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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042883
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】流体混合器
(51)【国際特許分類】
   B01F 25/42 20220101AFI20240322BHJP
   B01F 23/45 20220101ALI20240322BHJP
   B01F 23/20 20220101ALI20240322BHJP
【FI】
B01F25/42
B01F23/45
B01F23/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147802
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100109058
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】緒方 健人
(72)【発明者】
【氏名】藤澤 彰利
(72)【発明者】
【氏名】市橋 伸理
(72)【発明者】
【氏名】松岡 亮
【テーマコード(参考)】
4G035
【Fターム(参考)】
4G035AB26
4G035AB37
4G035AC12
(57)【要約】
【課題】第1流体と第2流体とを効率よく混合する。
【解決手段】流体混合器30は流路形成体を備え、これに混合流路40が形成される。混合流路40は、主流路と第2流体導入流路42とを含む。主流路は、第1流体導入部41と、合流折返し部43と、混合部44と、を含み、前記混合部44は混合流体導出部46aを含む。前記第1流体導入部41は、第1流体が第1導入方向に沿って合流折返し部43内に導入されることを許容する。合流折返し部43は、第1流体が第2流体とともに折り返して混合流体導出部46aに流れることを許容する。第2流体導入流路42は、第1流体導入部41及び混合流体導出部46aのそれぞれの流路長よりも小さい流路長を有し、第2流体を第1導入方向と逆向きの第2導入方向に沿って合流折返し部43に導入して第1流体に合流させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体を流しながら当該第1流体に第2流体を導入して当該第1流体と当該第2流体とを互いに混合するための流体混合器であって、
少なくとも一つの混合流路が形成された流路形成体を備え、
前記少なくとも一つの混合流路は、主流路と第2流体導入流路とを含み、
前記主流路は、第1流体導入部と、合流折返し部と、混合部と、を含み、当該混合部は混合流体導出部を含み、前記第1流体導入部は、前記第1流体が第1導入方向に沿って前記合流折返し部内に導入されることを許容するように前記合流折返し部とつながり、前記合流折返し部は、前記第1流体導入部を通じて前記合流折返し部に導入される前記第1流体が前記第2流体導入流路を通じて前記合流折返し部に導入される前記第2流体とともに折り返して前記混合流体導出部に流れることを許容し、前記混合部は、前記合流折返し部に導入された前記第1流体及び前記第2流体が互いに混合されながら混合流体として流れることを許容するように形成され、前記混合流体導出部は、前記第1流体及び前記第2流体が前記合流折返し部から前記第1導入方向と逆向きの導出方向に流出することを許容するように当該合流折返し部につながり、
前記第2流体導入流路は、前記主流路の前記第1流体導入部及び前記混合流体導出部のそれぞれの流路長よりも小さい流路長を有し、前記第2流体を前記第1導入方向と逆向きの第2導入方向に沿って前記合流折返し部に導入して前記第1流体と合流させるように前記合流折返し部と連通する、流体混合器。
【請求項2】
請求項1に記載の流体混合器であって、前記第2流体導入流路は、前記第1流体導入部から導入される前記第1流体と前記第2流体とを互いに衝突させるように前記合流折返し部とつながる、流体混合器。
【請求項3】
請求項2に記載の流体混合器であって、前記第2導入方向に沿う方向に見て前記第2流体導入流路の出口の少なくとも一部が前記第1流体導入部の出口と重なっている、流体混合器。
【請求項4】
請求項3に記載の流体混合器であって、前記第2導入方向に沿う方向に見て前記第2流体導入流路の出口の全部が前記第1流体導入部の出口と重なっている、流体混合器。
【請求項5】
請求項2に記載の流体混合器であって、前記第2流体導入流路は、前記主流路の前記第1流体導入部及び前記混合流体導出部のそれぞれの流路断面積よりも小さい流路断面積を有する、流体混合器。
【請求項6】
請求項1に記載の流体混合器であって、前記第1導入方向、前記導出方向及び前記第2導入方向は、共通の混合流路面に対してそれぞれ平行である、流体混合器。
【請求項7】
請求項6に記載の流体混合器であって、前記少なくとも一つの混合流路が複数の混合流路を含み、当該複数の混合流路が前記混合流路面と直交する配列方向に沿って配列されている、流体混合器。
【請求項8】
請求項6に記載の流体混合器であって、前記混合部は、前記混合流路面に沿って前記混合流体を往復させながら当該混合流体における前記第1流体と前記第2流体との混合を進行させるように形成されている、流体混合器。
【請求項9】
請求項8に記載の流体混合器であって、前記混合部は、前記混合流体が往復する方向である往復方向の一方の側に配置された複数の第1折返し部と前記往復方向の他方の側に配置された少なくとも一つの第2折返し部とを含み、前記複数の第1折返し部及び前記少なくとも一つの第2折返し部のそれぞれにおいて前記混合流体を折返しさせるように形成されるとともに、前記少なくとも一つの第2折返し部が前記合流折返し部とともに前記往復方向と直交する折返し部配列方向に沿って配列され、前記複数の第1折返し部が前記往復方向において前記合流折返し部及び前記少なくとも一つの第2折返し部と反対の側で前記折返し部配列方向に沿って配列されている、流体混合器。
【請求項10】
請求項9に記載の流体混合器であって、前記流路形成体は、前記主流路のうちの少なくとも往復流路部が形成された本体部と、前記第2流体導入流路が形成された導入側閉止部材と、を含み、前記往復流路部は、前記複数の第1折返し部と前記合流折返し部及び前記少なくとも一つの第2折返し部との間で前記混合流体を前記往復方向に往復させる部分であり、前記本体部は、前記複数の混合流路のそれぞれの前記合流折返し部及び前記少なくとも一つの第2折返し部を画定する折返し面を含み、前記導入側閉止部材は前記折返し面を閉止して前記複数の混合流路を成立させるように前記本体部に着脱可能に装着される、流体混合器。
【請求項11】
請求項6に記載の流体混合器であって、前記合流折返し部は、前記第1流体及び前記第2流体を前記混合流路面と直交する合流折返し方向に流すように形成されている、流体混合器。
【請求項12】
請求項9に記載の流体混合器であって、前記合流折返し部は、前記第1流体及び前記第2流体を前記混合流路面と直交する合流折返し方向に流すように形成され、前記少なくとも一つの第2折返し部は、前記混合流体を前記合流折返し方向と平行な第2折返し方向に流すように形成され、前記複数の第1折返し部のそれぞれは、前記混合流体を前記第2折返し方向と逆の第1折返し方向に流すように形成されている、流体混合器。
【請求項13】
請求項10に記載の流体混合器であって、前記折返し面に前記合流折返し部を画定する凹部が形成され、前記導入側閉止部材は、弾性変形しながら前記凹部の周囲で前記折返し面と密着することにより前記合流折返し部を密閉する密閉部材を含み、当該密閉部材に前記凹部とつながって前記第2流体導入流路を構成する導入孔が形成されている、流体混合器。
【請求項14】
請求項10に記載の流体混合器であって、前記導入側閉止部材は、前記本体部に連結される閉止部材本体と、前記合流折返し部が形成された密閉部材と、を含み、前記密閉部材は、前記閉止部材本体が前記本体部に連結されるのに伴って弾性変形しながら前記折返し面と密着することにより当該折返し面との間で前記合流折返し部を密閉し、前記閉止部材本体に前記合流折返し部とつながって前記第2流体導入流路を構成する第2流体導入孔が形成されている、流体混合器。
【請求項15】
第1流体を流しながら当該第1流体に第2流体を導入して当該第1流体と当該第2流体とを互いに混合するための流体混合システムであって、
請求項1~14のいずれかに記載の流体混合器と、
前記流体混合器の前記第1流体導入部に前記第1流体を供給する第1流体供給部と、
前記流体混合器の前記第2流体導入流路に前記第2流体を供給する第2流体供給部と、を備える、流体混合システム。
【請求項16】
第1流体を流しながら当該第1流体に第2流体を導入して当該第1流体と当該第2流体とを互いに混合するための流体混合方法であって、
請求項1~14のいずれかに記載の流体混合器を用意することと、
前記第1流体導入部を通じて前記第1流体を前記第1導入方向に沿って前記合流折返し部内に導入することと、
前記第2流体導入流路を通じて前記第2流体を前記第2導入方向に沿って前記合流折返し部に導入することにより前記第1流体に合流させることと、
