(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042817
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】給紙装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/26 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
B65H1/26 312E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147688
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】鰐部 晃久
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA01
3F343FB01
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA16
3F343HA29
3F343HB03
3F343HC25
3F343KB02
3F343KB14
3F343KB17
3F343KB18
3F343KB19
3F343LA04
3F343LA16
3F343LC02
(57)【要約】
【課題】小型化が可能となる給紙装置を提供する。
【解決手段】給紙装置は、カセット収容部に挿抜可能に装着される給紙カセットと、前記カセット収容部の内壁に設けられたレール部材と、前記給紙カセットに設けられ、前記レール部材に対して移動可能に係合する係合部と、前記係合部の係合面に当接され、前記給紙カセットの挿抜に応じて回転可能な回転部材と、前記回転部材を軸支し、前記レール部材、または前記カセット収容部の内壁に一端が固定される軸部材と、前記軸部材の他端を支持することで前記軸部材を両持ち支持構造とする支持部材と、を備え、前記支持部材は、前記レール部材、または前記カセット収容部の内壁に対する取付姿勢が変更可能な形状を有している。
【選択図】
図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カセット収容部に挿抜可能に装着される給紙カセットと、
前記カセット収容部の内壁に設けられたレール部材と、
前記給紙カセットに設けられ、前記レール部材に対して移動可能に係合する係合部と、
前記係合部の係合面に当接され、前記給紙カセットの挿抜に応じて回転可能な回転部材と、
前記回転部材を軸支し、前記レール部材、または前記カセット収容部の内壁に一端が固定される軸部材と、
前記軸部材の他端を支持することで前記軸部材を両持ち支持構造とする支持部材と、を備え、
前記支持部材は、前記レール部材、または前記カセット収容部の内壁に対する取付姿勢が変更可能な形状を有している、
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
請求項1に記載の給紙装置であって、
前記支持部材は、前記軸部材に位置決めされる第1姿勢と、前記軸部材の軸心を中心として回動させた第2姿勢と、に変更可能である、
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項3】
請求項2に記載の給紙装置であって、
前記第1姿勢と前記第2姿勢とは、軸心位置から前記支持部材の底面部までの距離が異なる、
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項4】
請求項1に記載の給紙装置であって、
前記支持部材は、1枚の板金を折り曲げて構成され、前記折り曲げに対して、一方に第1部分と、他方に第2部分とを備え、
前記第1部分は、位置決め部を有し、前記位置決め部は前記軸部材に対して軸方向の位置が規制される、
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項5】
請求項4に記載の給紙装置であって、
第1姿勢は、前記第2部分の平面が前記支持部材の底面部となり荷重負荷を受ける構成であり、
第2姿勢は、前記第1姿勢に対して第1方向に所定角度の回転させた姿勢であり、前記第1部分の側面と、前記第2部分の側面とが、前記支持部材の底面部となり荷重負荷を受ける構成である、
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項6】
請求項4に記載の給紙装置であって、
