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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042880
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】眼科装置及びグリップ
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/00 20060101AFI20240322BHJP
   A61B 3/10 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
A61B3/00
A61B3/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147799
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】森崎 宏幸
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA03
4C316AA13
4C316AA20
4C316AA24
4C316FC01
(57)【要約】
【課題】配置面上での安定性を向上可能な眼科装置、及びグリップを提供する。
【解決手段】装置本体(測定ヘッド14)と、配置面9a(テーブル9)に配置され、装置本体(測定ヘッド14)が設けられているベース11と、ベース11に直接取り付けられ、被検者が把持するグリップ16と、を備える。被検者が椅子から立ち上がる場合、或いは眼科装置10による被検眼の各種眼特性の取得中或いは被検眼の各種処置中(被検者の着席中)に、被検者がグリップ16を把持することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
配置面に配置され、前記装置本体が設けられているベースと、
前記ベースに直接取り付けられ、被検者が把持するグリップと、
を備える眼科装置。
【請求項2】
前記グリップが、左右方向に離間して一対設けられている請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
前記グリップが、被検者が把持するグリップ本体と、前記グリップ本体を前記ベースの底面に取り付ける取付部と、を含み、
前記取付部が前記底面に対して変位自在に取り付けられており、左右の前記グリップ本体の前記左右方向の間隔が調整可能である請求項2に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記グリップが、被検者が把持するグリップ本体と、前記グリップ本体を前記ベースの底面に取り付ける取付部と、を含み、
前記ベースが、前記グリップ本体を収納及び取り出し可能な収納部を備え、
前記底面に対して前記取付部が、前記グリップ本体を前記収納部内に収納した収納位置と前記収納部の外側に配置した使用位置とに変位可能に取り付けられている請求項1に記載の眼科装置。
【請求項5】
前記グリップが、左右方向に離間して一対設けられており、
前記ベースが、左右の前記グリップ本体ごとに個別の前記収納部を備える請求項4に記載の眼科装置。
【請求項6】
前記取付部が、前記底面に対して上下方向に平行な回転軸の軸周り方向に回転自在に取り付けられている請求項3から5のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項7】
前記グリップが、1つ又は左右方向に離間して一対設けられており、
前記グリップが、前記ベースに対して固定されている請求項1に記載の眼科装置。
【請求項8】
前記グリップが、被検者が把持するグリップ本体と、前記グリップ本体を前記ベースの底面に取り付ける取付部と、を含み、
前記グリップ本体が、上下方向に延びた形状を有しており、前記上下方向の長さを調整可能である請求項1から5、7のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項9】
前記ベースを、前記配置面に固定する固定部を備える請求項1から5、7のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項10】
装置本体と、配置面に配置され、前記装置本体が設けられているベースと、を備える眼科装置の被検者が把持するグリップにおいて、
前記ベースに直接取り付けられるグリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配置面上に配置されるベースを備える眼科装置、及びグリップに関する。
【背景技術】
【0002】
