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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042865
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】施解錠装置および建具
(51)【国際特許分類】
   E05C 3/06 20060101AFI20240322BHJP
   E05F 11/20 20060101ALI20240322BHJP
   E06B 3/36 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
E05C3/06
E05F11/20
E06B3/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147778
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼畠 浩史
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014AA03
(57)【要約】
【課題】部品点数を削減できる施解錠装置および建具を提供する。
【解決手段】第1縦枠と下枠とが連結される角部において操作連結部7と錠連結部8との間に設けられる方向変換部9を有し、方向変換部9は、操作連結部7の移動による幅方向の力が伝達され、幅方向の力を上下方向の力に変換し、幅方向に移動して錠連結部に伝達し、方向変換部9に設けられ、幅方向の一方側から他方側に向かって漸次下方から上方に向かう方向に延びる方向変換溝部91の縁部と、操作連結部7に設けられ、方向変換溝部91の縁部と接触して方向変換溝部91が延びる方向に方向変換溝部91と相対移動可能な凸部732と、を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに連結する縦枠および横枠のいずれか一方の枠に設けられ、施解錠を行う錠部と、
前記縦枠および前記横枠の他方の枠に設けられ、前記錠部による施解錠および障子の開閉を操作する操作部と、
前記錠部による施解錠と前記障子の開閉とを時間差で駆動させる時間差駆動部と、
前記操作部と連結されて前記他方の枠に設けられ、前記操作部の操作によって前記他方の枠の長さ方向に移動する操作連結部と、
前記錠部と連結されて前記一方の枠に設けられ、前記一方の枠の長さ方向に移動して前記錠部を駆動させる錠連結部と、
前記縦枠と前記横枠とが連結される角部において前記操作連結部と前記錠連結部との間に設けられる方向変換部と、を有し、
前記方向変換部は、前記操作連結部の移動による前記他方の枠の長さ方向の力が伝達され、前記他方の枠の長さ方向の力を前記一方の枠の長さ方向の力に変換し、前記一方の枠の長さ方向に移動して前記錠連結部に伝達し、
前記方向変換部および前記操作連結部のいずれか一方に設けられ、前記一方の枠の長さ方向の一方側から他方側に向かって漸次前記他方の枠の長さ方向の一方側から他方側に向かう方向に延びるガイド部と、
前記方向変換部および前記操作連結部の他方に設けられ、前記ガイド部と接触して前記ガイド部が延びる方向に前記ガイド部と相対移動可能なガイド接触部と、を有する施解錠装置。
【請求項2】
前記ガイド部は、前記一方の枠の長さ方向の一方側から他方側に向かって漸次前記他方の枠の長さ方向の一方側から他方側に向かう方向に延びる溝部の縁部であり、
前記ガイド接触部は、前記溝部に挿入され、前記溝部が延びる方向に移動可能な凸部である請求項1に記載の施解錠装置。
【請求項3】
前記操作連結部は、複数の部材が連結され、
前記複数の部材の少なくとも1つの部材は、前記他方の枠の長さ方向の寸法が異なる他の部材と交換可能である請求項1又は2に記載の施解錠装置。
【請求項4】
前記錠連結部は、複数の部材が連結され、
前記複数の部材の少なくとも1つの部材は、前記一方の枠の長さ方向の寸法が異なる他の部材と交換可能である請求項1又は2に記載の施解錠装置。
【請求項5】
前記時間差駆動部は、前記操作部と前記方向変換部との間に設けられている請求項1又は2に記載の施解錠装置。
【請求項6】
前記操作連結部を前記他方の枠の長さ方向に移動可能に支持する操作支持部を有する請求項1又は2に記載の施解錠装置。
【請求項7】
前記錠連結部を前記一方の枠の長さ方向に移動可能に支持する施解錠支持部を有する請求項1又は2に記載の施解錠装置。
【請求項8】
前記方向変換部を前記一方の枠の長さ方向に移動可能に支持する方向転換支持部を有する請求項1又は2に記載の施解錠装置。
【請求項9】
請求項1に記載の施解錠装置を有する建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、施解錠装置および建具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されているように、縦すべり出し窓などの下枠にハンドルなどの操作部が設けられ、縦枠に鍵部が設けられた施解錠装置が知られている。操作部の操作によって生じた下枠に沿った方向の力が下枠と縦枠との角部において上下方向の力に変換され施解錠が行われる。このような力の方向変換を行う機構には、ワイヤ、チェーン、リンクや円筒カムなどが使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6-73948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
