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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042847
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】印刷物検査システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240322BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20240322BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
G06T7/00 610B
B41J29/393 105
G03G21/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147756
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大平 芳恵
(72)【発明者】
【氏名】菊本 尚
(72)【発明者】
【氏名】石川 将吾
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5L096
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ06
2C061AR03
2C061AS02
2C061KK26
2C061KK28
2C061KK35
2H270KA57
2H270LA19
2H270LD03
2H270MB25
2H270MB27
2H270QB07
2H270RB04
2H270ZC03
2H270ZC04
5L096AA06
5L096BA03
5L096DA04
5L096GA08
5L096GA51
(57)【要約】
【課題】印刷された時点で検知された欠陥を後処理後において画像上で認識し得る技術を提供する。
【解決手段】印刷物検査システムは、印刷装置10と、プリントサーバ12と、印刷物検査装置14を備える。印刷物検査装置14は、検査対象である頁の印刷物をスキャンして得られたスキャン画像と、検査対象である頁の基準画像とを比較してスキャン画像に存在する欠陥を検査する。プリントサーバ12は、印刷物を製本した場合の、製本を模した画像と関連付けて欠陥を表示装置に表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物を検査するプロセッサと、
前記検査の結果を表示する表示装置と、
を備え、
前記プロセッサは、検査対象である頁の印刷物をスキャンして得られたスキャン画像と、前記検査対象である頁の基準画像とを比較して前記スキャン画像に存在する欠陥を検査し、前記印刷物に実施する後処理に関する情報を取得し、前記後処理に関する情報に基づき、前記後処理を実施した後の印刷物を模した画像と関連付けて前記欠陥を前記表示装置に表示する、印刷物検査システム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記後処理を実施した後の印刷物を模した画像における頁に前記欠陥を表示する、請求項1に記載の印刷物検査システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記スキャン画像に存在する欠陥の位置を、前記後処理を実施した後の印刷物を模した画像における位置に変換して表示する、請求項2に記載の印刷物検査システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記スキャン画像に存在する欠陥のうち、前記後処理を実施した後の印刷物を模した画像に存在しない欠陥は非表示とする、請求項1に記載の印刷物検査システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記スキャン画像に存在する欠陥のうち、前記後処理を実施した後の印刷物におけるトンボあるいは余白位置の欠陥は非表示とする、請求項4に記載の印刷物検査システム。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記後処理を実施した後の印刷物を模した画像を頁順に表示し、前記頁順に従って前記欠陥を表示する、請求項1に記載の印刷物検査システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記後処理を実施した後の印刷物を模した画像を見開き状態で表示し、前記見開き状態で前記欠陥を表示する、請求項6に記載の印刷物検査システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、さらに、前記欠陥の種類を前記表示装置に表示する、請求項1~7のいずれかに記載の印刷物検査システム。
【請求項9】
プロセッサに、
検査対象である頁の印刷物をスキャンして得られたスキャン画像と、前記検査対象である頁の基準画像とを比較して前記スキャン画像に存在する欠陥を検査するステップと、
