(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042844
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】炊飯器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
A47J27/00 109E
A47J27/00 103R
A47J27/00 109P
A47J27/00 109G
A47J27/00 109Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147747
(22)【出願日】2022-09-16
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】390010168
【氏名又は名称】東芝ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】折戸 麻結香
(72)【発明者】
【氏名】菊池 理人
(72)【発明者】
【氏名】木村 智志
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 紀子
(72)【発明者】
【氏名】三宅 一也
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA03
4B055BA34
4B055BA75
4B055CD42
4B055CD45
4B055CD46
4B055GA04
4B055GB09
4B055GB25
4B055GC04
4B055GC21
4B055GC34
4B055GC36
4B055GD05
4B055GD06
(57)【要約】
【課題】炊込みご飯の特徴に応じた炊飯制御が可能であり、炊飯特性に適合する情報を表示可能な炊飯器を提供する。
【解決手段】本発明の炊飯器は、炊込みご飯を炊飯可能であり、複数の炊込みご飯のメニューから1の炊込みご飯のメニューを選択する炊込みご飯メニュー選択画面G2および操作手段19と、炊込みご飯メニュー選択画面G2および操作手段19で選択された1の炊込みご飯のメニューの炊込みご飯レシピ表示画面G3を表示する表示手段18と、を備える構成としている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被炊飯物として炊込みご飯を炊飯可能な炊飯器であって、
複数の炊込みご飯のメニューから1の炊込みご飯のメニューを選択する選択手段と、
前記選択手段で選択された前記1の炊込みご飯のメニューの炊込みご飯情報を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記炊込みご飯情報は、当該炊込みご飯のレシピであることを特徴とする請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
前記炊込みご飯の炊飯を制御する制御手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記選択手段で選択された前記1の炊込みご飯のメニューに応じて炊飯を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項4】
前記表示手段は、前記複数の炊込みご飯のメニューを分類分けして表示可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の炊飯器。
【請求項5】
前記被炊飯物を収容する鍋を加熱する加熱手段と、
前記鍋の温度を検知する温度検知手段と、
様々な時間を計時する計時手段と、をさらに備え、
前記制御手段は、前記温度検知手段による検知温度に基づいて前記被炊飯物の沸騰を判定したら、当該沸騰の判定時の温度以上で前記被炊飯物を所定時間保持するように前記加熱手段を制御し、前記保持時に前記検知温度に基づいて前記被炊飯物の温度上昇率が所定の値以上であると判定したら、出力を低下させるように前記加熱手段を制御し、かつ前記計時手段による計時に基づいて前記所定時間が経過したと判定したら、前記炊込みご飯の炊飯が完了したと判定することを特徴とする請求項3に記載の炊飯器。
【請求項6】
前記鍋の内部を大気圧未満に減圧脱気する減圧脱気手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記沸騰させるために前記鍋を加熱する前に、前記鍋内を減圧脱気するように前記減圧脱気手段を制御することを特徴とする請求項5に記載の炊飯器。
【請求項7】
外部端末と通信可能な通信手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記外部端末から受信した前記1の炊込みご飯のメニューに応じて炊飯を制御することを特徴とする請求項3に記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被炊飯物として炊込みご飯を炊飯可能な炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の炊飯器として、例えば特許文献1には、内鍋の温度を検出する温度検出手段により所定の開始基準温度を検出してから一定時間経過後に検出した検出温度と、予め設定された判別基準温度とを比較して、内鍋内の被炊飯物が白米か炊込みご飯かを自動的に判別する炊き分け判別方法により、当該ご飯の種類に応じて内鍋を加熱するヒータの電力を制御するものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
日本国内には、各都道府県に、例えばご当地グルメや郷土料理として炊込みご飯のメニューが数多く存在し、それぞれの炊込みご飯で特徴が異なっている。しかしながら特許文献1の炊飯器では、例えば「炊込みご飯」などのメニューで一律的に炊飯制御がされ、それぞれの炊込みご飯の特徴に応じた炊飯制御が行なわれていなかった。また炊込みご飯の中には、そのままのレシピでは炊飯器の炊飯特性に適合しないものもある一方で、ユーザには炊飯特性に適合するか否かの情報がないため、例えば芯残り、過度の焦げ、具材の生煮えなどの失敗をする虞があった。
【0005】
そこで本発明は、炊込みご飯の特徴に応じた炊飯制御が可能であり、炊飯特性に適合する情報を表示可能な炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の炊飯器は、被炊飯物として炊込みご飯を炊飯可能であって、複数の炊込みご飯のメニューから1の炊込みご飯のメニューを選択可能に操作する選択手段と、前記選択手段で選択された前記1の炊込みご飯のメニューの炊込みご飯情報を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の炊飯器によれば、選択された炊込みご飯のメニューに応じた炊飯制御を行なうことができる。また当該炊飯器の炊飯特性に適合する情報を表示手段に表示可能であるため、炊飯が失敗をする虞を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施形態における炊飯器の斜視図である。
【
図4】同上、トップ画面を表示しているLCDの上面図である。
【
図5】同上、「炊込みご飯」の炊込みご飯メニュー選択画面を表示しているLCDの上面図である。
【
図6】同上、(A)「郷土」の炊込みご飯メニュー選択画面を表示しているLCDの上面図、(B)「魚介」の炊込みご飯メニュー選択画面を表示しているLCDの上面図、(C)「野菜・果物」の炊込みご飯メニュー選択画面を表示しているLCDの上面図、(D)「健康」の炊込みご飯メニュー選択画面を表示しているLCDの上面図である。
【
図7】同上、炊込みご飯レシピ表示画面を表示しているLCDの上面図である。
【
図8】同上、鍋の内部の圧力と気体分子との関係を示す模式図である。
【