力の方向変換を行う機構にワイヤを使用する場合は、プーリや、ワイヤを押し引きする部品が必要であり、部品点数が多くなる。力の方向変換を行う機構にチェーンを使用する場合は、動作を安定させるためにスプロケットなどが必要であり、部品点数が多くなる。力の方向変換を行う機構にリンクを使用する場合も部品点数が多くなる。力の方向変換を行う機構に円筒カムを使用する場合部品点数が多くなるとともに、部品の加工が必要になる。
【0005】
本開示は、部品点数を削減できる施解錠装置および建具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る施解錠装置は、互いに連結する縦枠および横枠のいずれか一方の枠に設けられ、施解錠を行う錠部と、前記縦枠および前記横枠の他方の枠に設けられ、前記錠部による施解錠および障子の開閉を操作する操作部と、前記錠部による施解錠と前記障子の開閉とを時間差で駆動させる時間差駆動部と、前記操作部と連結されて前記他方の枠に設けられ、前記操作部の操作によって前記他方の枠の長さ方向に移動する操作連結部と、前記錠部と連結されて前記一方の枠に設けられ、前記一方の枠の長さ方向に移動して前記錠部を駆動させる錠連結部と、前記縦枠と前記横枠とが連結される角部において前記操作連結部と前記錠連結部との間に設けられる方向変換部と、を有し、前記方向変換部は、前記操作連結部の移動による前記他方の枠の長さ方向の力が伝達され、前記他方の枠の長さ方向の力を前記一方の枠の長さ方向の力に変換し、前記一方の枠の長さ方向に移動して前記錠連結部に伝達し、前記方向変換部および前記操作連結部のいずれか一方に設けられ、前記一方の枠の長さ方向の一方側から他方側に向かって漸次前記他方の枠の長さ方向の一方側から他方側に向かう方向に延びるガイド部と、前記方向変換部および前記操作連結部の他方に設けられ、前記ガイド部と接触して前記ガイド部が延びる方向に前記ガイド部と相対移動可能なガイド接触部と、を有する。
【0007】
上記目的を達成するため、本開示に係る建具は、上記の施解錠装置を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の建具の斜視図である。
図2】枠と施解錠装置を示す斜視図である。
図3】施解錠装置の斜視図である。
図4】施錠状態の施解錠装置を屋外側から見た図である。
図5】解錠状態の施解錠装置を屋外側から見た図である。
図6】操作連結部の斜視図である。
図7】方向変換部の斜視図である。
図8】方向変換支持部を屋外側から見た図である。
図9】方向変換支持部の斜視図である。
図10】施錠状態の方向変換部を示す図である。
図11】解錠状態の方向変換部を示す図である。
図12】操作部の斜視図である。
図13】操作部の分解斜視図である。
図14】施錠状態の操作部の平面図である。
図15】解錠状態の操作部の平面図である。
図16】開放状態の操作部の平面図である。
図17】第2実施形態の施錠状態の施解錠装置を屋外側から見た図である。
図18】第2実施形態の解錠状態の施解錠装置を屋外側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態による建具1は、屋内外を仕切る壁部の開口部11に設けられた縦辷り出し窓である。壁部に沿った水平方向を幅方向と表記する。図面では、幅方向を矢印Xで示す。幅方向に直交する水平方向を屋内外方向と表記する。図面では、屋内外方向を矢印Yで示す。図面では、幅方向および屋内外方向に直交する上下方向を矢印Zで示す。
【0010】
建具1は、枠体21と、障子22と、障子開閉装置3と、を有する。枠体21は、開口部11に沿って設けられる。障子22は、枠体21の内側に設けられる。障子22は、縦すべり出し窓である。枠体21は、障子22を幅方向に移動可能かつ上下方向に延びる軸線回りに回転可能に支持している。障子22は、枠体21に対して幅方向に移動しつつ軸線回りに回転することによって開口部11を開閉する。障子22が開口部11を閉鎖している状態を閉鎖状態と表記する。障子22が開口部11を開放している状態を開放状態と表記する。
【0011】
枠体21は、長方形状の四方枠である。枠体21は、幅方向に延びる下枠211および上枠212と、上下方向に延びる第1縦枠213および第2縦枠214と、を有する。第1縦枠213は、第2縦枠214の幅方向の一方側に配置される。第1縦枠213は、障子22の戸先框221と対向する。第2縦枠214は、障子22の吊元框222と対向する。
【0012】
図2および図3に示すように、障子開閉装置3は、障子開閉部31と、施解錠装置32と、を有する。障子開閉部31は、障子22を移動させて開口部11の開閉を行う。施解錠装置32は、閉鎖状態の障子22の移動が拘束された状態と、障子22が移動可能な状態とを切り替える。閉鎖状態の障子22の移動が拘束された状態を施錠状態と表記する。障子22が移動可能な状態を解錠状態と表記する。
【0013】
施解錠装置32は、錠部4と、操作部5と、時間差駆動部6と、操作連結部7と、錠連結部8と、方向変換部9と、操作支持部75と、施解錠支持部85と、方向転換支持部95と、を有する。錠部4は、第1縦枠213に設けられる。錠部4は、施錠状態になると、開口部11を閉鎖した障子22を拘束し、解錠状態となると、障子22の移動を許容する。操作部5は、下枠211に設けられる。下枠211は、特許請求の範囲の横枠である。操作部5は、施解錠装置32による施解錠および障子開閉部31による障子22の移動の両方を操作する。施解錠装置32の操作部5は、障子開閉部31の操作部も兼ねている。時間差駆動部6は、施解錠装置32による施解錠と、障子開閉部31による障子22の移動と、を時間差で駆動させる。
