(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042850
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】制御装置、情報処理装置、プログラム、制御方法、情報処理方法及び制御システム
(51)【国際特許分類】
G01S 5/16 20060101AFI20240322BHJP
B65G 1/00 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
G01S5/16
B65G1/00 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147759
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊地 正哲
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022CC03
3F022EE02
3F022KK01
3F022LL06
3F022MM04
3F022MM11
3F022MM42
3F022NN12
3F022PP06
3F022QQ11
3F022QQ17
(57)【要約】
【課題】移動装置の状況に応じた制御をより適切に行えるようにする。
【解決手段】制御装置は、空間に設けられた複数の発光装置の発光を制御する制御部を備え、上記の空間においては、複数の発光装置の少なくとも一部を撮像部が撮像した画像に基づいて空間における自装置の位置を導出する移動装置が移動し、制御部は、空間における移動装置の想定移動領域に係る制御用情報に基づいて、複数の発光装置の発光を制限するよう制御する。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間に設けられた複数の発光装置の発光を制御する制御部を備えた制御装置であって、
前記空間においては、前記複数の発光装置の少なくとも一部を撮像部が撮像した画像に基づいて前記空間における自装置の位置を導出する移動装置が移動し、
前記制御部は、
前記空間における前記移動装置の想定移動領域に係る制御用情報に基づいて、前記複数の発光装置の発光を制限するよう制御する、
制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記制御用情報に基づいて、前記複数の発光装置のうち、前記空間における前記想定移動領域以外の領域の少なくとも一部に設けられた発光装置の発光を停止させる、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記想定移動領域は、前記空間のうち前記移動装置が進入できない進入不可領域を除いた領域である、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記進入不可領域は、前記空間に物体が置かれることにより形成される部分を含み、
前記制御用情報は、前記空間に置かれた前記物体の位置に係る情報を含む、
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記制御用情報に基づいて、前記進入不可領域のうち、前記空間に置かれた前記物体により遮られて前記移動装置の前記撮像部が撮像できない撮像不可領域を導出し、
前記複数の発光装置のうち、前記撮像不可領域に設けられた発光装置の発光を停止させる、
請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御用情報は、前記空間に置かれた前記物体の高さに係る情報を含み、
前記制御部は、前記制御用情報に含まれる、前記空間に置かれた前記物体の位置に係る情報、及び、前記空間に置かれた前記物体の高さに係る情報に基づいて、前記撮像不可領域を導出する、
請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記想定移動領域の特定に用いられる領域特定用情報を前記移動装置から受信し、
受信した前記領域特定用情報に基づいて前記制御用情報を生成する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
制御装置による制御に従って発光する複数の発光装置が設けられた空間を移動する移動装置に設けられた情報処理装置であって、
前記空間における前記移動装置の位置に応じた撮像範囲を撮像部が撮像した画像を取得し、
前記複数の発光装置のうち前記撮像部が撮像した前記画像に含まれる発光装置の発光状態に基づいて、前記空間における前記移動装置の位置を導出し、
前記空間における前記移動装置の想定移動領域の特定に用いられる領域特定用情報を取得し、
取得した前記領域特定用情報を、前記複数の発光装置の前記制御に用いられる制御用情報の生成のために前記制御装置に送信する、
処理部を備える情報処理装置。
【請求項9】
前記想定移動領域は、前記空間のうち前記移動装置が進入できない進入不可領域を除いた領域であり、
前記進入不可領域は、前記空間に物体が置かれることにより形成される部分を含み、
前記領域特定用情報は、前記空間に置かれた前記物体の位置に係る情報を含む、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記移動装置は、前記物体を運搬して前記空間に置くことが可能であり、
前記領域特定用情報は、前記移動装置が前記空間に置いた前記物体の位置に係る情報を含む、
請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記移動装置は、前記物体が載置される載置部と、前記載置部に載置されている前記物体を検出する検出部と、を備え、
前記処理部は、
前記検出部が前記物体を検出している状態から、前記検出部が前記物体を検出していない状態に変化した場合に、前記移動装置が前記空間に前記物体を置いたと判別し、
前記移動装置が前記空間に前記物体を置いたと判別したときの前記移動装置の位置に基づいて、前記移動装置が前記空間に置いた前記物体の位置を決定する、
請求項10に記載の情報処理装置。
【請求項12】
コンピュータに、空間に設けられた複数の発光装置の発光を制御する処理を実行させるプログラムであって、
前記空間においては、前記複数の発光装置の少なくとも一部を撮像部が撮像した画像に基づいて前記空間における自装置の位置を導出する移動装置が移動し、
前記複数の発光装置の発光を制御する前記処理は、前記空間における前記移動装置の想定移動領域に係る制御用情報に基づいて、前記複数の発光装置の発光を制限するよう制御する処理を含む、
プログラム。
【請求項13】
制御装置による制御に従って発光する複数の発光装置が設けられた空間を移動する移動装置に設けられた情報処理装置のコンピュータに、
前記空間における前記移動装置の位置に応じた撮像範囲を撮像部が撮像した画像を取得する処理、
前記複数の発光装置のうち前記撮像部が撮像した前記画像に含まれる発光装置の発光状態に基づいて、前記空間における前記移動装置の位置を導出する処理、
前記空間における前記移動装置の想定移動領域の特定に用いられる領域特定用情報を取得する処理、
取得した前記領域特定用情報を、前記複数の発光装置の前記制御に用いられる制御用情報の生成のために前記制御装置に送信する処理、
を実行させるプログラム。
【請求項14】
コンピュータが、空間に設けられた複数の発光装置の発光を制御する制御方法であって、
前記空間においては、前記複数の発光装置の少なくとも一部を撮像部が撮像した画像に基づいて前記空間における自装置の位置を導出する移動装置が移動し、
前記制御方法では、前記空間における前記移動装置の想定移動領域に係る制御用情報に基づいて、前記複数の発光装置の発光を制限するよう制御する、
制御方法。
【請求項15】
制御装置による制御に従って発光する複数の発光装置が設けられた空間を移動する移動装置に設けられた情報処理装置のコンピュータが実行する情報処理方法であって、
前記空間における前記移動装置の位置に応じた撮像範囲を撮像部が撮像した画像を取得し、
前記複数の発光装置のうち前記撮像部が撮像した前記画像に含まれる発光装置の発光状態に基づいて、前記空間における前記移動装置の位置を導出し、
前記空間における前記移動装置の想定移動領域の特定に用いられる領域特定用情報を取得し、
取得した前記領域特定用情報を、前記複数の発光装置の前記制御に用いられる制御用情報の生成のために前記制御装置に送信する、
情報処理方法。
【請求項16】
空間に設けられた複数の発光装置の発光を制御する制御装置と、
前記空間を移動する移動装置と、
を備え、
前記移動装置は、前記複数の発光装置の少なくとも一部を撮像部が撮像した画像に基づいて前記空間における自装置の位置を導出する処理部を備え、
前記制御装置は、前記空間における前記移動装置の想定移動領域に係る制御用情報に基づいて、前記複数の発光装置の発光を制限するよう制御する制御部を備える、
制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、情報処理装置、プログラム、制御方法、情報処理方法及び制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋内の空間を移動する移動装置が、空間に設けられた発光装置からの情報に基づいて当該移動装置の測位を行う技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術の適用状況によっては、移動装置の測位において発光装置からの情報の受信を効果的に行えず電力等が無駄になるおそれがあるという課題がある。
【0005】
この発明は、移動装置の状況に応じた制御をより適切に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る制御装置は、
空間に設けられた複数の発光装置の発光を制御する制御部を備えた制御装置であって、
前記空間においては、前記複数の発光装置の少なくとも一部を撮像部が撮像した画像に基づいて前記空間における自装置の位置を導出する移動装置が移動し、
前記制御部は、
前記空間における前記移動装置の想定移動領域に係る制御用情報に基づいて、前記複数の発光装置の発光を制限するよう制御する。
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る情報処理装置は、
制御装置による制御に従って発光する複数の発光装置が設けられた空間を移動する移動装置に設けられた情報処理装置であって、
前記空間における前記移動装置の位置に応じた撮像範囲を撮像部が撮像した画像を取得し、