図9】同上、炊飯工程における、鍋センサの検知温度と、蓋温度センサの検知温度と、蓋ヒータの出力と、加熱コイルの出力と、減圧ポンプの出力との推移を示すグラフである。
【
図10】本発明の第2の実施形態における炊飯器の電気的構成を示すブロック図である。
【
図11】同上、炊飯器システムの全体構成の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明における炊飯器の各実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。なお、これらの全図面にわたり、共通する部分には共通する符号を付すものとする。
【実施例0010】
図1~
図9は、本発明における炊飯器の第1の実施形態を示している。先ず炊飯器全体の構成を
図1および
図2に基づいて説明すると、1は本体であり、上方から見て前面と後面、左側面と右側面が対向する略矩形状をなし、上面が開口されている。2は本体1の上面開口部を開閉自在に覆う蓋体であり、本体1と同様に、上方から見て前面と後面、左側面と右側面が対向する略矩形状をなし、上面が略平坦に構成されている。本体1は上面を開口した鍋収容部3を有し、蓋体2を開けたときに、被炊飯物である水や米や炊き込みご飯の具材を収容する容器としての有底状の鍋4が、その鍋収容部3に着脱自在に収容される構成となっている。鍋収容部3は、椀状で樹脂製の内枠5などを組み合わせて構成され、全体が有底筒状に形成される。
【0011】
鍋4は、熱伝導性の良いアルミニウムを主材7とし、フェライト系ステンレスなどの磁性金属板からなる発熱体8が、主材7の外面の側部下部から底部にかけて接合してある。また、鍋4の側面下部から底面に対向する内枠5の外面には、鍋4の発熱体8を電磁誘導加熱する加熱手段として、加熱コイル11を備えている。そして加熱コイル11に高周波電流を供給すると、加熱コイル11から発生する交番磁界によって鍋4の発熱体8が発熱し、炊飯時と保温時に鍋4内の被炊飯物を加熱する構成となっている。また内枠5の底部中央部には、鍋温度検出手段としての鍋センサ12が、鍋4の外面底部と弾発的に接触するように配設される。
【0012】
蓋体2の後部には本体1との連結部となるヒンジ13が設けられる。また蓋体2の前方上面には、蓋体操作体14が露出状態で配設されており、この蓋体操作体14を押すと、本体1と蓋体2との係合が解除され、本体1の上部後方に設けたヒンジバネ(図示せず)により、ヒンジ13のヒンジ軸を回転中心として蓋体2が開く構成となっている。
【0013】
蓋体2の後方上面には、鍋4内の被炊飯物から発生する蒸気を炊飯器の外部に排出する蒸気口15が配設される。また蓋体2の上面には、この蒸気口15や蓋体操作体14の他に、炊飯に関わる様々な情報を表示するための、画面表示部としてのLCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)16や状態表示部としてのLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)表示部17などで構成される表示手段18と、タッチセンサで構成されてLCD16の上方に配設され、炊飯を開始させたり、時間や炊飯コ-スなどを選択させたりするための操作手段19と、がそれぞれ配設される。また、表示手段18や操作手段19の下面には、操作や表示に関わる制御を行なうための表示・操作制御手段46(
図3参照)を備えた制御PC(Printed Circuit:印刷回路)板21が配置される。
【0014】
LED表示部17は、実際の炊飯器の状態を表示するもので、本実施形態では、予約設定がされていているときに「予約」のLED表示部が点灯し、保温状態になると「保温」の工程LED表示部が点灯し、後述する減圧手段38により鍋4の内部が大気圧より低い減圧状態になると、「真空」の工程LED表示部が点灯し、炊飯中に鍋4の内部に圧力がかかり始めてから、被炊飯物が炊き上がるまでの鍋4の内部が加圧されているときに、「圧力」の工程LED表示部が点灯するように構成される。そのため、LCD16のバックライトを減光させた減光状態のときでも、ユーザがLED表示部17を確認することで炊飯器の現在の状態を一目で理解することができる。ここでLED表示部17のそれぞれのLED表示部が点灯したときの光の色をそれぞれ異ならせてもよく、炊飯器が現在どのような状態であるかを一目で理解できる。なお本実施形態ではLED表示部17の位置について、LCD16のすぐ前に配置されているが、LCD16から離れた位置に配置されてもよい。またLED表示部17を除く構成にして、このLED表示部17の表示内容をLCD16で表示するように構成してもよい。LCD16については、後程詳しく説明する。
【0015】
タッチセンサで構成された操作手段19は、例えば、導電性ポリマーによる透明電極部と制御PC板21に接続する接点部との間をパターン配線で繋いだ構成要素が、タッチキーとして複数配設されるものであり、LCD16に表示される複数のボタン表示部の何れかにタッチ操作を行なうことで、そのボタン表示部の上に配設され、当該ボタン表示部に対応したタッチキーがタッチ操作されて、このボタン表示部が選択される構成となっている。なお操作手段19として、例えば炊飯キーや切キーなどの物理キーや物理的なボタンを、LCD16などの表示手段18の周囲に配設するように構成してもよい。
【0016】
このようにユーザの操作性および安全性を考慮して、蓋体操作体14は炊飯器におけるユーザに近い側である上面前方に配置され、蒸気口15は炊飯器におけるユーザから離れた側である上面後方に配置されることで蓋体2の上面において蓋体操作体14と蒸気口15との間に表示手段18を設けるスペースを大きく確保することができ、表示手段18や、その上方に配設される操作手段19を大きく設けることができるため、表示手段18の視認性および操作手段19の操作性を向上させることができる。また操作手段19がタッチセンサのみで構成される場合は、蓋体2の上面には、LCD16上方の操作手段19以外には、従来の炊飯器に設けられていた物理キー・ボタンなどの操作手段が存在せず、操作手段19のみで炊飯器の操作を行なうために操作時にボタンを探す手間が省け、操作性を向上させることができる。また非常にスマートな外観にすることができ、精密部品である表示手段18や操作手段19の配置されたスペースをコンパクトにすることができる。また物理キー・ボタンなどを除くことで蓋体2の上面を略平面状に構成することができ、拭き掃除などもしやすく清掃性を向上させている。
【0017】
蓋体2の下側には、蓋体2の下部部材としての内蓋組立体23が配設される。内蓋組立体23は、鍋4の上方開口部と略同径の円盤状を有する金属材料からなり、鍋4の上方開口部を覆う内蓋24と、この内蓋24と鍋4との間をシールするために、内蓋24の外側全周に設けられる弾性部材としての蓋パッキン25と、鍋4の内圧力を調整する調圧部26とを備えている。環状に形成された蓋パッキン25は、
図2に示されるように蓋体2を閉じた蓋閉時に、鍋4の開口部である上面に当接して、この鍋4と内蓋24との間の隙間を塞ぎ、鍋4から発生する蒸気を密閉するものである。
【0018】
蓋体2の内部には、蓋体2の開閉を検知するために、ヒンジ13近傍に蓋開閉検知手段27が設けられる。ここで蓋開閉検知手段27は、光学式、機械式、磁石式など、どのような検知方式のものでもよく、蓋体2の開閉に応じた検知信号を出力できればよい。また蓋体2の内部には、内蓋24を加熱する蓋加熱手段としての蓋ヒータ31と、この蓋ヒータ31による内蓋24の温度管理を行なうためのサーミスタ式の蓋温度センサ32がそれぞれ設けられる。そして蓋体2の内部には、鍋4内で発生した蒸気を外部へ放出する通路として、蒸気口15と調圧部26とを連通する蒸気排出経路33が形成される。
【0019】
