(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042860
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】印刷装置、貼着方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 11/66 20060101AFI20240322BHJP
A45D 29/00 20060101ALI20240322BHJP
B41J 3/407 20060101ALI20240322BHJP
B65H 35/00 20060101ALI20240322BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20240322BHJP
B65H 27/00 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
B41J11/66
A45D29/00
B41J3/407
B65H35/00
B65H7/14
B65H27/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147772
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 智文
【テーマコード(参考)】
2C058
3F048
3F104
【Fターム(参考)】
2C058AB12
2C058AC07
2C058AC11
2C058AC14
2C058AE04
2C058AF06
2C058AF19
2C058AF22
2C058AF51
2C058AF57
2C058LA04
2C058LA07
2C058LA17
2C058LA28
2C058LC02
2C058LC10
3F048BB02
3F048DC11
3F048EB17
3F104FA01
3F104JB01
3F104KA03
(57)【要約】
【課題】チップを生成して貼着対象に容易に貼着することができる。
【解決手段】印刷装置100が、粘着面を有する被印刷媒体(シートNS等)を搬送方向Y1(第一搬送方向)に搬送する第一搬送機構及び被印刷媒体(シートNS等)を搬送方向Y1から連続して第二方向Y3(第二搬送方向)へ搬送する第二搬送機構として機能する搬送機構2と、被印刷媒体であるチップNtの貼着対象である爪Tを搬送方向Y1(第一搬送方向)の延長線上で保持する保持機構としての指置台14と、を備え、搬送方向Y1(第一搬送方向)に搬送される際の被印刷媒体(シートNS等)と第二方向Y3(第二搬送方向)に搬送される際の被印刷媒体(シートNS等)との成す角度αが、搬送方向Y1(第一搬送方向)に搬送される被印刷媒体(シートNS等)と貼着対象である爪Tとの成す角度βに応じて設定されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着面を有する被印刷媒体を、第一搬送路に沿って搬送し、
更に前記第一搬送路から連続して第二搬送路に沿って搬送する搬送機構と、
前記被印刷媒体の貼着対象を前記第一搬送路の延長線上で保持する保持機構と、
を備え、
前記第一搬送路と第二搬送路の成す角度が、前記第一搬送路に搬送される前記被印刷媒体と前記保持機構の保持面の成す角度に応じて設定されている、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記第一搬送路における前記第二搬送路側の端から前記貼着対象までの距離は、前記被印刷媒体の長さよりも短い距離である
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記被印刷媒体を切断する切断機構を備え、
前記搬送機構は前記切断機構によって切断された前記被印刷媒体を搬送する、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記被印刷媒体は、剥離層と本体層の二層を含み、
前記切断機構は、前記被印刷媒体を切断する際に前記本体層のみを切断するハーフカットを行うものである、
ことを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第二搬送路の下流側に巻き取り機構を有し、
前記巻き取り機構は、前記被印刷媒体から前記本体層を切断したのち、前記剥離層を含む不使用部分を巻き取る、
ことを特徴とする請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記貼着対象はユーザの爪であり、貼着開始位置は前記爪の根元側端部である、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記貼着対象の輪郭形状を検出する輪郭検出手段をさらに備え、前記切断機構は、前記輪郭検出手段によって検出された前記輪郭形状に基づいて前記被印刷媒体の切断動作を行う、
ことを特徴とする請求項3に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記輪郭形状に基づいて、前記貼着対象の保持位置を指示する指示部を備える、
ことを特徴とする請求項7に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記輪郭形状に基づいて、前記貼着対象の保持位置を表示する表示部を備える、
ことを特徴とする請求項7に記載の印刷装置。
【請求項10】
被印刷媒体を搬送する搬送機構と、
前記被印刷媒体の貼着対象を前記搬送機構における搬送経路の下流側に保持する保持機構と、
を備え、
前記保持機構は、搬送されてくる前記被印刷媒体の下流側端部が突き当たる位置の付近に前記貼着対象の貼着開始位置が位置するように前記貼着対象を保持する、
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項11】
粘着面を有する被印刷媒体を第一搬送方向に搬送する第一搬送工程と、
前記被印刷媒体を前記第一搬送工程から連続して第二搬送方向へ搬送する第二搬送工程と、
前記被印刷媒体のうち貼着部分の下流側端部を前記第一搬送方向の延長線上で保持された貼着対象の貼着開始位置に突き当てて前記貼着部分を前記被印刷媒体の搬送経路上から貼着対象上に配置させる配置工程と、
を含むことを特徴とする貼着方法。
【請求項12】
コンピュータに、
粘着面を有する被印刷媒体を第一搬送方向に搬送する第一搬送機能と、
前記被印刷媒体を、前記第一搬送方向への搬送から連続して第二搬送方向へ搬送する第二搬送機能と、
を実現させ、
前記第一搬送機能は、前記被印刷媒体のうち貼着部分の下流側端部を前記第一搬送方向の延長線上で保持された貼着対象の貼着開始位置に突き当てる、
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、貼着方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、指の爪等の貼着対象に貼着するチップ(ネイルシール)等を生成する装置が知られている。
例えば特許文献1には、爪をスキャンして爪画像を表示させ、爪のサイズに対応したアート画像を作成して、アート画像を印刷したシールを生成するアートシール自動販売機が開示されている。
【0003】
爪等の貼着対象に貼着するチップ(ネイルシール)等を自動で生成することができれば、チップ(ネイルシール)を貼り替えるだけで簡易に様々なデザイン(ネイルアート等)を楽しむことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、生成したチップ(ネイルシール)等を、ユーザが自分で貼着対象(例えば、爪)に正確に貼り付けるには集中力を要し、手間がかかる。
特に利き手の爪に、逆側の手でチップ(ネイルシール)等を貼り付けることは難しい。このため、チップ(ネイルシール)を貼り付ける位置がずれてきれいな仕上がりとならない場合もある。
【0006】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、チップ(ネイルチップ等)を貼着対象に容易に貼着することのできる印刷装置、貼着方法及びプログラムを提供することを利点とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の印刷装置は、
粘着面を有する被印刷媒体を、第一搬送路に沿って搬送し、
更に前記第一搬送路から連続して第二搬送路に沿って搬送する搬送機構と、