前記第1流体及び前記第1流体に合流した前記第2流体を前記混合流体として前記合流折返し部から前記混合流体導出部を通じて導出させることと、を含む、流体混合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1流体に第2流体を導入して両者を混合するための流体混合器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、互いに異なる第1流体と第2流体とを効率よく混合するための手段として、混合流路が形成された混合器が知られている。前記混合流路は、前記第1流体に前記第2流体が合流して両流体が互いに混合されることを可能にするように形成され、これにより、当該第1及び第2流体が効率良く混合されることを可能にする。
【0003】
例えば特許文献1には、第1原料液体と第2原料液体とを混合して両者の間で化学反応を生じさせるための反応器が開示されている。当該反応器は、互いに積層される複数の反応流路基板を備え、当該複数の反応流路基板のそれぞれには、複数の第1反応溝、複数の第2反応溝及び複数の貫通孔が形成されている。前記複数の第1反応溝は、各反応流路基板の一方の面(表側面)に形成され、各第1反応溝を前記第1原料液体が流れることを許容する。前記複数の第2反応溝は各反応流路基板の他方の面(裏側面)に形成され、各第2反応溝を前記第2原料液体が流れることを許容する。前記複数の貫通孔は、前記第1反応溝の途中部分と前記第2反応溝の終端とを相互に連通するように各反応流路基板を板厚方向に貫通し、前記第1反応溝を流れる前記第1原料流体に前記第2反応溝から前記貫通孔を通じて前記第2原料流体が合流することを許容する。このようにして互いに合流した前記第1及び第2原料流体は前記貫通孔よりも下流側の領域で前記第1反応溝内を流れ、これにより互いに混合されて化学反応を起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-211942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記流体混合器では、前記反応流路基板の板厚方向について互いに異なる位置に前記第1反応溝及び前記第2反応溝を設けて両反応溝を並行させる必要があり、このことは、当該板厚方向についての流体混合器全体の寸法を大きくする。また、前記第2反応溝の終端に貫通穴が設けられていて、当該終端に突き当たった第2流体が前記第1及び第2反応溝と直交する方向に前記貫通穴に流入することにより第1流体への合流が許容されるため、前記第2流体が前記第1流体との合流に至るまでの流れ及び流路の構造が複雑である。特に、前記第2反応溝の終端で第2流体の向きが大きく変わることは、大きな流路抵抗を生じさせ、目詰まりを生じさせ易く、さらに、当該目詰まりが生じた場合のメンテナンスも容易でない。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、簡素かつコンパクトな構造で第1流体と第2流体とを効率よく混合することが可能な流体混合器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
提供されるのは、第1流体を流しながら当該第1流体に第2流体を導入して当該第1流体と当該第2流体とを互いに混合するための流体混合器である。当該流体混合器は、少なくとも一つの混合流路が形成された流路形成体を備える。前記少なくとも一つの混合流路は、主流路と第2流体導入流路とを含む。前記主流路は、第1流体導入部と、合流折返し部と、混合部と、を含み、前記混合部は混合流体導出部を含む。前記第1流体導入部は、前記第1流体が第1導入方向に沿って前記合流折返し部内に導入されることを許容するように前記合流折返し部とつながる。前記合流折返し部は、前記第1流体導入部を通じて前記合流折返し部に導入される前記第1流体が前記第2流体導入流路を通じて前記合流折返し部に導入される前記第2流体とともに折り返して前記混合流体導出部に流れることを許容する。前記混合部は、前記合流折返し部に導入された前記第1流体及び前記第2流体が互いに混合されながら混合流体として流れることを許容するように形成される。前記混合流体導出部は、前記第1流体及び前記第2流体が前記合流折返し部から前記第1導入方向と逆向きの導出方向に流出することを許容するように当該合流折返し部につながる。前記第2流体導入流路は、前記第1流体導入部及び前記混合流体導出部のそれぞれの流路長よりも小さい流路長を有し、前記第2流体を前記第1導入方向と逆向きの第2導入方向に沿って前記合流折返し部に導入して前記第1流体と合流させるように前記合流折返し部とつながる。
【0008】
このように、前記第2流体導入流路は、前記主流路において第1流体が折り返す部分である前記合流折返し部に第2流体を導入するものであるので、大きな流路長及び複雑な形状を有する必要がない。従って、当該第2流体導入流路における第2流体の流路抵抗を抑えて混合効率を高めることが可能である。また、前記第2流体導入流路は、前記第1流体導入部の前記第1導入方向と反対の第2導入方向に第2流体を導入するものであるため、当該第1流体導入部と当該第2流体導入流路とを略同一平面上に配列することが可能であり、このことは前記流路形成体のコンパクト化を可能にする。
【0009】
ここにおいて、「前記第2流体を前記第1導入方向と逆向きの第2導入方向に沿って前記合流折返し部に導入」するとは、前記第1導入方向と前記第2導入方向とが完全に180°異なるものに限定する趣旨ではなく、前記合流折返し部に対して前記第1流体導入部と反対の側から第2流体を導入することが可能な程度まで当該第1及び第2導入方向に差(好ましくは135°以上の角度)が与えられていればよい。
【0010】
前記第2流体導入流路は、前記第1流体導入部から導入される第1流体と第2流体とを互いに衝突させるように前記合流折返し部とつながることが、好ましい。このことは、第1及び第2流体を高い相対速度(互いに逆向きの速度)で互いに衝突させることを可能にし、これにより、前記第1及び第2流体が高い効率で互いに混合されながら前記混合部を流れることを可能にする。
【0011】
具体的には、前記第2導入方向に沿う方向に見て前記第2流体導入流路の出口の少なくとも一部(好ましくは全部)が前記第1流体導入部の出口と重なっているのがよい。このことは、前記第2流体導入流路を通じて前記合流折返し部に導入される前記第2流体が前記第1流体導入部を通じて前記合流折返し部に導入される前記第1流体と確実に衝突することを可能にする。
【0012】
前記第2流体導入流路は、前記第1流体導入部及び前記混合流体導出部の流路断面積よりも小さい流路断面積を有することが好ましい。このことは、前記第2流体を高い速度で前記合流折返し部に導入することを可能にし、これにより、互いに衝突する第1及び第2流体の相対速度をさらに高めることを可能にする。しかも、上述のように、前記第2流体導入流路は、前記主流路の折返し部分である前記合流折返し部に前記第2流体を導入すればよく、大きな流路長は要しないので、当該第2流体導入流路の断面積が小さくてもこれに起因する圧力損失は少なく、閉塞のリスクも低い。また、仮に当該閉塞が生じたとしても、前記第2流体導入流路のメンテナンスは容易である。このように、前記流体混合器は、圧力損失及び閉塞のリスクを抑えながら前記第1流体と前記第2流体とが効率よく混合されることを可能にする。
【0013】
前記第1導入方向、前記導出方向及び前記第2導入方向は、共通の混合流路面に対してそれぞれ平行であることが好ましい。このことは、コンパクトな構造で前記第1流体の導入と前記混合流体の導出との双方が行われることを可能にする。
【0014】
この態様において、前記混合部は、前記混合流路面に沿って前記混合流体を往復させながら当該混合流体における前記第1流体と前記第2流体との混合を進行させるように形成されていることが、好ましい。このことは、共通の前記混合流路面に沿ったコンパクトな構造で、前記第1及び第2流体を互いに合流させるのに加えてその合流後の第1及び第2流体の混合を進行させるために十分な流路長(前記混合部の長さ)を確保する(例えば反応器の場合には第1流体と第2流体との間での反応を進行させるために十分な時間を確保する)ことを可能にする。
【0015】
この態様では、さらに、前記少なくとも一つの混合流路が複数の混合流路を含み、当該複数の混合流路が前記混合流路面と直交する配列方向に沿って配列されていることが、好ましい。このことは、コンパクトな構造で前記複数の混合流路が配置されることを可能にし、これにより、限られたスペース内でより多くの第1及び第2流体が混合処理されることを可能にする。
【0016】
前記混合部は、より具体的には、前記混合流体が往復する方向である往復方向の一方の側に配置された複数の第1折返し部と前記往復方向の他方の側に配置された少なくとも一つの第2折返し部とを含み、前記複数の第1折返し部及び前記少なくとも一つの第2折返し部のそれぞれにおいて前記混合流体を折返しさせるように形成されるとともに、前記少なくとも一つの第2折返し部が前記合流折返し部とともに前記往復方向と直交する折返し部配列方向に沿って配列され、前記複数の第1折返し部が前記往復方向において前記少なくとも一つの第2折返し部と反対の側で前記折返し部配列方向に沿って配列されていることが、好ましい。このことは、コンパクトな構造で前記第1及び第2流体の合流及びその後の混合流体の往復方向の流れが実現されることを可能にする。
【0017】
前記合流折返し部は、前記第1流体及び前記第2流体を前記混合流路面と直交する合流折返し方向に流すように形成されていることが、好ましい。このような合流折返し部は、前記第1及び第2流体が前記混合流路面と直交する方向、すなわち前記第1導入方向と直交する方向、に流れながらスムーズに混合流体導出部へ折り返すことを可能にする。