第1姿勢は、前記第2部分の他の側面が荷重負荷を受ける構成である、
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項7】
請求項4に記載の給紙装置であって、
前記第1部分と反対側にある前記第2部分の側面には、凸部が設けられる、
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項8】
請求項4に記載の給紙装置であって、
前記支持部材は、前記軸部材に対して着脱可能な部材で位置決めされている、
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の給紙装置と、
前記給紙装置から搬送される用紙に画像を形成する画像形成部と、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
カセット収容部に挿抜可能に装着される給紙カセットと、
前記カセット収容部の内壁に設けられたレール部材と、
前記給紙カセットに設けられ、前記レール部材に対して移動可能に係合する係合部と、
前記係合部の係合面に当接され、前記給紙カセットの挿抜に応じて回転可能な回転部材と、
前記回転部材を軸支し、前記レール部材、または前記カセット収容部の内壁に一端が固定される軸部材と、
前記軸部材の他端を支持することで前記軸部材を両持ち支持構造とする支持部材と、
前記給紙カセットから搬送される用紙に画像を形成する画像形成部と、を備える画像形成装置において、
前記給紙カセットは、第1給紙カセットと、第2給紙カセットと、を含み、
前記支持部材は、第1支持部材と、前記第1支持部材と共通形状の第2支持部材と、を含み、
前記第1支持部材は、対応する第1の軸部材に対して第1姿勢で取り付けられ、
前記第2支持部材は、対応する第2の軸部材の軸心を中心として前記第1姿勢に対して回動させた第2姿勢で取り付けられている、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給紙装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、記録紙が収納される給紙トレイと、画像形成装置の本体内に設けられ給紙トレイを挿脱可能に支持させるガイド部とを備えた給紙装置が知られている。ガイド部は、ガイドレールと、回動部材とを備える。回動部材は、ガイドレールに固定された軸支部によって軸支される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の給紙装置において、回動部材を支持する軸支部は、片持ち支持構造である。ここで、例えば、給紙トレイを引き出した際、記録紙を含む給紙トレイの重量によって軸支部に大きな負荷が掛かる。そのため、軸支部をより太く・大きな構造にする必要が生じる。そうすると、軸支部の設置スペースをより大きく確保する必要が生じ、給紙装置が大型化してしまう、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
給紙装置は、カセット収容部に挿抜可能に装着される給紙カセットと、前記カセット収容部の内壁に設けられたレール部材と、前記給紙カセットに設けられ、前記レール部材に対して移動可能に係合する係合部と、前記係合部の係合面に当接され、前記給紙カセットの挿抜に応じて回転可能な回転部材と、前記回転部材を軸支し、前記レール部材、または前記カセット収容部の内壁に一端が固定される軸部材と、前記軸部材の他端を支持することで前記軸部材を両持ち支持構造とする支持部材と、を備え、前記支持部材は、前記レール部材、または前記カセット収容部の内壁に対する取付姿勢が変更可能な形状を有している。
【0006】
画像形成装置は、上記の給紙装置と、前記給紙装置から搬送される用紙に画像を形成する画像形成部と、を備える。
【0007】
画像形成装置は、カセット収容部に挿抜可能に装着される給紙カセットと、前記カセット収容部の内壁に設けられたレール部材と、前記給紙カセットに設けられ、前記レール部材に対して移動可能に係合する係合部と、前記係合部の係合面に当接され、前記給紙カセットの挿抜に応じて回転可能な回転部材と、前記回転部材を軸支し、前記レール部材、または前記カセット収容部の内壁に一端が固定される軸部材と、前記軸部材の他端を支持することで前記軸部材を両持ち支持構造とする支持部材と、前記給紙カセットから搬送される用紙に画像を形成する画像形成部と、を備える画像形成装置において、前記給紙カセットは、第1給紙カセットと、第2給紙カセットと、を含み、前記支持部材は、第1支持部材と、前記第1支持部材と共通形状の第2支持部材と、を含み、前記第1支持部材は、対応する第1の軸部材に対して第1姿勢で取り付けられ、前記第2支持部材は、対応する第2の軸部材の軸心を中心として前記第1姿勢に対して回動させた第2姿勢で取り付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1B】画像形成装置の外観構成(給紙カセットを引き出した状態)を示す斜視図。
