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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004288
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】充電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240109BHJP
   B60L 53/16 20190101ALI20240109BHJP
   B60L 53/60 20190101ALI20240109BHJP
【FI】
H02J7/00 Q
H02J7/00 P
B60L53/16
B60L53/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103879
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(71)【出願人】
【識別番号】000164483
【氏名又は名称】株式会社キューヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】石和久 将一
(72)【発明者】
【氏名】栂 修平
(72)【発明者】
【氏名】水島 光
(72)【発明者】
【氏名】田中 順一
(72)【発明者】
【氏名】田渕 功
(72)【発明者】
【氏名】前多 裕史
(72)【発明者】
【氏名】福島 浩
(72)【発明者】
【氏名】野田 貴文
(72)【発明者】
【氏名】小野 寛剛
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503EA09
5G503FA14
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC23
5H125AC24
5H125BE02
5H125DD03
(57)【要約】
【課題】接続異常が検出されたことが報知された場合でも周囲の人が煩わしく感じることを抑制可能な充電装置を提供する。
【解決手段】蓄電池21の電力で電動機を駆動して移動する電気移動体2の蓄電池21を充電する充電装置A1において、直流電力を出力する直流電源部11と、電気移動体2に接続されて、直流電源部11が出力する直流電力を当該電気移動体2に供給する充電コネクタ121と、直流電源部11を制御して充電を行う制御部17と、報知を行う報知部16と、を備えた。制御部17は、充電コネクタ121の接続異常を検出した場合、状況に応じて報知方法を変更して、報知部16に接続異常を報知させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池の電力で電動機を駆動して移動する電気移動体の前記蓄電池を充電する充電装置であって、
直流電力を出力する直流電源部と、
前記電気移動体に接続されて、前記直流電源部が出力する直流電力を当該電気移動体に供給する充電コネクタと、
前記直流電源部を制御して充電を行う制御部と、
報知を行う報知部と、
を備え、
前記制御部は、前記充電コネクタの接続異常を検出した場合、状況に応じて報知方法を変更して、前記報知部に接続異常を報知させる、
充電装置。
【請求項2】
前記制御部は、時間帯によって前記報知方法を変更する、
請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
周囲に人がいるか否かを検出する人感センサをさらに備え、
前記制御部は、前記人感センサが人がいることを検出している場合と、人がいないことを検出している場合とで、前記報知方法を変更する、
請求項1に記載の充電装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記接続異常の検出頻度に応じて、前記報知方法を変更する、
請求項1に記載の充電装置。
【請求項5】
前記制御部は、前回の前記接続異常の検出における、異常が解消されるまでの解消時間に応じて、前記報知方法を変更する、
請求項1に記載の充電装置。
【請求項6】
前記報知部は、発光により報知を行う発光報知部と、音声による報知を行う音声報知部と、を備え、
前記制御部は、状況に応じて、前記発光報知部および前記音声報知部による報知と、前記発光報知部だけによる報知とを変更する、
請求項1に記載の充電装置。
【請求項7】
前記報知部は、発光により報知を行う発光報知部と、音声による報知を行う音声報知部と、メール送信による報知を行う通信報知部と、を備え、
前記制御部は、状況に応じて、前記発光報知部および前記音声報知部による報知と、前記発光報知部だけによる報知と、前記通信報知部による報知とを変更する、
請求項1に記載の充電装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記電気移動体が前記充電コネクタに接続されてから充電を開始するまでの間、第1時間ごとに、前記直流電源部に第2時間の間だけ電流を出力させる指令を行い、当該指令に応じた電流が流れない場合に、前記接続異常を検出する、
請求項1ないし7のいずれかに記載の充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車などを充電する充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車の普及に伴い、電気自動車の蓄電池に充電をするための充電スタンドの整備が進んでいる。特許文献1には、充電スタンドの一例が開示されている。当該充電スタンドの充電器は、電気自動車に接続される出力端子を複数備え、スイッチを切り替えることで、各出力端子に接続された電気自動車を順次充電する。使用されていない出力端子に電気自動車を接続しておけば、先に充電中の電気自動車の充電が終了した後に自動的に充電が開始されるので、充電中の電気自動車の充電終了を待つ必要がない。しかしながら、電気自動車と出力端子とが適切に接続されていない場合、または、適切に接続されたとしても、充電が開始されるまでの間に接続状態が適切でなくなった場合、先の電気自動車の充電が終了しても、充電が行われない。一般的に、充電装置の充電ケーブルの先端に配置された充電コネクタを電気自動車のプラグインコネクタに接続することで、充電装置と電気自動車とが接続される。充電コネクタおよびプラグインコネクタには、それぞれ、通信を行うための通信線と電力を供給するための電力線とが配置されている。充電装置は、通信線が導通している場合、接続されていると認識する。したがって、充電コネクタとプラグインコネクタとの接続状態が適切でなく、通信線の接続はできているが、電力線の接続ができていない場合でも、充電装置は電気自動車が接続されたと判断する。