【0018】
さらに、前記混合部が複数の第1折返し部及び前記少なくとも一つの第2折返し部を含む場合、当該少なくとも一つの第2折返し部は、前記混合流体を前記合流折返し方向と平行な第2折返し方向に流すように形成され、前記複数の第1折返し部のそれぞれは、前記混合流体を前記合流折返し方向及び前記第2折返し方向のそれぞれと逆の第1折返し方向に流すように形成されていることが、好ましい。このように形成された前記合流折返し部及び前記第1及び第2折返し部は、前記混合流体が前記混合流路面に沿いながら螺旋状に類する形状の経路で進行することを可能にする。
【0019】
前記流路形成体は、前記主流路のうちの少なくとも往復流路部が形成された本体部と、前記第2流体導入流路が形成された導入側閉止部材と、を含み、前記往復流路部は前記合流折返し部及び前記少なくとも一つの第2折返し部と前記複数の第1折返し部との間で前記混合流体を往復させる部分であり、前記本体部は、前記複数の混合流路のそれぞれの前記合流折返し部及び前記少なくとも一つの第2折返し部を画定する折返し面を含み、前記導入側閉止部材は前記折返し面を閉止して前記複数の混合流路を成立させるように前記本体部に着脱可能に装着されることが、好ましい。当該導入側閉止部材は、前記本体部に装着されることにより前記複数の混合流路を成立させる一方、前記本体部から脱着されて前記折返し面を開放することにより、前記折返し面につながる前記往復流路部及び前記導入側閉止部材に形成される前記第2流体導入流路の双方のメンテナンスが容易に行われることを可能にする。
【0020】
ここにおいて、「前記合流折返し部及び前記少なくとも一つの第2折返し部を画定する折返し面」は、当該折返し面そのものに前記合流折返し部及び前記第2折返し部のうちの少なくとも一部を画定する凹部が形成されたものであってもよいし、前記合流折返し部及び前記第2折返し部のうちの少なくとも一部を画定する凹部が前記導入側閉止部材に形成されていて当該凹部と対向することにより前記合流折返し部及び前記第2折返し部を画定するものであってもよい。
【0021】
前者の態様では、前記折返し面に前記合流折返し部を画定する凹部が形成され、前記導入側閉止部材は、前記本体部に着脱可能に連結される閉止部材本体と、当該閉止部材本体に固定され、前記本体部に前記閉止部材本体が連結されるのに伴って弾性変形しながら前記凹部の周囲で前記折返し面と密着することにより前記合流折返し部を密閉する密閉部材と、を含み、当該密閉部材に前記凹部とつながって前記第2流体導入流路を構成する第2流体導入孔が形成されていることが、好ましい。また後者の態様では、前記導入側閉止部材が、前記本体部に連結される閉止部材本体と、前記合流折返し部が形成された密閉部材と、を含み、前記密閉部材は、前記閉止部材本体が前記本体部に連結されるのに伴って弾性変形しながら前記折返し面と密着することにより当該折返し面との間で前記合流折返し部を密閉し、前記閉止部材本体に前記合流折返し部とつながって前記第2流体導入流路を構成する第2流体導入孔が形成されていることが、好ましい。前者及び後者の態様のいずれも、前記密閉部材と前記折返し面との密着により前記合流折返し部を確実に密閉しながら当該合流折返し部に前記第2流体導入流路を通じて前記第2流体が導入されることを可能にする。
【0022】
また、第1流体を流しながら当該第1流体に第2流体を導入して当該第1流体と当該第2流体とを互いに混合するための流体混合システムが、提供される。当該流体混合システムは、前記流体混合器と、前記流体混合器の前記第1流体導入部に前記第1流体を供給する第1流体供給部と、前記流体混合器の前記第2流体導入流路に前記第2流体を供給する第2流体供給部と、を備える。
【0023】
また、第1流体を流しながら当該第1流体に第2流体を導入して当該第1流体と当該第2流体とを互いに混合するための流体混合方法が、提供される。当該流体混合方法は、前記流体混合器を用意することと、前記第1流体導入部を通じて前記第1流体を前記第1導入方向に沿って前記合流折返し部内に導入することと、前記第2流体導入流路を通じて前記第2流体を前記第2導入方向に沿って前記合流折返し部に導入することにより前記第1流体と合流させることと、前記第1流体及び前記第1流体に合流した前記第2流体を前記混合流体として前記合流折返し部から前記混合流体導出部を通じて導出させることと、を含む。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、簡素かつコンパクトな構造で第1流体と第2流体とを効率よく混合することが可能な流体混合器及びこれを用いた流体混合システム及び流体混合方法が、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る流体混合器の断面正面図である。
図2】本発明の第2の実施の形態に係る流体混合器をその下側から見た斜視図である。
図3図2に示される前記流体混合器に形成される複数の混合流路のうちの第1の混合流路と第2の混合流路の一部とを示す正面図である。
図4図2に示される前記流体混合器において第1流体に第2流体を導入するための部分である第2流体導入部分を示す断面平面図である。
図5図4のV-V線に沿った面を90°回転させて示した図である。
図6図4のVI-VI線に沿った面を90°回転させて示した断面図である。
図7】前記本体部を構成する複数の積層板の例を示す断面側面図である。
図8】前記第2流体導入部分の第1の変形例を示す断面平面図である。
図9図8に示されるガスケットの外側面を示した側面図であって図8のIX-IX線に沿った面を90°回転させて示した図である。
図10】前記第2流体導入部分の第2の変形例を示す断面平面図である。
図11図10に示されるガスケットの外側面を示した側面図であって図10のXI-XI線に沿った面を90°回転させて示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0027】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る流体混合システムを示す。前記流体混合システムは、第1流体を流しながら当該第1流体に第2流体を導入して当該第1流体と当該第2流体とを互いに混合するためのものである。当該システムの具体的な用途は限定されない。当該システムは、例えば、前記第1流体と前記第2流体とを互いに化学反応させる反応システム、あるいは、前記第1流体に含まれる特定物質を前記第2流体に放出させる放出システム、として好適に使用される。前記第1流体及び前記第2流体のそれぞれは液体及び気体のうちのいずれでもよいが、前記第1流体及び前記第2流体の少なくとも一方は液体であることが好ましく、前記第1流体及び前記第2流体の双方が液体であることがさらに好ましい。
【0028】
図1に示される前記流体混合システムは、第1流体供給部10と、第2流体供給部20と、流体混合器30と、を備える。
【0029】
前記第1流体供給部10は、前記流体混合器30に前記第1流体を供給する。前記第1流体供給部10は、例えば、第1流体容器と第1流体ポンプとを含む。前記第1流体容器は、前記第1流体を収容し、前記第1流体ポンプは、前記第1流体容器に収容された前記第1流体を、配管を通じて前記流体混合器30に圧送する。
【0030】
前記第2流体供給部20は、前記流体混合器30に前記第2流体を供給する。前記第2流体供給部20は、例えば、第2流体容器と第2流体ポンプとを含む。前記第2流体容器は、前記第2流体を収容し、前記第2流体ポンプは、前記第2流体容器に収容された前記第2流体を、配管を通じて前記流体混合器30に圧送する。
【0031】
前記流体混合器30は、流路形成体を備え、当該流路形成体に少なくとも一つの混合流路が形成されている。この実施の形態において、前記少なくとも一つの混合流路は複数の混合流路40を含む。前記複数の混合流路40のそれぞれは、混合流路面に沿うように展開される。前記混合流路面は、図1に示される例では垂直面、すなわち図1の紙面に平行な面、である。前記複数の混合流路40は前記混合流路面と直交する方向、図1では奥行方向、に相当する配列方向に配列されている。図1は、前記複数の混合流路40のうちの一つの混合流路40を示す断面(垂直断面)を示す正面図である。
【0032】
前記混合流路40は、主流路と第2流体導入流路42とを含む。前記主流路は、第1流体導入部41と、合流折返し部43と、混合部44と、を含み、前記混合部44は混合流体導出部46aを含む。
【0033】
前記第1流体導入部41は、前記第1流体が第1導入方向に沿って前記合流折返し部43内に導入されることを許容するように前記合流折返し部43とつながる。前記第1導入方向は、図1に示される例では、左側から右側に向かって僅かに斜め上方に傾斜する方向である。
【0034】
前記合流折返し部43は、前記第1流体導入部41を通じて前記合流折返し部43に導入される前記第1流体が、前記第2流体導入流路42を通じて前記合流折返し部43に導入される前記第2流体とともに折り返して前記混合流体導出部46aに流れることを許容するように形成される。
【0035】
前記混合部44は、前記合流折返し部43に導入された前記第1流体及び前記第2流体が互いに混合されながら混合流体として流れることを許容するように形成される。前記混合部44は、前記混合流体導出部46aを含む往復流路部46と、複数の第1折返し部45Aと、第2折返し部45Bと、を含む。
