(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042920
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】光センシングシステム、光センシング装置、及び、光センシング方法
(51)【国際特許分類】
G01S 7/484 20060101AFI20240322BHJP
G01S 17/88 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
G01S7/484
G01S17/88
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147845
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】小野 貴寛
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA04
5J084AA05
5J084AA13
5J084AB17
5J084AD01
5J084AD03
5J084BA01
5J084BA03
5J084BA04
5J084BA35
5J084BA50
5J084BB02
5J084BB04
5J084BB14
5J084BB24
5J084BB26
5J084BB28
5J084CA03
5J084CA07
5J084CA08
5J084CA49
5J084EA04
(57)【要約】
【課題】測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきを抑える技術を提供する。
【解決手段】光センシングシステム100は、測距手段101と走査密度決定手段102を含む。測距手段101は、測定対象に対してレーザ光を走査してその反射光を受光することにより、前記測定対象までの距離を計測する。走査密度決定手段102は、測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきが抑えられるように、前記測距手段101の走査中に、前記測距点までの距離又は前記反射光の輝度に基づいて走査密度を動的に決定する。以上の構成によれば、測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきを抑えることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象に対してレーザ光を走査してその反射光を受光することにより、前記測定対象までの距離を計測する測距手段と、
測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきが抑えられるように、前記測距手段の走査中に、前記測距点までの距離又は前記反射光の輝度に基づいて走査密度を動的に決定する、走査密度決定手段と、
を含む、
光センシングシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の光センシングシステムであって、
前記走査密度決定手段は、前記測距点までの距離と前記走査密度が正の相関関係となるように前記走査密度を決定し、又は、前記輝度と前記走査密度が負の相関関係となるように前記走査密度を決定する、
光センシングシステム。
【請求項3】
請求項2に記載の光センシングシステムであって、
前記走査密度決定手段は、
前記測距点までの距離が第1の距離よりも長いとき、又は、前記輝度が第1の輝度よりも低いとき、前記走査密度を第1の走査密度に決定し、
前記測距点までの距離が前記第1の距離よりも短いとき、又は、前記輝度が第1の輝度よりも高いとき、前記走査密度を前記第1の走査密度よりも低い第2の走査密度に決定する、
光センシングシステム。
【請求項4】
請求項2に記載の光センシングシステムであって、
前記走査密度決定手段は、前記測距点までの距離と前記走査密度の対応関係、又は、前記輝度と前記走査密度の対応関係を示す走査密度決定テーブルを参照することにより前記走査密度を決定する、
光センシングシステム。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか1項に記載の光センシングシステムであって、
前記測距手段が、前記測定対象にパルス状のレーザ光を照射するdToF方式(direct Time of Flight)を採用している場合、
前記測距手段は、前記走査密度決定手段が決定した前記走査密度に基づいて、前記測定対象に照射する前記レーザ光のパルス周期を増減する、
光センシングシステム。
【請求項6】
請求項1から4までの何れか1項に記載の光センシングシステムであって、