【0003】
バスやタクシーの運行会社、および、多数の営業車を有する営業所など、多数の電気自動車を所有する施設では、多数の電気自動車を充電するための充電装置を備える必要がある。当該充電装置として、特許文献1に開示の充電器を採用した場合、先の電気自動車の充電の終了を待つ必要がない。しかし、接続状態が適切でないが通信線が導通していることで接続が確認され、電力線が接続されていないことに気づかれない場合がある。この場合、先の電気自動車の充電が終了しても充電が行われないので、充電が終わっていると思っていた電気自動車が充電不足で使用できない場合が発生する。このような施設では、営業終了後、夜間に、多数の電気自動車を順次充電することが考えられるが、朝の営業開始時に充電できていないと、営業に支障をきたす可能性がある。これを防ぐためには、接続状態が適切でない場合に接続異常を検出して、表示装置にその旨を表示する必要がある。また、適切に接続された後、充電が開始されるまでの間に接続状態が適切でなくなった場合、操作者は充電装置から離れているので、接続異常を知らせるために、例えば回転灯の発光およびサイレンによる音声出力などの報知を行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-24334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような施設では人の出入りが多いので、充電コネクタとプラグインコネクタとの接続が確認された後、充電が開始されるまでの間に、例えば、誰かが充電ケーブルに引っかかって、接続状態が適切でなくなることが多発する場合がある。この場合、接続異常が検出されるたびにサイレンが鳴り響くので、充電装置の周囲にいる人は煩わしく感じる。
【0006】
本発明は上記した事情のもとで考え出されたものであって、接続異常が検出されたことが報知された場合でも周囲の人が煩わしく感じることを抑制可能な充電装置を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明の第1の側面によって提供される充電装置は、蓄電池の電力で電動機を駆動して移動する電気移動体の前記蓄電池を充電する充電装置であって、直流電力を出力する直流電源部と、前記電気移動体に接続されて、前記直流電源部が出力する直流電力を当該電気移動体に供給する充電コネクタと、前記直流電源部を制御して充電を行う制御部と、報知を行う報知部と、を備え、前記制御部は、前記充電コネクタの接続異常を検出した場合、状況に応じて報知方法を変更して、前記報知部に接続異常を報知させる。
【0009】
なお、「電気移動体」は、蓄電池の電力で電動機を駆動して移動する移動体であって、いわゆる電気自動車だけでなく、ハイブリッド車なども含まれる。また、「電気移動体」は、いわゆる自動車だけでなく、二輪車、船舶、飛行機などの他の乗り物、または、無人搬送車、ドローンなどの無人移動体も含まれる。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記制御部は、時間帯によって前記報知方法を変更する。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、周囲に人がいるか否かを検出する人感センサをさらに備え、前記制御部は、前記人感センサが人がいることを検出している場合と、人がいないことを検出している場合とで、前記報知方法を変更する。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記制御部は、前記接続異常の検出頻度に応じて、前記報知方法を変更する。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記制御部は、前回の前記接続異常の検出における、異常が解消されるまでの解消時間に応じて、前記報知方法を変更する。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記報知部は、発光により報知を行う発光報知部と、音声による報知を行う音声報知部と、を備え、前記制御部は、状況に応じて、前記発光報知部および前記音声報知部による報知と、前記発光報知部だけによる報知とを変更する。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記報知部は、発光により報知を行う発光報知部と、音声による報知を行う音声報知部と、メール送信による報知を行う通信報知部と、を備え、前記制御部は、状況に応じて、前記発光報知部および前記音声報知部による報知と、前記発光報知部だけによる報知と、前記通信報知部による報知とを変更する。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記制御部は、前記電気移動体が前記充電コネクタに接続されてから充電を開始するまでの間、第1時間ごとに、前記直流電源部に第2時間の間だけ電流を出力させる指令を行い、当該指令に応じた電流が流れない場合に、前記接続異常を検出する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、制御部は、接続異常を検出した場合、状況に応じて報知方法を変更して、報知部に接続異常を報知させる。したがって、周囲に人が少ない場合などには発光による報知と音声による報知とを併用するなどして接続異常を知らせることに重点を置き、周囲に人が多い場合などには音声による報知を行わず、発光による報知だけにするなどして周囲の人に煩わしさを感じにくくさせることができる。
【0018】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係る充電装置を備えた充電システムの全体構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係る充電開始処理を説明するためのフローチャートの一例である。
図3】第1実施形態の変形例に係る充電開始処理を説明するためのフローチャートの一例である。
図4】(a)は第2実施形態に係る充電装置の構成を示すブロック図であり、(b)は第2実施形態に係る充電開始処理を説明するためのフローチャートの一例である。
図5】第3実施形態に係る充電装置の構成を示すブロック図である。
図6】第4実施形態に係る充電装置を備えた充電システムの全体構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0021】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る充電装置A1を備えた充電システムBの全体構成を示すブロック図である。
【0022】
