(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042886
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】車両用制御装置
(51)【国際特許分類】
B60K 15/04 20060101AFI20240322BHJP
B67D 7/54 20100101ALN20240322BHJP
【FI】
B60K15/04 Z
B67D7/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147806
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【識別番号】100168642
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 充司
(72)【発明者】
【氏名】小林 拓也
【テーマコード(参考)】
3D038
3E083
【Fターム(参考)】
3D038CA32
3D038CB01
3D038CC13
3D038CC16
3D038CD14
3D038CD19
3E083AH12
(57)【要約】
【課題】給油作業者が給油を意図して給油スイッチを操作したときに給油時処理が行われるようにしつつ、電力消費を低減できる、車両用制御装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る車両用制御装置は、その一態様において、車両の給油スイッチの操作信号を入力信号とするローパスフィルタ回路と、前記ローパスフィルタ回路を通過した前記操作信号のオンを保持して出力をハイとし、リセット信号に基づき出力がローにリセットされる保持回路と、前記車両の燃料タンクへの給油のときに給油時処理を実施する制御部であって、前記ローパスフィルタ回路及び前記保持回路を迂回した前記給油スイッチの操作信号を取得し、前記保持回路に前記リセット信号を出力する、前記制御部と、電源から前記制御部への電源供給をオンオフする電源供給部であって、前記保持回路の出力がハイであるときに前記制御部へ電源供給する、前記電源供給部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の給油スイッチの操作信号を入力信号とするローパスフィルタ回路と、
前記ローパスフィルタ回路を通過した前記操作信号のオンを保持して出力をハイとし、リセット信号に基づき出力がローにリセットされる保持回路と、
前記車両の燃料タンクへの給油のときに給油時処理を実施する制御部であって、
前記ローパスフィルタ回路及び前記保持回路を迂回した前記給油スイッチの操作信号を取得し、
前記保持回路に前記リセット信号を出力する、
前記制御部と、
電源から前記制御部への電源供給をオンオフする電源供給部であって、前記保持回路の出力がハイであるときに前記制御部へ電源供給する、前記電源供給部と、
を有する、車両用制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記制御部は、
起動から第1時間が経過した後であって、起動から第1時間よりも長い第2時間が経過する前に前記給油スイッチの操作信号がオンからオフになったときに、前記給油時処理を実施する、
車両用制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の車両用制御装置であって、
前記制御部の動作モードは、前記給油時処理を実施するときの給油モードと、前記給油モードよりも消費電力の少ない待機モードと、を含み、
前記制御部は、
起動後から前記給油時処理を実施するまでの間は前記動作モードを前記待機モードに設定し、
前記給油時処理を実施するときは前記動作モードを前記給油モードに設定し、
前記給油時処理が終了した後は前記動作モードを前記待機モードに設定する、
車両用制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の車両用制御装置であって、
前記制御部は、
前記待機モードの継続時間が所定時間に達したときに、前記電源供給部に電源供給の停止を指令する信号を出力してシャットダウンする、
車両用制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記制御部は、
前記保持回路の出力信号を取得し、
起動状態で前記給油スイッチの操作信号がオフからオンになってから判定時間が経過した後に前記保持回路の出力がローであるときに、前記ローパスフィルタ回路及び前記保持回路を含む操作信号入力回路の異常を判定する、
車両用制御装置。
【請求項6】
請求項1記載の車両用制御装置であって、
前記制御部は、
前記保持回路の出力信号を取得し、
前記保持回路の出力がハイで、前記給油スイッチの操作信号がオフであるときに、前記保持回路に前記リセット信号を出力し、
前記保持回路に前記リセット信号を出力した後に、前記保持回路の出力がハイを保持するときに、前記ローパスフィルタ回路及び前記保持回路を含む操作信号入力回路の異常を判定する、