前記被印刷媒体の貼着対象を前記第一搬送路の延長線上で保持する保持機構と、
を備え、
前記第一搬送路と第二搬送路の成す角度が、前記第一搬送路に搬送される前記被印刷媒体と前記保持機構の保持面の成す角度に応じて設定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、チップ(ネイルチップ等)を貼着対象に容易に貼着することができるとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態における印刷装置の外観構成を示す要部斜視図である。
【
図2】本実施形態の印刷装置の内部構成を模式的に示す要部上面図である。
【
図3】
図2におけるIII-III線に沿う模式的な断面図である。
【
図4】本実施形態の印刷装置の機能的構成を示す要部ブロック図である。
【
図5】(a)は、本実施形態におけるシートの構成を示す模式的な断面図であり、(b)は、シートからチップを切り出す際の切断位置を示す模式図であり、(c)は、チップの本体層が剥離層から分離していく様子を示す模式図であり、(d)は、チップを爪の根元側から貼着していく様子を示す模式図であり、(e)は、シートから分離されたチップを爪に貼着する様子を示す模式図であり、(f)は、チップが爪に貼着された状態を示す模式図である。
【
図6】(a)から(c)は、本実施形態においてチップ貼着時に指のセットを促す表示画面の一例を示す図である。
【
図7】(a)から(c)は、本実施形態においてチップ貼着時にメッセージ等を表示させる表示画面の一例を示す図である。
【
図8】本実施形態における貼着対象の輪郭形状を取得する処理を示すフローチャートである。
【
図9】本実施形態における貼着処理を示すフローチャートである。
【
図10】印刷装置の一変形例の内部構成を模式的に示す要部上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1から
図9を参照しつつ、本発明に係る印刷装置の一実施形態について説明する。
本実施形態における印刷装置100は、後述するようにシートNSからチップNt(本実施形態では爪Tに貼着するネイルチップ、
図2等参照)を生成して貼着対象(本実施形態では爪T)の表面に貼着するものである。
【0011】
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
例えば以下の実施形態では、印刷装置100の貼着対象が手の指Uの爪Tである場合を例に説明する。なお、本発明における貼着対象は手の指Uの爪Tに限るものではなく、例えば足の指の爪等を貼着対象としてもよい。また、手の甲の皮膚等が貼着対象であってもよい。
【0012】
図1は、本実施形態における印刷装置の外観を示す斜視図であり、
図2は、印刷装置の要部内部構造を模式的に示す平面図である。
図3は、
図2におけるIII-III線に沿う断面図である。
なお、以下の実施形態において、上下、左右及び前後は、
図1に示した向きをいうものとする。また、X方向、Y方向、Z方向は、各図に示した方向をいうものとする。
また
図4は、本実施形態における印刷装置の機能的構成を示す要部ブロック図である。
【0013】
図1に示すように、印刷装置100は、ほぼ箱形に形成された筐体11を有している。
図2、
図4等に示すように、印刷装置100は、搬送機構2、切断機構3、印刷機構4、撮影部6等を備えており、搬送機構2、切断機構3、印刷機構4、撮影部6等は筐体11内に収容されている。
【0014】
筐体11の上面(天板)には、操作部12が設けられている。操作部12は、例えば印刷装置100の電源をON/OFFする操作ボタン(電源スイッチボタン)等である。操作部12が操作されると、操作信号が制御装置70に出力され、制御装置70が操作信号に従った制御を行い、印刷装置100の各部を動作させる。例えば操作部12が電源スイッチボタンである場合、ボタン操作に応じて印刷装置100の電源がON/OFFされる。
【0015】
筐体11各部の形状や各部の配置等は、図示例に限定されず、適宜設定可能である。
例えば、操作部12は、筐体11の上面ではなく側面や背面等に設けられていてもよい。また、印刷装置100が図示しない端末装置等の外部装置の操作部から入力された操作信号に従って動作してもよく、この場合には、筐体11に操作部12を設けない構成としてもよい。また、筐体11には、各種表示部やインジケータ等が設けられていてもよい。
【0016】
また、筐体11の前面側(印刷装置100の正面側、
図1において前側)には、上下方向のほぼ中央部分に、左右方向(装置の幅方向)に亘って広く開口部13が形成されている。開口部13は、指Uを装置内部に挿入する挿入口である。
【0017】
図2から
図4等に示すように、印刷装置100は、搬送機構2、切断機構3、印刷機構4、撮影部6、保持機構としての指置台14等を備えている。
【0018】
搬送機構2は、シートNS(本実施形態ではロール状のシート)を搬送経路20(
図3参照)に沿って所定の方向に搬送するものである。本実施形態の搬送機構2は、
図3に示すように、使用前の長尺のシートNSが巻かれたシートロール21と、シートNSからチップNtを切り出した後の不要部分(後述するように、チップNtの本体層Srを切断したのちの剥離層S1を含む不使用部分、
図5(c)等参照)を巻き取る巻き取り機構を構成する巻き取りローラ22とを備えている。
図2に示すように、本実施形態では、装置の後方から前方に向かう方向(図中白抜き太矢印で示す方向)が搬送方向Y1(第一搬送方向)である。
なお、本実施形態においてシートNSやシートNSから切り出されたチップNtは、搬送機構2によって搬送される被印刷媒体である。
【0019】
シートNSはシートロール21から引き出されて引き出し端側から巻き取りローラ22に巻き取られるように巻き掛けられており、
図3において白抜き矢印で示す搬送方向Y1(第一搬送方向)に沿う搬送経路20を構成する。搬送方向Y1に沿う搬送路を「第一搬送路」とする。シートNS等の被印刷媒体は、まず「第一搬送路」に沿って搬送される。
また、シートNSの搬送経路20上には複数の搬送ローラ23が設けられている。本実施形態では2つの搬送ローラ23a,23bが配置されている。搬送経路20のうち、搬送ローラ23a,23bの間は平坦部210となっている。この平坦部210では、後述する切断機構3による切断動作や印刷機構4による印刷動作が行われるようになっており、切断動作や印刷動作の際にシートNSの表面にしわ等が寄らないように、シートNSに適度なテンションがかかるようになっている。
【0020】
本実施形態において搬送経路20は、「第一搬送路」における搬送方向Y1(第一搬送方向)の下流側において、チップNtを貼着対象(本実施形態では爪T)に貼着する際の貼着開始位置Sp(本実施形態では、後述するように爪Tの根元側端部)に向って搬送するチップ搬送方向Y2と、このチップ搬送方向Y2とは異なる第二方向Y3(第二搬送方向)とに分岐する。この第二方向Y3に沿う搬送路を、「第一搬送路」から連続する「第二搬送路」とする。
なおチップ搬送方向Y2は搬送方向Y1(第一搬送方向)と同じ方向であり、搬送方向Y1(第一搬送方向)に連続している。
巻き取り機構を構成する巻き取りローラ22は、第二方向Y3(第二搬送方向)の下流側に配置されている。
【0021】
搬送機構2は、被印刷媒体(本実施形態ではシートNSやチップNt)を第一搬送方向である搬送方向Y1に沿う「第一搬送路」及び被印刷媒体(シートNSやチップNt)を「第一搬送路」から連続して第二搬送方向である第二方向Y3へと搬送する「第二搬送路」に沿って搬送する。
搬送機構2は、搬送用モータ24(
図4参照)を含んでおり、巻き取りローラ22は、搬送用モータ24と接続されて回転する駆動ローラとなっている。巻き取り機構は、搬送用モータ24及び巻き取りローラ22を含んで構成される。搬送用モータ24の駆動は制御部71によって制御される。なお、搬送ローラ23(搬送ローラ23a,23b)の一部又は全部もモータと接続される駆動ローラであってもよい。この場合には、巻き取りローラ22によるシートNSの巻き取りタイミングに合わせて全ての駆動ローラが動作するように制御部71によって制御される。
【0022】
なお、平坦部210の終端部分(搬送ローラ23bに対応する部分)は、搬送経路20がチップ搬送方向Y2とチップ搬送方向Y2とは異なる第二方向Y3とに分岐する分岐点となっている。この分岐点において、巻き取りローラ22に巻き取られていくシートNSの剥離層S1からチップNtの端部(搬送方向Y1(第一搬送方向)の下流側の端部)側が多少浮き上がった状態となる(