調圧部26には、鍋4の内部と蒸気口15との間の蒸気排出経路33を開閉する調圧弁34が設けられる。調圧弁34はボール状で、蓋体2の内部に設けたソレノイド35と連動し、鍋4内の蒸気を外部へ放出する場合には蒸気排出経路33を開放し、鍋4内を加圧または減圧状態にする場合には蒸気排出経路33を閉塞するように、ソレノイド35が調圧弁34を転動させる。そして加圧時には、加熱コイル11への高周波通電により鍋4内の被炊飯物が加熱され、被炊飯物が沸騰して蒸気が発生し、この蒸気が鍋4内に充満することにより鍋4の内圧が所定値に達すると、調圧弁34の自重に抗して蒸気排出経路33を開放することで、鍋4内の圧力を大気圧以上に維持する構成となっている。また蓋体2の内部には、圧力センサ36(
図3参照)が調圧部26に臨んで設けられ、鍋4内部の圧力を検知している。
【0020】
38は、蓋体2を本体1に閉じた状態で、鍋4の内部を通常の大気圧よりも低くするための減圧手段である。減圧手段38は、鍋4を鍋収容体3に収容し、蓋体2を閉じた後にソレノイド35を通電させて調圧弁34が蒸気排出経路33を塞いだ状態で、密閉した鍋4の内部圧力を低下させる。また、鍋4内部の圧力が大気圧よりも一定値下がった場合には、減圧手段38の動作源となる減圧ポンプ39の動作を停止し、鍋4内部を減圧状態に保っている。さらに、鍋4内部を減圧状態から外気と同じ圧力に戻す場合には、減圧ポンプ39の動作を停止し、減圧ポンプ39と鍋4の内部との間を連通する図示しない経路を開放する。つまり減圧手段38は、鍋4内部を減圧状態から外気と同じ圧力に戻す圧力戻し手段としての構成を兼用している。
【0021】
その他、本体1の内部には、加熱制御手段41を含むユニット化された加熱基板組立42が配設される。加熱制御手段41は、表示・操作制御手段46と組み合わせて炊飯器の各部を電気的に制御するために、制御用IC43や記憶手段48(
図3参照)などを備えたマイクロコンピュータ(マイコン)などを含んで構成され、ここでは鍋センサ12や蓋温度センサ32からの各温度検知信号と、操作手段19からの操作信号を受けた表示・操作制御手段46からの信号とを受けて、炊飯時および保温時に鍋4を加熱する加熱コイル11と、内蓋24を加熱する蓋ヒータ31とを各々制御すると共に、ソレノイド35と、減圧ポンプ39の動作を各々制御する。特に加熱制御手段41は、鍋センサ12の検知温度に基づいて主に加熱コイル11を制御して鍋4の底部を温度管理し、蓋温度センサ32の検知温度に基づいて主に蓋ヒータ31を制御して、被炊飯物に対向する内蓋24を温度管理するように構成される。
【0022】
次に、上記炊飯器における主な制御系統について、
図3を参照しながら説明する。同図において、本体2に装備される加熱制御手段41は、マイクロコンピュータを構成する制御用IC43や、各種の情報やデータを記憶する読み出しおよび書き込みが可能なメモリなどの記憶手段44や、図示しない計時手段などを備え、鍋センサ12や蓋温度センサ32からの各温度検知信号と、圧力センサ36からの圧力検知信号と、蓋開閉検知手段27からの検知信号と、後述する表示・操作制御手段46からの制御信号とを受けて、炊飯時および保温時に鍋4を加熱する加熱コイル11と、内蓋24を加熱する蓋ヒータ31を各々制御すると共に、前述した調圧弁34を動かすソレノイド35や、減圧手段38の減圧ポンプ39の動作を各々制御するものである。
【0023】
加熱制御手段41は、記憶手段48から読み出したプログラムの制御シーケンス上の機能として、炊飯制御手段51および保温制御手段52を制御用IC43に備えている。炊飯制御手段51は、操作手段19からの炊飯開始の指示を受けて、鍋4に投入した米の吸水を促進させるひたし炊き工程と、被炊飯物の温度を短時間に沸騰まで上昇させる沸騰加熱工程と、被炊飯物の沸騰状態を継続させる沸騰継続工程と、ご飯を焦がさない程度の高温に維持する高温維持工程の各工程を順に実行して、鍋4内部の被炊飯物に対して所望の圧力で炊飯加熱する炊飯制御を行なうものである。また保温制御手段52は、鍋4内部のご飯を所定の保温温度に保つように制御するものである。
【0024】
一方、表示・操作制御手段46は、マイクロコンピュータを構成する制御用IC47や記憶手段48、図示しない計時手段などを備え、操作手段19からの操作信号や加熱制御手段41からの制御信号を受けて表示手段18の表示動作を制御し、また加熱制御手段41に制御信号を送信するものである。この表示・操作制御手段46は、記憶手段57に記憶されたプログラムの制御シーケンス上の機能として、表示制御手段49および条件設定手段50を制御用IC47に備えている。表示制御手段49は、操作手段19からの操作信号に基づき各種の制御信号を生成し、また表示手段18の表示動作を制御するものである。また条件設定手段50は、表示制御手段49と連携して、操作手段19で選択できる条件の選択および設定、例えば複数の炊込みご飯メニューの設定がある炊飯コースの中から所望の炊飯コースの選択および設定、を可能にするものである。
【0025】
本実施形態の炊飯器では、それぞれの炊込みご飯メニューの設定に応じた炊飯コースが記憶手段48に記憶されており、その記憶された炊飯コースの炊込みご飯メニューが表示手段18に選択可能に表示され、これらの設定を行なうことで、当該炊飯コースの選択および設定を行なっている。そして表示・操作制御手段46から加熱制御手段41にこの炊飯コースの設定が送信されると、加熱制御手段41の炊飯制御手段51は、この炊飯コースの設定ごと、特に炊込みご飯メニューの設定ごとに加熱コイル11および蓋ヒータ31の加熱制御やソレノイド35および減圧ポンプ39の制御、すなわち炊飯制御を行なっている。そのため、特に設定された炊込みご飯に合った適切な炊飯を行なうことができ、炊飯された炊込みご飯の美味しさをより際立たせることができる。
【0026】
図4~
図11はLCD16の上面図を示しており、それぞれの図面の上側を「上」、下側を「下」、左側を「左」、右側を「右」として説明する。また、それぞれの図面の手前側を「手前」、奥側を「奥」として説明する。
図4はトップ画面G1を示している。ユーザが予め本体1に設けた電源プラグを家庭用のコンセントに差し込むと、炊飯器の各部に必要な電力が投入される。このとき表示制御手段49は、所定時間経過後または所定の起動時表示画面の表示に、LCD16に表示される普段使いの初期画面として、
図4に示すようなトップ画面G1の配置をLCD16に表示させる。
【0027】
図4を参照してトップ画面G1の説明をすると、その左部には、「炊飯メニュー」なるテキスト表示体D1と、4つのボタン表示部B2~B5を上下に並べて表示した炊飯メニューキー表示領域A1が形成されている。ここで「白米」のボタン表示部B2は、「白米」なるテキスト表示体D2を含む。また「炊込み」のボタン表示部B3は、「炊込み」なるテキスト表示体D3を含む。そして「玄米」のボタン表示部B4は、「玄米」なるテキスト表示体D4を含む。また「おかゆ」のボタン表示部B5は、「おかゆ」なるテキスト表示体D5を含む。
【0028】
また、炊飯メニューキー表示領域A1の右側には、トップ画面G1の上部に、時計用表示体D7に表示される数字が現在の時刻であることを連想させる「時計」なるテキスト表示体D6、左向きの三角形を連想させるテキスト表示体D7を含む左キー表示部B7、および右向きの三角形を連想させるテキスト表示体D8を含む右キー表示部B8を左右に並べて表示した時計設定用表示体B6と、現在の時刻などを表示し、
図4では「12:00」が表示された時計用表示体D9とを左右に並べて表示した現在時刻表示領域A2が形成されている。
【0029】
そして、現在時刻表示領域A2の下側には、予約時刻用表示体D14に表示される数字が予約設定された予約炊飯の完了時刻であることを連想させる「予約」なるテキスト表示体D11、左向きの三角形を連想させるテキスト表示体D12を含む左キー表示部B12、および右向きの三角形を連想させるテキスト表示体D13を含む右キー表示部B13を左右に並べて表示した予約設定用表示体B11と、設定された予約炊飯の完了時刻などを表示し、
図4では「17:00」が表示された予約時刻用表示体D14とを左右に並べて表示した予約時刻表示領域A3が形成されている。