車両用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1が開示する燃料タンクのリッドオープナ制御装置は、給油時に運転者によりリッド開放スイッチが操作され給油信号が出力されると、給油信号の持続時間を計測し、持続時間が第1の所定時間より長く第2の所定時間より短い場合にのみ、ベントバルブを開弁しキャニスタに燃料タンク内の蒸発燃料を排気してタンク内圧を低下させるとともに、リッドオープナを作動させて給油口のリッドを開放する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、マイクロコンピュータを有した車両用制御装置が、キャニスタに燃料タンク内の蒸発燃料を排気するなどの給油時処理を、給油作業者が給油を意図して給油スイッチを操作したときにのみ実施するために、給油信号の持続時間をソフトウェア処理で判定する場合、ソフトウェアを動作させるためにマイクロコンピュータへの給電が必要になる。
しかし、マイクロコンピュータが、給油スイッチが誤操作されたことや、ノイズによって給油信号がオンになったことをソフトウェア処理で判定するためには、事前にマイクロコンピュータを起動させておく必要があり、マイクロコンピュータが余計な電力を消費してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、従来の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、給油作業者が給油を意図して給油スイッチを操作したときに給油時処理が行われるようにしつつ、電力消費を低減できる、車両用制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用制御装置は、その1つの態様において、車両の給油スイッチの操作信号を入力信号とするローパスフィルタ回路と、前記ローパスフィルタ回路を通過した前記操作信号のオンを保持して出力をハイとし、リセット信号に基づき出力がローにリセットされる保持回路と、前記車両の燃料タンクへの給油のときに給油時処理を実施する制御部であって、前記ローパスフィルタ回路及び前記保持回路を迂回した前記給油スイッチの操作信号を取得し、前記保持回路に前記リセット信号を出力する、前記制御部と、電源から前記制御部への電源供給をオンオフする電源供給部であって、前記保持回路の出力がハイであるときに前記制御部へ電源供給する、前記電源供給部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、給油作業者が給油を意図して給油スイッチを操作したときに給油時処理が行われるようにしつつ、電力消費を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】給油スイッチのオンオフ、ローパスフィルタの出力、保持回路の出力信号の相関を示すタイムチャートである。
【
図3】マイクロコンピュータの動作モードの遷移を示す遷移図である。
【
図4】給油スイッチのオン時間と動作モードの遷移との相関を示す図である。
【
図5】マイクロコンピュータの初期化処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】マイクロコンピュータの定時タスク処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】ローパスフィルタのオフ固着の診断を示すタイムチャートである。
【
図8】保持回路のリセット不能状態の診断を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る車両用制御装置の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る車両用制御装置を含む燃料タンクシステムの構成図である。
【0010】
車両に搭載される燃料タンクシステム1は、燃料タンク10内の燃料を、車両の動力源である内燃機関20に供給するシステムである。
そして、燃料タンクシステム1は、後述するように、燃料タンク10への給油時に燃料蒸発ガスの放出を抑止するための装置を有している。
【0011】
燃料ポンプ30は、燃料タンク10が蓄える燃料を燃料噴射装置21に圧送し、燃料噴射装置21は、燃料を内燃機関20の燃焼室に供給する。
燃料タンク10は、フィラーダクト11及びベントパイプ12を有する。
【0012】
フィラーダクト11の先端の給油口11Aには、フィラーキャップ13が着脱可能に装着される。
車体外板40に設けた給油開口部41は、フィラーリッド42で開閉され、給油開口部41の底部にフィラーダクト11の先端が配される。
フィラーリッド42は、モータなどの開閉駆動部43で開閉駆動される。
【0013】
ベーパ回収管14は、燃料タンク10内の上方空間とキャニスタ18とを連通させる。
ベーパ回収管14には、燃料タンク10側から順に、ベーパ回収管14を開閉する電磁弁16、燃料蒸発ガスをキャニスタ18に送り込むためのコンプレッサ17、燃料蒸発ガスを吸着するキャニスタ18を配置してある。
【0014】
上記のベーパ回収管14、電磁弁16、コンプレッサ17、キャニスタ18は、燃料タンク10への給油時に、給油口11Aからの燃料蒸発ガスの放出を抑止するための燃料蒸散抑止装置を構成する。