【0036】
前記混合流体導出部46aは、前記第1流体及び前記第2流体が前記合流折返し部43から前記第1導入方向と逆向きの導出方向に流出することを許容するように当該合流折返し部43につながる。ここでいう「前記第1導入方向と逆向きの導出方向」とは、必ずしも前記第1導入方向と完全に180°異なる方向を意味するものではなく、前記合流折返し部43において前記第1流体の方向が反転すると認められている程度に前記第1導入方向と逆を向く方向であればよい。図1に示される前記混合流体導出部46aに沿った前記導入方向は、前記合流折返し部43から離れる方向(図1では左方向)でかつ僅かに斜め上向きの方向となっている。
【0037】
従って、この実施の形態に係る前記第1導入方向及び前記導出方向は共通の前記混合流路面(図1では垂直面)に対してそれぞれ平行であり、これにより、コンパクトな構造で前記第1流体の導入と前記混合流体の導出との双方が行われることを可能にしている。
【0038】
前記第2流体導入流路42は、前記主流路における前記第1流体導入部41及び前記混合流体導出部46aのそれぞれの流路長よりも小さい流路長を有する。前記第2流体導入流路42は、前記第2流体供給部20から供給される前記第2流体を前記第1導入方向と逆向きの第2導入方向に沿って前記合流折返し部43に導入して前記第1流体導入部から導入される前記第1流体と合流させるように前記合流折返し部43とつながる。
【0039】
ここでいう「前記第2流体を前記第1導入方向と逆向きの第2導入方向に沿って前記合流折返し部に導入」するとは、前記第1導入方向と前記第2導入方向とが完全に180°異なるものに限定する趣旨ではなく、前記合流折返し部43に対して前記第1流体導入部41と反対の側(図1では左側)から前記第2流体を導入する程度まで当該第1及び第2導入方向に差(好ましくは135°以上の角度)が与えられていればよい。図1に示される例では、前記第2導入方向は前記第1導入方向と逆向きの水平方向(図1では水平左方向)であり、当該第2導入方向と前記第1導入方向とがなす角度は180°に近い鈍角となっている。
【0040】
この実施の形態に係る前記第2流体導入流路42は、前記第1流体導入部41から導入される第1流体と第2流体とを互いに衝突させるように前記合流折返し部43とつながる。具体的に、前記第2流体導入流路42は、前記第2導入方向に沿う方向(図1では左方向)に見て前記第2流体導入流路42の出口(図1では左端開口)の少なくとも一部(好ましくは全部)が前記第1流体導入部41の出口(図1では右端開口)と重なっており、これにより、前記第2流体導入流路42を通じて前記合流折返し部43に導入される前記第2流体が前記第1流体導入部41を通じて前記合流折返し部43に導入される前記第1流体と確実に衝突することを可能にしている。
【0041】
さらに、この実施の形態に係る前記第2流体導入流路42は、前記第1流体導入部41及び前記混合流体導出部46aのそれぞれの流路断面積よりも小さい流路断面積を有し、第2流体が比較的高い速度で前記合流折返し部43に導入されることを可能にしている。
【0042】
前記混合部44は、前記混合流路面に沿って前記混合流体を往復させながら当該混合流体における前記第1流体と前記第2流体との混合を進行させるように形成されている。前記混合部44は、具体的には、複数の第1折返し部45Aと、第2折返し部45Bと、往復流路部46と、を含む。
【0043】
前記複数の第1折返し部45Aは、図1に示される例では2つの第1折返し部45Aであり、往復方向の一方の側(図1では左側)に配置されている。前記往復方向は、前記混合流体が往復する方向であって図1では左右方向である。前記第2折返し部45Bは、前記合流折返し部43とともに前記往復方向の他方の側(図1では右側)に配置されている。前記第1及び第2折返し部45A,45Bのそれぞれは、前記合流折返し部43と同様に、混合流体を前記往復方向に折り返させる、つまり混合流体の流れの向きを反転させる、ように形成されている。
【0044】
前記第2折返し部45Bは、前記合流折返し部43とともに折返し部配列方向に沿って配列され、前記複数の第1折返し部45Aは、前記往復方向において前記第2折返し部45Bと反対の側(図1では右側)で前記合流折返し部43とともに前記折返し部配列方向に沿って配列されている。前記折返し部配列方向は、前記往復方向と直交する方向であってかつ前記混合流路面と平行な方向であり、図1では上下方向である。
【0045】
前記複数の第1折返し部45Aは、前記折返し部配列方向に配列される3以上の第1折返し部45Aであってもよい。同様に、前記第2折返し部45Bは、前記合流折返し部43とともに前記折返し部配列方向に配列される複数の第2折返し部45Bに置換されてもよい。つまり、前記混合部44での往復回数が増やされてもよい。
【0046】
前記往復流路部46は、前記合流折返し部43及び前記第2折返し部45Bと前記複数の第1折返し部との間で前記混合流体を往復させる部分である。図1に示される前記往復流路部46は、前記混合流体導出部46aと、第1流路部46bと、第2流路部46cと、第3流路部46dと、を含む。前記混合流体導出部46aは、前記導出方向に延び、前記合流折返し部43と前記複数の第1折返し部45Aのうち最下段の第1折返し部45Aとを相互につなぐ。前記最下段の第1折返し部45Aは前記合流折返し部43よりも僅かに高い位置にある。前記第1~第3流路部46b~46dは、混合流体を前記往復方向に往復させる往復流路を形成する。前記往復流路は、混合流体が前記最下段の第1折返し部45Aから前記第2折返し部45Bと前記複数の第1折返し部45Aのうち最上段の第1折返し部45Aとを順に経由して混合流体排出流路48に至るように前記往復方向に往復しながら上方に展開する。前記混合流体導出部46a及び前記第1~第3流路部46b~46dは直線状であることが好ましく、このことは流路抵抗の抑制を可能にする。
【0047】
この実施形態に係る前記流路形成体は、本体部32と、第1閉止部材34Aと、第2閉止部材34Bと、を含む。
【0048】
前記本体部32は、前記複数の混合流路40のそれぞれの前記第1流体導入部41、前記合流折返し部43及び前記混合部44を画定する。つまり、前記本体部32に前記複数の混合流路40のそれぞれの前記第1流体導入部41、前記合流折返し部43及び前記混合部44が形成されている。この本体部32は前記往復方向について両側面、すなわち第1側面32a及び第2側面32b、を有し、前記第1側面32aでは前記複数の第1折返し部45Aを画定する凹部がそれぞれ外向き(図1では左向き)に開放され、前記第2側面32bでは前記合流折返し部43及び前記第2折返し部45Bをそれぞれ画定する凹部が外向き(図1では右向き)に開放されている。前記本体部32は、単一のブロック状の部材により構成されてもよいし、複数の部材、例えば前記配列方向に互いに積層される複数の積層板により構成されてもよい。
【0049】
前記第1閉止部材34Aは、前記複数の第1折返し部45Aを画定する前記凹部を閉止するように前記本体部32の前記第1側面32aに着脱可能に装着され、これにより、前記本体部32ととともに前記複数の第1折返し部45Aを画定する。前記第1閉止部材34Aには前記複数の第1流体供給口47が形成され、当該第1流体供給口47は前記第1閉止部材34Aを前記第1導入方向に近似した方向(図1では左右方向)に貫通して前記第1流体導入部41の入口につながる。この第1流体供給口47には図示されない配管を介して前記第1流体供給部10が接続される。
【0050】
同様に、前記第2閉止部材34Bは、前記合流折返し部43及び前記第2折返し部45Bをそれぞれ画定する前記凹部を塞ぐすなわち閉止するように前記本体部32の前記第2側面32bに着脱可能に装着され、これにより、前記本体部32ととともに前記合流折返し部43及び前記第2折返し部45Bを画定する。すなわち、前記第2側面32bは、前記合流折返し部43及び前記第2折返し部45Bを画定する折返し面に相当し、前記第2閉止部材34Bは、前記折返し面を覆うように前記凹部を閉止して前記複数の混合流路40を成立させるように前記本体部32に着脱可能に装着される導入側閉止部材に相当する。
【0051】
前記第2閉止部材34Bには前記第2流体導入流路42及び前記混合流体排出口48が形成されている。前記第2流体導入流路42は前記第2閉止部材34Bを前記第2導入方向に貫通するように形成され、当該第2流体導入流路42に前記第2流体供給部20が接続される。前記混合流体排出口48は、前記混合部44の終端につながるように形成され、当該混合流体排出口48には図示されない混合流体回収部が接続される。
【0052】
なお、本発明に係る流路形成体は図1に示されるように前記本体部32と前記第1及び第2閉止部材34A,34Bとが互いに分離可能なものに限定されず、前記第1閉止部材34Aが前記本体部32と一体に形成されたもの、あるいは第1及び第2閉止部材34A,34Bの双方が前記本体部32と一体に形成されたもの、例えば全体が単一のブロック体により構成されたもの、であってもよい。
【0053】
次に、前記流体混合システムの作用について説明する。
【0054】
前記第1流体供給部10は、前記流体混合器30の前記第1流体供給口47に第1流体を供給する。当該流体混合器30内の前記第1流体導入部41は、前記第1流体を当該第1流体導入部41に沿う前記第1導入方向に導き、当該第1流体が前記合流折返し部43内へ前記第1導入方向に導入されることを可能にする。