前記測距手段が、前記測定対象に周波数変調されたレーザ光を連続的に照射するFMCW方式(Frequency Modulated Continuous Wave)を採用している場合、
前記測距手段は、前記走査密度決定手段が決定した前記走査密度に基づいて、中間周波数信号のサンプリング周期を増減する、
光センシングシステム。
【請求項7】
請求項1から4までの何れか1項に記載の光センシングシステムであって、
前記測距手段は、前記走査密度決定手段が決定した前記走査密度に基づいて、前記測定対象に照射する前記レーザ光の走査速度を増減する、
光センシングシステム。
【請求項8】
請求項1から4までの何れか1項に記載の光センシングシステムであって、
前記測距手段が計測した前記距離に基づいて点群データを生成する点群データ生成手段を更に含む、
光センシングシステム。
【請求項9】
測定対象に対してレーザ光を走査してその反射光を受光することにより、前記測定対象までの距離を計測する測距手段と、
測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきが抑えられるように、前記測距手段の走査中に、前記測距点までの距離又は前記反射光の輝度に基づいて走査密度を動的に決定する、走査密度決定手段と、
を含む、
光センシング装置。
【請求項10】
請求項9に記載の光センシング装置であって、
前記走査密度決定手段は、前記測距点までの距離と前記走査密度が正の相関関係となるように前記走査密度を決定し、又は、前記輝度と前記走査密度が負の相関関係となるように前記走査密度を決定する、
光センシング装置。
【請求項11】
請求項10に記載の光センシング装置であって、
前記走査密度決定手段は、
前記測距点までの距離が第1の距離よりも長いとき、又は、前記輝度が第1の輝度よりも低いとき、前記走査密度を第1の走査密度に決定し、
前記測距点までの距離が前記第1の距離よりも短いとき、又は、前記輝度が第1の輝度よりも高いとき、前記走査密度を前記第1の走査密度よりも低い第2の走査密度に決定する、
光センシング装置。
【請求項12】
請求項10に記載の光センシング装置であって、
前記走査密度決定手段は、前記測距点までの距離と前記走査密度の対応関係、又は、前記輝度と前記走査密度の対応関係を示す走査密度決定テーブルを参照することにより前記走査密度を決定する、
光センシング装置。
【請求項13】
請求項9から12までの何れか1項に記載の光センシング装置であって、
前記測距手段が計測した前記距離に基づいて点群データを生成する点群データ生成手段を更に含む、
光センシング装置。
【請求項14】
測定対象に対してレーザ光を走査してその反射光を受光することにより、前記測定対象までの距離を計測する測距ステップと、
測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきが抑えられるように、前記測距ステップの走査中に、前記測距点までの距離又は前記反射光の輝度に基づいて走査密度を動的に決定する、走査密度決定ステップと、
を含む、
光センシング方法。
【請求項15】
請求項14に記載の光センシング方法であって、
前記走査密度決定ステップでは、前記測距点までの距離と前記走査密度が正の相関関係となるように前記走査密度を決定し、又は、前記輝度と前記走査密度が負の相関関係となるように前記走査密度を決定する、
光センシング方法。
【請求項16】
請求項15に記載の光センシング方法であって、
前記走査密度決定ステップでは、
前記測距点までの距離が第1の距離よりも長いとき、又は、前記輝度が第1の輝度よりも低いとき、前記走査密度を第1の走査密度に決定し、
前記測距点までの距離が前記第1の距離よりも短いとき、又は、前記輝度が第1の輝度よりも高いとき、前記走査密度を前記第1の走査密度よりも低い第2の走査密度に決定する、
光センシング方法。
【請求項17】
請求項15に記載の光センシング方法であって、
前記走査密度決定ステップでは、前記測距点までの距離と前記走査密度の対応関係、又は、前記輝度と前記走査密度の対応関係を示す走査密度決定テーブルを参照することにより前記走査密度を決定する、
光センシング方法。
【請求項18】
請求項14から17までの何れか1項に記載の光センシング方法であって、
前記測距ステップで計測した前記距離に基づいて点群データを生成する点群データ生成ステップを更に含む、