眼科では、眼科装置を用いて被検眼の眼屈折力、眼圧、及び角膜内皮細胞の数などの各種の眼特性の取得(測定、撮影、及び観察等)を行う。眼科装置は、テーブル(検査台)の上面などの配置面上に配置されるベース(架台ともいう)と、ベース上に設けられた顔支持部及び装置本体(ヘッド)と、を備える。また、特許文献1に記載の眼科装置は、ベースを左右方向な回転軸を中心として揺動自在に保持するスタンドを備える。これにより、被検者が顔支持部に形成されたグリップハンドルを把持してベースを揺動させることで、装置本体の仰角を任意に変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-139527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
眼科装置による被検眼の各種眼特性の取得後に被検者が椅子から立ち上がる際に、被検者が顔支持部の支柱を取手(手すり)と誤解して把持することがある。また、上記特許文献1に記載の眼科装置のように顔支持部にグリップハンドルが形成されている場合には、このグリップハンドルを把持しながら被検者が椅子から立ち上がるおそれがある。近年、眼科装置の小型化及び軽量化が進んでいるので、眼科装置の配置面上での安定性をより向上させることが要望されている。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、配置面上での安定性を向上可能な眼科装置、及びグリップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的を達成するための眼科装置は、装置本体と、配置面に配置され、装置本体が設けられているベースと、ベースに直接取り付けられ、被検者が把持するグリップと、を備える。
【0007】
この眼科装置によれば、被検者が椅子から立ち上がる場合、或いは眼科装置による被検眼の各種眼特性の取得中或いは被検眼の各種処置中(被検者の着席中)に、被検者がグリップを把持することができる。
【0008】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、グリップが、左右方向に離間して一対設けられている。これにより、被検者が両手でグリップを把持することができる。
【0009】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、グリップが、被検者が把持するグリップ本体と、グリップ本体をベースの底面に取り付ける取付部と、を含み、取付部が底面に対して変位自在に取り付けられており、左右のグリップ本体の左右方向の間隔が調整可能である。これにより、被検者ごとにグリップ本体の左右方向の間隔を調整可能である。
【0010】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、グリップが、被検者が把持するグリップ本体と、グリップ本体をベースの底面に取り付ける取付部と、を含み、ベースが、グリップ本体を収納及び取り出し可能な収納部を備え、底面に対して取付部が、グリップ本体を収納部内に収納した収納位置と収納部の外側に配置した使用位置とに変位可能に取り付けられている。これにより、グリップを使用しない場合にはグリップ本体を収納部に収納することができるので、グリップ本体が邪魔になることが防止される。
【0011】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、グリップが、左右方向に離間して一対設けられており、ベースが、左右のグリップ本体ごとに個別の収納部を備える。これにより、グリップを使用しない場合にはグリップ本体を収納部に収納することができるので、グリップ本体が邪魔になることが防止される。
【0012】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、取付部が、底面に対して上下方向に平行な回転軸の軸周り方向に回転自在に取り付けられている。
【0013】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、グリップが、1つ又は左右方向に離間して一対設けられており、グリップが、ベースに対して固定されている。
【0014】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、グリップが、被検者が把持するグリップ本体と、グリップ本体をベースの底面に取り付ける取付部と、を含み、グリップ本体が、上下方向に延びた形状を有しており、上下方向の長さを調整可能である。これにより、被検者ごとにグリップ本体の上下方向の間隔を調整可能である。
【0015】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、ベースを、配置面に固定する固定部を備える。これにより、眼科装置の配置面上での安定性をより高めることができる。
【0016】
本発明の目的を達成するためのグリップは、装置本体と、配置面に配置され、装置本体が設けられているベースと、を備える眼科装置の被検者が把持するグリップにおいて、ベースに直接取り付けられる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、配置面上での眼科装置の安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】眼科装置を被検者側から見た正面図である。