【0014】
時間差駆動部6は、閉鎖状態かつ施錠状態から開放状態かつ解錠状態になるように操作部5が操作されると、まず、施錠状態から解錠状態になるように施解錠装置32を駆動させ、その後に閉鎖状態から開放状態になるように障子開閉部31を駆動させる。時間差駆動部6は、開放状態かつ解錠状態から閉鎖状態かつ施錠状態になるように操作部5が操作されると、まず、開放状態から閉鎖状態になるように障子開閉部31を駆動させ、その後に解錠状態から施錠状態になるように施解錠装置32を駆動させる。操作部5および時間差駆動部6の詳細は、後述する。
【0015】
図2から図4に示すように、操作連結部7は、下枠211に設けられている。操作連結部7は、操作部5と連結されている。操作連結部7は、操作部5の操作によって下枠211に対して幅方向に移動する。操作支持部75は、下枠211に固定されている。操作支持部75は、操作連結部7を幅方向に移動可能に支持する。錠連結部8は、第1縦枠213に設けられている。錠連結部8は、錠部4と連結されている。錠連結部8は、上下方向に移動することによって錠部4の施錠状態と解錠状態とを切り替える。施解錠支持部85は、第1縦枠213に固定されている。施解錠支持部85は、錠連結部8を上下方向に移動可能に支持する。方向変換部9は、下枠211と第1縦枠213との角部において操作連結部7と錠連結部8との間に設けられる。方向変換部9は、枠体21に対して上下方向に移動可能である。方向変換部9は、操作連結部7の幅方向の変位によって幅方向の力が伝達されると、幅方向の力を上下方向の力に変換して錠連結部8に伝達する。方向転換支持部95は、下枠211と第1縦枠213との角部に固定されている。方向転換支持部95は、方向変換部9を上下方向に移動可能に支持する。
【0016】
図1および図2に示す錠部4は、閉鎖状態において、戸先框側に突出して戸先框221に引っ掛けられ障子22の移動を拘束することによって施錠状態になり、戸先框221と離れて障子22の移動を許容することによって解錠状態になる。
【0017】
施解錠装置32は、図4に示す施錠状態から図5に示す解錠状態となるように操作部5が操作されると、操作連結部7が下枠211に対して幅方向の一方側、すなわち第1縦枠213に近づく側に移動する。方向変換部9は、操作連結部7が幅方向の一方側に移動することによって伝達される幅方向の一方側に向かう力を上向きの力に変換し、錠連結部8を上方に移動させる。錠連結部8が上方に移動することによって、錠部4が解錠状態になる。施解錠装置32は、図5に示す解錠状態から図4に示す施錠状態になるように操作部5が操作されると、操作連結部7が下枠211に対して幅方向の他方側、すなわち第1縦枠213から離れる側に移動する。方向変換部9は、操作連結部7の幅方向の他方側の移動することによって伝達される幅方向の他方側に向かう力を下向きの力に変換し、錠連結部8を下方に移動させる。錠連結部8が下方に移動することによって、錠部4が施錠状態になる。
【0018】
図3図4および図6に示すように、操作連結部7は、第1操作連結部材71と、第2操作連結部材72と、第3操作連結部材73とを有する。第1操作連結部材71、第2操作連結部材72および第3操作連結部材73は、この順に、幅方向の他方側から一方側、すなわち第1縦枠213と離れる側から近づく側に配列されている。
【0019】
第1操作連結部材71は、平板部711と、第1突出片712と、第2突出片713と、を有する。平板部711は、長尺の平板状の部材である。平板部711は、幅方向に延び、板面が屋内外方向を向く姿勢に配置される。第1突出片712および第2突出片713は、平板部711の上縁部から屋内側に向かって突出している。第1突出片712と第2突出片713とは、幅方向に間隔をあけて配置される。第1突出片712は、第2突出片713の幅方向の一方側に配置される。第1突出片712は、平板部711の幅方向の中間部に配置される。第2突出片713は、平板部711の幅方向の他方側の端部近傍に配置される。第1突出片712と第2突出片713との間には、ギア凸部522が配置される。ギア凸部522については、後述する。第1突出片712と第2突出片713との間を、ギア凸部挿入部714と表記する。
【0020】
第2操作連結部材72は、長尺の平板状の部材である。第2操作連結部材72は、幅方向の一方側から他方側に向かって漸次上側に向かう斜め方向に延び、板面が屋内外方向を向く姿勢に配置される。第2操作連結部材72の幅方向の他方側かつ下側の端部は、平板部711の幅方向の一方側の端部とネジなどの固定具741によって着脱可能に連結されている。第1操作連結部材71と第2操作連結部材72とは、相対変位しないように連結されている。第2操作連結部材72が延びる方向や姿勢は、上記以外であってもよい。
【0021】
