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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042881
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】眼科装置及び眼科装置の作動方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/103 20060101AFI20240322BHJP
   A61B 3/16 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
A61B3/103
A61B3/16 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147800
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】大宮 健
(72)【発明者】
【氏名】林 亮夫
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA03
4C316AA13
4C316AA20
4C316AA24
4C316FA12
4C316FA14
4C316FA18
4C316FB15
4C316FZ01
4C316FZ03
(57)【要約】
【課題】被検眼の眼特性の取得結果の信頼性を容易に判別可能な眼科装置、及び眼科装置の作動方法を提供する。
【解決手段】被検眼Eの眼特性を取得する眼特性取得部(測定ヘッド5)を備える眼科装置1において、少なくとも眼特性取得部による眼特性の取得が実行されている間、眼科装置の振動を検出する振動検出部(加速度センサ28)と、振動検出部の検出結果に基づいて、眼特性取得部が取得した眼特性の取得結果の信頼性を評価する信頼性評価部48と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼の眼特性を取得する眼特性取得部を備える眼科装置において、
少なくとも前記眼特性取得部による前記眼特性の取得が実行されている間、前記眼科装置の振動を検出する振動検出部と、
前記振動検出部の検出結果に基づいて、前記眼特性取得部が取得した前記眼特性の取得結果の信頼性を評価する信頼性評価部と、
を備える眼科装置。
【請求項2】
前記信頼性評価部により前記信頼性が低いと評価された場合に、警告情報を報知する報知部を備える請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
前記眼特性取得部が取得した前記取得結果を表示する表示部と、
前記信頼性評価部により前記信頼性が高いと評価された前記取得結果のみを前記表示部に表示させる表示制御部と、
を備える請求項1に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記信頼性評価部により前記信頼性が高いと評価された前記取得結果を残し、前記信頼性評価部により前記信頼性が低いと評価された前記取得結果を削除する取捨選択部を備える請求項1に記載の眼科装置。
【請求項5】
前記眼特性取得部が、対物レンズ、前記被検眼に測定光を投射する測定光源、前記測定光が投射された前記被検眼からの戻り光を撮像する撮像素子、及び前記眼特性取得部に対する前記被検眼の相対位置を検出するアライメント検出系を備え、
前記振動検出部が、前記対物レンズ、前記測定光源、前記撮像素子、及び前記アライメント検出系の少なくともいずれか1つの取付位置に設けられている請求項1から4のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項6】
前記振動検出部が、可撓性を有する取付部材を介して前記取付位置に設けられている請求項5に記載の眼科装置。
【請求項7】
前記眼特性取得部に設けられ、検者からの入力操作を受け付ける操作部を備え、
前記操作部が、前記眼科装置の重心位置から前記眼特性取得部よりも遠い位置に設けられており、
前記振動検出部が、前記操作部に設けられている請求項1から4のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項8】
前記眼特性取得部に設けられ、検者からの入力操作を受け付ける操作部を備え、
前記操作部が、前記眼科装置の重心位置から前記眼特性取得部よりも遠い位置に設けられており、
前記重心位置から前記操作部までの距離を第1距離とした場合に、前記振動検出部を前記重心位置から前記第1距離よりも長い第2距離だけ離れた位置に保持する保持部が、前記眼特性取得部に設けられている請求項1から4のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項9】
前記眼特性取得部が、ノズルから被検眼に空気を吹き付ける非接触式眼圧計であり、
前記振動検出部が前記ノズルの取付位置に設けられている請求項1から4のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項10】
前記振動検出部が、加速度センサである請求項1から4のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項11】
被検眼の眼特性を取得する眼特性取得部を備える眼科装置の作動方法において、
少なくとも前記眼特性取得部による前記眼特性の取得が実行されている間、前記眼科装置の振動を検出する振動検出工程と、
前記振動検出工程の検出結果に基づいて、前記眼特性取得部が取得した前記眼特性の取得結果の信頼性を評価する信頼性評価工程と、
を有する眼科装置の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検眼の眼特性を取得する眼科装置及び眼科装置の作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
眼科では、眼科装置を用いて被検眼の眼屈折力、角膜形状、眼圧、及び角膜内皮細胞の数などの各種の眼特性の取得(測定、撮影、及び観察等)を行う。また、特許文献1には、ハンディタイプの眼科装置が開示されている。この眼科装置は、加速度センサと、加速度センサの検出結果に基づいて検者の手振れを補正する手振れ補正光学系と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2013/098981号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、被検眼の眼特性の取得中に眼科装置に振動が発生すると、眼科装置による眼特性の取得結果の信頼性が低下してしまう。しかしながら、検者は、被検眼の眼特性の取得結果が眼科装置の振動中に取得されたものか或いは静止中に取得されたものかを判断すること、すなわち、被検眼の眼特性の取得結果の信頼性が低いか否かを判断することは困難である。このため、眼科装置に振動が発生している場合には、その振動が収まるまで被検眼の眼特性の取得を待機する必要がある。
【0005】
なお、特許文献1に記載の眼科装置のように手振れ補正光学系を設けることも考えられるが、設置スペースの関係上で手振れ補正光学系を搭載できない場合がある。また、眼科装置に手振れ補正光学系を設けたとしても眼科装置の振動を完全にキャンセルできない場合もある。従って、特許文献1に記載の眼科装置においても、被検眼の眼特性の取得結果の信頼性が低いか否かを判断することは依然として困難である。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、被検眼の眼特性の取得結果の信頼性を容易に判別可能な眼科装置、及び眼科装置の作動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的を達成するための眼科装置は、被検眼の眼特性を取得する眼特性取得部を備える眼科装置において、少なくとも眼特性取得部による眼特性の取得が実行されている間、眼科装置の振動を検出する振動検出部と、振動検出部の検出結果に基づいて、眼特性取得部が取得した眼特性の取得結果の信頼性を評価する信頼性評価部と、を備える。