【
図4A】カセット収容部から給紙カセットを引き出した状態の図。
【
図6A】支持部材を第1姿勢で取り付けた例を示す斜視図。
【
図6B】支持部材を第1姿勢で取り付けた例を示す正面図。
【
図7A】支持部材を第2姿勢で取り付けた例を示す斜視図。
【
図7B】支持部材を第2姿勢で取り付けた例を示す正面図。
【
図8A】支持部材を第2姿勢で取り付けた他の例を示す斜視図。
【
図8B】支持部材を第2姿勢で取り付けた他の例を示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
まず、画像形成装置1の構成について説明する。
なお、各図において表すX-Y-Z座標系は直交座標系である。X軸に沿った方向は、画像形成装置1の装置幅方向である。Y軸に沿った方向は、装置奥行き方向である。Z軸に沿った方向は、装置高さ方向である。
【0010】
図1A及び
図1Bに示すように、本実施形態の画像形成装置1は、装置本体2と、スキャナーユニット3とを備える複合機として構成される。
装置本体2は、給紙装置10と画像形成部11とを含む。給紙装置10は、収容スペースを有するカセット収容部12を有する。カセット収容部12には、媒体としての用紙P(
図2)を収容する給紙カセット14が収容される。給紙カセット14は、凹状に形成された用紙収容部15を備え、当該用紙収容部15に用紙Pが収容される。給紙カセット14は、カセット収容部12の前面側(+Y方向側)から挿抜可能に装着される。本実施形態の画像形成装置1では、複数の給紙カセット14(例えば、4個)を備える。用紙Pは、例えば、普通紙や厚紙、写真用紙等である。
【0011】
装置本体2の+Z方向端部にスキャナーユニット3が配置される。装置本体2における装置高さ方向において、スキャナーユニット3と給紙装置10との間には、画像形成部11によって記録が実行された用紙Pを排出する排出部7と、排出部7から排出される用紙Pを載置する用紙載置部5とが設けられる。また、装置本体2の前面側には、操作部6が設けられる。操作部6には、液晶パネル等の表示手段が設けられる。操作部6を操作することにより、画像形成装置1に対して記録動作及び画像読取動作の指示を入力できる。
【0012】
図2に示すように、画像形成装置1において、用紙Pは、破線で表す搬送経路Tを通って搬送される。なお、用紙Pが搬送される搬送方向は、搬送経路Tに沿った方向であるため、搬送経路Tの各部において異なる。
装置本体2には、搬送部30、インクタンク42、画像形成部11、制御ユニット9等を備える。また、装置本体2には、搬送部30を清掃するクリーニング部(図示せず)等を備える。さらに、画像形成装置1は、手差トレイ19及び分離ローラー対26を備える。画像形成部11は、記録ヘッド40を備える。
【0013】
給紙カセット14に収納された用紙Pは、ピックローラー16及び搬送ローラー対17、18によって搬送経路Tに沿って搬送される。搬送経路Tには、搬送部30と、用紙Pを搬送する複数の搬送ローラー対24と、用紙Pが搬送される経路を切り替える複数のフラップ25とが配置される。
【0014】
搬送経路Tには、手差経路TA及び反転路TBが合流する。手差経路TAは、手差トレイ19から分離ローラー対26を介して搬送経路Tへ延びる。反転路TBは、排出部7へ向かう搬送経路Tから分岐された経路であり、用紙Pをスイッチバックさせると共に用紙Pを再び搬送経路Tへ送り込むための経路である。
搬送経路Tを挟んで搬送部30と記録ヘッド40とが対向する。搬送経路Tは、搬送部30と記録ヘッド40との間において、-X方向且つ+Z方向の位置に向かう斜め方向に沿っている。ここで、搬送部30と記録ヘッド40との間において、搬送経路Tが下流に向けて延びる方向を+A方向とする。また、Y方向から見て、+A方向と直交する方向であり且つ記録ヘッド40からインクQが吐出される方向を+B方向とする。