前記印刷物に実施する後処理に関する情報を取得し、前記後処理に関する情報に基づき、前記後処理を実施した後の印刷物を模した画像と関連付けて前記欠陥を前記表示装置に表示するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物検査システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、小ロットの印刷処理を行うPOD(Print On Demand)システムを用いて、乱丁等の製本不良を生じることなく仕上がり見本を作製可能なデータ作成装置、データ作成方法及びプログラムの発明が記載されている。第1用紙、該第1用紙に対応する第1面付けデータ、及び複数のページを表すページ記述データに基づいて形成される第1印刷物に対し、紙折り工程を含む第1加工処理を施して得られる最終印刷物の形態を、第1用紙と異なるサイズの第2用紙を用いて模擬的に再現するための印刷用データを作成する。第1面付けデータを参照して第1加工処理に平綴じ工程が含まれるか否かを判別する平綴じ有無判別部と、平綴じ有無判別部により平綴じ工程が含まれると判別された場合、平綴じがなされる折り丁単位で、印刷工程及び紙折り工程を含むジョブを定義するジョブ定義部と、ジョブ定義部により定義されたジョブ毎に、第2用紙に対応する印刷用データをそれぞれ作成するデータ作成部とを有する。
【0003】
第1加工処理に平綴じ工程が含まれるか否かを判別する平綴じ有無判別部と、平綴じ工程が含まれると判別された場合、平綴じがなされる折り丁単位で定義されたジョブ毎に、第2用紙に対応する印刷用データをそれぞれ作成するデータ作成部とを設け、印刷工程及び紙折り工程を含むジョブを順次登録することで、平綴じが含まれる製本形態であっても、第1用紙を用いた最終印刷物の形態を、第2用紙を用いて模擬的に再現可能で、PODシステムを用いて、乱丁等の製本不良を生じることなく仕上がり見本を作製できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5367016号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
印刷工場では、印刷後の用紙について印刷結果の検査を行うことがある。検査の結果、印刷不良等の欠陥を検知した場合、作業者が表示装置などの画面に表示されている検査結果を参照しながら、実際の印刷物を目視で検品することがある。ところで、印刷後の用紙について印刷結果の検査を行い、印刷された時点で印刷不良等の欠陥を検知しても、印刷工程が折りや綴じ、断裁などの後処理工程を実施する機械まで接続されたインライン工程等では途中で印刷後の用紙を抜き出すことが困難であるため、後処理後の検品となる。
【0006】
本発明は、印刷物に実施する後処理を考慮せずに、当該印刷物をスキャンして得られたスキャン画像上に、検査によって検知された印刷不良の欠陥を表示する場合と比較して、後処理後の印刷物に存在する欠陥を作業者が容易に認識し得る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、印刷物を検査するプロセッサと、前記検査の結果を表示する表示装置と、を備え、前記プロセッサは、検査対象である頁の印刷物をスキャンして得られたスキャン画像と、前記検査対象である頁の基準画像とを比較して前記スキャン画像に存在する欠陥を検査し、前記印刷物に実施する後処理に関する情報を取得し、前記後処理に関する情報に基づき、前記後処理を実施した後の印刷物を模した画像と関連付けて前記欠陥を前記表示装置に表示する、印刷物検査システムである。
【0008】
第2の態様は、前記プロセッサは、前記後処理を実施した後の印刷物を模した画像における頁に前記欠陥を表示する、第1の態様に係る印刷物検査システムである。
【0009】
第3の態様は、前記プロセッサは、前記スキャン画像に存在する欠陥の位置を、前記後処理を実施した後の印刷物を模した画像における位置に変換して表示する、第2の態様に係る印刷物検査システムである。
【0010】
第4の態様は、前記プロセッサは、前記スキャン画像に存在する欠陥のうち、前記後処理を実施した後の印刷物を模した画像に存在しない欠陥は非表示とする、第1の態様に係る印刷物検査システムである。
【0011】
第5の態様は、前記プロセッサは、前記スキャン画像に存在する欠陥のうち、前記後処理を実施した後の印刷物におけるトンボあるいは余白位置の欠陥は非表示とする、第4の態様に係る印刷物検査システムである。
【0012】
第6の態様は、前記プロセッサは、前記後処理を実施した後の印刷物を模した画像を頁順に表示し、前記頁順に従って前記欠陥を表示する、第1の態様に係る印刷物検査システムである。
【0013】
第7の態様は、前記プロセッサは、前記後処理を実施した後の印刷物を模した画像を見開き状態で表示し、前記見開き状態で前記欠陥を表示する、第6の態様に係る印刷物検査システムである。
【0014】
第8の態様は、前記プロセッサは、さらに、前記欠陥の種類を前記表示装置に表示する、第1~第7の態様のいずれかに係る印刷物検査システムである。
【0015】
第9の態様は、プロセッサに、検査対象である頁の印刷物をスキャンして得られたスキャン画像と、前記検査対象である頁の基準画像とを比較して前記スキャン画像に存在する欠陥を検査するステップと、前記印刷物に実施する後処理に関する情報を取得し、前記後処理に関する情報に基づき、前記後処理を実施した後の印刷物を模した画像と関連付けて前記欠陥を前記表示装置に表示するステップと、を実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