図2、
図3及び
図5(c)、
図5(d)参照)。
チップNtが剥離層S1から剥がれやすいようにするために、平坦部210におけるシートNS(「第一搬送路」上のシートNS)と第二方向Y3に搬送されるシートNS(シートNSのうち剥離層S1を含む不使用部分、「第二搬送路」上のシートNS)との成す角度は、鋭角(例えば60度等)であることが好ましい(
図3及び
図5(c)、
図5(d)参照)。なお、「第一搬送路」に沿って搬送方向Y1(第一搬送方向)に搬送される際の被印刷媒体(すなわちシートNSやチップNt)と「第二搬送路」に沿って第二方向Y3(第二搬送方向)に搬送される際の被印刷媒体(シートNSやチップNt)との成す角度(
図3において角度α)は、「第一搬送路」を搬送方向Y1(チップ搬送方向Y2を含む、第一搬送方向)に搬送される被印刷媒体(シートNSやチップNt)と貼着対象である爪T(爪Tに対応する指U)を保持する保持機構である後述の指置台14の表面(
図3等において保持面14a)との成す角度(
図3において角度β)等に応じて設定されている。なお、
図3において角度βを図示するため、「第一搬送路」を搬送される被印刷媒体(シートNSやチップNt)の延長線を破線で示している。
なお保持面14aの傾斜は、保持面14a上に保持されている爪Tの表面の傾斜とほぼ一致する。
【0023】
「第二搬送路」上を第二方向Y3(第二搬送方向)に搬送されるシートNSが平坦部210におけるシートNS(すなわち、「第一搬送路」上を搬送方向Y1(第一搬送方向)に搬送される際の被印刷媒体)に対してどの程度の角度をもって巻き取りローラ22に向って搬送されるかは、シートNSの腰の強さ、撓みやすさ、剥離層S1からの剥離しやすさ(すなわち、後述する粘着層S2の粘着力の程度)等、各種条件によって変わるものであり、適宜設定される。シートNSの条件等によっては、平坦部210におけるシートNSと第二方向Y3に搬送されるシートNSとのなす角度が鈍角であっても、搬送経路20がチップ搬送方向Y2と第二方向Y3とに分岐する分岐点において、チップNtが剥離層S1から円滑に分離することも考えられる。このような場合には、平坦部210におけるシートNSと第二方向Y3に搬送されるシートNSとのなす角度は例えば100度等の鈍角であってもよい。この場合には、貼着対象である爪T(爪Tの表面)が配置される位置もこれに合わせて設定される。
【0024】
またシートNSのサイズ(シートNSが巻かれたシートロール21の幅や1つのシートロール21に巻かれるシートNSの長さ)は特に限定されない。
本実施形態では
図2に示すように、片手5本分の爪Tに対応するチップNtをシートNSの幅方向に並ぶように生成することができるようになっており、シートNS(シートNSが巻かれたシートロール21)は、5つのチップNtが一列に並ぶことが可能な程度の幅を有している。
なお、チップNtをシートNS上にどのように配置するかは特に限定されない。シートNSを無駄なく使うことができるように、最小限の隙間を開けてチップNtを配置することが好ましい。各チップNtは幅方向に一列に並べなくてもよく、例えば千鳥状に交互に互い違いにずらして配置されてもよい。
【0025】
ここで、本実施形態において用いられるシートNSについて説明する。
シートNSは、貼着する対象物(本実施形態では爪T)に貼り付けることができる粘着面を有する被印刷媒体である。シートNSの構成や形成材料等は特に限定されないが、前述のように、チップNtが剥離層S1から剥がれやすいように、シートNSは多少腰があることが好ましい。なお、腰の強さの程度は、前記分岐点における平坦部210におけるシートNSと第二方向Y3に搬送されるシートNSとのなす角度(
図3において角度α)や、チップNtの用途等によって適宜設定される。
本実施形態においてシートNSは、剥離層S1と本体層Srの二層を含んでいる。
具体的には、シートNSは
図5(a)等に示すように剥離層S1の上に粘着層S2が形成され、さらに粘着層S2の上にベース層S3が形成されたものである。シートNSのうち剥離層S1以外の部分を本体層Srとする。
後述するように、チップNtは、このうち、粘着層S2及びベース層S3(後述のインク受容層S3aを含む)がシートNS(シートNSの剥離層S1)から切り離されたものであり、粘着層S2によって貼着対象である爪Tの表面に貼着される。
【0026】
剥離層S1は、未使用時において粘着層S2を被覆し使用時に粘着層S2から剥離される剥離紙である。剥離層S1は、例えば50μm程度の厚みのPETフィルム等から構成される。
粘着層S2は、剥離層S1の上に例えばアクリル系の粘着剤を塗工することで形成されている。剥離層S1が剥がされた面は粘着面となる。
ベース層S3は、粘着層S2の上に形成されるシートNSの本体部分である。シートNSからチップNtが切り出された際には、ベース層S3が粘着層S2によって爪T等の貼着対象の表面に貼着される。
ベース層S3の表面は、インク受容層S3aとなっており、後述する印刷機構4によって印刷が行われた際にはインクがインク受容層S3aに受容され、ベース層S3上に定着する。
【0027】
なおベース層S3は、表面に印刷が施される際の下地となるものであるため、インクの発色が良くなるように、白色や白に近い色(例えば薄いピンク色や薄い水色等)の層であることが好ましい。なお、ベース層S3は白色等に限定されず、透明、半透明等であってもよい。この場合には、爪Tに貼着した際、印刷が施されていない部分では下の爪Tが透けて見える。このため、部分的にワンポイント柄等を施す場合やフレンチネイルのようなデザインを印刷した場合には、生爪に直接ネイルプリントを施したかのような仕上がりを実現することができる。
またベース層S3は、蛍光剤を含むものであってもよい。この場合も全体が白っぽくなり、美しい仕上がりのベース層S3を構成する。
【0028】
ベース層S3は、例えば、粘着層S2を構成する粘着剤(例えば上記のアクリル系の粘着剤)が十分に乾燥したのちにネイルベース構成材を塗工し乾燥させることで形成される。
ネイルベース構成材は、例えば、アクリレーツコポリマー、ニトロセルロース、(アジピン酸/ネオペンチルギリコール/無水トリメリット酸)コポリマー、クエン酸アセチルトリブチル、トリフェニルリン酸、ジメチコン、エトクリレン、トリメチルシロキシケイ酸、酸化チタン、水酸化アルミニウム、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロパノール等を含んで構成されている。
【0029】
切断機構3は、搬送機構2によるシートNSの搬送経路20上において、後述する輪郭検出手段としての制御部71により取得された情報に基づいて貼着対象である爪Tの輪郭形状に沿うようにシートNSを切断してチップNtを生成する。
切断機構3は、例えば輪郭検出手段としての制御部71が爪Tの輪郭形状を、線を表すx,y座標値のデータ(例えばベクターデータ)として取得すると、当該データにしたがって動作し、シートNSから爪Tの輪郭形状のデータ通りにチップNtを切り出すカッティングプロッタである。
切断機構3によって切断された被印刷媒体(ここではシートNSから切り出されたチップNt)は、搬送機構2により「第一搬送路」に沿って搬送され、更に「第一搬送路」から連続して「第二搬送路」に沿って搬送経路20上を搬送される。
【0030】
切断機構3は、例えば、金属製等の刃を備える切断部31と、切断部31を移動させる駆動部32とを備えている。切断機構3は、シートNSを切断して下側に貼着面(本実施形態では粘着層S2で形成される粘着面)を有するチップNtを生成するものである。
筐体11内であって装置の後方側には、装置の左右方向(X方向)に延在するガイドレール16が設けられており、駆動部32はガイドレール16に取り付けられている。切断部31は支持部33を介して駆動部32に取り付けられている。
チップNtを生成する際、切断機構3の切断部31は、被印刷媒体(シートNS)のうち、本体層Sr(すなわち、少なくとも粘着層S2及びベース層S3)のみを切断するハーフカットを行うようになっている。なお、切断部31は剥離層S1まで含めたシートNSの厚み方向の全体を切断(フルカット)することができてもよい。また、ハーフカットの他、フルカットを行うことができる場合、ハーフカットとフルカットが選択的に切り替えられてもよい。
【0031】
駆動部32は、図示しないモータを含んでおり、モータが駆動することでガイドレール16に沿って支持部33に支持された切断部31を装置の左右方向(X方向)に移動させる。