前記複数の発光装置のうち前記撮像部が撮像した前記画像に含まれる発光装置の発光状態に基づいて、前記空間における前記移動装置の位置を導出し、
前記空間における前記移動装置の想定移動領域の特定に用いられる領域特定用情報を取得し、
取得した前記領域特定用情報を、前記複数の発光装置の前記制御に用いられる制御用情報の生成のために前記制御装置に送信する、
処理部を備える。
【0008】
上記課題を解決するため、本発明に係るプログラムは、
コンピュータに、空間に設けられた複数の発光装置の発光を制御する処理を実行させるプログラムであって、
前記空間においては、前記複数の発光装置の少なくとも一部を撮像部が撮像した画像に基づいて前記空間における自装置の位置を導出する移動装置が移動し、
前記複数の発光装置の発光を制御する前記処理は、前記空間における前記移動装置の想定移動領域に係る制御用情報に基づいて、前記複数の発光装置の発光を制限するよう制御する処理を含む。
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係るプログラムは、
制御装置による制御に従って発光する複数の発光装置が設けられた空間を移動する移動装置に設けられた情報処理装置のコンピュータに、
前記空間における前記移動装置の位置に応じた撮像範囲を撮像部が撮像した画像を取得する処理、
前記複数の発光装置のうち前記撮像部が撮像した前記画像に含まれる発光装置の発光状態に基づいて、前記空間における前記移動装置の位置を導出する処理、
前記空間における前記移動装置の想定移動領域の特定に用いられる領域特定用情報を取得する処理、
取得した前記領域特定用情報を、前記複数の発光装置の前記制御に用いられる制御用情報の生成のために前記制御装置に送信する処理、
を実行させる。
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係る制御方法は、
コンピュータが、空間に設けられた複数の発光装置の発光を制御する制御方法であって、
前記空間においては、前記複数の発光装置の少なくとも一部を撮像部が撮像した画像に基づいて前記空間における自装置の位置を導出する移動装置が移動し、
前記制御方法では、前記空間における前記移動装置の想定移動領域に係る制御用情報に基づいて、前記複数の発光装置の発光を制限するよう制御する。
【0011】
上記課題を解決するため、本発明に係る情報処理方法は、
制御装置による制御に従って発光する複数の発光装置が設けられた空間を移動する移動装置に設けられた情報処理装置のコンピュータが実行する情報処理方法であって、
前記空間における前記移動装置の位置に応じた撮像範囲を撮像部が撮像した画像を取得し、
前記複数の発光装置のうち前記撮像部が撮像した前記画像に含まれる発光装置の発光状態に基づいて、前記空間における前記移動装置の位置を導出し、
前記空間における前記移動装置の想定移動領域の特定に用いられる領域特定用情報を取得し、
取得した前記領域特定用情報を、前記複数の発光装置の前記制御に用いられる制御用情報の生成のために前記制御装置に送信する。
【0012】
上記課題を解決するため、本発明に係る制御システムは、
空間に設けられた複数の発光装置の発光を制御する制御装置と、
前記空間を移動する移動装置と、
を備え、
前記移動装置は、前記複数の発光装置の少なくとも一部を撮像部が撮像した画像に基づいて前記空間における自装置の位置を導出する処理部を備え、
前記制御装置は、前記空間における前記移動装置の想定移動領域に係る制御用情報に基づいて、前記複数の発光装置の発光を制限するよう制御する制御部を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、移動装置の状況に応じた制御をより適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】LEDマーカーの発光パターンを説明する図である。
【
図7】積み降ろし履歴データの内容例を示す図である。
【
図8】倉庫における或る時点での荷物の保管状況を示す図である。
【
図9】撮像不可領域の導出方法を説明する図である。
【
図10】撮像不可領域の導出方法を説明する図である。
【
図12】積み降ろし情報送信処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図13】発光制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図15】ステータス情報送信処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図16】発光制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
【
図17】荷物管理データ更新処理の制御手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
<荷物管理システムの概要>
図1は、荷物管理システム1の構成を示す図である。
本実施形態の荷物管理システム1(制御システム)は、荷物(物体)を保管するための倉庫500に設けられている。荷物管理システム1は、倉庫500内の空間500aを移動する車両10(移動装置)と、制御装置20と、空間500aに設けられた複数のLEDマーカー30(発光装置)などを備える。車両10は、制御装置20との間で無線による通信経路を介したデータの送受信が可能となっている。荷物管理システム1は、倉庫500に入庫して保管される複数の荷物60の保管位置等を個別に管理する。以下では、倉庫500の空間500aにおける車両10や荷物60の位置をXYZ直交座標系により表す。X方向及びY方向は、倉庫500の床面に平行であり、Z方向は鉛直方向上向きであるものとする。
図1では、制御装置20が倉庫500の内部に描かれているが、これに限られず、制御装置20は、倉庫500の外部や遠隔地に設けられていてもよい。
【0017】
<車両の構成>
車両10は、本実施形態ではフォークリフトである。車両10は、荷物60が載置されるフォーク10a(載置部)と、フォーク10aを地上に対する略鉛直方向に昇降させるマスト10bと、2つのカメラ19(撮像部)などを有する。車両10は、搭乗者(操作者)の操作に応じて、フォーク10aにより荷物60を持ち上げたり(取り上げたり)、フォーク10aから荷物60を降ろして保管場所に置いたりすることができる。また、車両10は、荷物60をフォーク10aに載置した状態で移動することで、荷物60を倉庫500内で移動させることができる。
詳しくは、荷物60は、パレットP(台座)の上に載置された状態で、パレットPごとフォーク10aにより持ち上げられる。パレットPは、平面視で略正方形の偏平な直方体形状の部材であり、一対の側面間を貫通する2つの挿通穴Paが設けられている。この2つの挿通穴Paにそれぞれフォーク10aを挿通した状態でフォーク10aを上昇させることで、パレットP及び荷物60を持ち上げることができる。なお、
図1に示す挿通穴Paに直交する方向にさらに2つの挿通穴Paを設け、パレットPの任意の側面からフォーク10aを挿通穴Paに挿通できるようにしてもよい。
【0018】
図2は、車両10の機能構成を示すブロック図である。
車両10は、端末装置100(情報処理装置)と、荷物検出部16(検出部)と、フォーク高さ検出部17と、方位検出部18と、カメラ19などを備える。端末装置100は、CPU11(Central Processing Unit)、RAM12(Random Access Memory)、記憶部13、操作表示部14及び通信部15などを有する。車両10の各部は、PoEハブ等を含む通信経路101を介して接続されている。
【0019】
端末装置100は、例えばノートPC、タブレット端末又はスマートフォンなどであるが、これらに限られない。また、端末装置100は、必ずしも車両10と別個に設けられたものでなくてもよく、予め車両10の一部として組み込まれたものであってもよい。
【0020】
端末装置100のCPU11は、記憶部13に記憶されているプログラム131を読み出して実行し、各種演算処理を行うことで、端末装置100及び車両10の動作を制御するプロセッサである。本実施形態では、CPU11が処理部(1以上の処理部)に相当する。なお、端末装置100は、複数のプロセッサ(複数のCPU等)を有していてもよく、本実施形態のCPU11が実行する複数の処理を、当該複数のプロセッサが実行してもよい。この場合には、複数のプロセッサが処理部(1以上の処理部)に相当する。また、この場合において、複数のプロセッサが共通の処理に関与してもよいし、あるいは、複数のプロセッサが独立に異なる処理を並列に実行してもよい。
【0021】
RAM12は、CPU11に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。
【0022】
記憶部13は、コンピュータとしてのCPU11により読み取り可能な非一時的な記録媒体であり、プログラム131及び各種データを記憶する。記憶部13は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリを含む。記憶部13に記憶されるデータとしては、カメラ19により撮像された撮像画像に係る撮像画像データ132、車両10の状態を表すステータスデータ133、及び積み降ろし履歴データ134などがある。ステータスデータ133及び積み降ろし履歴データ134の具体的な内容については後述する。
【0023】
操作表示部14は、CPU11からの表示制御信号に従って表示を行う表示装置(例えば、液晶ディスプレイ)と、ユーザによる入力操作を受け付けて当該入力操作に応じた操作情報をCPU11に出力する入力装置(例えば、タッチパネルや、マウス及びキーボード等)とを有する。
【0024】
通信部15は、ネットワークカード又は通信モジュール等により構成され、制御装置20との間で所定の通信規格に従ってデータの送受信を行う。本実施形態の通信部15は、Wi-Fi(登録商標)などの無線通信により制御装置20との間でデータの送受信を行う。
【0025】
荷物検出部16は、フォーク10aに荷物60が載置されているか否かを検出し、検出結果に係るデータを端末装置100のCPU11に出力する。荷物検出部16による検出結果に基づいて、荷物60の載置有無を表す載置情報Ib(
図6参照)が生成される。本実施形態の荷物検出部16は、フォーク10aに載置された荷物60との距離を検出する距離センサを有し、フォーク10aに荷物60が載置されている場合と、荷物60が載置されていない場合との距離センサの検出結果の相違に基づいて荷物60の有無を検出する。ただし、荷物60の検出方法はこれに限られず、例えば、フォーク10aに載置されている物の重量を検出する方法、又は、フォーク10aをカメラ19(又は図示しない別のカメラ)で撮像した画像に基づいて荷物60の有無を判別する方法などを用いてもよい。