【0030】
また、予約時刻表示領域A3の下側には、「切」なるテキスト表示体D15を含むボタン表示部B15と、「炊飯」なるテキスト表示体D16を含むボタン表示部B16と、が左右に並べて表示される。
【0031】
「切」のボタン表示部B15は、炊飯や保温をやめる際に操作されるもので、「切」のボタン表示部B15をタッチ操作すると、「切」のボタン表示部B15の上に配設された操作手段19からの操作信号を表示制御手段49が受け付けて加熱制御手段41に送信し、炊飯制御手段51が鍋4内の被炊飯物に対する加熱や予約炊飯を中止して切状態にする制御を行ない、表示制御手段49が、最も直前に炊飯されたときの設定、すなわち記憶手段48に記憶されていた設定にしてトップ画面G1を表示するようにLCD16を制御する。
【0032】
「炊飯」のボタン表示部B16は炊飯を開始する際に操作されるもので、「炊飯」のボタン表示部B16をタッチ操作すると、条件設定手段50が、現在、設定された炊込みご飯の設定を今回の炊飯コースの設定として記憶手段48に記憶し、炊飯制御手段51が、記憶手段48に記憶した今回の炊飯コースの設定で、本体1内の被炊飯物に対する炊飯開始の制御をする構成となっている。
【0033】
炊飯メニューキー表示領域A1内のボタン表示部B2~B5は被炊飯物を炊飯する方法である炊飯メニューの種類を選択するのに操作されるものであり、ボタン表示部B2~B5のいずれか、例えば「炊込み」のボタン表示部B3をタッチ操作すると、表示制御手段49が、それぞれ選択された炊飯メニューの選択画面、例えば
図5に示されるような炊込みご飯メニュー選択画面G2を表示させるようにLCD16を制御する。そして
図4に示されるように、炊飯メニューの選択後にトップ画面G1に戻ってきたときに、表示制御手段49が、ボタン表示部B2~B5、例えば「炊込み」のボタン表示部B3をカーソル表示させるようにLCD16を制御する。
【0034】
予約時刻表示領域A3内の左キー表示部B12および右キー表示部B13は、予約炊飯を行なう際に操作されるもので、左キー表示部B12や右キー表示部B13などを含んで表示された予約設定用表示体B11をタッチ操作すると、表示制御手段49が、例えば、予約設定用表示体B11をカーソル表示させるようにLCD16を制御し、左キー表示部B12および右キー表示部B13で予約設定用表示体B11の表示を変更して予約完了時刻を設定することにより予約の設定がされるように構成されている。この状態で「炊飯」のボタン表示部B16がタッチ操作されて予約炊飯を開始させると、当該設定した予約完了時刻に本体1内の被炊飯物Sが炊き上がるように炊飯制御手段51により炊飯を開始し、また保温制御手段52による保温を開始するように制御する構成となっている。
【0035】
次に、上記構成の炊飯器について、特に炊込みご飯メニュー選択画面G2に関連する動作の特徴を詳細に説明する。なお、ここからは説明の都合上、炊込みご飯の炊飯メニューの選択に関する説明についてのみ言及する。
【0036】
図5は、トップ画面G1で「炊込み」のボタン表示部B3をタッチ操作したときに移行する炊込みご飯メニュー選択画面G2を示している。同図を参照して炊込みご飯メニュー選択画面G2の説明をすると、その上部には、6つのボタン表示部B21~B26を左右に並べて表示した炊込みご飯分類表示領域A4が形成されている。ここで、これらのボタン表示部B21~B26で選択されたものがカーソル表示体Cでカーソル表示され、当該ボタン表示部B21~B26に対応する画面がLCD16に表示されるように構成されており、現在、「炊込みご飯」の選択画面G2-1が表示されている。
【0037】
ここで「炊込みご飯」のボタン表示部B21には「炊込みご飯」なるテキスト表示体D21を含み、同様に、「郷土」のボタン表示部B22には「郷土」なるテキスト表示体D22を含み、「魚介」のボタン表示部B23には「魚介」なるテキスト表示体D23を含み、「野菜・果物」のボタン表示部B24には「野菜・果物」なるテキスト表示体D24を含み、「健康」のボタン表示部B25には「健康」なるテキスト表示体D25を含み、「お気に入り」のボタン表示部B26には「お気に入り」なるテキスト表示体D50を含んでいる。
【0038】
また炊込みご飯分類表示領域A4の後ろには、10個のボタン表示部B31~B40を前後左右に並べて表示した炊込みご飯選択表示領域A5が形成される。ここで本実施形態の表示制御手段23は、記憶手段48に記憶された炊込みご飯メニューを所定の分類に分類分けし、所定の数ごと、本実施形態では10個のボタン表示部B31~B40ごとに表示するようにLCD16を制御している。そのため説明の都合上、これらの10個のボタン表示部B31~B40ごとに表示された炊込みご飯メニュー選択画面G2を、炊込みご飯分類表示領域A4の表示順に「炊込みご飯」の選択画面G2-1、「郷土」の炊込みご飯の選択画面G2-2、「魚介」の炊込みご飯の選択画面G2-3、「野菜・果物」の炊込みご飯の選択画面G2-4、「健康」の炊込みご飯の選択画面G2-5、「お気に入り」の炊込みご飯の選択画面G2-6と称する。なお、この構成は一例であり、分類分けされる炊込みご飯メニューの数は10個より多くてもよく、
図6(C)で後述するように10個よりも少なくてもよい。また例えば表示制御手段23は、記憶手段48に記憶された炊込みご飯メニューを五十音順で分類分けしてもよい。また例えば表示制御手段23は、記憶手段18に記憶された炊込みご飯メニューにおいて、炊込みご飯メニューを五十音順で並べたリストを形成し、このリストを五十音順で所定の数ごとに炊込みご飯選択表示領域A5に表示されるように構成してもよい。
【0039】
炊込みご飯メニュー選択画面G2では、炊込みご飯選択表示領域A5のボタン表示部B31~B40でカーソル表示された分類に分類分けされた炊込みご飯メニューが、第1のボタン表示部B31~第10のボタン表示部B40の表示であるテキスト表示体D31~D40に表示されている。例えば
図5に示された「炊込みご飯」の選択画面G2-1では、順に、「たけのこの炊込みご飯」なるテキスト表示体D31、「ごぼうの炊込みご飯」なるテキスト表示体D32、「にんじんの炊込みご飯」なるテキスト表示体D33、「きのこの炊込みご飯」なるテキスト表示体D34、「ひじきの炊込みご飯」なるテキスト表示体D35、「鶏ごぼうの炊込みご飯」なるテキスト表示体D36、「鮭と大葉の炊込みご飯」なるテキスト表示体D37、「鶏肉としめじの炊込みご飯」なるテキスト表示体D38、「さんまの炊込みご飯」なるテキスト表示体D39、「ツナの炊込みご飯」なるテキスト表示体D40をそれぞれ含む。なお本実施形態では10個のボタン表示部B31~B40に表示された炊込みご飯メニューを選択するように構成されるが、本発明はこれに限定されることなく、例えば炊込みご飯メニューをリスト状にしてLCD16に表示し、画面をスクロールさせて炊込みご飯メニューを探して選択するように構成してもよい。また、炊込みご飯メニューが10個より多い場合に、「炊込みご飯」の選択画面G2-1が上下や左右にスクロールするように構成されてもよく、また、例えば第2の「炊込みご飯」の選択画面G2-1を別画面で表示するように構成してもよい。
【0040】
炊込みご飯分類表示領域A4内のボタン表示部B21~B26は炊込みご飯メニュー選択画面G2-1~G2-6を変更させるのに操作されるものであり、ボタン表示部B21~B26のいずれか、例えば「郷土」のボタン表示部B22をタッチ操作すると、表示制御手段23が、その選択された分類の炊込みご飯メニュー選択画面、例えば
図6(A)に示されるように「郷土」の炊込みご飯の選択画面G2-2を表示するようにLCD16を制御する。またボタン表示部B21~B26は、LCD16に現在表示された炊込みご飯メニュー選択画面G2が、どの分類の炊込みご飯メニュー選択画面であるかを示しており、例えば
