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特開2024-42854作業機械の運転席、取付プレート及び作業機械の運転席の取付方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042854
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】作業機械の運転席、取付プレート及び作業機械の運転席の取付方法
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/24 20060101AFI20240322BHJP
   B60N 2/07 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
B60N2/24
B60N2/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147763
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 寿光
(72)【発明者】
【氏名】兒嶋 國胤
(72)【発明者】
【氏名】チョウ ジュンス
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BA02
3B087BB02
3B087CE10
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】狭い場所においても容易に取り付けできる作業機械の運転席、取付プレート及び作業機械の運転席の取付方法を提供すること。
【解決手段】作業機械の運転席は、座面部と、作業機械のフロアプレートの上面に配置される下レール21と、座面部の下面に配置され、下レール21に対してスライド可能に配置された上レール25とを備えるスライドレール2と、スライドレール2の孔部とフロアプレートの孔部とを重ねた状態でフロアプレートの下面側から挿通するボルト4と、ボルト4の雄ネジ部と螺合する雌ネジ部33を有する取付プレート3と、を備え、取付プレート3は、フロアプレートと重ねられたスライドレール2上に重ねて配置される。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座面部と、
作業機械のフロアプレートの上面に配置される下レールと、前記座面部の下面に配置され、前記下レールに対してスライド可能に配置された上レールとを備えるスライドレールと、
前記スライドレールの孔部と前記フロアプレートの孔部とを重ねた状態で前記フロアプレートの下面側から挿通するボルトと、
前記ボルトの雄ネジ部と螺合する雌ネジ部を有する取付プレートと、
を備え、
前記取付プレートは、前記フロアプレートと重ねられた前記スライドレール上に重ねて配置される、
作業機械の運転席。
【請求項2】
前記取付プレートは、板状の本体部と、前記本体部の挿入方向の一方に設けられた雌ネジ部を有するナット部と、前記本体部の挿入方向の他方の端部に設けられたストッパ部と、を備え、
前記ストッパ部は、前記スライドレールの挿入方向の他方の端部に当接する、
請求項1に記載の作業機械の運転席。
【請求項3】
前記ストッパ部の挿入方向の他方の端部から前記雌ネジ部の中心までの長さは、前記ストッパ部が前記スライドレールの挿入方向の他方の端部に当接した状態で、前記ナット部が、前記スライドレールの孔部と、前記フロアプレートの孔部に対応する長さである、
請求項2に記載の作業機械の運転席。
【請求項4】
前記本体部の幅は、前記スライドレールによって囲まれた空間部の幅より狭い、
請求項2又は3に記載の作業機械の運転席。
【請求項5】
第1部材の第1面と第2部材の第1面とを重ね合わせた状態でボルトによって締結するための取付プレートであって、
板状の本体部と、
前記本体部の挿入方向の一方に設けられた雌ネジ部を有するナット部と、
を備え、
前記本体部は、前記第1部材の前記第1面と前記第2部材の前記第1面とを重ね合わせた状態で、前記第1部材の前記第1面と反対側の第2面に重ねて配置され、
前記雌ネジ部は、前記第2部材の第1面と反対側の第2面側から挿通されたボルトが螺合する、
取付プレート。
【請求項6】
前記本体部の挿入方向の他方の端部に設けられたストッパ部、
を備え、
前記ストッパ部は、前記第1部材の挿入方向の他方の端部に当接する、
請求項5に記載の取付プレート。
【請求項7】
前記第1部材は、作業機械の運転席に配置されたスライドレールであり、
前記第1部材の前記第1面は、前記スライドレールの下面であり、