なお、燃料蒸散抑止装置は、特開平8-121280号公報に開示されるように、キャニスタ18とともにリザーバを備える装置とすることができる。
【0015】
燃料タンクシステム1の制御装置50は、演算装置であるマイクロコンピュータ51を有する車両用制御装置である。
マイクロコンピュータ51は、CPU(Central Processing Unit)の他、処理プログラムなどを記憶する不揮発性メモリであるROM(Read only memory)や、データを一時的に保存する揮発性メモリであるRAM(Random access memory)、さらに、入出力ポートなどを備える。
【0016】
そして、マイクロコンピュータ51は、給油時における燃料蒸発ガスの放出を抑止するための制御機能をソフトウェアとして備えた制御部である。
つまり、マイクロコンピュータ51は、燃料タンク10への給油に先立って、電磁弁16を開操作した後にコンプレッサ17を作動させて燃料タンク10内の燃料蒸発ガスをキャニスタ18に送り込む制御を行い、その後、開閉駆動部43によってフィラーリッド42を開動作させる制御を、給油時処理として実施する。
【0017】
マイクロコンピュータ51がフィラーリッド42の開制御を行うことで、燃料タンク10の給油口11Aの開放が可能になる。
そこで、給油作業者は、フィラーキャップ13を手動で取り外して給油口11Aを開放し、その後、給油口11Aに給油ガンを差し込んで燃料タンク10への給油を行う。
ここで、給油口11Aの開放前に燃料タンク10内の燃料蒸発ガスがキャニスタ18に回収されているから、給油作業者がフィラーキャップ13を取り外して給油口11Aを開放したときに、給油口11Aから燃料蒸発ガスが大気中に放出されるのを抑止できる。
【0018】
制御装置50は、電源であるバッテリ60から給電される。
また、制御装置50は、車両の運転席付近などに設けた給油スイッチ61の操作信号や、内燃機関20の運転・停止を切り替えるイグニッションスイッチ(IGNSW)62のオンオフ信号などを取得する。
給油スイッチ61は、押圧操作中にオンとなり、押圧操作を停止するとオフに自動復帰してオフ状態を保持する押圧スイッチである。
【0019】
制御装置50は、マイクロコンピュータ51に加え、電源供給部52及び操作信号入力回路53を有する。
電源供給部52は、電源リレー52A及び電源IC52Bを備え、バッテリ60からマイクロコンピュータ51への電源供給をオンオフする。
【0020】
電源IC52Bは、バッテリ60の電源電圧からマイクロコンピュータ51の電源電圧を生成し、マイクロコンピュータ51へ給電する回路である。
電源リレー52Aは、バッテリ60と電源IC52Bとの間に設けられ、バッテリ60から電源IC52Bへの給電、換言すれば、マイクロコンピュータ51への給電をオンオフする。
【0021】
操作信号入力回路53は、給油スイッチ61の操作信号OSを入力信号とするローパスフィルタ回路53Aと、保持回路53Bとを備える。
ローパスフィルタ回路53Aは、たとえば、入力信号に並列するコンデンサと、入力信号と直列する抵抗器から成る1次ローパスフィルタである。
保持回路53Bは、たとえばフリップフロップ回路であって、ローパスフィルタ回路53Aを通過した操作信号OSのオンを保持して出力信号HSをハイとし、マイクロコンピュータ51が出力するリセット信号RSに基づき出力信号HSがローにリセットされる。
【0022】
マイクロコンピュータ51は、イグニッションスイッチ62のオンオフ信号IS、保持回路53Bの出力信号HS、操作信号入力回路53を迂回した給油スイッチ61の操作信号OSを取得する。
また、マイクロコンピュータ51は、電源供給の継続を指令する電源保持信号SSを電源リレー52Aに出力する。
【0023】
電源リレー52Aは、イグニッションスイッチ62のオンオフ信号IS、保持回路53Bの出力信号HS、マイクロコンピュータ51が出力する電源保持信号SSのうちの1つでもハイレベルであるときにオンとなり、バッテリ60から電源IC52Bに給電する。
電源IC52Bは、バッテリ60から給電されることで、マイクロコンピュータ51の電源電圧を生成し、マイクロコンピュータ51に給電する。
【0024】
換言すれば、電源リレー52Aは、イグニッションスイッチ62のオンオフ信号IS、保持回路53Bの出力信号HS、マイクロコンピュータ51が出力する電源保持信号SSの論理和に応じてオンオフし、マイクロコンピュータ51への給電を制御する。
つまり、電源供給部52は、保持回路53Bの出力信号HSがハイであるときに、マイクロコンピュータ51へ電源供給するよう構成されている。
【0025】
係る構成の燃料タンクシステム1において、給油に先立って給油作業者が給油スイッチ61をオン操作すると、係るオン操作に応動して保持回路53Bの出力信号HSがオンに切り替わることで電源リレー52Aがオンする。
電源リレー52Aがオンすると、電源IC52Bからマイクロコンピュータ51に給電され、マイクロコンピュータ51が起動する。
そして、起動したマイクロコンピュータ51は、前述した給油時処理を実施し、給油開始前に燃料蒸発ガスの回収を行う。
【0026】