光センシング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光センシングシステム、光センシング装置、及び、光センシング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、測定対象にレーザ光を走査してその反射光に基づいて測定対象までの距離を測定し、測定結果に基づいて点群データを生成するLidarスキャナ(Light Detection and Ranging)を開示している。点群データは、典型的には、XYZ座標値から成る点データの集合である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般に、Lidarスキャナから遠い地点における点群密度は、Lidarスキャナから近い地点における点群密度よりも低くなる。この特性は、例えば、以下のような問題を生じる。
【0005】
同一の点群データにおいて点群密度にばらつきがあると、点群データを用いた各種の解析に不都合を生じ得る。各種の解析とは、一例として、測定対象としての建造物の表面に生じ得るクラックの検出である。
【0006】
そこで、本開示の目的は、測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきを抑える技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
光センシングシステムが提供される。光センシングシステムは、測定対象に対してレーザ光を走査してその反射光を受光することにより、前記測定対象までの距離を計測する測距手段を含む。光センシングシステムは、測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきが抑えられるように、前記測距手段の走査中に、前記測距点までの距離又は前記反射光の輝度に基づいて走査密度を動的に決定する、走査密度決定手段を含む。
【0008】
光センシング装置が提供される。光センシング装置は、測定対象に対してレーザ光を走査してその反射光を受光することにより、前記測定対象までの距離を計測する測距手段を含む。光センシング装置は、測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきが抑えられるように、前記測距手段の走査中に、前記測距点までの距離又は前記反射光の輝度に基づいて走査密度を動的に決定する、走査密度決定手段を含む。
【0009】
光センシング方法が提供される。光センシング方法は、測定対象に対してレーザ光を走査してその反射光を受光することにより、前記測定対象までの距離を計測する測距ステップを含む。光センシング方法は、測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきが抑えられるように、前記測距ステップの走査中に、前記測距点までの距離又は前記反射光の輝度に基づいて走査密度を動的に決定する、走査密度決定ステップを含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】光センシングシステムの機能ブロック図である。(本開示の概略)
【
図2】光センシングシステムの機能ブロック図である。(第1実施形態)
【
図3】光センシングシステムの動作フローである。(第1実施形態)
【
図4】光センシングシステムの機能ブロック図である。(第3変形例)
【
図5】光センシングシステムの機能ブロック図である。(第2実施形態)
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本開示の概要)
以下、
図1を参照して、本開示の概要を説明する。
図1には、光センシングシステムの機能ブロック図を示している。
【0013】
図1に示すように、光センシングシステム100は、測距手段101と走査密度決定手段102を含む。
【0014】
測距手段101は、測定対象に対してレーザ光を走査してその反射光を受光することにより、前記測定対象までの距離を計測する。
【0015】
走査密度決定手段102は、測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきが抑えられるように、前記測距手段101の走査中に、前記測距点までの距離又は前記反射光の輝度に基づいて走査密度を動的に決定する。
【0016】
以上の構成によれば、測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきを抑えることができる。
【0017】
(第1実施形態)
次に、
図2及び
図3を参照して、本開示の第1実施形態を説明する。
【0018】
図2には、光センシングシステム1の機能ブロック図を示している。
図2に示すように、光センシングシステム1は、三次元Lidarスキャナ2と、欠陥検出装置3と、を含む。
【0019】
三次元Lidarスキャナ2は、測定対象の一具体例である建造物4の点群データを生成する。欠陥検出装置3は、三次元Lidarスキャナ2が生成した点群データに基づいて、建造物4の表面に生じ得るクラックなどの表面欠陥を検出する。本実施形態において測定対象は、静止した物体を想定している。静止した物体とは、例えば建造物などの可動部を有さない物体と、例えば可動橋などの可動部を有する物体であって静止した状態にあるものと、を含む。