【0026】
フォーク高さ検出部17は、マスト10bにより昇降するフォーク10aのZ方向の高さを検出し、検出結果に係るデータをCPU11に出力する。フォーク10aのZ方向の高さは、車両10に設けられた図示しないセンサによるフォーク10aの検出結果や、カメラ19による撮像画像に映っているフォーク10aの位置に基づいて検出してもよいし、フォーク10aの昇降制御の履歴に基づいて検出してもよい。
【0027】
方位検出部18は、車両10の向きを検出し、検出結果に係るデータをCPU11に出力する。方位検出部18は、例えば地磁気センサを有し、地磁気センサにより導出される磁北の向きに基づいて車両10の向きを導出する。方位検出部18による検出結果に基づいて、車両10の向きを表す向き情報Ie(
図6参照)が生成される。また、方位検出部18は、カメラ19により撮像されたLEDマーカー30の情報により車両10の向きを判断するようにしてもよい。カメラ19を方位検出部18として使用することにより、車両10の位置情報とともに向き情報Ieがほぼ同時に得られるのでCPU11の判断処理が効率的になる。
【0028】
カメラ19は、所定のフレームレートで倉庫500内の空間500aを撮像し、撮像画像データ132を端末装置100に出力する。
図1に示すように、本実施形態の車両10には、車両10の前方上方及び後方上方をそれぞれ撮像する2つのカメラ19が設けられている。
【0029】
<LEDマーカーの構成>
図1に示す複数のLEDマーカー30の各々は、赤、緑及び青の光を発する3つのLED(Light Emitting Diode)を有し、赤、緑及び青の光を所定の切り替え周期で切り替えて発光することができる。LEDマーカー30は、倉庫500の天井における予め定められた位置に取り付けられて固定されている。複数のLEDマーカー30は、マトリクス状などの規則的な配列をなすように配置されていてもよいし、規則性を有しない位置に配置されていてもよい。各LEDマーカー30は、赤、緑及び青の発光色を時系列で変化させた発光パターンで発光する。発光パターンについては後述する。各LEDマーカー30は、制御装置20と通信接続されており、制御装置20による制御に従って(制御装置20から送信される制御信号に従って)発光する。
【0030】
<制御装置の構成>
図3は、制御装置20の機能構成を示すブロック図である。
制御装置20は、CPU21と、RAM22と、記憶部23と、通信部24などを備える。制御装置20の各部は、バス201を介して接続されている。制御装置20は、ユーザによる入力操作を受け付ける操作部や、各種表示を行う表示部をさらに備えていてもよい。
【0031】
CPU21は、記憶部23に記憶されているプログラム231を読み出して実行し、各種演算処理を行うことで、制御装置20の動作を制御するプロセッサである。本実施形態では、CPU21が制御部(1以上の制御部)に相当する。なお、制御装置20は、複数のプロセッサ(例えば、複数のCPU)を有していてもよく、本実施形態のCPU21が実行する複数の処理を、当該複数のプロセッサが実行してもよい。この場合には、複数のプロセッサが制御部(1以上の制御部)に相当する。また、この場合において、複数のプロセッサが共通の処理に関与してもよいし、あるいは、複数のプロセッサが独立に異なる処理を並列に実行してもよい。
【0032】
RAM22は、CPU21に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。
【0033】
記憶部23は、コンピュータとしてのCPU21により読み取り可能な非一時的な記録媒体であり、プログラム231及び各種データを記憶する。記憶部23は、例えばHDD、SSD等の不揮発性メモリを含む。記憶部23に記憶されるデータとしては、倉庫500の各保管エリア501の状況を管理するための倉庫管理データ232、及び、倉庫500に保管される荷物60を管理するための荷物管理データ233などがある。倉庫管理データ232及び荷物管理データ233の具体的な内容については後述する。
【0034】
通信部24は、ネットワークカード又は通信モジュール等により構成され、車両10の端末装置100との間で所定の通信規格に従ってデータの送受信を行う。
【0035】
<荷物管理システムの動作>
第1の実施形態の荷物管理システム1が行う、荷物60の管理のための動作の概要は、以下のとおりである。
(1)LEDマーカー30は、制御装置20による制御に従って、当該LEDマーカー30を識別可能な発光パターンで発光する。
(2)車両10の端末装置100のCPU11は、倉庫500内の空間500aにおける車両10の位置に応じた撮像範囲をカメラ19が撮像した画像を取得し、複数のLEDマーカー30のうちカメラ19が撮像した画像に含まれるLEDマーカー30の発光パターン(発光状態)に基づいて、空間500aにおける車両10の位置を導出する。
(3)端末装置100のCPU11は、導出した車両10の位置、及び、フォーク10aによる荷物60の載置状況の変化等に基づいて、荷物60の積み降ろし(荷物60を置くこと、又は取り上げること)を行った位置の情報を含む積み降ろし情報J(
図7参照)(領域特定用情報)を生成し、制御装置20に送信する。
(4)制御装置20のCPU21は、受信した積み降ろし情報Jに基づいて、空間500aにおける車両10の想定移動領域を導出し、当該想定移動領域、及び荷物60の保管状況の情報を含む倉庫管理データ232(
図9参照)(制御用情報)を更新する。具体的には、本実施形態の想定移動領域は、空間500aのうち、車両10が侵入できない進入不可領域R1を除いた領域である。CPU21は、積み降ろし情報Jに基づいて進入不可領域R1を導出する。また、CPU21は、進入不可領域R1のうち、車両10のカメラ19が撮像できない撮像不可領域R2を導出する。CPU21は、導出した進入不可領域R1、及び撮像不可領域R2の情報を倉庫管理データ232に記録する。
(5)制御装置20のCPU21は、電力消費量の低減のために、撮像不可領域R2に設けられたLEDマーカー30の発光を制限する制御を行う。本実施形態では、CPU21は、撮像不可領域R2に設けられたLEDマーカー30の発光を停止させる。
以下、(1)~(5)の各動作について詳細に説明する。
【0036】
(1.LEDマーカーの発光動作)
図4は、LEDマーカー30の発光パターン70を説明する図である。
LEDマーカー30による発光パターン70は、赤、緑及び青のうちいずれか1色の発光が行われる単位期間が所定数連続するように組み合わされたものである。本実施形態の発光パターン70は、24個の単位期間S(S1~S24)からなる。このような発光パターン70により、24個の発光色の序列によって表される情報を送信することができる。なお、1つの発光パターン70に含ませる単位期間Sの数は、送信する情報量等に応じて変更してもよい。1つの単位期間Sの長さは、特には限られないが、例えば100ミリ秒程度とすることができる。
【0037】
本実施形態のLEDマーカー30は、LEDマーカー30ごとに設定された固有の発光パターン70で発光する。発光パターン70は、例えばLEDマーカー30に対応する固有の符号を表すものであってもよいし、LEDマーカー30の位置(例えば、X座標、Y座標及びZ座標)を直接表すものであってもよい。発光パターン70の全体を含む期間にわたってカメラ19がLEDマーカー30を撮像した複数の撮像画像から、撮像画像に映っているLEDマーカー30の発光パターン70を検出することで、撮像画像に映っているLEDマーカー30を特定することができる。
【0038】
(2.車両10の端末装置100による、車両10の位置の導出動作)
車両10の端末装置100のCPU11は、空間500aにおける車両10の位置に応じた撮像範囲においてカメラ19が撮像した画像を取得する。カメラ19は、発光パターン70の単位期間Sよりも短い撮像周期となるように撮像のフレームレート(例えば、20fps)が設定されている。このため、CPU11は、複数の撮像画像における発光パターン70から、映っているLEDマーカー30を特定することができる。CPU11は、既知である各LEDマーカー30の空間500aにおける位置と、撮像画像に映っている2以上のLEDマーカー30の撮像画像内における位置とに基づいて、LEDマーカー30と車両10との位置関係、及び空間500aにおける車両10の位置(X座標及びY座標)を導出する。車両10の位置が導出されてから一定期間内(導出された位置からの一定の移動距離範囲内)であれば、単一のLEDマーカー30のみが映っている撮像画像に基づいて車両10の位置をある程度の精度で導出することができる。複数のLEDマーカー30の配置及びカメラ19の向きは、車両10の位置及び向きによらずに、少なくとも一方のカメラ19の撮像画像に少なくとも1つのLEDマーカー30が映るように調整することが好ましい。向きが異なる2つのカメラ19を設けることで、車両10が空間500aの端(倉庫500の壁面付近)に位置している場合においても、一方のカメラ19による撮像画像にLEDマーカー30が映るようにすることができる。
【0039】
また、CPU11は、車両10の座標を導出すると、当該座標が、倉庫500において予め定められた複数の保管エリア501(
図5参照)のうちいずれに属するかを特定し、特定した保管エリア501領域を車両10の位置情報Ia(
図6参照)とする。
【0040】
図5は、倉庫500の構成を示す模式図である。
本実施形態の倉庫500は、5行7列のマトリクス状に設定された複数の保管エリア501を有する。各保管エリア501の位置は、Y方向についての位置を表す符号「A」~「G」と、X方向についての位置を表す符号「1」~「5」とを組み合わせた符号(例えば、「A1」、「B2」等)により表すものとする。
図5では、「A1」、「B1」、「C1」の各保管エリア501に荷物60が置かれている。また、「D2」の保管エリア501に位置して-X方向を向いている車両10が、隣接する「D1」の保管エリア501に荷物60を置く(降ろす)作業を行っている。このように、本実施形態では、ある保管エリア501にいる車両10は、その向きに応じた隣接する保管エリア501に荷物60を置いたり、隣接する保管エリア501に置かれていた荷物60を取り上げたりすることができるものとする。また、本実施形態では、1つの保管エリア501において、最大で3つの荷物60がZ方向に積み上げられて保管されるものとする。また、個々の荷物60の高さは同一であるものとする。また、保管エリア501に1つの荷物60が置かれている場合の荷物60の高さを「H1」とし、保管エリア501に2つの荷物60が積み上げられている場合の荷物60の合計の高さを「H2」とし、保管エリア501に3つの荷物60が積み上げられている場合の荷物60の合計の高さを「H3」とする(