なお、電源リレー52Aをオンさせる信号に、車内通信ネットワークを介して相互通信可能な他の電子制御装置から定期的に送信される定期ウェイクアップ信号や、内燃機関20の停止から所定時間が経過したときにウェイクアップ回路が出力する診断用ウェイクアップ信号などを含めることができる。
ここで、マイクロコンピュータ51は、診断用ウェイクアップ信号に基づき起動したとき、キャニスタパージシステムの漏れ診断などを実施する。
【0027】
制御装置50は、燃料蒸発ガスをキャニスタ18に送り込む処理と、フィラーリッド42を開動作させる処理とを含む給油時処理が、給油スイッチ61の誤操作、故障が生じたときに誤って実施されることを抑止し、また、係る誤動作の抑止を、マイクロコンピュータ51の消費電力を抑制しつつ実現する。
制御装置50は、誤動作の抑止及び消費電力の低減のために、ローパスフィルタ回路53Aを備える。
【0028】
図2は、ローパスフィルタ回路53Aの作用を説明するためのタイムチャートである。
給油スイッチ61の操作信号OSを入力信号とするローパスフィルタ回路53Aは、給油スイッチ61の操作信号OSがオフからオンに切り替わったときに、操作信号OSに対して出力信号が遅れて変化する。
【0029】
そして、ローパスフィルタ回路53Aの出力信号は、時刻T0にて給油スイッチ61の操作信号OSがオフからオンに切り替わってから、ローパスフィルタ回路53Aの時定数に応じた遅れ時間T1[s](T1>0)が経過した時点で閾値に達し、保持回路53Bの出力がハイに切り換わる。
つまり、ローパスフィルタ回路53Aは、給油スイッチ61の操作信号OSがオフからオンに切り替わった時点から遅れ時間T1だけ、保持回路53Bの出力信号HSがハイに切り換わるタイミング(換言すれば、マイクロコンピュータ51への給電を開始するタイミング)を遅らせる。
【0030】
そして、給油スイッチ61の操作信号OSがオフからオンに切り替わった時刻T0から遅れ時間T1が経過するまでの間に、給油スイッチ61の操作信号OSがオンからオフに戻った場合、ローパスフィルタ回路53Aの出力は、保持回路53Bの出力信号HSがハイに切り換わる閾値に達せず、マイクロコンピュータ51に給電されない。
つまり、ローパスフィルタ回路53Aは、給油スイッチ61の操作信号OSのオン状態が遅れ時間T1を超えて継続した場合に、マイクロコンピュータ51への給電を開始させ、マイクロコンピュータ51を起動させる。
【0031】
したがって、制御装置50の操作信号OSの入力電路にノイズが重畳した場合など、給油スイッチ61のオン状態の継続時間が遅れ時間T1未満となる場合は、ローパスフィルタ回路53Aの機能によってマイクロコンピュータ51への給電は開始されない。
これにより、操作信号OSの入力電路に対するノイズの重畳などによってマイクロコンピュータ51への給電が無用に開始されること、つまり、マイクロコンピュータ51が無用に起動されることが抑止され、マイクロコンピュータ51の電力消費を低減できる。
なお、遅れ時間T1[s]、換言すれば、ローパスフィルタ回路53Aの時定数は、ノイズによってマイクロコンピュータ51への給電が開始されることを抑止できるように適合される。
【0032】
さらに、マイクロコンピュータ51は、給油スイッチ61の操作信号OSがオン状態を継続する時間が、ノイズ重畳を推定できる程度に短いことを、自ら継続時間を計測して判断する必要がない。
このため、マイクロコンピュータ51は、給油スイッチ61の操作信号OSがオフからオンになることに備えて、動作状態(給電状態)で待機する必要がなく、マイクロコンピュータ51の電力消費を低減できる。
【0033】
また、マイクロコンピュータ51は、起動後に、車両の運転者などの給油作業者が給油を意図して給油スイッチ61を操作したか否かを、給油スイッチ61の操作信号OSのオン時間から判断するとともに、係る判断結果に応じて動作モードを遷移させることで、自身の電力消費を低減する。
図3は、マイクロコンピュータ51の動作モードが給油スイッチ61の操作などに応じて遷移する様子を示す遷移図であり、
図4は、給油スイッチ61のオン時間に対する動作モードの遷移を示す図である。
【0034】
図3及び
図4において、時間T[s]は、給油スイッチ61の操作信号OSがオフからオンに切り替わってからの経過時間である。
そして、給油スイッチ61の操作信号OSがオフからオンに切り替わってから遅れ時間T1が経過してからマイクロコンピュータ51に給電されるので、「時間T-遅れ時間T1」は、マイクロコンピュータ51が起動してからの経過時間に相当する。
【0035】
マイクロコンピュータ51は、給油スイッチ61のオン時間が遅れ時間T1未満であるとき(給油スイッチ61がオフ状態を維持する場合を含む)、バッテリ60(電源IC53)から給電されず、動作停止状態(シャットオフ状態)に保持される。
ここで、マイクロコンピュータ51は、給油スイッチ61のオン時間が遅れ時間T1を超えると、保持回路53Bの出力信号HSがハイになって電源リレー52Aがオンすることで給電が開始され、起動する。
【0036】
起動したマイクロコンピュータ51は、初期化を行うとともに、動作モードを、後述する給油モードよりも消費電力を抑えた待機モードに設定する。