【0020】
三次元Lidarスキャナ2は、出射部5、光学機構系6、計測部7、点群データ生成部8を含む。
【0021】
出射部5は、走査密度決定部10、制御部11、発振器12、光源ドライバ13、光源14、スキャンドライバ15を含む。
【0022】
光学機構系6は、照射光学系6aと受光光学系6bを含む。照射光学系6aは、レンズ20、第1光学素子21、レンズ22、ミラー23を含む。受光光学系6bは、第2光学素子24とミラー23を含む。即ち、照射光学系6aと受光光学系6bは、ミラー23を共有している。
【0023】
計測部7は、光検出器30、センサ31、レンズ32、増幅器33、信号生成部34、データ生成部35、データ出力部36を含む。
【0024】
走査密度決定部10は、走査密度を決定し、決定した走査密度を示す走査密度データを制御部11に出力する。
【0025】
制御部11は、走査密度決定部10から入力された走査密度データに基づいて、発振器12を制御する。光源ドライバ13は、発振器12が生成したパルス信号に基づいて光源14を駆動する。光源14は、例えばレーザダイオードなどのレーザ光源である。光源14は、光源ドライバ13により駆動されることにより、レーザ光L1を間欠的に出射する。本実施形態において、走査密度データは、発振器12が生成するパルス信号のパルス周期を示すパルス周期データである。
【0026】
照射光学系6aの光軸O1上には、光源14、レンズ20、第1光学素子21、第2光学素子24、ミラー23がこの記載順に配置されている。光軸O1とは、レンズ20の中心位置を通過するレンズ20の焦点軸として定義し得る。
【0027】
レンズ20は、光源14から間欠的に出射されるレーザ光L1をコリメートして第1光学素子21に導光する。
【0028】
第1光学素子21は、典型的には、ビームスプリッタである。レーザ光L1は、第1光学素子21を透過すると共に第1光学素子21で反射して光軸O3に沿って進み、光検出器30に入射する。
【0029】
第2光学素子24は、典型的には、ハーフミラーである。レーザ光L1は、第2光学素子24を透過してミラー23に入射する。
【0030】
ミラー23は、光源14から間欠的に出射されるレーザ光L1を反射する反射面23aを有する。反射面23aは、例えば、互いに交差する2つの回動軸線を中心として回動可能となっている。これにより、ミラー23は、レーザ光L1の照射方向を周期的に変更する。ミラー23は、典型的には、モータにより駆動されるポリゴンミラーである。しかし、これに代えて、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を採用してもよい。
【0031】
制御部11は、ミラー23の反射面23aの傾斜角度が周期的に変化するように、スキャンドライバ15に駆動信号を出力する。スキャンドライバ15は、制御部11から入力された駆動信号に基づいて、ミラー23を駆動する。即ち、制御部11は、スキャンドライバ15を駆動することにより、レーザ光L1の照射方向を制御する。
【0032】
図2には、走査方式としてラスタスキャン方式を例示している。しかし、これに代えて、コニカルスキャン方式を採用してもよい。
【0033】
受光光学系6bの光軸O2上には、反射光L2が入射する順に、ミラー23の反射面23a、第2光学素子24、レンズ32、センサ31が配置されている。光軸O2とは、レンズ32の中心位置を通過するレンズ32の焦点軸として定義し得る。
【0034】
反射面23aは、建造物4で散乱された散乱光のうち光軸O2に沿って進む反射光L2を第2光学素子24に入射させる。第2光学素子24は、反射面23aで反射された反射光L2を反射することにより、光軸O2に沿って計測部7のレンズ32に入射させる。レンズ32は、光軸O2に沿って入射した反射光L2をセンサ31に集光させる。
【0035】
なお、
図2では、明確化のためにレーザ光L1の光路と反射光L2の光路が離れている。しかし、実際にはこれらは重なっていてもよい。また、レーザ光L1の光束の中心の光路を光軸O1として図示している。同様に、反射光L2の光束の中心の光路を光軸O2として図示している。
【0036】
センサ31は、典型的には、フォトマルチプライヤである。センサ31は、受光光学系6bを介して受光した反射光L2の輝度を電気信号に変換する。
【0037】
計測部7は、反射光L2を信号化した電気信号をアナログデジタル変換した輝度信号に基づいて三次元Lidarスキャナ2から測距点までの距離を計測する。具体的には、以下の通りである。
【0038】