図2】第1実施形態のベースの底面図である。
図3】左右のグリップ本体のX方向(左右方向)の間隔調整を説明するための説明図である。
図4】左右のグリップの拡大図である。
図5】第2実施形態の眼科装置のベースの底面図であり、左右のグリップ本体が収納位置にある状態を示した図である。
図6】第2実施形態の眼科装置のベースの底面図であり、左右のグリップ本体が使用位置にある状態を示した図である。
図7】第3実施形態の眼科装置のベースの底面図である。
図8】第3実施形態の眼科装置のベースの底面図であり、左右のグリップ本体が収納位置にある状態を示した図である。
図9】第4実施形態の眼科装置の正面図である。
図10】第4実施形態の眼科装置のベースの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
図1は、眼科装置10を被検者側から見た正面図である。なお、図中の互いに直交するXYZ方向(3軸方向)のうちで、Y方向は上下方向であり、Z方向は被検者(被検眼)に近づく前方向と被検者から遠ざかる後方向とに平行な前後方向(作動距離方向ともいう)であり、X方向は上下方向及び前後方向の双方に垂直な左右方向である。
【0020】
眼科装置10は、被検眼の眼圧値、眼屈折力、及び角膜曲率等の眼特性を測定可能な複合機である。この眼科装置10は、ベース11と、顔支持部12と、駆動機構13と、測定ヘッド14(装置本体)と、モニタ15と、グリップ16と、を備える。
【0021】
ベース11は、テーブル9(検査台、測定台、ステージともいう)の上面を配置面9aとしてこの配置面9a上に配置されている。ベース11上には、駆動機構13により保持された測定ヘッド14が設けられている。また、ベース11上には、駆動機構13及び測定ヘッド14のZ方向前方側の位置に顔支持部12が設けられ、駆動機構13及び測定ヘッド14のZ方向後方側の位置に不図示の操作レバーが設けられている。
【0022】
顔支持部12は、基部20と、顎受け部22と、一対の支柱24と、額当て部26と、を備える。基部20は、駆動機構13及び測定ヘッド14に対してZ方向前方側の位置でベース11に固定されており、このベース11からZ方向上側に延びた形状を有する。
【0023】
顎受け部22は、基部20の上端部に設けられており、不図示のアクチュエータにより基部20に対してY方向(上下方向)に移動可能である。顎受け部22は、被検者の顎を支持する。
【0024】
一対の支柱24は、基部20の上端部の中で顎受け部22の左右両側(X方向両側)の位置に設けられ、この顎受け部22よりもY方向上方に延びた形状を有する。額当て部26は、一対の支柱24の上端部に設けられており、被検者の額に当接する。
【0025】
駆動機構13は、例えばモータ等の不図示のアクチュエータにより構成されている。この駆動機構13は、ベース11に対して測定ヘッド14をXYZ方向に移動させる。これにより、被検眼に対して測定ヘッド14をXYZ方向に相対移動させることができる。その結果、駆動機構13を駆動することで、被検眼に対する測定ヘッド14のXYZ方向のアライメントが可能になる。
【0026】
測定ヘッド14には、非接触式眼圧計14A及びオートレフケラトメータ14Bを含む複数種類の眼科用の各種測定装置が設けられている。なお、非接触式眼圧計14A及びオートレフケラトメータ14Bの構成については公知技術であるので、ここでは具体的な説明は省略する。
【0027】
モニタ15は、例えばタッチパネル式モニタが用いられ、測定ヘッド14に対して2軸の回転軸により回転自在に保持されている。モニタ15には、測定ヘッド14により取得された被検眼の観察像、被検眼の眼特性(眼圧値、眼屈折力、及び角膜曲率等)の測定結果、各種設定を行うための設定メニュー画面、及び各種操作を行うための操作メニュー画面などが表示される。
【0028】
グリップ16(取手、把持部、ハンドル、柄、握りともいう)は、X方向(左右方向)に離間して一対設けられており、ベース11に対して直接取り付けられる。ここでいう「直接取り付け」とは、グリップ16が、ベース11に設けられている顔支持部12、駆動機構13、及び測定ヘッド14ではなく、ベース11自体に取り付けられていることを示す。左右のグリップ16は、眼科装置10による被検眼の眼特性の測定時(椅子に着座中)、及びこの眼特性の測定後に被検者が椅子から立ち上がる時に被検者(特に高齢者)により把持される。従って、グリップ16は、眼特性の測定中の被検者の姿勢を安定させる姿勢安定補助具、及び被検者が椅子から立ち上がる時の立ち上がり(支援)補助具として機能する。
【0029】
左右のグリップ16は、それぞれグリップ本体30と取付部32とを含む。グリップ本体30は、Y方向(上下方向)に延びた形状を有しており、被検者により把持される。
【0030】
取付部32は、配置面9a(ZX面)に略平行な長板形状に形成されており、グリップ本体30をベース11の底面に取り付けるための部材である。取付部32の長手方向一端部にはグリップ本体30が設けられている。また、取付部32の長手方向他端部はベース11の底面に取り付けられる。