なお、マイクロコンピュータ51は、起動したときに、給油スイッチ61の操作信号がオンであること及び/または保持回路53Bの出力信号HSがハイであることに基づき、給油スイッチ61の操作信号のオフからオンへの切り替わりによる起動であることを判断する。
【0037】
そして、マイクロコンピュータ51は、時間Tが、遅れ時間T1<時間T<判定時間T2(0<T1<T2)を満たす期間、換言すれば、起動からの経過時間がT2-T1に達するまでの間において、給油スイッチ61の操作信号OSがオンを保持していれば、待機モードを維持する。
一方、マイクロコンピュータ51は、T1<T<T2を満たす期間において、給油スイッチ61の操作信号OSがオフに戻った場合、操作信号OSがオフに戻った時点から一定時間が経過しても、他の動作モードへの遷移要求がなければ、電源供給を自己遮断してシャットダウンする。
なお、マイクロコンピュータ51は、起動後に電源保持信号SSをハイに立ち上げた状態で保持回路53Bにリセット信号を出力することで給電状態を保持し、係る状態で、電源保持信号SSをローに切り替える(換言すれば、電源リレー52Aに電源供給の停止を指令する信号を出力する)ことで、セルフシャットダウンを実行する。
【0038】
ここで、判定時間T2(T2>T1>0)は、給油作業者が給油を意図して給油スイッチ61を操作するときの最短オン時間に応じた時間であって、給油作業者が給油を意図して給油スイッチ61を通常に操作するときは、給油スイッチ61の操作信号OSのオン時間が下回ることがないような時間に設定される。
なお、判定時間T2は、たとえば0.5[s]程度の時間に設定される。
【0039】
したがって、判定時間T2が経過する前に給油スイッチ61の操作信号OSがオフに戻ったことは、給油スイッチ61の誤操作を示唆することになる。
このため、マイクロコンピュータ51は、判定時間T2が経過する前に給油スイッチ61の操作信号OSがオフに戻ったときは給油時処理を実施せず、そのまま一定時間が経過するとセルフシャットダウンを実行する。
これにより、給油スイッチ61の誤操作に伴ってマイクロコンピュータ51が起動されても、給油時処理が無用に実施されることが抑止され、また、マイクロコンピュータ51への給電が無駄に継続されることが抑止される。
【0040】
また、マイクロコンピュータ51は、判定時間T2<時間T<判定時間T3(T2<T3)が成立する期間、つまり、起動からの経過時間がT2-T1を超えていて、かつ、T3-T1に達していないときに、給油スイッチ61の操作信号OSがオンからオフに戻ると、待機モードから給油モードに遷移する。
そして、マイクロコンピュータ51は、給油モードにおいて給油時処理を実行し、給油時処理の完了後に給油モードから待機モードに遷移する。
換言すれば、マイクロコンピュータ51は、起動から第1時間が経過した後であって、起動から第1時間よりも長い第2時間が経過する前に給油スイッチ61の操作信号OSがオンからオフになったときに、給油時処理を実施する。
【0041】
ここで、マイクロコンピュータ51は、給油時処理の完了に基づき待機モードに戻った後、他の動作モードへの遷移要求が一定時間なければ、シャットダウンする。
なお、マイクロコンピュータ51は、給油時処理を通常の手順で終了できなくなった異常終了の場合も、給油時処理を正常に終了できた場合と同様に給油モードから待機モードに遷移し、待機モードに戻った後、他の動作モードへの遷移要求が一定時間なければ、シャットダウンする。
【0042】
上記の判定時間T3(T3>T2>T1>0)は、給油作業者が給油を意図して給油スイッチ61を操作するときの最長オン時間に応じた時間であって、通常に給油スイッチ61が操作される場合に、操作信号OSのオン時間が超えることがないような時間に設定される。
したがって、判定時間T3が経過する前に給油スイッチ61の操作信号がオフに戻ったことは、給油作業者が給油を意図して給油スイッチ61を通常に操作した状態、換言すれば、給油スイッチ61の標準的な操作が実施されたことを示唆する。
そこで、マイクロコンピュータ51は、判定時間T3が経過する前に給油スイッチ61の操作信号OSがオフに戻ったときに、給油モードに遷移し、給油時処理を実施する。
なお、判定時間T3は、たとえば3~4[s]程度の時間に設定される。
【0043】
一方、判定時間T3が経過しても給油スイッチ61の操作信号OSがオフに戻らない状態は、給油作業者による通常の給油スイッチ61の操作に対応せず、給油スイッチ61のオン固着などの異常発生を示唆することになる。
そこで、マイクロコンピュータ51は、判定時間T3が経過しても給油スイッチ61の操作信号OSがオフに戻らない場合、給油モードに遷移することなく待機モードを保持し、給油時処理を実行しない。
そして、マイクロコンピュータ51は、判定時間T3が経過した時点から、他の動作モードへの遷移要求が一定時間なければ、シャットダウンする。
【0044】
なお、マイクロコンピュータ51は、判定時間T3が経過しても給油スイッチ61の操作信号がオフに戻らない場合、燃料タンクシステム1(給油制御系)の異常発生を運転者に通知することを要求する信号、換言すれば、異常警報装置の作動を要求する信号を出力することができる。