信号生成部34は、センサ31が出力する電気信号を輝度信号にアナログデジタル変換する。信号生成部34は、輝度信号をデータ生成部35に出力する。
【0039】
データ生成部35は、輝度信号に基づいて、光検出器30がレーザ光L1を検出するタイミングと、センサ31が反射光L2を検出するタイミングとの時間差に基づき、三次元Lidarスキャナ2から測距点までの距離を計測して距離データを生成する。また、データ生成部35は、輝度信号に基づいて、センサ31が検出した反射光L2の輝度を示す輝度データを生成する。データ生成部35は、距離データを走査密度決定部10に出力すると共に、距離データと輝度データをデータ出力部36に出力する。
【0040】
データ出力部36は、距離データと輝度データを点群データ生成部8に出力する。
【0041】
点群データ生成部8は、データ出力部36から入力された距離データと輝度データに基づいて、点群データを生成する。点群データは、典型的には、座標データと輝度データを有する点データの集合である。
【0042】
次に、走査密度決定部10を詳細に説明する。走査密度決定部10は、測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきが抑えられるように、三次元Lidarスキャナ2の走査中に、測距点までの距離に基づいて走査密度を動的に決定する。
【0043】
ここで、点群密度とは、測定対象における単位面積あたりの測距点の数として定義し得る。
【0044】
走査密度決定部10は、上記の変化が抑えられるように、データ生成部35から入力された距離データに基づいて、三次元Lidarスキャナ2の走査中に走査密度を動的に決定する。即ち、走査密度決定部10は、三次元Lidarスキャナ2から測距点までの距離と、走査密度と、が正の相関関係となるように、走査密度を決定する。換言すれば、走査密度決定部10は、三次元Lidarスキャナ2から測距点までの距離が相対的に長いとき、走査密度を相対的に高くし、三次元Lidarスキャナ2から測距点までの距離が相対的に短いとき、走査密度を相対的に低くする。走査密度決定部10は、決定した走査密度を示す走査密度データを制御部11に出力する。
【0045】
ここで、走査密度とは、三次元Lidarスキャナ2から見た単位立体角あたりの測距点の数と定義し得る。走査密度は、三次元Lidarスキャナ2が連続して取得した2つの測距点を三次元Lidarスキャナ2に結ぶ2つの線分の間の角度の逆数としても定義し得る。
【0046】
本実施形態の三次元Lidarスキャナ2は、測定対象である建造物4にパルス状のレーザ光L1を照射するdToF方式(direct Time of Flight)を採用している。従って、上記の走査密度を高くする場合、三次元Lidarスキャナ2は、典型的には、建造物4に照射するパルス状のレーザ光L1のパルス周期を短くする。反対に、上記の走査密度を低くする場合、三次元Lidarスキャナ2は、典型的には、建造物4に照射するパルス状のレーザ光L1のパルス周期を長くする。従って、走査密度決定部10は、上記の変化が抑えられるように、データ生成部35から入力された距離データに基づいて、三次元Lidarスキャナ2の走査中にパルス周期を動的に決定する。即ち、本実施形態における走査密度データは、パルス周期を示すパルス周期データとなる。
【0047】
具体的には、走査密度決定部10は、下記の式(1)に従って、三次元Lidarスキャナ2の走査中にパルス周期を動的に決定する。三次元Lidarスキャナ2は、前述した通り、レーザ光L1の走査と反射光L2の受光を繰り返すことで三次元Lidarスキャナ2から測距点までの距離の計測を繰り返し行う。下記式(1)において、Tnは、n番目の計測のために光源14が出射するレーザ光L1のパルスと、(n-1)番目の計測のために光源14が出射したレーザ光L1のパルスと、の間のパルス周期である。T0及びBは、定数である。rn-1は、(n-1)番目の計測によって得られた距離データである。
【0048】
【0049】
上記式(1)によれば、三次元Lidarスキャナ2の走査中において三次元Lidarスキャナ2から測距点までの距離が増加したことに伴う点群密度の低下を防止することができる。換言すれば、三次元Lidarスキャナ2の走査中において三次元Lidarスキャナ2から測距点までの距離の変動に伴う点群密度の変動を防止することができる。
【0050】
即ち、例えば、
図2に示すように、建造物4の計測対象面が部分的に窪んでいることで、建造物4が三次元Lidarスキャナ2に対して相対的に近い面4aと、三次元Lidarスキャナ2に対して相対的に遠い面4bと、を有しているものとする。この場合、走査密度を一定とした場合、建造物4の面4bにおける点群密度は、建造物4の面4aにおける点群密度よりも低くなる。そこで、上記式(1)によれば、三次元Lidarスキャナ2の走査中において三次元Lidarスキャナ2から測距点までの距離が増加したことに伴う点群密度の低下を防止することができる。