【0055】
一方、前記第2流体供給部20は前記流体混合器30の前記第2流体導入流路42に第2流体を供給する。前記第2流体導入流路42は、前記のように前記合流折返し部43内へ前記第1導入方向に導入される前記第1流体に対して前記第1導入方向と逆向きの第2導入方向に前記第2流体が導入されることを可能にし、これにより、当該第1及び第2流体を互いに合流させる。このような第2流体の導入及びこれによる当該第2流体の第1流体への合流は、第1及び第2流体が高い効率で互いに混合されながら前記合流折返し部43から前記混合流体導出部46aに導出されることを可能にする。
【0056】
さらに、この実施の形態に係る前記第2流体導入流路42は、前記第1流体導入部41から導入される第1流体と第2流体とを互いに衝突させるように前記合流折返し部43に第2流体を導入するので、第1及び第2流体の混合効率を飛躍的に高める。特に、この実施の形態に係る前記第2流体導入流路42は、前記第1流体導入部41及び前記混合流体導出部46aの断面積(流路断面積)よりも小さい流路断面積を有するため、前記第2流体が高い速度で前記合流折返し部に導入されることを可能にし、これにより、前記のように互いに衝突する第1及び第2流体の相対速度をさらに高めることができる。しかも、前記第2流体導入流路42は前記主流路を流れる前記第1流体に対して当該主流路の途中で前記第2流体を導入するだけでよく、よって大きな流路長は要しないので、当該第2流体導入流路の流路断面積が小さいことによる圧力損失は少なく、また閉塞のリスクも低い。このようにして、前記流体混合器30は、圧力損失及び閉塞のリスクを抑えながら前記第1流体と前記第2流体とが効率よく混合されることを可能にする。
【0057】
前記混合流体導出部46aを含む前記混合部44は、前記混合流路面に沿って前記混合流体を往復させながら当該混合流体における前記第1流体と前記第2流体との混合を進行させるものであるため、共通の前記混合流路面に沿ったコンパクトな構造で、前記合流後の第1及び第2流体の混合を進行させるために十分な流路長を有することが可能である。このことは、前記流体混合器30が例えば反応器である場合に、第1流体と第2流体との間での反応を進行させるために十分な時間が確保されることを可能にする。
【0058】
さらに、前記流体混合器30では、前記主流路が形成された前記本体部32から前記第1及び第2閉止部材34A,34Bがそれぞれ脱着されて前記第1及び第2側面32b,32bをそれぞれ開放することが可能であり、これにより、前記第1及び第2側面32b,32bにつながる主流路及び前記第2閉止部材34Bに形成される前記第2流体導入流路42の双方のメンテナンスがより容易に行われることを可能にする。
【0059】
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る流体混合システムを示す。この流体混合システムは、前記第1の実施の形態に係る流体混合システムと同様、第1流体供給部10、第2流体供給部20及び流体混合器30Aを備え、第1流体を流しながら当該第1流体に第2流体を導入して当該第1流体と当該第2流体とを互いに混合するものであり、その具体的な用途は限定されない。
【0060】
前記流体混合器30Aは、図3図6に示すような流路形成体を備え、当該流路形成体には複数の混合流路が形成されている。前記複数の混合流路は、具体的には計4本の混合流路、すなわち、図5に示されるような第1混合流路40A、第2混合流路40B、第3混合流路40C及び第4混合流路40Dである。前記第1~第4混合流路40A~40Dのそれぞれは、共通の混合流路面に沿うように展開される。前記混合流路面は、図3に示される使用姿勢では垂直面(図3の紙面に平行な面)である。
【0061】
前記第1~第4混合流路40A~40Dのうち、前記第1及び第2混合流路40A,40Bが前記混合流路面に沿う流路展開方向(図3及び図5では上下方向)に互いに位置をずらして配置され、同様に前記第3及び第4混合流路40C,40Dが前記流路展開方向に互いに位置をずらして配置されている。また、前記第1及び第3混合流路40A,40Cが前記混合流路面と直交する方向(図3では奥行方向、図5では左右方向)に相当する配列方向に配列され、同様に、前記第2及び第4混合流路40B,40Dが前記配列方向に配列されている。
【0062】
つまり、この実施の形態に係る前記4本の混合流路40A~40Dは、互いに直交する前記流路展開方向及び前記配列方向の双方に(つまり縦横に)配置されている。このうち、前記配列方向については複数の混合流路の配列数をさらに(3以上に)増やすことも可能であり、これにより、当該複数の混合流路の総数は6以上に増やされる。
【0063】
前記第1~第4混合流路40A~40Dの形状は互いに同一であることから、図3では、前記第1~第4混合流路40A~40Dのうちの一部の流路の図示が省略されている。具体的には、図面の複雑化を避けるため、前記4本の混合流路40A~40Dのうちの前記第1混合流路40Aと、前記第2混合流路40Bのうちのごく一部と、が抜粋して図3に示されている。
【0064】
前記第1の実施の形態に係る前記混合流路40と同様、前記第1~第4混合流路40A~40Dのそれぞれは、主流路と第2流体導入流路42とを含み、前記主流路は、第1流体導入部41と、合流折返し部43と、混合部44と、を含み、前記混合部44は混合流体導出部46aを含む。前記第1流体導入部41は、前記第1流体が第1導入方向に沿って前記合流折返し部43内に導入されることを許容するように前記合流折返し部43とつながる。前記第1導入方向は、図3では左側から右側に向かって僅かに斜め上方に傾斜する方向である。
【0065】
前記合流折返し部43は、前記第1の実施の形態に係る前記合流折返し部43と同様、前記第1流体導入部41を通じて前記合流折返し部43に導入される前記第1流体が、前記第2流体導入流路42を通じて前記合流折返し部43に導入される前記第2流体とともに折り返して前記混合流体導出部46aに流れることを許容するように形成されるが、さらに、当該第1及び第2流体が合流折返し方向に流れることを可能にする形状、具体的には当該合流折返し方向に延びる形状、を有する。前記合流折返し方向は、前記混合流路面と直交する方向(前記配列方向と平行な水平方向)であり、正面図である図3では紙面に直交する方向、断面平面図である図4では下から上に向かう方向、側面図である図5では左から右に向かう方向である。
【0066】
前記混合部44は、前記合流折返し部43に導入された前記第1流体及び前記第2流体が互いに混合されながら混合流体として流れることを許容するように形成される。前記混合部44は、前記混合流体導出部46aを含む往復流路部46と、複数の第1折返し部45Aと、第2折返し部45Bと、を含む。
【0067】
前記混合流体導出部46aは、前記第1の実施の形態に係る前記混合流体導出部46aと同様、前記第1流体及び前記第2流体が前記合流折返し部43から前記第1導入方向と逆向きの導出方向に流出することを許容するように当該合流折返し部43につながる。前記第1導入方向及び前記導出方向は、前記第1の実施の形態と同様、共通の前記混合流路面(図1では垂直面)に対してそれぞれ平行であるが、前記合流折返し部43が前記合流折返し方向に延びていて当該合流折返し部43の入口及び出口に前記第1流体導入部41及び前記混合流体導出部46aがつながっているため、当該第1流体導入部41及び当該混合流体導出部46aの位置は前記合流折返し部43の長さ分だけ前記合流折返し方向に(つまり、前記混合流路面に直交する方向であって前記配列方向と平行な方向に)ずれている。
【0068】
前記混合部44は、前記混合流路面に沿って前記混合流体を往復させながら前記流路展開方向(図3では上方向)に展開して前記混合流体における前記第1流体と前記第2流体との混合を進行させるように形成されており、具体的には、複数の第1折返し部45Aと、複数の第2折返し部45Bと、往復流路部46と、を含む。
【0069】
前記複数の第1折返し部45Aは、前記混合流体が往復する方向である往復方向(図3では左右方向)の一方の側(図3では左側)において折返し部配列方向に配列されている。前記複数の第2折返し部45Bは、前記往復方向の他方の側(図3では右側)において前記折返し部配列方向に配列されている。前記折返し部配列方向は、前記往復方向と直交する方向であってかつ前記混合流路面と平行な方向であり、図3及び図5に示される姿勢では上下方向である。前記複数の第1折返し部45A及び前記複数の第2折返し部45Bのそれぞれは、前記合流折返し部43と同様に、混合部44を流れる混合流体を前記往復方向に折り返させる、つまり混合流体の流れの向きを反転させる、ように形成されている。
【0070】
前記往復流路部46は、前記混合流体を前記往復方向の一方の側に配列された前記合流折返し部43及び前記第2折返し部45Bと他方の側に配列された前記複数の第1折返し部との間で往復させる部分である。前記往復流路部46は、前記混合流体導出部46aと、当該混合流体導出部46aの下流側において前記複数の第1折返し部45Aと前記複数の第2折返し部45Bとの間で流体を前記往復方向に往復させながら前記流路展開方向(上方向)に展開する部分と、を含む。
【0071】