第3操作連結部材73は、平板部731と、凸部732と、を有する。平板部731は、長尺の平板状の部材である。平板部731は、幅方向に延び、板面が屋内外方向を向く姿勢に配置される。平板部731の幅方向の一方側の部分は、平板部731の幅方向の他方側の部分よりも上下方向の寸法が小さい。凸部732は、平板部731の幅方向の一方側の端部の板面から屋外側に突出している。凸部732は、屋内外方向に延びる円柱状である。凸部732は、方向変換部9の方向変換溝部91に挿入される。凸部732は、特許請求の範囲のガイド接触部に相当する。方向変換溝部91は、特許請求の範囲の溝部に相当する。平板部731の幅方向の他方側の端部は、第2操作連結部材72の幅方向の一方側かつ上側の端部とネジなどの固定具742によって着脱可能に連結されている。第2操作連結部材72と第3操作連結部材73とは、相対変位しないように連結されている。
【0022】
図2に示すように、錠連結部8は、第1錠連結部材81と、第2錠連結部材82と、第3錠連結部材83と、を有する。第1錠連結部材81、第2錠連結部材82、第3錠連結部材83は、この順に上側から下側に向かって配置される。第1錠連結部材81の下端部と第2錠連結部材82の上端部とは、ネジなどの固定具によって着脱可能に連結されている。第1錠連結部材81と第2錠連結部材82とは、相対変位しないように連結されている。第2錠連結部材82の下端部と第3錠連結部材83の上端部とは、ネジなどの固定具によって着脱可能に連結されている。第2錠連結部材82と第3錠連結部材83とは、相対変位しないように連結されている。第1錠連結部材81は、上端部が錠部4と連結されている。第1錠連結部材81は、上方に移動することによって、錠部4を解錠状態にする。第1錠連結部材81は、下方に移動することによって、錠部4を施錠状態にする。
【0023】
方向変換部9は、平板状の部材である。方向変換部9は、板面が屋内方向を向く姿勢に配置される。方向変換部9の板面は、幅方向の一方側の部分が上方に突出するL字形状である。方向変換部9には、方向変換溝部91と、錠連結部固定孔部92と、第1溝部93と、第2溝部94と、が形成されている。方向変換部9には、ばねを取り付け可能なばね取り付け孔部96が形成されている。ばねは、枠体21に対して上下方向に移動した方向変換部9を上下のいずれかに押すために設けられる。方向変換部9には、ばね取り付け孔部96が形成されていなくてもよい。
【0024】
方向変換溝部91は、方向変換部9の板面を貫通する孔部である。方向変換溝部91は、上溝部911と、中間傾斜溝部912と、下溝部913と、を有する。上溝部911、中間傾斜溝部912および下溝部913は、この順に連続している。上溝部911および下溝部913は、幅方向に延びている。中間傾斜溝部912は、幅方向の一方側から他方側に向かって漸次上側に向かう斜め方向に延びている。上溝部911は、下溝部913の上方かつ幅方向の他方側に配置されている。中間傾斜溝部912の上側かつ幅方向の他方側の端部は、上溝部911の幅方向の一方側の端部と接続されている。中間傾斜溝部912の下側かつ幅方向の一方側の端部は、下溝部913の幅方向の他方側の端部と接続されている。中間傾斜溝部912上側の縁部912aおよび下側の縁部912bは、幅方向の一方側から他方側に向かって漸次上側に向かう斜め方向に延びている。中間傾斜溝部912上側の縁部912aおよび下側の縁部912bは、特許請求の範囲のガイド部および溝部の縁部に相当する。
【0025】
方向変換溝部91における上溝部911の幅方向の他方側の端部を第1位置914と表記する。方向変換溝部91における上溝部911と中間傾斜溝部912との接続部を第2位置915と表記する。方向変換溝部91における中間傾斜溝部912と下溝部913との接続部を第3位置916と表記する。方向変換溝部91における下溝部913の幅方向の一方側の端部を第4位置917と表記する。方向変換溝部91には、操作連結部7の第3操作連結部材73に設けられた凸部732が屋外側から挿入される。方向変換溝部91の溝幅は、凸部732の径よりもやや大きい。凸部732は、方向変換溝部91に沿って移動可能である。凸部732は、中間傾斜溝部912上側の縁部912aおよび下側の縁部912bと中間傾斜溝部912が延びる方向に相対移動可能である。
【0026】
錠連結部固定孔部92は、方向変換部9の幅方向の一方側における上方に突出する部分の上端部に形成されている。錠連結部固定孔部92には、第3錠連結部材83の下端部を連結するためのネジなどの固定具743が挿入される。方向変換部9と第3錠連結部材83とは、相対変位しないように連結されている。第1溝部93は、錠連結部固定孔部92の下方に間隔をあけて配置される。第1溝部93は、上下方向に延び、方向変換部9を屋内外方向に貫通している。第2溝部94は、第1溝部93の下方に間隔をあけて配置される。第2溝部94は、上下方向に延び、方向変換部9を屋内外方向に貫通している。第2溝部94の下端は、方向変換部9の下端に達している。
【0027】
図8および図9に示すように、方向転換支持部95は、枠固定部951と、第1凸部952と、第2凸部953と、前板部954と、を有する。枠固定部951は、下枠211の屋外側に固定される。枠固定部951は、平板部955と、ブロック部956と、を有する。平板部955は、平板状に形成されている。平板部955は、板面が屋内外方向を向く姿勢に配置される。ブロック部956は、平板部955の幅方向の一方側に連結されている。ブロック部956は、平板部955よりも屋内外方向の寸法が大きいブロック状である。ブロック部956は、平板部955よりも屋外側に突出している。
【0028】