【0051】
次に、
図3に基づいて、光センシングシステム1の動作を説明する。
図3には、光センシングシステム1の動作フローを示している。
【0052】
図3に示すように、制御部11は、(n-1)番目の測距を実行する(S100)。次に、走査密度決定部10は、(n-1)番目の計測によって得られた距離データを上記式(1)に代入することにより、n番目の計測以降に使用する走査密度を決定する(S110)。次に、制御部11は、予め定められた走査範囲における走査が完了したか判定する。走査が完了したと判定した場合(S120:YES)、制御部11は、処理をS130に進める。一方、走査が完了していないと判定した場合(S120:NO)、制御部11は、処理をS100に戻し、n番目の測距を実行する。S130において、点群データ生成部8は、データ出力部36から出力されたデータに基づいて点群データを生成する(S130)。そして、欠陥検出装置3は、点群データ生成部8が生成した点群データに基づいて、建造物4の欠陥を検出する(S140)。建造物4の欠陥とは、典型的には、建造物4の表面に生じ得るクラックなどの表面欠陥である。本実施形態の点群データ生成部8が生成した点群データにおける点群密度は、三次元Lidarスキャナ2からの距離の長短によらず一定である。従って、欠陥検出装置3は、点群データ生成部8が生成した点群データに基づいて、建造物4の表面欠陥を高い確度で検出することができる。
【0053】
以上に、第1実施形態を説明したが、上記第1実施形態は以下の特徴を有している。
【0054】
光センシングシステム1は、三次元Lidarスキャナ2(測距手段)と走査密度決定部10(走査密度決定手段)を含む。三次元Lidarスキャナ2は、建造物4(測定対象)に対してレーザ光L1を走査してその反射光L2を受光することにより、建造物4までの距離を計測する。走査密度決定部10は、測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきが抑えられるように、三次元Lidarスキャナ2の走査中に、測距点までの距離に基づいて走査密度を動的に決定する。測距点とは、建造物4においてレーザ光L1が照射される部位である。測距点とは、典型的には、建造物4の壁面においてレーザ光L1が照射される部位である。例えば、建造物4の壁面に局所的な凹みがあれば、走査密度決定部10は、当該凹みの外側にレーザ光L1を照射するときの走査密度よりも、当該凹みの内側にレーザ光L1を照射するときの走査密度が高くなるように、走査密度を動的に決定する。走査密度を動的に決定するとは、三次元Lidarスキャナ2による走査中に走査密度をリアルタイムに決定することを意味する。以上の構成によれば、測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきを抑えることができる。
【0055】
また、走査密度決定部10は、測距点までの距離と走査密度が正の相関関係となるように走査密度を決定する。以上の構成によれば、測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきを効果的に抑えることができる。
【0056】
また、三次元Lidarスキャナ2は、走査密度決定部10が決定した走査密度に基づいて、建造物4に照射するレーザ光L1のパルス周期を増減する。以上の構成によれば、簡素な制御によって、走査密度決定部10が決定した走査密度を実現することができる。
【0057】
また、光センシングシステム1は、点群データ生成部8を含む。点群データ生成部8は、三次元Lidarスキャナ2が計測した距離に基づいて点群データを生成する。以上の構成によれば、点群密度のばらつきが抑えられた点群データが実現される。
【0058】
なお、上記第1実施形態において、三次元Lidarスキャナ2は、走査密度決定部10及び点群データ生成部8を含んでいる。即ち、三次元Lidarスキャナ2と走査密度決定部10、点群データ生成部8が単一の装置によって実現されている。しかしながら、三次元Lidarスキャナ2と走査密度決定部10、点群データ生成部8は、複数の装置による分散処理によって実現してもよい。例えば、三次元Lidarスキャナ2と双方向通信可能なコンピュータが走査密度決定部10及び点群データ生成部8として機能してもよく、このコンピュータはクラウドコンピュータであってもよい。
【0059】
(第1変形例)