前記複数の第2折返し部45Bのそれぞれは、前記合流折返し部43と同様、前記混合流体を前記合流折返し方向と平行な第2折返し方向に流すように当該第2折返し方向に延びる。これに対して前記複数の第1折返し部45Aのそれぞれは、前記混合流体を前記合流折返し方向及び前記第2折返し方向のそれぞれと逆の方向である第1折返し方向(図4では下から上に向かう方向、図5では右から左に向かう方向)に流すように当該第1折返し方向に延びる。
【0072】
このように形成された前記合流折返し部43及び前記複数の第1及び第2折返し部45A,45Bは、前記混合流体が前記混合流路面に沿いながら前記第1及び第2折返し方向に偏平な螺旋状(上から視て前記第1及び第2折返し部45A,45Bをそれぞれ短辺とする細長い矩形状)に上昇することを可能にする。ここにおいて、前記第1及び第2混合流路40A,40Bは、互いに上下方向に半ピッチずれた位置で前記偏平な螺旋状を描く、いわゆる二重螺旋を構成し、同様に、前記第3及び第4混合流路40C,40Dは、前記第1及び第2混合流路40A,40Bから前記配列方向(図5では右方向)に外れた位置で互いに上下方向に半ピッチずれた位置で前記偏平な螺旋状を描く、いわゆる二重螺旋を構成する。換言すれば、前記第1及び第2混合流路40A,40Bからなる流路対と、前記第3及び第4混合流路40C,40Dからなる流路対と、が前記配列方向に配列され、それぞれの流路対はいわゆる二重螺旋を構成している。
【0073】
このように前記第1~第4混合流路40A~40Dが形成される前記流路形成体は、前記第1の実施の形態に係る流路形成体と同様、本体部32と、第1閉止部材34Aと、第2閉止部材34Bと、を含む。
【0074】
前記本体部32には、前記第1~第4混合流路40A~40Dのそれぞれの主流路、すなわち、前記第1流体導入部41、前記合流折返し部43及び前記混合部44、が形成されている。この本体部32は前記往復方向について両側面、すなわち第1側面32a及び第2側面32b、を有し、前記第1側面32aでは前記複数の第1折返し部45Aを画定する凹部がそれぞれ外向き(図1では左向き)に開放されており、前記第2側面32bでは前記合流折返し部43及び前記複数の第2折返し部45Bをそれぞれ画定する凹部が外向き(図1では右向き)に開放されている。
【0075】
図5は、前記第2側面32bを示す側面図である。前記第2側面32b上では、前記配列方向の2列(左右2列)にわたって複数の折返し部が前記流路展開方向(前記折返し部配列方向;図5では上下方向)に配列されている。
【0076】
図5において左側前記複数の折返し部のうち、最下段の折返し部が前記第1混合流路40Aの合流折返し部43であり、下から2段目の折返し部が前記第2混合流路40Bの合流折返し部43であり、下から(2n+1)段目(nは自然数、以下同じ。)の折返し部が前記第1混合流路40Aの第2折返し部45Bであり、下から(2n+2)段目の折返し部が前記第2混合流路40Bの第2折返し部45Bである。前記第1混合流路40Aの前記複数の第1折返し部45Aは前記第2混合流路40Bの前記合流折返し部43及び前記複数の第2折返し部45Bの高さと同等の高さ位置で前記往復方向について当該合流折返し部43及び当該複数の第2折返し部45Bの反対側(図5では奥側)に位置する。前記第2混合流路40Bの前記複数の第1折返し部45Aは、前記第1混合流路40Aの前記複数の第2折返し部45Bのそれぞれと同等の高さ位置において当該複数の第2折返し部45Bの反対側に位置する。
【0077】
同様に、図5において右側に配列される前記複数の折返し部のうち、最下段の折返し部が前記第3混合流路40Cの合流折返し部43であり、下から2段目の折返し部が前記第4混合流路40Dの合流折返し部43であり、下から(2n+1)段目(nは自然数、以下同じ。)の折返し部が前記第3混合流路40Cの第2折返し部45Bであり、下から(2n+2)段目の折返し部が前記第4混合流路40Dの第2折返し部45Bである。前記第3混合流路40Cの前記複数の第1折返し部45Aは前記第4混合流路40Dの前記合流折返し部43及び前記複数の第2折返し部45Bのそれぞれと同等の高さ位置で当該合流折返し部43及び当該複数の第2折返し部45Bのそれぞれと反対側(図5では奥側)に位置し、前記第4混合流路40Dの前記複数の第1折返し部45Aは前記第3混合流路40Cの前記複数の第2折返し部45Bのそれぞれと同等の高さ位置で当該複数の第2折返し部45Bの反対側に位置する。
【0078】
前記本体部32は、単一のブロック状の部材により構成されてもよいが、この実施の形態に係る前記本体部32は、一対の外側板35と、複数の積層板と、により構成される。前記複数の積層板は、前記配列方向(図3では奥行方向、図5では左右方向)に互いに積層され、これにより前記第1~第4混合流路40A~40Bのそれぞれの前記第1流体導入部41及び前記混合部44を画定する。前記一対の外側板35は、前記配列方向において前記複数の積層板の両外側に配置され、当該複数の積層板を保護するのに十分な強度と剛性を確保するための厚み寸法を有する。
【0079】
前記複数の積層板は、例えば、図7に示すような積層板36A,36B,36C,36D,36E,36F,36G,36Hを含んでこれらの順に積層されることにより、前記第1~第4混合流路40A~40Dを好適に画定することが可能である。図7において、前記積層板36A,36Cの右側面には、前記第1及び第2混合流路40A,40Bの左半部を構成する溝が形成され、当該積層板36A,36Cにそれぞれに隣り合う前記積層板36B,36Dの左側面には、前記第1及び第2混合流路40A,40Bの右半部を構成する溝が形成されている。同様に、前記積層板36E,36Gの右側面には、前記第3及び第4混合流路40C,40Dの左半部を構成する溝が形成され、当該積層板36E,36Gにそれぞれに隣り合う前記積層板36F,36Hの左側面には、前記第3及び第4混合流路40C,40Dの右半部を構成する溝が形成されている。
【0080】
前記第1閉止部材34Aは、前記複数の第1折返し部45Aをそれぞれ画定する前記複数の凹部を塞ぐすなわち閉止するように前記本体部32の前記第1側面32aに着脱可能に装着され、これにより、前記本体部32ととともに前記複数の第1折返し部45Aを画定する。具体的に、前記第1閉止部材34Aは、前記第1側面32aを覆うことが可能な形状を有し、複数の締結具31によって前記本体部32に対して前記往復方向と平行な方向に着脱可能に締結される。
【0081】
前記第1閉止部材34Aには前記第1~第4混合流路40A~40Dにそれぞれ対応する複数の(4つの)第1流体供給口47及び複数の混合流体排出口48が形成されている。前記第1流体供給口47は前記第1閉止部材34Aを前記第1導入方向に近似した方向(図3では左右方向)に貫通して前記第1~第4混合流路40A~40Dの前記第1流体導入部41の入口にそれぞれつながる。前記第1閉止部材34Aには、前記複数の第1流体供給口47のそれぞれに共通して接続される第1流体分配器12が取付けられ、当該第1流体分配器12に図示されない配管を介して前記第1流体供給部10が接続される。前記第1流体分配器12は、前記第1流体供給部10から供給される第1流体を前記複数の第1流体供給口47に分配する。前記複数の混合流体排出口48は、前記第1~第4混合流路40A~40Dの終端にそれぞれつながり、共通の混合流体回収部に接続される。
【0082】
前記第2閉止部材34Bは、前記第1~第4混合流路40A~40Dのそれぞれの合流折返し部43及び複数の第2折返し部45Bをそれぞれ画定する前記複数の凹部を塞ぐすなわち閉止するように前記本体部32の前記第2側面32bに着脱可能に装着され、これにより、前記本体部32ととともに前記合流折返し部43及び前記第2折返し部45Bを画定する。すなわち、前記第2側面32bは、前記合流折返し部43及び前記第2折返し部45Bを画定する折返し面に相当し、前記第2閉止部材34Bは、前記折返し面を覆うように前記凹部を閉止して前記複数の混合流路40を成立させるように前記本体部32に着脱可能に装着される導入側閉止部材に相当する。
【0083】
前記第2閉止部材34Bは、前記第1~第4混合流路40A~40Dのそれぞれについて、前記合流折返し部43及び前記複数の第2折返し部45Bの密閉と、前記第2流体導入流路42の形成と、を行うために、図4図6に示されるような閉止部材本体50、ガスケット52及びシール材54を含む。
【0084】
前記閉止部材本体50は、金属板のように剛性の高い材料で形成され、前記第2側面32bを覆うことが可能な形状を有する。前記閉止部材本体50は、前記第2側面32bに対向することが可能な対向面51を有し、当該第2側面32bに当該対向面51が対向した状態で複数の締結具31によって前記本体部32に対して前記往復方向と平行な方向に着脱可能に締結されることが可能である。
【0085】
前記ガスケット52は、ゴム等の弾性変形可能な材料からなるシート材であり、その厚み方向が前記複数の締結具31による締結方向と合致する姿勢で前記対向面51上に固定される。前記ガスケット52は、前記第2側面32bに形成された前記複数の凹部のそれぞれを覆うことが可能な面積を有し、前記対向面51に固定されている。
【0086】