搬送部30は、帯電によって用紙Pを保持可能な搬送ベルト34を備え、搬送ベルト34を駆動させることで用紙Pを搬送する。
【0015】
記録ヘッド40は、インクQを吐出する不図示のノズル部を有する。記録ヘッド40は、インクタンク42からインクQが供給される。記録ヘッド40は、搬送部30によって搬送される用紙PにインクQを吐出することで画像を形成する。画像が形成された用紙Pは、搬送ローラー対24によって搬送され、排出部7から排出される。排出部7から排出された用紙Pは用紙載置部5に載置される。
【0016】
次に、給紙装置10の詳細な構成について説明する。
図3A及び
図3Bに示すように、給紙装置10は、カセット収容部12に挿抜可能に装着される給紙カセット14と、カセット収容部12の内壁に設けられたレール部材50と、給紙カセット14に設けられ、レール部材50に移動可能に係合する係合部61と、を備える。
【0017】
レール部材50は、カセット収容部12の+X方向端部と-X方向端部とに形成された内壁12aに配置される。レール部材50は、板金である。レール部材50は、レール51を備える。レール51は、Y軸に沿って延在する細幅の板状部材である。レール51の+Z方向端部の上面51aは平坦面である。本実施形態のレール51は、レール部材50の一部を折り曲げて形成される。
【0018】
給紙カセット14の係合部61は、給紙カセット14の+X方向端部及び-X方向端部に係合面61a(
図3A)を備える。係合面61aは、例えば、給紙カセット14の-Z方向端面に設けられる。係合面61aは、Y軸に沿って延在する。係合面61aは平坦面である。
【0019】
そして、レール部材50の上面51aと給紙カセット14の係合面61aとが対面して配置される。これにより、給紙カセット14は、レール部材50に沿って移動可能となる。また、係合部61(係合面61a)の-Y方向端部には、ローラー62(
図4A)が設けられる。ローラー62は、X軸に沿って設けられた軸を中心に回転する。レール部材50に対して給紙カセット14を移動させた際、ローラー62がレール51に当接して回転する。これにより、給紙カセット14の挿抜動作を円滑に行うことができる。
【0020】
さらに、給紙装置10は、給紙カセット14の係合面61aに当接され、給紙カセット14の挿抜に応じて回転可能な回転部材70を備える。回転部材70は、例えば、コロである。回転部材70は、円柱状を成す。回転部材70は、カセット収容部12の内壁(本実施形態ではレール部材50)に隣接して配置される。
【0021】
回転部材70は、軸部材72によって軸支される。軸部材72の一端は、レール部材50、またはカセット収容部12の内壁12aに固定される。本実施形態の軸部材72は、レール部材50にカシメ等の固定方法によって固定される。軸部材72は、円柱状を成す。レール部材50に固定された軸部材72は、X軸に沿って延在する。
【0022】
回転部材70の+Z方向端部の位置は、レール51の上面51aの位置よりも僅かに高い。これにより、給紙カセット14の挿抜する際、給紙カセット14の係合面61aが回転部材70に当接しやすくなり、回転部材70の回転によりカセット収容部12に対する給紙カセット14の挿抜動作が円滑となる。
なお、回転部材70と軸部材72とが一体構造であってもよい。
【0023】
本実施形態の回転部材70は、カセット収容部12の+Y方向端部に配置される。これにより、カセット収容部12に対する給紙カセット14の最大引き出し量を大きくすることが可能となる。
具体的には、
図4Aに示すように、給紙装置10では、カセット収容部12に対して給紙カセット14を最大に引き出した際、用紙収容部15に設けられ、収容する用紙Pの-Y方向端面を規制する用紙端規制部15aが、用紙収容部15の平面視において視認可能に構成される。すなわち、本実施形態の給紙カセット14の最大引き出し量は、給紙カセット14のY軸に沿った方向における全長に対して、給紙カセット14の引き出し可能な長さ寸法の比率が大きくなるように構成される。本実施形態における給紙カセット14の最大引き出し量(比率)は、給紙カセット14のY軸に沿った方向における全長の70%から80%程度である。
なお、給紙カセット14の引き出し可能な長さ寸法の比率が小さい場合には、給紙カセット14を引き出した際、用紙端規制部15aがカセット収容部12に隠れた状態となり得る。この場合、用紙Pを用紙収容部15に収容する際、用紙Pの端部をカセット収容部12内に潜り込ませる必要があり、ユーザーの使い勝手が低下する。一方、本実施形態では、給紙カセット14を引き出した際、用紙端規制部15aがカセット収容部12の外側まで露出する。これにより、用紙収容部15に用紙Pを容易に収容することができる。