充電システムBは、たとえばバスの運行会社、タクシーの運行会社、および、多数の営業車を有する営業所など、多数の電気自動車2を所有する施設に設けられ、電気自動車2の充電を行うための設備である。電気自動車2は、動力源としての電動機および電動機に電力を供給する蓄電池21を備えた自動車であり、電動機のみを動力源とするいわゆる電気自動車だけでなく、内燃機関が併設されたハイブリッド車なども含まれる。充電システムBは、複数の充電装置A1および上位機器9を備えている。なお、充電システムBが備える充電装置A1は、1台であってもよい。
【0023】
上位機器9は、各充電装置A1、および、施設が備えている図示しない各設備のエネルギーマネジメントを行う機器である。各設備には、たとえば太陽光発電システムなどの発電システム、電力を蓄電する蓄電池を備えた蓄電システム、および、施設が備えている各種負荷などが含まれる。上位機器9は、充電装置A1および各設備から情報を入力され、施設全体での効率の良いエネルギーの利用を行うために、各設備の制御を行う。たとえば、上位機器9は、電力の需要が大きく、単価が高い昼間にはできるだけ電力の消費を抑制するために、すぐに行う必要がない電気自動車2の充電を、電力の需要が小さく、電力の単価が低い夜間に行わせる。また、上位機器9は、電力会社が提供する時間帯による供給力と使用電力予測に基づき、各充電装置A1のエネルギーマネジメントを行なうことにより、電力需給ひっ迫への対応にも貢献できる。
【0024】
充電装置A1は、施設の駐車場などに配置され、電気自動車2の充電を行う。充電装置A1は、いわゆる大容量タイプの急速充電装置であり、たとえば50kWの電力を出力して急速充電を行う。充電装置A1は、直流電源部11、切替部12、通信部13、操作部14、表示部15、報知部16、制御部17、電力線12a,12b、通信線13a,13b、および充電ケーブル19a,19bを備えている。
【0025】
直流電源部11は、制御部17からの指令に応じて、直流電力を出力する構成である。直流電源部11は、たとえば、コンバータおよび平滑回路を備えている。コンバータは、制御部17からの指令に応じて、電力系統から入力される交流電力を直流電力に変換する。平滑回路は、コンバータが出力する直流電力を平滑して出力する。なお、直流電源部11の具体的な構成は限定されず、直流電力を出力できればよい。たとえば、直流電源部11は、電力系統から入力される交流電圧を昇圧する変圧器を備えてもよい。直流電源部11は、制御部17から充電開始指令を入力された場合、第1電流を出力し、接続時通電確認指令を入力された場合、第2電流を出力する。第1電流の電流値はたとえば定格電流値(たとえば200A)であり、第2電流の電流値は第1電流より小さい電流値(たとえば6A)である。なお、第1電流および第2電流の電流値は限定されない。
【0026】
切替部12は、直流電源部11が出力する直流電力の出力先を、制御部17からの指令に応じて切り替える。切替部12は、直流電力の出力先を充電ケーブル19aに配置された電力線12aとする第1状態と、充電ケーブル19bに配置された電力線12bとする第2状態とで切り替える。切替部12は、直流電源部11と電力線12aとを接続する接続線に配置された第1開閉器と、直流電源部11と電力線12bとを接続する接続線に配置された第2開閉器とを備えている。切替部12は、第1開閉器を閉路状態にし、第2開閉器を開路状態にすることで第1状態とし、第1開閉器を開路状態にし、第2開閉器を閉路状態にすることで第2状態とする。なお、切替部12の具体的な構成は限定されず、第1状態と第2状態とを切り替えることができればよい。
【0027】
通信部13は、電気自動車2との間で通信を行う。通信部13は、充電ケーブル19aに配置された通信線13aを介して、充電ケーブル19aに接続された電気自動車2と通信を行い、充電ケーブル19bに配置された通信線13bを介して、充電ケーブル19bに接続された電気自動車2と通信を行う。通信部13は、各電気自動車2と、たとえばCAN(Controller Area Network)通信の規格に応じて通信を行う。なお、通信規格は限定されない。通信部13は、各電気自動車2から、蓄電池21の容量、および、現在の充電率(SoC:State of Charge)などの情報を受信する。なお、通信部13と各電気自動車2との間で送受信される情報は限定されない。
【0028】
充電ケーブル19aは、電力線12aおよび通信線13aが配置されている。充電ケーブル19bは、電力線12bおよび通信線13bが配置されている。充電ケーブル19aおよび充電ケーブル19bはそれぞれ、先端に配置された充電コネクタ191を電気自動車2のプラグインコネクタ22に接続することで、電気自動車2と接続される。充電ケーブル19a(19b)が接続された電気自動車2は、電力線12a(12b)を介して直流電源部11から供給される電力によって、蓄電池21を充電される。
【0029】
表示部15は、たとえば液晶表示装置であるディスプレイを備え、制御部17からの指令に応じて、各種表示を行う。表示部15は、たとえば、操作の方法および注意点、ならびに警告などの表示を行う。
【0030】
操作部14は、複数の操作手段を備えており、操作者による各操作手段の操作を操作信号として制御部17に出力する。操作手段としては、充電の開始を指示するスタートボタン、充電を停止させるストップボタン、非常停止ボタン、ディスプレイの表面に配置された操作パネルなどがある。なお、操作部14が備える操作手段は、これに限定されない。
【0031】
報知部16は、制御部17からの指令に応じて、各種報知を行う。報知部16は、発光報知部161、音声報知部162、および通信報知部163を備えている。
【0032】
発光報知部161は、発光報知手段を備えており、制御部17からの指令に応じて当該発光報知手段を発光させることで、報知を行う。本実施形態では、発光報知部161は、発光報知手段として例えば回転灯を備えており、制御部17からの指令に応じて、回転灯を回転放光させる。なお、発光報知部161が備える発光報知手段は限定されず、例えば、回転せずに強い光を発するだけのフラッシュライトなどであってもよい。
【0033】
音声報知部162は、音声報知手段を備えており、制御部17からの指令に応じて当該音声報知手段から音声を出力させることで、報知を行う。本実施形態では、音声報知部162は、音声報知手段として例えばサイレンを備えており、制御部17からの指令に応じて、音声を出力させる。なお、音声報知部162が備える音声報知手段は限定されず、例えばブザーや音声を出力するスピーカなどであってもよい。
【0034】
通信報知部163は、制御部17からの指令に応じて、通信により報知を行う。本実施形態では、通信報知部163は、図示しない通信回線を介して、登録されたメールアドレスあてに、報知内容が記載されたメールを送信する。なお、通信方法は限定されない。また、通信報知部163は、メールを送信するのではなく、登録された電話番号に電話をかけて報知内容を知らせてもよい。