ブロック部956の屋外側の端部には、幅方向全体に延びる溝部957が形成されている。溝部957は、屋内側に凹み屋外側に開口している。溝部957には、操作連結部7の第3操作連結部材73が幅方向にスライド可能に配置される。前板部954は、ブロック部956の屋外側に固定される。第3操作連結部材73は、ブロック部956と前板部954とに挟まれている。第3操作連結部材73の凸部732は、ブロック部956の幅方向の一方側に配置されている。凸部732は、平板部955の屋外側に配置される。第3操作連結部材73の幅方向の他方側の部分、すなわち、第2操作連結部材72と連結されている側の部分は、ブロック部956の幅方向の他方側に配置されている。
【0029】
第1凸部952は、平板部955の上部側から屋外側に突出している。第2凸部953は、平板部955の下部側から屋外側に突出している。第1凸部952と第2凸部953とは、上下方向に間隔をあけて並んでいる。平板部955の屋外側には、方向変換部9が配置される。方向変換部9の第1溝部93には、第1凸部952が挿入される。第1凸部952の外径は、第1溝部93の溝幅寸法よりもやや小さい。方向変換部9の第2溝部94には、第2凸部953が挿入される。第2凸部953の外径は、第2溝部94の溝幅寸法よりもやや小さい。方向変換部9は、第1溝部93に第1凸部952が挿入され、第2溝部94に第2凸部953が挿入された状態で方向転換支持部95に対して上下方向に移動可能である。
【0030】
図10および図11に示すように、方向転換支持部95に上下方向に移動可能に支持された方向変換部9の方向変換溝部91には、第3操作連結部材73の凸部732が屋外側から挿入される。施錠状態であり、操作連結部7が移動可能な範囲における幅方向の他方側に配置されている時には、操作連結部7の凸部732は、方向変換溝部91の第1位置914、すなわち上溝部911の幅方向の他方側の端部に配置されている。方向転換支持部95の第1凸部952は、方向変換部9の第1溝部93の上端部に配置されている。方向転換支持部95の第2凸部953は、方向変換部9の第2溝部94の上端部に配置されている。
【0031】
施錠状態から解錠状態となるように操作部5が操作され、操作連結部7が幅方向の一方側に移動すると、操作連結部7の凸部732が方向変換溝部91の第2位置915に到達する。更に操作連結部7が幅方向の一方側に移動すると、凸部732は中間傾斜溝部912に入り込み、中間傾斜溝部912上側の縁部912aを幅方向の一方側に押す。方向変換部9は、方向転換支持部95に対して幅方向に移動できず上下方向に移動可能である。このため、方向変換部9は、凸部732に押し上げられるようにして上方に移動する。更に操作連結部7が幅方向の一方側に移動すると、凸部732が方向変換溝部91の第3位置916に到達する。方向転換支持部95の第1凸部952は、方向変換部9の第1溝部93の下端部に配置される。方向転換支持部95の第2凸部953は、方向変換部9の第2溝部94の下端部に配置される。更に、操作連結部7が一方向の他方側に移動すると、凸部732が下溝部913に入り込み幅方向の一方側に移動して方向変換溝部91の第4位置917に配置される。
【0032】
方向変換部9は、凸部732が第4位置917に配置されると、凸部732が第1位置914に配置されている施錠状態よりも上方に移動する。方向変換部9が上方に移動することにより、錠連結部8が上方に移動し、錠部4が解錠状態になる。解錠状態では、凸部732は、方向変換溝部91の第4位置917に配置されている。方向転換支持部95の第1凸部952は、方向変換部9の第1溝部93の下端部に配置されている。方向転換支持部95の第2凸部953は、方向変換部9の第2溝部94の下端部に配置されている。
【0033】
解錠状態から施錠状態となるように操作部5が操作され、操作連結部7が幅方向の他方側に移動すると、操作連結部7の凸部732が方向変換溝部91の第3位置916に到達する。更に操作連結部7が幅方向の他方側に移動すると、凸部732は中間傾斜溝部912に入り込み、中間傾斜溝部912下側の縁部912bを幅方向の他方側に押す。方向変換部9は、凸部732に押し下げられるようにして下方に移動する。更に操作連結部7が幅方向の他方側に移動すると、凸部732が方向変換溝部91の第2位置915に到達する。方向転換支持部95の第1凸部952は、方向変換部9の第1溝部93の上端部に配置される。方向転換支持部95の第2凸部953は、方向変換部9の第2溝部94の上端部に配置される。更に操作連結部7が幅方向の他方側に移動すると、凸部732が上溝部911に入り込み幅方向の他方側に移動して方向変換溝部91の第1位置914に配置される。方向変換部9が下方に移動するため、錠連結部8が下方に移動し、錠部4が施錠状態になる。
【0034】
図12および図13に示すように、操作部5は、ハンドル51と、ギア52と、アーム53と、軸部54と、ケース55と、を有する。ハンドル51およびケース55は、図1に図示する。ハンドル51は、使用者が把持して操作する。ハンドル51は、例えば、オペレータハンドルなどである。ギア52は、ハンドル51が操作されると連動して回転し、操作連結部7を幅方向に移動させる。アーム53は、ギア52が回転すると連動して回転し、障子22を開閉する。ギア52およびアーム53は、ハンドル51が操作されると上下方向に延びる回転軸線5a回りに回転する。この回転軸線5aは、軸部54の軸線である。軸部54の軸線、すなわち回転軸線5a回りの方向を周方向と表記する。周方向のうち、上から見て時計回りの方向の前側を一方側と表記し、時計回りの方向の後側を他方側と表記する。軸部54は、上下方向に延びる円柱状である。