【0031】
図2は、第1実施形態のベース11の底面図である。図2に示すように、ベース11の底面には例えば金属製で且つ矩形状の底板40が形成されている。また、この底板40上には略円柱状の4個の脚部42が設けられている。なお、脚部42の形状、数、及び配置については特に限定はされないが、本実施形態では、少なくとも2個の円柱状の脚部42が底板40のZ方向前方側のコーナ部にそれぞれ設けられているものとする。以下、底板40のZ方向前方側のコーナ部にそれぞれ設けられている2個の脚部42を「柱状脚部42A」という。
【0032】
ベース11を配置面9aに配置した場合には、各脚部42が配置面9aに接触することで、配置面9aと底板40との間に取付部32を配置可能なスペースが形成される。
【0033】
左右のグリップ16の取付部32の長手方向他端部は、底板40の左右の柱状脚部42Aに対してそれぞれ回転自在(変位自在)に取り付けられている。この場合に各柱状脚部42Aは、Y方向(上下方向)に平行な回転軸として機能する。これにより、左右のグリップ本体30をそれぞれ対応する柱状脚部42Aを中心として回転変位させることできる(図中の矢印A参照)。
【0034】
図3は、左右のグリップ本体30のX方向(左右方向)の間隔調整を説明するための説明図である。図3に示すように、左右のグリップ本体30をそれぞれ対応する柱状脚部42Aを中心として回転変位させることで、左右のグリップ本体30のX方向の間隔であるX方向間隔Wを任意に調整することができる。これにより、X方向間隔Wを被検者ごとに適切な間隔に調整することができる。
【0035】
なお、左右のグリップ本体30の一方を任意角度で回転させた場合に、左右のグリップ本体30の他方を逆方向に同じ角度だけ回転させるような連動機構を設けてもよい。これにより、左右のグリップ本体30の一方を回転させるだけで他方も逆方向に同じ角度だけ回転させることができる。
【0036】
また、左右のグリップ本体30をそれぞれ柱状脚部42Aに回転自在に取り付けているが、例えば、底板40のZ方向前方側の端部(コーナ部等)に別途にX方向に離間した一対のY回転軸部を設け、各Y回転軸部に左右のグリップ本体30をそれぞれ回転自在に取り付けてもよい。なお、本実施形態では、既存の柱状脚部42Aを回転軸として利用することで、部品数の増加が抑えられ、低コスト化が図れる。
【0037】
図4は、左右のグリップ16の拡大図である。図4に示すように、左右のグリップ16のグリップ本体30は、本体基部30aとグリップ用ヘッド30bとにより構成される。
【0038】
本体基部30aは、例えば、Y方向に延びた略円柱形状に形成されており、その外周面には螺子溝34が形成されている。
【0039】
グリップ用ヘッド30bは、例えば、Y方向に延び且つ頂部が塞がれた有底筒形状に形成されており、その内周面に不図示の雌螺子が形成されている。この雌螺子には本体基部30aのY方向上端部に形成された螺子溝34が螺合する。これにより、本体基部30aに対してグリップ用ヘッド30bをY方向に平行な回転軸の軸周り方向に相対的に正転又は逆転させることで、グリップ用ヘッド30bを本体基部30aに沿ってY方向に上下動させることができる。その結果、グリップ本体30のY方向(上下方向)の長さが調整可能になり、被検者ごとにグリップ本体30のY方向長さを適正に調整可能である。
【0040】
以上のように第1実施形態の眼科装置10ではベース11に左右のグリップ16を直接取り付けることで、被検者に左右のグリップ16を把持させることができる。その結果、眼科装置10による被検眼の各種眼特性の取得後に被検者が椅子から立ち上がる際に、左右のグリップ16を把持することができる。
【0041】
また、眼科装置10に左右のグリップ16を設けることで、被検者が支柱24を取手(手すり)と誤解して把持することを防止可能である。ここで被検者が椅子から立ち上がる際に支柱24を把持すると、基部20の根元部(ベース11と接続部分)を支点として所謂梃子の原理によりベース11に大きな力がかかり、配置面9a上での眼科装置10の姿勢が安定しないおそれがある。また、上記特許文献1に記載されているように、顔支持部12にグリップハンドルを設けた場合にも同様の理由によって配置面9a上での眼科装置10の姿勢が安定しないおそれがある。
【0042】
これに対して本実施形態では、ベース11に左右のグリップ16を直接取り付けることで、被検者が椅子から立ち上がる際に左右のグリップ16を把持していたとしても、ベース11にかかる力は大幅に低減される。その結果、配置面9a上での眼科装置10の姿勢を安定させることができる。
【0043】
また、第1実施形態の眼科装置10では、被検眼の各種眼特性の取得中にも被検者に左右のグリップ16を把持させることができる。その結果、各種眼特性の取得中の被検者の姿勢、すなわち顔支持部12に支持されている顔の姿勢を安定させられるので、各種眼特性の取得中に被検眼を安定させる(変位を防止する)ことができる。