前記第2部材は、前記作業機械のフロアプレートであり、
前記第2部材の前記第1面は、フロアプレートの上面である、
請求項5に記載の取付プレート。
【請求項8】
前記本体部の幅は、前記スライドレールによって囲まれた空間部の幅より狭い、
請求項7に記載の取付プレート。
【請求項9】
前記ストッパ部の挿入方向の他方の端部から前記雌ネジ部の中心までの長さは、前記ストッパ部が前記第1部材の挿入方向の他方の端部に当接した状態で、前記ナット部が、前記第1部材の孔部と、前記第2部材の孔部に対応する長さである、
請求項6に記載の取付プレート。
【請求項10】
作業機械のフロアプレートの上面に配置される下レールと、前記作業機械の運転席の座面部の下面に配置され、前記下レールに対してスライド可能に配置された上レールとを備えるスライドレールの前記下レールの上面に、雌ネジ部を有する取付プレートを重ねて配置し、
前記スライドレールの孔部と前記フロアプレートの孔部とを重ねた状態で前記フロアプレートの下面側からボルトを挿通し、
前記ボルトを前記雌ネジ部と螺合させて、前記運転席に配置された前記スライドレールを前記フロアプレートに取り付ける、
作業機械の運転席の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械の運転席、取付プレート及び作業機械の運転席の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シートの前後位置を調節可能にした自動車用シートスライド装置に関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平04-55425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、作業機械の運転席は、車体に設けられた運転室に配置される。運転席が取り付けられるスペースは限られているため、狭い場所においても容易に取り付けできることが望まれる。
【0005】
本発明の態様は、狭い場所においても容易に取り付けできる作業機械の運転席、取付プレート及び作業機械の運転席の取付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従えば、座面部と、作業機械のフロアプレートの上面に配置される下レールと、前記座面部の下面に配置され、前記下レールに対してスライド可能に配置された上レールとを備えるスライドレールと、前記スライドレールの孔部と前記フロアプレートの孔部とを重ねた状態で前記フロアプレートの下面側から挿通するボルトと、前記ボルトの雄ネジ部と螺合する雌ネジ部を有する取付プレートと、を備え、前記取付プレートは、前記フロアプレートと重ねられた前記スライドレール上に重ねて配置される作業機械の運転席が提供される。
【0007】
本開示に従えば、第1部材の第1面と第2部材の第1面とを重ね合わせた状態でボルトによって締結するための取付プレートであって、板状の本体部と、前記本体部の挿入方向の一方に設けられた雌ネジ部を有するナット部と、を備え、前記本体部は、前記第1部材の前記第1面と前記第2部材の前記第1面とを重ね合わせた状態で、前記第1部材の前記第1面と反対側の第2面に重ねて配置され、前記雌ネジ部は、前記第2部材の第1面と反対側の第2面側から挿通されたボルトが螺合する取付プレートが提供される。
【0008】
本開示に従えば、作業機械のフロアプレートの上面に配置される下レールと、前記作業機械の運転席の座面部の下面に配置され、前記下レールに対してスライド可能に配置された上レールとを備えるスライドレールの前記下レールの上面に、雌ネジ部を有する取付プレートを重ねて配置し、前記スライドレールの孔部と前記フロアプレートの孔部とを重ねた状態で前記フロアプレートの下面側からボルトを挿通し、前記ボルトを前記雌ネジ部と螺合させて、前記運転席に配置された前記スライドレールを前記フロアプレートに取り付ける、作業機械の運転席の取付方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、狭い場所においても容易に取り付けできる作業機械の運転席、取付プレート及び作業機械の運転席の取付方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る運転席を左前上方から見た斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る運転席の平面図である。
図3図3は、実施形態に係る運転席を左後下方から見た斜視図である。
図4図4は、図2の部分拡大図である。