【0035】
ケース55は、ハンドル51、ギア52、アーム53および軸部54を収容する。ケース55は、下枠211に固定されている。下枠211の屋内側の屋内板部215には、屋内外方向に貫通する開口部が形成されている。屋内板部215は、図3を参照する。ギア52およびアーム53が開口部を貫通して屋内板部215の屋内側と屋外側とにわたって配置される。ハンドル51、軸部54およびケース55は、屋内板部215の屋内側に配置される。
【0036】
軸部54は、上下方向に延びる円柱状に形成されている。軸部54の上端部には、上板部542が接続されている。上板部542は、軸部54よりも径が大きい円板状の部材である。上板部542は、軸部54の上端部に同軸に接続されている。軸部54の下端部には、下板部543が接続されている。下板部543は、外形が軸部54よりも大きく内径が軸部54の外径と同じ円環板状の部材である。下板部543の内側には、軸部本体541の下端部が嵌め込まれている。上板部542および下板部543もケース55に収容されている。
【0037】
施錠状態から解錠して障子22を開放するように操作部5が操作されると、ギア52およびアーム53は、周方向の一方側、すなわち上から見て回転軸線5aを中心に時計回りに回転する。解錠状態から障子22を閉鎖して施錠するように操作部5が操作されると、ギア52およびアーム53は、周方向の他方側、すなわち上から見て回転軸線5aを中心に反時計回りに回転する。時間差駆動部6は、ギア52に形成された長孔部527と、アーム53に設けられたアーム凸部534と、が構成している。
【0038】
図13に示すように、ギア52は、ギア板部521と、ギア凸部522と、を有する。ギア板部521は、外周部に複数の歯523が形成された平板状の部材である。複数の歯523は、ギア板部521の外周部の一部に形成されている。ギア板部521の外周部における複数の歯523が形成されている部分を歯形形成部524と表記する。ギア板部521の外周部における複数の歯523が形成されていない部分を非歯形形成部525と表記する。
【0039】
ギア板部521は、板面の略中央部に軸部54が貫通する軸孔部526が形成されている。ギア板部521は、板面が水平面となる向きに配置され、軸孔部526が上下方向に貫通している。ギア板部521には、軸孔部526よりも外周側に板面を貫通し、周方向に延びる円弧状の長孔部527が形成されている。長孔部527の縁部における周方向の他方側の端部に位置する部分を第1縁部527aと表記する。長孔部527における周方向の一方側の端部に位置する部分を第2縁部527bと表記する。
【0040】
ギア凸部522は、ギア板部521の非歯形形成部525における周方向の中間部分から下方に突出している。ギア52は、ギア凸部522が設けられている側が屋外側、歯形形成部が屋内側となる向きに配置される。ギア凸部522は、下枠211の屋内板部215よりも屋外側に配置される。ギア凸部522は、操作連結部7の第1操作連結部材71のギア凸部挿入部714、すなわちギア凸部挿入部714に配置される。
【0041】
アーム53は、ギア接続部531と、障子連結部532と、を有する。ギア接続部531は、ギア52の回転が伝達される。障子連結部532は、障子22と連結されている。ギア接続部531は、円板状の円板部533と、円板部533から突出するアーム凸部534と、を有している。円板部533は、中央部分に軸部54が貫通する軸孔部535が形成されている。円板部533は、板面が上下方向となる向きに配置される。アーム凸部534は、円板部533の下面から下方に突出している。ギア接続部531は、円板部533がギア板部521の上に重なり、アーム凸部534がギア板部521の長孔部527に上側から挿入される。軸部54は、ギア板部521の軸孔部526およびギア接続部531の軸孔部535の両方を貫通し、ギア52およびアーム53を同軸に回転可能に支持する。軸部54の上板部542は、ギア接続部531の上に配置されている。軸部54の下板部543は、ギア板部521の下に配置されている。
【0042】
障子連結部532は、長尺の板状である。障子連結部532は、板面が上下方向となる向きに配置される。障子連結部532は、一方の端部532aがギア接続部531に接続されている。ギア接続部531と障子連結部532とは、一体に形成されている。障子連結部532の他方の端部532bは、障子22と上下方向に延びる軸線回りに相対回転可能に連結されている。障子連結部532は、下枠211の屋内板部215よりも屋外側に配置される。
【0043】
アーム凸部534は、周方向の寸法が、ギア板部521の長孔部527の周方向の寸法よりも小さい。アーム凸部534は、長孔部527の内側において周方向に移動可能である。ギア52が周方向の一方側に回転する場合、長孔部527の第1縁部527aがアーム凸部534に周方向の一方側から接触すると、ギア52の第1縁部527aに押されてアーム凸部534も周方向の一方側に回転し、アーム53がギア52とともに周方向の一方側に回転する。ギア52が周方向の他方側に回転する場合、長孔部43の第2縁部527bがアーム凸部534に周方向の他方側から接触すると、ギア52の第2縁部527bに押されてアーム凸部534も周方向の他方側に回転し、アーム53がギア52とともに周方向の他方側に回転する。ギア52が回転してもアーム53のアーム凸部534がギア52の第1縁部527aおよび第2縁部527bのいずれかに上記のように押されないと、アーム53はギア52とともに回転しない。
