(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042914
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】電子機器、情報処理装置、制御システム、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20240322BHJP
G06F 3/0362 20130101ALI20240322BHJP
H05K 9/00 20060101ALN20240322BHJP
【FI】
H04Q9/00 341Z
G06F3/0362
H05K9/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147837
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(74)【代理人】
【識別番号】100171882
【弁理士】
【氏名又は名称】北庄 麗絵子
(72)【発明者】
【氏名】向山 健太
【テーマコード(参考)】
5B087
5E321
5K048
【Fターム(参考)】
5B087AA09
5B087DD03
5B087DG02
5E321AA21
5E321GG05
5E321GG11
5E321GH10
5K048AA04
5K048DA01
5K048DC01
5K048FB09
5K048FB10
(57)【要約】
【課題】ユーザ操作をより直感的で、かつ簡易にすることで連携機能を向上させる。
【解決手段】電子機器10には、内部基板上の無線通信モジュール12の周囲、三方(左、上、右)に、特定方向の電波の放射強度を意図的に減衰させるために、電波吸収体や金属シールドなどからなる減衰部材13が設置されている。これにより、情報処理装置20に対する電子機器10の向きに応じて、電子機器10から異なる放射強度の電波が放射される。情報処理装置20では、電子機器10の向きに応じて異なるRSSIが測定される。情報処理装置20は、測定されたRSSIに基づいて処理内容を制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線部を備える電子機器であって、
前記無線部から放射される電波を吸収もしくは遮蔽する減衰部材を備え、
前記減衰部材は、前記無線部の電波放射方向についてはその電波減衰量が不均等になるように、前記無線部の周辺に配置されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記減衰部材は、前記無線部の電波放射方向に対して、前記無線部の電波放射面に対する厚さが変えられて配置されることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
無線部を備える情報処理装置であって、
電波を放射する外部機器の、前記情報処理装置に対する設置向きの変化により変化する前記電波の受信信号強度を測定する測定部と、
前記測定された受信信号強度に基づいて処理内容を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
前記測定された受信信号強度に基づいて、前記情報処理装置に対する前記外部機器の設置向きを特定する特定部を更に備え、
前記制御部は、前記特定部によって特定された前記外部機器の設置向きに応じて、前記処理内容を制御することを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記測定された受信信号強度と前記情報処理装置に対する前記外部機器の設置向きとを対応付けて記憶する受信信号強度テーブルを更に備え、
前記特定部は、前記受信信号強度テーブルを参照し、前記測定された受信信号強度に対応付けられている、前記情報処理装置に対する前記外部機器の設置向きを特定することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記外部機器の設置向きと処理内容とを対応付けて記憶する処理内容テーブルを更に備え、
前記制御部は、前記処理内容テーブルを参照し、前記特定部によって特定された前記外部機器の設置向きに対応付けられている処理内容を特定し、該特定した処理内容を制御することを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記特定部は、前記測定部によって時間差で測定された電波受信強度に基づいて、前記情報処理装置に対する前記外部機器の設置向きの変化を特定し、
前記制御部は、前記特定部によって特定された前記外部機器の設置向きの変化に応じて、前記処理内容を制御することを特徴とする請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記測定された電波受信強度と前記情報処理装置に対する前記外部機器の設置向きとを対応付けて記憶する受信信号強度テーブルを更に備え、