図5図5は、フロアプレートの斜視図である。
図6図6は、フロアプレートにスライドレールを配置した状態を示す斜視図である。
図7図7は、スライドレールの斜視図である。
図8図8は、取付プレートの斜視図である。
図9図9は、取付プレートを下レールに組み付けた状態を示す平面図である。
図10図10は、図9のL-L線断面図である。
図11図11は、運転席の取り付け方法を説明する図である。
図12図12は、運転席の取り付け方法を説明する図である。
図13図13は、取付プレートの変形例の斜視図である。
図14図14は、従来の運転席の平面図である。
図15図15は、従来の運転席の組み付け方法を説明する分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0012】
[実施形態]
図1は、実施形態に係る運転席を左前上方から見た斜視図である。図2は、実施形態に係る運転席の平面図である。図3は、実施形態に係る運転席を左後下方から見た斜視図である。図4は、図2の部分拡大図である。実施形態においては、作業機械は、例えば、フォークリフト、油圧ショベルなどである。
【0013】
以下において、作業機械の運転席1が向いている側が前方であり、反対側が後方である。実施形態においては、左右とは前方に対する左右をいうものとする。左右方向は、運転席1の幅方向である。上方は、図示しない作業機械の前輪及び後輪のうち少なくとも3個と接触する平面(接地平面)に直交し、かつ接地平面から前輪又は後輪の回転中心軸に向かう側である。下方は、前輪又は後輪の回転中心軸から接地平面に向かう側である。作業機械の車体の前後方向に向かい、かつ車体の幅方向中心を通る軸を前後軸といい、前後軸に直交し、接地平面と平行かつ車体の車幅方向に向かう軸を左右軸という。車体の上下方向に向かう軸を上下軸という。上下軸は、前後軸と左右軸との両方に直交する。前後軸はX軸であり、上下軸はY軸であり、左右軸はZ軸である。
【0014】
図1図2に示すように、運転席1は、作業機械のフロアプレート81上に配置されている。フロアプレート81は、図示しない作業機械の車体フレーム上に配置されている。フロアプレート81は、板材を加工して形成されている。フロアプレート81は、オペレータが足を載置するフットプレート91より前後方向の後方で、上下方向の上方に位置する。
【0015】
図5は、フロアプレートの斜視図である。実施形態では、フロアプレート81は、形状の異なる運転席1に取り付け可能に構成されている。フロアプレート81には、形状の異なる運転席1のそれぞれに合わせた位置でスライドレール2を取り付けるための第1孔82L1、第2孔82L2、第1孔82R1、第2孔82R2、第1孔83L1、第2孔83L2、第1孔83R1及び第2孔83R2が設けられている。第1孔82L1、第2孔82L2、第1孔82R1、第2孔82R2、第1孔83L1、第2孔83L2、第1孔83R1及び第2孔83R2は、フロアプレート81を貫通している。第1孔82L1、第2孔82L2、第1孔82R1、第2孔82R2、第1孔83L1、第2孔83L2、第1孔83R1及び第2孔83R2は、フロアプレート81の孔部である。
【0016】
第1孔82L1及び第2孔82L2は、図1ないし図3に示す形状の運転席1に対応して、スライドレール2Lを取り付けるための孔である。第1孔82R1及び第2孔82R2は、図1ないし図3に示す形状の運転席1に対応して、スライドレール2Rを取り付けるための孔である。第1孔82L1と第2孔82L2とは、前後方向に離間して配置されている。第1孔82R1と第2孔82R2とは、前後方向に離間して配置されている。第1孔82L1と第1孔82R1とは、左右方向に離間して配置されている。第2孔82L2と第2孔82R2とは、左右方向に離間して配置されている。
【0017】
第1孔83L1及び第2孔83L2は、図示しない形状の運転席1に対応して、スライドレール2Lを取り付けるための孔である。第1孔83R1及び第2孔83R2は、図示しない形状の運転席1に対応して、スライドレール2Rを取り付けるための孔である。第1孔83L1と第2孔83L2とは、前後方向に離間して配置されている。第1孔83R1と第2孔83R2とは、前後方向に離間して配置されている。第1孔83L1と第1孔83R1とは、左右方向に離間して配置されている。第2孔83L2と第2孔83R2とは、左右方向に離間して配置されている。
【0018】
第1孔82L1と第1孔83L1との間隔、第1孔82R1と第1孔83R1との間隔、第2孔82L2と第2孔83L2との間隔、及び、第2孔82R2と第2孔83R2との間隔は、それぞれ数mm程度である。このため、第1孔82L1、第2孔82L2、第1孔82R1、第2孔82R2、第1孔83L1、第2孔83L2、第1孔83R1及び第2孔83R2に、それぞれフロアプレート81の下面側に裏ナットを配置することは困難である。
