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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042879
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】眼科装置及び眼鏡ホルダ
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/00 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
A61B3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147798
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】森崎 宏幸
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA03
4C316AA13
4C316AA20
4C316FC02
(57)【要約】
【課題】眼科装置に対する眼鏡ホルダの安定した設置と、眼鏡の置き忘れ防止と、を実現可能な眼科装置及び眼鏡ホルダを提供することを目的とする。
【解決手段】眼科装置10が、被検者の顔を支持する顔支持部12と、顔支持部12(一対の支柱24A、24Bの一方、基部20の被取付部29a、基部20のホルダ取付溝62)に設けられ、被検者の眼鏡40を支持する眼鏡ホルダ18(眼鏡ホルダ50、眼鏡ホルダ60)と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の顔を支持する顔支持部と、
前記顔支持部に設けられ、前記被検者の眼鏡を支持する眼鏡ホルダと、
を備える眼科装置。
【請求項2】
前記眼鏡ホルダが、前記眼鏡の左右のレンズの一方に対して他方が下方側に位置する姿勢で前記眼鏡を支持する請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
前記顔支持部が、
ベースに固定された基部と、
前記基部に対して上下方向に移動自在に設けられ、前記被検者の顎を支持する顎受け部と、
前記基部において前記顎受け部の左右方向の両側に設けられ、前記顎受け部よりも上方に延びた一対の支柱と、
前記一対の支柱の上端部に設けられ、前記被検者の額が当接する額当て部と、
を備え、
前記眼鏡ホルダが、前記一対の支柱の一方、又は前記基部に着脱自在に取り付けられる請求項2に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記一対の支柱の一方に沿って形成されたリブと、
前記眼鏡ホルダに設けられ、前記リブに取り付け可能な取付部と、
を備える請求項3に記載の眼科装置。
【請求項5】
前記上下方向及び前記左右方向の双方に垂直な方向を前後方向とした場合に、前記基部の前記左右方向の両端部に前記基部を前後方向に貫通した貫通穴が形成されており、
前記眼鏡ホルダが、前記貫通穴の一方と前記基部の側面との間に形成されている被取付部に取り付けられる請求項3に記載の眼科装置。
【請求項6】
前記眼鏡ホルダが、少なくとも、前記下方側に位置する前記レンズである下方側レンズを支持する請求項2から5のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項7】
前記眼鏡ホルダが、少なくとも、前記下方側レンズと、前記眼鏡の鼻当て部と、を支持する請求項6に記載の眼科装置。
【請求項8】
前記眼鏡ホルダが、前記眼鏡を斜め姿勢で支持する請求項2から5のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項9】
前記顔支持部が、
ベースに固定された基部と、
前記基部に対して上下方向に移動自在に設けられ、前記被検者の顎を支持する顎受け部と、
前記基部において前記顎受け部の左右方向の両側に設けられ、前記顎受け部よりも上方に延びた一対の支柱と、
前記一対の支柱の上端部に設けられ、前記被検者の額が当接する額当て部と、