【0035】
制御部17は、充電装置A1の制御を行う構成であり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御部17は、操作部14より入力される操作信号に応じて、所定の処理を行う。また、制御部17は、通信部13による通信、表示部15での表示、および、報知部16での報知を制御する。また、制御部17は、直流電源部11による直流電力の出力、および、切替部12の切り替えを制御する。
【0036】
制御部17は、通信部13を介して電気自動車2と通信を行うことで、充電コネクタ191とプラグインコネクタ22との接続を確認する。制御部17は、充電コネクタ191とプラグインコネクタ22との接続状態が適切でなく、通信線13a(13b)の接続はできているが、電力線12a(12b)の接続ができていない、または接続が不十分である場合でも、接続されていると判断する。制御部17は、充電コネクタ191の接続後すぐに充電を開始できる場合、充電開始指令を直流電源部11に出力する。直流電源部11は、充電開始指令に応じて第1電流を出力する。この場合、電力線12a(12b)の接続ができていない、または、接続が不十分であると、直流電源部11は、指令に応じた電流を出力できない。したがって、制御部17は、充電コネクタ191とプラグインコネクタ22との接続状態が適切でないと判断し、電流の出力を停止させて、接続状態が適切でない旨を表示部15のディスプレイに表示させる。ディスプレイの表示を見ることで、操作者は、接続状態が適切でないことを知ることができる。
【0037】
しかしながら、充電コネクタ191の接続後すぐに充電を開始できない場合がある。たとえば、充電ケーブル19aの充電コネクタ191が電気自動車2に接続され、当該電気自動車2の充電が行われている最中に、充電ケーブル19bの充電コネクタ191が他の電気自動車2に接続された場合がある。この場合、充電ケーブル19aを介して先に充電を行っている電気自動車2の充電が終了するまで、充電ケーブル19bに接続された電気自動車2の充電は開始されない。また、上位機器9によるエネルギーマネジメントによって、すぐに充電が開始されない場合がある。本実施形態では、充電装置A1による充電において、通常充電モードと計画充電モードとが設定されており、操作者はどちらのモードで充電を行うかを選択する。通常充電モードは、上位機器9によるエネルギーマネジメントと関係なく、できるだけ早く充電を開始させるモードである。通常充電モードでは、他の電気自動車2の充電が行われていない場合はすぐに充電が開始され、他の電気自動車2の充電が行われている場合は当該電気自動車2の充電が終了するとすぐに充電が開始される。一方、計画充電モードは、上位機器9によるエネルギーマネジメントに応じて、充電を開始させるモードである。たとえば、営業終了後などに、電気自動車2を充電装置A1に接続した場合、当該電気自動車2の充電は急ぐ必要がない。この場合、操作者は、計画充電モードを選択する。計画充電モードが選択された場合、電気自動車2の充電はすぐには開始されない。
【0038】
これらの、接続後すぐに充電を開始しない設定のとき、制御部17は、所定時間Tの間だけ第2電流を出力させる接続時通電確認指令を直流電源部11に出力する。所定時間Tは、限定されないが、たとえば10秒程度である。直流電源部11は、接続時通電確認指令に応じて電流を出力する。制御部17は、接続時通電確認指令に応じた電流が流れた場合、接続状態が適切であると判断し、接続時通電確認指令に応じた電流が流れない場合、接続状態が適切でないと判断する。本実施形態では、制御部17は、接続時通電確認指令に応じた電流が流れたか否かを、図示しない電流センサで検出された直流電源部11の出力電流を閾値と比較することで判定する。なお、制御部17は、接続時通電確認指令に応じた電流が流れたか否かを他の方法で判定してもよい。たとえば、電気自動車2が入力される電流を検出して、検出した電流情報を通信線13a(13b)を介して通信部13に送信し、制御部17が受信した電流情報に基づいて判定してもよい。制御部17は、接続状態が適切でないと判断した場合、つまり、接続異常を検出した場合、その旨および接続し直すように促す警告案内を表示部15に表示させる。なお、制御部17は、表示部15での警告案内の表示に代えて、または追加して、報知部16に報知を行わせてもよい。また、警告案内に応じて操作者が接続し直しても接続異常が検出され、接続異常が所定回数(たとえば2回)以上検出された場合、制御部17は、充電コネクタ191などの故障だと判断し、その旨の案内を表示部15に表示させてもよい。
【0039】
また、制御部17は、計画充電モードが選択された場合、接続状態が適切であると判断すると、上位機器9に、電気自動車2の充電をエネルギーマネジメントに組み込む依頼を行う。上位機器9は、依頼に応じて、当該電気自動車2の充電をエネルギーマネジメントに組み込む。上位機器9は、電力需要が低下したときや電力の単価が低下したとき(たとえば営業終了後や夜間など)に、充電装置A1に当該電気自動車2の充電を開始する指令を行う。制御部17は、上位機器9からの指令に応じて充電を開始する。
【0040】
接続後すぐに充電を開始しない設定のときに、接続時に接続状態が適切であると判断された場合でも、充電が開始されるまでの間に接続状態が適切でなくなる場合がある。制御部17は、接続時に接続状態が適切であると判断された場合でも、充電が開始されるまでの間、第1時間T1ごとに接続状態を確認する。本実施形態では、第1時間T1は固定値であり、例えば5分が設定されている。なお、第1時間T1は限定されない。
【0041】
制御部17は、第1時間T1ごとに、第2時間T2の間だけ第3電流を出力させる接続後通電確認指令を直流電源部11に出力する。第2時間T2は、限定されないが、本実施形態では所定時間Tと同じであり、たとえば10秒程度である。第3電流の電流値は限定されないが、本実施形態では、第2電流の電流値(たとえば6A)と同じである。直流電源部11は、接続後通電確認指令に応じて電流を出力する。制御部17は、接続後通電確認指令に応じた電流が流れた場合、接続状態が適切なままであると判断し、接続後通電確認指令に応じた電流が流れない場合、接続状態が適切でなくなったと判断する。本実施形態では、制御部17は、接続後通電確認指令に応じた電流が流れたか否かを、直流電源部11の出力電流を閾値と比較することで判定する。なお、制御部17は、接続後通電確認指令に応じた電流が流れたか否かを他の方法で判定してもよい。
【0042】