【0019】
フロアプレート81の前側で、オペレータが足を載置するフットプレート91の後側に凹部89が形成されている。実施形態では、凹部89には、図示しない開閉可能な蓋が配置されている。蓋は、下側を軸にして回動して開閉可能な蓋が配置されている。凹部89は、フロアプレート81とフットプレート91とを接続する壁部88より後方に凹んでいる。凹部89の上面は、フロアプレート81の前部の下面である。フロアプレート81の第1孔82L1、第1孔82R1、第1孔83L1及び第1孔83R1は、凹部89まで貫通している。
【0020】
[運転席]
運転席1は、座面部11と、背もたれ部12とを備える。座面部11は、オペレータが座る座面を有する。座面部11の下面には、一対のスライドレール2が配置されている。背もたれ部12は、座面部11の後方の端部に接続されている。背もたれ部12は、オペレータが座面部11に座ったときの背もたれとなる部分である。背もたれ部12は、座面部11に対して傾斜角度を調整可能である。
【0021】
図6は、フロアプレートにスライドレールを配置した状態を示す斜視図である。図7は、スライドレールの斜視図である。図6は、運転席1の図示を省略している。スライドレール2は、運転席1をフロアプレート81上において、前後方向にスライドさせる。図3に示すように、スライドレール2は、運転席1の座面部11の下面に左右方向に離間して一対が配置されている。スライドレール2は、スライドレール2Lとスライドレール2Rとを備える。スライドレール2Lとスライドレール2Rとは、同様に構成されているため、以下の説明では、スライドレール2Lについて説明する。スライドレール2Lとスライドレール2Rとの区別を特に要しない場合、スライドレール2として説明する。実施形態では、スライドレール2は、形状の異なる運転席1に取り付け可能に構成されている。
【0022】
スライドレール2は、下レール21Lと上レール25Lとを備える。下レール21Lと上レール25Lとは、スライド可能に配置されている。
【0023】
下レール21Lは、フロアプレート81の上面に配置される。実施形態では、下レール21Lには、形状の異なる運転席1に対応して、複数組の取付用の孔が設けられている。実施形態では、下レール21Lには、図1ないし図3に示す形状の運転席1に対応した第1孔22L1及び第2孔22L2と、図示しない形状の運転席に対応した第1孔23L1及び第2孔23L2とが設けられている。第1孔22L1と第2孔22L2とは、前後方向に離間して配置されている。第1孔23L1と第2孔23L2とは、前後方向に離間して配置されている。
【0024】
上レール25Lは、下レール21Lに対して前後方向にスライド可能に配置されている。上レール25Lは、座面部11の下面に配置される。実施形態では、上レール25Lには、形状の異なる運転席1に対応して、複数組の取付用の孔26Lが設けられている。孔26Lにボルトが挿通されて座面部11の下面に締結される。
【0025】
実施形態では、スライドレール2の孔部は、第1孔22L1、第2孔22L2、第1孔23L1、第2孔23L2、第1孔22R1、第2孔22R2、第1孔23R1、及び第2孔23R2である。
【0026】
このように構成された運転席1は、座面部11と、背もたれ部12と、スライドレール2とに加えて、取付プレート3を備える。
【0027】
[取付プレート]
図8は、取付プレートの斜視図である。図9は、取付プレートを下レールに組み付けた状態を示す平面図である。図10は、図9のL-L線断面図である。取付プレート3は、運転席1をフロアプレート81に取り付ける際に使用する。取付プレート3は、フロアプレート81と重ねられたスライドレール2上に重ねて配置される。より詳しくは、取付プレート3は、下レール21上に重ねられた状態で、ボルト4によって、スライドレール2の下レール21とフロアプレート81と締結される。取付プレート3は、第1部材の第1面であるスライドレール2の下レール21の下面と、第2部材の第1面であるフロアプレート81の上面とを重ね合わせた状態でボルト4によって締結するための部材である。取付プレート3は、スライドレール2Lとスライドレール2Rとにそれぞれ使用される。以下の説明では、スライドレール2Lを取り付ける取付プレート3について説明する。スライドレール2Rを取り付ける取付プレート3も同様の構成であるため説明を省略する。
【0028】