図9参照)。
なお、
図5に示す倉庫500の構成は例示であり、これに限られない。例えば、保管エリア501の数や配置は適宜変更することができる。また、一部の保管エリア501が、荷物60を入庫するための入庫エリア、又は荷物60を出庫するための出庫エリアになっていてもよいし、保管エリア501のマトリクスの外部に入庫エリア及び出庫エリアが設けられていてもよい。
【0041】
また、
図5に示す倉庫500では、X方向及びY方向について1つおきの保管エリア501にLEDマーカー30が設けられている。
図5では、全てのLEDマーカー30が発光パターン70に従って点灯している。
【0042】
(3.端末装置100による積み降ろし情報Jの生成及び送信)
車両10の端末装置100のCPU11は、車両10のステータスに係るステータス情報Iを所定のタイミングで繰り返し生成し、ステータスデータ133に記録していく。
図6は、ステータスデータ133の内容例を示す図である。
ステータスデータ133における1つのデータ行が、あるタイミングにおける車両10のステータスを表すステータス情報Iに相当する。当該ステータス情報Iは、上述の方法で導出した車両10の位置に係る位置情報Ia、荷物60が車両10に載置されているか否かを表す載置情報Ib、荷物60を特定する物体情報Ic(荷物ID等)、荷物60の高さに係る高さ情報Id、及び車両10の向きに係る向き情報Ie等を含む。
【0043】
ステータスデータ133の「データ番号」は、複数のステータス情報Iに対して時系列順に割り当てられた番号又は符号である。
「日時」は、ステータス情報Iが生成された日時を表す。ステータス情報Iは、位置情報Iaが取得されたタイミングで生成されるため、「日時」は、位置情報Iaの取得日時を表す。
「車両ID」は、端末装置100が搭載されている車両10に割り当てられた固有の符号である。
「車両座標」は、上述の方法でカメラ19による撮像画像から導出された車両10(フォーク10aを除いた車両10の本体部分)のX座標及びY座標である。
「位置情報Ia」は、「車両座標」が属する保管エリア501の位置を表す。
「載置情報Ib」は、フォーク10aに荷物60が載置されているか否かを表し、フォーク10aに荷物60が載置されている場合には「1」、載置されていない場合には「0」とされる。
「物体情報Ic」は、「載置情報Ib」が「1」である場合における、載置されている荷物60の荷物IDである。荷物IDは、例えば、車両10の操作者が操作表示部14を用いて端末装置100に入力したものが用いられる。あるいは、荷物IDは、荷物60に付されたシンボル(例えば、バーコードや二次元コード等)をカメラ19が撮像した画像のデコード結果から取得されてもよい。
「高さ情報Id」は、その時点のフォーク10aの高さで荷物60がフォーク10aから降ろされた場合の当該荷物60の高さ(床から荷物60の上面までの高さ)、又は、その時点のフォーク10aの高さで荷物60がフォーク10aにより取り上げられる場合の、当該荷物60の高さを表す。言い換えると、高さ情報Idは、その時点のフォーク10aの高さに、1つの荷物60の高さを加算した高さを表す。高さ情報Idは、その時点においてフォーク高さ検出部17が検出したフォーク10aの高さに基づいて生成してもよいし、端末装置100によるフォーク10aの高さの制御履歴から特定されるフォーク10aの高さに基づいて生成してもよい。例えば、或る時点におけるフォーク10aの高さが「H2」である場合には、この状態のフォーク10aの高さで荷物60が降ろされた場合、当該荷物60の高さは「H3」となるので、高さ情報Idは「H3」とされる。
「向き情報Ie」は、方位検出部18により検出された車両10の向き(フォーク10aが設けられている前方の向き)を表し、本実施形態では「0」~「3」のいずれかである。このうち「0」は-X方向(
図5の上方向)を表し、「1」は+Y方向(
図5の右方向)を表し、「2」は+X方向(
図5の下方向)を表し、「3」は+Y方向(
図5の左方向)を表す。ただし、向き情報Ieの形式はこれに限られず、例えば、8方向や16方向といったより細かい区分で向きを表してもよいし、0°~360°等の数値により向きを表してもよい。位置情報Iaに加えて向き情報Ieも参照することにより、車両10の本体部が位置する保管エリア501に隣接する4つの保管エリア501のうち、いずれの保管エリア501に荷物60を置いたか(又は、いずれの保管エリア501の荷物60を取り上げたか)を特定することができる。
【0044】
端末装置100のCPU11は、予め定められた頻度でステータス情報Iの生成を繰り返し実行し、生成した各ステータス情報Iをステータスデータ133に登録する。
図6では、1分に1回の頻度でステータス情報Iが生成されているが、これは説明の便宜上のものであり、より高頻度で(例えば、数秒~数十秒に1回程度の頻度で)ステータス情報Iが生成されてもよい。
以下では、
図6に記載されている6個のステータス情報Iを、「日時」が古い順に「ステータス情報I1」~「ステータス情報I6」と記す。
【0045】
端末装置100のCPU11は、ステータスデータ133に基づいて、車両10が、或る保管エリア501に荷物60を置いたこと、又は或る保管エリア501に置かれていた荷物60を取り上げたことを特定する。
例えば、
図6のステータス情報I1、I2では、車両10の位置情報Iaがいずれも「D2」であり、向き情報Ieがいずれも「0」であり、載置情報Ibが、ステータス情報I1の「1」からステータス情報I2の「0」に変化しており、高さ情報Idがいずれも「H3」である。よって、CPU11は、「D2」の保管エリア501において-X方向に向いている車両10が、-X方向に隣接する「D1」の保管エリア501に荷物60を置いた、と特定する。また、当該荷物60は、高さが「H3」となる位置(すなわち、高さが「H2」である他の荷物60の上)に積み上げられたと特定する。ステータス情報I1、I2は、
図5に示す車両10の動作に対応する。
また、
図6のステータス情報I3、I4では、車両10の位置情報Iaがいずれも「B2」であり、向き情報Ieがいずれも「3」であり、載置情報Ibが、ステータス情報I3の「1」からステータス情報I4の「0」に変化しており、高さ情報Idがいずれも「H1」である。よって、CPU11は、「B2」の保管エリア501において-Y方向に向いている車両10が、-Y方向に隣接する「A2」の保管エリア501に荷物60を置いた、と特定する。また、当該荷物60は、高さが「H1」となる位置(すなわち、倉庫500の床の上)に置かれたと特定する。
また、
図6のステータス情報I5、I6では、車両10の位置情報Iaがいずれも「F3」であり、向き情報Ieがいずれも「0」であり、載置情報Ibが、ステータス情報I5の「0」からステータス情報I6の「1」に変化しており、高さ情報Idがいずれも「H3」である。よって、CPU11は、「F3」の保管エリア501において-X方向に向いている車両10が、-X方向に隣接する「F2」の保管エリア501に置かれていた荷物60を取り上げた、と特定する。また、荷物60は、高さが「H3」であった(すなわち、高さが「H2」である他の荷物60の上に積み上げられていた)と特定する。
【0046】
このように、端末装置100のCPU11は、荷物検出部16が荷物60を検出している状態から、荷物検出部16が荷物60を検出していない状態に変化した場合に、車両10が倉庫500内の空間500aに荷物60を置いたと判別し、車両10が空間500aに荷物60を置いたと判別したときの車両10の位置に基づいて、車両10が空間500aに置いた荷物60の位置を決定する。また、CPU11は、このようにステータスデータ133から特定された荷物60の積み降ろしに係る情報を、積み降ろし履歴データ134に記録する。
【0047】
図7は、積み降ろし履歴データ134の内容例を示す図である。
積み降ろし履歴データ134の1つのデータ行は、車両10が、或る1つの荷物60を保管エリア501に置いた動作(載置)、又は、保管エリア501に置かれていた或る1つの荷物60を取り上げた動作に対応する。また、当該データ行は、積み降ろされた荷物60に係る情報を含む積み降ろし情報Jに相当する。
後述するように、荷物60が置かれた保管エリア501は、以降、車両10が進入できない進入不可領域R1となる。よって、個々の積み降ろし情報Jを累積的に参照することで、進入不可領域R1を特定することができる。このため、積み降ろし情報Jは、「想定移動領域の特定に用いられる領域特定用情報」の一態様である。
【0048】
積み降ろし履歴データ134の「データ番号」は、複数の積み降ろし情報Jに対して時系列順に割り当てられた番号又は符号である。
「日時」は、荷物60が積み降ろされた日時を表す。
「保管エリア」は、荷物60が積み降ろされた保管エリア501を表す。
「荷物ID」は、積み降ろされた荷物60の荷物IDである。
「荷物高さ」は、積み降ろされた荷物60の高さを表す。詳しくは、「載置/取り上げ」の列が「載置」である場合には、車両10から降ろされた荷物60の、降ろされた後の高さを表す。また、「載置/取り上げ」の列が「取り上げ」である場合には、車両10に取り上げられる前の荷物60の高さを表す。
「載置/取り上げ」は、荷物60が保管エリア501に置かれた(載置された)のか、又は車両10により取り上げられたのか、を表す。
【0049】
端末装置100のCPU11は、荷物60の積み降ろしが発生するたびに、積み降ろし情報Jを生成し、積み降ろし履歴データ134に記録する。また、CPU11は、積み降ろし情報Jを生成するたびに、生成した積み降ろし情報Jを制御装置20に送信する。
【0050】
(4.制御装置20による進入不可領域R1及び撮像不可領域R2の導出、並びに倉庫管理データ232の更新)
制御装置20のCPU21は、車両10の端末装置100から受信した積み降ろし情報Jに基づいて、或る保管エリア501に荷物60が置かれたこと、又は、或る保管エリア501に置かれていた荷物60が車両10により取り上げられたことを特定する。また、制御装置20は、端末装置100から繰り返し送信される積み降ろし情報Jを累積的に参照することで、複数の保管エリア501の各々における荷物60の保管状況を特定する。また、荷物管理システム1が複数の車両10を有する場合には、各車両10で生成された積み降ろし情報Jが制御装置20に送信されて、空間500aにおける荷物60の保管状況の特定に用いられる。
【0051】