制御部17は、接続状態が適切でなくなったと判断した場合、つまり、接続異常を検出した場合、その旨および接続し直すように促す警告案内を表示部15に表示させ、報知部16に報知を行わせる。制御部17が報知部16に行わせる報知方法は、状況に応じて変更される。本実施形態では、制御部17は、時間帯によって、報知方法を変更する。営業時間中(例えば9:00~17:00)に、接続異常が検出される度に音声による報知が行われると煩わしいので、制御部17は、営業時間中に接続異常を検出した場合、音声報知部162による報知を行わずに、発光報知部161による報知だけを行う。また、夜間(例えば21:00~翌日の6:00)は、施設内に人がいなくなるので、発光による報知または音声による報知が行われても、誰も気づかない。制御部17は、夜間に接続異常を検出した場合、発光報知部161および音声報知部162による報知を行わずに、通信報知部163による報知を行う。制御部17は、それ以外の時間帯(6:00~9:00、17:00~21:00)に接続異常を検出した場合、発光報知部161および音声報知部162による報知を行う。なお、時間帯の設定は限定されないし、いずれの時間帯にどの報知方法を用いるかも限定されない。また、3個の時間帯に分けることに限定されず、2個の時間帯に分けてもよいし、4個以上の時間帯に分けてもよい。警告案内に応じて操作者が接続し直した場合、制御部17は、接続時通電確認指令を直流電源部11に出力して、接続時の通電確認を行う。
【0043】
図2は、制御部17が行う充電開始処理を説明するためのフローチャートの一例である。当該充電開始処理は、電気自動車2が接続されたときに、当該電気自動車2への充電を開始するための処理である。当該充電開始処理は、所定のタイミング毎に実行される。
【0044】
まず、電気自動車2が接続されたか否かが判別される(S1)。具体的には、制御部17が通信部13を介して電気自動車2と通信を行う。制御部17は、通信ができた場合は電気自動車2が接続されたと判断し、通信ができない場合は電気自動車2が接続されていないと判断する。電気自動車2が接続されていない場合(S1:NO)、ステップS1に戻って、ステップS1の判別が繰り返される。つまり、電気自動車2が接続されるのを待つ。
【0045】
電気自動車2が接続された場合(S1:YES)、すぐに充電開始可能か否かが判別される(S2)。制御部17は、操作者が通常充電モードを選択し、かつ、他に充電を行っている電気自動車2がない場合に、すぐに充電開始可能と判断する。一方、制御部17は、操作者が計画充電モードを選択しているか、または、他に充電を行っている電気自動車2がある場合に、すぐに充電開始できないと判断する。制御部17は、操作部14から入力される操作信号に基づいて、操作者が通常充電モードおよび計画充電モードのどちらのモードを選択したかを判別する。また、制御部17は、直流電源部11が直流電力を出力しているか否かを判別することで、他に充電を行っている電気自動車2があるか否かを判別する。すぐに充電開始可能である場合(S2:YES)、充電が開始され(S3)、充電開始処理は終了する。具体的には、制御部17が直流電源部11に充電開始指令を出力する。なお、直流電源部11の出力先が電気自動車2が接続されている側になっていなければ、制御部17が切替部12に切替指令を出力して、直流電源部11の出力先が切り替えられた後に、充電が開始される。つまり、すぐに充電開始可能な場合、今回接続された電気自動車2はすぐに充電が開始される。
【0046】
ステップS2において、すぐに充電を開始できない場合(S2:NO)、接続時通電確認が行われる(S4)。具体的には、制御部17が、接続時通電確認指令を直流電源部11に出力して、所定時間Tの間だけ第2電流を出力させる。次に、接続状態が適切であるか否かが判別される(S5)。具体的には、制御部17が接続時通電確認指令に応じた電流が流れたか否かを判別する。接続状態が適切でないと判別された場合(S5:NO)、接続異常を知らせる警告案内が表示部15のディスプレイに表示され(S6)、充電開始処理は終了する。この場合、今回接続された電気自動車2の充電は行われない。警告案内に応じて操作者が接続し直した場合、次に実行された充電開始処理において、電気自動車2の接続が検出される(S1)。ステップS5において、接続状態が適切であると判別された場合(S5:YES)、接続時の接続が良好であると判断される。
【0047】
接続時の接続が良好であると判断されたので、操作者が計画充電モードを選択している場合は、今回接続された電気自動車2の充電がエネルギーマネジメントに組み込まれる。具体的には、制御部17が、上位機器9に、当該電気自動車2の充電をエネルギーマネジメントに組み込む依頼を行う。これに応じて、上位機器9は、当該電気自動車2の充電をエネルギーマネジメントに組み込む。そして、上位機器9は、エネルギーマネジメントに応じて、充電装置A1に当該電気自動車2の充電を開始する指令を行う。また、先に充電を行っている電気自動車2があった場合には、当該電気自動車2の充電が終了した後に、今回接続された電気自動車2の充電が開始される。
【0048】
次に、今回接続された電気自動車2の充電が開始されたか否かが判別される(S7)。エネルギーマネジメントに応じて上位機器9から指令があった場合、または、先に充電を行っていた電気自動車2の充電が終了した場合に、今回接続された電気自動車2の充電が開始される。充電が開始されていない場合(S7:NO)、第1時間T1が経過したか否かが判別される(S8)。第1時間T1が経過していない場合(S8:NO)、ステップS7に戻って、ステップS7およびステップS8の判別が繰り返される。ステップS7において、充電が開始された場合(S7:YES)、充電開始処理は終了する。また、ステップS8において、第1時間T1が経過した場合(S8:YES)、ステップS9~S10に示す接続状態確認処理が実行され、ステップS7に戻る。つまり、接続時の接続が良好であると判断された場合でも、充電が開始されるまで、第1時間T1ごとに接続状態確認処理が実行される。
【0049】
接続状態確認処理では、接続後通電確認が行われる(S9)。具体的には、制御部17が、接続後通電確認指令を直流電源部11に出力して、第2時間T2の間だけ第3電流を出力させる。次に、接続状態が適切であるか否かが判別される(S10)。具体的には、制御部17が接続後通電確認指令に応じた電流が流れたか否かを判別する。接続状態が適切でないと判別された場合(S10:NO)、ステップS11~S16に示す異常警告処理が行われ、充電開始処理は終了する。この場合、今回接続された電気自動車2の充電は行われない。一方、接続状態が適切であると判別された場合(S10:YES)、ステップS7に戻って、ステップS7およびステップS8の判別が繰り返される。なお、他に充電を行っている電気自動車2がある場合には、ステップS9の前に、充電がいったん停止され、出力先が現在の出力先から他方の出力先に切り替えられる。また、ステップS10の後に、出力先が現在の出力先から元の出力先に切り替えられて充電が再開される。