ここで、マイクロコンピュータ51は、車載ネットワークを介して通信可能に接続されたメータパネル制御装置に、異常発生の通知要求信号を出力し、メータパネル制御装置が通知要求信号に基づき警告灯を点灯させるように構成することができる。
【0045】
以上のように、マイクロコンピュータ51は、給油スイッチ61の操作信号OSがオンになった時点からの時間Tに応じて給電が開始され、また、起動後は、時間Tと給油スイッチ61の操作信号OSのオンオフ状態との相関に基づいて、消費電力を抑えた待機モードから給油時処理を実施する給油モードに遷移する。
これにより、マイクロコンピュータ51は、給油作業者が給油を意図して給油スイッチ61を操作したときにのみ給油時処理を実施でき、かつ、自身の電力消費を可及的に低減できる。
【0046】
図5のフローチャートは、給油スイッチ61の操作信号のオン、イグニッションスイッチ62のオン、定期ウェイクアップ信号、診断用ウェイクアップ信号のいずれかによってマイクロコンピュータ51への給電が開始され、マイクロコンピュータ51が起動したときの初期化処理の流れを示す。
マイクロコンピュータ51は、ステップS101で、第1の初期化処理として、優先度の高い入出力ポートの初期化処理などを実施する。
【0047】
次いで、マイクロコンピュータ51は、ステップS102で、電源リレー52Aに出力する電源保持信号SSをハイに立ち上げ、電源リレー52Aがオン状態に保持されるようにする。
また、マイクロコンピュータ51は、ステップS103で、給油スイッチ61の操作信号OSがオンを継続しているか、または、イグニッションスイッチ62などの他の起動要因がオンであるかを判定する。
【0048】
ここで、給油スイッチ61の操作信号OSがオフで、かつ、他の起動要因もオフである場合、給油スイッチ61の操作信号OSのオンで起動したものの、操作信号OSのオンが給油スイッチ61の誤操作に因るものであったと見做せる。
そこで、マイクロコンピュータ51は、給油スイッチ61の操作信号OSがオフで、かつ、他の起動要因もオフである場合、ステップS103からステップS106に進む。
【0049】
マイクロコンピュータ51は、ステップS106で、保持回路53Bの出力をリセットさせるリセット信号RSを出力する。
次いで、マイクロコンピュータ51は、ステップS107で、電源保持信号SSをローに切り替える。
ステップS106及びステップS107での処理により、電源リレー52Aがオフして、マイクロコンピュータ51へのバッテリ60(電源IC53)からの給電が遮断され、マイクロコンピュータ51はシャットオフする。
【0050】
一方、マイクロコンピュータ51は、給油スイッチ61の操作信号OSがオンを継続しているか、または、イグニッションスイッチ62などの他の起動要因がオンである場合、ステップS103からステップS104に進む。
マイクロコンピュータ51は、ステップS104で、第2の初期化処理として、ステップS101での第1の初期化処理に比べて、優先度が比較的低い初期化処理を実施する。
【0051】
マイクロコンピュータ51は、次のステップS105で、ステップS103と同様に、給油スイッチ61の操作信号OSがオンを継続しているか、または、イグニッションスイッチ62などの他の起動要因がオンであるかを判定する。
そして、マイクロコンピュータ51は、給油スイッチ61の操作信号OSがオフで、かつ、他の起動要因もオフである場合、ステップS105からステップS106及びステップS107に進んで、給電を自己遮断する。
【0052】
一方、マイクロコンピュータ51は、給油スイッチ61の操作信号OSがオンを継続しているか、または、イグニッションスイッチ62などの他の起動要因がオンである場合、ステップS105からステップS108に進む。
マイクロコンピュータ51は、ステップS108で、イグニッションスイッチ62がオンであるか否かを判断する。
【0053】
そして、マイクロコンピュータ51は、イグニッションスイッチ62がオンである場合、ステップS109に進んで、動作モードを、車両の走行状態での制御に対応する走行モードに設定する。
一方、マイクロコンピュータ51は、イグニッションスイッチ62がオフである場合、ステップS110に進んで、診断用ウェイクアップ信号(ソークタイマによる起動要求)がオンであるか否かを判断する。
【0054】
そして、マイクロコンピュータ51は、診断用ウェイクアップ信号(ソークタイマによる起動要求)がオンである場合、ステップS111に進んで、動作モードを、キャニスタパージシステムの漏れ診断を実施するリーク診断モードに設定する。
また、マイクロコンピュータ51は、診断用ウェイクアップ信号(ソークタイマによる起動要求)がオフである場合、ステップS112に進んで、動作モードを待機モードに設定する。
マイクロコンピュータ51は、起動後の初期化処理において、動作モードを走行モード、リーク診断モード、待機モードのうちのいずれかに設定すると、初期化処理を完了し、ステップS113で定期タスクを開始する。
【0055】
図6のフローチャートは、前述した初期化処理後の定期タスク処理の流れを示す。
なお、マイクロコンピュータ51は、定期タスク処理をたとえば10ms周期で実行する。
マイクロコンピュータ51は、ステップS201で、車速が0km/hであるか、または、給油時処理の実行中であるかを判断する。