を備え、
前記眼鏡ホルダが、前記基部に着脱自在に取り付けられ、前記眼鏡を水平な姿勢で支持する請求項1に記載の眼科装置。
【請求項10】
前記基部の前面に、前記眼鏡ホルダを取り付けるホルダ取付溝が形成されている請求項9に記載の眼科装置。
【請求項11】
前記眼鏡ホルダが、前記眼鏡の左右のレンズの前面に当接するレンズ保護部を有し、
前記レンズ保護部が、前記レンズよりも柔らかい素材で形成されている請求項1から5、9、10のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項12】
眼科装置において被検者の顔を支持する顔支持部に設けられ、前記被検者の眼鏡を支持する眼鏡ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者の顔を支持する顔支持部を備える眼科装置、及び眼鏡ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
眼科では、眼科装置を用いて被検眼の眼屈折力、眼圧、及び角膜内皮細胞の数などの各種の眼特性の取得(測定、撮影、及び観察等)を行う。このような眼科装置では、例えば被検者が眼鏡を装着している場合には、被検者の顔から眼鏡を取り外した状態で被検眼の眼特性の取得を実行する。この場合には、取り外した眼鏡を置く場所が必要になる。例えば特許文献1には、眼科装置又はこの眼科装置が設置されている載置台に眼鏡ホルダを設けることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3235252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、眼科装置では、ベース(架台)に対して装置本体(ヘッド等)が3次元方向に移動可能になっているので、例えばベースに眼鏡ホルダを設けると、装置本体が眼鏡ホルダに接触したり、或いは装置本体とベースとの間に眼鏡ホルダが挟まったりするおそれがある。また、装置本体は移動するのでこの装置本体に眼鏡ホルダを設けることは好ましくない。さらに、眼鏡ホルダの設置場所が被検者から離れていると、被検者が眼鏡を置き忘れてしまうおそれがある。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、眼科装置に対する眼鏡ホルダの安定した設置と、眼鏡の置き忘れ防止と、を実現可能な眼科装置及び眼鏡ホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的を達成するための眼科装置は、被検者の顔を支持する顔支持部と、顔支持部に設けられ、被検者の眼鏡を支持する眼鏡ホルダと、を備える。
【0007】
この眼科装置によれば、被検者に近い位置であって、且つ眼科装置の装置本体(ヘッド)に接触或いは挟まれたり、この装置本体と共に移動したりしない位置に眼鏡ホルダを取り付けることができる。
【0008】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、眼鏡ホルダが、眼鏡の左右のレンズの一方に対して他方が下方側に位置する姿勢で眼鏡を支持する。
【0009】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、顔支持部が、ベースに固定された基部と、基部に対して上下方向に移動自在に設けられ、被検者の顎を支持する顎受け部と、基部において顎受け部の左右方向の両側に設けられ、顎受け部よりも上方に延びた一対の支柱と、一対の支柱の上端部に設けられ、被検者の額が当接する額当て部と、を備え、眼鏡ホルダが、一対の支柱の一方、又は基部に着脱自在に取り付けられる。これにより、被検者に近い位置であって装置本体に接触等しない位置に眼鏡ホルダを取り付けられ、さらに既存の眼科装置に簡単にも眼鏡ホルダを取り付けられる。
【0010】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、一対の支柱の一方に沿って形成されたリブと、眼鏡ホルダに設けられ、リブに取り付け可能な取付部と、を備える。これにより、被検者に近い位置であって装置本体に接触等しない位置に眼鏡ホルダを取り付けられ、支柱にリブが形成されている既存の眼科装置にも簡単に眼鏡ホルダを取り付けられる。また、被検者が誤って一対の支柱を把持することが防止される。