【0024】
給紙カセット14の引き出し方向(Y軸に沿った方向)における-Y方向端部には、-Y方向に突出するアーム部65が設けられる(
図4B)。当該アーム部65は、係合部61の-Y方向に配置される。アーム部65と係合部61とは一体形成されたものである。アーム部65は、カセット収容部12に対して給紙カセット14を最大に引き出した際、給紙カセット14の回転や落下を防止するためのものである。具体的には、カセット収容部12に対して給紙カセット14を最大に引き出した際、てこの原理により、回転部材70を支点として給紙カセット14の+Y方向端部側が下方に変位する。一方、給紙カセット14の-Y方向の端部側(アーム部65)が上方に変位する。上方に変位したアーム部65は、レール51の上方に配置された規制面55に当接する。これにより、カセット収容部12に対する給紙カセット14の回転や落下を防止することができる。なお、アーム部65の-Y方向端部上部には、ローラー67が設けられる。当該ローラー67は、X軸に沿って設けられた軸を中心に回転する。そして、カセット収容部12に対して給紙カセット14を最大に引き出した際、ローラー67が規制面55に当接する。
【0025】
ここで、アーム部65のY軸に沿った長さ寸法は、可能な限りに短くすることが望まれる。アーム部65の長さ寸法を短くすることにより、アーム部65の長さ寸法が長い場合に比べて、カセット収容部12の奥側(-Y方向端部側)における収容スペースを小さくすることができる。これにより、給紙装置10及び画像形成装置1の小型化を図ることができる。
本実施形態では、アーム部65のY軸に沿った長さ寸法が短く構成される。具体的には、支点となる回転部材70の頂部から用紙Pが収容された給紙カセット14の重心までの長さ寸法L1、支点となる回転部材70の頂部からアーム部65のローラー67までの長さ寸法L2、とした場合、長さ寸法L2(アーム部65の概略長さ寸法)は、長さ寸法L1の約30%の長さに抑えられる。これにより、カセット収容部12の収容スペースを小さくすることができる。換言すると、給紙カセット14の挿抜方向の占有スペースを小さく構成できる。したがって、給紙装置10及び画像形成装置1の小型化を図ることができる。
一方、カセット収容部12に対して給紙カセット14を最大に引き出した際、アーム部65に負荷が掛かることになる。このため、アーム部65及び周辺部分を補強するため、アーム部65と係合部61の一部とに亘って補強板金66が設置される(
図4B)。補強板金66の構成例として、平板状の板金、もしくは折り曲げ部を有する板金を設置することが可能である。なお、折り曲げ部を有する板金を採用した方が、応力剛性が高められる点で破損に対する耐性がより向上する。
【0026】
また、カセット収容部12に対して給紙カセット14を最大に引き出した際、回転部材70を介して軸部材72にも大きな荷重負荷が掛かる。そのため、軸部材72をより太く・大きくする構造や回転部材70をより太く・大きくする構造にすることが考えられる。しかしながら、軸部材72等を大きな構造とした場合、軸部材72の設置スペースをより大きく確保する必要が生じ、給紙装置10が大型化してしまう。
また、軸部材72の一端が固定される、レール部材50、あるいはカセット収容部12の内壁の剛性を高くして対処する構造も考えられる。例えば、レール部材50、あるいはカセット収容部12の内壁に用いられる板金の厚さを厚くしたり、折り曲げ部を追加したり、補強部材を追加して補強を行う構造などが考えられる。これら構造の1つを採用した場合であっても、給紙装置10が大型化してしまう。
そこで、本実施形態の給紙装置10では、軸部材72の荷重負荷に対する強度が確保され、軸部材72等の設置スペースが小さくなるよう構成される。以下、具体的な構成について説明する。
【0027】
本実施形態の給紙装置10は、支持部材100を備え、軸部材72の一端は、レール部材50に固定され、軸部材72の他端は、支持部材100によって支持される。これにより、軸部材72を両持ち支持構造とすることができる。
また、支持部材100は、カセット収容部12に取り付けられる。支持部材100は、カセット収容部12に取り付ける取付姿勢を変えることが可能に構成される。支持部材100の取付姿勢が変わることで、カセット収容部12に対して当接する支持部材100の箇所が変更可能となる。