前記特定部は、前記受信信号強度テーブルを参照し、前記時間差で測定された電波受信強度に対応付けられている、前記情報処理装置に対する前記外部機器の設置向きの変化を特定することを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記外部機器の設置向きの変化と処理内容とを対応付けて記憶する処理内容テーブルを更に備え、
前記制御部は、前記処理内容テーブルを参照し、前記特定部によって特定された前記外部機器の設置向きの変化に対応付けられている処理内容を特定し、該特定した処理内容を制御することを特徴とする請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
第1の無線部を備える電子機器と第2の無線部を備える情報処理装置とからなる制御システムであって、
前記電子機器は、
前記第1の無線部から放射される電波を吸収もしくは遮蔽する減衰部材を備え、
前記減衰部材は、前記第1の無線部の電波放射方向についてはその電波減衰量が不均等になるように、前記第1の無線部の周辺に配置され、
前記情報処理装置は、
前記第2の無線部により受信した前記電子機器から放射される電波の受信信号強度を測定する測定部と、
前記測定された受信信号強度に基づいて処理内容を制御する制御部と、
を備えることを特徴とする制御システム。
【請求項11】
情報処理装置の制御部による制御方法であって、
電波を放射する外部機器の、前記情報処理装置に対する設置向きの変化により変化する前記電波の受信信号強度を測定するステップと、
前記測定された受信信号強度に基づいて前記制御部による処理内容を制御するステップと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項12】
無線部と制御部とを備える情報処理装置のコンピュータに、
電波を放射する外部機器の、前記情報処理装置に対する設置向きの変化により変化する前記電波の受信信号強度を測定する機能、
前記測定された受信信号強度に基づいて前記制御部による処理内容を制御する機能、
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、情報処理装置、制御システム、制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯可能な電子機器(腕時計等)と情報処理装置(タブレット、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等)とを連携して情報処理装置を遠隔制御する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、電子機器である腕時計を情報処理装置であるスマートデバイスの遠隔制御装置として用いることが提案されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1の場合、スマートデバイスにおけるあらゆる機能を遠隔制御するためには、電子機器のハードウェアキー操作をより複雑にしなければならず、ユーザ操作が煩雑になるという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、ユーザ操作をより直感的で、かつ簡易にすることで連携機能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る電子機器は、無線部を備える電子機器であって、前記無線部から放射される電波を吸収もしくは遮蔽する減衰部材を備え、前記減衰部材は、前記無線部の電波放射方向についてはその電波減衰量が不均等になるように、前記無線部の周辺に配置されていることを特徴とする。
【0008】
この発明に係る情報処理装置は、無線部を備える情報処理装置であって、電波を放射する外部機器の、前記情報処理装置に対する設置向きの変化により変化する前記電波の受信信号強度を測定する測定部と、前記測定された受信信号強度に基づいて処理内容を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
この発明に係る制御システムは、第1の無線部を備える電子機器と第2の無線部を備える情報処理装置とからなる制御システムであって、前記電子機器は、前記第1の無線部から放射される電波を吸収もしくは遮蔽する減衰部材を備え、前記減衰部材は、前記第1の無線部の電波放射方向についてはその電波減衰量が不均等になるように、前記第1の無線部の周辺に配置され、前記情報処理装置は、前記第2の無線部により受信した前記電子機器から放射される電波の受信信号強度を測定する測定部と、前記測定された受信信号強度に基づいて処理内容を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
この発明に係る制御方法は、情報処理装置の制御部による制御方法であって、電波を放射する外部機器の、前記情報処理装置に対する設置向きの変化により変化する前記電波の受信信号強度を測定するステップと、前記測定された受信信号強度に基づいて前記制御部による処理内容を制御するステップと、を含むことを特徴とする。