【0011】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、上下方向及び左右方向の双方に垂直な方向を前後方向とした場合に、基部の左右方向の両端部に基部を前後方向に貫通した貫通穴が形成されており、眼鏡ホルダが、貫通穴の一方と基部の側面との間に形成されている被取付部に取り付けられる。これにより、被検者に近い位置であって装置本体に接触等しない位置に眼鏡ホルダを取り付けられ、さらに既存の眼科装置に簡単にも眼鏡ホルダを取り付けられる。
【0012】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、眼鏡ホルダが、少なくとも、下方側に位置するレンズである下方側レンズを支持する。
【0013】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、眼鏡ホルダが、少なくとも、下方側レンズと、眼鏡の鼻当て部と、を支持する。
【0014】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、眼鏡ホルダが、眼鏡を斜め姿勢又は縦置き姿勢で支持する。
【0015】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、顔支持部が、ベースに固定された基部と、基部に対して上下方向に移動自在に設けられ、被検者の顎を支持する顎受け部と、基部において顎受け部の左右方向の両側に設けられ、顎受け部よりも上方に延びた一対の支柱と、一対の支柱の上端部に設けられ、被検者の額が当接する額当て部と、を備え、眼鏡ホルダが、基部に着脱自在に取り付けられ、眼鏡を水平な姿勢で支持する。これにより、被検者に近い位置であって装置本体に接触等しない位置に眼鏡ホルダを取り付けられ、さらに既存の眼科装置に簡単にも眼鏡ホルダを取り付けられる。
【0016】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、基部の前面に、眼鏡ホルダを取り付けるホルダ取付溝が形成されている。これにより、被検者に近い位置に眼鏡ホルダを取り付けられる。
【0017】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、眼鏡ホルダが、眼鏡の左右のレンズの前面に当接するレンズ保護部を有し、レンズ保護部が、レンズよりも柔らかい素材で形成されている。これにより、レンズに傷が付くことが防止される。
【0018】
本発明の目的を達成するための眼鏡ホルダは、眼科装置において被検者の顔を支持する顔支持部に設けられ、被検者の眼鏡を支持する。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、科装置に対する眼鏡ホルダの安定した設置と、眼鏡の置き忘れ防止と、を実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】眼科装置を被検者側から見た正面図である。
図2】眼科装置の側面図である。
図3】眼鏡を支持している眼鏡ホルダの斜視図である。
図4】眼鏡の支持前の眼鏡ホルダの正面斜視図である。
図5】眼鏡の支持前の眼鏡ホルダをその側壁部側から見た背面斜視図である。
図6】眼鏡ホルダの取付後の支柱の背面図である。
図7】第2実施形態の眼科装置の顔支持部の背面斜視図である。
図8】第3実施形態の眼科装置の顔支持部に着脱自在に取りけられる眼鏡ホルダの外観斜視図である。
図9】第4実施形態の眼科装置の顔支持部及び眼鏡ホルダの正面図である。
図10】第4実施形態の眼科装置の顔支持部から眼鏡ホルダを取り外した状態を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
