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  • 特開-複数作業車の制御管理システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042868
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】複数作業車の制御管理システム
(51)【国際特許分類】
   A01B 69/00 20060101AFI20240322BHJP
   G05D 1/43 20240101ALI20240322BHJP
   G05D 1/00 20240101ALI20240322BHJP
【FI】
A01B69/00 301
G05D1/02 H
G05D1/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147781
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】織田 湧平
(72)【発明者】
【氏名】今井 征典
(72)【発明者】
【氏名】小山 浩二
(72)【発明者】
【氏名】池内 伸明
【テーマコード(参考)】
2B043
5H301
【Fターム(参考)】
2B043AA10
2B043AB15
2B043BA03
2B043BB01
2B043DC03
2B043EE01
2B043EE02
5H301AA03
5H301AA10
5H301BB01
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301DD01
5H301DD06
5H301DD07
5H301DD15
5H301FF11
5H301GG08
5H301GG09
5H301HH01
5H301HH02
5H301LL08
(57)【要約】
【課題】本発明は、一人の作業管理者が複数の作業車からの作業進捗状況報告を受けて、混乱なく作業指示を行えるようにすることを課題とする。
【解決手段】複数の自動走行する作業車1から、作業の進捗状況報告を管理端末7に受けて、管理者が作業を指示する複数の作業車の制御管理システムにおいて、各作業車1の作業位置と作業進捗報告を一定時間間隔で管理端末7に画面表示することを特徴とする複数の作業車の制御管理システムとする。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の自動走行する作業車(1)から作業の進捗状況報告を管理端末(7)に受けて管理者が作業を指示する複数作業車の制御管理システムにおいて、各作業車(1)の作業位置と作業進捗報告を一定時間間隔で管理端末(7)に画面表示することを特徴とする複数作業車の制御管理システム。
【請求項2】
各作業車(1)が搭載した消耗品の管理を行い、その残量が所定量に達するとその作業車(1)を管理端末(7)に優先表示することを特徴とする請求項1に記載の複数作業車の制御管理システム。
【請求項3】
各作業車両(1)が作業計画を保持し、その作業計画との乖離が大きな作業車(1)の作業進捗状況を管理端末(7)に優先表示することを特徴とする請求項1或いは請求項2に記載の複数作業車の制御管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動走行する複数の作業車を一人の管理者が制御して作業を行う複数作業車の制御管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2022―78440号公報には自動走行する複数の作業車を一人の管理作業者が制御する制御システムが記載されている。
【0003】
各作業車は、GPSによる位置認識装置を備え、作業位置と共に作業の進捗状態を管理者の管理端末に報告し、作業を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022―78440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の作業車から報告を受けながら一人の作業管理者が適切な作業の指示を出すことは、各作業車の作業環境や作業進捗状態が変化するために、困難である。
【0006】
本発明は、一人の作業管理者が複数の作業車からの作業進捗状況報告を受けて、混乱なく作業指示を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の課題は、次の技術手段により解決される。
【0008】
請求項1の発明は、複数の自動走行する作業車1から作業の進捗状況報告を管理端末7に受けて管理者が作業を指示する複数作業車の制御管理システムにおいて、各作業車1の作業位置と作業進捗報告を一定時間間隔で管理端末7に画面表示することを特徴とする複数作業車の制御管理システムとする。
【0009】