なお、適切に切断部31による切断動作を行うことができるように、切断部31はシートNSの搬送速度等に応じて移動する。具体的には、切断部31の移動速度や移動方向(左右方向のいずれに移動するか)は、制御部71が適宜駆動部32(駆動部32のモータ)を制御することにより、調整される。
【0032】
なお、切断機構3は、爪Tの輪郭形状に沿ったチップNtを切り出すことができるものであればよく、具体的な構成は特に限定されない。
例えば切断機構3はカッティングプロッタに限定されない。また、切断部31の構成についても刃を備えるものに限定されない。例えば切断部31はレーザーカッタ等で構成されてもよい。切断部31がレーザーカッタである場合には、レーザー発振器や加工光学系等を含み、各部は適宜制御部71の制御にしたがって動作する。
【0033】
また印刷装置100の内部であって開口部13に対応する位置には、貼着対象である爪Tを有する指Uを保持する保持機構である指置台14が設けられている。
本実施形態では、
図3に示すように、開口部13から挿入された指Uを受ける指置台14が装置下方に向けて斜めに配置されている。指置台14は、被印刷媒体(ここではシートNSから切り出されたチップNt)の貼着対象(本実施形態では爪T)を「第一搬送路」の延長線上(すなわち搬送経路20の搬送方向Y1(チップ搬送方向Y2を含む、第一搬送方向の下流側)で保持する保持機構である。
具体的には、保持機構である指置台14は、その表面である保持面14a上であって搬送されてくるチップNtの下流側端部Ntpが突き当たる位置に貼着対象(本実施形態ではユーザの爪T)の貼着開始位置Sp(例えば爪Tの根元側端部)が位置するように貼着対象である爪Tを保持する。
なお、「第一搬送路」の端部から貼着対象(本実施形態では指Uの爪T)までが遠く、距離が長い場合、チップNt等の爪Tへの貼り付けが困難になることが考えられる。このため「第一搬送路」における「第二搬送路」側の端(すなわち、実施形態では「第一搬送路」からチップ搬送方向Y2と「第二搬送路」である第二方向Y3とに分岐する地点)から貼着対象(本実施形態では爪T)までの距離は、被印刷媒体(本実施形態では例えばチップNt)の長さよりも短い距離とする。
【0034】
筐体11内であって装置の前方側には、装置の左右方向(X方向)に延在するガイドレール17が設けられており、指置台14は、このガイドレール17に取り付けられている。
指置台14は、第二方向Y3に搬送されるシートNSに爪Tが干渉しないように爪T及びその指Uを保持するものであり、例えば
図3に示すように、第二方向Y3に搬送されるシートNSの傾斜に沿うような角度(すなわち、搬送方向Y1(第一搬送方向)に搬送される際の被印刷媒体(すなわちシートNSやチップNt)と第二方向Y3(第二搬送方向)に搬送される際の被印刷媒体(シートNSやチップNt)との成す角度、言い換えれば「第一搬送路」と「第二搬送路」の成す角度(
図3において角度α)に対応するような角度(
図3において角度β))で傾斜して配置される。ここで角度βは、「第一搬送路」に搬送される被印刷媒体と保持機構である指置台14(指置台14の表面である保持面14a)の成す角度である。貼着を円滑に行うためには角度βは角度α以下の角度であることが好ましい。なお、指置台14の角度等はここに例示したものに限定されない。
【0035】
本実施形態の指置台14は、後述する指置台移動機構5と接続されており、
図2に示すように、装置左右方向(X方向)に移動可能に構成されている。
指置台移動機構5は図示しないモータを含んでおり、モータが駆動することで指置台14がガイドレール17に沿って装置の左右方向(X方向)に移動する。これにより、シートNS上のどこにチップNtが形成されている場合にも、チップNtに対応する適切な位置に爪Tを配置させることができる。
【0036】
指置台14の構成は特に限定されないが、上面に、例えば柔軟性を有する樹脂等で形成された図示しないクッション部材等が設けられることが好ましい。クッション部材を設けることで、斜めに傾いた状態で配置される指置台14の上でも、上面に保持された指Uが滑りにくくなる。また指Uが配置された状態で指置台14がX方向に移動したときも位置ずれしにくく、適切な位置に指U(指Uの爪T)を保持しやすくなる。
【0037】
印刷機構4は、シートNS(本実施形態ではロール状のシートNS)上に印刷を施すものである。印刷機構4は、制御部71等によって生成された印刷データにしたがってシートNSの所定の位置に印刷を行う。なお、印刷機構4による印刷は、切断機構3による切断の前後いずれのタイミングで行われてもよい。
印刷機構4は、印刷動作を行う印刷ヘッド41、印刷ヘッド41を移動させるためのヘッド移動機構42等を備えている。
【0038】
印刷ヘッド41は、例えば微滴化したインクを印刷対象面(すなわち、爪Tの表面)に吹き付けて印刷を行うインクジェットヘッドである。印刷ヘッド41の種類(印刷方式等の種類)は特に限定されない。例えばサーマルプリントヘッド等、各種方式で印刷を行うヘッドを採用可能である。
印刷ヘッド41が吐出可能な色やヘッドの数等は限定されないが、例えば、シアン(C;CYAN)、マゼンタ(M;MAGENTA)、イエロー(Y;YELLOW)等の各色のインクを吐出するようになっており、各種デザインを精緻に描くことが可能となっている。
【0039】
印刷ヘッド41は、ホルダ43に保持された状態でガイドレール16に取り付けられている。
本実施形態のヘッド移動機構42は、印刷ヘッド41を装置の左右方向(X方向)に移動させるための図示しないモータを含んでいる。ヘッド移動機構42は、モータが駆動することで、ホルダ43に保持された印刷ヘッド41をガイドレール16に沿って装置の左右方向(X方向)に移動させる。
印刷ヘッド41のインク吐出動作及びヘッド移動機構42のモータ駆動は、シートNSの搬送速度等に応じて適宜制御部71により制御される。
なお、
図2に示すように本実施形態では、切断機構3(切断機構3の支持部33)もガイドレール16に取り付けられている。このように、切断機構3と印刷機構4とが、同一の動作機構であるガイドレール16に取り付けられて動作することで、それぞれに専用の機構を設けた場合と比較して装置構成が簡素化でき、部品点数を少なく抑えることができる。
【0040】
さらに本実施形態の印刷装置100は、撮影部6を含んでいる。
撮影部6は、例えば
図3に示すように筐体11内の天面内側等に配置されている。
撮影部6は、例えばカメラ61と、例えば白色LED等で構成され、撮影対象である爪Tを照明する照明装置としての光源62とを含んでいる。
カメラ61は、指置台14の上に配置(保持)された指Uの爪T(貼着対象)を撮影して、爪Tの画像(爪Tを含む指Uの画像、以下「爪画像」という。)を取得する。カメラ61は、静止画像撮影、動画像撮影のいずれを行うものでもよく、両方の撮影に対応できるものでもよい。
カメラ61によって撮影された爪画像は、制御部71において取得され、後述するように、画像解析等が行われる。
【0041】
また、カメラ61は、搬送機構2によって搬送されるシートNS(シートNSから切り出されたチップNt)を撮影する。
チップNtの位置は、切断機構3による切断動作や印刷機構4による印刷動作を行う際のデータから各位置がx,y座標として装置側に把握されているが、生成されたチップNtをカメラ61によって撮影できるようにすることで、爪Tに貼着すべきチップNtの位置を画像からより正確に把握することが可能となる。
カメラ61が動画像撮影可能なものである場合には、例えばチップNtが搬送経路20に沿って搬送されていく様子や、指置台14上に指U(指Uの爪T)がセットされる様子等を動画像で撮影してもよい。
なお、カメラ61によって撮影された爪画像等の画像データは、後述する記憶部72に記憶されてもよい。
【0042】
その他、
図4等に示すように、本実施形態の印刷装置100は、表示部8、通信部9、制御装置7等を備えている。
【0043】
表示部8は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のフラットディスプレイ等で構成されている。
なお、表示部8の表面に各種の入力を行うためのタッチパネルが一体的に構成されていてもよい。この場合にはタッチパネルが操作部12としても機能する。
【0044】
表示部8は制御部71の制御にしたがって各種表示画面81(例えば
図7(a)等参照)を表示させる。
例えば表示部8には、ユーザが操作部12から入力・選択したネイルデザインや、各種の案内画面、警告表示画面等が表示可能となっている。