図1は、眼科装置10を被検者側から見た正面図である。図2は、眼科装置10の側面図である。なお、図中の互いに直交するXYZ方向(3軸方向)のうちで、Y方向は上下方向であり、Z方向は被検者(被検眼)に近づく前方向と被検者から遠ざかる後方向とに平行な前後方向(作動距離方向ともいう)であり、X方向は上下方向及び前後方向の双方に垂直な左右方向である。
【0022】
<眼科装置10の全体構成>
眼科装置10は、被検眼の眼圧値、眼屈折力、及び角膜曲率等を測定可能な複合機である。この眼科装置10は、ベース11と、顔支持部12と、駆動機構13と、測定ヘッド14(装置本体)と、モニタ15と、操作レバー16と、眼鏡ホルダ18と、を備える。
【0023】
ベース11上には、駆動機構13により保持された測定ヘッド14が設けられている。また、ベース11上には、駆動機構13及び測定ヘッド14のZ方向前方側の位置に顔支持部12が設けられ、駆動機構13及び測定ヘッド14のZ方向後方側の位置に操作レバー16が設けられている。
【0024】
顔支持部12は、基部20と、顎受け部22と、一対の支柱24A,24Bと、額当て部26と、を備える。基部20は、駆動機構13及び測定ヘッド14に対してZ方向前方側の位置でベース11に固定されており、このベース11からZ方向上側に延びた形状を有する。
【0025】
顎受け部22は、基部20の上端部に設けられており、不図示のアクチュエータにより基部20に対してY方向(上下方向)に移動自在に設けられている。顎受け部22は、被検者の顎を支持する。
【0026】
一対の支柱24A,24Bは、基部20の上端部の中で顎受け部22の左右両側(X方向両側)の位置に設けられ、この顎受け部22よりもY方向上方に延びた形状を有する。額当て部26は、一対の支柱24A、24Bの上端部に設けられており、被検者の額に当接する。
【0027】
駆動機構13は、例えばモータ等の不図示のアクチュエータにより構成されている。この駆動機構13は、ベース11に対して測定ヘッド14をXYZ方向に移動させる。これにより、被検眼に対して測定ヘッド14をXYZ方向に相対移動させることができる。その結果、駆動機構13を駆動することで、被検眼に対する測定ヘッド14のXYZ方向のアライメントが可能になる。
【0028】
測定ヘッド14には、非接触式眼圧計14A及びオートレフケラトメータ14Bを含む複数種類の眼科用の各種測定装置が設けられている。なお、非接触式眼圧計14A及びオートレフケラトメータ14Bの構成については公知技術であるので、ここでは具体的な説明は省略する。
【0029】
モニタ15は、例えばタッチパネル式モニタが用いられ、測定ヘッド14に対して2軸の回転軸により回転自在に保持されている。モニタ15には、測定ヘッド14により取得された被検眼の観察像、被検眼の眼特性(眼圧値、眼屈折力、及び角膜曲率等)の測定結果、各種設定を行うための設定メニュー画面、及び各種操作を行うための操作メニュー画面などが表示される。
【0030】
操作レバー16は、測定ヘッド14をXYZの各方向に手動で移動させるための操作部材である。例えば、操作レバー16がZ方向(前後方向)又はX方向(左右方向)に傾倒操作されると、上述の駆動機構13により測定ヘッド14がZ方向又はX方向に移動される。また、操作レバー16がその長手軸周りに回転操作されると、その回転操作方向に応じて、駆動機構13により測定ヘッド14がY方向(上下方向)に移動される。
【0031】
眼鏡ホルダ18は、一対の支柱24A,24Bのいずれか一方、本実施形態では支柱24Aに着脱自在に取り付けられており、被検者の眼鏡40を支持する。なお、眼鏡ホルダ18が支柱24Bに着脱自在に取り付けられていてもよい。
【0032】
<眼鏡ホルダ18の構成>
図3は、眼鏡40を支持している眼鏡ホルダ18の斜視図である。図4は、眼鏡40の支持前の眼鏡ホルダ18の正面斜視図である。図5は、眼鏡40の支持前の眼鏡ホルダ18をその側壁部32側から見た背面斜視図である。なお、図中の+X方向は図1中の右方向であり、図中の-X方向は図1中の左方向である。
【0033】