第1、第9の態様によれば、印刷物に実施する後処理を考慮せずに、当該印刷物をスキャンして得られたスキャン画像上に、検査によって検知された印刷不良の欠陥を表示する場合と比較して、後処理後の印刷物に存在する欠陥を作業者が容易に認識できる。
【0017】
第2、第6、第7の態様によれば、さらに、後処理を実施した後の印刷物頁順で検査結果を確認できる。
【0018】
第3の態様によれば、さらに、後処理を実施した後の印刷物の欠陥の位置を認識できる。
【0019】
第4、第5の態様によれば、さらに、後処理を実施した後の印刷物には存在しない欠陥を作業者が探すことを防止できる。
【0020】
第8の態様によれば、さらに、欠陥の種類を認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態のシステム構成図である。
図2】実施形態のプリントサーバの機能ブロック図である。
図3】実施形態のプリントサーバの構成ブロック図である。
図4】実施形態の中綴じの模式的説明図である。
図5】実施形態の製本を模した画像の説明図である。
図6】実施形態の検査結果表示の説明図(その1)である。
図7】実施形態の仕上がり結果表示の説明図(その1)である。
図8】実施形態の検査結果表示の説明図(その2)である。
図9】実施形態の仕上がり結果表示の説明図(その2)である。
図10】実施形態の処理フローチャート(その1)である。
図11】実施形態の処理フローチャート(その2)である。
図12】実施形態のスキャン画像と仕上がり画像の模式的説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0023】
図1は、本実施形態における印刷物検査システムのシステム構成図を示す。印刷物検査システムは、印刷装置10と、プリントサーバ12と、印刷物検査装置14とを含んで構成される。印刷装置10、プリントサーバ12、及び印刷物検査装置14は、データ送受信可能に通信回線で接続される。通信回線は有線/無線を問わず、公衆回線/専用回線を問わない。通信回線の一例はLAN(ローカルエリアネットワーク)であるが、これに限定されない。
【0024】
プリントサーバ12は、印刷ジョブの印刷データを印刷指示として印刷装置10に供給する。プリントサーバ12は、基準画像生成部121を備え、印刷データとは別に、印刷ジョブのラスタライズ結果から基準画像データを生成し、当該基準画像データを印刷物検査装置14に供給する。また、プリントサーバ12は、検査結果表示部122を備え、印刷物検査装置14から照合結果を受信し、検査結果として表示する。プリントサーバ12は、1つ又は複数のプロセッサ及び記憶装置を備える1つ又は複数のサーバコンピュータで構成され得る。プリントサーバ12についてはさらに後述する。
【0025】
印刷装置10は、画像形成部101を備え、プリントサーバ12からの印刷指示を受信し、印刷指示に含まれる印刷データに基づいて用紙に印刷する。印刷物は、印刷装置10の排出トレイから排出される。印刷装置10で印刷された印刷物が検査対象である。印刷装置10は、撮像部(内蔵スキャナ)102を備え、撮像部102で検査対象の印刷物をスキャンしてスキャン画像データを生成する。印刷物が両面印刷の場合、撮像部102はこれに対応して印刷物の両面をスキャンする。スキャン画像データは、印刷物検査装置14に供給される。
【0026】
印刷装置10の構成は公知であるが、以下、簡単に説明する。
【0027】
印刷装置10は、プリントサーバ12から取得したジョブ(印刷ジョブ)に基づき、用紙等の印刷媒体に画像を印刷する。ここで、印刷ジョブは、一回の印刷指示によって指示される印刷動作の処理単位である。
【0028】
印刷装置10は、画像形成部101に加え、収容部、搬送部、排出部、及び制御部を備える。収容部は、画像形成部101へ供給される用紙を収容する機能を有しており、用紙が積載される収容トレイで構成される。
【0029】
搬送部は、収容部に収容された用紙を画像形成部101に搬送する機能を有している。搬送部は、例えば、収容部から用紙を送り出す送出ロールと、収容部から画像形成部101までの搬送経路に沿って複数配置された搬送ロール対から構成される。
【0030】
画像形成部101は、画像を用紙に印刷する機能を有する。画像形成部101は、例えば電子写真式により画像を用紙に印刷する。すなわち、画像形成部101は、帯電、露光、現像、転写、及び定着の各工程を経て画像を用紙に印刷する。また、画像形成部101は、用紙を反転して搬送し、用紙の表及び裏の両面に画像を印刷する機能を有する。
【0031】
排出部は、印刷された用紙が排出される部分である。排出部は、例えば上下に配置された複数の部位から構成され、印刷ジョブにおいて指定された部位へ用紙が排出される。
【0032】
制御部は、受け付けた印刷ジョブに基づき印刷装置10の各部の動作を制御する。制御部は、複数の印刷ジョブを受け付けた場合、スプーラにより各印刷ジョブの順番制御を行う。また、制御部は、撮像部102の動作を制御し、ジョブを構成する全てのページ、あるいは検査対象として設定されたページについて撮像部102の動作をオンとして画像形成部101で印刷された印刷物をスキャンしてスキャン画像データを生成する。
【0033】
なお、ジョブを構成する全ての頁のうち、検査対象外として設定された頁については撮像部102の動作をオフとしてスキャン画像データを生成しない。