また前述のように例えばカメラ61がライブビュー表示可能な動画像を撮影することができる場合には、例えば
図7(a)から
図7(c)、
図8(a)から
図8(c)に示すような貼着処理の様子を示す動画像等が、表示部8の表示画面81にリアルタイムで随時ライブビュー表示される。
【0045】
表示部8の表示画面81にライブビュー表示される画像は特に限定されないが、例えばチップNtが搬送経路20に沿って搬送されてくる様子や、指置台14に配置(保持)されている爪Tの様子、チップNtと貼着対象である爪Tとの位置関係等を表示部8の表示画面81上にライブビュー表示させる。これにより、ユーザは、チップNtが爪Tに貼着される様子を、画面上でリアルタイムに確認することができる。
そしてこの場合、ユーザは、チップNtの下流側端部Ntpが貼着開始位置Sp(例えば爪Tの根元側の端部)に正しく突き当たるように、表示画面81を見ながら爪T(指U)の位置を微調整することも可能となる。
この場合表示部8は、貼着対象である爪Tの輪郭形状に基づいて、貼着対象(爪T)の保持位置を表示するガイド手段として機能する。
【0046】
通信部9は、例えば印刷装置100と各種外部装置(例えば、各種の端末装置)との間で通信するものである。
通信部9を介する通信は、インターネット等のネットワーク回線を使うものであってもよいし、例えばBluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)等の近距離無線通信規格に基づく無線通信を行うものであってもよい。ネットワークを介して通信を行う場合、通信に用いるネットワークはどのような回線を利用するものでもよい。また、印刷装置100と外部装置との間の通信は無線に限定されず、有線接続により両者間で各種データの送受信が可能な構成としてもよい。
通信部9は、通信相手となる外部装置の通信部との間で通信可能な無線通信モジュール等を備えており、制御部71によって動作が制御される。通信部9は外部装置との間で通信を行うことのできるものであればよく、外部装置の通信部の通信規格と合致するものが適用される。
【0047】
印刷装置100の制御装置7は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで構成される制御部71と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)で構成される記憶部72とを備えるコンピュータである。
なお、記憶部72の一部又は全部は別構成とし、制御装置7の外部に設けるようにしてもよい。
記憶部72には、印刷装置100を動作させるための各種プログラム(例えば切断処理、印刷処理、貼着処理等を行うためのプログラム等)や各種データ等が格納されており、制御部71がこれらのプログラムを例えばRAMの作業領域に展開して、プログラムが制御部71において実行されることによって、印刷装置100の各部が統括制御されるようになっている。
【0048】
特に本実施形態では、制御部71は、画像(カメラ61によって取得された爪画像)から貼着対象である爪Tの輪郭形状を含む情報を検出する輪郭検出手段として機能する。
爪Tの輪郭形状を含む情報とは、例えば、爪Tの領域を画する輪郭線をx,y座標等で表したベクターデータ等である。切断機構3は、輪郭検出手段としての制御部71によって検出された貼着対象である爪Tの輪郭形状に基づいてシートNSの切断動作を行い、チップNtを生成する。これにより、爪Tの輪郭形状にあった形状のチップNtを切り出すことができる。
また、制御部71は、指置台14に配置されている指Uの爪Tや、シートNSから切り出されたチップNtの正確な位置を把握するための画像(静止画像又は動画像)を、カメラ61に撮影させ取得する。そして制御部71は、当該画像を解析し、チップNtと、チップNtの貼着対象である爪Tとの精密な位置合わせを行うための情報を取得し、表示部8の表示画面81等に表示させる。
この場合制御部71は、貼着対象である爪Tの輪郭形状に基づいて、貼着対象(爪T)の保持位置をユーザに指示する指示部として機能する。
【0049】
次に、
図5(a)から
図5(f)、
図6(a)から
図6(c)、
図7(a)から
図7(c)、
図8及び
図9等を参照しつつ、本実施形態の印刷装置100による貼着方法について説明する。
【0050】
本実施形態の印刷装置100を用いてチップNtの生成及び爪Tへの貼着を行う前提として、爪Tの輪郭形状を取得する場合には、ユーザは、印刷装置100の電源を入れて装置を起動させる。
図8は、爪の輪郭形状の取得処理を示すフローチャートである。
図8に示すように、まず制御部71は、チップNtを生成したい爪Tに対応する指Uを指置台14に配置するよう、ユーザに促すメッセージを、表示部8の表示画面81等に表示させる(ステップS1)。
【0051】
そして、制御部71は、カメラ61等を制御して、指置台14に配置された指U及びその爪Tを撮影させ、爪画像を取得する(ステップS2)。
爪画像が取得されると、制御部71は当該爪画像を画像解析する等により爪Tの輪郭形状(爪形状)を取得する(ステップS3)。爪Tの輪郭形状を取得する手法は特に限定されず、各種の手法を用いることができる。なお、制御部71は輪郭形状以外の各種爪情報(例えば爪Tの湾曲度合い(曲率)等の情報)についても爪画像から取得してもよい。
【0052】
さらに制御部71は、他にチップNtを生成したい爪Tがあるか否かを判断する(ステップS4)。具体的には、例えば他にチップNtを生成したい爪Tがあるか否かをユーザに問い合わせるメッセージを表示部8等に表示させ、制御部71がユーザの入力操作等に基づいて判断する。なお、予め片手の5本の指Uの爪T、両手の10本の指Uの爪T等、チップNtを生成したい爪Tの情報を登録している場合には、登録された内容に応じた本数に達したか否かで、他の爪Tの有無を判断してもよい。
【0053】
チップNtを生成したい爪Tが他にない場合(ステップS4;NO)には、爪Tの輪郭形状の取得処理を終了する。
他方、チップNtを生成したい爪Tが他にもある場合(ステップS4;YES)には、制御部71は、次の爪Tに対応する指Uを指置台14に配置するよう、ユーザに促すメッセージを、表示部8等に表示させ(ステップS5)、ステップS2に戻って処理を繰り返す。
制御部71によって取得された爪Tの情報(輪郭形状の情報等)は、ユーザを特定するための情報を関連付けて記憶部72等に登録されてもよい。この場合には、制御部71は次回から登録された情報を用いて爪Tの輪郭形状(爪形状)を取得してもよい。
【0054】
図9は、チップの生成及びチップの爪への貼着方法を示すフローチャートである。
チップNtの生成処理及びチップNtの爪Tへの貼着処理は、
図8に示したような爪Tの輪郭形状の取得処理に引き続いて連続的に行われてもよいし、輪郭形状の情報等を一旦記憶部72等に保存しておき、後日行ってもよい。
また、
図8に示す爪Tの輪郭形状の取得処理と同時並行的に、チップNtの切断処理及び印刷処理を行ってもよい。すなわち、例えば複数の爪TについてチップNtを生成する場合、爪Tを順次撮影して爪画像を取得し爪Tの輪郭形状を取得するのと並行して、既に取得された爪Tの輪郭形状に基づいて切断及び印刷を行う。このように同時並行的に処理を行うことで、より迅速に全ての爪TについてのチップNtを生成することができる。
【0055】
チップNtの生成処理及びチップNtの爪Tへの貼着処理を行う場合には、
図9に示すように、まず印刷機構4によってシートNSに印刷されるデザイン(ネイルデザイン)が選択される(ステップS11)。具体的には、例えばユーザが操作部12等を操作してチップNtに印刷したいデザインを選ぶと操作信号が制御部71に出力されて、当該デザインがシートNSに印刷されるデザインとして選択される。
なお、チップNtが切り出されるシートNSは平板状のものを想定しているが、本実施形態においてチップNtが貼着される貼着対象である爪Tは、多少なりとも湾曲している。このため、上述のように爪Tの輪郭形状を取得する処理の中で、爪Tの湾曲度合い(曲率)等の情報も取得しておき、チップNtを印刷する際のデザイン(ネイルデザイン)のデータは、爪Tの湾曲度合い(曲率)を考慮して、例えば幅方向の長さ寸法を上面視された際の輪郭形状よりも大きくしたり、幅方向の端部が多少引き延ばされたような絵柄となる等、適宜補正を施すことが好ましい。これにより、印刷後のチップNtを爪Tに貼着したときに、チップNtがより自然に爪T全体を覆うようにすることができる。