【0008】
この眼科装置によれば、振動検出部の検出結果に基づいて眼特性の取得結果の信頼性を評価することができる。
【0009】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、信頼性評価部により信頼性が低いと評価された場合に、警告情報を報知する報知部を備える。これにより、検者に対して、眼特性の取得結果の信頼性が低いことを報知することができる。
【0010】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、眼特性取得部が取得した取得結果を表示する表示部と、信頼性評価部により信頼性が高いと評価された取得結果のみを表示部に表示させる表示制御部と、を備える。これにより、信頼性が高い眼特性の取得結果のみを検者に呈示することができる。
【0011】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、信頼性評価部により信頼性が高いと評価された取得結果を残し、信頼性評価部により信頼性が低いと評価された取得結果を削除する取捨選択部を備える。これにより、信頼性が高い眼特性の取得結果のみを検者に呈示することができる。
【0012】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、眼特性取得部が、対物レンズ、被検眼に測定光を投射する測定光源、測定光が投射された被検眼からの戻り光を撮像する撮像素子、及び眼特性取得部に対する被検眼の相対位置を検出するアライメント検出系を備え、振動検出部が、対物レンズ、測定光源、撮像素子、及びアライメント検出系の少なくともいずれか1つの取付位置に設けられている。これにより、振動検出部の検出結果に基づいて眼特性の取得結果の信頼性を評価することができる。
【0013】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、振動検出部が、可撓性を有する取付部材を介して取付位置に設けられている。これにより、振動検出部が検出する振動の大きさを増加させることができるので、眼特性の取得結果の信頼性評価の精度をより向上させることができる。
【0014】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、眼特性取得部に設けられ、検者からの入力操作を受け付ける操作部を備え、操作部が、眼科装置の重心位置から眼特性取得部よりも遠い位置に設けられており、振動検出部が、操作部に設けられている。これにより、振動検出部が検出する振動の大きさを増加させることができるので、眼特性の取得結果の信頼性評価の精度をより向上させることができる。
【0015】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、眼特性取得部に設けられ、検者からの入力操作を受け付ける操作部を備え、操作部が、眼科装置の重心位置から眼特性取得部よりも遠い位置に設けられており、重心位置から操作部までの距離を第1距離とした場合に、振動検出部を重心位置から第1距離よりも長い第2距離だけ離れた位置に保持する保持部が、眼特性取得部に設けられている。眼特性の取得結果の信頼性評価の精度をより向上させることができる。
【0016】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、眼特性取得部が、ノズルから被検眼に空気を吹き付ける非接触式眼圧計であり、振動検出部がノズルの取付位置に設けられている。
【0017】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、振動検出部が、加速度センサである。
【0018】
本発明の目的を達成するための眼科装置の作動方法は、被検眼の眼特性を取得する眼特性取得部を備える眼科装置の作動方法において、少なくとも眼特性取得部による眼特性の取得が実行されている間、眼科装置の振動を検出する振動検出工程と、振動検出工程の検出結果に基づいて、眼特性取得部が取得した眼特性の取得結果の信頼性を評価する信頼性評価工程と、を有する。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、被検眼の眼特性の取得結果の信頼性を容易に判別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態の眼科装置の側面図である。
図2】測定ヘッドの光学系の構成を示したブロック図である。
図3】測定ヘッドのカバーを取り外した状態での対物レンズの外観斜視図である。
図4】測定ヘッドのカバーを取り外した状態での撮像素子の外観斜視図である。
図5】第1実施形態の制御装置の機能ブロック図である。
図6】表示部による眼特性測定データの表示を説明するための説明図である。
図7】第1実施形態の眼科装置による被検眼の眼特性の測定処理の流れを示したフローチャートである。
図8】第2実施形態の眼科装置の構成を示すブロック図である。
図9】アライメントが開始されてから所定の測定回数分の被検眼の眼特性測定が全て終了するまでの間における、対物レン及び撮像素子加速度、或いは振動の振幅の時間変化を示したグラフである。
図10】第2実施形態の眼科装置による被検眼の眼特性の測定処理の流れを示したフローチャートである。
図11】第3実施形態の眼科装置の表示部のカバーを取り外した状態を示した斜視図である。
図12】第4実施形態の眼科装置の測定ヘッドのカバーを取り外した状態での外観斜視図である。
図13図12の矢印D方向側から見たセンサ取付部の拡大図である。
図14】第5実施形態の眼科装置の測定ヘッドのカバーを取り外した状態での外観斜視図である。
図15】眼科装置が非接触式眼圧計である場合の加速度センサの取り付け例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の眼科装置1の側面図である。なお、図中の互いに直交するXYZ方向(3方向)のうちで、Y方向は上下方向であり、Z方向は被検眼E(被検者)に近づく前方向と被検者から遠ざかる後方向とに平行な前後方向(作動距離方向ともいう)であり、X方向は上下方向及び前後方向の双方に垂直な左右方向である。
【0022】
[眼科装置の全体構成]
眼科装置1は、被検眼Eの眼特性として眼屈折力及び角膜形状等を測定可能なオートレフケラトメータである。この眼科装置1は、ベース2と、顔支持部3と、駆動機構4と、測定ヘッド5(装置本体ともいう)と、表示部6と、を備える。
【0023】
ベース2上には、顔支持部3と駆動機構4とが設けられている。
【0024】
顔支持部3は、被検者の顎を受ける顎受け部3aと、被検者の額が当接する額当て部3bとを備え、被検者の顔を支持する。顎受け部3aは、不図示のアクチュエータによりY方向(上下方向)に位置調整可能である。
【0025】
駆動機構4は、例えばモータ等の不図示のアクチュエータにより構成されている。この駆動機構4は、ベース2に対して測定ヘッド5をXYZ方向に移動させる。これにより、被検眼Eに対して測定ヘッド5をXYZ方向に相対移動可能になるので、被検眼Eに対する測定ヘッド5のXYZ方向のアライメントが可能になる。
【0026】