【0028】
次に、支持部材100の具体的な構成について説明する。
図5A、
図5B、
図5C、及び
図5Dに示すように、支持部材100は、1枚の板金を折り曲げた構成である。支持部材100は、ほぼ直角に折り曲げられたL字状を成す。支持部材100は折り曲げられた折り曲げ部110に対して、一方に第1部分101と、他方に第2部分102とを備える。
【0029】
第1部分101は、位置決め部111を有する。位置決め部111は、軸部材72に対して軸方向の位置が規制可能な形状で構成することが好ましい。位置決め部111は、軸部材72の他端を支持する。本実施形態の位置決め部111は、貫通孔である。なお、位置決め部111は、U字状の切り欠きであってもよい。
【0030】
また、折り曲げ部110を介して第1部分101とは反対側にある第2部分102の側面には、凸部112が設けられる。すなわち、第2部分102の折り曲げ部110とは反対側の端面に凸部112が形成される。凸部112は、支持部材100を構成する板金の一部である。凸部112は、第2部分102において折り曲げ部110から離れる方向に突出する。凸部112は、支持部材100をカセット収容部12に取り付ける際の取り付け姿勢(取り付け方向)の誤りを防止する。
【0031】
図5Cに示すように、位置決め部111の中心点と第1部分101の一方端面である第1面101aとの長さ寸法D1と、位置決め部111の中心点と第2部分102の一方端面である第1面102aとの長さ寸法D2と、とが異なる。本実施形態では、長さ寸法D2の方が、長さ寸法D1よりも長い。なお、第1部分101の第1面101aは、第1部分101の位置決め部111が形成された面以外の一側面である。第2部分102の第1面102aは、折り曲げ部110の外側部分に接し、位置決め部111の貫通する方向に平行な面である。
【0032】
支持部材100は、第1姿勢と、第1姿勢と異なる姿勢で取り付けられる第2姿勢と、に変更可能である。そして、本実施形態では、第1姿勢と第2姿勢とは、取り付け高さが異なる。
以下、支持部材100における第1姿勢及び第2姿勢について説明する。
【0033】
まず、支持部材100を第1姿勢で取り付けた例について説明する。
第1姿勢は、第2部分102の第1面102a(平面)が支持部材100の底面部となり給紙カセット14の荷重負荷を、回転部材と軸部材とを介在して受ける構成である。
具体的には、
図6A及び
図6Bに示すように、第1姿勢では、支持部材100の第2部分102の第1面102aが支持部材100の底面部となって、カセット収容部12のX軸に沿った内壁12b(底板)上に配置される。このとき、第1部分101は、支持部材100の-X方向に配置される。また、第1部分101は、Z軸に沿って配置される。また、凸部112は、内壁12bとレール部材50との間に設けられた隙間113に差し込まれる。これにより、支持部材100の取り付ける箇所や取付姿勢を間違うことを防止できる。また、支持部材100を取り付ける際の回転を防止できる。これらにより、支持部材100の取り付け作業性を向上させることができる。
【0034】
また、支持部材100は、軸部材72に対して位置決めがされる。具体的には、位置決め部111としての貫通孔から突出する軸部材72の先端部には、着脱可能な部材114(例えば、Eリング、スナップリング)が嵌め込まれる。これにより、支持部材100が軸部材72から外れることを防止できる。また、部材114を外すことにより、支持部材100や回転部材70の取り外しが可能となり、支持部材100や回転部材70のメンテナンスや交換を容易に行うことができる。
以上により、軸部材72の両端を支持する両持ち支持構造Aが形成される。
【0035】
支持部材100が第1姿勢である場合、例えば、カセット収容部12に対して給紙カセット14を引き出すと、回転部材70の頂部から軸部材72を介して-Z方向に荷重負荷が掛かる。この場合、支持部材100の第2部分102の第1面102aが内壁12bに接触して応力が伝わる。このため、支持部材100に掛かる応力が緩和され、軸部材72の支持強度を確保することができる。すなわち、軸部材72に対して-Z方向に荷重負荷が掛かった場合、支持部材100は、軸部材72を支持するとともに、軸部材72の-Z方向に配置される第2部分102(第1面102a)が内壁12bに支持される。これにより、軸部材72の支持状態を保持することができる。また、軸部材72が安定した状態で支持されるので、回転部材70の回転運動が阻害されず、給紙カセット14を円滑に引き出すことができる。