図3に示すように、眼鏡40は、左右のレンズ42R,42Lと、リム44R,44L(フレーム)と、左右の蔓46R,46Lと、鼻当て部48と、を備える。リム44Rはレンズ42Rを保持し、リム44Lはレンズ42Lを保持する。なお、眼鏡40は、図3に示したようなフルリムタイプに限定されず、ハーフリムタイプ又はリムレスタイプであってもよい。
【0034】
図3から図5に示すように、眼鏡ホルダ18は、支柱24Aに取り付けられた状態で、眼鏡40の左右のレンズ42R,42Lの一方(例えばレンズ42R)に対して他方(例えばレンズ42L)がY方向下方側に位置するような斜め姿勢(以下、単に斜め姿勢という)で眼鏡40を支持する。この場合にはリム44L(レンズ42L)は、+X方向側から見た場合において蔓46L側の左端部がY方向下方向側に位置し且つ鼻当て部48側の右端部がY方向上方側に位置する。また、鼻当て部48は、+X方向側から見た場合においてリム44L側の左端部がY方向下方向側に位置し且つリム44R側の右端部がY方向上方側に位置する。さらに、リム44R(レンズ42R)は、+X方向側から見た場合において鼻当て部48側の左端部がY方向下方向側に位置し且つ蔓46R側の右端部がY方向上方側に位置する。
【0035】
なお、眼鏡ホルダ18が、レンズ42Lに対してレンズ42RがY方向下方側に位置する斜め姿勢で眼鏡40を支持してもよい。
【0036】
眼鏡ホルダ18は、ホルダ本体部30と側壁部32とを備える。ホルダ本体部30は、斜め姿勢の眼鏡40の中で、少なくとも、レンズ42L(本発明の下方側レンズに相当)及びリム44Lと、鼻当て部48と、を支持する。このホルダ本体部30は、本体下部30aと、本体中央部30bと、本体上部30cと、規制部30dと、を有する。
【0037】
本体下部30aは、リム44Lを支持し、さらにこのリム44Lを介してレンズ42Lを支持している。この本体下部30aは、X方向において幅を有している。また、本体下部30aは、+X方向側から見た場合において、リム44Lの左端部(蔓46Lとの接続部分)を支持する略凹状の底部を有し、さらにこの底部からリム44L(レンズ42L)の下部に沿って鼻当て部48まで至る略凹湾曲形状に形成されている。
【0038】
なお、本体下部30aは、眼鏡40がハーフリムタイプ或いはリムレスタイプである場合には、レンズ42Lを直接支持する。
【0039】
本体中央部30bは、鼻当て部48を支持する。この本体中央部30bは、X方向において幅を有している。また、本体中央部30bは、+X方向側から見た場合において、鼻当て部48の輪郭に沿った略凸湾曲形状に形成されている。
【0040】
本体上部30cは、X方向において幅を有している。また、本体上部30cは、鼻当て部48からリム44R(レンズ42R)の下部に沿った略凹湾曲形状に形成されている。なお、本体上部30cによりリム44R(レンズ42R)を支持してもよい。また、本体上部30cによりリム44Rを支持しない場合には、この本体上部30cを省略してもよい。
【0041】
規制部30dは、本体下部30a、本体中央部30b、及び本体上部30cの+X方向側の端部に沿って形成されており、Y方向上方側に突出した形状を有する。この規制部30dは、蔓46R,46Lの一部に当接することで、眼鏡40が+X方向側に倒れることを防止する。また、規制部30dは、眼鏡40がホルダ本体部30から+X方向側に脱落することを防止する。
【0042】
側壁部32は、本体下部30a、本体中央部30b、及び本体上部30cの-X方向側の端部に沿って形成されており、さらに規制部30dよりもY方向上方側に突出した形状を有する。この側壁部32は、+X方向側及び-X方向側にそれぞれZY面に平行な壁面を有する。
【0043】
側壁部32の+X方向側の壁面には、レンズ42L,42Rの前面に当接するレンズ保護部32aが設けられている。レンズ保護部32aは、レンズ42L,42Rの前面に当接することで、眼鏡40が-X方向側に倒れることを防止する。また、レンズ保護部32aは、レンズ42L,42Rよりも柔らかい素材、すなわちレンズ42L,42Rを傷つけない素材(例えばフェルト生地、ポリプロピレン等)で形成されている。このため、レンズ保護部32aによりレンズ42L,42Rに傷が付くことが防止される。
【0044】