測定ヘッド5は、被検眼Eの眼特性(眼屈折力及び角膜形状)の測定機能を有しており、後述の制御装置9(図2参照)と共に本発明の眼特性取得部として機能する。この測定ヘッド5には表示部6が取り付けられている。また、測定ヘッド5内には、眼屈折力及び角膜形状の測定に対応した各種光学系(撮像素子、各種光源、及び各種駆動部を含む)と、制御装置9と、が設けられている。
【0027】
表示部6は、例えばタッチパネル式モニタが用いられる。表示部6は、測定ヘッド5に回転自在に保持されており、位置姿勢を手動調整可能である。表示部6には、測定ヘッド5により取得された被検眼Eの観察像、被検眼Eの眼屈折力及び角膜形状等の眼特性の測定結果(取得結果)、各種設定を行うための設定メニュー画面、及び各種操作を行うための操作メニュー画面などが表示される。
【0028】
表示部6の表示面は、検者によるタッチ操作での入力操作を受け付けるので、本発明の操作部として機能する。なお、眼科装置1に表示部6以外の公知の操作部を設けてもよい。
【0029】
[測定ヘッドの光学系の構成]
図2は、測定ヘッド5の光学系の構成を示したブロック図である。図2に示すように、測定ヘッド5の光学系は、観察光学系12と、Zアライメント光学系13と、XYアライメント光学系14と、視標投影光学系15と、測定用パターン投影光学系16と、受光光学系17と、を含む。
【0030】
(観察光学系の構成)
観察光学系12は、被検眼Eの前眼部の観察等に用いられる光学系であり、この前眼部を撮影する。観察光学系12はZ方向に平行な主光軸O1を有している。この観察光学系12には、主光軸O1上に沿って被検眼E側から順に、対物レンズ12aと、ダイクロイックフィルタ12bと、ハーフミラー12cと、リレーレンズ12dと、ダイクロイックフィルタ12eと、結像レンズ12fと、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型又はCCD(Charge Coupled Device)型の撮像素子12gと、が配置されている。また、観察光学系12は、不図示の照明光源を有している。なお、観察光学系12を構成する各部については公知技術であるので、その詳細についての説明は省略する。
【0031】
観察光学系12の照明光源から出射された照明光は、被検眼Eの前眼部を照明し、前眼部で反射される。この反射光は、対物レンズ12aに入射し、この対物レンズ12aから観察光学系12の各部を経て撮像素子12gの撮像面に入射する。これにより、反射光が撮像素子12gにより撮像され、撮像素子12gにより被検眼Eの前眼部の観察像(画像データ)が取得される。撮像素子12gは、観察像を制御装置9へ出力する。
【0032】
対物レンズ12aの周囲には、被検眼Eの角膜Ecの角膜形状の測定に用いられるケラト板12h及びケラトリング光源12iが設けられている。ケラト板12h及びケラトリング光源12iは、1重又は多重のリング状光束を角膜Ecに投影する。角膜Ecにより反射されたリング状光束は、対物レンズ12a及びダイクロイックフィルタ12b等を介して撮像素子12gの撮像面に入射する。これにより、ケラトリング像が撮像素子12gにより撮像される。撮像素子12gは、ケラトリング像(画像データ)を制御装置9へ出力する。
【0033】
(Zアライメント光学系)
Zアライメント光学系13は、被検眼Eに対する測定ヘッド5のZ方向のアライメント状態の検出に用いられる。Zアライメント光学系13は、ケラト板12hの後方(撮像素子12g側)の2箇所に設けられている。各Zアライメント光学系13は、アライメント光源13aと、投影レンズ13bとを有する。各アライメント光源13aはそれぞれ投影レンズ13bに向けて光束を出射する。各アライメント光源13aから出射された一対の光束は、各投影レンズ13bにてそれぞれ平行光束に変換された後、ケラト板12hの一対の透過孔(不図示)を透過して角膜Ecに投影される。
【0034】
角膜Ecにより反射された一対の光束は、対物レンズ12a及びダイクロイックフィルタ12b等を介して撮像素子12gの撮像面に入射する。これにより、一対の輝点像が撮像素子12gにより撮像され、撮像素子12gが一対の輝点像(画像データ)を制御装置9へ出力する。これにより、表示部6に既述の観察像及びケラトリング像と共に一対の輝点像を表示させることができる。そして、制御装置9が自動で又は検者が手動で駆動機構4を駆動して、既述のケラトリング像と一対の輝点像とが所定の位置関係となるように測定ヘッド5をZ方向に移動させることで、Z方向のアライメント(Zアライメント)が実行される。なお、Zアライメントは公知の他の方法を用いてもよい。
【0035】
(XYアライメント光学系)
XYアライメント光学系14は、被検眼Eに対する測定ヘッド5のX方向及びY方向のアライメント状態の検出に用いられる。XYアライメント光学系14は、ハーフミラー12cを介して観察光学系12から分岐した光路を形成する。このXYアライメント光学系14は、アライメント光源14aと、投影レンズ14bとを有する。アライメント光源14aは、投影レンズ14bに向けて光束を出射する。アライメント光源14aから出射された光束は、投影レンズ14bにて平行光束に変換された後、ハーフミラー12cにより反射され、ダイクロイックフィルタ12b及び対物レンズ12aを経て角膜Ecに投影される。
【0036】
角膜Ecにより反射された光束は、対物レンズ12a及びダイクロイックフィルタ12b等を介して撮像素子12gの撮像面に入射する。これにより、輝点像が撮像素子12gにより撮像され、撮像素子12gが輝点像(画像データ)を制御装置9へ出力する。これにより、表示部6において既述の観察像、ケラトリング像、及び一対の輝点像と共に、XYアライメント用の輝点像を表示させることができる。そして、制御装置9が自動で又は検者が手動で駆動機構4を駆動して、輝点像のX方向及びY方向の位置を調整することで、X方向及びY方向のアライメント(XYアライメント)が実行される。なお、XYアライメントは公知の他の方法を用いてもよい。
【0037】
観察光学系12(撮像素子12g)は、Zアライメント時及びXYアライメント時にアライメント用の光束を撮像するので、Zアライメント光学系13及びXYアライメント光学系14と共に本発明のアライメント検出系として機能する。
【0038】
(視標投影光学系の構成)
視標投影光学系15は、被検眼Eの眼屈折力の他覚測定時に被検眼Eを固視又は雲霧させるために固視標の光束を被検眼Eの眼底Efに投影する。
【0039】
視標投影光学系15は、視標表示部15aと、ハーフミラー15b、リレーレンズ15cと、反射ミラー15dと、合焦レンズ15e(移動レンズともいう)と、リレーレンズ15fと、フィールドレンズ15gと、バリアブルクロスシリンダーレンズ(Variable cross cylinder lens)であるVCCレンズ15hと、反射ミラー15iと、ダイクロイックフィルタ15j,12bと、対物レンズ12aと、を有する。
【0040】
また、視標投影光学系15は、既述の主光軸O1に平行な光軸O2を有しており、この光軸O2上には、上述の合焦レンズ15eと、リレーレンズ15fと、フィールドレンズ15gと、VCCレンズ15hと、が配置されている。
【0041】
視標表示部15aは、例えば、ドットマトリクス液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)及びマトリクス発光ダイオード(LED)などの各種表示装置(デバイス)が用いられる。この視標表示部15aは固視標を表示し、この固視標の光束をハーフミラー15bに向けて出射する。なお、視標表示部15aは、ドットマトリクスLCD等であるので、固視標の表示態様(形状等)及び表示位置を任意に設定可能である。また、視標表示部15aは、固視標の他に視力測定用視標なども表示可能である。
【0042】