図5に示されるように、「炊込みご飯」の選択画面G2-1では「炊込みご飯」のボタン表示部B21が色を付けられたカーソル表示をされており、「炊込みご飯」の選択画面G2-1が代表的な炊込みご飯メニューを表示していることをユーザに連想させている。そのためユーザは、炊込みご飯分類表示領域A4内のボタン表示部B21~B26をタッチ操作することにより、炊込みご飯メニューの選択を直接的に行なうことができる。
【0041】
したがって本実施形態の炊込みご飯分類表示領域A4では、選択可能な炊込みご飯メニューを所定の分類である炊込みご飯の種類ごとに分類分けしてカテゴライズし、当該カテゴライズされたこれらの分類をLCD16にボタン表示部B21~B26として表示させる構成としており、炊込みご飯分類表示領域A4は、ボタン表示部B21~B26から選択することにより対応する炊込みご飯メニューの分類が選択され、これらの分類の選択から対応する炊込みご飯メニュー選択画面G2-1~G2-6を表示させて、第1のボタン表示部B31~第10のボタン表示部40を選択可能にすることにより、選択された分類にカテゴライズされた所望の炊込みご飯メニューを選択可能とする選択手段としての機能も有している。
【0042】
また本実施形態の炊込みご飯分類表示領域A4では、例えば、「炊込みご飯」の選択画面G2-1の第1のボタン表示部B31~第10のボタン表示部40に表示された炊込みご飯メニューに対応する炊込みご飯の分類である「炊込みご飯」のボタン表示部B21に色が付けられたカーソル表示をされており、カーソル表示された「炊込みご飯」のボタン表示部B21と、この「炊込みご飯」に含まれる炊込みご飯メニューを「炊込みご飯」の選択画面G2-1で同時に表示手段6に表示させており、選択された炊込みご飯の分類の炊込みご飯メニューを知ることができ、検索の目安にすることができるため、炊込みご飯の分類ごとで炊込みご飯メニューを検索しやすくしている。
【0043】
なお炊込みご飯メニュー選択画面G2において、例えば炊込みご飯選択表示領域A5の左部に「<」などの画面戻るのボタン表示部、炊込みご飯選択表示領域A5の右部に「>」などの画面進むのボタン表示部を設けるように構成してもよい。またこの場合、表示制御手段23は、例えば画面戻るのボタン表示部をタッチ操作するたびに、炊込みご飯メニュー選択画面がG2-1→G2-6→・・・→G2-2と画面が切り替わり、画面進むのボタン表示部をタッチ操作するたびに、炊込みご飯メニュー選択画面がG2-1→G2-2→・・・→G2-6→G2-1と画面が切り替わるようにLCD16を制御してもよい。このように構成することで、ユーザが炊込みご飯メニューを逐次的に選択することができ、炊込みご飯メニューのすべての確認や炊込みご飯メニューの選択を、少ない操作回数で素早く横断的にして、炊込みご飯メニューの選択性を向上させることができる。
【0044】
炊込みご飯選択表示領域A5内の第1のボタン表示部B31~第10のボタン表示部40は、炊込みご飯メニューを選択するのに操作されるものであり、例えば
図5に示されている「炊込みご飯」の選択画面G2-1で第1のボタン表示部B31~第10のボタン表示部40のいずれか、例えば「たけのこの炊込みご飯」が表示された第1のボタン表示部B31をタッチ操作すると、表示制御手段23が、選択された炊込みご飯メニューに対応する炊込みご飯レシピ表示画面G3、例えば
図7に示されるような「たけのこの炊込みご飯」のレシピ表示画面G3を表示するようにLCD16を制御する。その後、表示制御手段23は、
図5に示されるように「炊込みご飯」の選択画面G2-1の画面に戻ったときに第1のボタン表示部B31をカーソル表示するようにLCD16を制御し、
図4に示されるようにトップ画面G1の画面に戻ったときに「炊込み」のボタン表示部B3をカーソル表示するようにLCD16を制御する。
【0045】
図6(A)~(D)は、炊込みご飯メニュー選択画面G2の炊込みご飯メニュー選択画面G2-2~G2-6をタッチ操作したときに移行する炊込みご飯メニュー選択画面G2を示している。
図6(A)は「郷土」の炊込みご飯の選択画面G2-2を示しており、第1のボタン表示部B31~第10のボタン表示部B40は、順に、「かやくめし(関西)」なるテキスト表示体D31、「忠七飯(埼玉県)」なるテキスト表示体D32、「さよりめし(岐阜県)」なるテキスト表示体D33、「うずめめし(島根県)」なるテキスト表示体D34、「深川めし(東京都)」なるテキスト表示体D35、「わっぱ飯(新潟県)」なるテキスト表示体D36、「黄飯(大分県)」なるテキスト表示体D37、「さくらごはん(静岡県)」なるテキスト表示体D38、「鶏飯(鹿児島県)」なるテキスト表示体D39、「ジューシー(沖縄県)」なるテキスト表示体D40をそれぞれ含む。
【0046】
図6(B)は「魚介」の炊込みご飯の選択画面G2-3を示しており、第1のボタン表示部B31~第10のボタン表示部B40は、順に、「いか飯(北海道)」なるテキスト表示体D31、「たこ飯(兵庫県)」なるテキスト表示体D32、「たこめし(広島県)」なるテキスト表示体D33、「魚ご飯(三重県)」なるテキスト表示体D34、「かつお飯(高知県)」なるテキスト表示体D35、「かつおめし(千葉県)」なるテキスト表示体D36、「鮎ぞうすい(岐阜県)」なるテキスト表示体D37、「ウニとアワビ(岩手県)」なるテキスト表示体D38、「しじみご飯(滋賀県)」なるテキスト表示体D39、「はらこ飯(宮城県)」なるテキスト表示体D40をそれぞれ含む。
【0047】
図6(C)は「野菜・果物」の炊込みご飯の選択画面G2-4を示しており、第1のボタン表示部B31~第5のボタン表示部B35は、順に、「イチゴ飯(栃木県)」なるテキスト表示体D31、「みかんごはん(愛媛県)」なるテキスト表示体D32、「えだまめご飯(山形県)」なるテキスト表示体D33、「奈良の茶粥(奈良県)」なるテキスト表示体D34、「豆腐めし(鳥取県)」なるテキスト表示体D35をそれぞれ含む。
【0048】
図6(D)は「健康」の炊込みご飯の選択画面G2-4を示しており、第1のボタン表示部B31~第10のボタン表示部B40は、順に、「EPAご飯(鯖缶汁)」なるテキスト表示体D31、「EPAご飯(鰯缶詰)」なるテキスト表示体D32、「EPAご飯(秋刀魚)」なるテキスト表示体D33、「カテキンご飯(お茶)」なるテキスト表示体D34、「カテキンご飯(林檎)」なるテキスト表示体D35、「リコピンご飯(トマト)」なるテキスト表示体D36、「リコピンご飯(金時人参)」なるテキスト表示体D37、「ポリフェノールご飯(小豆)」なるテキスト表示体D38、「ポリフェノールご飯(生姜)」なるテキスト表示体D39、「ダイエットこ飯(豆腐)」なるテキスト表示体D40をそれぞれ含む。
【0049】
本実施形態では、第1のボタン表示部B31~第10のボタン表示部40は、大きさが略同一であり、炊込みご飯選択表示領域A5内に、例えば第1のボタン表示部B31~第10のボタン表示部40を5列および2行で配置可能な大きさに形成される。また第1のボタン表示部B55~第6のボタン表示部60はユーザの指でタッチ操作されるため、そして第1のボタン表示部B31~第10のボタン表示部40の中に表示される炊込みご飯メニューの記載を見やすくするために、第1のボタン表示部B31~第10のボタン表示部40の大きさが可能な限り広く形成されている。
【0050】
図7は、炊込みご飯メニュー選択画面G2で第1のボタン表示部B31~第10のボタン表示部40のいずれかをタッチ操作したときに移行する炊込みご飯レシピ表示画面G3を示しており、
図7(A)は、「炊込みご飯」の選択画面G2-1で、「たけのこの炊込みご飯」と表示された第1のボタン表示部B31をタッチ操作したときに移行する炊込みご飯レシピ表示画面G3を示しており、
図7(B)は、「健康」の炊込みご飯の選択画面G2-5で、「リコピンご飯(トマト)」と表示された第6のボタン表示部B36をタッチ操作したときに移行する炊込みご飯レシピ表示画面G3を示している。
【0051】