【0056】
そして、マイクロコンピュータ51は、車速が0km/hであるか、または、給油時処理の実行中である場合、ステップS202に進む。
マイクロコンピュータ51は、ステップS202で、判定時間T2<時間T<判定時間T3が成立する期間内であるか、または、給油時処理の実行中であるかを判断する。
【0057】
ここで、マイクロコンピュータ51は、判定時間T2<時間T<判定時間T3が成立する期間内であるか、または、給油時処理の実行中である場合、ステップS203に進む。
マイクロコンピュータ51は、ステップS203で、給油スイッチ61の操作信号がオンからオフになったか、または、給油時処理の実行中であるかを判断する。
【0058】
そして、マイクロコンピュータ51は、判定時間T2<時間T<判定時間T3が成立する期間内で給油スイッチ61の操作信号OSがオンからオフになった場合、または、給油時処理の実行中である場合、ステップS204に進む。
マイクロコンピュータ51は、ステップS204で、動作モードを、給油時処理を実施する給油モードに設定する。
【0059】
一方、マイクロコンピュータ51は、ステップS201で、車速が0km/hでなく、かつ、給油時処理の実行中でもないと判断した場合は、ステップS205に進む。
また、マイクロコンピュータ51は、ステップS202で、判定時間T2<時間T<判定時間T3が成立する期間内でなく、かつ、給油時処理の実行中でもないと判断した場合、ステップS205に進む。
さらに、マイクロコンピュータ51は、ステップS203で、給油スイッチ61の操作信号OSのオンからオフへの切り替えが実施されてなく、かつ、給油時処理の実行中でもないと判断した場合、ステップS205に進む。
【0060】
マイクロコンピュータ51は、ステップS205で、イグニッションスイッチ62がオンであるか否かを判断する。
そして、マイクロコンピュータ51は、イグニッションスイッチ62がオンである場合、ステップS206に進んで、動作モードを、車両の走行状態での制御に対応する走行モードに設定する。
【0061】
一方、マイクロコンピュータ51は、イグニッションスイッチ62がオフである場合、ステップS207に進む。
マイクロコンピュータ51は、ステップS207で、診断用ウェイクアップ信号(ソークタイマ)がオンであるか、または、キャニスタパージシステムの漏れ診断が実施中であるかを判断する。
【0062】
そして、マイクロコンピュータ51は、診断用ウェイクアップ信号がオンであるか、または、キャニスタパージシステムの漏れ診断が実施中である場合、ステップS208に進む。
マイクロコンピュータ51は、ステップS208で、動作モードを、キャニスタパージシステムの漏れ診断を実施するリーク診断モードに設定する。
【0063】
一方、マイクロコンピュータ51は、診断用ウェイクアップ信号がオフで、かつ、キャニスタパージシステムの漏れ診断が実施中でもない場合、ステップS209に進む。
マイクロコンピュータ51は、ステップS209で、動作モードを、電力消費を抑える待機モードに設定する。
【0064】
マイクロコンピュータ51は、ステップS204、ステップS206、ステップS208、ステップS209のいずれかで動作モードの設定を行なうと、ステップS210に進む。
マイクロコンピュータ51は、ステップS210で、各種の定時処理を実施する。
ステップS210における定時処理は、給油時処理、車載ネットワークを介した送受信処理、キャニスタパージシステムの漏れ診断などである。
【0065】
次いで、マイクロコンピュータ51は、ステップS211に進み、待機モードが一定時間以上継続されているか否かを判断する。
ここで、マイクロコンピュータ51は、待機モードの継続時間が一定時間以上になっている場合、ステップS212に進み、前述したステップS102で立ち上げた電源保持信号SSをローに切り替えることで給電を自己遮断する、シャットダウン処理を実行する。
一方、マイクロコンピュータ51は、待機モードの継続時間が一定時間未満である場合、ステップS212を迂回することで、動作モードを待機モードに設定したままで、給電を継続させる。
【0066】
次に、マイクロコンピュータ51が実行する、操作信号入力回路53の異常診断を説明する。
図7は、操作信号入力回路53を構成するローパスフィルタ回路53Aの出力が、給油スイッチ61の操作信号OSのオフレベルに固着したときの動作を示すタイムチャートである。
【0067】
ローパスフィルタ回路53Aの出力が、給油スイッチ61の操作信号OSのオフに固着した場合、給油スイッチ61の操作信号OSが時刻T0のタイミングでオフからオンに切り替わっても、ローパスフィルタ回路53Aの出力が変化しない。
このため、給油スイッチ61の操作信号がオフからオンに切り替わっても、保持回路53Bの出力信号HSはローに保持され、給油スイッチ61の操作に基づくマイクロコンピュータ51への給電が不能になる。
【0068】
そこで、マイクロコンピュータ51は、上記のような操作信号入力回路53の異常を、以下のようにして診断する。
マイクロコンピュータ51は、起動状態で、給油スイッチ61の操作信号OSがオンで、かつ、保持回路53Bの出力信号HSがローで、かつ、給油スイッチ61の操作信号OSがオンである状態が判定時間T1を超えて継続しているときに、診断条件の成立を判断する。