視標表示部15aに表示された固視標の光束は、ハーフミラー15bにて反射された後、リレーレンズ15cと、反射ミラー15dと、合焦レンズ15eと、リレーレンズ15fと、フィールドレンズ15gと、VCCレンズ15hと、反射ミラー15iと、ダイクロイックフィルタ15j,12bと、対物レンズ12aとを経て被検眼Eに投射される。これにより、被検眼Eに対して固視標などを呈示可能である。
【0043】
また、視標投影光学系15は、被検眼Eのグレアテストに用いられるグレア光源15kを有している。グレア光源15kは、グレアテスト時にグレア光をハーフミラー15bに出射する。これにより、グレア光がハーフミラー15bから対物レンズ12aまでの各部を経て被検眼Eに投射される。
【0044】
合焦レンズ15eは、視標投影光学系15の光軸O2に沿って進退自在に配置されている。合焦レンズ15eは、後述の連動移動機構27により光軸O2上を進退移動される。これにより、固視標等の光束の屈折力を変更することができるので、被検眼Eに対する固視標等の呈示距離を変更することができる。その結果、固視標により被検眼Eを固視又は雲霧させることができる。
【0045】
VCCレンズ15hは、正及び負の一対のシリンダーレンズを有する。一対のシリンダーレンズは、光軸O2を中心として、それぞれ独立して回転可能となっている。VCCレンズ15hは、被検眼Eの屈折特性に起因する収差のうち、円柱度数(乱視度数)及び軸角度(乱視軸角度)を補正(矯正)する機能を有する。
【0046】
(測定用パターン投影光学系の構成)
測定用パターン投影光学系16は、眼底Efに対して被検眼Eの他覚的な眼屈折力の測定に用いられるリング状の測定用パターンの光束(本発明の測定光に相当)を投影する。
【0047】
測定用パターン投影光学系16は、レフ測定ユニット16aと、リレーレンズ16bと、瞳リング16cと、フィールドレンズ16dと、穴開きプリズム16eと、ロータリープリズム16fと、ダイクロイックフィルタ15jと、ダイクロイックフィルタ12bと、対物レンズ12aと、を有する。
【0048】
また、測定用パターン投影光学系16は、既述の主光軸O1及び光軸O2に平行な光軸O3を有している。この光軸O3上には、レフ測定ユニット16aと、リレーレンズ16bと、瞳リング16cと、フィールドレンズ16dと、穴開きプリズム16eと、が配置されている。
【0049】
レフ測定ユニット16aは、本発明の測定光源に相当するものであり、LED(light emitting diode)を用いたLED光源16hと、コリメータレンズ16iと、円錐プリズム16jと、測定パターンの形成板16kとを有する。なお、LED光源16hと瞳リング16cとは光学的に共役な位置に配置されている。また、形成板16kと眼底Efとは光学的に共役な位置に配置されている。
【0050】
レフ測定ユニット16aは、測定用パターン投影光学系16の光軸O3に沿って進退自在に配置されている。レフ測定ユニット16aは、後述の連動移動機構27により光軸O3上を進退移動される。
【0051】
LED光源16hから出射された光束は、コリメータレンズ16iにより平行光とされた後、円錐プリズム16j及び形成板16kを経てリレーレンズ16bに向けて出射される。この光束は、リレーレンズ16b、瞳リング16c、フィールドレンズ16d、穴開きプリズム16eの反射面、ロータリープリズム16f、ダイクロイックフィルタ15j、ダイクロイックフィルタ12b、及び対物レンズ12aを経て眼底Efに投射される。これにより、眼底Efにリング状の測定用パターンの光束が投射される。なお、この測定用パターンの光束は、被検眼Eの眼屈折力によりその形状を歪められた状態で眼底Efに投影される。
【0052】
(受光光学系の構成)
受光光学系17は、測定用パターン投影光学系16により眼底Efに投影された測定用パターンの眼底反射光(本発明の戻り光に相当)を受光する。受光光学系17は、対物レンズ12aと、ダイクロイックフィルタ12b,15Jと、ロータリープリズム16fと、穴開きプリズム16eと、フィールドレンズ17aと、反射ミラー17bと、リレーレンズ17cと、合焦レンズ17d(移動レンズともいう)と、反射ミラー17eと、ダイクロイックフィルタ12eと、結像レンズ12fと、撮像素子12gと、を有する。
【0053】
また、受光光学系17は、既述の主光軸O1、光軸O2、及び光軸O3に平行な光軸O4を有する。この光軸O4上には、反射ミラー17bと、リレーレンズ17cと、合焦レンズ17dと、反射ミラー17eと、が配置されている。
【0054】
合焦レンズ17dは、受光光学系17の光軸O4に沿って進退自在に配置されている。合焦レンズ17dは、後述の連動移動機構27により光軸O4上を進退移動される。
【0055】
眼底Efで反射された測定光の眼底反射光は、対物レンズ12a、ダイクロイックフィルタ12b,15J、ロータリープリズム16f、穴開きプリズム16eの穴部、フィールドレンズ17aと、反射ミラー17bと、リレーレンズ17cと、合焦レンズ17d(移動レンズともいう)と、反射ミラー17e、ダイクロイックフィルタ12e、及び結像レンズ12fを経由して撮像素子12gの受光面に入射する。撮像素子12gは、眼底反射光を撮像して、リング像(画像データ)を制御装置9に出力する。
【0056】
連動移動機構27は、図示は省略するが、合焦レンズ15e、レフ測定ユニット16a、及び合焦レンズ17dを一体に保持(連結)する保持部材と、この保持部材を主光軸O1(各光軸O2~O4)に対して平行方向(Z方向)にスライド移動自在に保持するスライド機構と、保持部材をZ方向に進退移動させるモータ等の駆動機構と、を備える。これにより、合焦レンズ15e、レフ測定ユニット16a、及び合焦レンズ17dは、連動移動機構27により連動して(一体に)Z方向に沿って移動される。
【0057】
[加速度センサ]
図3は、測定ヘッド5のカバーを取り外した状態での対物レンズ12aの外観斜視図である。図4は、測定ヘッド5のカバーを取り外した状態での撮像素子12gの外観斜視図である。
【0058】
図3及び図4と、既述の図2とに示すように、眼科装置1の中で、振動が発生した場合(揺れた場合)に被検眼Eの眼特性の取得結果(測定結果)である眼特性測定データの信頼性を低下させる箇所には、加速度センサ28(本発明の振動検出部に相当)が設けられている。
【0059】
具体的には、加速度センサ28が測定ヘッド5内の対物レンズ12aの取付位置(図3参照)と撮像素子12gの取付位置(図4参照)とに設けられている。なお、既述の通り、撮像素子12gは本発明のアライメント検出系の一部として機能するため、撮像素子12gの取付位置に加速度センサ28を設けることは、アライメント検出系の取付位置に加速度センサ28を設けることにも相当する。
【0060】
対物レンズ12aは、測定ヘッド5内のレンズ保持部30により保持されている。このレンズ保持部30に対してセンサ取付部32が固定され、さらにこのセンサ取付部32に対して加速度センサ28が取り付けられる。これにより、対物レンズ12aの取付位置に加速度センサ28が設けられる。なお、対物レンズ12aの振動を検出可能であれば、加速度センサ28の取付位置及び取付方法は特に限定はされない。
【0061】
また、撮像素子12gは、測定ヘッド5内の撮像素子保持部34により保持されている。この撮像素子保持部34に対してセンサ取付部36が固定され、さらにこのセンサ取付部36に対して加速度センサ28が取り付けられている。これにより、撮像素子12gの取付位置に加速度センサ28が設けられる。なお、撮像素子12gの振動を検出可能であれば、加速度センサ28の取付位置及び取付方法は特に限定はされない。
【0062】
各加速度センサ28は、公知の3軸タイプ(3軸タイプ以外でも可)のセンサである。各加速度センサ28は、対物レンズ12aの加速度(振動)と、撮像素子12gの加速度(振動)とをそれぞれ検出して、加速度の検出信号を制御装置9へ出力する。