【0044】
図14に示す施錠状態および閉鎖状態では、アーム凸部534は、長孔部527の周方向の一方側の端部に配置され、長孔部527の第1縁部527aと離れている。ギア凸部522は、ギア凸部挿入部714に配置されている。施錠状態から解錠して障子22を開放するように操作部5が操作されると、ギア52が周方向の一方側に回転する。アーム凸部534は、長孔部527の第1縁部527aと離れているため、アーム凸部534が長孔部527の第1縁部527aと接触するまでアーム53は回転しない。ギア52が回転することによって、ギア凸部522が幅方向の一方側に移動する。幅方向の一方側に移動したギア凸部522は、第1突出片712と接触する。
【0045】
図15に示すように、更に障子22を開放するように操作部5が操作され、ギア52が回転してギア凸部522が幅方向の一方側に移動すると、ギア凸部522が第1突出片712を幅方向の一方側に押して、操作連結部7を幅方向の一方側に押す。操作連結部7が幅方向の一方側に押されることによって解錠状態になる。ギア凸部522は、周方向の一方側に回転すると、幅方向の一方側に移動するとともに屋内側にも移動するため、ギア凸部挿入部714から抜け出る。ギア凸部522がギア凸部挿入部714から抜け出ると、操作連結部7がギア凸部522に押されないため、操作連結部7の移動が停止する。操作連結部7は、解錠位置で停止する。ギア凸部522が、ギア凸部挿入部714から抜け出る位置まで回転すると、アーム凸部534が長孔部527の第1縁部527aと接触する。
【0046】
図16に示すように、更に障子22を開放するように操作部5が操作されると、アーム凸部534が長孔部527の第1縁部527aに押されて、アーム53がギア52とともに周方向の一方側に回転する。これにより、障子22が開放する。解錠状態および開放状態では、アーム凸部534は、長孔部527の周方向の他方側の端部に配置され、長孔部527の第2縁部527bと離れている。
【0047】
解錠状態から障子22を閉鎖して施錠するように操作部5が操作されると、ギア52が周方向の他方側に回転する。長孔部527の第2縁部527bがアーム凸部534に接触すると、アーム53がギア52とともに周方向の他方側に回転し、障子22が閉鎖する。ギア52のギア凸部522は、ギア凸部挿入部714に入り、第2突出片713を幅方向の他方側に押しながら周方向の他方側に回転する。第2突出片713がギア凸部522によって幅方向の他方側に押された操作連結部7は、幅方向の他方側に移動し、施錠状態になる。
【0048】
建具1および施解錠装置32では、方向変換部9に操作連結部7の幅方向の変位によって幅方向の力が伝達されると、幅方向の力が上下方向の力に変換され、錠連結部8が上下方向に移動することによって、錠部4が施解錠される。方向変換部9に伝達された幅方向の力を上下方向に変換する構造は、方向変換部9に形成された方向変換溝部91および操作連結部7に設けられた凸部732による簡便な構造である。施解錠装置32を簡便な構造にすることができ、建具1および施解錠装置32は、部品点数を削減できる。
【0049】
操作連結部7に設けられた凸部732は、方向変換部9に形成された方向変換溝部91に沿って移動可能であるため、方向変換部9と凸部732との相対変位の方向が安定する。方向変換部9は、操作連結部7の幅方向の変位によって伝達された幅方向の力を上下方向の力に確実に変換できる。
【0050】
操作連結部7は、第1操作連結部材71、第2操作連結部材72および第3操作連結部材73の複数の部材が少なくとも1つが交換可能に連結されている。操作連結部7の幅方向の長さ寸法を調整する場合には、例えば第2操作連結部材72を幅方向の長さ寸法の異なる他の部材に交換することによって操作連結部7の幅方向の長さ寸法を容易に調整できる。幅方向の長さの異なる操作連結部7であっても、共通する部品が多くなるため、製造や管理を容易にできる。
【0051】
錠連結部8は、第1錠連結部材81、第2錠連結部材82および第3錠連結部材83の複数の部材が少なくとも1つが交換可能に連結されている。錠連結部8の上下方向の長さ寸法を調整する場合には、例えば第2錠連結部材82を上下方向の長さ寸法の異なる他の部材に交換することによって錠連結部8の上下方向の長さ寸法を容易に調整できる。上下方向の長さの異なる錠連結部8であっても、共通する部品が多くなるため、製造や管理を容易にできる。
【0052】
時間差駆動部6は、操作部5に設けられている。ギア52に形成された長孔部527およびアーム53に設けられたアーム凸部534が時間差駆動部6を構成している。本実施形態の施解錠装置32は、時間差駆動部6を操作部5とは別に設ける場合と比べて、部品点数を削減できる。
【0053】
施解錠装置32には、操作連結部7を幅方向に移動可能に支持する操作支持部75が設けられている。操作連結部7を幅方向に安定的かつスムーズに移動させることができる。操作連結部7の幅方向の移動によって生じる幅方向の力を方向変換部9に確実に伝達できる。
【0054】
施解錠装置32には、錠連結部8を上下方向に移動可能に支持する施解錠支持部85が設けられている。錠連結部8を上下方向に安定的かつスムーズに移動させることができる。錠連結部8が上下方向に確実に移動するため、錠部4を確実に施解錠できる。
【0055】