取付プレート3は、本体部31と、ナット部32と、雌ネジ部33と、ストッパ部34とを備える。本体部31は、板状に形成されている。本体部31は、スライドレール2Lの下レール21Lの下面とフロアプレート81の上面とを重ね合わせた状態で、下レール21Lの下面と反対側の上面(第2面)に重ねて配置される。本体部31は、スライドレール2によって囲まれた空間部2LSに挿入される。本体部31の幅d1は、スライドレール2Lの空間部2LSの左右方向の幅より狭い。本体部31の幅d1は、空間部2LSの左右方向の幅より、例えば1mm程度狭い。本体部31は、スライドレール2Lの下レール21L上に配置される。本体部31は、本体部31の挿入方向の一方に設けられた雌ネジ部33を有するナット部32が配置されている。実施形態では、本体部31の挿入方向の一方の端部にナット部32が配置されている。ナット部32に形成された雌ネジ部33は、スライドレール2Lとフロアプレート81とを締結するボルト4と螺合する。雌ネジ部33は、フロアプレート81の上面と反対側の下面(第2面)側から挿通されたボルト4が螺合する。
【0029】
空間部2LSは、下レール21Lと上レール25Lとによって、左右方向及び上下方向を囲まれた空間である。空間部2LSは、下レール21Lの上面より上側で、上レール25Lの下面より下側の空間である。空間部2LSは、前後方向が開口している。
【0030】
本体部31の挿入方向の他方の端部にストッパ部34が配置されている。ストッパ部34は、スライドレール2Lの空間部2LSに対する、本体部31の挿入方向の位置決めをする。ストッパ部34は、本体部31の幅d1より広い幅を有する。ストッパ部34の端部34aは、スライドレール2の下レール21Lの挿入方向の他方の端部21Laに当接する。当接とは、ストッパ部34の端部34aが、スライドレール2の下レール21Lの挿入方向の他方の端部21Laに当たって挿入方向の位置決めがされることをいう。
【0031】
図1ないし図3に示す形状の運転席1を取り付ける場合、ストッパ部34の端部34aがスライドレール2Lの下レール21Lの端部21Laに当接した状態で、ナット部32は、下レール21Lの第1孔22L1と、フロアプレート81の第1孔82L1に対応する。言い換えると、取付プレート3の挿入方向の他方の端部から雌ネジ部33の中心までの長さd2は、ストッパ部34の端部34aが下レール21Lの端部21Laに当接した状態で、ナット部32が、下レール21Lの第1孔22L1と、フロアプレート81の第1孔82L1に対応する長さである。
【0032】
図示しない形状の運転席1を取り付ける場合、ストッパ部34の端部34aがスライドレール2の下レール21Lの端部21Laに当接した状態で、ナット部32は、下レール21Lの第1孔23L1と、フロアプレート81の第1孔83L1に対応する。言い換えると、取付プレート3の挿入方向の他方の端部から雌ネジ部33の中心までの長さd2は、ストッパ部34の端部34aが下レール21Lの端部21Laに当接した状態で、ナット部32が、下レール21Lの第1孔23L1と、フロアプレート81の第1孔83L1に対応する長さである。
【0033】
ボルト4は、スライドレール2の孔部とフロアプレート81の孔部とを重ねた状態で、フロアプレート81の下面側から、スライドレール2の孔部とフロアプレート81の孔部とに挿通される。図1ないし図3に示す形状の運転席1を取り付ける場合、ボルト4は、スライドレール2の第1孔22L1とフロアプレート81の第1孔82L1とを重ねた状態で、フロアプレート81の下面側から、スライドレール2の第1孔22L1とフロアプレート81の第1孔82L1とに挿通される。図示しない形状の運転席1を取り付ける場合、ボルト4は、スライドレール2の第1孔23L1とフロアプレート81の第1孔83L1とを重ねた状態で、フロアプレート81の下面側から、スライドレール2の第1孔23L1とフロアプレート81の第1孔83L1とに挿通される。
【0034】
[運転席の取付方法]
運転席1を、フロアプレート81に取り付ける取付方法を説明する。運転席1をフロアプレート81に取り付ける前に、一対のスライドレール2L及びスライドレール2Rは、運転席1の座面部11の下面に取り付けられている。以下の説明では、図1ないし図3に示す形状の運転席1を取り付けるものとして説明する。
【0035】
まず、スライドレール2の後部をフロアプレート81に取り付ける工程について説明する。図1図2に示すように、運転席1を、フロアプレート81上に載置する。運転席1の背もたれ部12を座面部11側に、言い換えると、前方に倒す。スライドレール2によって、運転席1を前側にスライドさせる。運転席1を前側にスライドさせると、図4に示すように、第2孔22L2、第2孔22R2、第2孔23L2及び第2孔23R2は、露出する。