図7(A)(B)を参照して炊込みご飯レシピ表示画面G3の説明をすると、その上部には、炊込みご飯メニュー選択画面G2で選択した炊込みご飯メニューの名称のテキスト表示体D43が配置され、
図7(A)では「たけのこの炊込みご飯」、
図7(B)では「リコピンご飯(トマト)」と表示されている。また炊込みご飯メニューの名称のテキスト表示体D43の下には、選択された炊込みご飯メニューで使用する主な材料や、料理の作りかたなどの情報が含まれたレシピ表示領域A5が形成されている。そしてレシピ表示領域A5の左には、当該レシピ表示領域A5のレシピで炊飯後の写真を示す炊飯後画像表示体P1と、当該レシピ表示領域A5のレシピで炊飯前の写真を示す炊飯前画像表示体P2とが上下に並べて表示されている。
【0052】
本実施形態では、炊込みご飯メニュー選択画面G2で炊込みご飯メニューを選択すると、炊込みご飯レシピ表示画面G3に移行して当該炊込みご飯のレシピが表示され、また炊飯前や炊飯後の鍋4内の被調理物Sの例が炊飯後画像表示体P1や炊飯前画像表示体P2により写真で表示されるため、炊飯したい炊込みご飯のレシピの確認や、炊飯前の鍋4内の被炊飯物Sの確認や、炊飯後の鍋4内の炊込みご飯のイメージを容易に行なうことができるため、例えば具材や調味液などを他の炊込みご飯のものと間違える虞を抑制している。また本実施形態では、炊込みご飯で使用する主な材料や、料理の作りかたなどのレシピ情報を炊飯器の炊飯特性に適合するようにアレンジしてレシピ表示領域A5に表示する構成にしており、例えば芯残り、過度の焦げ、具材の生煮えなど、炊飯が失敗をする虞を抑制している。
【0053】
なお、炊込みご飯レシピ表示画面G3に、例えば「履歴」などのボタン表示部を設けてもよく、当該「履歴」のボタン表示部がタッチ操作されると、表示制御手段23は、この「履歴」のボタン表示部が選択された炊込みご飯メニューを記憶手段48に記憶するように制御し、併せて「お気に入り」の炊込みご飯の選択画面G2-6において、今までの炊込みご飯メニューに、選択された炊込みご飯メニューを追加して表示するように構成してもよい。このように構成することにより、今まで炊飯してきた炊込みご飯メニューから今回炊飯する米の炊込みご飯メニューを選択することができ、以前の炊込みご飯メニューをユーザが一つ一つ覚えておく必要がなくなるため、利便性が向上する。
【0054】
次に
図8および
図9を参照して、上記構成の炊飯器について炊飯工程における作用を説明する。なお
図8は、鍋4の内部の圧力と気体分子との関係を示す模式図、
図9は、本実施形態の炊飯器の炊飯工程における、容器である鍋4の温度としての鍋センサ12の検知温度t
1と、鍋4内の温度としての蓋温度センサ32の検知温度tsと、蓋ヒータ31の出力W
Lと、加熱コイル11の出力W
Cと、減圧ポンプ39の出力W
Pとの推移をあらわしたグラフである。
【0055】
図8を参照して鍋4の内部の圧力と気体分子との関係を説明する。圧力と気体分子との間の法則として、「液体に溶ける各気体の量は、気体側の圧力に比例する」というヘンリーの法則が周知である。この法則を換言すると、
図8(A)に示されるように、液体としての被炊飯物Sの水と気体としての被炊飯物S上方に存在する空気Aとが接している場合、気体側の圧力を下げると、液体に溶けている気体の量も減少する、ということになり、極論すれば、気体側の圧力を0にした場合は液体に溶ける気体の量も0になる、ということになる。
【0056】
本実施形態の炊飯器では、この法則を応用し、
図8(B)に示されるように、鍋4と内蓋24とで囲まれた鍋内空間を減圧して、被炊飯物Sの水から、被炊飯物S上方の空気Aへの、被炊飯物Sの水に溶存している酸素や揮発性臭気成分の脱気を促進する構成となっている。そして液体に溶けている気体の量が減少する脱気水化することにより米への水の浸透性を促進させ、また減圧により水面に加わる空気の圧力が低下するため、水の沸点は低下する一方で、沸点以下の水分子も活発に動くようになり、被炊飯物Sの水の動きが活発になって吸水性がよくなる。さらに、この水を、40~60℃程度、例えば56℃に加温することにより、水分子の分子運動が活性化し、水に溶存している酸素をより効果的に減少させて当該水を脱気水にすることができる。
【0057】
脱気された液体は、浸透圧により米や具材への浸透が活性することや、熱伝導を阻害する気体が少ないことにより加熱ムラが少なくなることが周知であるが、本実施形態では、特に沸騰加熱前のひたし時に減圧脱気工程を設けて調味液を脱気水化することにより、沸騰加熱工程前に米や具材に調味液を充分に浸透させることができ、また沸騰加熱工程や、沸騰継続工程の初期に鍋4内の調味液や具材の加熱ムラを抑制することができ、米や具材への吸水性を向上させて、加熱不足による生煮えや、米の芯残りを抑制防止することができる。
【0058】
本実施形態の炊飯時における動作を説明すると、炊飯器1の電源プラグをコンセントに差し込んで通電すると、炊飯器1は炊飯や保温が行われていない初期の切(待機)状態となり、表示制御手段49は、トップ画面G1を表示させるようにLCD16を制御する。
【0059】
ここで炊込みご飯メニューを選択する。例えばトップ画面G1で「炊込み」のボタン表示部B3をタッチ操作して炊込みご飯メニュー選択画面G2に移行し、炊込みご飯メニュー選択画面G2の「炊込みご飯」の選択画面G2-1で「たけのこの炊込みご飯」と表示された第1のボタン表示部B31をタッチ操作して、「たけのこの炊込みご飯」の炊込みご飯メニューを選択すると、表示制御手段49は、炊込みご飯レシピ表示画面G3に移行して、例えば
図7(A)に示されるような「たけのこの炊込みご飯」の炊込みご飯のレシピを表示させるようにLCD16を制御する。ユーザは、この炊込みご飯レシピ表示画面G3のレシピ表示領域A5の表示を参照して、鍋4内に被炊飯物Sとして米や具材や調味液を入れ、これを本体1の鍋収容部3にセットした後に、蓋体2を閉じる。なお、最初から炊込みご飯のレシピが分かる場合は、鍋4内に被炊飯物Sを入れて鍋収容部3にセットして蓋体2を閉じた後に、炊飯器の電源プラグをコンセントに差し込んで通電させてもよい。
【0060】
その後、トップ画面G1に戻って「炊飯」のボタン表示部B16をタッチ操作すると、条件設定手段50は、現在カーソル表示されている設定、例えば今回の場合はトップ画面G1では「炊込みご飯」のボタン表示部B21、炊込みご飯メニュー選択画面G2では「たけのこの炊込みご飯」と表示された第1のボタン表示部B31が選択された炊飯メニューであり、今回の炊飯コースの設定として記憶手段48に記憶し、その設定した炊飯コースに対応する加熱パターンの情報を加熱制御手段41に送出する。これを受けて、設定した炊飯コースの加熱パターンに沿って、加熱制御手段41が、制御用IC43に組み込まれた炊飯制御手段51により、鍋4内の被炊飯物Sに対する減圧脱気工程(ひたし炊き工程)、沸騰加熱工程、沸騰継続工程、および高温維持工程(むらし工程)という炊飯工程の動作を行なう。
【0061】
炊飯工程の動作を説明すると、表示・操作制御手段46から送出された情報を受けると、減圧脱気工程に移行し、減圧脱気工程中では鍋4内の圧力が大気圧よりも低い減圧状態となるように、炊飯制御手段51が、ソレノイド35や減圧手段38の動作を各々制御する。具体的には、減圧脱気工程が開始されると、炊飯制御手段51はソレノイド35を非通電状態から通電状態に切替えるように制御して、調圧弁34で蒸気排出経路33を閉塞する。そしてこの状態で、炊飯制御手段51は、減圧手段38の経路を開放すると共に、減圧ポンプ39を連続動作させ、密閉した鍋4の内部の空気を減圧ポンプ39で抜き取る真空引きを行なう。なお本発明の炊飯器に圧力センサを設けてもよく、当該圧力センサによる圧力検知に基づき、鍋4内部の圧力を調整するように構成してもよい。その後、炊飯制御手段51は、鍋4内部の圧力が一定値以下になる減圧状態、具体的には後述するひたし維持温度で鍋4内の水が沸騰しない圧力である、例えば水の沸点が91℃の0.7気圧~水の沸点が72℃の0.3気圧で維持されるように減圧ポンプ39を制御する。こうして減圧脱気工程の全期間に亘って、鍋4内部を減圧状態に保っている。