【0063】
なお、本実施形態では、対物レンズ12aの取付位置及び撮像素子12gの取付位置にそれぞれ加速度センサ28を設けているが、これらの取付位置のいずれか一方にのみ加速度センサ28を設けてもよい。さらに、対物レンズ12a及び撮像素子12gの少なくとも一方の取付位置に代えて或いは取付位置と共に、本発明の測定光源に相当するレフ測定ユニット16aの取付位置(図2参照)に加速度センサ28を設けてもよい。
【0064】
[第1実施形態の制御装置の機能]
図5は、第1実施形態の制御装置9の機能ブロック図である。図5に示すように、制御装置9は、眼科装置1の各部の動作を統括制御して、被検眼Eに対する測定ヘッド5のアライメント、被検眼Eの眼特性測定、後述の眼特性測定データの信頼性評価、及び後述の警告等を実行する。この制御装置9には、顔支持部3と、駆動機構4と、測定ヘッド5の各光学系及び加速度センサ28と、表示部6とが接続されている。
【0065】
制御装置9は、各種のプロセッサ(Processor)及びメモリ等から構成された演算回路を備える。各種のプロセッサには、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びプログラマブル論理デバイス[例えばSPLD(Simple Programmable Logic Devices)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Arrays)]等が含まれる。なお、制御装置9の各種機能は、1つのプロセッサにより実現されてもよいし、同種または異種の複数のプロセッサで実現されてもよい。
【0066】
制御装置9は、不図示の記憶部に記憶されている制御プログラムを実行することで、アライメント制御部40、眼特性測定制御部42、眼特性演算部44、信号取得部46、信頼性評価部48、表示制御部50、及び報知制御部52として機能する。
【0067】
アライメント制御部40は、被検眼Eの眼測定の開始前に、観察光学系12、ケラトリング光源12i、Zアライメント光学系13、XYアライメント光学系14、及び視標投影光学系15等を制御して、公知の方法で、被検眼Eに対する測定ヘッド5のXYZ方向の相対位置を検出するアライメント検出を実行する。次いで、アライメント制御部40は、アライメント検出の検出結果に基づいて、駆動機構4を駆動して測定ヘッド5をXYZ方向に移動させることで、被検眼Eに対する測定ヘッド5のXYZ方向のアライメントを実行する。
【0068】
眼特性測定制御部42は、上述のアライメント完了後に、観察光学系12、ケラトリング光源12i、測定用パターン投影光学系16、視標投影光学系15等を制御して、被検眼Eの眼特性測定として、被検眼Eの角膜形状を測定するケラト測定、及び被検眼Eの眼屈折力を測定するレフ測定を実行する。また、眼特性演算部44は、ケラト測定が実行された場合には被検眼Eの角膜形状を演算し、レフ測定が実行された場合には被検眼Eの眼屈折力を演算する。
【0069】
例えば被検眼Eのケラト測定では、眼特性測定制御部42が、ケラトリング光源12iを点灯させて角膜Ecに対して1重又は多重のリング状光束を投射し、角膜Ecにより反射されたリング状光束の撮像を撮像素子12gに実行させる。次いで、眼特性演算部44が、撮像素子12gから出力されたケラトリング像に基づいて、公知の方法で被検眼Eの角膜形状(角膜屈折力、角膜乱視度、及び角膜乱視軸角度等)を演算する。
【0070】
被検眼Eのレフ測定では、仮測定と本測定とが実行される。仮測定では、眼特性測定制御部42が、視標投影光学系15(視標表示部15a)を制御して、被検眼Eに固視標を呈示する。次いで、眼特性測定制御部42が、測定用パターン投影光学系16(LED光源16h及びロータリープリズム16f等)を制御して眼底Efにリング状の測定用パターンの光束を投影し、眼底Efで反射された眼底反射光(リング像)の撮像を受光光学系17(撮像素子12g)に実行させる。
【0071】
そして、眼特性演算部44が、撮像素子から出力されたリング像の撮像画像に基づいて、被検眼Eの仮の球面度数及び乱視度数の演算を公知の手法で実行する。この仮測定での球面度数及び乱視度数の演算結果に基づいて、眼特性測定制御部42が、連動移動機構27を駆動して、合焦レンズ15e、レフ測定ユニット16a、及び合焦レンズ17dを透過球面度数の位置へ移動させる。この仮測定の処理は複数回繰り返し実行してもよい。
【0072】
本測定では、眼特性測定制御部42が、連動移動機構27を駆動して、合焦レンズ15eを仮測定で求められた位置から更に雲霧位置に移動させることにより、被検眼Eの雲霧を促す。そして、眼特性測定制御部42は、仮測定と同様に測定用パターン投影光学系16及び受光光学系17を制御して、眼底Efに対するリング状の測定用パターンの光束の投影と、撮像素子12gによるリング像の撮像と、を実行させる。次いで、眼特性演算部44がリング像と合焦レンズ15eの移動量とに基づいて、被検眼Eの眼屈折力(球面度数、乱視度数、乱視軸角度)の演算を公知の手法で実行する。
【0073】
信号取得部46は、アライメントが開始されてから被検眼Eの眼特性の測定(ケラト測定、レフ測定)が実行されている間、各加速度センサ28からの加速度の検出信号の取得と、信頼性評価部48への検出信号の出力と、を連続的に実行する。なお、信号取得部46による検出信号の取得期間は、少なくとも被検眼Eの眼特性測定中であればよく、例えばアライメント完了後から検出信号の取得を開始してもよい。
【0074】
信頼性評価部48は、信号取得部46から連続的に入力される加速度の検出信号に基づいて、眼特性演算部44が演算した被検眼Eの眼特性測定データ(角膜形状、眼屈折力)の信頼性を評価する。
【0075】
例えば信頼性評価部48は、アライメントが開始されてから被検眼Eの眼特性測定が完了するまでの間、加速度の検出信号が示す対物レンズ12a及び撮像素子12gの加速度(絶対値)、或いは振動の振幅(絶対値)が所定の閾値以下である場合には、被検眼Eの眼特性測定データの信頼性が高いと評価する。また逆に、信頼性評価部48は、被検眼Eの眼特性測定が完了するまでの間に、対物レンズ12a及び撮像素子12gの加速度或いは振動の振幅が所定の閾値を超えた場合には、被検眼Eの眼特性測定データの信頼性が低いと評価する。
【0076】
表示制御部50は、表示部6の表示を制御する。この表示制御部50は、観察光学系12により取得された被検眼Eの観察像、眼特性演算部44により演算された被検眼Eの眼特性データ、及び各種メニュー画面などを表示部6に表示させる。
【0077】
図6は、表示部6による眼特性測定データの表示を説明するための説明図である。なお図6の符号VIAは信頼性評価部48により信頼性が高いと評価された眼特性測定データの表示の一例を示し、符号VIBは信頼性評価部48により信頼性が低いと評価された眼特性測定データの表示の一例を示している。
【0078】
図6及び既述の図5に示すように、表示制御部50は、眼特性演算部44による被検眼Eの眼特性測定データ(角膜形状、眼屈折力)の演算が完了すると、この眼特性測定データを示す測定結果欄56を表示部6に表示させる。この際に、信頼性評価部48が被検眼Eの眼特性測定データ(角膜形状、眼屈折力)の信頼性が高いと評価している場合には、後述の報知制御部52が作動しない。このため、表示部6には測定結果欄56が通常の表示態様で表示される(図6の符号VIA参照)。
【0079】
報知制御部52は、表示部6及び表示制御部50と共に本発明の報知部として機能する。報知制御部52は、信頼性評価部48が被検眼Eの眼特性測定データ(角膜形状、眼屈折力)の信頼性が低いと評価した場合には、表示制御部50を制御して、測定結果欄56と共に眼特性測定データの信頼性が低い(測定中の振動が大きい)ことを示す警告情報58を表示部6に表示させる(図6の符号VIB参照)。