また、側壁部32の-X方向側の壁面には、支柱24Aに眼鏡ホルダ18を着脱自在に取り付けるための取付部34(係合部ともいう)が形成されている。この取付部34は、後述の支柱24Aのリブ28(図6参照)に取り付け可能な形状を有している。具体的には取付部34は、Y方向上方側から見た場合に略L字形状に形成されており、側壁部32の壁面との間にリブ28を挟み込む。
【0045】
図6は、眼鏡ホルダ18の取付後の支柱24Aの背面図である。図6に示すように、支柱24AのZ方向後方側の背面には、取付部34が取り付け可能な被取付部(被係合部)であるリブ28が支柱24Aに沿って形成、すなわち略Y方向に延びるように形成されている。このリブ28は、支柱24Aに元々形成されている既存のものを使用可能である。これにより、顔支持部12(支柱24A)に改良を施す必要がないので、既存の眼科装置10の顔支持部12に眼鏡ホルダ18を取り付け可能である。
【0046】
なお、支柱24Aに新規のリブ28(被取付部)を形成してもよい。この場合には、例えば支柱24Aの+X方向側の側面にリブ28(レール)を形成する。
【0047】
支柱24Aに対して眼鏡ホルダ18を取り付ける場合には、例えば、取付部34と側壁部32の壁面との間の隙間にリブ28を合わせた状態で、眼鏡ホルダ18をリブ28に向けて押圧することで取付部34をリブ28に係合させる。これにより、取付部34と側壁部32との間にリブ28が挟持されることで、支柱24Aに対して眼鏡ホルダ18が着脱自在に取り付けられる。
【0048】
なお、支柱24Aの+X方向側の側面にリブ28(レール)を形成した場合には、取付部34と側壁部32の壁面との間の隙間にリブ28の上端を合わせた状態で、眼鏡ホルダ18をY方向上方側からY方向下方側にスライド移動させることで、支柱24Aに眼鏡ホルダ18を取り付ける。
【0049】
以上のように本実施形態では、顔支持部12に眼鏡ホルダ18を取り付けることで、測定ヘッド14の移動範囲外に眼鏡ホルダ18を配置することができる。その結果、測定ヘッド14をXYZ方向に移動させた場合であっても、測定ヘッド14が眼鏡ホルダ18に接触したり、測定ヘッド14とベース11との間に眼鏡ホルダ18が挟み込まれたり、或いは測定ヘッド14と一体に眼鏡ホルダ18が移動したりすることが防止される。また、顔支持部12に眼鏡ホルダ18を取り付けることで、被検者に近い位置、すなわち被検者の眼前に眼鏡ホルダ18を設置することができるので、被検者が眼鏡ホルダ18に眼鏡40を置き忘れ難くなる。その結果、眼科装置10に対する眼鏡ホルダ18の安定した設置と、眼鏡40の置き忘れ防止と、を実現可能である。また、既存の眼科装置10にも簡単に眼鏡ホルダ18を取り付けることができる。
【0050】
また、顔支持部12の支柱24Aに眼鏡ホルダ18を取り付けることで、眼科装置10による被検眼の各種眼特性の取得後に被検者が椅子から立ち上がる際に、被検者が支柱24A,24Bを取手(手すり)と誤解して把持することを防止可能である。
【0051】
さらに、既存の眼科装置10の顔支持部12に眼鏡ホルダ18を後付け可能であるので、低コストで導入可能である。さらにまた、病院ごと或いは眼鏡店ごとに眼鏡ホルダ18のデザイン(形状)を変えることができ、眼鏡ホルダ18にバリエーションを持たせることができる。
【0052】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態の眼科装置10の顔支持部12の背面斜視図である。上記第1実施形態の眼科装置10では、支柱24Aに眼鏡ホルダ18を着脱自在に取り付けているが、顔支持部12の他の部分に眼鏡ホルダ18を着脱自在に取り付けてもよい。
【0053】
図7に示すように、第2実施形態の眼科装置10は、顔支持部12の基部20に一対の把持部29が形成され、且つ顔支持部12に対する眼鏡ホルダ18の位置が異なる点を除けば上記第1実施形態の眼科装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0054】