図8は、倉庫500における或る時点での荷物60の保管状況を示す図である。
図8の倉庫500においては、「A5」~「G5」、「E2」~「E4」、及び「G4」を除いた各保管エリア501に荷物60が置かれている。
制御装置20のCPU21は、或る時点の各保管エリア501における荷物60の保管状況に基づいて、当該時点において車両10が進入できない進入不可領域R1を特定する。進入不可領域R1は、荷物60が置かれている保管エリア501、及び、荷物60が置かれている保管エリア501によって遮られて車両10が入ることのできない保管エリア501から構成される。このように、進入不可領域R1は、倉庫500内の空間500aに荷物60が置かれることにより形成される部分を含む。
図8における進入不可領域R1は、荷物60が置かれている保管エリア501からなる。また、空間500aのうち進入不可領域R1を除いた領域が、車両10の想定移動領域に相当する。
【0052】
また、制御装置20のCPU21は、受信した積み降ろし情報Jに基づいて、進入不可領域R1のうち、空間500aに置かれた荷物60により遮られて車両10のカメラ19が撮像できない撮像不可領域R2を導出する。撮像不可領域R2は、進入不可領域R1を除くいずれの保管エリア501に車両10が位置していても、当該車両10のカメラ19により撮像できない領域である。制御装置20のCPU21は、積み降ろし情報Jに含まれる、空間500aに置かれた荷物60の位置に係る情報、及び、空間500aに置かれた荷物60の高さに係る情報に基づいて、撮像不可領域R2を導出する。
【0053】
図9及び
図10は、撮像不可領域R2の導出方法を説明する図である。
図9及び
図10では、説明の便宜上、各保管エリア501にLEDマーカー30が設けられている例で説明する。
【0054】
図9では、「B2」、「C2」、「D2」、「F2」及び「G2」の各保管エリア501に、荷物60が3段に積み上げられており、最も上の荷物60の高さはH3である。この状況において、「E2」の保管エリア501に位置する車両10のカメラ19は、「D2」及び「F2」の保管エリア501のLEDマーカー30を撮像することが可能である。カメラ19から見て、「D2」及び「F2」の保管エリア501のLEDマーカー30を遮る荷物60がないためである。
【0055】
一方、「B2」、「C2」及び「G2」の保管エリア501のLEDマーカー30は、「D2」及び「F2」の保管エリア501に置かれた荷物60に遮られてしまうため、カメラ19により撮像することができない。よって、「B2」、「C2」及び「G2」の保管エリア501が、撮像不可領域R2であると特定される。
【0056】
なお、撮像不可領域R2は、各保管エリア501に置かれている荷物60の高さによって変動し得る。例えば、
図10に示すように、「D2」の保管エリア501に置かれている荷物60が1つであり、当該荷物60の高さがH1である場合には、「C2」の保管エリア501のLEDマーカー30が他の荷物60によって遮られなくなるため、カメラ19により撮像可能となる。よって、
図10に示す例では、「B2」及び「G2」の保管エリア501が撮像不可領域R2であると特定される。
このような方法により、進入不可領域R1のうちの撮像不可領域R2が特定される。
【0057】
制御装置20のCPU21は、進入不可領域R1及び撮像不可領域R2を特定すると、特定した結果を倉庫管理データ232に記録する。
図11は、倉庫管理データ232の内容例を示す図である。
倉庫管理データ232は、「A1」~「G5」の全ての保管エリア501に対応する35行のデータ行を有し、1つのデータ行が1つの保管エリア501に対応する。
倉庫管理データ232の「保管エリア」は、そのデータ行に対応する保管エリア501を表す。
「荷物有無」は、そのデータ行の保管エリア501に荷物60が置かれていか否かを表し、置かれている場合には「1」、置かれていない場合には「0」とされる。「荷物有無」は、積み降ろし情報Jから特定される。
「荷物ID」は、そのデータ行の保管エリア501に置かれている荷物60の荷物IDを表す。「荷物ID」は、積み降ろし情報Jから特定される。
「荷物高さ」は、そのデータ行の保管エリア501に置かれている荷物60の高さを表す。「荷物高さ」は、積み降ろし情報Jから特定される。なお、荷物60の高さを検出するセンサ又はカメラを倉庫500に設け、これらのセンサ又はカメラによる検出結果に基づいて各保管エリア501の「荷物高さ」を特定してもよい。
「進入不可領域」は、上述の方法で特定した進入不可領域R1を表し、そのデータ行の保管エリア501が進入不可領域R1に含まれる場合には「1」とされ、進入不可領域R1に含まれない場合には「0」とされる。
「撮像不可領域」は、上述の方法で特定した撮像不可領域R2を表し、そのデータ行の保管エリア501が撮像不可領域R2に含まれる場合には「1」とされ、撮像不可領域R2に含まれない場合には「0」とされる。
【0058】
(5.制御装置20によるLEDマーカー30の発光停止制御)
受信した最新の積み降ろし情報Jに応じて進入不可領域R1及び撮像不可領域R2が特定されると、制御装置20のCPU21は、電力消費量の低減のために、空間500aに設けられている複数のLEDマーカー30のうち、進入不可領域R1の少なくとも一部に設けられたLEDマーカー30の発光を停止させる。本実施形態では、制御装置20は、進入不可領域R1のうち、撮像不可領域R2に設けられたLEDマーカー30の発光を停止させる。撮像不可領域R2に設けられたLEDマーカー30は、車両10のカメラ19によって撮像されることがないため、発光を停止しても、車両10による自装置の位置の特定に影響しないためである。
CPU21によるLEDマーカー30の発光制御は、進入不可領域R1及び撮像不可領域R2が更新されるたびに行われる。すなわち、最新の撮像不可領域R2に含まれる保管エリア501においてLEDマーカー30の発光が停止され、当該撮像不可領域R2を除いた領域の保管エリア501においてLEDマーカー30の発光が行われる。
【0059】
なお、進入不可領域R1を除いた領域のLEDマーカー30によって、車両10による自装置の位置の特定が可能であれば、進入不可領域R1に設けられた全てのLEDマーカー30の発光を停止させてもよい。あるいは、進入不可領域R1のうち撮像不可領域R2を除いた部分のLEDマーカー30については、その一部の(例えば、一定割合を)LEDマーカー30の発光を停止させてもよい。
【0060】
また、上記では、進入不可領域R1を導出し、空間500aのうち進入不可領域R1以外の領域が車両10の想定移動領域であるとしたが、これに限られず、想定移動領域は、車両10が進入することが想定される領域であればよい。例えば、空間500aにおいて車両10の移動する領域が、車両10が進入可能な領域(荷物60が置かれていない領域)のうちの一部の領域に限られる場合には、当該一部の領域を想定移動領域としてもよい。この場合には、空間500aにおける想定移動領域以外の領域の少なくとも一部に設けられたLEDマーカー30の発光が停止される。
【0061】
<積み降ろし情報送信処理>
次に、上述した荷物管理システム1の動作を実現するために、車両10の端末装置100のCPU11が実行する積み降ろし情報送信処理について説明する。
図12は、積み降ろし情報送信処理の制御手順を示すフローチャートである。
積み降ろし情報送信処理は、例えば車両10の動作が開始された場合に開始される。
【0062】
積み降ろし情報送信処理が開始されると、CPU11は、カメラ19による撮像画像を取得する(ステップS101)。また、CPU11は、撮像画像におけるLEDマーカー30の発光パターン70に基づいて、映っているLEDマーカー30を特定し、上述の方法で車両座標及び位置情報Iaを導出する(ステップS102)。
【0063】
CPU11は、荷物検出部16が荷物60を検出している場合には(ステップS103で“YES”)、載置情報Ibを「1」とし(ステップS104)、荷物検出部16が荷物60を検出していない場合には(ステップS103で“NO”)、載置情報Ibを「0」とする(ステップS105)。
【0064】
CPU11は、得られた位置情報Ia、及び載置情報Ibと、上述した方法で取得した物体情報Ic及び高さ情報Idと、方位検出部18の検出結果に基づく向き情報Ie等を対応付けたステータス情報Iを生成する(ステップS106)。また、CPU11は、ステータス情報Iをステータスデータ133に記録する。
【0065】
CPU11は、ステップS106で生成したステータス情報Iと、1つ前に生成されたステータス情報Iとを比較して、載置情報Ibが「0」から「1」に変化したと判別された場合には(ステップS107で“YES”)、ステップS106で生成したステータス情報Iにより特定される荷物60が車両10により取り上げられたと判別する(ステップS108)。ここで、ステータス情報Iにより特定される荷物60は、ステータス情報Iの位置情報Iaに対応する保管エリア501に隣接する4つの保管エリア501のうち、向き情報Ieの向きにある保管エリア501に置かれていた荷物60である。
【0066】
一方、載置情報Ibが「0」から「1」に変化しておらず(ステップS107で“NO”)、載置情報Ibが「1」から「0」に変化したと判別された場合には(ステップS109で“YES”)、CPU11は、車両10により運搬されていた荷物60が、ステップS106で生成したステータス情報Iにより特定される保管エリア501(位置)に置かれたと判別する(ステップS110)。ここで、ステータス情報Iにより特定される保管エリア501は、ステータス情報Iの位置情報Iaに対応する保管エリア501に隣接する4つの保管エリア501のうち、向き情報Ieの向きにある保管エリア501である。
【0067】
CPU11は、ステップS108又はS110における判別結果に基づいて、積み降ろし情報Jを生成して積み降ろし履歴データ134に登録し(ステップS111)、積み降ろし情報Jを制御装置20に送信する(ステップS112)。
【0068】
ステップS112が終了した場合、又は、ステップS109において載置情報Ibが「1」から「0」に変化していないと判別された場合には(ステップS109で“NO”)、CPU11は、次のステータス情報Iの生成タイミングであるか否かを判別する(ステップS113)。次のステータス情報Iの生成タイミングではないと判別された場合には(ステップS113で“NO”)、CPU11は、再度ステップS113を実行する。次のステータス情報Iの生成タイミングであると判別され(ステップS113で“YES”)、かつ、車両10の動作終了指示がなされていないと判別された場合には(ステップS114で“NO”)、CPU11は、処理をステップS101に戻す。車両10の動作終了指示がなされたと判別された場合には(ステップS114で“YES”)、CPU11は、積み降ろし情報送信処理を終了させる。