【0034】
印刷物検査装置14は、スキャン画像照合部142を備え、プリントサーバ12からの基準画像データと、印刷装置10からのスキャン画像データを取得し、両画像データを比較照合することで印刷時の欠陥を検知する。スキャン画像のうち、基準画像と異なる部分、より特定的には両画像の差分が閾値以上である部分は欠陥として検知される。また、印刷物検査装置14は、照合結果作成部141を備え、スキャン画像照合部142での処理結果に基づいて照合結果を作成する。照合結果は、基準画像とこれに対応するスキャン画像、及び照合結果としての欠陥の有無とその位置を含む。これらの照合結果はプリントサーバ12に提供される。印刷物検査装置14は、プロセッサ及び記憶装置を備える1つ又は複数のコンピュータから構成され得る。
【0035】
図2は、プリントサーバ12の機能ブロック図を示す。プリントサーバ12は、機能ブロックとして、基準画像生成部121、ページ構成管理部123、面付け情報管理部124、検査結果表示部122、及び仕上がり結果表示部125を備える。
【0036】
基準画像生成部121は、既述したように、印刷ジョブのラスタライズ結果から基準画像データを生成する。ラスタライズ処理は公知であり、中間形式のデータに基づいて描画処理を行うことによりラスタデータ(画像データ)を生成する処理である。ラスタライズ処理には、PDL(ページ記述言語)形式からラスタ形式に変換するデータ形式変換処理と、ICCプロファイルを用いたカラーマッチング処理が含まれる。基準画像データは、本来印刷されるべき画像データ、すなわち欠陥のない正解画像の画像データである。
【0037】
頁構成管理部123は、印刷ジョブを構成する各頁の情報、各頁が検査対象であるか、及び各頁の検査結果を管理する。各頁の検査結果は、印刷物検査装置14から受信した照合結果である。
【0038】
面付け情報管理部124は、印刷ジョブ毎の面付け情報を管理する。面付けとは、1枚の印刷用紙に対して複数の印刷データを並べた状態にすることである。
【0039】
検査結果表示部122は、印刷物検査装置14から供給された照合結果を受け取り、検査結果として表示する。検査結果表示部122は、具体的には、印刷ジョブの頁構成に基づいて、各頁のスキャン画像、あるいは基準画像とスキャン画像の両方を並べて表示する。照合結果に欠陥が含まれている場合に、スキャン画像上の欠陥を検知した領域を強調表示する。強調表示の態様は任意であり、矩形あるいは円形で囲む、特定色で表示する、点滅表示する、文字表示する等であるが、特に限定されない。
【0040】
仕上がり結果表示部125は、印刷ジョブの最終出力をシミュレーションした画像を表示する。すなわち、頁構成に基づき、各頁のスキャン画像を用いて、製本を模した画像を表示する。製本を模した画像とは、印刷ジョブの最終出力であり最終製品たる製本の各頁を順次2次元上に模擬再現した画像であり、まず1頁目の画像を表示し、次に利用者による本の頁捲り操作に応じて2頁目、3頁目の画像を順次表示する等である。製本を模した画像は、いわゆる電子書籍として公知である。本実施形態では、後処理後の印刷物を模した画像として、製本を模した画像を例示するが、これには2次元表示のみならず、3次元表示も含まれ得る。
【0041】
本実施形態における「製本」は、印刷された用紙に対し、紙折りや綴じ、断裁などの後処理を経て形成される製本を意味し、主に並製本であるが、上製本であってもよい。
【0042】
図2では、検査結果表示部122と仕上がり結果表示部125は別機能ブロックとして示されているが、これらは単一の表示装置で実現され得る。例えば、単一の表示装置に検査結果を表示するとともに、利用者からの操作に応じて同一表示装置に仕上がり結果を表示し得る。
【0043】
図3は、プリントサーバ12の構成ブロック図を示す。プリントサーバ12は、1つ又は複数のサーバコンピュータから構成され、1つ又は複数のプロセッサ12b、ROM12c、RAM12d、通信インタフェース(I/F)12e、表示装置12f、及び記憶装置12gを備える。
【0044】
1つ又は複数のプロセッサ12bは、ROM12cあるいは記憶装置12gに記憶されたプログラムを読み出し、RAM12dをワーキングメモリとして用いることで各種機能を実現する。プロセッサ12bは、図2における基準画像生成部121、頁構成管理部123、面付け情報管理部124を実現する。
【0045】
通信I/F12eは、印刷物検査装置14に対して印刷データを含む印刷指示を供給する。また、印刷物検査装置14に対して基準画像データを出力し、印刷物検査装置14からの照合結果を受信する。通信I/F12eは、受信した照合結果をプロセッサ12bに出力する。プロセッサ12bは、照合結果に基づいて検査結果画像及び仕上がり結果画像を生成する。
【0046】
表示装置12fは、CRTや液晶、有機EL等のディスプレイで構成され、プロセッサ12bからの表示制御信号に従って検査結果画像及び仕上がり結果画像を表示する。表示装置12fは、図2における検査結果表示部122及び仕上がり結果表示部125を実現する。
【0047】
記憶装置12gは、HDD(Hard Disk Drive:ハードディスクドライブ)やSSD(Solid State Drive:ソリッドステートドライブ)等の不揮発性メモリで構成される。記憶装置12gは、プログラムを記憶する他に、各種画像データ、及び照合結果を記憶する。画像データには、基準画像データ及びこれに対応するスキャン画像データが含まれる。