把持部29は、被検眼の眼特性の測定時に被検者により把持される。この把持部29は、例えば、基部20をZ方向に貫通すると共にY方向に延びた略長方形状の貫通穴である。被検者は、被検眼の眼特性の測定時に把持部29を把持することで、顔支持部12に安定して顔を置くことができ、被検眼を安定させることができる。このように基部20に把持部29を形成することで、把持部29と基部20の+X方向側の側面との間には、Y方向に延びた略枠形状の被取付部29aが形成される。
【0055】
第2実施形態の眼鏡ホルダ18の取付部34は、被取付部29aに取り付け可能な形状を有している。例えば第2実施形態の取付部34は、第1実施形態の取付部34と同様にY方向上方側から見た場合に略L字形状に形成されており、側壁部32の壁面との間で被取付部29aを挟み込む。これにより、基部20の被取付部29aに対して眼鏡ホルダ18が着脱自在に取り付けられる。
【0056】
以上のように第2実施形態の眼科装置10においても顔支持部12に眼鏡ホルダ18を着脱自在に取り付けられるので、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。また、被検者が座席から立ち上がる際に、被検者が被取付部29aを誤って把持することを防止可能である。
【0057】
[第3実施形態]
図8は、第3実施形態の眼科装置10の顔支持部12に着脱自在に取りけられる眼鏡ホルダ50の外観斜視図である。上記各実施形態では、眼鏡ホルダ18により眼鏡40を斜め姿勢で支持する場合を例に挙げて説明したが、第3実施形態の眼鏡ホルダ50は眼鏡40の左右方向をY方向に平行にした縦置き姿勢で眼鏡40を支持する。
【0058】
なお、第3実施形態の眼科装置10は、眼鏡ホルダ18の代わりに眼鏡ホルダ50が顔支持部12に取り付けられる点を除けば上記各実施形態の眼科装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0059】
図8に示すように、眼鏡ホルダ50は、ホルダ本体52と、レンズ保護部54と、取付部56と、により構成される。
【0060】
ホルダ本体52は、Y方向に平行な有底筒状に形成されている。このホルダ本体52は、レンズ42R,42Lの一方に対して他方がY方向鉛直下方側に位置する姿勢、すなわち縦置き姿勢で眼鏡40を支持する。
【0061】
レンズ保護部54は、ホルダ本体52の内壁面に設けられており、ホルダ本体52内に支持されている眼鏡40のレンズ42R,42Lの前面に当接する。このレンズ保護部54は、上記各実施形態のレンズ保護部32aと同様にレンズ42L,42Rよりも柔らかい素材、すなわちレンズ42L,42Rを傷つけない素材で形成されている。このため、レンズ42L,42Rに傷が付くことが防止される。
【0062】
取付部56は、ホルダ本体52の外面に形成されている。この取付部56は、上記各実施形態の取付部34と同様に、支柱24Aのリブ28或いは基部20の被取付部29aに取り付け可能な形状を有する。これにより、上記各実施形態と同様に、支柱24A或いは基部20に対して眼鏡ホルダ50を着脱自在に取り付けることができる。
【0063】
以上のように第3実施形態の眼科装置10においても、顔支持部12に対して眼鏡ホルダ50を着脱自在に取り付けられるので、上記各実施形態と同様の効果が得られる。
【0064】
[第4実施形態]
図9は、第4実施形態の眼科装置10の顔支持部12及び眼鏡ホルダ60の正面図である。図10は、第4実施形態の眼科装置10の顔支持部12から眼鏡ホルダ60を取り外した状態を示した正面図である。
【0065】
上記各実施形態の眼科装置10では、眼鏡40を斜め姿勢或いは縦置き姿勢で支持する眼鏡ホルダ18,50を顔支持部12に着脱自在に取り付けているが、第4実施形態の眼科装置10では、眼鏡40を水平姿勢(横置き姿勢)で支持する眼鏡ホルダ60を顔支持部12に着脱自在に取り付ける。
【0066】
図9及び図10に示すように、第4実施形態の眼科装置10は、顔支持部12の構造が一部異なる点と、眼鏡ホルダ60を使用する点と、を除けば上記各実施形態の眼科装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0067】