【0036】
次に、支持部材100を第2姿勢で取り付けた例について説明する。
第2姿勢は、給紙カセット部の仕様ちがい、すなわち第1姿勢の支持部100が用いられる給紙カセット14とは異なる位置にある給紙カセット14に用いることができる。支持部材100は、自装置内以外にも取り付け可能であり、例えば、派生改良装置や、増設カセットなどの給紙装置、あるいは画像形成装置に適応可能である。
第2姿勢は、上述の第1姿勢に対して第1方向に所定角度の支持部材100を回転させた姿勢であり、第1部分101の第1面101a(側面)と、第2部分102の第2面102b(側面)とが、支持部材100の底面部となり荷重負荷を受ける構成である。本実施形態の第2姿勢では、+X方向に見て第1姿勢における支持部材100を時計回転方向とは反対方向に90°回転させた姿勢である。
【0037】
図7A及び
図7Bに示すように、第2姿勢では、支持部材100の第1部分101の第1面101aと、第2部分102の第2面102bとが支持部材100の底面部となって、カセット収容部12のX軸に沿った内壁12b(底板)上に配置される。このとき、第1部分101は、支持部材100の-X方向に配置される。また、第1部分101は、Z軸に沿って配置される。また、凸部112は、内壁12bとレール部材50との間の所定位置に設けられた切り欠き部115に嵌め込まれる。切り欠き部115は、略矩形を成し、凸部112と係合する。これにより、支持部材100の取り付ける箇所や取付姿勢を間違うことを防止できる。また、支持部材100を取り付ける際の回転を防止できる。また、位置決め部111としての貫通孔から突出する軸部材72の先端部には、着脱可能な部材114(例えば、Eリング、スナップリング)が嵌め込まれる。これにより、支持部材100は軸部材72に対して位置決めがされる。第1姿勢と同様に、部材114を外すことにより、支持部材100や回転部材70の取り外しが可能となり、支持部材100や回転部材70のメンテナンスや交換を容易に行うことができる。
以上により、軸部材72の両端を支持する両持ち支持構造Bが形成される。
【0038】
支持部材100が第2姿勢である場合、例えば、カセット収容部12に対して給紙カセット14を引き出すと、回転部材70の頂部から軸部材72を介して-Z方向に荷重負荷が掛かる。この場合、支持部材100の第1部分101の第1面101a及び第2部分102の第2面102bが内壁12bに接触して応力が伝わる。このため、支持部材100に掛かる応力が緩和され、軸部材72の支持強度を確保することができる。すなわち、軸部材72に対して-Z方向に荷重負荷が掛かった場合、支持部材100は、軸部材72を支持するとともに、軸部材72の-Z方向に配置される第1部分101(第1面101a)と第2部分102(第2面102b)が内壁12bに支持される。これにより、軸部材72の支持状態を保持することができる。また、軸部材72が安定した状態で支持されるので、回転部材70の回転運動が阻害されず、給紙カセット14を円滑に引き出すことができる。
【0039】
また、本実施形態では、第1姿勢の方が第2姿勢に比べて取り付け高さが高い。具合的には、支持部材100において長さ寸法D2の方が長さ寸法D1よりも大きいため、第1姿勢における内壁12bと軸部材72の軸中心との長さ寸法の方が、第2姿勢における内壁12bと軸部材72の軸中心との長さ寸法より大きい。従って、支持部材100を取り付けるレイアウト、給紙カセット部の仕様(例えば、底板12bの高さ位置ちがい、底板12bなし構造)に応じて適宜第1姿勢または第2姿勢を選択できる。例えば、本実施形態では、複数収容される給紙カセット14のカセット収容部12のレイアウトに応じて、給紙カセット14毎に支持部材100の姿勢を変更することができる。また、一つの支持部材100、または共通形状の複数の支持部材を備えて、各種給紙カセット部の仕様ちがいに対して取付姿勢が変更可能となるので、支持部材100の部品共通化が図れ、コスト低減を図れる。
【0040】
次に、支持部材100を第2姿勢で取り付ける他の例について説明する。
図8A及び
図8Bの例において、第2姿勢は、第2部分102の第3面102c(他の側面、