前記ガスケット52は、前記複数の締結具31による前記本体部32への前記閉止部材本体50の締結に伴ってその締結の方向(図4では左右方向)に弾性圧縮変形しながらその弾発力によって前記複数の凹部の周囲で前記第2側面32bと密着することにより当該凹部を密閉する密閉部材であり、当該凹部の密閉により当該凹部に対応する前記合流折返し部43及び前記複数の第2折返し部45Bを成立させる。当該密閉部材は、図4図6に示される前記ガスケット52のように前記複数の凹部を一括して覆うことが可能な大面積の単一の部材であってもよいし、前記複数の凹部を個別に覆う複数の部分に分割されたものであってもよい。
【0087】
前記シール材54は、ゴム等の弾性変形可能な材料からなる無端状(図では略矩形枠状)部材であり、前記ガスケット52を全周にわたり囲むようにして当該ガスケット52と同じく前記対向面51に固定されている。前記シール材54は、前記複数の締結具31による前記本体部32への前記閉止部材本体50の締結に伴ってその締結方向に弾性圧縮変形しながら前記ガスケット52の周囲で前記第2側面32bと密着し、これにより、第2側面32bにおけるシール性をさらに高める。当該シール材54は適宜省略されることが可能である。また、前記第1閉止部材34Aも、前記複数の第1折返し部45Aの密閉性を高めるために、前記ガスケット52及び前記シール材54と同様に弾性変形しながら前記第1側面32aと密着することが可能なシール材を含むことが好ましい。
【0088】
この実施の形態では、前記密着部材である前記ガスケット52に、前記第1~第4混合流路40A~40Dのそれぞれの前記第2流体導入流路42が形成されている。具体的には、前記ガスケット52において前記第1~第4混合流路40A~40Dの前記第1流体導入部41とそれぞれ対応する4本の第2流体導入孔が前記ガスケット52をその厚み方向、すなわち前記第2導入方向と平行な方向、に貫通するように形成され、当該4本の第2流体導入孔がそれぞれ前記第1~第4混合流路40A~40Dの前記第2流体導入流路42を構成している。このように前記第2流体導入流路42を構成する前記第2流体導入孔は、前記主流路の前記第1流体導入部41及び前記混合流体導出部46aのそれぞれの流路長よりも小さい流路長(この実施の形態では前記ガスケット52の厚みに相当する長さ)を有する直線状の流路であり、好ましくは、前記第1流体導入部41及び前記混合流体導出部46aのそれぞれの流路断面積よりも小さい流路断面積を有する。
【0089】
さらに、この実施の形態に係る前記第2流体導入流路42のそれぞれは、前記第2流体供給部20から供給される2流体を前記第1導入方向と逆向きの第2導入方向に沿って前記合流折返し部43に導入して前記第1流体導入部から導入される前記第1流体と衝突させるように前記合流折返し部43とつながる。
【0090】
具体的に、前記第2流体導入流路42のそれぞれは、前記第1の実施の形態に係る前記第2流体導入流路42と同様、前記第2導入方向に沿う方向に見て前記第2流体導入流路42の出口の少なくとも一部(好ましくは全部)が、当該第2流体導入流路42に対応する前記第1流体導入部41の出口(図4では右端開口)と重なるように配置されている。例えば、図4に示される前記第1及び第3混合流路40A,40Cにそれぞれ属する前記第2流体導入流路42の出口(図4では前記合流折返し部43につながる左端開口)がその全域にわたって前記第1及び第3混合流路40A,40Cにそれぞれ属する第1流体導入部41の出口(図4では前記合流折返し部43につながる右端開口)に対して前記第2導入方向(図4では左方向)に対向している。
【0091】
一方、前記閉止部材本体50の内部に複数の第2流体供給孔56が形成されるとともに、当該閉止部材本体50に第2流体分配器22が取付けられる。前記複数の第2流体供給孔56は、前記複数の(この実施の形態では4つの)第2流体導入流路42のそれぞれとつながる位置で前記第2導入方向に延びるように形成されている。前記第2流体分配器22は、前記複数の第2流体供給孔56のそれぞれとつながるように配置されるとともに、前記第2流体供給部20に接続され、当該第2流体供給部20から供給される第2流体を前記複数の第2流体供給孔56に分配する。
【0092】
前記合流折返し部43に導入される第2流体の流速を高めるためには、当該合流折返し部43につながる第2流体導入流路(この実施の形態では前記第2流体導入孔)が小さい流路断面積を有していればよく、当該第2流体導入流路に第2流体を供給するための流路の流路断面積は必ずしも制限されない。例えば、図4に示される前記第2流体導入流路42に対して第2流体を供給するための前記複数の第2流体供給孔56の流路断面積と前記第2流体導入流路42の流路断面積との大小関係も限定されず、両者の流路断面積が互いに同等であってもよい。ただし、図4に示されるように前記第2流体供給孔56が前記第2流体導入流路42の径よりも大きい径を有することは、前記閉止部材本体50に対する前記ガスケット52の相対位置に多少の誤差があっても前記第2流体導入流路42とこれに対応する前記第2流体供給孔56を確実に連通させることを可能にする利点がある。
【0093】
さらに、第1の変形例として図8及び図9に示されるように、前記複数の第2流体供給孔56に代えて、前記第1~第4混合流路40A~40Dのそれぞれの前記第2流体導入流路42に共通してつながることが可能な大流路断面積をもつ単一の第2流体供給孔57が前記閉止部材本体50に形成されてもよい。ただし、この第1の変形例では、前記第2流体供給孔57の流路断面積が大きいほど相対的に前記ガスケット52が前記第2側面(折返し面)32bに密着する面積が減ってその分シール性が低下するおそれがある。逆に言えば、図4図6に示されるように前記第2流体導入流路42のそれぞれに対応して前記複数の第2流体供給孔56が形成されることは、前記ガスケット52が前記第2側面32bに十分な面積で接触して高いシール性を確保することを可能にしながら当該複数の第2流体供給孔56を通じて前記第2流体導入流路42のそれぞれに第2流体が確実に供給されることを可能にする。
【0094】
次に、この流体混合システムの作用について説明する。
【0095】
前記第1流体供給部10は、前記流体混合器30Aの前記第1閉止部材34Aに取付けられた前記第1流体分配器12に第1流体を供給する。このように供給された第1流体は、前記第1~第4混合流路40A~40Dにそれぞれ対応する複数の第1流体供給口47に分配される。前記複数の第1流体供給口47にそれぞれつながる前記第1~第4混合流路40A~40Dの第1流体導入部41は、前記第1流体を当該第1流体導入部41に沿う前記第1導入方向に導き、当該第1流体が前記合流折返し部43内へ前記第1導入方向に導入されることを可能にする。
【0096】
一方、前記第2流体供給部20は前記流体混合器30Aの前記第2閉止部材34Bに取付けられた前記第2流体分配器22に第2流体を供給する。このように供給された第2流体は、前記第2流体分配器22及び前記複数の第2流体供給孔56を通じて前記第1~第4混合流路40A~40Dのそれぞれの第2流体導入流路42に分配される。前記第2流体導入流路42のそれぞれは、前記のように供給される第2流体が前記合流折返し部43内に第2導入方向に導入されることを許容する。このことは、簡素な構造で前記第1及び第2流体を効率よく混合することを可能にする。
【0097】
さらに、この実施の形態に係る前記第2流体導入流路42は、前記第1流体導入部41を通じて前記合流折返し部43内へ前記第2導入方向と逆向きの前記第1導入方向に導入される第1流体に対して高い相対速度(互いに逆向きの速度)で第2流体を衝突させることが可能である。このことは、前記第1及び第2流体がより高い効率で互いに混合されながら前記合流折返し部43から前記混合流体導出部46aに導出されることを可能にする。そして、このように混合流体導出部46aに導出された混合流体が当該混合流体導出部46aを含む混合部44を流れることにより、当該混合流体における第1流体と第2流体との混合が進められ、例えば当該混合による第1及び第2流体どうしの化学反応が進められる。
【0098】
さらに、この第2の実施の形態に係る前記合流折返し部43は、前記第1流体及び前記第2流体を前記混合流路面と直交する合流折返し方向(図4では上方向、図5では右方向)に流すように形成され、前記複数の第2折返し部45Bのそれぞれは、前記混合流体を前記合流折返し方向と平行な第2折返し方向に流すように形成され、前記複数の第1折返し部45Aのそれぞれは、前記混合流体を前記合流折返し方向及び前記第2折返し方向のそれぞれと逆の第1折返し方向に流すように形成されているため、前記混合流体が前記混合流路面と直交する方向、すなわち混合流体が往復する方向と直交する方向、に流れながらスムーズに折り返すことを可能にする。しかも、前記第1折返し方向と前記第2折返し方向が互いに逆向きであるため、前記混合流体が前記混合流路面に沿いながら螺旋状に類する形状の経路(上から視て前記折返し部43,45A,45Bのそれぞれを短辺とする略矩形状の経路)で流路展開方向(図3では上方向)に進行することを可能にする。
【0099】
また、前記流体混合器30では、前記複数の混合流路40が前記混合流路面と直交する配列方向に沿ってコンパクトに配列されることが可能であり、このことは、限られたスペース内でより多くの第1及び第2流体が混合処理されることを可能にする。
【0100】
一方、前記流体混合器30Aでは、前記主流路が形成された前記本体部32から前記第1及び第2閉止部材34A,34Bがそれぞれ脱着されて前記第1及び第2側面32b,32bをそれぞれ開放することが可能であり、これにより、前記第1及び第2側面32a,32bにつながる主流路及び前記第2閉止部材に形成される前記第2流体導入流路42の双方のメンテナンスが容易に行われることが可能である。
