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特開2024-42884整流回路の設計方法、整流回路の生産方法、及び、整流回路
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  • 特開-整流回路の設計方法、整流回路の生産方法、及び、整流回路 図1
  • 特開-整流回路の設計方法、整流回路の生産方法、及び、整流回路 図2
  • 特開-整流回路の設計方法、整流回路の生産方法、及び、整流回路 図3
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  • 特開-整流回路の設計方法、整流回路の生産方法、及び、整流回路 図6
  • 特開-整流回路の設計方法、整流回路の生産方法、及び、整流回路 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042884
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】整流回路の設計方法、整流回路の生産方法、及び、整流回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/06 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
H02M7/06 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147803
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】乘安 博史
(72)【発明者】
【氏名】松村 能之
【テーマコード(参考)】
5H006
【Fターム(参考)】
5H006CA07
5H006CB01
5H006CC01
5H006FA02
5H006GA01
5H006HA83
5H006HA84
(57)【要約】
【課題】少ない回路素子により突入電流を低減する。
【解決手段】整流回路の設計方法では、整流回路で発生する突入電流の最大値が所望の上限値以下となるノーマルモードインダクタンス成分つまり漏れインダクタンス成分Lleak及び直流抵抗成分DCRを有するチョークコイル32と、前記最大値が前記上限値以下となる寄生抵抗成分ESR及び容量成分Csmを有する平滑コンデンサ42と、を採用する。これにより、突入電流防止回路を用いずに、少ない回路要素(整流回路1に必要な最低限の回路要素)により突入電流を低減することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チョークコイルと、前記チョークコイルの後段に配置されたダイオードブリッジと、前記ダイオードブリッジの後段に配置された平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの後段に配置されたスイッチング回路と、を備える整流回路の設計方法であって、
前記チョークコイルとして、前記整流回路で発生する突入電流の最大値が所望の上限値以下となるノーマルモードインダクタンス成分及び直流抵抗成分を有するチョークコイルを採用する、
整流回路の設計方法。
【請求項2】
前記平滑コンデンサとして、前記突入電流の前記最大値が前記上限値以下となる寄生抵抗成分及び容量成分を有する平滑コンデンサを採用する、
請求項1に記載の整流回路の設計方法。
【請求項3】
前記チョークコイルは、コモンモードチョークコイルであり、
前記ノーマルモードインダクタンス成分は、漏れインダクタンス成分である、
請求項1に記載の整流回路の設計方法。
【請求項4】
請求項1から3の整流回路の設計方法で設計された仕様の前記整流回路を生産する、
整流回路の生産方法。
【請求項5】
チョークコイルと、前記チョークコイルの後段に配置されたダイオードブリッジと、前記ダイオードブリッジの後段に配置された平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの後段に配置されたスイッチング回路と、を備える整流回路であって、
前記チョークコイル及び前記平滑コンデンサの組み合せは、前記整流回路で発生する突入電流の最大値を突入電流防止抵抗によらずに所望の上限値以下とするノーマルモードインダクタンス成分及び前記直流抵抗成分を有するチョークコイルと、前記最大値を前記上限値以下とする寄生抵抗成分及び容量成分を有する前記平滑コンデンサと、の組み合せである、