【0062】
また減圧脱気工程が開始されると、炊飯制御手段51は、鍋センサ12による温度検知に基づき、所定のひたし維持温度に維持するように加熱コイル24を制御し、米の吸水を促進させる。このときのひたし維持温度は、米の吸水が促進される温度である40℃~米の糊化温度の60℃の範囲で任意で設定されるのが好ましく、本実施形態では56℃が採用されている。またひたしの期間である減圧脱気工程の期間は、米の吸水性を考慮して10~30分の間で任意で設定されるのが好ましく、本実施形態では30分が採用されている。なお、これらのひたし維持温度や減圧脱気工程の期間は一例であり、本発明はこれらに限定されない。炊飯制御手段51が、減圧脱気工程の期間が経過した旨の計時手段からの信号を受け取ると減圧脱気工程が終了し、次の沸騰加熱工程に移行する。
【0063】
沸騰加熱工程に移行すると、被炊飯物Sの沸騰検知を行なうまでの加熱で、炊飯制御手段51は、加熱コイル11を、例えば1000Wの出力で連続通電する制御を行なうことにより、減圧脱気工程よりも鍋4内の被炊飯物Sを強く加熱し、被炊飯物Sを、例えば略5分を目安に短時間で沸騰の温度まで上昇させる。また炊飯制御手段51は、減圧手段38の経路を閉塞させ、かつ減圧ポンプ39を停止させるように制御し、ソレノイド35を一時的に非通電状態にして調圧弁34を退避させる。これにより蒸気排出経路33は、鍋4の内外を密閉せずに連通させた開放状態となり、鍋4内部は直ちに外気と同じ常圧に戻る。
【0064】
その後、炊飯制御手段51は、鍋温度t1が所定温度以上、例えば90℃以上に達した温度検知信号を鍋センサ12から受け取り、それに加えて蓋温度tsが所定温度以上、例えば90℃以上に達した温度検知信号を蓋温度センサ32から受け取ると、被炊飯物の沸騰を検知する沸騰検知の制御を開始する。炊飯制御手段51が、引き続き、加熱コイル11を連続通電する制御を行なって鍋4内部で被炊飯物Sを強く加熱する一方で、鍋センサ12の検知温度や蓋温度センサ32の検知温度が所定の時間にどの程度上昇するのかという検知温度の傾きを算出する。
【0065】
具体的には、炊飯制御手段51が、蓋温度センサ32の検知温度から内蓋24の温度である蓋温度tsの上昇が、例えば60秒で1℃以下など所定の温度上昇率以下になったと算出したら、蓋温度tsの温度上昇率の変化による沸騰を検知したと判定する。そして炊飯制御手段51は、沸騰検知の判定時の鍋センサ12の検知温度t1を沸騰基準温度STとして記憶手段44に記憶させ、また計時手段に沸騰検知からの時間の計測を開始させる。なお、鍋センサ12の検知温度から沸騰を検知するように構成してもよく、蓋温度tsの所定の温度上昇率は、被炊飯物Sとしての炊込みご飯のメニューや炊飯量や具材の量に応じてそれぞれ調節され、設定されてもよい。また炊飯制御手段51は、沸騰加熱工程を開始してから略5分などの所定の時間で沸騰検知するのが通常であるところ、例えば10分など所定の経過時間以上になっても沸騰を検知しない場合は、沸騰を検知できない状態であると判定して炊飯を停止するように構成してもよい。炊飯制御手段51が沸騰を検知したと判定すると沸騰加熱工程が終了し、次の沸騰継続工程に移行する。
【0066】
沸騰継続工程に移行すると、炊飯制御手段51は、鍋センサ12の検知温度に基づき鍋温度t1が、例えば98℃以上など所定の温度を維持するように加熱コイル11を、沸騰加熱工程と比較して50~80%の出力、例えば500~800Wの出力での通断電制御を行なうと共に、蓋温度センサ32の検知温度に基づき蓋温度tsが、例えば98℃以上など所定の温度を維持するように蓋ヒータ31を連続通電する制御を行ない、被炊飯物の沸騰状態を、例えば最長10分間などの所定時間継続させる。
【0067】
その後、炊飯制御手段51は、沸騰継続工程で鍋4内部の水が無くなり、鍋センサ12の検知温度から鍋温度t
1の上昇が、例えば30秒で3℃以上など所定の温度上昇率以上になったと算出すると、
図9の過加熱検知に示されるように鍋温度t
1の温度上昇率の変化を検知したと判定する。あるいは炊飯制御手段51は、鍋センサ12の検知温度から鍋温度t
1が、例えば沸騰基準温度ST+6℃など所定の温度に達したと判定すると、鍋温度t
1の所定の温度への到達を検知したと判定する。なお炊飯制御手段51は、沸騰継続工程を開始してから略10分などの所定の時間で前述の判定が可能であるのが通常であるところ、例えば15分など所定の経過時間以上になっても鍋温度t
1の温度上昇率の変化を検知したと判定できず、また鍋温度t
1の所定の温度への到達を検知したと判定できない場合は、例えば鍋センサ12が鍋温度t
1を誤検知しているなど何らかの不具合が発生していると判定して、強制的に沸騰継続工程および炊飯を停止するように構成し、安全性を確保するようにしてもよい。炊飯制御手段51が、鍋温度t
1の温度上昇率の変化を検知したと判定、または鍋温度t
1の所定の温度への到達を検知したと判定すると沸騰継続工程が終了し、次の高温維持工程に移行する。
【0068】
高温維持工程中は炊飯制御手段51が、蓋温度センサ32の検知温度により、蓋ヒータ31を通断電制御して温度管理を行ない、内蓋24への露付きを防止すると共に、記憶手段44に記憶した鍋温度t1の沸騰検知したときの沸騰基準温度STを基準にして、鍋センサ12による温度検知に基づき、例えば300~500Wなど、沸騰継続工程よりもさらに減少させた所定の出力で加熱コイル24の通断電制御を行ない、例えば鍋温度t1が沸騰基準温度ST未満であることを検知したときに鍋4を加熱し、鍋温度t1が沸騰基準温度ST以上であることを検知したときに鍋4の加熱を停止するように加熱コイル24の制御を行なって、鍋4内部の炊込みご飯が焦げない程度に高温が保持されるように鍋4の底部の温度を管理する。
【0069】
なお高温維持工程では、加熱コイル24の出力が沸騰加熱工程や沸騰継続工程のときよりも少なくなるように構成されているため、鍋4の温度としての鍋センサ12の検知温度である鍋温度t1と、鍋4内の温度としての蓋温度センサ32の検知温度である蓋温度tsとの相関が変化してしまう場合が想定される。この場合、炊飯制御手段51は、例えば鍋温度t1が沸騰基準温度ST-1未満、または99℃未満であることを検知したときに鍋4を加熱し、鍋温度t1が沸騰基準温度ST+1以上、または100℃以上であることを検知したときに鍋4の加熱を停止するように加熱コイル24の制御を行ない、鍋4内が沸騰温度近傍の温度で保持されるように鍋4の底部の温度を管理してもよい。
【0070】
ここで炊飯制御手段51は蓋ヒータ31を通断電制御して内蓋24の温度管理を行なっているが、高温維持工程では鍋4内の水が蒸発して蒸発水分量は減少するため、内蓋24への結露水は減少し、したがって蓋ヒータ44の加熱により内蓋24の蓋温度t2が上昇する。そして炊飯制御手段51は、蓋温度tsが所定の過加熱検知温度に達したことを蓋温度センサ32により検知すると、出力を小さくして加熱量を減じるように蓋ヒータ44を制御し、また現在の出力をさらに減少させるように加熱コイル24を制御して、鍋4内の米や具材が過加熱になって焦げ付くことを防止する。
【0071】
その後、炊飯制御手段51が沸騰を検知してから所定の時間が経過した旨の計時手段からの信号を受け取ると、高温維持工程が終了して炊飯工程が完了する。この所定の時間は、例えば20~30分の間で任意で設定されるのが好ましく、本実施形態では25分が採用されている。
【0072】