本実施形態のプロセッサは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えば CPU Central Processing Unit等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU Graphics Processing Unit、ASIC Application Specific Integrated Circuit、FPGA Field Programmable Gate Array 、 プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0048】
また、プロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は適宜変更してもよい。
【0049】
印刷物検査装置14の構成も、図示しないが基本的には図3に示す構成と同様である。すなわち、プロセッサ、ROM、RAM、通信I/F、表示装置、及び記憶装置を備え、通信I/Fを介してプリントサーバ12から基準画像データを受信し、印刷装置10からスキャン画像データを受信して、プロセッサで両画像を比較照合する。プロセッサは、基準画像データとスキャン画像データとを比較照合することで、印刷物に生じた印刷の汚れ等の欠陥の有無を検知する。プロセッサは、照合結果を通信I/Fを介してプリントサーバ12に出力する。プロセッサは、図1におけるスキャン画像照合部142及び照合結果作成部141を実現する。
【0050】
ここで、上記の説明では、プリントサーバ12において検査結果及び仕上がり結果を表示する構成であるが、プリントサーバ12に代えて、あるいはプリントサーバ12とともに、印刷物検査装置14において照合結果に基づいて検査結果画像及び仕上がり結果画像を作成し、印刷物検査装置14の表示装置にこれらの画像を表示してもよい。頁構成管理部123、面付け情報管理部124についても同様に印刷物検査装置14が備えていてもよい。この場合、検査結果表示部122及び仕上がり結果表示部125は、印刷物検査装置14が備える構成となる。
【0051】
要するに、本実施形態の印刷物検査システムにおいて、基準画像とスキャン画像を比較照合する機能は印刷物検査装置14が備えるが、照合結果を表示する機能は印刷物検査装置14とプリントサーバ12の少なくともいずれかが備えていればよい。
【0052】
本実施形態の印刷物検査システムでは、基準画像とスキャン画像とを比較照合することで印刷物に生じた印刷の汚れ等の欠陥の有無を検知するが、印刷を終了した時点で欠陥が生じた紙面不良用紙を取り除くと、後処理後の製本に影響が生じ得る。紙面不良用紙を取り除くことにより用紙が不揃いとなると断裁の工程でミスが生じ易くなるからである。また、印刷の工程がインライン(自動で後工程まで接続された環境)で接続されていると、その途中で紙面不良用紙を取り除くことがそもそも困難である。
【0053】
このため、紙面不良用紙を取り除くのは、後処理後、つまり製本後の検品となるが、製本後にはスキャン画像の頁順や画像の配置位置等は変化するため、欠陥が製本のどの頁のどの位置にあるかを見出すことは必ずしも容易でない。
【0054】
図4は、一例として中綴じ製本の工程を模式的に示す。「中綴じ製本」とは、用紙を二つ折りにして真中部分を針金で綴じる製本方法である。
【0055】
図4(a)に示すように、紙面20の表及び裏の両面に画像を形成し、当該用紙を真中で二つ折り22とし、図4(b)に示すように複数の二つ折り(折丁)22―1、22-2,22-3,22-4、・・・を重ねて真中部分を針金24で綴じる。
【0056】
図4(c)は、中綴じ製本を上から見た模式的な分解図を示す。図において、製本後の頁が丸数字で示されている。二つ折り22-1が印刷工程における1シート目、二つ折り22-2が印刷工程における2シート目、二つ折り22-3が印刷工程における3シート目、二つ折り22-4が印刷工程における4シート目とすると、対応関係は、
二つ折り22-1(印刷工程の1シート目)の表面→製本後の1頁、16頁
二つ折り22-1(印刷工程の1シート目)の裏面→製本後の2頁、15頁
二つ折り22-2(印刷工程の2シート目)の表面→製本後の3頁、14頁
二つ折り22-2(印刷工程の2シート目)の裏面→製本後の4頁、13頁
二つ折り22-3(印刷工程の3シート目)の表面→製本後の5頁、12頁
二つ折り22-3(印刷工程の3シート目)の裏面→製本後の6頁、11頁
二つ折り22-4(印刷工程の4シート目)の表面→製本後の7頁、10頁
二つ折り22-4(印刷工程の4シート目)の裏面→製本後の8頁、9頁
となる。
【0057】
印刷が終了した時点で印刷工程の1シート目である二つ折り22-1の裏面の右下に欠陥が生じていると検知した場合、製本後には図4(c)に丸印で囲んだ15頁に当該欠陥が生じていることになるから、製本後に何頁目に欠陥があるかを把握することは比較的困難である。
【0058】
従って、基準画像とスキャン画像とを比較照合し、スキャン画像に欠陥が検知され、単に欠陥が検知されたスキャン画像を表示装置に表示して利用者に提示したとしても、利用者は、紙面不良用紙が混在していることは認識できるものの、製本後において当該欠陥を特定することが困難であり製本後の検品に支障が生じ得る。