整流回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整流回路の設計方法、整流回路の生産方法、及び、整流回路に関する。
【背景技術】
【0002】
突入電流が生じる可能性がある整流回路には、特許文献1が開示するように、前記突入電流を低減するための突入電流防止回路が使用される。突入電流防止回路は、並列に接続された突入電流防止抵抗と電磁リレーとから構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-196310号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記突入電流防止回路が採用される場合、整流回路に必要な回路素子が増えてしまう。回路素子が増えると、製造コスト、省スペースなどの面で不利となる。
【0005】
本発明は、少ない回路素子により突入電流を低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る整流回路の設計方法は、チョークコイルと、前記チョークコイルの後段に配置されたダイオードブリッジと、前記ダイオードブリッジの後段に配置された平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの後段に配置されたスイッチング回路と、を備える整流回路の設計方法であって、前記チョークコイルとして、前記整流回路で発生する突入電流の最大値が所望の上限値以下となるノーマルモードインダクタンス成分及び直流抵抗成分を有するチョークコイルを採用する。
【0007】
一例では、前記平滑コンデンサとして、前記突入電流の前記最大値が前記上限値以下となる寄生抵抗成分及び容量成分を有する平滑コンデンサを採用する。
【0008】
一例として、前記チョークコイルは、コモンモードチョークコイルであり、前記ノーマルモードインダクタンス成分は、漏れインダクタンス成分である。
【0009】
本発明に係る整流回路の生産方法は、上記整流回路の設計方法で設計された仕様の前記整流回路を生産する。
【0010】
本発明に係る整流回路は、チョークコイルと、前記チョークコイルの後段に配置されたダイオードブリッジと、前記ダイオードブリッジの後段に配置された平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの後段に配置されたスイッチング回路と、を備える整流回路であって、前記チョークコイル及び前記平滑コンデンサの組み合せは、前記整流回路で発生する突入電流の最大値を突入電流防止抵抗によらずに所望の上限値以下とするノーマルモードインダクタンス成分及び前記直流抵抗成分を有するチョークコイルと、前記最大値を前記上限値以下とする寄生抵抗成分及び容量成分を有する前記平滑コンデンサと、の組み合せである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、少ない回路素子により突入電流を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態に係る整流回路の回路図である。
図2図2は、図1の等価回路である。
図3図3は、図2の簡易等価回路である。
図4図4は、突入電流の最大電流値と簡易等価回路のRとの関係を示すグラフである。
図5図5は、突入電流の最大電流値と簡易等価回路のLとの関係を示すグラフである。
図6図6は、突入電流の最大電流値と簡易等価回路のCとの関係を示すグラフである。
図7図7は、本実施形態に係る整流回路で発生した突入電流を示す電流波形である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態及びその変形例について、図面を参照して説明する。
【0014】
本願発明者は、図1に示すような本実施形態に係る整流回路1(コンデンサインプット型の整流回路)で生じる突入電流を、適切な特性のチョークコイル32及び平滑コンデンサ42を選択することで低減させることを見出した。以下、整流回路1の構成を説明してから、チョークコイル32及び平滑コンデンサ42の選択について説明する。
【0015】
整流回路1は、入力端子11及び12と、電源スイッチ20と、ノイズフィルタ30と、電力変換回路40と、出力端子51及び52と、を備える。
【0016】