【0011】
この発明に係るプログラムは、無線部と制御部とを備える情報処理装置のコンピュータに、電波を放射する外部機器の、前記情報処理装置に対する設置向きの変化により変化する前記電波の受信信号強度を測定する機能、前記測定された受信信号強度に基づいて前記制御部による処理内容を制御する機能、を実現させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、ユーザ操作をより直感的で、かつ簡易にすることで連携機能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態による制御システム1の構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態による電子機器10の構造及び電波強度を示す模式図である。
【
図3】本実施形態による電子機器10の情報処理装置20に対する相対位置(向き)による受信信号強度の違いを示す概念図である。
【
図4】本実施形態による情報処理装置における受信信号強度テーブル作成処理を説明するためのフローチャートである。
【
図5】本実施形態による情報処理装置により作成された受信信号強度テーブル及び処理内容テーブルを示す概念図ある。
【
図6】本実施形態による電子機器と情報処理装置との連携動作を説明するためのフローチャートである。
【
図7】本実施形態による電子機器と情報処理装置との連携動作(変形例)を説明するための概念図である。
【
図8】本実施形態による電子機器と情報処理装置との連携動作(変形例)を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態による制御システム1の構成を示す模式図である。図において、制御システム1は、電子機器10、情報処理装置20とからなる。図示の例では、電子機器10は、関数電卓であり、情報処理装置20は、ノートパソコンであるが、これに限定されず、電子機器10としては、電卓、スマートフォン、タブレット端末等でもよいし、情報処理装置20としては、タブレット、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等であってもよい。電子機器10と情報処理装置20とは、無線通信30としてブルートゥース(登録商標)を備えており、該無線通信30によりペアリングして双方向でデータの送受信を行うことが可能となっている。
【0016】
図2(a)、(b)は、本発明の実施形態による電子機器10の構造及び電波強度を示す模式図である。
図2(a)に示すように、電子機器10は、無線通信30による電波放射の際の電波強度が筐体の四方向に対してそれぞれ異なるように設定されている。図示の例では、電子機器10の筐体の下方向Aに対する電波強度が最も大きく、次いで左方向B、上方向C、右方向Dの順になっている。図示では、矢印の大きさ(太さ)で電波強度の大きさを示している。
【0017】
図2(b)に示すように、電子機器10の内部基板11上には、無線通信モジュール12が搭載されている。無線通信モジュール12の周囲、三方(左、上、右)には、特定方向の電波の放射強度を意図的に減衰させるために、電波吸収体や金属シールドなどからなる減衰部材13が設置されている。すなわち、無線通信モジュール12の下方向Aには、電波の放射強度を減衰させないために減衰部材13を設置していない。一方、無線通信モジュール12の左方向B、上方向C、右方向Dには、それぞれにおける電波の放射強度が順次小さくなるように、無線通信モジュール12からの電波の放射強度を減衰させるための減衰部材13を設置している。
【0018】
図示の例では、減衰部材13の設置の際の減衰部材の厚さを変えることで減衰量を変えている。すなわち、左方向B、上方向C、右方向Dの順に厚さを大きくしていくことで減衰量を大きくしている。なお、減衰量は、減衰部材13の厚さに限らず、減衰部材13の面積を変えることでも実現可能である。また、無線通信モジュール12の周囲の三方(左、上、右)に減衰量が異なる部材を設置するようにしてもよい。このように、電子機器10側の無線通信モジュール12による電波の放射強度を変えることで、情報処理装置20におけるRSSI(Received Signal Strength Indication;受信信号強度)が変わることになる。
【0019】
よって本実施形態によれば、電子機器10において、内蔵スペースの制約を受けることなく、意図的に電波の放射強度を調整することができる。
【0020】
図3(a)~(d)は、本実施形態による電子機器10の情報処理装置20に対する相対位置(向き)による受信信号強度(RSSI)の違いを示す概念図である。まず、
図3(a)に示すように、情報処理装置20に対して電子機器10を上向き(電子機器10の上側がユーザに対して上側に位置;あるいはテーブル、机等の天板上に載置した状態で、電子機器10の下側がユーザ側に位置し、その上側が反対側に位置)にした場合、