【0044】
[第2実施形態]
図5は、第2実施形態の眼科装置10のベース11の底面図であり、左右のグリップ本体30が収納位置にある状態を示した図である。図6は、第2実施形態の眼科装置10のベース11の底面図であり、左右のグリップ本体30が使用位置にある状態を示した図である。
【0045】
上記第1実施形態の眼科装置10では、左右のグリップ本体30がベース11の外側に常時配置されるが、眼科装置10を移動させる場合或いはグリップ16を必要としない被検者の眼特性を取得する場合には、グリップ本体30が邪魔になるおそれがある。そこで、第2実施形態の眼科装置10では、左右のグリップ本体30をベース11内に収納可能にしている。
【0046】
図5及び図6に示すように、第2実施形態の眼科装置10は、ベース11に左右のグリップ本体30を個別に収納可能な収納部50が形成されている点を除けば、上記第1実施形態の眼科装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0047】
収納部50は、ベース11の左側面において左側の柱状脚部42Aを中心として回転するグリップ本体30を収納可能な位置と、ベース11の右側面において右側の柱状脚部42Aを中心として回転するグリップ本体30を収納可能な位置と、にそれぞれ形成されている。また、各収納部50は、左右のグリップ本体30をそれぞれ収納したり取り出したりすることが可能な形状に形成されている。これにより、左右のグリップ本体30をそれぞれ対応する柱状脚部42Aを中心として回転させることで、左右のグリップ本体30を、収納部50内に収納した収納位置(図5参照)と、収納部50の外側に配置した使用位置(図6参照)と、に変位可能である。
【0048】
ベース11の左右の側面には、各収納部50の開口部を開閉する扉52がそれぞれ設けられている。各扉52は、左右のグリップ本体30を収納位置に変位させた場合、すなわち左右のグリップ16を使用しない場合には、各収納部50の開口部をそれぞれ閉塞する。また逆に各扉52は、左右のグリップ本体30を収納位置から使用位置に変位させる場合、すなわち左右のグリップ16を使用する場合には各収納部50の開口部を開放する。
【0049】
以上のように第2実施形態の眼科装置10では、左右のグリップ16を使用しない場合には、左右のグリップ本体30をベース11の収納部50内に収納することができる。その結果、左右のグリップ本体30が邪魔になることが防止される。また、左右のグリップ本体30を使用位置に変位させた場合には、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0050】
[第3実施形態]
図7は、第3実施形態の眼科装置10のベース11の底面図である。上記各実施形態では、左右のグリップ本体30のX方向間隔Wを調整するために各グリップ本体30をそれぞれ柱状脚部42Aに回転自在に取り付けているが、第3実施形態の眼科装置10では別の方法で左右のグリップ本体30のX方向間隔Wを調整する。
【0051】
図7に示すように、第3実施形態の眼科装置10は、底板40にガイド溝46と一対のスライド移動部48とが設けられ、且つ一対のスライド移動部48に左右のグリップ16が取り付けられている点を除けば上記各実施形態の眼科装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0052】
ガイド溝46は、X方向(左右方向)に平行であり、底板40のZ方向前方側に形成されている。このガイド溝46には、一対のスライド移動部48がそれぞれX方向に移動自在に保持されている。
【0053】
一対のスライド移動部48のうちで左側のスライド移動部48には、左側のグリップ16の取付部32の長手方向他端部(右端部)がX方向に平行な姿勢で固定される。また、一対のスライド移動部48のうちで右側のスライド移動部48には、右側のグリップ16の取付部32の長手方向他端部(左端部)がX方向に平行な姿勢で固定される。これにより、左右のグリップ16がガイド溝46に沿ってX方向に移動自在に底板40に取り付けられる(図中の矢印B参照)。
【0054】
左右のグリップ16をガイド溝46に沿ってX方向に変位させることで、左右のグリップ本体30のX方向間隔Wを任意に調整することができる。これにより、上記各実施形態と同様に、X方向間隔Wを被検者ごとに適切な間隔に調整することができる。なお、左右のグリップ本体30の一方をガイド溝46に沿ってX方向の一方側に変位させた場合に、左右のグリップ本体30の他方をガイド溝46に沿ってX方向の他方側に変位させるような連動機構を設けてもよい。
【0055】
図8は、第3実施形態の眼科装置10のベース11の底面図であり、左右のグリップ本体30が収納位置にある状態を示した図である。図8に示すように、第3実施形態の眼科装置10においても、ベース11の左右側面に左右のグリップ本体30を収納及び取り出し可能な収納部50を形成してもよい。これにより、第3実施形態においても、左右のグリップ本体30を、それぞれ収納部50内に収納した収納位置(図8参照)と、それぞれ収納部50の外側に配置した使用位置(図7参照)と、に変位可能である。