第4実施形態の顔支持部12は、基部20に手添部20aとホルダ取付溝62とが形成されている点を除けば、上記各実施形態の顔支持部12と基本的に同じ構成である。
【0068】
手添部20aは、基部20のX方向両端部に形成されており、被検眼の眼特性の測定時に被検者が手を添えられるような形状を有する。被検者は、被検眼の眼特性の測定時に手添部20aに手を添えることで、顔支持部12に安定して顔を置くことができる。
【0069】
ホルダ取付溝62は、基部20のZ方向前面の中で例えば顎受け部22のY方向下方側の位置に形成されている。このホルダ取付溝62は、X方向に延び且つ眼鏡ホルダ60の背面側が取り付け可能な形状に形成された被取付部である。
【0070】
眼鏡ホルダ60は、ホルダ取付溝62に対して着脱自在に取り付けられる。この眼鏡ホルダ60は、眼鏡40の左右方向をX方向に平行にした水平姿勢で支持する。眼鏡ホルダ60は、眼鏡40のリム44L(レンズ42L)を支持する本体左部60aと、鼻当て部48を支持する本体中央部60bと、リム44R(レンズ42R)を支持する本体右部60cと、を有する。また、図示は省略するが、眼鏡ホルダ60には、レンズ42L,42Rの前面が当接する箇所に既述のレンズ保護部32aと同様のものが設けられている。
【0071】
眼鏡ホルダ60の背面側には、図示は省略するが、ホルダ取付溝62に取り付け可能な溝取付部が形成されている。これにより、基部20のZ方向前面に眼鏡ホルダ60を着脱自在に取り付けることができる。
【0072】
以上のように第4実施形態の眼科装置10においても、顔支持部12に対して眼鏡ホルダ60を着脱自在に取り付けられるので、上記各実施形態と同様に、眼科装置10に対する眼鏡ホルダ60の安定した設置と、眼鏡40の置き忘れ防止と、を実現可能である。また、病院ごと或いは眼鏡店ごとに眼鏡ホルダ60のデザイン(形状)を変えることで、眼鏡ホルダ60にバリエーションを持たせることができる。また、基部20の前面にホルダ取付溝62に形成するだけでよく、既存の眼科装置10にも最小限の変更を加えるだけで簡単に眼鏡ホルダ60を取り付け可能である。
【0073】
[その他]
上記各実施形態では、眼鏡40を支持する眼鏡ホルダ18,50,60について説明を行ったが、眼鏡ホルダ18,50,60の形状、構造、及び眼鏡40の支持方法については特に限定されず、眼鏡40を支持可能な範囲で適宜変更可能である。
【0074】
上記各実施形態では、眼鏡ホルダ18,50,60を顔支持部12の支柱24A(支柱24Bでも可)或いは基部20に着脱自在に取り付けているが、顔支持部12の中で被検者の顔の支持を妨げない任意の位置に着脱自在に取り付けてもよい。なお、眼鏡ホルダ18,50,60を顔支持部12に対して着脱自在に取り付ける代わりに、顔支持部12に固定或いは顔支持部12の外装と一体形成してもよい。
【0075】
上記各実施形態では、眼科装置10として非接触式眼圧計14A及びオートレフケラトメータ14Bの複合機を例に挙げて説明したが、顔支持部12を備える各種眼科装置(レーザ手術装置等の被検眼に対して各種処置を施す装置を含む)に本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
10…眼科装置
11…ベース
12…顔支持部
13…駆動機構
14…測定ヘッド
14A…非接触式眼圧計
14B…オートレフケラトメータ
15…モニタ
16…操作レバー
18…眼鏡ホルダ
20…基部
20a…手添部
22…顎受け部
24A…支柱
24B…支柱
26…額当て部
28…リブ
29…把持部
29a…被取付部
30…ホルダ本体部
30a…本体下部
30b…本体中央部
30c…本体上部
30d…規制部
32…側壁部
32a…レンズ保護部
34…取付部
40…眼鏡
42L,42R…レンズ
44L,44R…リム
46L,46R…蔓
48…鼻当て部
50…眼鏡ホルダ
52…ホルダ本体
54…レンズ保護部
56…取付部
60…眼鏡ホルダ
60a…本体左部
60b…本体中央部
60c…本体右部
62…ホルダ取付溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10