図2に示す右方向Dが情報処理装置20に対向するので、電子機器10からのRSSIが最も小さくなる。例えば、このときの情報処理装置20におけるRSSIは基準的な受信強度に対し-40dBm低下することとなる。
【0021】
また、
図3(b)に示すように、情報処理装置20に対して電子機器10を右向き(電子機器10の上側がユーザに対して右側に位置;あるいはテーブル、机等の天板上に載置した状態で、電子機器10の右側がユーザ側に位置し、その左側が反対側に位置)にした場合、
図2に示す上方向Cが情報処理装置20に対向するので、電子機器10からのRSSIは、
図3(a)に比べ、やや大きくなる。例えば、このときの情報処理装置20におけるRSSIは基準的な受信強度に対し-30dBm低下することとなる。
【0022】
また、
図3(c)に示すように、情報処理装置20に対して電子機器10を下向き(電子機器10の上側がユーザに対して下側に位置;あるいはテーブル、机等の天板上に載置した状態で、電子機器10の下側がユーザ側に位置し、その上側が反対側に位置)にした場合、
図2に示す左方向Bが情報処理装置20に対向するので、電子機器10からのRSSIは、
図3(b)に比べ、さらに大きくなる。例えば、このときの情報処理装置20におけるRSSIは基準的な受信強度に対し-20dBm低下することとなる。
【0023】
そして、
図3(d)に示すように、情報処理装置20に対して電子機器10を左向き(電子機器10の上側がユーザに対して左側に位置;あるいは電子機器10の上側がユーザに対して左側に位置)とした場合、
図2に示す下方向Aが情報処理装置20に対向するので、電子機器10からのRSSIは、何ら減衰されていないので最大となる。例えば、このときの情報処理装置20におけるRSSIは基準的な受信強度に対し-10dBm低下することとなる。
【0024】
このように、情報処理装置20に対する電子機器10の向きを上左右と変えることで、情報処理装置20におけるRSSIが異なる。情報処理装置20は、RSSIに基づいて、現在の電子機器10の状態、すなわち電子機器10の向きを検知することが可能となる。情報処理装置20は、電子機器10の向きに応じた実行内容を制御する。例えば、
図3(a)に示す上向きなら処理Aを実行し、
図3(b)に示す右向きなら処理Bを実行し、
図3(c)に示す下向きなら処理Cを実行し、
図3(d)に示す左向きなら処理Dを実行する。ユーザは、電子機器10のハードウェアキーを操作することなく、電子機器10の筐体の向きを変えるという、より直感的で、かつ簡易な操作により、情報処理装置20における処理内容を制御することができる。
【0025】
図4は、本実施形態による情報処理装置20における受信信号強度テーブル作成処理を説明するためのフローチャートである。また、
図5(a)、(b)は、本実施形態による情報処理装置により作成された受信信号強度テーブル40及び処理内容テーブル41を示す概念図ある。
【0026】
情報処理装置20は、電子機器10とのペアリングを確立した後、設定モードが選択されると、
図4に示す処理を実行する。情報処理装置20は、設定モードにおいて、電子機器10の放射電波に対するRSSIを測定し、電子機器10の向きとRSSIとを対応付けた、
図5(a)に示す受信信号強度テーブル40を作成する。
【0027】
情報処理装置20は、まず、表示部(不図示)に受信信号強度テーブル40の作成開始を表示し(ステップS10)、その後、ユーザが「Enter」キーを押下したか否かを判断する(ステップS12)。なお、表示部は、情報処理装置20側でも電子機器10側のどちらの表示部であってもよい。また、「Enter」キーは、情報処理装置20側でも電子機器10側のどちらのキーであってもよい。そして、情報処理装置20は、「Enter」キーが押下されるまで待機する(ステップS12のNO)。そして、「Enter」キーが押下されると(ステップS12のYES)、情報処理装置20は、電子機器10に指定する向きを「上」に設定し(ステップS14)、指定した向きにするように表示部に表示し(ステップS16)、「Enter」キーが押下されたか否かを判断する(ステップS18)。この場合も、情報処理装置20側でも電子機器10側のどちらの表示部であってもよい。そして、情報処理装置20は、「Enter」キーが押下されるまで待機する(ステップS18のNO)。
【0028】
ユーザは、情報処理装置20からの指示に従って、電子機器10を指定の向きとし、「Enter」キーを押下する。この場合、ユーザは、電子機器10を上向きにし(
図3(a)を参照)、「Enter」キーを押下する。なお、「Enter」キーは、電子機器10、情報処理装置20のどちらのキーでもよい。
【0029】
情報処理装置20は、「Enter」キーが押下されると、電子機器10からのRSSIを測定して記録する(ステップS20)。例えば、電子機器10が上向きに静置されてその時のRSSIが-40dBmとなった場合、