【0036】
スライドレール2Lの第1孔22L1を、フロアプレート81の第1孔82L1に位置を合わせ、スライドレール2Lの第2孔22L2を、フロアプレート81の第2孔82L2に位置を合わせる。スライドレール2Lの第2孔22L2を、フロアプレート81の第2孔82L2に位置を合わせた状態で、図示しないボルトを第2孔22L2及び第2孔82L2に挿通して締結する。
【0037】
スライドレール2Rの第1孔22R1を、フロアプレート81の第1孔82R1に位置を合わせ、スライドレール2Rの第2孔22R2を、フロアプレート81の第2孔82R2に位置を合わせる。スライドレール2Rの第2孔22R2を、フロアプレート81の第2孔82R2に位置を合わせた状態で、図示しないボルトを第2孔22R2及び第2孔82R2に挿通して締結する。
【0038】
次に、スライドレール2の前部をフロアプレート81に取り付ける工程について説明する。図11は、運転席の取り付け方法を説明する図である。図12は、運転席の取り付け方法を説明する図である。スライドレール2によって、運転席1を後側にスライドさせる。
【0039】
スライドレール2Lの空間部2LSに取付プレート3を挿入する。取付プレート3は、ストッパ部34の端部34aがスライドレール2の下レール21Lの端部21Laに当接するまで挿入される。空間部2LSに挿入された取付プレート3のナット部32は、スライドレール2Lの第1孔22L1及びフロアプレート81の第1孔82L1に位置する。ナット部32、スライドレール2Lの第1孔22L1及びフロアプレート81の第1孔82L1に、ボルト4を挿入して締結する。ボルト4は、フロアプレート81の前側で、フットプレート91の後側に位置する凹部89から挿入される。
【0040】
スライドレール2Rの空間部2RSに取付プレート3を挿入する。取付プレート3は、ストッパ部34の端部34aがスライドレール2の下レール21Rの端部21Raに当接するまで挿入される。空間部2RSに挿入された取付プレート3のナット部32は、スライドレール2Rの第1孔22R1及びフロアプレート81の第1孔82R1に位置する。ナット部32、スライドレール2Rの第1孔22R1及びフロアプレート81の第1孔82R1に、ボルト4を挿入して締結する。ボルト4は、フロアプレート81の前側で、フットプレート91の後側に位置する凹部89から挿入される。
【0041】
このように、運転席1の取付方法は、下レール21の上面に取付プレート3を重ねて配置して、スライドレール2の孔部とフロアプレート81の孔部とを重ねた状態でフロアプレート81の下面側からボルト4を挿通して、ボルト4を取付プレート3の雌ネジ部33と螺合させて、スライドレール2をフロアプレート81に取り付けるものである。
【0042】
[効果]
以上説明したように、実施形態では、フロアプレート81と重ねられたスライドレール2上に取付プレート3が重ねて配置される。実施形態では、スライドレール2の孔部とフロアプレート81の孔部とを重ねた状態でフロアプレート81の下面側からボルト4を挿通する。実施形態によれば、取付プレート3及びボルト4によって、スライドレール2をフロアプレート81に容易に取り付けできる。実施形態では、フロアプレート81の下面側からボルト4を挿通するので、運転席1とスライドレール2との間の隙間側からボルトを挿通する場合に比べて、容易に取り付けできる。実施形態では、フロアプレート81の下面側からボルト4を挿通するので、運転席1とスライドレール2との間の隙間が狭くても、容易に取り付けできる。実施形態では、フロアプレート81の下面側からボルト4を挿通するので、運転席1の周囲のスペースが狭くても、容易に取り付けできる。このようにして、実施形態は、狭い場所においても運転席1をフロアプレート81に容易に取り付けできる。
【0043】
実施形態では、取付プレート3の本体部31は、スライドレール2の下面とフロアプレート81の上面とを重ね合わせた状態で、スライドレール2の上面に重ねて配置される。取付プレート3の雌ネジ部33は、フロアプレート81の上面と反対側の下側から挿通されたボルト4が螺合する。実施形態によれば、取付プレート3によって、スライドレール2をフロアプレート81に容易に取り付けできる。
【0044】
実施形態では、取付プレート3のストッパ部34は、スライドレール2の挿入方向の他方の端部に当接する。実施形態によれば、スライドレール2に対して取付プレート3の位置合わせをせずに、適切な位置まで挿入して取り付けることができる。