【0056】
デザインが決定すると、制御部71は、搬送機構2の搬送用モータ24を動作させてシートNSの搬送を開始する(ステップS12)。
そして、制御部71は、Y方向の切断位置をシートNSの搬送速度等によって調整しながら、爪Tの輪郭形状の情報に基づいて切断機構3の駆動部32を動作させ、輪郭形状に沿うようにシートNSを切断し、チップNtを切り出す(ステップS13、
図5(b)参照)。本実施形態では
図2に示すように、片手の5つの爪Tに対応する5つのチップNtがシートNSの幅方向に並ぶように切断を行う。
【0057】
そして、制御部71は、印刷機構4の印刷ヘッド41及びヘッド移動機構42を制御して当該チップNtの範囲内にネイルデザインの印刷を行わせる(ステップS14)。なお、
図5(b)等では、ベース層S3の表面のインク受容層S3aのうち、印刷によってインクが乗った部分を黒色の網掛けで表している。
【0058】
切断機構3による切断動作及び印刷機構4による印刷動作が行われることにより、チップNtが完成する。
なお、切断動作や印刷動作の際に、制御部71は、シートNSを搬送方向Y1だけでなく、適宜逆方向に搬送できてもよい。
また切断機構3による切断動作及び印刷機構4による印刷動作を行う順番は、いずれが先でも構わない。
【0059】
制御部71は、輪郭形状を取得した全ての爪Tに対応するチップNtの生成が完了したか否かを判断し(ステップS15)、まだチップNtの生成が完了していない場合(ステップS15;NO)には、ステップS13に戻って処理を繰り返す。
他方、チップNtの生成が全て完了した場合(ステップS15;YES)には、制御部71は、指置台移動機構5を動作させて、指置台14を1つ目の爪Tに対応するチップNtの下流側の位置に移動させる(ステップS16)。
そして、1つ目のチップNtを貼着する爪Tに対応する指Uを指置台14に配置するようにユーザに促すメッセージ等を表示部8の表示画面81に表示させる(ステップS17)。なお、メッセージ等を表示させる表示部は、印刷装置100の表示部に限定されず、例えば印刷装置と連携するスマートフォン等の端末装置の表示部等であってもよい。
【0060】
具体的な表示画面81の構成は特に限定されないが、例えば
図6(a)に示すように、セットすべき指Uを指定してユーザをガイドする内容を表示させる。
図6(a)に示す例では、右手の人差し指の爪TにチップNtを貼着する場合を示している。この場合、表示画面81(81a)には、例えば右手の人差し指に貼着するチップNtの柄を表示させて(
図6(a)の右上参照)、ユーザに確認させたり、セットすべき指Uの種類を太字等で目立つように強調して表示させる。
また、カメラ61により取得される動画像を嵌め込み表示する部分(図中に四角い枠で示す部分)には、チップNtの搬送予定位置を破線等でガイドラインとして示し、爪Tがこのガイドラインと一致するような位置に指Uを配置するようにユーザに促すメッセージを表示させる。
【0061】
なお、制御部71では、切断機構3や印刷機構4を正確に制御するためにシートNS上における各チップNtの位置(輪郭形状のx,y座標値等)を高精度で把握している。
このため、チップNtが爪Tの貼着開始位置SpにチップNtの下流側端部Ntpが突き当たる位置までチップ搬送方向Y2に沿って搬送された場合にチップNtが配置される予定の位置(すなわち、搬送予定位置)は、制御部71側で正確に把握することができ、当該位置(搬送予定位置)を破線等でガイドラインとして示すことができる。
【0062】
指置台14に配置された指U(爪Tを含む指U)は、カメラ61によって撮影されており、撮影された爪画像は制御部71により取得される(ステップS18)。カメラ61による撮影は動画撮影でもよく、この場合には指置台14に指Uを配置させる様子がリアルタイムで取得される。そして制御部71が当該爪画像を画像解析等することで、爪Tのリアルタイムの位置情報が輪郭検出手段としての制御部72によって随時把握される(ステップS19)。これにより、爪TとチップNtとの正確な位置合わせが可能となる。
【0063】
本実施形態では、爪Tの位置がガイドラインとして示されたチップNtの搬送予定位置とずれている間は、チップNtの貼り付け動作が開始されないようになっている。
具体的には制御部71が搬送機構2を制御して、搬送経路20がチップ搬送方向Y2と第二方向Y3とに分岐する分岐点付近までチップNtを搬送した状態で搬送を一旦停止させる。また例えば
図6(b)に示すように爪Tの位置とチップNtを示す破線のガイドラインとがずれていると、チップNtの貼り付け開始を指示する開始ボタンが押せない、又は表示画面81(81b)上に開始ボタンが表示されないような仕様とする。
【0064】
他方、爪Tの位置がガイドラインとして示されたチップNtの搬送予定位置と一致すると、例えば
図6(c)に示すように、チップNtの貼り付け開始を指示する開始ボタンがアクティブな状態となり、ユーザは開始ボタンを操作して貼着動作の開始を指示することができる。なお、ユーザの操作を要求することは必須ではなく、例えば爪Tとガイドラインとして示されたチップNtの搬送予定位置とが一致すると、自動的にチップNtの貼り付け処理が開始されてもよい。
【0065】
チップNtの貼り付け処理が開始されると(すなわち、ユーザによりチップNtの貼り付け開始を指示する開始ボタンが押されたり、自動的に貼り付け処理が開始される場合)、制御部71は搬送機構2を制御して、シートNSの不使用部分を巻き取りながら、チップNtの下流側端部Ntpが爪Tの貼着開始位置Spに突き当たるまでシートNSを搬送する(ステップS20)。そしてさらにシートNSを搬送しながらチップNt全体を爪Tに貼着させていく(ステップS21)。
【0066】
すなわち、シートNS内におけるチップNt(指置台14にセットされた指Uの爪Tに貼着されるチップNt)が、搬送経路20上の平坦部210の終端部分(搬送ローラ23bに対応する部分、すなわち搬送経路20がチップ搬送方向Y2と第二方向Y3とに分岐する分岐点)を越える位置まで搬送されると、前述のようにチップNtにおける搬送方向Y1の下流側の端部がシートNSの剥離層S1から剥離して多少浮き上がった状態となる(
図2、
図3及び
図5(c)参照)。
この状態のままさらにシートNSの搬送を続けていくと、
図6(a)から
図6(c)に破線で示すチップNtの搬送予定位置までチップNtが搬送されたときにチップNtの下流側端部Ntpが爪Tの貼着開始位置Spに突き当たったところからチップNtが粘着層S2によって爪Tの表面に貼着されていき、シートNSの搬送に伴って、順次チップNtが爪T全体に貼着される。
【0067】
貼着動作が開始されると、制御部71は、例えば
図7(a)に示すように、表示部8の表示画面81(81d)に「チップの貼り付け中です」「指を動かさないでください」といったメッセージを表示させる。
そしてチップNtの貼着が完了すると、例えば
図7(b)に示すように、表示部8の表示画面81(81e)に「右手人差し指へのチップの貼り付けが完了しました」といったメッセージを表示させることが好ましい。
【0068】
なお、チップNtを貼着している間も随時カメラ61によって爪Tや貼着中のチップNtを撮影させ、その様子を表示部8等に表示させてもよい。また、取得された画像(静止画像又は動画像である爪画像)から、貼着動作が適切に進んでいないと判断される場合(例えば貼着する途中でチップNtが弛みを生じたり丸まる等により正しく貼り付けられていない場合等)には、制御部71が搬送機構2を停止させて、貼着処理を中止させてもよい。貼着処理を中止させるようなエラーが生じた場合には、表示部8の表示画面81に、処理を中止させる旨や、エラーの詳細等を表示させることが好ましい。
【0069】
制御部71は、シートNS上に生成された全てのチップNtを爪Tに貼着したか否かを判断し(ステップS22)、全て貼着した場合(ステップS22;YES)には、処理を終了する。
他方、未だ爪Tに貼着していないチップNtがある場合(ステップS22;NO)には、制御部71は、指置台移動機構5を動作させて、指置台14を次(本実施形態において2つ目)の爪Tに対応するチップNtの下流側の位置に移動させる(ステップS23)。
【0070】
そして、次(この場合2つ目)のチップNtを貼着する爪Tに対応する指Uを指置台14に配置するようにユーザに促すメッセージ等を表示部8の表示画面81に表示させ(ステップS24)、ステップS18に戻って処理を繰り返す。
例えば