【0080】
また、報知制御部52は、上述の加速度或いは振動の振幅の測定値を「A1」とし、その閾値を「A2」した場合に、測定値が閾値を超えた程度(例えば|A1|-|A2|)に基づいて信頼性係数59を算出する。そして、報知制御部52は、表示制御部50を制御して信頼性係数59も表示部6に表示させる。なお、警告情報58及び信頼性係数59のいずれか一方のみを表示部6に表示させてもよい。
【0081】
さらに、警告情報58及び信頼性係数59の少なくとも一方を表示部6に表示させる代わりに、これらの少なくとも一方を不図示のスピーカから音声出力してもよく、検者に対して報知を行う方法は特に限定はされない。
【0082】
[第1実施形態の作用]
図7は、本発明の眼科装置の作動方法に係る、第1実施形態の眼科装置1による被検眼Eの眼特性の測定処理の流れを示したフローチャートである。
【0083】
図7に示すように、顔支持部3に被検者の顔が支持された後、検者が表示部6の操作メニュー画面に対して測定開始操作を入力すると、アライメント制御部40が測定ヘッド5の各部を制御して、公知の方法で被検眼Eに対する測定ヘッド5のXYZ方向のアライメント検出を実行する。これにより、被検眼Eに対する測定ヘッド5のアライメントが開始される(ステップS1)。
【0084】
また、アライメントが開始されると、信号取得部46が、各加速度センサ28から対物レンズ12a及び撮像素子12gの加速度(振動)を示す検出信号の取得を開始し、取得した検出信号を信頼性評価部48に対して連続的に出力する(ステップS2、本発明の振動検出工程に相当)。
【0085】
アライメント制御部40は、アライメント検出の検出結果に基づいて、駆動機構4を駆動して測定ヘッド5をXYZ方向に移動させることで、被検眼Eに対する測定ヘッド5のXYZ方向のアライメントを開始する(ステップS3、ステップS4でNO)。
【0086】
アライメントが完了すると(ステップS4でYES)、眼特性測定制御部42が、観察光学系12、ケラトリング光源12i、測定用パターン投影光学系16、視標投影光学系15等を制御して、被検眼Eのケラト測定及びレフ測定を実行する。また、眼特性演算部44が、ケラト測定時には被検眼Eの角膜形状を演算し、レフ測定時には被検眼Eの眼屈折力を演算する。これにより、被検眼Eの眼特性測定データ(角膜形状、眼屈折力)が得られる(ステップS5)。
【0087】
一方、信頼性評価部48は、信号取得部46から連続的に入力される加速度の検出信号に基づいて、アライメントが開始されてから眼特性の測定が完了するまでの間、対物レンズ12a及び撮像素子12gの加速度、或いは振動の振幅が所定の閾値以下であるか否かを判定する。そして、信頼性評価部48は、加速度或いは振幅が閾値以下であると判定した場合には(ステップS6でNO)、眼特性測定データの信頼性が高いと評価する。
【0088】
また逆に信頼性評価部48は、加速度或いは振幅が閾値を超えると判定した場合には(ステップS6でYES)、眼特性測定データの信頼性が低いと評価する。なお、ステップS6は、本発明の信頼性評価工程に相当する。
【0089】
信頼性評価部48が被検眼Eの眼特性測定データの信頼性が高いと評価した場合には、既述の図6の符号VIAに示したように、表示制御部50が眼特性測定データを示す測定結果欄56を表示部6に表示させる(ステップS7)。
【0090】
一方、信頼性評価部48が被検眼Eの眼特性測定データ(角膜形状、眼屈折力)の信頼性が低いと評価した場合には、既述の図6の符号VIBに示したように、報知制御部52が、表示制御部50を制御して、測定結果欄56と共に警告情報58及び信頼性係数59を表示部6に表示させる(ステップS8)。これにより、検者に対して、眼特性測定データの信頼性が低いことを報知することができ、再測定を検者に促すことができる。
【0091】
以上のように第1実施形態の眼科装置1では、眼科装置1の中で特に振動が発生した場合に眼特性測定データの信頼性を低下させる箇所に加速度センサ28を設けることで、加速度センサ28の検出信号に基づいて眼特性測定データの信頼性を容易に判別することができる。これにより、眼特性測定データの信頼性が低い場合にはその旨を検者に報知することができる。
【0092】
[第2実施形態]
図8は、第2実施形態の眼科装置1の構成を示すブロック図である。上記第1実施形態の眼科装置1は、信頼性評価部48により被検眼Eの眼特性測定データの信頼性が低いと評価された場合には警告情報58及び信頼性係数59を表示させている。これに対して第2実施形態の眼科装置1では、信頼性評価部48により信頼性が高いと評価された眼特性測定データのみを残して表示部6に表示させ、逆に信頼性評価部48により信頼性が低いと評価された眼特性測定データは削除する。また、第2実施形態の眼科装置1では、被検眼Eの眼特性測定データの測定を複数回繰り返し実行する。
【0093】
図8に示すように、第2実施形態の眼科装置1は、制御装置9の眼特性測定制御部42、信号取得部46、及び表示制御部50の機能が第1実施形態とは一部異なり、さらに制御装置9が取捨選択部49として機能する点を除けば、上記第1実施形態の眼科装置1と基本的に同じ構成である。このため、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては同一符号を付してその説明は省略する。
【0094】
第2実施形態の眼特性測定制御部42は、測定ヘッド5の各部を制御して、予め設定された測定回数(2以上)だけ被検眼Eの眼特性の測定を繰り返し実行する。なお、n(nは任意の自然数)回目の眼特性測定と、n+1回目の眼特性測定との間には、休止区間PAが設けられている(図9参照)。
【0095】
第2実施形態の信号取得部46は、アライメントが開始されてから上述の測定回数分の被検眼Eの眼特性の測定が全て終了するまでの間、各加速度センサ28からの加速度の検出信号の取得と、信頼性評価部48への検出信号の出力とを連続的に実行する。
【0096】
図9は、アライメントが開始されてから所定の測定回数分の被検眼Eの眼特性測定が全て終了するまでの間における、対物レンズ12a及び撮像素子12gの加速度、或いは振動の振幅の時間変化を示したグラフである。
【0097】
なお、図9では、被検眼Eの眼特性の測定回数が3回に設定されているものとして説明を行う。また、図9中の符号「T1」は被検眼Eの眼特性の測定開始前(アライメント)の区間を示し、符号「T2」は被検眼Eの眼特性測定中の区間を示す。また、図9中の符号「M1」は1回目の眼特性の測定区間を示し、符号「M2」は2回目の眼特性の測定区間を示し、符号「M3」は3回目の眼特性の測定区間を示す。さらに、図9中の符号「PA」は、連続する眼特性測定の間に設定された休止区間を示す。
【0098】
図9及び既述の図8に示すように、第2実施形態の信頼性評価部48は、アライメント開始時から被検眼Eの眼特性の測定が全て終了するまでの間に信号取得部46から入力される加速度の検出信号に基づいて、被検眼Eの眼特性の測定区間M1~M3ごとに個別に眼特性測定データの信頼性を評価する。具体的には信頼性評価部48は、測定区間M1~M3ごとに、対物レンズ12a及び撮像素子12gの加速度、或いは振動の振幅が所定の閾値(-A)から閾値(+A)の範囲内(閾値範囲内)に収まるか否かを判定する。そして、信頼性評価部48は、測定区間M1~M3ごとに、加速度又は振幅が閾値範囲内に収まるか否かに基づいて眼特性測定データの信頼性が高いか低いかを評価する。
【0099】