入力端子11及び12には、商用電源などの交流電源91が接続される。入力端子11とノイズフィルタ30との間に配置された電源スイッチ20がオンし、電源が投入されると、交流電源91からの交流電力が、ノイズフィルタ30を介して電力変換回路40に入力される。電力変換回路40に入力された交流電力は、電力変換回路40により直流電力に変換される。変換された直流電力は、出力端子51及び52を介して負荷95に出力される。ノイズフィルタ30は、電力変換回路40で発生して交流電源91側に出力されるノイズを低減する。上記の突入電流は、電源の投入時に発生する。
【0017】
ノイズフィルタ30は、Xコンデンサ31と、Xコンデンサ31の後段に設けられたチョークコイル32と、を備える。
【0018】
Xコンデンサ31の一端は、電源スイッチ20を介して入力端子11に接続された節点N1に接続されており、他端は、入力端子12に接続された節点N2に接続されている。
【0019】
チョークコイル32は、コモンモードチョークコイルとして構成されている。チョークコイル32の巻き線32Aの一端は、節点N1に接続されている。チョークコイル32の巻き線32Bの一端は、節点N2に接続されている。チョークコイル32の巻き線32A及び32Bの各他端は、電力変換回路40に接続されている。
【0020】
電力変換回路40は、チョークコイル32の後段に配置されたダイオードブリッジ41と、ダイオードブリッジ41の後段に配置された平滑コンデンサ42と、平滑コンデンサ42の後段に配置されたスイッチング回路43と、を備える。
【0021】
ダイオードブリッジ41は、ブリッジ接続された4つのダイオードから構成されている。ダイオードブリッジ41の一対の入力端子は、チョークコイル32の巻き線32A及び32Bの各他端にそれぞれ接続されている。ダイオードブリッジ41の一対の出力端子は、節点N3及びN4にそれぞれ接続されている。
【0022】
平滑コンデンサ42の両端は、節点N3及びN4にそれぞれ接続されている。平滑コンデンサ42は、例えば、電解コンデンサからなる。
【0023】
スイッチング回路43の一対の入力端子は、節点N3及びN4にそれぞれ接続されている。スイッチング回路43の一対の出力端子は、出力端子51及び52をそれぞれ介して負荷の両端にそれぞれ接続される。スイッチング回路43は、スイッチング素子、スイッチング素子を駆動する駆動回路、スイッチングトランス、整流平滑回路などを含んで構成される。
【0024】
電力変換回路40では、ノイズフィルタ30を介して入力される交流電源91からの交流電圧が、ダイオードブリッジ41により全波整流されて直流電圧に変換される。変換された直流電圧は、平滑コンデンサ42により平滑化される。平滑化された直流電圧は、スイッチング回路43でのスイッチング動作によりパルス電圧に変換され、その後、平均化され、安定した直流電圧として負荷95に出力される。スイッチング回路43は、スイッチング素子のスイッチング動作により動作する回路であればよく、他の回路であってもよい。
【0025】
図1の整流回路1の等価回路1Aを図2に示す。図2に示すように、チョークコイル32の巻き線32A及び32Bは、それぞれ、直流抵抗成分DCR、漏れインダクタンス成分Lleak、コモンモードインダクタンス成分Lc、鉄損成分Rp、及び、浮遊容量成分Cstを有する。漏れインダクタンス成分Lleakは、ノーマルモードインダクタンス成分とも呼ばれる。平滑コンデンサ42は、容量成分Csm、及び、寄生抵抗成分ESRを有する。上記各成分に付した符号は、その成分の値を表す記号としても使用される。例えば、DCRは、上記直流抵抗成分の抵抗値をも示す。このようなことは、下記のR、L、及び、Cについても同様である。
【0026】
図2の等価回路1Aから、突入電流に関連する要素のみを抽出した簡易等価回路1Bを図3に示す。図3に示すように、簡易等価回路1Bは、入力端子11及び12から見て直列に接続された、抵抗R、インダクタンスL、コンデンサCを備える。コンデンサCは、入力端子11及び12から見てスイッチング回路43と並列に接続されている。より具体的に、直列に接続された抵抗R及びインダクタンスLの組み合わせの両端は、入力端子11及び節点N5にそれぞれ接続されている。節点N5には、スイッチング回路43も接続されている。コンデンサCの両端は、節点N5及びN6にそれぞれ接続されている。節点N6には、スイッチング回路43及び入力端子12も接続されている。
【0027】
