負極集電体104aと、を互いに接合させる。ただし、正極タブ110と正極集電体102aとを互いに接合させた後、正極タブ110と前方蓋材210とを互いに接合させてもよい。同様にして、負極タブ120と負極集電体104aとを互いに接合させた後、負極タブ120と後方蓋材220とを互いに接合させてもよい。
【0032】
次いで、外装フィルム300を電池要素100のX方向の周りに1周巻き付ける。これによって、巻付部分302が形成される。また、外装フィルム300の余長が引出部分304として引き出される。図3に示す例では、前方から見て、巻付部分302の電池要素100のX方向の周りの右上側の角に位置する一端から引出部分304が引き出されている。また、電池要素100の上方において、巻付部分302の外周面302b及び引出部分304の内面304aは互いに対向している。
【0033】
次いで、図3に示すように、電池要素100の上面と、巻付部分302の内周面302aと、の間に基材602を配置させる。基材602は、例えば、比較的高硬度の板材である。基材602を電池要素100の上面と巻付部分302の内周面302aとの間に配置させた状態で、引出部分304の上方から熱プレス600によって巻付部分302及び引出部分304をY方向に熱プレスする。これによって、巻付部分302の外周面302b及び引出部分304の内面304aが熱融着によって互いに接合される。このようにして、側方封止部530が形成される。次いで、基材602を収容空間500から取り出す。
【0034】
次いで、前方蓋材210のX方向の周りの外周面と、巻付部分302の前方の開口のX方向の周りの内周面302aと、を熱融着によって互いに接合する。これによって、前方封止部510が形成される。次いで、後方蓋材220のX方向の周りの外周面と、巻付部分302の後方の開口のX方向の周りの内周面302aと、を熱融着によって互いに接合する。これによって、前方封止部510が形成される。
【0035】
次いで、収容空間500に電解液を注入する。例えば、前方蓋材210及び後方蓋材220の少なくとも一方に設けられた注液孔を介して電解液が注入される。次いで、収容空間500を真空封止する。例えば、当該注液孔を介して収容空間500が真空引きされる。この例では、収容空間500が真空封止された後、当該注液孔が所定の蓋材によって塞がれる。
【0036】
このようにして、電池セル10が製造される。
【0037】
図4は、変形例に係る電池セル10Aの断面図である。変形例に係る電池セル10Aは、以下の点を除いて、実施形態に係る電池セル10と同様である。
【0038】
変形例に係る外装フィルム300Aは、巻付部分302A及び引出部分304Aを有している。巻付部分302Aは、内周面302aA及び外周面302bAを有している。引出部分304Aは、内面304aA及び外面304bAを有している。
【0039】
図4に示すように、前方から見て、引出部分304Aは、巻付部分302Aの電池要素100の右上側の角に位置する一端から引き出されている。引出部分304Aは、電池要素100の上側面に沿って折り曲げられている。電池要素100の上側面側において、巻付部分302Aの外周面302bAと、引出部分304Aの内面304aAと、は例えば熱融着によって互いに接合されている。これによって、電池要素100の上方に側方封止部530Aが形成されている。すなわち、側方封止部530Aは、巻付部分302A及び引出部分304Aの接合部を含んでいる。側方封止部530Aは、電池要素100の上側面に沿って形成されている。したがって、側方封止部530Aを折り曲げることなく側方封止部530Aの突出を抑えることができる。
【0040】
一例において、複数の電池セル10AがY方向に積層されて電池モジュールが構成されることがある。変形例において、側方封止部530Aは、電池要素100のZ方向に略垂直な面の少なくとも一部分と重なっている。具体的には、側方封止部530Aは、電池要素100の上方向に向けられた面の少なくとも一部分と重なっている。したがって、変形例では、側方封止部530Aが電池要素100のY方向に垂直な面の少なくとも一部分と重なっている場合と比較して、Y方向に隣り合う電池セル10Aの間に側方封止部530Aが存在しない分、電池モジュールのY方向の長さを短くすることができる。このため、変形例では、側方封止部530Aが電池要素100のY方向に略垂直な面の少なくとも一部分と重なっている場合と比較して、電池モジュールの体積効率を向上させることができる。
【0041】
図4に示す例において、引出部分304AのY方向の長さは、電池要素100のY方向の厚さと略等しくなっている。すなわち、側方封止部530Aは、電池要素100の上側面の略全体と重なっている。しかしながら、引出部分304AのY方向の長さは、電池要素100のY方向の厚さより短くてもよい。例えば、引出部分304AのY方向の長さは、電池要素100のY方向の厚さの50%以下であってもよい。すなわち、側方封止部530Aは、電池要素100の上側面の一部分のみと重なっていてもよい。
【0042】
以上、図面を参照して本発明の実施形態及び変形例について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【0043】
例えば、実施形態では、正極タブ110及び負極タブ120が電池要素100のX方向の互いに反対側に配置されている。しかしながら、正極タブ110及び負極タブ120の双方が電池要素100のX方向の前側及び後側の一方のみに配置されていてもよい。この場合、電池要素100の前端部及び後端部は、例えば、2つの蓋材によって覆われている。或いは、電池要素100の正極タブ110及び負極タブ120が引き出された側のみが蓋材によって覆われていてもよい。この例において、電池要素100の蓋材の反対側において、外装フィルム300が封止されて電池要素100に沿って折りたたまれていてもよい。
【符号の説明】
【0044】
10,10A 電池セル
100 電池要素
102a 正極集電体
104a 負極集電体
110 正極タブ
120 負極タブ
210 前方蓋材
220 後方蓋材
300,300A 外装フィルム
302,302A 巻付部分
302a,302aA 内周面
302b,302bA 外周面
304,304A 引出部分
304a,304aA 内面
304b,304bA 外面
500 収容空間
510 前方封止部
520 後方封止部
530,530A 側方封止部
600 熱プレス
602 基材
図1
図2
図3
図4