次に、上記第1実施形態の第1変形例を説明する。上記第1実施形態では、以下の通りである。即ち、走査密度決定部10は、測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきが抑えられるように、三次元Lidarスキャナ2の走査中に、測距点までの距離に基づいて走査密度を動的に決定する。
【0060】
しかし、これに代えて、以下の通りであってもよい。即ち、走査密度決定部10は、測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきが抑えられるように、三次元Lidarスキャナ2の走査中に、反射光L2の輝度に基づいて走査密度を動的に決定する。具体的には、走査密度決定部10は、反射光L2の輝度と走査密度が負の相関関係となるように走査密度を決定する。即ち、走査密度決定部10は、反射光L2の輝度が相対的に高いとき、走査密度を相対的に低く、反射光L2の輝度が相対的に低いとき、走査密度を相対的に高くする。三次元Lidarスキャナ2から出射されるレーザ光L1の強度が一定である場合、反射光L2の輝度は、三次元Lidarスキャナ2から測距点までの距離に応じて増減するからである。
【0061】
(第2変形例)
次に、上記第1実施形態の第2変形例を説明する。上記第1実施形態では、以下の通りである。即ち、走査密度決定部10は、三次元Lidarスキャナ2から測距点までの距離の逆数に基づいて、走査密度を動的に決定した。
【0062】
しかし、これに代えて、以下の通りであってもよい。即ち、走査密度決定部10は、三次元Lidarスキャナ2から測距点までの距離を所定値(第1の距離)と比較した比較結果に基づいて、走査密度を動的に決定してもよい。具体的には、走査密度決定部10は、三次元Lidarスキャナ2から測距点までの距離が所定値よりも長いとき、走査密度を第1の走査密度とし、当該距離が所定値よりも短いとき、走査密度を第1の走査密度よりも低い第2の走査密度とする。以上の構成によれば、極めて簡素な演算で、測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきを抑えることができる。
【0063】
走査密度決定部10が、反射光L2の輝度に基づいて走査密度を動的に決定する場合も同様である。即ち、走査密度決定部10は、反射光L2の輝度を所定値(第1の距離)と比較した比較結果に基づいて、走査密度を動的に決定してもよい。具体的には、反射光L2の輝度が所定値(第1の輝度)よりも低いとき、走査密度を第1の走査密度とし、当該輝度が所定値よりも高いとき、走査密度を第1の走査密度よりも低い第2の走査密度とする。以上の構成によれば、極めて簡素な演算で、測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきを抑えることができる。
【0064】
(第3変形例)
次に、
図4を参照して、第3変形例を説明する。
図4には、光センシングシステム1の機能ブロック図を示している。
【0065】
図4に示すように、本変形例において走査密度決定部10は、走査密度決定テーブル10aを有している。走査密度決定テーブル10aは、三次元Lidarスキャナ2から測距点までの距離と走査密度の対応関係を示すテーブルである。走査密度決定テーブル10aにおいて、三次元Lidarスキャナ2から測距点までの距離と走査密度は正の相関関係を有する。そして、走査密度決定部10は、走査密度決定テーブル10aを参照することにより、走査密度を動的に決定する。以上の構成によれば、特別な演算を要することなく、測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきを抑えることができる。
【0066】
走査密度決定部10が、反射光L2の輝度に基づいて走査密度を動的に決定する場合も同様である。この場合、走査密度決定テーブル10aは、反射光L2の輝度と走査密度の対応関係を示す。走査密度決定テーブル10aにおいて、反射光L2の輝度と走査密度は負の相関関係を有する。そして、走査密度決定部10は、走査密度決定テーブル10aを参照することにより、走査密度を動的に決定する。以上の構成によれば、特別な演算を要することなく、測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきを抑えることができる。
【0067】
(第4変形例)
次に、上記第1実施形態の第4変形例を説明する。
【0068】
上記第1実施形態において、走査密度決定部10は、走査密度を動的に決定するに際し、具体的には走査密度と密接に対応するレーザ光L1のパルス周期を決定する。
【0069】
しかし、これに代えて、本変形例では、以下の通りである。即ち、走査密度決定部10は、走査密度を決定するに際し、具体的には走査密度と密接に対応する走査速度を決定する。即ち、走査密度決定部10は、建造物4に照射するレーザ光L1の走査速度を決定する。レーザ光L1の走査速度は、典型的には、ミラー23であるポリゴンミラーを駆動するモータの回転速度である。