【0069】
<発光制御処理>
次に、上述した荷物管理システム1の動作を実現するために、制御装置20のCPU21が実行する発光制御処理について説明する。
図13は、発光制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
発光制御処理は、例えば倉庫500内において車両10の動作が開始された場合に開始される。
【0070】
発光制御処理が開始されると、CPU21は、車両10の端末装置100から積み降ろし情報Jを受信したか否かを判別する(ステップS201)。積み降ろし情報Jを受信していないと判別された場合には(ステップS201で“NO”)、CPU21は、再度ステップS201を実行する。
【0071】
積み降ろし情報Jを受信したと判別された場合には(ステップS201で“YES”)、CPU21は、受信した積み降ろし情報Jに基づいて、倉庫管理データ232において、荷物60が置かれた保管エリア501、又は、荷物60が取り上げられた保管エリア501の情報を更新する(ステップS202)。具体的には、CPU21は、積み降ろし情報Jにより示される、荷物60の積み降ろしが行われた保管エリア501について、「荷物有無」及び「荷物高さ」のデータを更新する。
【0072】
CPU21は、受信した積み降ろし情報Jを反映した進入不可領域R1を特定し、倉庫管理データ232の「進入不可領域」のデータを更新する(ステップS203)。
【0073】
CPU21は、受信した積み降ろし情報Jの内容を反映した最新の倉庫管理データ232における荷物60の位置及び高さと、ステップS203で特定した進入不可領域R1とに基づいて撮像不可領域R2を導出し、倉庫管理データ232の「撮像不可領域」のデータを更新する(ステップS204)。
【0074】
CPU21は、撮像不可領域R2のLEDマーカー30の発光を停止させ、撮像不可領域R2外のLEDマーカー30を発光させる(ステップS205)。
【0075】
CPU21は、制御装置20の動作終了指示がなされたか否かを判別し(ステップS206)、動作終了指示がなされていないと判別された場合には(ステップS206で“NO”)、処理をステップS201に戻す。動作終了指示がなされたと判別された場合には(ステップS206で“YES”)、CPU21は、発光制御処理を終了させる。
【0076】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、車両10の端末装置100が、ステータス情報Iをそのまま制御装置20に送信し、制御装置20が、ステータス情報Iにおける車両10の位置情報Ia及び載置情報Ib等の推移に基づいて荷物60の積み降ろし状況を判別し、進入不可領域R1及び撮像不可領域R2を特定する点で上記実施形態と異なる。本実施形態では、ステータス情報Iが、「想定移動領域の特定に用いられる領域特定用情報」に相当する。
以下では、第1の実施形態との相違点について説明し、第1の実施形態と共通する点については説明を省略する。
【0077】
<荷物管理システムの動作>
本実施形態では、車両10の端末装置100のCPU11は、
図6に示すステータス情報Iを生成するごとに、生成したステータス情報Iを制御装置20に送信する。よって、制御装置20には、ステータスデータ133と同一内容のデータが蓄積される。また、荷物管理システム1が複数の車両10を有する場合には、各車両10で生成されたステータス情報Iが制御装置20に送信されて蓄積される。
【0078】
制御装置20のCPU21は、受信したステータス情報Iに基づいて、車両10と、当該車両10に載置されている(又は載置されていた)荷物60の状態を判別し、荷物60の状態に係る荷物状態情報K(
図14参照)を生成して荷物管理データ233に記録する。ここで、「荷物60の状態」は、少なくとも荷物60の位置(置かれている保管エリア501の位置、又は、車両10とともに移動中である場合には移動中の位置)を含み、荷物60の高さ、載置車両、及びパレットPの挿通穴Paの向きのうち少なくとも1つをさらに含んでいてもよい。
【0079】
図14は、荷物管理データ233の内容例を示す図である。
荷物管理データ233における1つのデータ行は、管理対象の1つの荷物60の、ある日時における状態に係る荷物状態情報Kに対応する。1つの荷物状態情報Kは、1つのステータス情報Iに対応する。
図14の荷物状態情報K1~K6は、それぞれ
図6のステータス情報I1~I6に対応する。
【0080】
各荷物状態情報Kは、「荷物ID」、「日時」、「位置」、「荷物高さ」、「載置車両」及び「挿通穴向き」のデータ項目を有する。
「荷物ID」は、荷物60に割り当てられた固有の符号である。
「日時」は、荷物状態情報Kが表す状態の日時を表し、荷物状態情報Kに対応するステータス情報Iの「日時」と同一である。
「位置」は、荷物60の位置(保管エリア501に置かれている場合には保管エリア501の符号、車両10のフォーク10aに載置されて移動中である場合には車両10のフォーク10aが位置する保管エリア501の符号)を表す。例えば、荷物状態情報K1の場合、対応する
図6のステータス情報I1において、荷物60は車両10に載置されており、当該車両10の位置情報Iaが「D2」、向き情報Ieが「0」であるため、フォーク10aに載置されている荷物60の位置は、「D2」の保管エリア501の-X方向に隣接する「D1」の保管エリア501であると特定される。
「荷物高さ」は、荷物60の高さを表し、その荷物状態情報Kに対応するステータス情報Iの「高さ情報Id」と同一である。
「載置車両」は、荷物60が車両10に載置されている場合に、当該車両10の車両IDを表す。「載置車両」は、その荷物状態情報Kに対応するステータス情報Iの「車両ID」と同一である。荷物60が車両10に載置されていない場合、すなわち、荷物60が保管エリア501に置かれている場合には、「車両ID」は空欄とされる。
「挿通穴向き」は、その時点におけるパレットPの挿通穴Paの向きを表す。本実施形態では、荷物60は、パレットPの挿通穴PaがX方向又はY方向のいずれかに平行な状態で保管エリア501に保管されるものとする。「挿通穴向き」は、挿通穴PaがX方向に平行である場合には「0」とされ、Y方向に平行である場合には「1」とされる。よって、「挿通穴向き」は、その荷物60が車両10に載置されている期間においては、その荷物状態情報Kに対応するステータス情報Iにおいて、向き情報Ieが「0」又は「2」である場合には「0」とされ、向き情報Ieが「1」又は「3」である場合には「1」とされる。また、その荷物60が車両10に載置されていない(保管エリア501に保管されている)場合の「挿通穴向き」は、最後に車両10から降ろされたときのステータス情報Iにおける向き情報Ieに基づいて定められる。
【0081】
荷物状態情報Kは、ステータス情報Iから特定される荷物60の状態が変化するごとに(
図14に示す例では、位置、荷物高さ、載置車両及び挿通穴向きのうち少なくとも1つが変化するごとに)生成されて荷物管理データ233に登録、蓄積される。よって、或る時点の荷物管理データ233において或る荷物60に対応する複数の荷物状態情報Kのうち、「日時」が最も新しい荷物状態情報Kが、上記或る荷物60の最新の状態を表す。また、荷物管理データ233に登録された複数の荷物状態情報Kは、荷物60の状態の時系列的な変化を表す。荷物60の状態の時系列的な変化は、荷物60の位置の経時的な変化、すなわち荷物60の移動経路の情報を含む。このため、荷物管理データ233によれば、荷物60の移動経路の履歴管理を行うこともできる。
【0082】
制御装置20のCPU21は、荷物管理データ233に含まれる各荷物60の荷物状態情報Kのうち、最新の荷物状態情報Kに基づいて、各保管エリア501にどの荷物60が置かれているかを特定する。CPU21は、特定した結果を、
図11に示す倉庫管理データ232の「荷物有無」、「荷物ID」及び「荷物高さ」に反映させる。また、最新の反映結果に基づいて、第1の実施形態と同様に、進入不可領域R1及び撮像不可領域R2を特定し、倉庫管理データ232に反映させる。そして、CPU21は、反映後の撮像不可領域R2に基づいてLEDマーカー30の発光停止制御を行う。
【0083】
<ステータス情報送信処理>
次に、第2の実施形態において車両10の端末装置100のCPU11が実行するステータス情報送信処理について説明する。
図15は、ステータス情報送信処理の制御手順を示すフローチャートである。
ステータス情報送信処理は、例えば車両10の動作が開始された場合に開始される。
ステータス情報送信処理のステップS301~S306は、
図12の積み降ろし情報送信処理のステップS101~S106と同一であるため、説明を省略する。
【0084】
CPU11は、ステップS306が終了すると、ステップS306で生成したステータス情報Iを制御装置20に送信する(ステップS307)。
【0085】
CPU11は、次のステータス情報Iの生成タイミングであるか否かを判別し(ステップS308)、次のステータス情報Iの生成タイミングではないと判別された場合には(ステップS308で“NO”)、再度ステップS308を実行する。次のステータス情報Iの生成タイミングであると判別され(ステップS308で“YES”)、かつ、車両10の動作終了指示がなされていないと判別された場合には(ステップS309で“NO”)、CPU11は、処理をステップS301に戻す。車両10の動作終了指示がなされたと判別された場合には(ステップS309で“YES”)、CPU11は、ステータス情報送信処理を終了させる。
【0086】
<発光制御処理>
次に、第2の実施形態において制御装置20のCPU21が実行する発光制御処理について説明する。
図16は、発光制御処理の制御手順を示すフローチャートである。
発光制御処理は、例えば倉庫500内において車両10の動作が開始された場合に開始される。
【0087】
発光制御処理が開始されると、CPU21は、荷物管理データ更新処理を実行する(ステップS401)。
【0088】
図17は、荷物管理データ更新処理の制御手順を示すフローチャートである。
荷物管理データ更新処理が呼び出されると、CPU21は、車両10の端末装置100からステータス情報Iを受信したか否かを判別し(ステップS501)、ステータス情報Iを受信していないと判別された場合には(ステップS501で“NO”)、再度ステップS501を実行する。
【0089】