図5(a)に示すように、電子機器10の向きとRSSIとを対応付けて記録する。このとき、許容誤差(マージン)を考慮して、上向きに対するRSSIの低下は、-38dBm~-42dBmに設定する。
【0030】
次に、情報処理装置20は、全ての向きに対するRSSIの測定を終了したか否かを判断し(ステップS22)、終了していない場合には(ステップS22のNO)、指定する向きを変更し(ステップS24)、ステップS16に戻り、上述した処理を繰り返す。上述した上向きの後は、右向き、下向き、左向きを指定する。その度に、ユーザは、電子機器10を指定された向きとし、「Enter」キーを押下する。情報処理装置20は、「Enter」キーが押下される度に、電子機器10からのRSSIを測定して記録する。
【0031】
この結果、
図5(a)に示す受信信号強度テーブル40のように、上向きに対するRSSIの低下が-38dBm~-42dBm、右向きに対するRSSIの低下が-28dBm~-32dBm、下向きに対するRSSiの低下が-18dBm~-22dBm、左向きに対するRSSIの低下が-8dBm~-12dBmとなる。
【0032】
そして、全ての向きに対するRSSIの測定が終了すると(ステップS22のYES)、情報処理装置20は、RSSIの測定結果(
図5(a))を表示部に表示する(ステップS26)。この場合、情報処理装置20の表示部に表示することが好ましい。次に、情報処理装置20は、RSSIの測定結果に対する確認が得られたか否かを判断する(ステップS28)。
【0033】
ユーザは、情報処理装置20の表示部に表示されたRSSIの測定結果を確認すると、「Enter」キーを押下し、それ以外(再度測定をやり直す場合)には、他のキー(例えば「DEL」キーなど)を押下する。そして、ユーザにより再度測定をやり直すことを示す他のキーが押下された場合には(ステップS28のNO)、ステップS10に戻り、再び、上述した処理を繰り返す。一方、ユーザによりRSSIの測定結果を確認したことを示す「Enter」キーが押下された場合には(ステップS28のYES)、当該処理を終了する。
【0034】
このように、情報処理装置20は、
図5(a)に示すように、電子機器10の向きとRSSIとを対応付けた受信信号強度テーブル40を作成する。通常の処理において、情報処理装置20は、所定のタイミングで、電子機器10からのRSSIを測定し、受信信号強度テーブル40に基づいて電子機器10の向きを特定し、
図5(b)に示す処理内容テーブル41に基づいて、電子機器10の向きに対して予め対応付けられている処理内容を実行する。処理内容テーブル41において、処理内容は、情報処理装置20で実行されているアプリケーション毎に設定可能であり、また、1つのアプリケーション内で適宜変更可能となっている。換言すれば、電子機器10の向きに応じて情報処理装置20で実行される処理内容は、アプリケーションが違えば異なる処理内容になり得るし、アプリケーションの実行途中でも異なる処理内容になり得る。
【0035】
図6は、本実施形態による電子機器と情報処理装置との連携動作(その1)を説明するためのフローチャートである。電子機器10と情報処理装置20とが無線通信30によりペアリングを確立する(ステップS30、S40)。情報処理装置20は、ペアリング確立後、所定の処理を実行し(ステップS42)、その過程でRSSIの測定タイミングであるか判断し(ステップS44)、測定タイミングでない場合には(ステップS44のNO)、ステップS42に戻り、所定の処理を継続する。
【0036】
なお、測定タイミングとは、例えば、情報処理装置20で学習アプリケーションが実行されており、学習アプリケーションによる問題に対して電子機器10の向きで解答(選択肢)するような場合に、問題を出題した後、ユーザに解答させるタイミングに相当する。学習アプリケーション以外にも複数の選択肢から1つを選ぶなどのアンケート調査などにも適用可能である。すなわち、ユーザに対して何らかのアクションを行わせるタイミングである。
【0037】
一方、RSSIの測定タイミングである場合には(ステップS44のYES)、情報処理装置20は、RSSIを測定し(ステップS46)、受信信号強度テーブル40を参照してRSSIの値から電子機器10の向きを特定する(ステップS48)。次に、情報処理装置20は、処理内容テーブル41を参照して、電子機器10の向きに応じた処理内容を実行する(ステップS50)。次に、所定の処理が終了したか否かを判断し(ステップS52)、終了していなければ(ステップS52のNO)、ステップS42に戻り、上述した処理を繰り返す。一方、所定の処理が終了した場合には(ステップS52のYES)、当該処理を終了する。
【0038】
このように、本実施形態では、電子機器10の向きに応じて、情報処理装置20の処理内容を制御することが可能である。例えば、電子機器10を特定の向きにすることで、電子機器10の処理結果(計算結果など)を情報処理装置20に送信し、情報処理装置20において、処理結果(計算結果など)用いてグラフを描画したり、より高度な計算を行ったりしてもよい。また、逆に、電子機器10を特定の向きにすることで、情報処理装置20の処理結果(計算結果など)を電子機器10に送信し、電子機器10において、処理結果(計算結果など)用いて引き続きを専用の計算を行ったりしてもよい。