【0059】
そこで、本実施形態では、取得したスキャン画像から仕上がり結果としての製本を模した画像を作成して表示装置12fに表示し、当該製本を模した画像に関連付けて検知した欠陥を表示する。
【0060】
勿論、上記で示した通り、印刷工程の各シートの表面、裏面と、製本後の各頁との間には一定の対応関係があるから、当該対応関係を用いることで利用者は検知された欠陥が製本後のどの頁に存在することになるかを推測することも理論上は可能であるが、製本を模した画像と関連付けて欠陥を表示することで、より直接的に欠陥の位置を把握し得る。
【0061】
図5は、仕上がり結果表示部125で表示される製本を模した画像の一例を示す。図5(a)は製本後の1頁目の画像であり、スキャン画像のうち、印刷工程の1シート目の表面の右半分に相当する画像である。また、図5(b)は製本後の見開き状態の2頁目及び3頁目の画像であり、スキャン画像のうち、印刷工程の1シート目の裏面の左半分に相当する画像、及び印刷工程の2シート目の表面の右半分に相当する画像である。プロセッサ12bは、図4(c)に示す印刷工程のシートと製本後の頁との対応関係を用いて、スキャン画像から製本を模した画像を形成する。また、プロセッサ12bは、基準画像とスキャン画像を比較照合した結果、印刷工程の2シート目の表面の右半分に欠陥を検知した場合、製本を模した画像においてこれに対応する3頁目のスキャン画像に欠陥の有無を表示する。図5(b)では、欠陥が生じた位置を星印で示しているが、その態様は任意である。欠陥の大きさを印の大きさで表現してもよく、あるいは欠陥の程度を印の色で表現してもよい。
【0062】
プロセッサ12bは、製本を模した画像を形成する際に、いわゆるトンボや余白部分は、断裁されるため製本を模した画像から除外して画像に反映させない。また、断裁することで、印刷工程後の用紙での欠陥の位置と、断裁後の当該欠陥の位置との間にはずれが生じるため、プロセッサ12bは、断裁分を考慮して、検知した欠陥の位置を再計算する。プロセッサ12bは、仕上がりの幅や高さ、すなわち製本後の幅や高さを、製本方式、用紙(出力シートサイズ、レイアウト、仕上がりサイズ、仕上がりの向き)から算出して仕上がり結果に反映する。
【0063】
以下、検査結果表示部122で表示される画面、及び仕上がり結果表示部125で表示される画面について、より具体的に説明する。
【0064】
図6は、検査結果表示部122で表示される画面の一例を示す。プロセッサ12bは、基準画像30と、これに対応するスキャン画像32とを並べて示す。図において、基準画像30及びスキャン画像32に表示されている「16」や「1」の数字は、製本後の対応する頁を示す。既述したように、
印刷工程の1シート目の表面→製本後の1頁、16頁
に対応するため、印刷工程の1シート目の表面に対応する基準画像30及びスキャン画像32には、それぞれ左半分に16頁目を示す「16」、右半分に1頁目を示す「1」が表示される(図4(b)を参照)。
【0065】
なお、画面左上には、
・NGページのみ
・元画像と比較
・検査領域を表示
の選択メニューが表示される。図6は、このうち
・元画像と比較
が利用者により選択された場合の画面例である。「元画像」は基準画像を意味する。
【0066】
また、画面左側には、印刷工程後の用紙(シート)の選択メニューが表示される。
例えば、
1(おもて)
1(うら)
2(おもて)
2(うら)



等と表示される。利用者が
1(おもて)
を選択すると、1シート目に対応する基準画像30とスキャン画像32が並べて表示される。
【0067】
図7は、仕上がり結果表示部125で表示される画面の一例を示す。図7(a)は、製本を模した画像34の1頁目である。既述したように、プロセッサ12bは、トンボや余白部分を断裁し、製本した状態での画像34を表示する。図7(a)において「1」は、製本の1頁目であることを示す。図7(b)は、図7(a)の状態から利用者が頁捲り操作を行った場合の画面であり、製本を模した2頁目及び3頁目の見開き状態で画像34が表示される。図7(b)において、「2」、「3」は、それぞれ製本の2頁目及び3頁目であることを示す。
【0068】
図8は、検査結果表示部122で表示される画面の他の例を示す。プロセッサ12bは、基準画像30と、これに対応するスキャン画像32とを並べて示す。スキャン画像32に欠陥が検知された場合、プロセッサ12bは、検知された欠陥の位置に特定の印を表示する。図では、印刷工程の1シート目のスキャン画像32の右半分に欠陥が検知されたため、当該欠陥の位置を矩形36で囲んで表示している。
【0069】
画面右上には、仕上がり結果画面に遷移するためのボタン38が表示される。利用者は、仕上がり結果画面、すなわち製本を模した画像を視認する際には、当該ボタン38を選択操作する。利用者は、図8の画面を視認し、欠陥が検知された位置が製本後にどの頁のどの位置に存在するかを確認すべくボタン38を操作する。
【0070】
図9は、図8の画面で利用者がボタン38を操作した場合に表示される仕上がり結果の画面例を示す。製本を模した画像34の1頁目であり、欠陥が検知された位置が矩形36で囲んで表示される。図9における矩形36の位置は、断裁によるサイズ縮小を考慮して図8における矩形36の位置が再計算された結果を反映したものである。
【0071】