【0056】
また、既述の図5及び図6に示したように、第3実施形態においても左右の収納部50の開口部を開閉する扉52を設けてもよい。
【0057】
以上のように第3実施形態の眼科装置10は、左右のグリップ16を変位させる構成が異なる点を除けば上記各実施形態の眼科装置10と基本的に同じ構成であるので、上記各実施形態と同様の効果が得られる。
【0058】
[第4実施形態]
図9は、第4実施形態の眼科装置10の正面図である。図10は、第4実施形態の眼科装置10のベース11の底面図である。図9及び図10に示すように、第4実施形態の眼科装置10は、ベース11を配置面9a(すなわちテーブル9)に固定するクランプ式のテーブル固定部60をさらに備える点を除けば、上記第1実施形態の眼科装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0059】
テーブル固定部60は、本発明の固定部に相当するものであり、本体部62と押圧部64とを備える。本体部62は、配置面9a(テーブル9の上面)に当接する上板62aと、テーブル9の下面に対して隙間を空けて対向する下板62bと、上板62a及び下板62bを接続する接続部62cと、を備える。また、上板62aは、底板40に固定されている。
【0060】
押圧部64は、下板62bに対してY方向に移動自在に保持されており、テーブル9の下面を上板62aに向けて押圧する。これにより、押圧部64と上板62aとの間にテーブル9が挟持される。既述の通り、上板62aは底板40に固定されているので、テーブル固定部60を介して、ベース11が配置面9a(テーブル9)に固定される。また、左右のグリップ16は、ベース11及びテーブル固定部60を介して間接的に配置面9a(テーブル9)に固定される。
【0061】
以上のように第4実施形態の眼科装置10では、テーブル固定部60を用いてベース11を配置面9a上に固定することで、被検者が椅子から立ち上がる際に左右のグリップ16を把持していたとしても、配置面9a上での眼科装置10の姿勢をより安定させることができる。また、上記第2実施形態及び第3実施形態の眼科装置10においても同様にテーブル固定部60を設けることで、配置面9a上での眼科装置10の姿勢をより安定させることができる。
【0062】
なお、上記第4実施形態では、クランプ式のテーブル固定部60を例に挙げて説明したが、ベース11が配置面9a(テーブル9)上に固定可能であれば、その固定方式、構造、及び形状は特に限定はされない。また、第4実施形態では、テーブル固定部60によりベース11を配置面9a上に直接固定しているが、例えばテーブル固定部60により左右のグリップ16の少なくとも一方を配置面9a上に固定することで、グリップ16を介してベース11を配置面9a上に固定してもよい。
【0063】
[その他]
上記各実施形態では、左右のグリップ16がベース11の底板40に対して変位可能に取り付けられているが、左右のグリップ16が底板40に固定されていてもよい。また、左右のグリップ16がベース11の底板40以外の箇所に変位可能に取り付け或いは固定されていてもよい。
【0064】
上記各実施形態では、ベース11に対して左右のグリップ16が直接取り付けられているが、ベース11に取り付けるグリップ16の数は1又は3以上であってもよい。
【0065】
上記各実施形態では、レバー型のグリップ16(グリップ本体30)を例に挙げて説明したが、被検者が把持可能であればグリップ16の形状及び構造は特に限定はされない。
【0066】
上記各実施形態では、ベース11上に駆動機構13を介して測定ヘッド14が設けられているが、ベース11上に各種ヘッド(装置本体)が直接設けられていてもよく、さらにベース11と各種ヘッドとが一体化されていてもよい。
【0067】
上記各実施形態では、眼科装置10として非接触式眼圧計14A及びオートレフケラトメータ14Bの複合機を例に挙げて説明したが、ベース11を備える各種眼科装置(レーザ手術装置等の被検眼に対して各種処置を施す装置を含む)に本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0068】
9…テーブル
9a…配置面
10…眼科装置
11…ベース
12…顔支持部
13…駆動機構
14…測定ヘッド
14A…非接触式眼圧計
14B…オートレフケラトメータ
15…モニタ
16…グリップ
20…基部
22…顎受け部
24…支柱
26…額当て部
30…グリップ本体
30a…本体基部
30b…グリップ用ヘッド
32…取付部
34…螺子溝
40…底板
42…脚部
42A…柱状脚部
46…ガイド溝
48…スライド移動部
50…収納部
52…扉
60…テーブル固定部
62…本体部
62a…上板
62b…下板
62c…接続部
64…押圧部
W…X方向間隔
図1
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