請求項2の発明は、各作業車1が搭載した消耗品の管理を行い、その残量が所定量に達するとその作業車1を管理端末7に優先表示することを特徴とする請求項1に記載の複数作業車の制御管理システムとする。
【0010】
請求項3の発明は、各作業車両1が作業計画を保持し、その作業計画との乖離が大きな作業車1の作業進捗状況を管理端末7に優先表示することを特徴とする請求項1或いは請求項2に記載の複数作業車の制御管理システムとする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明で、管理者は管理端末7の画面を見ながら各作業車1の作業進捗状況を確認するが、正常に作業が行われている間は、管理端末7の画面を眺めているだけで各作業車1の作業進捗状況が順次画面に表示されて理解できるので、管理が楽に行える。
【0012】
請求項2の発明で、作業車1が消耗品を使用して作業を行っている場合に、消耗品が少なくなって追加する必要が有ればその作業車1が管理端末7の画面に優先表示されるので、管理者が気付易く、消耗品の補充を指示することが出来て、消耗品不足による作業停滞を無くして効率的な作業を継続できる。
【0013】
請求項3の発明で、各作業車1は、担当の圃場で作業計画に従って作業を進行するが、作業の進捗状況が作業計画と乖離すればその作業車1が管理端末7の画面に優先表示されるので、管理者は次の圃場への移動計画を立てたり他の作業車両1と作業終了が一致するように作業速度を調整したりすることが出来て、作業車1の管理を合理的に行える。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態の作業車制御管理システムの概略説明図である。
図2】同上作業車制御管理システムの制御ブロック図である。
図3】同上システムの複数作業車の作業状態平面図である。
図4】同上システムの管理端末の画面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら、複数作業車の制御管理システムの構成および動作について具体的に説明する。
【0016】
図1は複数作業車の制御管理システムの概要説明図であり、作業車1として三台のトラクタ1a,1b,1cを示し、各トラクタ1a,1b,1cが発信するデータがクラウド30を通じて作業機管理サーバ6と作業管理者が持つ管理端末7に送信される。
【0017】
トラクタ1a,1b,1cは、後部の作業機を付け替えることで、耕耘やプラウ、整地、播種、施肥等が可能な作業車である。
【0018】
図2において、制御手段の一例としてのトラクタ1の制御部Caや、サーバ6の制御部Cb、管理端末(タブレット端末)の制御部Ccは、外部とデータの入出力等を行う入出力インターフェースI/Oを有する。また、制御部Ca~Ccは、必要な処理を行うためのプログラムおよび情報等が記憶されたROM(リードオンリーメモリ)を有する。また、制御部Ca~Ccは、必要なデータを一時的に記憶するためのRAM(ランダムアクセスメモリ)を有する。また、制御部Ca~Ccは、ROM等に記憶されたプログラムに応じた処理を行うCPU(中央演算処理装置)を有する。すなわち、実施の形態の制御部Ca~Ccは、情報処理装置、いわゆるコンピュータにより構成されている。よって、制御部Ca~Ccは、ROM等に記憶されたプログラムを実行することにより種々の機能を実現することができる。
【0019】
トラクタ1の制御部Caには、障害物センサ2やGPS装置3、種子や肥料や燃料等の消耗品の残量を示す消耗品センサ8、その他の図示しないデータ入力部材からのデータが入力される。障害物センサ2は、トラクタ1に複数設置されており、前方や側方等、周囲の障害物を検出可能に構成されている。なお、障害物センサ2は、光の反射を使用するものや音波を使用するもの、カメラを使用して画像解析で障害物を検出するもの等、従来公知の任意のものを採用可能である。また、測位装置3は、一例としてのGPS装置で、GPS衛星との間での通信で、機体の位置を測位可能である。
【0020】
トラクタ1の制御部Caは、トラクタ1のエンジン11やハンドル12、ブレーキ13、作業機14、その他、図示しない被制御要素に制御信号を出力する。
【0021】
さらに、トラクタ1の制御部Caは、以下の機能(機能手段、プログラムモジュール)を有する。障害物検出手段C1は、障害物センサ2の検知結果に基づいて、障害物の検知を行う。測位手段C2は、GPS装置3の測位結果に基づいて、トラクタ1の位置を測定する。通信手段C3は、サーバ6との間でデータの送受信、すなわち、通信を行う。実施の形態の通信手段C3は、サーバ6に対して、障害物の検知結果やトラクタ1の位置情報、トラクタ1の状況(作業中や移動中、停車中、作業進捗状況等)を送信したり、サーバ6から次に作業を行う圃場の位置情報や、圃場での作業領域や作業内容、移動や停車の指示情報等を受信したりする。
【0022】
走行制御手段C4は、逸脱判別手段C4Aを有し、トラクタ1のエンジン11やハンドル12、ブレーキ13等を制御して、トラクタ1の走行を制御する。