ここで、R=2*DCR+ESRである。L=2*Lleakである。C=Csmである。簡易等価回路1Bでは、コモンモードインダクタンス成分Lc及び鉄損成分Rpが無視されている。これらは、突入電流のような過大な電流入力時には無視できるからである。浮遊容量成分Cst及びXコンデンサ31も、その容量値が平滑コンデンサ42の容量値Csmに比べて十分小さいため、簡易等価回路1Bでは無視される。ダイオードブリッジ41についても、生じる電圧などが交流電源91(図1)からの電源電圧よりも十分小さいため無視される。
【0028】
図3の簡易等価回路1Bにおいて、キルヒホッフの法則からコンデンサCの電荷qを用いた下記式(1)が得られる。ここで、Eは、交流電源91から整流回路1に印加される電源電圧とする。
【数1】
【0029】
初期条件:時間t=0、抵抗Rなどを流れる電流i=0、電荷q=0において電源電圧Eが印加されたとして、下記の3条件で上記式(1)の微分方程式を解く。
【0030】
(条件1)過減衰条件R-4L/C>0
この場合、突入電流の最大値Imaxは、下記数式(2)から求められる。
【数2】
【0031】
(条件2)減衰振動条件R-4L/C<0
この場合、突入電流の最大値Imaxは、下記数式(3)から求められる。
【数3】
【0032】
(条件3)減衰振動条件R-4L/C=0
この場合、突入電流の最大値Imaxは、下記数式(4)から求められる。
【数4】
【0033】
上記式(2)~(4)における電源電圧Eの値は、交流電源91の特性により決まる。従って、上記式(2)~(4)によれば、突入電流の最大値Imaxが、上記簡易等価回路における、抵抗Rの抵抗値、インダクタンスLのインダクタンス値、及び、コンデンサCの静電容量値により求まる。このR、L、及び、Cは、上述のように、R=2*DCR+ESR、L=2*Lleak、C=Csmなので、チョークコイル32と平滑コンデンサ42との各特性により調整可能であることが分かる。
【0034】
以上のようなことから、整流回路1の設計方法では、突入電流の最大値Imaxが所望の上限値を超えないR、L、Cを実現する特性のチョークコイル32と平滑コンデンサ42とを選択する。これにより、突入電流防止抵抗及びスイッチング素子の組合せなどの突入電流防止回路を用いずに突入電流を低減することができる。
【0035】
以下、突入電流の最大値Imaxの上限値を15[A]とした整流回路1の設計方法の一例について説明する。
【0036】
例えば、突入電流の最大値Imaxと抵抗値Rとの関係、最大値Imaxとインダクタンス値Lとの関係、及び、最大値Imaxと静電容量Cとの関係をそれぞれ導出する。
【0037】
突入電流の最大値Imaxと抵抗値Rとの関係を図4に示す。ここでは、C=14μF、L=0.8mHに固定し、抵抗値Rを変化させている。図4の関係では、最大値Imaxを15A以下とする抵抗値Rは20Ω以上である。
【0038】
突入電流の最大値Imaxとインダクタンス値Lとの関係を図5に示す。ここでは、C=15μF、R=20Ωに固定し、インダクタンス値Lを変化させている。図5の関係では、最大値Imaxを15A以下とするインダクタンス値Lは0.8mH以下である。
【0039】
突入電流の最大値Imaxと静電容量Cとの関係を図6に示す。ここでは、R=20Ω、H=0.8mHに固定し、静電容量Cを変化させている。図6の関係では、最大値Imaxを15A以下とする静電容量Cは14.5μF以下である。
【0040】
以上のようなことから、抵抗値Rは20Ω以上、インダクタンス値L=0.8mH以上、静電容量C=14.5μF以下を目安とすると、突入電流の最大値Imaxは、15A以下とすることができる。そこで、上記条件を満たす、直流抵抗成分DCR及び漏れインダクタンス成分Lleakを有するチョークコイル32と、容量成分Csm及び寄生抵抗成分ESRを有する平滑コンデンサ42と、を選択することで、突入電流の最大値を15A以下に抑制できる。
【0041】
例えば、R=19.52Ω、L=0.86mH、C=11.1μFとするチョークコイル32(DCR=5.77Ω、Lleak=0.43mH)及び平滑コンデンサ42(ESR=7.98Ω、Csm=11.1μF)を採用した整流回路1にて突入電流を計測したところ、突入電流の最大値Imaxは、14.6Aとなった。このときの入力端子11での電流波形を図7に示す。
【0042】
直流抵抗成分DCR、漏れインダクタンス成分Lleak、容量成分Csm、寄生抵抗成分ESRは、実測されてもよいし、部品仕様などから得られてもよい。また、これらは、部品仕様に含まれる各種特性から算出されてもよい。
【0043】