【0050】
異常警告処理では、まず、接続異常を知らせる警告案内が表示部15のディスプレイに表示される(S11)。次に、営業時間か否かが判別される(S12)。具体的には、制御部17が、現在時刻に基づいて営業時間であるか否かを判別する。営業時間である場合(S12:YES)、発光による報知が行われる(S13)。具体的には、制御部17が発光報知部161に指令を行い、これに応じて発光報知部161が回転灯を回転放光させる。一方、営業時間でない場合(S12:NO)、夜間か否かが判別される(S14)。夜間である場合(S14:YES)、メールによる報知が行われる(S15)。具体的には、制御部17が通信報知部163に指令を行い、これに応じて通信報知部163がメールを送信する。一方、夜間でない場合(S14:NO)、発光による報知および音声による報知が行われる(S16)。具体的には、制御部17が発光報知部161および音声報知部162に指令を行い、これに応じて発光報知部161が回転灯を回転放光させ、音声報知部162がサイレンに音声を出力させる。なお、図2のフローチャートに示す処理は一例であって、制御部17が行う充電開始処理は上述したものに限定されない。
【0051】
次に、本実施形態に係る充電装置A1および充電システムBの作用および効果について説明する。
【0052】
本実施形態によると、制御部17は、営業時間中に接続異常を検出した場合、音声報知部162による報知を行わずに、発光報知部161による報知だけを行う。周囲に人が多い営業時間中には、音声による報知が行われないので、接続異常が検出されたことが報知された場合でも、周囲の人が煩わしく感じることが抑制される。また、制御部17は、営業時間中および夜間以外の時間帯に接続異常を検出した場合、発光報知部161および音声報知部162による報知を行う。周囲に人が少ない時間帯には、発光による報知と音声による報知とを併用することで、接続異常を確実に知らせることができる。このように、充電装置A1は、接続異常を検出した場合、状況に応じて報知方法を変更して接続異常を報知できるので、報知により接続異常に気付かせることができ、かつ、報知により周囲の人が煩わしく感じることを抑制できる。
【0053】
また、本実施形態によると、制御部17は、夜間に接続異常を検出した場合、通信報知部163による報知を行う。施設内に人がいなくなる夜間に、発光による報知または音声による報知が行われても、誰も気づかない。しかし、通信報知部163により、報知内容が記載されたメールが送信されるので、メールを受信した担当者は、対応することができる。夜間は施設内に人おらず、誰かが充電ケーブルに引っかかることはないので、接続異常が検出された場合、電力線の劣化や充電コネクタ191などの故障が疑われる。または、不法侵入者が充電ケーブルに引っかかったことも考えられる。これらに対応するためにも、接続異常をメールにより担当者に確実に知らせることは意味がある。
【0054】
また、本実施形態によると、制御部17は、接続時に接続状態が適切であると判断された場合でも、充電が開始されるまでの間、第1時間T1ごとに接続状態を確認する。したがって、本実施形態に係る充電装置A1は、接続後、充電が開始されるまでの間に接続状態が適切でなくなった場合でも接続異常を検出できる。
【0055】
また、本実施形態によると、制御部17は、他に充電を行っている電気自動車2がある場合、当該電気自動車2の充電が終了するまでの間、第1時間T1ごとに、当該電気自動車2の充電をいったん停止させ、出力先を現在の出力先から他方の出力先に切り替えた後で、通電確認を行う。したがって、充電装置A1は、適切に通電確認を行うことができる。また、通電確認後、制御部17は、出力先を現在の出力先から元の出力先に切り替えて、充電を再開させる。これにより、充電装置A1は、先に充電が行われていた電気自動車2の充電を再開できる。
【0056】
なお、本実施形態においては、制御部17が時間帯によって報知方法を変更する場合について説明したが、これに限られない。制御部17は、その他の状況に応じて報知方法を変更してもよい。例えば、制御部17は、接続異常の検出頻度に応じて、報知方法を変更してもよい。接続異常の検出頻度が多くなると、接続異常が検出される度に音声による報知が行われると煩わしい。制御部17は、例えば1日の接続異常が検出された回数をカウントして、所定回数までは発光報知部161および音声報知部162による報知を行い、カウント数が所定回数以上になると、発光報知部161だけの報知に変更してもよい。なお、所定回数は限定されない。
【0057】
図3(a)は、1日の接続異常の検出回数に応じて報知方法を変更する変形例を説明するための図であり、当該変形例に係る充電開始処理を説明するためのフローチャートの一例である。本変形例では、図2に示すフローチャートにおいて、ステップS10で「NO」の場合にステップS11に進む前にステップS21が追加され、ステップS11~S16の異常警告処理が変更になっている。その他のステップS1~S10については、図2に示すフローチャートと共通なので、図示および説明を省略している。ステップS10において、接続状態が適切でないと判別された場合(S10:NO)、判別回数をカウントする変数であるカウンタCが増加される(S21)。なお、カウンタCは、1日の始まり(例えば0時)に「0」に初期化される。異常警告処理では、まず、接続異常を知らせる警告案内が表示部15のディスプレイに表示される(S11)。次に、カウンタCが所定回数C0以上であるか否かが判別される(S22)。カウンタCが所定回数C0未満である場合(S22:NO)、発光による報知および音声による報知が行われる(S16)。一方、カウンタCが所定回数C0以上になった場合(S22:YES)、発光による報知だけが行われる(S13)。
【0058】
本変形例の場合、接続異常の検出回数が少ない間は、発光による報知および音声による報知が行われるが、接続異常の検出回数が多くなって所定回数C0以上になると、音声による報知が行われず、発光による報知だけが行われる。したがって、接続異常の検出頻度が多くなった場合でも、報知による周囲の人の煩わしさが抑制される。なお、1日の接続異常の検出回数に応じて報知方法を変更することに限定されず、例えば1時間当たりの検出回数に応じて報知方法を変更してもよい。また、報知方法をどのように変更するかも限定されない。
【0059】