ステータス情報Iを受信したと判別された場合には(ステップS501で“YES”)、CPU21は、連続する2つのステータス情報I(受信した最新のステータス情報Iと、その1つ前のステータス情報I)の位置情報Iaが共通するか否かを判別する(ステップS502)。連続する2つのステータス情報Iの位置情報Iaが共通しないと判別された場合には(ステップS502で“NO”)、CPU21は、載置情報Ibがいずれも「1」であるか否かを判別する(ステップS503)。載置情報Ibがいずれも「0」であると判別された場合には(ステップS503で“NO”)、CPU21は、車両10が荷物60を載置しない状態で移動中であると判別して、処理をステップS501に戻す。載置情報Ibがいずれも「1」であると判別された場合には(ステップS503で“YES”)、CPU21は、車両10が、荷物60を載置した状態で移動中であると判別する(ステップS504)。CPU21は、処理をステップS509に移行させて、受信したステータス情報Iに対応する荷物状態情報Kを生成して荷物管理データ233に登録する(ステップS509)。
【0090】
一方、ステップS502において、連続する2つのステータス情報Iの位置情報Iaが共通すると判別された場合には(ステップS502で“YES”)、CPU21は、連続する2つのステータス情報Iにおいて、載置情報Ibが「0」から「1」に変化したか否かを判別する(ステップS505)。載置情報Ibが「0」から「1」に変化したと判別された場合には(ステップS505で“YES”)、ステータス情報Iにより特定される荷物60が車両10により取り上げられたと判別する(ステップS506)。CPU21は、処理をステップS509に移行させて、受信したステータス情報Iに対応する荷物状態情報Kを生成して荷物管理データ233に登録する(ステップS509)。
【0091】
また、載置情報Ibが「0」から「1」に変化していないと判別された場合には(ステップS505で“NO”)、CPU21は、載置情報Ibが「1」から「0」に変化したか否かを判別する(ステップS507)。載置情報Ibが「1」から「0」に変化していないと判別された場合には(ステップS507で“NO”)、2つのステータス情報Iにおいて車両10の状態が変化していないと判別し、処理をステップS501に戻す。載置情報Ibが「1」から「0」にも変化したと判別された場合には(ステップS507で“YES”)、CPU21は、車両10により運搬されていた荷物60が、ステータス情報Iにより特定される保管エリア501(位置)に置かれたと判別する(ステップS508)。CPU21は、処理をステップS509に移行させて、受信したステータス情報Iに対応する荷物状態情報Kを生成して荷物管理データ233に登録する(ステップS509)。
ステップS509が終了すると、CPU21は、荷物管理データ更新処理を終了させて、処理を
図16の発光制御処理に戻す。
【0092】
図16において荷物管理データ更新処理(ステップS401)が終了すると、CPU21は、荷物管理データ233の更新状況に基づいて、新たに保管エリア501に置かれた荷物60、又は、車両10に取り上げられた荷物60があるか否かを判別する(ステップS402)。新たに保管エリア501に置かれた荷物60、及び、車両10に取り上げられた荷物60がないと判別された場合には(ステップS402で“NO”)、CPU21は、処理をステップS401に戻す。
【0093】
新たに保管エリア501に置かれた荷物60、又は、車両10に取り上げられた荷物60があると判別された場合には、CPU21は、ステップS403~S407の処理を実行する。ステップS403~S407の処理は、
図13のステップSS202~S206の処理と同一であるので、説明を省略する。
【0094】
(効果)
以上のように、上記各実施形態に係る制御装置20は、倉庫500の空間500aに設けられた複数のLEDマーカー30の発光を制御するCPU21を備え、空間500aにおいては、複数のLEDマーカー30の少なくとも一部をカメラ19が撮像した画像に基づいて空間500aにおける自装置の位置を導出する車両10が移動し、CPU21は、空間500aにおける車両10の想定移動領域に係る制御用情報としての倉庫管理データ232に基づいて、複数のLEDマーカー30の発光を抑制するよう制御する。これにより、車両10が進入しない領域(上記実施形態では、進入不可領域R1)の少なくとも一部においてLEDマーカー30の発光を停止させて、電力消費量を低減させるといった、車両10の状況に応じたLEDマーカー30の制御を行うことができる。
【0095】
また、CPU21は、倉庫管理データ232に基づいて、複数のLEDマーカー30のうち、空間500aにおける想定移動領域以外の領域(上記実施形態では、進入不可領域R1)の少なくとも一部に設けられたLEDマーカー30の発光を停止させる。これにより、車両10による自装置の位置の特定に支障が生じないようにしつつ、不要なLEDマーカー30の発光を停止させて、電力消費量を低減することができる。
【0096】
また、空間500aのうち車両10が進入できない進入不可領域R1を除いた領域を、想定移動領域とすることで、車両10がどの位置に移動しても、車両10による自装置の位置の特定に支障が生じないようにすることができる。
【0097】
また、進入不可領域R1は、空間500aに荷物60が置かれることにより形成される部分を含み、倉庫管理データ232は、空間500aに置かれた荷物60の位置に係る情報を含む。これにより、倉庫管理データ232に含まれる、荷物60の位置に係る情報から、進入不可領域R1を特定することができる。
【0098】
また、CPU21は、倉庫管理データ232に基づいて、進入不可領域R1のうち、空間500aに置かれた荷物60により遮られて車両10のカメラ19が撮像できない撮像不可領域R2を導出し、複数のLEDマーカー30のうち、撮像不可領域R2に設けられたLEDマーカー30の発光を停止させる。これにより、車両10のカメラ19により撮像されることのないLEDマーカー30の不要な発光を停止させて、電力消費量を効果的に低減することができる。
【0099】
また、倉庫管理データ232は、空間500aに置かれた荷物60の高さに係る情報を含み、CPU21は、倉庫管理データ232に含まれる、空間500aに置かれた荷物60の位置に係る情報、及び、空間500aに置かれた荷物60の高さに係る情報に基づいて、撮像不可領域R2を導出する。これによれば、荷物60の高さを考慮して、より正確に撮像不可領域R2を導出することができる。よって、より適切に、LEDマーカー30の発光を停止させる制御を行うことができる。
【0100】
また、CPU21は、想定移動領域(上記実施形態では、進入不可領域R1以外の領域)の特定に用いられる領域特定用情報としての積み降ろし情報J(第1の実施形態)又はステータス情報I(第2の実施形態)を車両10から受信し、受信した積み降ろし情報J又はステータス情報Iに基づいて倉庫管理データ232を生成する。これにより、進入不可領域R1を特定するためのカメラやセンサ等を別途設けなくても、車両10から受信した積み降ろし情報J又はステータス情報Iに基づいて、簡易かつ適切に進入不可領域R1を特定し、LEDマーカー30の発光の制御に用いることができる。
【0101】
また、上記各実施形態に係る端末装置100は、制御装置20による制御に従って発光する複数のLEDマーカー30が設けられた倉庫500の空間500aを移動する、車両10に設けられている。端末装置100は、CPU11を備え、CPU11は、空間500aにおける車両10の位置に応じた撮像範囲をカメラ19が撮像した画像を取得し、複数のLEDマーカー30のうちカメラ19が撮像した画像に含まれるLEDマーカー30の発光状態に基づいて、空間500aにおける車両10の位置を導出し、空間500aにおける車両10の想定移動領域(上記実施形態では、進入不可領域R1以外の領域)の特定に用いられる領域特定用情報としての積み降ろし情報J(第1の実施形態)又はステータス情報I(第2の実施形態)を取得し、取得した積み降ろし情報J又はステータス情報Iを制御装置20に送信する。これにより、進入不可領域R1を特定するためのカメラやセンサ等を別途に設けなくても、車両10が送信した積み降ろし情報J又はステータス情報Iに基づいて、適切に進入不可領域R1を特定し、LEDマーカー30の発光の制御に用いることができる。
【0102】
また、想定移動領域は、空間500aのうち車両10が進入できない進入不可領域R1を除いた領域であり、進入不可領域R1は、空間500aに荷物60が置かれることにより形成される部分を含み、積み降ろし情報Jは、空間500aに置かれた荷物60の位置に係る情報を含む。これにより、積み降ろし情報Jに含まれる、荷物60の位置に係る情報から、進入不可領域R1を特定することができる。
【0103】
また、車両10は、荷物60を運搬して空間500aに置くことが可能であり、積み降ろし情報Jは、車両10が空間500aに置いた荷物60の位置に係る情報を含む。これにより、積み降ろし情報Jに含まれる、車両10が空間500aに置いた荷物60の位置に係る情報から、進入不可領域R1を特定することができる。
【0104】
また、車両10は、荷物60が載置されるフォーク10aと、フォーク10aに載置されている荷物60を検出する荷物検出部16と、を備え、CPU11は、荷物検出部16が荷物60を検出している状態から、荷物検出部16が荷物60を検出していない状態に変化した場合に、車両10が空間500aに荷物60を置いたと判別し、車両10が空間500aに荷物60を置いたと判別したときの車両10の位置に基づいて、車両10が空間500aに置いた荷物60の位置を決定する。これにより、荷物検出部16による検出結果に基づいて、車両10が荷物60を置いたこと、及び車両10が荷物60を取り上げたことを、簡易に特定することができる。また、このときの車両10の位置に基づいて、簡易かつ正確に、車両10が置いた荷物60の位置、及び車両10が取り上げた荷物60の位置を特定することができる。
【0105】
また、上記各実施形態に係るプログラム231は、制御装置20のCPU21に、倉庫500の空間500aに設けられた複数のLEDマーカー30の発光を制御する処理を実行させ、空間500aにおいては、複数のLEDマーカー30の少なくとも一部をカメラ19が撮像した画像に基づいて空間500aにおける自装置の位置を導出する車両10が移動し、複数のLEDマーカー30の発光を制御する上記の処理は、空間500aにおける車両10の想定移動領域に係る制御用情報としての倉庫管理データ232に基づいて、複数のLEDマーカー30の発光を抑制するよう制御する処理を含む。これにより、車両10が進入しない領域(上記実施形態では、進入不可領域R1)の少なくとも一部においてLEDマーカー30の発光を停止させて、電力消費量を低減させるといった、車両10の状況に応じたLEDマーカー30の制御を行うことができる。