図7(c)に示す例では、表示部8の表示画面81(81f)に指置台14に右手中指をセットするようユーザに促すメッセージを表示させている。この場合には、表示画面81(81f)の右上等に右手中指に貼着するチップNtのイメージを表示させることが好ましい。
これにより、爪Tの形状に合ったチップNt(ネイルチップ)を自動的に生成し、これを自動的に爪Tの表面に貼着することができる。
【0071】
以上のように、本実施形態によれば、印刷装置100が、粘着面を有する被印刷媒体(シートNSやチップNt)を「第一搬送路」に沿って搬送方向Y1(チップ搬送方向Y2を含む、第一搬送方向)に搬送し、さらに被印刷媒体(シートNSやチップNt)を「第一搬送路」から連続して「第二搬送路」に沿って第二方向Y3(第二搬送方向)へ搬送する搬送機構2と、被印刷媒体であるチップNtの貼着対象である爪Tを「第一搬送路」の延長線上(すなわちチップ搬送方向Y2を含む搬送方向Y1、第一搬送方向の延長線上)で保持する保持機構としての指置台14と、を備え、「第一搬送路」と「第二搬送路」との成す角度αが、、「第一搬送路」に搬送される被印刷媒体(シートNSやチップNt)と保持機構である指置台13の表面である保持面14aの成す角度βに応じて設定されている。
これにより、チップNt(ネイルチップ)の搬送経路20の下流側に爪Tを配置させるだけで、シートNSの搬送動作によってチップNtの爪Tへの貼着を行うことができる。このためチップNtを爪T等に貼着するための手段を別途設ける必要がなく、部品点数を抑えて装置構成の簡易化、軽量化を実現することができる。またユーザの手を煩わせずに、チップNt(ネイルチップ)を貼着対象(爪T)上の適切な位置に貼着して仕上がりのよいネイルアート等を簡易に実現することができる。
【0072】
また、本実施形態では印刷装置100が被印刷媒体(シートNS)を切断する切断機構3を備え、第一搬送機構及び第二搬送機構として機能する搬送機構2は切断機構3によって切断された被印刷媒体(シートNSから切り出されたチップNt)を搬送する。
これにより、チップNt(ネイルチップ)を自動的に生成することができる。そしてチップNtの搬送経路20の下流側に爪を配置させるだけで、シートNSの搬送動作によってチップNtの爪Tへの貼着を行うことができる。このためユーザの手を煩わせずに、チップNt(ネイルチップ)を貼着対象(爪T)上の適切な位置に貼着して仕上がりのよいネイルアート等を簡易に実現することができる。
【0073】
本実施形態のシートNSは、剥離層S1と本体層Srの二層を含み、切断機構3は、チップNtを生成する際に本体層Srのみを切断するハーフカットを行うものである。
このため、チップNtがばらばらになって紛失してしまったり、貼り付けにくくなるのを防ぐことができる。
【0074】
本実施形態では、貼着開始位置Spに向うチップ搬送方向Y2とは異なる第二方向Y3の下流側に巻き取り機構を構成する巻き取りローラ22を有し、巻き取り機構を構成する巻き取りローラ22は、シートNSから本体層Srを切断したのち、剥離層S1を含む不使用部分を巻き取る。
このように貼着開始位置Spに向うチップ搬送方向Y2とは異なる第二方向Y3においてシートNSを巻き取ることで、切断されたチップNtが、チップ搬送方向Y2と第二方向Y3との分岐点で剥離層S1から分離しやすくなり、シートNSを搬送するだけで、簡易にチップNtを爪T等の貼着対象に貼着することができる。
【0075】
本実施形態の貼着対象はユーザの爪Tであり、貼着開始位置Spは爪Tの根元側端部である。
これにより、爪Tの根元側から爪T全体に、チップNtを適切に貼り付けていくことができる。
【0076】
また本実施形態では、制御部71が爪T等の貼着対象の輪郭形状を検出する輪郭検出手段として機能し、切断機構は、制御部71によって検出された輪郭形状に基づいて切断動作を行い、チップNtを生成する。
これにより、貼着対象である爪Tの形状に合ったチップNt(ネイルチップ)を自動的に生成することが可能となる。
本実施形態では、貼着対象(本実施形態では爪T)を撮影して画像を取得するカメラ61を備えており、輪郭検出手段としての制御部71は、カメラ61により取得された画像から貼着対象に関する情報として、貼着対象(爪T)の輪郭形状を含む情報を取得する。
このため、貼着対象(爪T)の輪郭形状を正確に把握することができ、貼着対象(爪T)の形状に合ったチップNt(ネイルチップ)を自動的かつ高精度に生成することができる。
【0077】
そして、制御部71が、貼着対象(爪T)の輪郭形状に基づいて、貼着対象(爪T)の保持位置を指示する指示部として機能する。このため、ユーザは指U(爪T)を配置すべき位置を的確に把握することができる。また、指置台14も制御部71によって適切な位置に配置されるように制御される。これにより、容易に正しい位置に爪Tを配置してチップNtを貼着することができる。
【0078】
また本実施形態では、貼着対象(爪T)の輪郭形状に基づいて、貼着対象(爪T)の保持位置を表示する表示部8を備えている。
このため、ユーザは表示部8の表示画面81を見ながら、指U(爪T)を配置すべき位置を的確に把握することができる。そして表示部8に表示されるガイドにしたがうだけで容易に正しい位置に爪Tを配置してチップNtを貼着することができる。
【0079】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0080】
例えば、本実施形態では、シートNSを貼着対象(本実施形態ではユーザの爪T)の輪郭形状に沿って切断した後、印刷機構4によって印刷を施す場合を例示したが(
図9のステップS13及びステップS14参照)、シートNSの切断とシートNSへの印刷の順番は逆でもよい。
また例えば、印刷するデザインがここのチップNtに対応するような絵柄ではなく、例えば水玉等の総柄である場合や、色を塗布するだけのものであるような場合には、チップNtを生成する位置に関わらず、シートNS全体に印刷を施し、そのあとで適宜チップNtを切り出すようにしてもよい。
【0081】
さらに、シートNSとして当初から全体に色が付されていたり、総柄模様が付されているようなものを用いてもよい。例えば、シートNSの全面に水玉柄やストライプ柄、チェック柄等の総柄が施されている場合、ピンク色等の無地のシートである場合等であれば、何ら印刷を施さずに切断機構3によってシートNSを切断するだけで、チップNtを生成することができる。
また、単に爪Tを保護する保護フィルムとしてチップNtを用いたい場合等であれば、何ら印刷を施さない、透明や白色等のシートNSを切断機構3によって切断するだけでチップNtを生成することができる。
このような場合は、印刷機構4を用いた印刷工程を省略することができる。またこの場合、印刷装置100が印刷機構4を備えなくてもよい。
この場合にも、装置側で爪Tの輪郭形状を取得して、切断機構3はこの輪郭形状に沿うようにチップNtを切り出す。このため、ユーザの爪Tに合ったサイズ及び形状のチップNtを生成することができ、これを各爪Tに貼着することができる。
【0082】
さらに、被印刷媒体はシートNSでなく、予め切断されたシート(すなわちチップNtとなっているもの)であってもよい。この場合には搬送機構2によりチップNtが被印刷媒体として搬送される。
このように予めカットされチップNtとなっているものを被印刷媒体とする場合には、印刷装置100が切断機構3を備えなくてもよい。
【0083】
また本実施形態では、表示部8が貼着対象である爪Tの輪郭形状に基づいて、貼着対象(爪T)の保持位置を表示するガイド手段として機能する場合を例示したが、ガイド手段として機能するのは表示部8に限定されない。
例えば印刷装置100がスピーカ等の音声出力手段を備える場合には「指をもう少し左に移動してください」等、音声によってユーザに貼着対象(爪T)の保持位置を指示してもよい。この場合にはスピーカ等がガイド手段となる。
【0084】
また、本実施形態では、切断機構3と印刷機構4は、同一のガイドレール16に取り付けられて装置の左右方向(X方向)に移動する構成としたが、装置構成はこれに限定されない。
例えば切断機構3及び印刷機構4が異なるガイドレールに取り付けられて、それぞれに装置の左右方向(X方向)に移動する構成としてもよい。このようにガイドレールを分けることで切断機構3及び印刷機構4の動作範囲がより自由になる。
【0085】
また、本実施形態では、シートNSから切り出されたチップNtを全て装置内において貼着対象である爪Tに自動的に貼着する場合を例示したが、全てのチップNtを装置内で爪Tに貼着することは必須ではない。