【0023】
実施の形態の走行制御手段C4は、サーバ6から目的の圃場9に移動する指示がされた場合には、サーバ6から送信された移動経路22に沿って目的の圃場9に移動するようにトラクタ1を走行させる(圃場間移動モード)。また、サーバ6から圃場9内で作業する指示がされた場合には、サーバ6から送信された作業経路23に沿って走行するようにトラクタ1を制御する(作業モード)。サーバ6から停車して待機するように指示がされた場合には、トラクタ1を停止させる(待機モード)。なお、サーバ6から特定の待機位置24に移動して待機するように指示がされた場合には、待機位置24にトラクタ1を移動させた後に停車させる。なお、実施の形態の走行制御手段C4は、障害物検出手段C1が障害物を検出した場合には、トラクタ1を停止(異常停止、緊急停止)させて、その場で待機させる(異常停止モード)。
【0024】
逸脱判別手段C4Aは、トラクタ1が予め定められた経路の一例としての移動経路22や作業経路23から逸脱したか否かを判別する。
【0025】
作業機制御手段C5は、作業機を制御して圃場9での作業を行う。実施の形態の作業機制御手段C5は、サーバ6から送信された圃場9内にトラクタ1が進入した場合は作業機を作動させて作業を行う。そして、作業領域25の外部にトラクタ1が移動した場合は作業機を停止させる。なお、作業機が耕耘やプラウ等の場合は、作業時に作業機を下降させ、非作業時には作業機を上昇させる。なお、実施の形態の作業機制御手段C5は、障害物検出手段C1が障害物を検出した場合には、作業機を停止(異常停止、緊急停止)させる。
【0026】
管理端末7の制御部Ccには、表示部の一例であって入力部の一例としての画面(タッチパネル)7a、その他の図示しない信号入力部材からの信号が入力される。タッチパネル7aは作業者が指で触れた位置を検出する。
【0027】
管理端末7の制御部Ccは、タッチパネル7a、その他、図示しない被制御要素に制御信号を出力する。タッチパネル7aは、サーバ6や制御部Ccから送信された制御信号に応じて画像を表示する。
【0028】
表示制御手段C11は、タッチパネル7aを制御して画像を表示する。タッチパネル7aには、図4の如く、各トラクタ1a,1b,1cの作業位置と作業状況を示す画像を表示し、タッチした画像を拡大表示したり、緊急時のトラクタ1a,1b,1cを拡大優先表示したり、トラクタ1の作業計画(作業する圃場や作業する内容、作業範囲、作業経路等)を設定するための画像を表示したり、異常停止等の異常事態のトラクタ1を優先表示したりする。
【0029】
また、各トラクタ1a,1b,1cの消耗品センサ8が残量減少を検出すると、そのトラクタ1を拡大表示したり、各トラクタ1a,1b,1cに入力された圃場9での作業計画の進捗状況を管理して、他のトラクタ1よりも早く作業が終わりそうになると拡大優先表示したりする。
【0030】
管理端末7を監視している管理者は、消耗品減少を表示したトラクタ1に対しては消耗品供給作業を指示し、作業進捗が早過ぎるトラクタ1に対しては作業速度を遅らせる指示をしたり次の予定圃場9への移動準備を指示したりする。また、予定作業圃場が無い場合は、作業進捗が最も遅いトラクタ1の作業終了時間に合わせて他のトラクタ1の作業速度を遅らせる指示をしても良い。
【0031】
その他に、タッチパネル7aに割り込み表示する条件は、トラクタ1の30m以内に人が接近した場合や、作業速度が設定速度の10%以上変化した場合や、播種や施肥作業を行っている場合に散布量が設定値を10%以上変化した場合や、燃料消費量が10%以上変動した場合や、エンジンの温度がオーバーヒート状態になった場合や、エンジンの排気ガス温度が異常に高くなった場合や、エンジンの回転数が異常に高くなった場合や、走行経路が予定作業経路23から外れた場合や、防除などで作物間を走行しているときは、散布幅が設定を超えて変動する場合で、複数のトラクタ1で割り込み条件が発生した場合は、そのトラクタ1を交互に表示し、緊急度の高いトラクタ1を全て停止制御指示する。
【0032】
また、一台のトラクタ1で複数の割り込み条件が発生したり制御装置にエラーが発生すると、自動で走行を停止する。
【0033】
さらに、割り込み表示を管理端末7で設定できるようにし、表示を解除している場合に緊急事態が生じると警報するようにしても良い。警報を所定時間無視するとトラクタ1の走行を自動で停止する。
【0034】
警報を受けて管理者が問題なしと判断し、送信するとトラクタ1はそのまま作業を継続し、所定間隔での順番表示に復帰する。問題なしとした場合の割り込み表示は所定時間行わないようにする。
【0035】
トラクタ1に故障が発生した場合は、停止中のトラクタ1を牽引に向かわせるが、作業停止中のトラクタ1が無い場合は、自動的に近くで作業中のトラクタ1に作業を中断させて牽引に向かわせる。
【符号の説明】
【0036】
1 作業車
7 管理端末
7a タッチパネル
図1
図2
図3
図4