【0039】
また、情報処理装置20で学習アプリケーションが実行されている場合には、電子機器10を特定の向きにすることで、問題に対する解答の選択肢を選択させたり、次に進めたり、前に戻ったりするようにしてもよい。また、電子機器10を特定の向きにすることで、特定のホームページにユーザIDやパスワードの入力なしにログインできるようにしてもよい。また、電子機器10を特定の向きにすることで、情報処理装置20から計算結果や、問題に対する解答の正誤などを電子機器10に送信するようにしてもよい。また、電子機器10を上向きすると、情報処理装置20との無線通信を接続し、電子機器10を下向きにすると、情報処理装置20との無線通信を切断するように、通信動作を制御するようにしてもよい。このように、電子機器10の向きに応じて、情報処理装置20に様々な処理を実行させることが可能である。
【0040】
図7は、本実施形態による電子機器と情報処理装置との連携動作(変形例)を説明するための概念図である。本実施形態の変形例では、電子機器10の向きの変化に応じて、情報処理装置20の処理内容を制御することを特徴としており、上述した
図5(b)に示す処理内容テーブル41に替えて、
図7に示す処理内容テーブル42を用いる。
【0041】
図7に示すように、処理内容テーブル42では、電子機器10の向きの変化に対して実行すべき処理が対応づけられている。例えば、電子機器10が上向きから右向きに変化した場合には処理A1が実行され、上向きから左向きに変化した場合には処理A2が実行され、上向きから下向きに変化した場合には処理A3が実行される。同様に、電子機器10が右向きから上向きに変化した場合には処理B1、右向きから左向きに変化した場合には処理B2、右向きから下向きに変化した場合には処理B3が実行される。また、電子機器10が左向きから上向きに変化した場合には処理C1、左向きから右向きに変化した場合には処理C2、左向きから下向きに変化した場合には処理C3が実行される。そして、電子機器10が下向きから上向きに変化した場合には処理D1、下向きから右向きに変化した場合には処理D2、下向きから左向きに変化した場合には処理D3が実行される。
【0042】
なお、処理内容テーブル42においても、処理内容テーブル41と同様に、処理内容は、情報処理装置20で実行されているアプリケーション毎に設定可能であり、また、1つのアプリケーション内で適宜変更可能となっている。換言すれば、電子機器10の向きに応じて情報処理装置20で実行される処理内容は、アプリケーションが違えば異なる処理内容になり得るし、アプリケーションの実行途中でも異なる処理内容になり得る。
【0043】
図8は、本実施形態による電子機器10と情報処理装置20との連携動作(変形例)を説明するためのフローチャートである。なお、電子機器10の動作は
図6と同様であるので、
図8には情報処理装置20の処理のみを示している。
【0044】
電子機器10と情報処理装置20とが無線通信30によりペアリングを確立する(ステップS60)。情報処理装置20は、ペアリング確立後、所定の処理を実行し(ステップS62)、その過程でRSSIの測定タイミングであるか判断し(ステップS64)、測定タイミングでない場合には(ステップS64のNO)、ステップS62に戻り、所定の処理を継続する。
【0045】
一方、RSSIの測定タイミングである場合には(ステップS64のYES)、情報処理装置20は、RSSIを測定し(ステップS66)、受信信号強度テーブル40を参照してRSSIの値から電子機器10の向きを特定する(ステップS68)。次に、情報処理装置20は、今回のRSSIの測定時における向きが前回のRSSIの測定時における向きから変わったか否かを判断する(ステップS70)。そして、電子機器10の向きが変わっていない場合には(ステップS70のNO)、今回の電子機器10の向きを記憶し(ステップS72)、ステップS62に戻り、所定の処理を継続する。
【0046】
一方、今回のRSSIの測定時における向きが前回のRSSIの測定時における向きから変わった場合には(ステップS70のYES)、処理内容テーブル42を参照して、電子機器10の向きの変化に応じた処理内容を実行する(ステップS74)。次に、所定の処理が終了したか否かを判断し(ステップS76)、終了していなければ(ステップS76のNO)、ステップS62に戻り、上述した処理を繰り返す。一方、所定の処理が終了した場合には(ステップS62のYES)、当該処理を終了する。
【0047】