施解錠装置32には、方向変換部9を上下方向に移動可能に支持する方向転換支持部95が設けられている。施解錠装置32を上下方向に安定的かつスムーズに移動させることができる。方向変換部9が上下方向に確実に移動するため、錠連結部8を介して錠部4を確実に施解錠できる。
【0056】
(第2実施形態)
図17に示す第2実施形態による施解錠装置32Bは、操作連結部7Bにラックアンドピニオンが採用されている。操作連結部7Bは、第1ラック部761と、第2ラック部762と、ピニオン763と、を有する。第1ラック部761は、幅方向に延びている。第1ラック部761は、操作部5の操作によって幅方向に移動する。第2ラック部762は、幅方向に延びている。第2ラック部762は、方向変換部9Bの方向変換溝部91Bに挿入される凸部732Bが設けられている。ピニオン763は、第1ラック部761と第2ラック部762との間に設けられている。
【0057】
図17に示す施錠状態から図8に示す解錠状態になるように操作部5が操作されると、第1ラック部761は、幅方向の他方側に移動し、第2ラック部762は、幅方向の一方側に移動する。方向変換部9Bの方向変換溝部91Bは、第1実施形態の方向変換部9の方向変換溝部91と幅方向に対称となる形状に形成されている。方向変換部9Bは、第2ラック部762が幅方向の一方側に移動すると上側に移動する。方向変換部9Bが上側に移動すると、錠連結部8が上側に移動し、錠部4が解錠状態になる。
【0058】
図18に示す解錠状態から図17に示す施錠状態になるように操作部5が操作されると、第1ラック部761は、幅方向の位置方側に移動し、第2ラック部762は、幅方向の他方側に移動する。方向変換部9Bは、第2ラック部762が幅方向の他方側に移動すると下側に移動する。方向変換部9Bが下側に移動すると、錠連結部8が下側に移動し、錠部4が施錠状態になる。
【0059】
施解錠装置32Bでは、操作連結部7にラックアンドピニオンを採用していることにより、操作連結部7Bが幅方向に移動することによって生じる幅方向の力を方向変換部9Bに確実に伝達できる。
【0060】
本開示は上記の実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。例えば、操作連結部7に代わって方向変換部9に凸部が形成され、方向変換部9に代わって操作連結部7に方向変換溝部が形成され、方向変換部9の凸部が操作連結部7の方向転換溝部に挿入されていてもよい。錠部4および錠連結部8は、第2縦枠214に設けられていてもよい。操作部5および操作連結部7は、上枠212に設けられていてもよい。錠部4および錠連結部8が下枠211や上枠212に設けられ、操作部5および操作連結部7が第1縦枠213や第2縦枠214に設けられていてもよい。
【0061】
方向変換溝部91の中間傾斜溝部912は、直線状に延びているが、曲線状に延びていてもよい。
【0062】
施解錠装置32は、方向変換部9に形成された方向変換溝部91に操作連結部7に設けられた凸部732が挿入されて移動することによって力の方向転換をする形態に代わって、操作連結部7の一部または操作連結部7に取り付けられた部材が、方向変換部9に設けられた斜め方向に延びるガイド部に接触して移動することによって力の方向転換をする形態であってもよい。
【0063】
操作連結部7は、1つの部材であってもよい。このようにすることにより、部品点数を少なくすることができる。錠連結部8は、1つの部材であってもよい。このようにすることにより、部品点数を少なくすることができる。
【0064】
時間差駆動部6は、操作部5とは別に設けられていてもよい。例えば、時間差駆動部6は、操作部5と方向変換部9との間に設けられていてもよい。時間差駆動部6が操作部5と方向変換部9との間に設けられていることによって、操作部5の操作を時間差駆動部6に伝達させやすいとともに。時間差駆動部6からの駆動力を方向変換部9に伝達させやすい。操作部5および時間差駆動部6の形態は、上記以外であってもよい。
【0065】
操作連結部7を幅方向に移動可能に支持する操作支持部75は、上記以外の形態であってもよい。操作連結部7が幅方向に安定的に移動可能であれば、操作支持部75が設けられていなくてもよい。錠連結部8を上下方向に移動可能に支持する施解錠支持部85は、上記以外の構成であってもよい。操作連結部7が上下方向に安定的に移動可能であれば、施解錠支持部85が設けられていなくてもよい。方向変換部9を上下方向に移動可能に支持する方向転換支持部95は、上記以外の形態であってもよい。方向変換部9が上下方向に安定的に移動可能であれば、方向転換支持部95が設けられていなくてもよい。
【0066】
操作部5の操作方向や、ギア52やアーム53が回転する方向、障子22が開閉する方向は、上記以外であってもよく、適宜設定されてよい。ギア52に複数の歯523が形成される位置や、ギア凸部522が設けられる位置、ギア52の向きや姿勢は、適宜設定されてよい。
【符号の説明】
【0067】
1,1B 建具、3 障子開閉装置、4 錠部、5 操作部、6 時間差駆動部、7 操作連結部、8 錠連結部、9 方向変換部、21 枠体、22 障子、32,32B 施解錠装置、75 操作支持部、85 施解錠支持部、91 方向変換溝部、95 方向転換支持部、732 凸部、912 中間傾斜溝部、912a 上側の縁部、912b 下側の縁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18