図9の画面左側には、製本の状態での頁を選択するメニューが表示され、欠陥が検知された頁に欠陥を示す表象図形(警告アイコン)が表示される。図では、1頁目及び5頁目に欠陥が検知されたことに対応し、1頁目及び5頁目に警告アイコンが表示される。利用者は、このメニューを視認することによっても、製本のどの頁に欠陥が生じているかを認識し得る。
【0072】
また、図9の画面下部には、現在の画面に表示されている頁を示すページインジケータ42が表示される。図における1/16(ページ)は、全16頁のうちの1頁目が表示されていることを示す。ページインジケータ42には、順送りを意味する「>」のボタンに加え、早送りを意味する「>>」のボタン44が表示される。利用者が順送りのボタンを操作すると、プロセッサ12bは、現在表示されている次の頁、すなわち2頁目と3頁目の見開き状態の画像を表示する。また、利用者がボタン44を操作すると、プロセッサ12bは、欠陥が検知された頁に移動して当該頁を表示する。1頁目及び5頁目に欠陥が検知された場合、プロセッサ12bは、4頁目及び5頁目の見開き状態の画像を表示する。
【0073】
図10及び図11は、本実施形態の処理フローチャートを示す。プロセッサ12b(あるいは印刷物検査装置14のプロセッサ)で実行される処理である。
【0074】
まず、印刷ジョブの全頁の構成情報及び面付け情報を取得する(S101、S102)。
【0075】
次に、作成した基準画像データを印刷物検査装置14に供給し、印刷物検査装置14から基準画像データとスキャン画像データとを比較照合した結果としての検査結果を取得する(S103)。なお、検査結果は、検査対象として選択された全ての頁の検査結果である。また、検査結果には、全ての欠陥の位置情報が含まれる。欠陥の位置情報は、スキャン画像の基準点、例えば矩形のスキャン画像の左上の点を基準とした位置情報である。
【0076】
次に、印刷ジョブの頁構成情報を用いて、1頁分の仕上がりサイズを計算し(S104)、当該仕上がりサイズの開始座標位置を算出する(S105)。仕上がりサイズは、例えば図9における画像34のサイズに対応し、仕上がりサイズの開始座標位置は、例えば図9における画像34の左上の基準点の座標位置に対応する。
【0077】
仕上がりサイズ及びその開始座標位置を算出した後、算出したサイズ及び開始座標位置を用いて、スキャン画像から仕上がり画像を切り出す(S106)。スキャン画像は、例えば図8における画像32に対応し、仕上がり画像は、図9における画像34に対応する。
【0078】
次に、図11に移行し、仕上がり画像の頁単位で順次、印刷の汚れ等の欠陥の有無を判定する(S107)。欠陥情報は、図2における頁構成管理部123に頁単位で記憶され管理されているので、この情報を用いる。
【0079】
欠陥が有れば(S107でYES)、次に、当該欠陥の位置がトンボあるいは余白部分に相当するか否かを判定する(S108)。「トンボ」は周知の如くトリムマークであり、センタートンボは仕上り位置の天地左右の中心を表し、コーナートンボは断裁機で断裁する際の位置の目印になる。検知された欠陥の位置がトンボあるいは余白部分に相当すれば(S108でYES)、製本時には断裁され取り除かれるから、これらの位置にある欠陥を削除して表示対象から除外する(S109)。
【0080】
トンボあるいは余白部分にある欠陥を削除した後、あるいはトンボあるいは余白部分に欠陥が無い場合(S108でNO)、断裁により欠陥の位置がずれることを考慮して欠陥位置の表示開始座標位置を再計算する(S110)。そして、仕上がり画像をその欠陥の位置情報とともに1頁ずつ保存する(S111)。
【0081】
以上の処理を仕上がり画像の全ての頁について繰り返し実行し(S112でNOとなるまでS106に戻って繰り返し実行)、仕上がり画像に存在する欠陥の位置を調整し、仕上がり画像と欠陥とを関連付けて製本時の頁順に仕上がり画像を表示する(S113)。
【0082】
図12は、スキャン画像と仕上がり画像との関係を模式的に示す。図4に示す中綴じ製本の場合である。
【0083】
図12において、印刷工程で得られた印刷用紙(シート)のスキャン画像42のうち、1頁分の仕上がり画像34が矩形領域として示されている。また、図12において、センタートンボ及びコーナートンボ40が示されている。コーナートンボ40の内側のラインが仕上がり画像のサイズを規定する。仕上がり画像34は、スキャン画像42の領域よりも内側に存在し、スキャン画像42と仕上がり画像34との間の領域は余白部分である。スキャン画像42において検知された欠陥のうち、トンボ40や余白部分に位置する欠陥は、既述したように仕上がり画像34に影響を与えないため削除され、欠陥として表示されない。
【0084】
仕上がり画像34の領域内に欠陥36が存在する場合、当該欠陥36の位置座標は、スキャン画像42の左上点P1を基準として決定されたものであるから、仕上がり画像34内において欠陥36を正しく表示するために、仕上がり画像34の左上点P2を基準とした座標に再計算される。
【0085】
図10図11の処理では、トンボあるいは余白部分にある欠陥を削除しているが、これに加えて、スキャン画像42には存在し得るが、製本後の頁単位では存在し得ない位置にある欠陥、例えば図12における背幅領域44に位置する欠陥についても同様に削除して表示対象から除外してもよい。要するに、スキャン画像42で検知された欠陥のうち、製本した状態で利用者が視認できない領域にある欠陥については削除し、視認領域に存在する欠陥のみ残存させて表示対象とすればよい。