炊込みご飯では水の代わりに調味液を用いて炊飯され、液体中における熱移動を変化させる要因である塩分、糖分、出汁などが水に混合されているため、鍋4内の調味液中における熱移動は不規則に変化する。さらに炊込みご飯の具材の体積は米より大きいため、当該具材が壁となってしまい、被炊飯物Sの具材が米だけの場合と比較して水の熱対流が阻害されてしまう。この阻害される程度は、具材の大きさや水分保持・放出性などにより多様に変化する。したがって炊込みご飯の炊飯で、鍋4の温度検知によりドライアップを検知する方法により炊飯すると温度のバラツキや誤検知を生じる虞がある。例えば、鍋4内に水がまだ残った状態でドライアップを誤検知してしまい、沸騰継続工程や、ご飯を焦がさない程度の高温に維持するむらし工程の時間が短くなってしまって、米の糊化不足による芯残りや具材の生煮えなどの加熱不足になる虞や、逆にすでに鍋4内の水がすべて蒸発して水が無いのにドライアップが検知できず、鍋4への加熱が継続されてしまい、鍋4の鍋肌近傍のご飯の過剰な焦げや発煙などの加熱過多になる虞が想定される。
【0073】
そこで本実施形態では、鍋4内の被炊飯物Sの米を糊化する温度と時間、および被炊飯物Sの具材が生煮えにならない温度と時間として、沸騰を検知してから炊飯工程が終了するまでの工程である沸騰継続工程および高温維持工程の全期間に亘って、鍋温度t1を沸騰基準温度ST以上または近傍に維持するように構成しており、また沸騰継続工程の時間+高温維持工程の時間を、例えば20~30分としている。そのため鍋4内の温度を沸騰基準温度STまで上昇させて被炊飯物Sの調味液が完全に沸騰した状態で、被炊飯物Sの米を糊化させ、また具材を煮ることができ、米の糊化不足や具材の生煮えを確実に防止することができる。
【0074】
以上のように、本実施形態の炊飯器では、被炊飯物Sとして炊込みご飯を炊飯可能であり、複数の炊込みご飯のメニューから1の炊込みご飯のメニュー、例えば「たけのこの炊込みご飯」のメニューを選択する選択手段としての炊込みご飯メニュー選択画面G2および操作手段19と、炊込みご飯メニュー選択画面G2および操作手段19で選択された1の炊込みご飯のメニューの炊込みご飯情報としての炊込みご飯レシピ表示画面G3を表示する表示手段18のLCD16と、を備える構成としている。
【0075】
このように構成することにより、選択された炊込みご飯のメニュー、例えば「たけのこの炊込みご飯」のメニューに応じた炊飯制御を行なう炊飯器を提供することができる。また、当該炊飯器の炊飯特性に適合する情報を炊込みご飯レシピ表示画面G3でLCD16に表示可能であるため、炊込みご飯レシピ表示画面G3を参照して炊飯を行なうことができ、具材や調味液の量を間違う虞を低減させることにより、炊飯が失敗をする虞を低減させることができる。
【0076】
また本実施形態の炊込みご飯レシピ表示画面G3は、当該炊込みご飯のレシピである構成としており、多種多様な複数の炊込みご飯メニューの中から所望の炊込みご飯の情報を探す手間が軽減され、選択した炊込みご飯の情報を速やかに知ることができる。
【0077】
また本実施形態の炊飯器は、炊込みご飯の炊飯を制御する制御手段としての炊飯制御手段51をさらに備え、炊飯制御手段51は、炊込みご飯メニュー選択画面G2および操作手段19で選択された1の炊込みご飯のメニューに応じて炊飯を制御する構成としており、炊飯制御手段51が、多種多様な複数の炊込みご飯メニューの中から所望の炊込みご飯に応じた炊飯制御を行なうことで、炊飯が失敗をする虞を低減させることができる。
【0078】
また本実施形態のLCD16は、複数の炊込みご飯のメニューを分類分けした炊込みご飯分類表示領域A4を表示可能であるため、多種多様な炊込みご飯のメニューの中から、所望の要件に該当するものを集約して表示させることができるため、所望の炊込みご飯を容易に検索して選択することができる。
【0079】
また本実施形態の炊飯器は、被炊飯物Sを収容する鍋4を加熱する加熱手段としての加熱コイル11と、鍋4の温度を検知する温度検知手段としての鍋センサ12と、様々な時間を計時する計時手段と、をさらに備え、炊飯制御手段51は、鍋センサ12による検知温度t1に基づいて被炊飯物Sにおける水の沸騰を判定したら、当該沸騰の判定時の温度である沸騰基準温度ST以上で被炊飯物Sを所定時間としての沸騰継続工程および高温維持工程の期間保持するように加熱コイル11を制御し、当該保持時に鍋センサ12による検知温度t1に基づいて被炊飯物Sの温度上昇率が所定の値以上であると判定したら沸騰継続工程から高温維持工程に移行して、出力を低下させるように加熱コイル11を制御し、かつ計時手段による計時に基づいて沸騰継続工程および高温維持工程の期間が経過したと判定したら、炊飯工程が終了して炊込みご飯の炊飯が完了したと判定する構成としている。
【0080】
このように構成することにより、鍋4内の温度を沸騰基準温度STまで上昇させて被炊飯物Sの調味液が完全に沸騰した状態で、被炊飯物Sの米を糊化させ、また具材を煮ることができ、米の糊化不足や具材の生煮えを確実に防止することができる。
【0081】
また本実施形態の炊飯器は、鍋4の内部を大気圧未満に減圧脱気する減圧脱気手段としての減圧手段38をさらに備え、炊飯制御手段51は、沸騰加熱工程で被炊飯物Sの水を沸騰させるために鍋4を加熱する前に、減圧脱気工程で鍋4内を減圧脱気するように減圧手段38を制御する構成としている。そのため、沸騰加熱工程前に被炊飯物Sの米や具材に調味液を充分に浸透させることができ、また沸騰加熱工程や、沸騰継続工程の初期に鍋4内の調味液や具材の加熱ムラを抑制することができ、米や具材への吸水性を向上させて、加熱不足による生煮えや、米の芯残りを抑制防止することができる。
本実施形態の炊飯器101では、炊飯工程における加熱コイル11や蓋ヒータ31やソレノイド35や減圧手段38の炊飯制御のパターンである加熱パターンが炊込みご飯メニューで固定的に同一の構成にしており、したがって炊込みご飯メニューの設定が異なり、炊飯コースの設定が異なっても、加熱パターンは同一のものを用いて炊飯制御するように構成されている。なお本実施形態において、記憶手段48に記憶されたそれぞれの炊込みご飯メニューの炊込みご飯レシピ表示画面G3では、当該加熱パターンでその炊込みご飯が炊飯できるようなレシピや方法が記載されるように構成してもよく、これらの炊込みご飯レシピ表示画面G3を参照して炊飯を行なうことで、加熱パターンで同一のものを用いた場合でも炊飯が失敗をする虞を低減させることができる。
サーバ62には、炊飯器101について、その炊飯器1で調理が可能な全てのメニューのレシピ情報が記憶保持される。サーバ62に記憶するメニューのレシピ情報は、ユーザが炊飯器1を利用してそのメニューの料理を作り上げるのに必要なあらゆる情報を含む。
本実施形態では、加熱パターンが炊込みご飯メニューで固定的に同一の構成を採用しているため、第1の実施形態のように炊込みご飯メニューの設定ごとに加熱パターンを変更する必要が無く、また情報端末61と炊飯器101とで当該加熱パターンの情報をやり取りしなくてもいいため、情報端末61と炊飯器101との間の情報量を削減して速やかに情報をやり取りできるようにしている。なお、例えばBluetoothなどの通信方式を利用して、情報端末61と通信手段52とが直接通信できるように構成してもよい。
以上のように、本実施形態の炊飯器101では、外部端末としての情報端末61と通信可能な通信手段63をさらに備え、炊飯制御手段51は、情報端末61から受信した1の炊込みご飯のメニューに応じて炊飯を制御する構成としている。そのためユーザは、炊飯器101から離れた場所に居ても、手元の情報端末61で炊込みご飯レシピ表示画面G3を視認することができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更可能である。例えば第1および第2の実施形態の構成を組み合わせてもよい。また本実施形態では炊込みご飯情報として炊込みご飯のレシピを表示しているが、当該レシピの他にも、例えば味の特徴や世間の人気度なども表示するようにしてもよい。またトップ画面G1に設けられている「炊飯」のボタン表示部B16を炊込みご飯メニュー選択画面G2や炊込みご飯レシピ表示画面G3に設けて、トップ画面G1に戻らなくても炊飯を開始できるように構成してもよい。そして、実施形態中で例示した数値などはあくまでも一例にすぎず、炊飯器の仕様などに応じて適宜変更してかまわない。