図4図6からすると、抵抗値R(直流抵抗成分DCR、寄生抵抗成分ESR)及びインダクタンス値L(漏れインダクタンス成分Lleak)が大きいほど突入電流が低減され、静電容量C(Csm)が小さいほど突入電流が低減されることが分かる。このため、整流回路1に求められる性能を満たしつつ、抵抗値R及びインダクタンス値Lを大きくし、かつ、静電容量Cを小さくするチョークコイル32及び平滑コンデンサ42を選択するとよい。
【0044】
チョークコイル32及び平滑コンデンサ42の選択の仕方は、任意である。例えば、選択の候補としての複数のチョークコイル32及び複数の平滑コンデンサ42を用意する。そして、用意した各チョークコイル32の直流抵抗成分DCR及び漏れインダクタンス成分Lleakを特定する。また、各チョークコイル32の直流抵抗成分DCR及び漏れインダクタンス成分Lleakを特定する。そして、特定した各値の組合せが、突入電流の最大値Imaxが所望の上限値を超えないR、L、Cを実現するかを判定し、実現する組合せを特性として有するチョークコイル32及び平滑コンデンサ42を選択してもよい。
【0045】
以上のように、本実施形態に係る整流回路1の設計方法では、整流回路1で発生する突入電流の最大値が所望の上限値以下となるノーマルモードインダクタンス成分つまり漏れインダクタンス成分Lleak及び直流抵抗成分DCRを有するチョークコイル32と、前記最大値が前記上限値以下となる寄生抵抗成分ESR及び容量成分Csmを有する平滑コンデンサ42と、を採用する。これにより、突入電流防止回路を用いずに、少ない回路要素(整流回路1に必要な最低限の回路要素)により突入電流を低減することができる。
【0046】
なお、任意の平滑コンデンサ42を先に決定し、その後、突入電流の最大値Imaxが所望の上限値を超えないR、L、Cを実現する、直流抵抗成分DCR、漏れインダクタンス成分Lleakを有するチョークコイル32を選択するようにしてもよい。このように、少なくとも、整流回路1で発生する突入電流の最大値が所望の上限値以下となるノーマルモードインダクタンス成分つまり漏れインダクタンス成分Lleak及び直流抵抗成分DCRを有するチョークコイル32ことで上記と同様の効果を得ることができる。
【0047】
チョークコイルは、ノーマルモードのインダクタンス成分と直流抵抗成分を持てば良く、チョークコイルとしてノーマルモードチョークコイルが採用されてもよい。この場合は、漏れインダクタンス成分に代わり、当該コイルのインダクタンスがノーマルモードインダクタンス成分となる。
【0048】
上記整流回路1の設計方法で設計された整流回路1の仕様に従って、整流回路1を生産するとよい。これにより、少ない回路要素(整流回路1に必要な最低限の回路要素)により突入電流を低減した整流回路1が生産される。
【0049】
整流回路1は、チョークコイルと、前記チョークコイルの後段に配置されたダイオードブリッジと、前記ダイオードブリッジの後段に配置された平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの後段に配置されたスイッチング回路と、を備える整流回路であればよい。そして、前記チョークコイル及び前記平滑コンデンサの組み合せは、前記整流回路で発生する突入電流の最大値を突入電流防止抵抗によらずに所望の上限値以下とするノーマルモードインダクタンス成分及び前記直流抵抗成分を有するチョークコイルと、前記最大値を前記上限値以下とする寄生抵抗成分及び容量成分を有する前記平滑コンデンサと、の組み合せであればよい。これにより、少ない回路要素(整流回路1に必要な最低限の回路要素)により突入電流を低減できる。
【0050】
以上、実施形態及び変形例を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態及び変形例に限定されるものではない。例えば、本発明には、本発明の技術思想の範囲内で当業者が理解し得る、上記実施形態及び変形例に対する様々な変更が含まれる。上記実施形態及び変形例に挙げた各構成は、矛盾の無い範囲で適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0051】
1…整流回路、1A…等価回路、1B…簡易等価回路、11…入力端子、12…入力端子、20…電源スイッチ、30…ノイズフィルタ、31…Xコンデンサ、32…チョークコイル、32A…巻き線、32B…巻き線、40…電力変換回路、41…ダイオードブリッジ、42…平滑コンデンサ、43…スイッチング回路、51…出力端子、52…出力端子、91…交流電源、95…負荷。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7