また、制御部17は、例えば、接続異常の検出から異常が解消されるまでの時間に応じて、報知方法を変更してもよい。異常が解消されるまでの時間が短い場合、周囲にすぐに対応した人がいると考えられ、異常が解消されるまでの時間が長い場合、周囲に人がおらず、対応に時間がかかったと考えられる。制御部17は、毎回、接続異常の検出から異常が解消されるまでの時間(以下では、「解消時間T3」と記載する)を計測して記録しておく。そして、制御部17は、接続異常を検出した場合、前回の解消時間T3が閾値時間T0未満であれば、周囲に人がいるので、発光報知部161だけの報知を行う。一方、前回の解消時間T3が閾値時間T0以上であれば、周囲に人がいないので、発光報知部161および音声報知部162による報知を行う。一方、なお、閾値時間T0は限定されない。
【0060】
図3(b)は、前回の解消時間T3に応じて報知方法を変更する変形例を説明するための図であり、当該変形例に係る充電開始処理を説明するためのフローチャートの一例である。本変形例では、図2に示すフローチャートにおいて、ステップS11~S16の異常警告処理が変更になっている。その他のステップS1~S10については、図2に示すフローチャートと共通なので、図示および説明を省略している。本変形例の異常警告処理では、まず、接続異常を知らせる警告案内が表示部15のディスプレイに表示される(S11)。次に、前回の解消時間T3が閾値時間T0未満であるか否かが判別される(S31)。閾値時間T0未満である場合(S31:YES)、発光による報知だけが行われる(S13)。一方、閾値時間T0以上である場合(S31:NO)、発光による報知および音声による報知が行われる(S16)。
【0061】
本変形例の場合、前回の解消時間T3が小さい場合は、音声による報知が行われないので、周囲にいる人の煩わしさが抑制される。一方、前回の解消時間T3が大きい場合は、発光による報知および音声による報知が行われるので、周囲に人がいなくても接続異常を知らせることができる。
【0062】
また、本実施形態においては、制御部17が、接続後通電確認において接続異常を検出したときに、報知部16に行わせる報知方法を変更する場合について説明したが、これに限られない。制御部17は、接続時通電確認において接続異常を検出したときにも、報知部16に行わせる報知方法を変更してもよい。また、制御部17は、充電開始時に接続異常を検出したときにも、報知部16に行わせる報知方法を変更してもよい。
【0063】
また、本実施形態においては、制御部17は、電流を出力させる指令を行って、指令に応じた電流が流れたか否かで接続異常を検出する場合について説明したが、これに限られない。制御部17による接続異常の検出方法は限定されない。
【0064】
また、本実施形態においては、充電装置A1が2本の充電ケーブル19aおよび充電ケーブル19bを備えて、2台の電気自動車2を切り替えて充電する場合について説明したが、これに限られない。充電装置A1は、充電ケーブルを3本以上備えて、切替部12の切り替えにより、3台以上の電気自動車2を切り替えて充電してもよい。
【0065】
また、本実施形態においては、充電装置A1が電気自動車2を充電する場合について説明したが、これに限られない。充電装置A1は、電気自動車2以外の移動体を充電してもよい。この移動体の他の例として、たとえば二輪車(電動オートバイ、電動アシスト自転車)、船舶、飛行機などの他の乗り物、または、無人搬送車、ドローンなどの無人移動体などが考えられる。
【0066】
また、本実施形態においては、充電装置A1が大容量タイプの急速充電装置である場合について説明したが、これに限られない。充電装置A1は、たとえば20kW出力の中容量タイプの急速充電装置であってもよいし、普通充電装置であってもよい。
【0067】
また、本実施形態においては、充電システムBが上位機器9によるエネルギーマネジメントが行われる場合について説明したが、これに限られない。充電システムBは、上位機器9を備えなくてもよい。この場合でも、夜間に充電を行う設定をしていると、昼間に接続を行っても、すぐには充電が開始されない。また、先に他の電気自動車2に充電が行われている場合も、すぐには充電が開始されない。これらの、接続後すぐに充電を開始しない設定のときに、接続時に接続状態が適切であると判断されたが、充電が開始されるまでの間に接続状態が適切でなくなった場合でも、接続異常を検出できる。
【0068】
〔第2実施形態〕
図4は、第2実施形態に係る充電装置A2を説明するための図である。図4(a)は、充電装置A2の構成を示すブロック図である。図4(b)は、第2実施形態に係る充電開始処理を説明するためのフローチャートの一例である。図4において、上記第1実施形態と同一または類似の要素には、上記第1実施形態と同一の符号を付している。また、図4(b)においては、第1実施形態に係るフローチャート(図2参照)と共通する部分を省略している。本実施形態に係る充電装置A2は、人感センサ18をさらに備えている点で、第1実施形態に係る充電装置A1と異なる。
【0069】
第2実施形態に係る充電装置A2は、人感センサ18をさらに備えている。人感センサ18は、周囲に人がいるか否かを検出するセンサである。人感センサ18は、たとえば赤外線センサを備え、人が発する赤外線を感知することで、周囲に人がいることを検出する。なお、人感センサ18の検出方法は限定されず、音感センサまたは超音波センサを利用して検出してもよい。人感センサ18は、充電装置A2の周囲にいる人を検知する。人感センサ18は、検出結果を制御部17に出力する。制御部17は、人感センサ18が人がいることを検出している場合と、人がいないことを検出している場合とで、報知方法を変更する。例えば、本実施形態では、制御部17は、人感センサ18が人がいることを検出している場合には、音声による報知がなくても発光による報知で気付かせることができるので、発光報知部161だけの報知を行う。一方、制御部17は、人感センサ18が人がいないことを検出している場合には、発光による報知だけでは気付かれない可能性があるので、発光報知部161および音声報知部162による報知を行う。なお、各報知方法は限定されない。
【0070】
図4(b)に示すフローチャートは、図2に示すフローチャートにおいて、ステップS11~S16の異常警告処理が変更になっている。その他のステップS1~S10については、図2に示すフローチャートと共通なので、図示および説明を省略している。第2実施形態に係る異常警告処理では、まず、接続異常を知らせる警告案内が表示部15のディスプレイに表示される(S11)。次に、人感センサ18が人がいることを検出しているか否かが判別される(S41)。人がいることを検出している場合(S41:YES)、発光による報知だけが行われる(S13)。一方、人がいないことを検出している場合(S41:NO)、発光による報知および音声による報知が行われる(S16)。
【0071】