例えばチップNtを作成後、チップNtをシートNSから取り外さずに取り出して、装置外においてユーザが自ら爪Tに貼着することができてもよい。例えば装置内で貼着するか、装置外でユーザ自身が貼着するかを、操作部12等から選択できてもよい。
【0086】
チップNtを生成後、シートNSから取り外さずにシートNSごと排出させる場合としては、例えば両手の指Uの爪T全てについてチップNtを生成した上で、利き手側の手の指Uの爪Tには装置内で自動により貼着を行い、利き手ではない側の手の指Uの爪Tには、生成したチップNtを装置外でユーザ自身が貼着する場合が考えられる。
利き手で逆側の指Uの爪TにチップNtを貼着することは比較的容易であるが、利き手ではない側の手で利き手の指Uの爪TにチップNtを貼着することは難しい。このため、自分ではうまく貼着できない側だけ、装置を利用して自動でチップNtを貼着することで、両手の指Uの爪Tに仕上がりよくネイルアートを施すことができる。
また、友人等、他人の爪Tについて、輪郭形状の登録データを取得して当該輪郭形状に合うチップNtを生成し、チップNtの載ったシートNSを当該友人等にプレゼントする等してもよい。
【0087】
また本実施形態では、指置台14がチップNtの位置に応じてX方向に移動可能に構成したが、指置台14が移動することは必須ではない。
例えばシートNSの幅(X方向の長さ)に対応するような、X方向に長く形成された指置台を設けてもよい。そしてカメラ61で撮影した画像等から、制御部が、爪Tの位置やチップNtの位置を把握し、表示部等にメッセージを表示させて貼着対象である爪Tを配置すべき位置をユーザに指示するようにしてもよい。
この場合には指置台14を移動させるためのガイドレールや指置台移動機構を備える必要がなく、装置構成をより簡易にすることができる。
【0088】
また、本実施形態では、例えば片手の5指に対応する5つのチップNtを横(X方向)に並べて配置できる程度の幅を有するシートNSを用いてチップNtの生成及び貼着を行う場合を例示したが、シートNSはこのような幅を有するものに限定されない。
例えば
図10に示すように、幅方向に爪T1本分のチップNtを生成することのできる、テープ状のシートNSaを用いてもよい。この場合、シートNSaは、最も大きい爪T(例えば大人の親指)の最大幅よりも多少広い横幅のものが適用される。その他の構成は、実施形態で説明したものと同様であるため、同一の箇所には同一の符号を付して説明を省略する。
このように幅の狭いシートNSaを用いた装置の場合には、装置の幅方向(X方向)の長さを小さくすることができ、印刷装置200の装置全体をコンパクトにすることができる。なおこの場合は、指Uを挿入する挿入口である装置の開口部(
図10では図示せず)も指Uが1本ずつ挿入できる程度の幅があれば足りる。
【0089】
図10に示すように、テープ状のシートNSaを用いてチップNtを生成する場合には、保持機構としての指置台15を装置の幅方向(X方向)に移動させる必要がなく、指置台15を移動させるためのガイドレールや指置台移動機構を備える必要がない。
この場合にも、搬送機構2aにより搬送されるシートNSaの搬送経路の下流側に指置台15を配置して、搬送方向Y1に沿って搬送されてくるチップNtの下流側端部Ntpが貼着開始位置Sp(本実施形態では、貼着対象である爪Tの根元側端部)に突き当たるような位置に爪Tを保持させる。
この場合にも指置台15は、搬送方向Y1(第一搬送方向)に搬送される際の被印刷媒体(すなわちシートNSやチップNt)と第二方向Y3(第二搬送方向)に搬送される際の被印刷媒体(シートNSやチップNt)との成す角度、言い換えれば「第一搬送路」と「第二搬送路」の成す角度(前述の角度α)に対応するような角度(前述の角度β))で傾斜して配置される。ここで角度βは、「第一搬送路」に搬送される被印刷媒体と保持機構である指置台15(指置台15の表面である保持面15a)の成す角度である。
【0090】
また、保持機構としての指置台14は角度が固定されたものでなくてもよく、例えば、チップNtの貼着が開始されると、チップNtを貼着対象である爪Tの表面で受けやすいように少しずつ角度を変えるようになっていてもよい。この場合には、ガイドレール17を軸として指置台14を回動させるような機構をさらに設ける。
【0091】
また、本実施形態では、カメラ61によって取得された爪画像から、輪郭検出手段としての制御部71が貼着対象である爪Tの輪郭形状を含む情報を取得して、この輪郭情報に基づいてシートNSの切断、印刷等を行う場合を例示したが、シートNSの切断、印刷等を行うための爪Tの輪郭情報は、制御部71が爪画像から取得したものに限定されない。
例えば、爪画像は、カメラ機能を有する携帯端末装置等の外部装置において取得されたものを制御部71が取得してもよい。
また、外部装置の制御部等において爪画像等から輪郭形状等の情報を取得してもよい。この場合には、情報取得部としての制御部71は、外部装置から輪郭形状の情報を取得する。
【0092】
さらに、ユーザが各指Uの爪Tについて予め輪郭情報を登録している場合(例えば、予め爪画像を撮影して、当該爪画像から輪郭形状等の情報を取得し、記憶部72等に登録している場合)には、改めて爪画像の取得や輪郭形状の検出等を行わなくても、制御部71が必要な情報を記憶部72等から読みだして適用してもよい。この場合には、爪Tの輪郭形状を取得するための撮影や画像解析の時間が不要となり、チップNtの生成及び貼着を迅速に行うことができる。
なお、爪Tは随時伸びていくため、上記のように予め登録された情報を用いる場合には、当該情報が取得されてからの経過時間に応じて爪Tの長さ方向の寸法を適宜調整してもよい。例えば輪郭情報が取得されてから1週間経過している場合には、輪郭形状として記憶されている爪Tの長さに1mm程度プラスした寸法でチップNtを生成するように、切断機構3や印刷機構4を制御してもよい。
【0093】
さらに本実施形態では、貼着対象が指Uの爪Tであり、チップNtが爪Tに貼着されるネイルチップである場合を例示したが、貼着対象は爪Tに限定されない。
例えば手の甲の皮膚等を貼着対象としてもよく、この場合には、チップNtは例えば皮膚に貼り付けることのできるタトゥーシール等である。
この場合にも、手の上の貼り付け位置をカメラ61によって確認し、表示部8等に表示させてユーザに貼着対象の配置位置を指示することにより、適切な位置にチップNtを貼着する。
【0094】
なお、印刷装置100は、各種の端末装置等の外部装置と連携して処理を行ってもよい。
例えば、爪Tの輪郭形状の取得については、外部装置に置いて画像解析等の処理を行い、印刷装置100は、外部装置から処理結果である爪Tの輪郭形状を示すデータ(例えばベクターデータ)等のみを取得してその後のチップNtの生成処理や貼着処理を行ってもよい。
このようにした場合には、印刷装置100側で行う演算処理を省くことができる。このため、制御部71や記憶部72の負担を減らすことができ、簡易な構成で高精度のチップNtの生成及び貼着処理を実現することができる。
【0095】
また、印刷装置100が、各種の端末装置等の外部装置と連携して処理を行う場合には、ユーザに対するメッセージ等の各種表示を端末装置等の外部装置の表示部で行うようにしてもよい。この場合には印刷装置100側には表示部8を備えない構成としてもよい。
【0096】
また本実施形態では、インクを吐出させて印刷を行う方式の印刷機構4を備える場合を例示したが、印刷機構の方式はこれに限定されない。
印刷機構は、例えば熱転写方式でもよいし、電子写真方式(レーザプリンタ)でもよい。
印刷機構が熱転写方式や電子写真方式である場合には、シートNSのベース層S3の表面にインク受容層S3aを備える必要がない。
【0097】
また、印刷機構は、デザインを印刷する印刷ヘッドとは別に、デザインの印刷後に透明なコート剤等を印刷するオーバーコート用の印刷ヘッドを備え、チップNtに対して自動的にオーバーコートを施してもよい。また、チップNtを爪Tに貼着した後、ユーザが手動でコート剤等を塗り、オーバーコートを施してもよい。
チップNtにオーバーコートを施すことで、チップNtの耐久性を向上させることができる。
【0098】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0099】
2 搬送機構
3 切断機構
4 印刷機構
5 指置台移動機構
6 撮影部
61 カメラ
14 指置台
14a 保持面
71 制御部(輪郭検出手段)
100 印刷装置
NS シート
Nt チップ
T 爪(貼着対象)
U 指