図5A)が荷重負荷を受ける構成である。具体的には、第2部分102の第3面102cがレール部材50に当接するように配置される。第2部分102の第3面102cは、第1部分101の平面と平行な面である。このとき、第1部分101は、支持部材100の-X方向に配置される。また、第1部分101は、Z軸に沿って配置される。また、凸部112は、レール部材50の所定位置に設けられた切り欠き部116に嵌め込まれる。切り欠き部116は、略矩形を成し、凸部112と係合する。これにより、支持部材100の取り付ける箇所や取付姿勢を間違うことを防止できる。なお、切欠き部116を備えずに、貫通穴や凹部を設けて、これらに凸部112を係合させる構成であってもよい。これら構成により、支持部材100を取り付ける際の回転を防止できる。さらには、取り付け後における支持部材100の回転を防止できる。
【0041】
また、位置決め部111に挿通された軸部材72の先端部には、着脱可能な部材114(例えば、Eリング、スナップリング)が嵌め込まれる。
以上により、軸部材72の両端を支持する両持ち支持構造Cが形成される。
【0042】
本例に示す第2姿勢である場合、例えば、カセット収容部12に対して給紙カセット14を引き出すと、回転部材70の頂部から軸部材72を介して-Z方向に荷重負荷が掛かる。この場合、支持部材100の第2部分102の第3面102cがレール部材50に接触して応力が伝わる。このため、支持部材100に掛かる応力が緩和され、軸部材72の支持強度を確保することができる。すなわち、軸部材72に対して-Z方向に荷重負荷が掛かった場合、支持部材100は、軸部材72を支持するとともに、第2部分102(第3面102c)がレール部材50に支持される。これにより、軸部材72の支持状態を保持することができる。また、軸部材72が安定した状態で支持されるので、回転部材70の回転運動が阻害されず、給紙カセット14を円滑に引き出すことができる。
【0043】
以上、本実施形態によれば、小さな板金を折り曲げた簡易な構成の支持部材100により軸部材72の両持ち支持構造を形成することができる。これにより、給紙カセット14を引き出した際、軸部材72に荷重負荷がかかった場合であっても、支持部材100が内壁12bやレール部材50に支持され、応力が緩和されるので、軸部材72の変形等を抑制することができる。
また、荷重負荷に対して回転部材70や軸部材72を大きくする必要がない。また、回転部材70や軸部材72を補強するために、別途板金等が不要である。従って、回転部材70や軸部材72の小型化を図れる。これにより、給紙装置10及び画像形成装置1を小型化できる。換言すると、給紙装置10及び画像形成装置1の大型化を抑制できる。
また、支持部材100は、ネジ等の固定部材を用いずにカセット収容部12に取り付け、軸部材72の両持ち支持構造を形成することができる。このため、例えば、ネジを設置するスペースやネジを固定するためのドライバーを取り扱うためのスペースが不要となり、カセット収容部12の小型化が図れる。
【0044】
さらに、支持部材100は、レール部材50やカセット収容部12の内壁12a,12bに対して取付姿勢を変更可能に構成される。このため、取付スペースが異なる場合であっても、支持部材100の取付姿勢を変更することで容易に取り付け可能となる。すなわち、支持部材100の部品共通化が可能となり、コストを低減できる。
【0045】
なお、本実施形態の支持部材100を用いた軸部材72の支持構造は、カセット収容部12に収容される各給紙カセット14の両端部に対応する位置に設けてもよいし、一方のみでもよい。
また、支持部材100の取付姿勢は、上記の取付姿勢に限定されない。例えば、内壁12b(底板)に対して支持部材100の第1部分101の第2面101b(
図5A)が当接するように支持部材100を取り付けてもよい。このようにしても、上記同様の効果をうることができる。
【符号の説明】
【0046】
1…画像形成装置、2…装置本体、3…スキャナーユニット、5…用紙載置部、6…操作部、7…排出部、9…制御ユニット、10…給紙装置、11…画像形成部、12…カセット収容部、12a,12b…内壁、14…給紙カセット、15…用紙収容部、15a…用紙端規制部、30…搬送部、34…搬送ベルト、40…記録ヘッド、42…インクタンク、50…レール部材、51…レール、51a…上面、55…規制面、61…係合部、61a…係合面、62…ローラー、65…アーム部、66…補強板金、70…回転部材、72…軸部材、100…支持部材、101…第1部分、101a…第1面、102…第2部分、102a…第1面、102b…第2面、102c…第3面、110…折り曲げ部、111…位置決め部、112…凸部、114…部材、115,116…切り欠き部、P…用紙。