このように、本実施形態では、電子機器10の向きの変化に応じて、情報処理装置20の動作を制御することが可能である。例えば、電子機器10を右向きから左向きにすることで、情報処理装置20上のアプリケーションや、インターネット上の学習ページから計算結果を電子機器10に送信するようにしてもよい。また、上述したように、電子機器10の向きを特定のパターン(例えば、上向き→下向き→左向き→右向きなど)で変化させることで、特定のホームページにおけるパスワードとして用いて、ユーザIDやパスワードの入力なしにログインするようにしてもよい。このように、電子機器10の向きの変化に応じて、情報処理装置20に様々な処理を実行させることが可能である。
【0048】
上述した実施形態によれば、無線通信モジュール12から放射される電波を吸収もしくは遮蔽する減衰部材13を、無線通信モジュール12の電波放射方向についてはその電波減衰量が不均等になるように、無線通信モジュール12の周辺に配置するようにしたので、内蔵スペースの制約を受けることなく、意図的に電波の放射強度を調整することができる。
【0049】
また、上述した実施形態によれば、減衰部材13を、無線通信モジュール12の電波放射方向に対して、無線通信モジュール12の電波放射面に対する厚さを変えて配置したので、内蔵スペースの制約を受けることなく、意図的に電波の放射強度を調整することができる。
【0050】
上述した実施形態によれば、電波を放射する電子機器10の、情報処理装置20に対する設置向きの変化により変化する電波の受信信号強度を測定し、該測定された受信信号強度に基づいて処理内容を制御するようにしたので、電子機器10からの受信信号強度に応じて、処理内容を制御することができ、連携機能を向上させることができる。
【0051】
上述した実施形態によれば、測定された受信信号強度に基づいて情報処理装置20に対する電子機器10の設置向きを特定し、該特定された電子機器10の設置向きに応じて、処理内容を制御するようにしたので、電子機器10を所定の向きにするという、より直感的で、かつ簡易な操作により、処理内容を制御することができ、連携機能を向上させることができる。
【0052】
上述した実施形態によれば、測定された受信信号強度と情報処理装置20に対する電子機器10の設置向きとを対応付けて受信信号強度テーブル40に記憶しておき、受信信号強度テーブル40を参照し、測定された受信信号強度に対応付けられている、電子機器10の設置向きを特定するようにしたので、電子機器10を所定の向きにするという、より直感的で、かつ簡易な操作により、処理内容を制御することができ、連携機能を向上させることができる。
【0053】
上述した実施形態によれば、電子機器10の設置向きと情報処理装置20における処理内容とを対応付けて処理内容テーブル41に記憶しておき、処理内容テーブル41を参照し、電子機器10の設置向きに対応付けられている処理内容を特定し、該特定した処理内容を制御するようにしたので、電子機器10を所定の向きにするという、より直感的で、かつ簡易な操作により、処理内容を制御することができ、連携機能を向上させることができる。
【0054】
上述した実施形態によれば、時間差で測定された電波受信強度に基づいて、電子機器10の設置向きの変化を特定し、該特定された電子機器10の設置向きの変化に応じて、処理内容を制御するようにしたので、電子機器10を所定の向きを変えるという、より直感的で、かつ簡易な操作により、処理内容を制御することができ、連携機能を向上させることができる。
【0055】
上述した実施形態によれば、測定された電波受信強度と電子機器10の設置向きとを対応付けて受信信号強度テーブル40に記憶しておき、受信信号強度テーブル40を参照し、時間差で測定された電波受信強度に対応付けられている、電子機器10の設置向きの変化を特定するようにしたので、電子機器10を所定の向きを変えるという、より直感的で、かつ簡易な操作により、処理内容を制御することができ、連携機能を向上させることができる。
【0056】
上述した実施形態によれば、電子機器10の設置向きの変化と処理内容とを対応付けて処理内容テーブル42に記憶しておき、処理内容テーブル42を参照し、電子機器10の設置向きの変化に対応付けられている処理内容を特定し、該特定した処理内容を制御するようにしたので、電子機器10を所定の向きを変えるという、より直感的で、かつ簡易な操作により、処理内容を制御することができ、連携機能を向上させることができる。
【0057】
上述した実施形態によれば、無線通信モジュール12から放射される電波を吸収もしくは遮蔽する減衰部材13を、無線通信モジュール12の電波放射方向に対して、その電波減衰量が不均等になるように、無線通信モジュール12の周辺に配置した電子機器10と、電子機器10から放射される電波の受信信号強度を測定し、該測定された受信信号強度に基づいて処理内容を制御するようにした情報処理装置20とを、無線通信を介して連携するようにしたので、情報処理装置20に対して電子機器10を所定の向きにするという、より直感的で、かつ簡易な操作により、処理内容を制御することができ、連携機能を向上させることができる。
【符号の説明】
【0058】
1 制御システム
10 電子機器
11 内部基板
12 無線通信モジュール
13 減衰部材
20 情報処理装置
30 無線通信
40 受信信号強度テーブル
41、42 処理内容テーブル