【0101】
さらに、前記第2流体導入流路42は、前記密閉を行うための密閉部材、すなわち、弾性変形しながら前記第2側面32bに密着することにより前記合流折返し部43を密閉する前記ガスケット52、に形成された第2流体導入孔により構成されているため、当該ガスケット52と前記第2側面32bとの密着により前記合流折返し部43を確実に密閉しながら当該合流折返し部43に前記第2流体が高速で導入されることを可能にする。
【0102】
前記第2の実施の形態では、前記折返し配列方向に配列される前記合流折返し部43及び前記複数の第2折返し部45Bをそれぞれ構成する前記複数の凹部が前記本体部32に形成されているが、当該合流折返し部43及び当該第2折返し部45Bは前記密閉部材に形成されることも可能である。
【0103】
その例が第2の変形例として図10及び図11に示される。この変形例に係る閉止部材であるガスケット52も、図4に示されるガスケット52と同様に閉止部材本体50の対向面51に固定されるが、当該ガスケット52には、前記第2流体導入流路42に代えて前記第1~第4混合流路40A~40Dのそれぞれの合流折返し部43に対応する複数の貫通穴が形成されている。前記複数の貫通穴のそれぞれは、前記合流折返し部43の形状に対応する形状、この変形例では前記合流折返し方向(図10では上方向、図11では右方向)に長い矩形状、をなす。前記ガスケット52は、前記閉止部材本体50が前記本体部32に締結されるのに伴って前記第2側面32bに密着することにより、当該第2側面32bと前記対向面51との間で密閉された前記合流折返し部43を画定する。
【0104】
前記ガスケット52において前記合流折返し部43が形成される位置は、前記閉止部材本体50が前記本体部32に締結されるのに伴って密閉される前記合流折返し部43が第1~第4混合流路40A~40Dのそれぞれにおいて第1流体導入部41の出口(図10では右端開口)及び前記混合流体導出部46aの入口(図10では右端開口)とつながる位置である。
【0105】
前記対向面51は、単なる平面でもよいが、図10に示されるような凹部58を有していて当該凹部58に前記ガスケット52が嵌め込まれることにより前記閉止部材本体50に対する前記ガスケット52の位置決めがされることが、好ましい。当該凹部58への当該ガスケット52の嵌め込みは、前記折返し面である前記第2側面32bと前記対向面51との隙間を小さく抑えながら前記合流折返し部43を形成するための十分な厚みを前記ガスケット52に与えることを可能にし、また、前記ガスケット52に形成された前記合流折返し部43と前記閉止部材本体50に形成された前記第2流体導入流路42との相対位置が安定することを可能にする。
【0106】
一方、前記閉止部材本体50には前記合流折返し部43のそれぞれとつながる複数(この変形例では4本)の第2流体導入孔が形成され、当該複数の第2流体導入孔がそれぞれ前記第1~第4混合流路40A~40Dの第2流体導入流路42を構成する。前記閉止部材本体50には、前記第2の実施の形態に係る前記第2流体分配器22と同様の第2流体分配器22が取付けられ、当該第2流体分配器22は前記第2流体導入流路42のそれぞれに直接つながって当該第2流体導入流路42に直接第2流体を分配するように配置される。
【0107】
本発明は、以上説明した実施の形態及びその変形例に限定されない。本発明は、例えば次のような態様を包含する。
【0108】
(a)合流折返し部への第2流体の導入位置について
本発明に係る合流折返し部への第2流体導入流路による第2流体の導入位置は、当該第2流体と第1流体とを衝突させる位置に限定されず、仕様に応じて適宜変更されることが可能である。例えば、図4に示される第2流体導入流路42は、同図に実線で示されるように前記第1流体導入部41の出口に対向する位置、すなわち第1及び第2流体同士を衝突させる位置、に代えて、図4に二点鎖線42Aあるいは二点鎖線42Bで示されるような位置に設けられてもよい。前記二点鎖線42Aで示される位置は、前記第1流体導入部41と前記混合流体導出部46aとの間の位置(前記合流折返し方向の中間位置)であり、当該位置に設けられた第2流体導入流路42は、前記第1流体導入部41の出口から前記混合流体導出部46aの入口に向かって前記合流折返し方向(図4では上方向)に流れる第1流体に対してその流れ方向(合流折返し方向)と直交する方向に第2流体が導入されて合流することを可能にする。前記二点鎖線42Bで示される位置は、第2流体導入流路42が前記混合流体導出部46aの入口に対向する位置(前記合流折返し部43の下流端に対向する位置)であり、当該位置に設けられた前記第2流体導入流路42は、前記合流折返し部43から前記混合流体導出部46aに流入する第1流体と同じ向きに第2流体が導入されて当該第1流体に合流することを可能にする。
【0109】
(b)合流折返し部について
本発明に係る合流折返し部は、前記第1流体導入部を通じて前記合流折返し部に導入される前記第1流体が前記第2流体導入流路を通じて前記合流折返し部に導入される前記第2流体とともに折り返して前記混合流体導出部に流れることを許容するものであればよく、その具体的な形状は限定されない。前記合流折返し部は、例えば、前記第1流体導入部の出口と前記混合流体導出部の入口とを接続するのに必要な最小限の断面積を有するものであってもよい。ただし、図4等に示される前記合流折返し部43のように前記混合流路面に対して直交する合流折返し方向に第1及び第2流体を流すように当該合流折返し方向に延びる形状を有するものは、前記第1流体導入部から前記合流折返し部を通じての前記混合流体導出部への第1流体の折返しを円滑に行わせることができる利点がある。また、先の「(a)合流折返し部への第2流体の導入位置について」の項で述べたように、合流折返し部に第2流体を導入する位置の自由度が高くなる利点もある。これらの利点は、前記混合部が前記第1折返し部及び前記第2折返し部を含む場合の当該第1折返し部及び当該第2折返し部についても同様である。
【0110】
(c)混合部について
本発明に係る混合部の具体的な形状も限定されない。当該混合部は、前記第1流体と前記第2流体との混合を十分に進行させるための流路長を有するものであればよく、例えば、特定の一方向に長く延びるものや、任意の方向に蛇行するものであってもよい。ただし、前記第1及び第2の実施の形態に係る前記混合部44のように、前記第1流体導入部及び前記混合流体導出部とともに共通の混合流路面に沿って前記混合流体を往復させながら当該混合流体における前記第1流体と前記第2流体との混合を進行させるように形成されたものは、コンパクトな構造で、前記第1及び第2流体を互いに合流させるのに加えてその合流後の第1及び第2流体の混合を進行させるために十分な流路長(前記混合部の長さ)を確保する(例えば反応器の場合には第1流体と第2流体との間での反応を進行させるために十分な時間を確保する)ことを可能にする利点がある。また、前記合流折返し部での前記第1流体と前記第2流体との合流で十分な混合効果が得られるために、その下流側で前記第1折返し部と前記第2折返し部とを結ぶそれぞれの往復流路は混合促進のために複雑な形状を有する必要はなく、当該往復流路を例えば図1及び図3に示されるような直線状にすることによって流路抵抗の増大や閉塞のリスクを抑えることが可能である。
【0111】
(d)それぞれの方向について
本発明に係る第1導入方向及び第2導入方向は、これらが互いに逆向きの方向であるという条件を満たす範囲で任意に設定されることが可能である。例えば、前記混合流路面が水平面であって前記第1及び第2導入方向がそれぞれ水平方向であってもよい。この場合、前記混合部の前記流路展開方向も水平方向とし、前記混合流路面と直交する鉛直方向に複数の混合流路が配列されることにより、コンパクトな構造で多くの第1及び第2流体を混合処理することが可能である。あるいは、図1及び図3に示される前記第1流体導入部41及び混合流体導出部46aとは逆に第1流体導入部の下方に混合流体導出部が配置されて混合部が下方に展開されてもよい。また、混合部の流路展開方向(折返し部配列方向)は単一の方向でなくてもよく、例えば当該混合部が途中で折り返して逆向きに展開する(例えば図1に示される混合部44が上端で折り返して水平方向にずれた位置で下方に展開する)ように形成されてもよい。いずれの場合も、前記第1導入方向、前記導出方向及び前記第2導入方向が共通の混合流路面に沿う方向であれば、それぞれが前記主流路及び前記第2流体導入流路を含む複数の混合流路を前記混合流路面と直交する方向にコンパクトに配列することが可能になる。
【符号の説明】
【0112】
10 第1流体供給部
20 第2流体供給部
30,30A 流体混合器
32 本体部
32b 第2側面(折返し面)
34B 第2閉止部材(導入側閉止部材)
40 混合流路
40A 第1混合流路
40B 第2混合流路
40C 第3混合流路
40D 第4混合流路
41 第1流体導入部
42 第2流体導入流路
43 合流折返し部
44 混合部
45A 第1折返し部
45B 第2折返し部
46 往復流路部
46a 混合流体導出部
50 閉止部材本体
52 ガスケット(密閉部材)
56,57 第2流体供給孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11