【0106】
また、上記各実施形態に係るプログラム131は、制御装置20による制御に従って発光する複数のLEDマーカー30が設けられた倉庫500の空間500aを移動する車両10に設けられた端末装置100のCPU11に、空間500aにおける車両10の位置に応じた撮像範囲をカメラ19が撮像した画像を取得する処理、複数のLEDマーカー30のうちカメラ19が撮像した画像に含まれるLEDマーカー30の発光状態に基づいて、空間500aにおける車両10の位置を導出する処理、空間500aにおける車両10の想定移動領域(上記実施形態では、進入不可領域R1以外の領域)の特定に用いられる領域特定用情報としての積み降ろし情報J(第1の実施形態)又はステータス情報I(第2の実施形態)を取得する処理、取得した積み降ろし情報J又はステータス情報Iを、複数のLEDマーカー30の制御に用いられる制御用情報としての倉庫管理データ232の生成のために制御装置20に送信する処理、を実行させる。これにより、進入不可領域R1を特定するためのカメラやセンサ等を別途設けなくても、車両10が送信した積み降ろし情報J又はステータス情報Iに基づいて、適切に進入不可領域R1を特定し、LEDマーカー30の発光の制御に用いることができる。
【0107】
また、上記各実施形態に係る制御方法は、制御装置20のCPU21が、倉庫500の空間500aに設けられた複数のLEDマーカー30の発光を制御する制御方法であって、空間500aにおいては、複数のLEDマーカー30の少なくとも一部をカメラ19が撮像した画像に基づいて空間500aにおける自装置の位置を導出する車両10が移動し、上記制御方法では、空間500aにおける車両10の想定移動領域に係る制御用情報としての倉庫管理データ232に基づいて、複数のLEDマーカー30の発光を抑制するよう制御する。これにより、車両10が進入しない領域(上記実施形態では、進入不可領域R1)の少なくとも一部においてLEDマーカー30の発光を停止させて、電力消費量を低減させるといった、車両10の状況に応じたLEDマーカー30の制御を行うことができる。
【0108】
また、上記各実施形態に係る情報処理方法は、制御装置20による制御に従って発光する複数のLEDマーカー30が設けられた倉庫500の空間500aを移動する車両10に設けられた、端末装置100のCPU11が実行する情報処理方法であって、空間500aにおける車両10の位置に応じた撮像範囲をカメラ19が撮像した画像を取得し、複数のLEDマーカー30のうちカメラ19が撮像した画像に含まれるLEDマーカー30の発光状態に基づいて、空間500aにおける車両10の位置を導出し、空間500aにおける車両10の想定移動領域(上記実施形態では、進入不可領域R1以外の領域)の特定に用いられる領域特定用情報としての積み降ろし情報J(第1の実施形態)又はステータス情報I(第2の実施形態)を取得し、取得した積み降ろし情報J又はステータス情報Iを、複数のLEDマーカー30の制御に用いられる制御用情報としての倉庫管理データ232の生成のために制御装置20に送信する。これにより、進入不可領域R1を特定するためのカメラやセンサ等を別途設けなくても、車両10が送信した積み降ろし情報J又はステータス情報Iに基づいて、適切に進入不可領域R1を特定し、LEDマーカー30の発光の制御に用いることができる。
【0109】
また、上記各実施形態に係る制御システムとしての荷物管理システム1は、倉庫500の空間500aに設けられた複数のLEDマーカー30の発光を制御する制御装置20と、空間500aを移動する車両10と、を備え、車両10は、複数のLEDマーカー30の少なくとも一部をカメラ19が撮像した画像に基づいて空間500aにおける自装置の位置を導出するCPU11を備え、制御装置20は、空間500aにおける車両10の想定移動領域に係る制御用情報としての倉庫管理データ232に基づいて、複数のLEDマーカー30の発光を抑制するよう制御するCPU21を備える。これにより、車両10が進入しない領域(上記実施形態では、進入不可領域R1)の少なくとも一部においてLEDマーカー30の発光を停止させて、電力消費量を低減させるといった、車両10の状況に応じたLEDマーカー30の制御を行うことができる。
【0110】
(その他)
なお、上記実施形態における記述は、本発明に係る制御装置、情報処理装置、プログラム、制御方法、情報処理方法及び制御システムの一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態では、移動装置として車両10(フォークリフト)を例示したが、これに限られない。移動装置は、物体を載置した状態で移動可能であればどのようなものであってもよく、例えば、フォークリフト以外の車両(例えば、台車)であってもよいし、ロボットなどであってもよい。
【0111】
また、物体は、倉庫500に保管される荷物60に限られず、位置が管理される任意の物体であってもよい。
【0112】
また、上記実施形態では、進入不可領域R1として、荷物60が置かれている保管エリア501、及び、荷物60が置かれている保管エリア501によって遮られて車両10が入ることのできない保管エリア501を例示したが、これに限られない。例えば、進入不可領域R1は、倉庫500内の空間500aのうち、車両10による進入が禁止されているエリアを含んでいてもよい。
【0113】
また、車両10が制御装置20に送信する領域特定用情報として、第1の実施形態では積み降ろし情報J、第2の実施形態ではステータス情報Iを例示したが、これに限定する趣旨ではない。領域特定用情報は、制御装置20において進入不可領域R1の特定に用いられる情報であれば、どのような情報であってもよい。
例えば、倉庫500内の空間500aに置かれている荷物60を車両10のカメラ19が撮像した撮像画像を、領域特定用情報として制御装置20に送信してもよい。この撮像画像に2以上のLEDマーカー30が写っていれば、撮像画像から、カメラ19の位置、及び映っている荷物60の位置を特定できる。よって、このように位置が特定された荷物60が置かれている保管エリア501を、進入不可領域R1に含めればよい。
【0114】
また、制御装置20のCPU21は、車両10から受信した情報を用いずに進入不可領域R1を特定し、当該特定結果に基づいて制御用情報を生成してもよい。例えば、CPU21は、倉庫500に設けられたカメラによる空間500aの撮像画像に基づいて、各保管エリア501に荷物60が置かれているか否かを判別し、進入不可領域R1を特定してもよい。
【0115】
また、制御装置20のCPU21による、LEDマーカー30の発光を制限する制御として、進入不可領域R1の一部(例えば撮像不可領域R2)に設けられたLEDマーカー30の発光を停止させることを例示したが、これに限られない。例えば、CPU21は、進入不可領域R1の一部(例えば撮像不可領域R2)に設けられたLEDマーカー30の発光輝度を低減させる制御を行って、電力消費量を低減させてもよい。
【0116】
また、位置情報Iaとして、車両10の座標が属する保管エリア501の符号を例示したが、これに限られない。位置情報Iaは、移動体の位置に係る任意の情報とすることができ、例えば移動体の位置を直接表す座標等であってもよい。
【0117】
また、LEDマーカー30を用いた光通信として、赤、緑及び青の3色の光の組み合わせを用いる例を挙げて説明したが、これに限られない。
例えば、用いる色を変更してもよいし、用いる色の数を2色以下又は4色以上としてもよい。
また、高速で変調させた光により情報を送信するLi-Fi(Light Fidelity)を用いてもよい。
また、用いる光は可視光に限られず、赤外線又は紫外線を用いてもよい。
【0118】
また、上記実施形態では、同一の高さの荷物60を車両10により運搬し、1つずつ積み上げて保管する態様を例示したが、これに限られない。例えば、車両10は、2つ以上の荷物60を一度に運搬してもよい。また、車両10が運搬する荷物60の高さは、互いに異なっていてもよい。車両10は、これらの荷物60を、床に直接置いてもよいし、他の荷物60の上に積み上げてもよい。これらの場合において、運搬中の荷物60の高さに係る情報を車両10の端末装置100が取得し、フォーク高さ検出部17が検出したフォーク10aの高さと、荷物60の高さに係る情報と、に基づいて、ステータス情報Iの高さ情報Idを導出してもよい。また、当該高さ情報Idを積み降ろし情報Jの「荷物高さ」に反映させてもよい。あるいは、カメラ19(又は、別のカメラ)により荷物60を撮像した画像に基づいて、運搬している荷物60の高さや、保管エリア501に置かれている荷物60の高さを特定してもよい。
【0119】
また、以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体として記憶部13及び記憶部23のHDD、SSDを使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ、CD-ROM等の情報記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【0120】
また、上記実施形態における荷物管理システム1、車両10、及び制御装置20の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【0121】
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0122】
1 荷物管理システム(制御システム)
10 車両(移動装置)
10a フォーク(載置部)
10b マスト
11 CPU(処理部)
12 RAM
13 記憶部
131 プログラム
132 撮像画像データ
133 ステータスデータ
134 積み降ろし履歴データ
14 操作表示部
15 通信部
16 荷物検出部(検出部)
17 フォーク高さ検出部
18 方位検出部
19 カメラ(撮像部)
100 端末装置
101 通信経路
20 制御装置
21 CPU(制御部)
22 RAM
23 記憶部
231 プログラム
232 倉庫管理データ(制御用情報)
233 荷物管理データ
24 通信部
201 バス
30 LEDマーカー(発光装置)
60 荷物(物体)
70 発光パターン
500 倉庫
500a 空間
501 保管エリア
I、I1~I6 ステータス情報(領域特定用情報)
J 積み降ろし情報(領域特定用情報)
K、K1~K6 荷物状態情報
P パレット
Pa 挿通穴
R1 進入不可領域
R2 撮像不可領域