本実施形態によると、制御部17は、人感センサ18が人がいることを検出している場合、音声報知部162による報知を行わずに、発光報知部161による報知だけを行う。充電装置A2の周囲に人がいるが音声による報知が行われないので、接続異常が検出されたことが報知された場合でも、周囲にいる人の煩わしさが抑制される。また、制御部17は、人感センサ18が人がいないことを検出している場合、発光報知部161および音声報知部162による報知を行う。充電装置A2の周囲に人がいなくても、発光による報知と音声による報知とを併用することで、接続異常を確実に知らせることができる。また、充電装置A2は、充電装置A1と共通する構成をとることにより、充電装置A1と同等の効果を奏する。
【0072】
〔第3実施形態〕
図5は、第3実施形態に係る充電装置A3の構成を示すブロック図である。図5において、上記第1実施形態と同一または類似の要素には、上記第1実施形態と同一の符号を付している。本実施形態に係る充電装置A3は、充電ケーブル19bを備えていない点で、第1実施形態に係る充電装置A1と異なる。
【0073】
第3実施形態に係る充電装置A3は、充電ケーブル19bおよび切替部12を備えておらず、1台の電気自動車2のみが接続可能である。
【0074】
本実施形態に係る充電装置A3においては、充電ケーブル19aの充電コネクタ191が電気自動車2に接続されたときに、他の電気自動車2の充電中であるという状態は発生しない。しかし、充電装置A3においても、上位機器9によるエネルギーマネジメントによって、接続後すぐに充電が開始されない場合がある。このような、電気自動車2が接続されてもすぐに充電を開始しない設定のときに、接続時に接続状態が適切であると判断されたが、充電が開始されるまでの間に接続状態が適切でなくなった場合でも、接続異常を検出できる。
【0075】
〔第4実施形態〕
図6は、第4実施形態に係る充電装置A4を備えた充電システムBの全体構成を示すブロック図である。図6において、上記第1実施形態と同一または類似の要素には、上記第1実施形態と同一の符号を付している。本実施形態に係る充電装置A4は、4台の電気自動車2が接続可能である点で、第1実施形態に係る充電装置A1と異なる。
【0076】
第4実施形態に係る充電装置A4は、直流電源部11’、切替部12’、電力線12c,12d、通信線13c,13d、および、充電ケーブル19c,19dをさらに備えている。直流電源部11’は、直流電源部11と同様の構成であり、制御部17からの指令に応じて、直流電力を出力する。直流電源部11’は、直流電源部11と電力源が共通している。切替部12’は、切替部12と同様の構成であり、直流電源部11’が出力する直流電力の出力先を、制御部17からの指令に応じて切り替える。切替部12’は、直流電力の出力先を充電ケーブル19cに配置された電力線12cとする第3状態と、充電ケーブル19dに配置された電力線12dとする第4状態とで切り替える。また、通信部13は、さらに、充電ケーブル19cに配置された通信線13cを介して、充電ケーブル19cに接続された電気自動車2と通信を行い、充電ケーブル19dに配置された通信線13dを介して、充電ケーブル19dに接続された電気自動車2と通信を行う。
【0077】
充電ケーブル19cは、電力線12cおよび通信線13cが配置されている。充電ケーブル19dは、電力線12dおよび通信線13dが配置されている。充電ケーブル19cおよび充電ケーブル19dも、充電ケーブル19aおよび充電ケーブル19bと同様、先端に充電コネクタ191が配置されている。また、制御部17は、さらに、直流電源部11’による直流電力の出力、および、切替部12’の切り替えを制御する。
【0078】
充電装置A4は、充電装置A1と同様、切替部12が、直流電源部11の出力先を充電ケーブル19aに配置された電力線12aとする第1状態と、充電ケーブル19bに配置された電力線12bとする第2状態とで切り替えることで、2台の電気自動車2を切り替えて充電できる。また、充電装置A4は、切替部12’が、直流電源部11’の出力先を充電ケーブル19cに配置された電力線12cとする第3状態と、充電ケーブル19dに配置された電力線12dとする第4状態とで切り替えることで、2台の電気自動車2を切り替えて充電できる。
【0079】
また、充電装置A4は、2台の電気自動車2を同時に充電することもできる。この場合、制御部17は、電力源の最大出力電力を超えないように、直流電源部11および直流電源部11’を制御する。たとえば、電力源の最大出力電力が120kWの場合、直流電源部11が90kWの出力で先に充電を行っていれば、制御部17は、直流電源部11’の出力電力を30kWまでに制御する。そして、制御部17は、直流電源部11による充電で電気自動車2の蓄電池21の充電率が大きくなって、直流電源部11の出力電力を低下させた場合、直流電源部11’の出力電力をその分だけ上昇させる。電力料金の契約において、夜間の方が昼間より料金が安くなる契約をしている場合、昼間の電力の使用をできるだけ抑制して、夜間に電力を使用したいというニーズがある。制御部17は、このようなニーズに対応するために、充電を行う時間帯によっては、電力源の最大出力電力まで使用しないように制御してもよい。たとえば、制御部17は、直流電源部11の出力電力と直流電源部11’の出力電力との合計出力電力が、充電を行う時間帯によって設定された電力値以下になるように制御を行ってもよい。
【0080】
本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏することができる。さらに、本実施形態によると、充電装置A4は、直流電源部11’をさらに備えているので、2台の電気自動車2を同時に充電することもできる。充電装置A4は、たとえば昼間に電気自動車2の継ぎ足し充電を行う場合、先に行っている電気自動車2の充電の終了を待たずに、2台同時に充電可能である。また、充電装置A4は、営業後の急がない充電の場合、4台の電気自動車2を接続しておき、順に2台ずつ充電を行うことができる。
【0081】
なお、本実施形態においては、充電装置A4が2個の直流電源部11,11’を備えて、2台の電気自動車2を同時に充電できる場合について説明したが、これに限られない。充電装置A4は、直流電源部を3個以上備えて、3台以上の電気自動車2を同時に充電できるように構成されてもよい。
【0082】
本発明に係る充電装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る充電装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0083】
A1~A4:充電装置、11:直流電源部、191:充電コネクタ、16:報知部、161:発光報知部、162:音声報知部、163:通信報知部、17:制御部、18:人感センサ、2:電気自動車、21:蓄電池
図1
図2
図3
図4
図5
図6