例えば、図9では符号C1に示すように測定区間M1、M2では加速度又は振幅が閾値範囲内に収まらないので、信頼性評価部48は1回目及び2回目の眼特性測定データの信頼性は低いと評価する。一方、測定区間M3では加速度又は振幅が閾値範囲内に収まるので、信頼性評価部48は3回目の眼特性測定データの信頼性は高いと評価する。
【0100】
なお、第2実施形態では、符号C2に示すように被検眼Eの眼特性の測定開始前の区間で加速度又は振幅が閾値範囲内に収まらなかったり、或いは符号C3に示すように休止区間PAで加速度又は振幅が閾値範囲内に収まらなかったりする場合であっても、信頼性評価部48の評価対象にはならない。
【0101】
取捨選択部49は、眼特性演算部44が演算した所定の測定回数分の被検眼Eの眼特性測定データの中で、信頼性評価部48により信頼性が高いと評価された眼特性測定データのみを残し、逆に信頼性評価部48により信頼性が低いと評価された眼特性測定データは削除する。
【0102】
第2実施形態の表示制御部50は、取捨選択部49が残した被検眼Eの眼特性測定データ、すなわち、信頼性評価部48により信頼性が高いと評価された眼特性測定データのみを表示部6に表示させる。
【0103】
図10は、本発明の眼科装置の作動方法に係る、第2実施形態の眼科装置1による被検眼Eの眼特性の測定処理の流れを示したフローチャートである。なお、ステップS1からステップS4までの処理は、既述の図7に示した第1実施形態と同じであるので、ここでは具体的な説明は省略する。
【0104】
アライメントが完了すると(ステップS4でYES)、眼特性測定制御部42が、測定ヘッド5の各部を制御して、所定の測定回数分だけ被検眼Eの眼特性測定を繰り返し実行する(ステップS5A及びステップS5BでNO)。なお、信号取得部46は、所定の測定回数分の被検眼Eの眼特性測定が全て終了するまでの間、各加速度センサ28からの加速度の検出信号の取得と、信頼性評価部48への検出信号の出力と、を連続的に実行する。
【0105】
被検眼Eの眼特性測定が全て終了すると(ステップS5BでYES)、信頼性評価部48が、信号取得部46から入力される加速度の検出信号に基づいて、既述の図9に示したように、被検眼Eの眼特性の測定区間M1、M2、…ごとに個別に眼特性測定データの信頼性を評価する(ステップS10)。
【0106】
次いで、取捨選択部49が、眼特性演算部44が演算した所定の測定回数分の被検眼Eの眼特性測定データの中で、信頼性評価部48により信頼性が高いと評価された眼特性測定データのみを残し、逆に信頼性が低いと評価された眼特性測定データは削除する(ステップS11)。なお、上述のステップS10及びステップS11の処理は、被検眼Eの眼特性測定が全て終了(ステップS5BでYES)した後ではなく、上述のステップS5Aの眼特性測定が実行されるごとに繰り返し実行してもよい。
【0107】
そして、表示制御部50が、取捨選択部49が残した被検眼Eの眼特性測定データ、すなわち、信頼性評価部48により信頼性が高いと評価された眼特性測定データのみを表示部6に表示させる(ステップS12)。これにより、信頼性が高い眼特性測定データのみを検者に呈示することができる。
【0108】
以上のように第2実施形態の眼科装置1においても、加速度センサ28の検出信号に基づいて眼特性測定データの信頼性を容易に判別することができる。また、取捨選択部49により信頼性評価部48により信頼性が低いと評価された眼特性測定データを削除することで、信頼性が高い眼特性測定データのみを検者に呈示することができる。また、眼科装置1に振動が発生している場合には、その振動が収まるまで待つ必要がなく速やかに眼特性の測定を開始することができる。
【0109】
なお、上記第2実施形態では、眼科装置1による被検眼Eの眼特性測定を複数回繰り返し実行しているが、眼特性測定を1回だけ実行する場合にも本発明を適用可能である。この場合には、信頼性評価部48により眼特性測定データの信頼性が低いと評価された場合に、取捨選択部49により全ての眼特性測定データが削除されてしまうので、上記第1実施形態の警告情報58及び信頼性係数59等を表示部6に表示させる。
【0110】
[第3実施形態]
図11は、第3実施形態の眼科装置1の表示部6のカバーを取り外した状態を示した斜視図である。上記各実施形態では測定ヘッド5内に加速度センサ28を設けているが、眼特性測定データの信頼性に影響を及ぼさない振動、例えば眼科装置1の環境に起因する振動が発生したとしても警告情報58等を表示したり或いは眼特性測定データを削除したりする必要はない。この眼科装置1の環境に起因する振動とは、例えば、周辺で作業している人の作業振動(歩行など)、周辺道路を走っている自動車の走行振動などが含まれる。
このため、環境による眼科装置1の振動の大きさと、眼特性測定データの信頼性に影響を及ぼす眼科装置1の振動の大きさとが近い場合には、後者の振動をあえて大きくすることで眼特性測定データの信頼性評価を行い易くすることが好ましい。
【0111】
そこで、図11に示すように、第3実施形態の眼科装置1では表示部6に加速度センサ28を設けている。具体的には、表示部6の表示パネル6a(液晶パネル等)の背面側を覆う金属プレート6bの背面の中で、検者によるタッチ操作の操作力が特に印加される位置に加速度センサ28を設けている。なお、表示部6に加速度センサ28を設ける位置は特に限定はされない。
【0112】
第3実施形態の眼科装置1は、表示部6に加速度センサ28を設けている点を除けば上記各実施形態の眼科装置1と基本的に同じ構成である。このため、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0113】
眼科装置1の重心位置G(後述の図12参照)は、測定ヘッド5又は駆動機構4にある。このため、表示部6は、眼科装置1の重心位置Gから見て少なくとも測定ヘッド5よりも遠い位置に設けられている(図1参照)。さらに第3実施形態では、眼科装置1の中で表示部6が重心位置Gから最も遠い位置に設けられている。眼特性測定データの信頼性に影響を及ぼす振動が眼科装置1で発生した場合には、重心位置Gから遠くなるほど振動が大きくなる。このため、眼科装置1の中で重心位置Gから最も遠い位置にある表示部6の振動が最も大きくなる。
【0114】
従って、表示部6に加速度センサ28を設けることで、加速度センサ28が検出する振動(眼特性測定データの信頼性に影響を及ぼす振動)を大きくすることができ、加速度センサ28から出力される微弱な加速度の検出信号を増幅させることができる。これにより、環境による眼科装置1の振動と、眼特性測定データの信頼性に影響を及ぼす眼科装置1の振動とのうちで、後者の振動をあえて大きくすることができる。このため、環境による眼科装置1の振動の大きさと、眼特性測定データの信頼性に影響を及ぼす眼科装置1の振動の大きさとが切り分けられ、眼特性測定データの信頼性に影響を及ぼす振動を加速度センサ28で検出し易くなる。その結果、眼特性測定データの信頼性評価が行い易くなり、信頼性評価部48による被検眼Eの眼特性測定データの信頼性評価の精度をより向上させることができる。
【0115】
[第4実施形態]
図12は、第4実施形態の眼科装置1の測定ヘッド5のカバーを取り外した状態での外観斜視図である。図13は、図12の矢印D方向側から見たセンサ取付部60の拡大図である。上記第3実施形態では表示部6に加速度センサ28を設けているが、第4実施形態の眼科装置1では表示部6よりもさらに遠い位置に加速度センサ28を設けている。
【0116】
なお、第4実施形態の眼科装置1は、測定ヘッド5にセンサ取付部60が設けられている点を除けば、上記各実施形態の眼科装置1と基本的に同じ構成である。このため、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0117】