【0069】
そして、診断条件が成立しているとき、マイクロコンピュータ51は、給油スイッチ61の操作信号OSのオン時間Tが、判定時間T1+α(αは、ハードウェアの応答遅れに対処するための余裕代)に達した時点で、給油スイッチ61の操作信号OSがオンで、かつ、保持回路53Bの出力信号HSがローであれば、操作信号入力回路53の異常を判定する。
つまり、給油スイッチ61の操作信号OSがオンである状態が判定時間T1+αに達した時点は、操作信号入力回路53が正常状態であれば、保持回路53Bの出力信号HSがハイに立ち上がっている状態である。
【0070】
したがって、このときに保持回路53Bの出力がローであることは、ローパスフィルタ回路53Aの固着などの操作信号入力回路53の異常を示唆することになる。
そこで、マイクロコンピュータ51は、給油スイッチ61の操作信号OSがオンである状態が判定時間T1+αに達した時点で、保持回路53Bの出力信号HSがローであるとき、操作信号入力回路53の異常を判定する。
【0071】
また、操作信号入力回路53の異常としては、マイクロコンピュータ51が保持回路53Bにリセット信号を出力しても、保持回路53Bの出力信号HSがローにリセットされない異常がある。
図8は、操作信号入力回路53を構成する保持回路53Bの出力信号HSをリセットできない異常が発生したときの動作を示すタイムチャートである。
【0072】
給油スイッチ61の操作信号OSがオフからオンに切り替わると、ローパスフィルタ回路53Aの遅延機能によって保持回路53Bの出力が遅れてハイに立ち上がる。
その後、マイクロコンピュータ51は、保持回路53Bにリセット信号を出力するが、保持回路53Bの出力がローにリセットされずにハイを維持すると、マイクロコンピュータ51が電源保持信号SSをローに切り替えても、マイクロコンピュータ51は給電を自己遮断できなくなる。
そこで、マイクロコンピュータ51は、上記のような操作信号入力回路53の異常を以下のようにして診断する。
【0073】
マイクロコンピュータ51は、起動状態で、給油スイッチ61の操作信号OSがオフで、かつ、保持回路53Bの出力信号HSがハイレベルであるときに、診断条件の成立を判断する。
そして、診断条件が成立している時刻Tβにて、マイクロコンピュータ51は、保持回路53Bにリセット信号RS、つまり、保持回路53Bの出力信号HSをローにリセットすることを指令する信号を出力する。
【0074】
その後、マイクロコンピュータ51は、時刻Tβから所定時間後の時刻Tγにて、給油スイッチ61の操作信号OSがオフで、かつ、保持回路53Bの出力信号HSがハイの場合、操作信号入力回路53の異常を判定する。
つまり、給油スイッチ61の操作信号OSがオフの状態で、出力信号HSがハイになっている保持回路53Bにリセット信号RSが出力されたときに、保持回路53Bの出力信号HSがリセットされずにハイを維持する場合、保持回路53Bの出力信号HSがハイに固着しリセット不能になっていることを示唆する。
そこで、マイクロコンピュータ51は、給油スイッチ61の操作信号OSがオフの状態で、保持回路53Bにリセット信号RSを出力しても、保持回路53Bの出力信号HSがローにリセットされない場合に、操作信号入力回路53の異常を判定する。
【0075】
ここで、マイクロコンピュータ51は、操作信号入力回路53の異常を判定したとき、車載ネットワークを介して通信可能に接続されたメータパネル制御装置に、燃料タンクシステムにおける異常発生を示す異常通知信号を出力し、メータパネル制御装置が異常通知信号に基づき警告灯を点灯させるよう構成することができる。
つまり、マイクロコンピュータ51は、操作信号入力回路53の異常を判定したときに、係る異常の発生を車両の運転者に警告灯などを介して警告することができる。
また、マイクロコンピュータ51は、操作信号入力回路53の異常を判定したときに、係る異常判定の履歴を、不揮発性メモリ(ROM)に保存することができる。
【0076】
上記実施形態で説明した各技術的思想は、矛盾が生じない限りにおいて、適宜組み合わせて使用することができる。
また、好ましい実施形態を参照して本発明の内容を具体的に説明したが、本発明の基本的技術思想及び教示に基づいて、当業者であれば、種々の変形態様を採り得ることは自明である。
【0077】
たとえば、制御装置50は、給油時処理を実施する機能とともに、内燃機関20の運転、詳細には、燃料噴射や点火などを制御する機能などの他の制御機能を備えることができる。
また、制御装置50は、操作信号入力回路を多重に備え、第1の操作信号入力回路の異常を判定したときに、第2の操作信号入力回路に切り換えるフェイルセーフ処理を実施することができる。
また、マイクロコンピュータ51は、前回の給油時処理を実施してからの経過期間が設定よりも短い場合に、給油時処理の実施をキャンセルすることができる。
【符号の説明】
【0078】
50…制御装置(車両用制御装置)、51…マイクロコンピュータ(制御部)、52…電源供給部、52A…電源リレー、52B…電源IC、53…操作信号入力回路、53A…ローパスフィルタ回路、53B…保持回路、61…給油スイッチ