【0045】
実施形態では、取付プレート3の本体部31の幅d1は、スライドレール2によって囲まれた空間部2Sの幅より狭い。実施形態によれば、取付プレート3をスライドレール2の空間部2Sに容易に挿入できる。
【0046】
実施形態では、ストッパ部34の挿入方向の他方の端部から雌ネジ部33の中心までの長さは、ストッパ部34がスライドレール2の挿入方向の他方の端部に当接した状態で、ナット部32が、スライドレール2の孔部と、フロアプレート81の孔部に対応する長さである。実施形態によれば、取付プレート3と、スライドレール2及びフロアプレート81との位置合わせをせずに、適切な位置に取り付けることができる。
【0047】
図14は、従来の運転席の平面図である。図15は、従来の運転席の組み付け方法を説明する分解斜視図である。図示しないスライドレールの前部をフロアプレート81Xに取り付ける際に、運転席1を出来る限り後方にスライドさせて、スライドレールの前方を露出させる。ところが、運転室のスペースが限られているため、運転席1を後方へスライドできる移動量も限られる。これにより、スライドレールの前部が露出せず、工具を用いてスライドレールをフロアプレート81Xに取り付ける作業が困難になる。そこで、従来の運転席1は、スライドレールをフロアプレート81Xに直接取り付けるのではなく、中間プレート100Xを用いて、スライドレールをフロアプレート81Xに間接的に取り付けている。
【0048】
中間プレート100Xは、運転席1の座面部11と同程度の面積を有する板材を加工して形成される。中間プレート100Xは、上下方向視において、運転席1の座面部11から少なくとも一部が突出している。中間プレート100Xは、運転席1とフロアプレート81との間に配置される。中間プレート100Xには、運転席1の座面部11の下面側がボルト110Xによって取り付けられる。中間プレート100Xは、ボルト110Xによってフロアプレート81に取り付けられる。
【0049】
これに対して、実施形態では、従来のような中間プレート100Xを用いることなく、運転席1をフロアプレート81に直接強固に取り付けできる。実施形態では、従来のような中間プレート100Xを用いることがないので、部品点数を削減できる。これにより、実施形態は、中間プレート100Xの板厚がないので、運転席1の座席基準点の高さを低く抑えることができる。実施形態は、中間プレート100Xが運転席1の周囲に突出しないので、省スペース化できる。
【0050】
実施形態は、形状の異なる運転席1を取り付けできる。
【0051】
[変形例]
図13は、取付プレートの変形例の斜視図である。ナット部32は、本体部31の挿入方向においてストッパ部34から離間して配置されていればよい。図13に示す例では、ナット部32は、本体部31の中間部に配置されている。
【0052】
[その他の変形例]
スライドレール2をフロアプレート81に取り付ける順番は、上記の順番に限定されない。スライドレール2の前部をフロアプレート81に取り付けた後、スライドレール2の後部をフロアプレート81に取り付けてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1…運転席、11…座面部、12…背もたれ部、2…スライドレール(第1部材)、2L…スライドレール(第1部材)、2LS…空間部、2R…スライドレール(第1部材)、2RS…空間部、3…取付プレート、21L…下レール、21R…下レール、22L1…第1孔(スライドレールの孔部)、22L2…第2孔(スライドレールの孔部)、22R1…第1孔(スライドレールの孔部)、22R2…第2孔(スライドレールの孔部)、23L1…第1孔(スライドレールの孔部)、23L2…第2孔(スライドレールの孔部)、23R1…第1孔(スライドレールの孔部)、23R2…第2孔(スライドレールの孔部)、25L…上レール、26L…孔、25R…上レール、26R…孔、31…本体部、32…ナット部、33…雌ネジ部、34…ストッパ部、34a…端部、4…ボルト、81…フロアプレート(第2部材)、82L1…第1孔(フロアプレートの孔部)、82L2…第2孔(フロアプレートの孔部)、82R1…第1孔(フロアプレートの孔部)、82R2…第2孔(フロアプレートの孔部)、83L1…第1孔(フロアプレートの孔部)、83L2…第2孔(フロアプレートの孔部)、83R1…第1孔(フロアプレートの孔部)、83R2…第2孔(フロアプレートの孔部)、88…壁部、89…凹部、91…フットプレート。
図1
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図15