センサ取付部60は、本発明の保持部に相当するものであり、重心位置Gから表示部6までの距離を第1距離LAとした場合に、この第1距離LAよりも長い第2距離LBだけ離れた位置で加速度センサ28を保持する。これにより、上記第3実施形態よりも加速度センサ28が検出する振動(眼特性測定データの信頼性に影響を及ぼす振動)を大きくすることができる。このため、眼特性測定データの信頼性に影響を及ぼす振動を加速度センサ28でより検出し易くなるので、眼特性測定データの信頼性評価がより行い易くなる。その結果、信頼性評価部48による被検眼Eの眼特性測定データの信頼性評価の精度をより向上させることができる。
【0118】
[第5実施形態]
図14は、第5実施形態の眼科装置1の測定ヘッド5のカバーを取り外した状態での外観斜視図である。上記第3実施形態及び第4実施形態では、加速度センサ28が検出する振動(眼特性測定データの信頼性に影響を及ぼす振動)を大きくするために、重心位置Gからより離れた位置に加速度センサ28を設けているが、第5実施形態の眼科装置1では別の方法で加速度センサ28が検出する振動を大きくする。
【0119】
図14に示すように、第5実施形態の眼科装置1は、加速度センサ28の取付方法が異なる点を除けば、上記各実施形態の眼科装置1と基本的に同じ構成である。このため、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0120】
第5実施形態の眼科装置1では、ゴムスペーサ62(本発明の取付部材に相当)を介して加速度センサ28をセンサ取付部32に取り付けている。また、図示は省略するが、ゴムスペーサ62を介して加速度センサ28をセンサ取付部36(図4参照)、金属プレート6b(図11参照)、及びセンサ取付部60(図13参照)に取り付けてもよい。
【0121】
ゴムスペーサ62のような可撓性(弾性を含む)を有する取付部材を介して加速度センサ28を各種取付位置に取り付けることで、眼特性測定データの信頼性に影響を及ぼす振動が眼科装置1で発生した場合に加速度センサ28自体の振動を増幅させることができる。この場合にも眼特性測定データの信頼性に影響を及ぼす眼科装置1の振動を敢えて大きくすることができるので、眼特性測定データの信頼性に影響を及ぼす振動を加速度センサ28で検出し易くなる。その結果、眼特性測定データの信頼性評価が行い易くなるので、上記第3実施形態及び第4実施形態と同様に、信頼性評価部48による眼特性測定データの信頼性評価の精度をより向上させることができる。
【0122】
上記第5実施形態では、ゴムスペーサ62を介して加速度センサ28を各種取付位置に取り付けているが、バネ状スペーサ(板バネ)などの可撓性(弾性)を有する各種取付部材(スペーサ)を介して加速度センサ28の取り付けを実行してもよい。また、既述のセンサ取付部32,36,60を薄板状に形成することで、センサ取付部32,36,60自体が可撓性を有するようにしてもよい。
【0123】
[その他]
上記各実施形態では、眼科装置1としてオートレフケラトメータを例に挙げて説明を行ったが、被検眼Eの各種眼特性[眼圧値、角膜内皮細胞、OCT(Optical Coherence Tomography)画像、眼底像等]を取得する他の眼科装置にも本発明を適用可能である。この場合には、他の眼科装置における対物レンズ、測定光源、撮像素子、及びアライメント検出系等の取付位置に加速度センサ28を取り付ける。また、加速度センサ28を取り付ける箇所は、これら対物レンズ等の取付位置に限定されるものではなく、振動が発生した場合に眼特性測定データの信頼性を低下させる他の箇所も含まれる。この他の箇所は眼科装置の種類によって異なる。
【0124】
図15は、眼科装置が非接触式眼圧計70である場合の加速度センサ28の取り付け例を説明するための説明図である。
【0125】
図15に示すように、非接触式眼圧計70は、被検眼Eの眼圧値の測定を行う。非接触式眼圧計70は、角膜Ecに向けてノズル74から空気(各種流体でも可)を吹き付けることで角膜Ecを変形させてその変形状態を検出することにより、非接触で被検眼Eの眼圧値を測定する。
【0126】
非接触式眼圧計70の測定ヘッド72は、ノズル74と、ノズル74が設けられた窓ガラス76と、窓ガラス76を保持する凸状のガラス保持部78と、を備える。また、非接触式眼圧計70の測定ヘッド72には、図示は省略するが、公知の各種光学系(本発明の対物レンズ、測定光源、撮像素子、及びアライメント検出系を含む)が設けられている。これにより、測定ヘッド72の各部を駆動することで、公知の方法により被検眼Eの眼圧測定を実行することができる。
【0127】
このような非接触式眼圧計70において、ノズル74及びその周辺で振動が発生すると、被検眼Eの眼圧値(眼特性測定データ)の信頼性が低下してしまう。このため、測定ヘッド72のノズル74の取付位置(例えばガラス保持部78)に加速度センサ28を設けて、この加速度センサ28から出力される検出信号に基づいて被検眼Eの眼圧値の信頼性を評価してもよい。また、上記各実施形態と同様に、各種光学系の取付位置にも加速度センサ28を設けてもよい。
【0128】
上記各実施形態では、加速度センサ28により対物レンズ12a等の振動を検出しているが、加速度センサ28の代わりに、対物レンズ12a等の振動を検出可能な公知の各種振動検出部を用いてもよい。
【0129】
上記各実施形態では据え置き型の眼科装置1を例に挙げて説明を行ったが、ハンディタイプの眼科装置1にも本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0130】
1…眼科装置
2…ベース
3…顔支持部
3a…顎受け部
3b…額当て部
4…駆動機構
5…測定ヘッド
6…表示部
6a…表示パネル
6b…金属プレート
9…制御装置
12…観察光学系
12a…対物レンズ
12b…ダイクロイックフィルタ
12c…ハーフミラー
12d…リレーレンズ
12e…ダイクロイックフィルタ
12f…結像レンズ
12g…撮像素子
12h…ケラト板
12i…ケラトリング光源
13…Zアライメント光学系
13a…アライメント光源
13b…投影レンズ
14…XYアライメント光学系
14a…アライメント光源
14b…投影レンズ
15…視標投影光学系
15a…視標表示部
15b…ハーフミラー
15c…リレーレンズ
15d…反射ミラー
15e…合焦レンズ
15f…リレーレンズ
15g…フィールドレンズ
15h…VCCレンズ
15i…反射ミラー
15j…ダイクロイックフィルタ
15k…グレア光源
16…測定用パターン投影光学系
16a…レフ測定ユニット
16b…リレーレンズ
16c…瞳リング
16d…フィールドレンズ
16e…穴開きプリズム
16f…ロータリープリズム
16h…LED光源
16i…コリメータレンズ
16j…円錐プリズム
16k…形成板
17…受光光学系
17a…フィールドレンズ
17b…反射ミラー
17c…リレーレンズ
17d…合焦レンズ
17e…反射ミラー
27…連動移動機構
28…加速度センサ
30…レンズ保持部
32…センサ取付部
34…撮像素子保持部
36…センサ取付部
40…アライメント制御部
42…眼特性測定制御部
44…眼特性演算部
46…信号取得部
48…信頼性評価部
49…取捨選択部
50…表示制御部
52…報知制御部
56…測定結果欄
58…警告情報
59…信頼性係数
60…センサ取付部
62…ゴムスペーサ
70…非接触式眼圧計
72…測定ヘッド
74…ノズル
76…窓ガラス
78…ガラス保持部
E…被検眼
Ec…角膜
Ef…眼底
G…重心位置
LA…第1距離
LB…第2距離
M1,M2,M3…測定区間
O1…主光軸
O2,O3,O4…光軸
PA…休止区間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15