【0086】
本実施形態では、中綴じ製本の場合について例示したが、これに限定されるものではなく、他の面付けパターン、例えば平綴じ、カタログ印刷、4アップ、カットアンドスタック等にも同様に適用され得る。「平綴じ」とは、用紙の端から5mm程度のところを針金で1~3ヶ所程度留める製本方法である。「カットアンドスタック」とは、設定された入力頁数分が1枚の用紙内に配置され、印刷した用紙を重ねた後で、頁で断裁して積み重ねたときに頁の順番で並ぶように配置される製本方法である。
【0087】
また、本実施形態では、検知された欠陥の位置を矩形で囲むことで表示したが、これに加えて欠陥の種類を図形や文字等で表示してもよい。欠陥の種類は、検知された欠陥の形状及び大きさに基づき分類すればよく、欠陥の種類には点、すじ、用紙の角折れ等が含まれ得る。
【0088】
本実施形態には、印刷物を検査するプロセッサと、前記検査の結果を表示する表示装置とを備え、前記プロセッサは、検査対象である頁の印刷物をスキャンして得られたスキャン画像と、前記検査対象である頁のラスタライズデータを用いて作成された基準画像とを比較して前記スキャン画像に存在する欠陥を検査し、前記欠陥のうち、前記印刷物を製本した場合の視認領域に存在する欠陥を前記表示装置に表示する、印刷物検査システムも含まれる。また、プロセッサに、検査対象である頁の印刷物をスキャンして得られたスキャン画像と、前記検査対象である頁のラスタライズデータを用いて作成された基準画像とを比較して前記スキャン画像に存在する欠陥を検査するステップと、前記欠陥のうち、前記印刷物を製本した場合の視認領域に存在する欠陥を表示装置に表示するステップとを実行させるプログラムも含まれる。
【0089】
(付記)
(((1)))
印刷物を検査するプロセッサと、
前記検査の結果を表示する表示装置と、
を備え、
前記プロセッサは、検査対象である頁の印刷物をスキャンして得られたスキャン画像と、前記検査対象である頁の基準画像とを比較して前記スキャン画像に存在する欠陥を検査し、前記印刷物に実施する後処理に関する情報を取得し、前記後処理に関する情報に基づき、前記後処理を実施した後の印刷物を模した画像と関連付けて前記欠陥を前記表示装置に表示する、印刷物検査システム。
(((2)))
前記プロセッサは、前記後処理を実施した後の印刷物を模した画像における頁に前記欠陥を表示する、(((1)))に記載の印刷物検査システム。
(((3)))
前記プロセッサは、前記スキャン画像に存在する欠陥の位置を、前記後処理を実施した後の印刷物を模した画像における位置に変換して表示する、(((2)))に記載の印刷物検査システム。
(((4)))
前記プロセッサは、前記スキャン画像に存在する欠陥のうち、前記後処理を実施した後の印刷物を模した画像に存在しない欠陥は非表示とする、(((1)))~(((3)))のいずれかに記載の印刷物検査システム。
(((5)))
前記プロセッサは、前記スキャン画像に存在する欠陥のうち、前記後処理を実施した後の印刷物におけるトンボあるいは余白位置の欠陥は非表示とする、(((4)))に記載の印刷物検査システム。
(((6)))
前記プロセッサは、前記後処理を実施した後の印刷物を模した画像を頁順に表示し、前記頁順に従って前記欠陥を表示する、(((1)))、(((2)))のいずれかに記載の印刷物検査システム。
(((7)))
前記プロセッサは、前記後処理を実施した後の印刷物を模した画像を見開き状態で表示し、前記見開き状態で前記欠陥を表示する、(((6)))に記載の印刷物検査システム。
(((8)))
前記プロセッサは、さらに、前記欠陥の種類を前記表示装置に表示する、(((1)))~(((7)))のいずれかに記載の印刷物検査システム。
(((9)))
プロセッサに、
検査対象である頁の印刷物をスキャンして得られたスキャン画像と、前記検査対象である頁の基準画像とを比較して前記スキャン画像に存在する欠陥を検査するステップと、
前記印刷物に実施する後処理に関する情報を取得し、前記後処理に関する情報に基づき、前記後処理を実施した後の印刷物を模した画像と関連付けて前記欠陥を前記表示装置に表示するステップと、
を実行させるプログラム。
【0090】
(((1)))、(((9)))に係る印刷物検査システム、プログラムによれば、印刷された時点で検知された欠陥を後処理後において画像上で認識できる。
(((2)))、(((6)))、(((7)))に係る印刷物検査システムによれば、さらに、後処理を実施した後の印刷物を模した画像の頁順で検査結果を確認できる。
(((3)))に係る印刷物検査システムによれば、さらに、後処理を実施した後の印刷物を模した画像の欠陥の正確な位置を認識できる。
(((4)))、(((5)))に係る印刷物検査システムによれば、さらに、後処理を実施した後の印刷物を模した画像には存在しない欠陥の誤表示を防止できる。
(((8)))に係る印刷物検査システムによれば、さらに、欠陥の種類を認識できる。
【符号の説明】
【0091】
10 印刷装置、12 プリントサーバ、14 印刷物検査装置、121 基準画像生成部、122 検査結果表示部、141 照合結果作成部、142 スキャン画像照合部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12