【0070】
回転速度と走査密度は負の相関関係がある。即ち、回転速度を高めると走査密度は低くなり、回転速度を低めると走査密度は高くなる。従って、例えば、三次元Lidarスキャナ2による走査中に、三次元Lidarスキャナ2から測距点までの距離が長くなった場合、走査密度決定部10は、走査密度を高めるために回転速度を低くする。逆に、三次元Lidarスキャナ2による走査中に、三次元Lidarスキャナ2から測距点までの距離が短くなった場合、走査密度決定部10は、走査密度を低めるために回転速度を高くする。
【0071】
具体的には、走査密度決定部10は、下記の式(2)に従って、回転速度を動的に決定する。三次元Lidarスキャナ2は、前述した通り、レーザ光L1の走査と反射光L2の受光を繰り返すことで三次元Lidarスキャナ2から測距点までの距離の計測を繰り返し行う。下記式(2)において、Vnは、n番目の計測時における回転速度である。V0及びCは、定数である。rn-1は、(n-1)番目の計測によって得られた距離データである。
【0072】
【0073】
そして、三次元Lidarスキャナ2の制御部11は、走査密度決定部10が決定した走査密度に基づいて、建造物4に照射するレーザ光L1の走査速度を増減する。具体的には、三次元Lidarスキャナ2の制御部11は、走査密度決定部10が決定した回転速度を示す駆動信号をスキャンドライバ15に出力する。以上の構成によれば、簡素な制御によって、走査密度決定部10が決定した走査密度を反映させることができる。
【0074】
(第2実施形態)
次に、
図5を参照して、第2実施形態を説明する。以下、本実施形態が上記第1実施形態を相違する点を中心に説明し、重複する説明は省略する。本実施形態において、三次元Lidarスキャナ2は、FMCW方式(Frequency Modulated Continuous Wave)を採用している。即ち、三次元Lidarスキャナ2は、建造物4に周波数変調されたレーザ光L1を連続的に照射する。
【0075】
本実施形態の出射部5は、発振器12に代えてDDS16(Direct Digital Synthesizer)を備えている。DDS16は、時間の経過に従って周波数が増減するスイープ信号を光源ドライバ13に出力する。これにより、光源14から出射されるレーザ光L1は、周波数変調された連続波となる。
【0076】
本実施形態の信号生成部34には、光検出器30から出力された出射信号と、センサ31から出力された受光信号と、が入力される。そして、信号生成部34は、出射信号と受光信号に対して乗算の演算を行い、演算結果である中間周波数信号(IF信号)をデータ生成部35に出力する。
【0077】
データ生成部35は、走査密度決定部37を備えている。走査密度決定部37は、中間周波数信号のサンプリング周期を決定する。データ生成部35は、走査密度決定部37が決定したサンプリング周期に基づいて信号生成部34から受信した中間周波数信号をサンプリングする。データ生成部35は、サンプリングした中間周波数信号に基づいて、三次元Lidarスキャナ2から測距点までの距離を計測して距離データを生成する。そして、走査密度決定部37は、三次元Lidarスキャナ2から測距点までの距離に基づいて、走査密度を決定する。具体的には、走査密度決定部37は、走査密度と密接に対応している中間周波数信号のサンプリング周期を決定する。走査密度とサンプリング周期は負の相関関係を有する。即ち、走査密度を高めるにはサンプリング周期を短くすればよく、走査密度を低めるにはサンプリング周期を長くすればよい。
【0078】
具体的には、走査密度決定部37は、下記の式(3)に従って、サンプリング周期を動的に決定する。三次元Lidarスキャナ2は、前述した通り、中間周波数信号をサンプリングすることで三次元Lidarスキャナ2から測距点までの距離の計測を繰り返し行う。下記式(3)において、Tnは、n番目の計測時におけるサンプリング周期である。T0及びDは、定数である。rn-1は、(n-1)番目の計測によって得られた距離データである。
【0079】
【0080】
上記式(3)によれば、三次元Lidarスキャナ2の走査中において三次元Lidarスキャナ2から測距点までの距離が増加したことに伴う点群密度の低下を防止することができる。換言すれば、三次元Lidarスキャナ2の走査中において三次元Lidarスキャナ2から測距点までの距離の変動に伴う点群密度の変動を防止することができる。以上の構成によれば、簡素な制御によって、走査密度決定部37が決定した走査密度を反映させることができる。
【0081】
以上に、本開示の第1実施形態及び第2実施形態を説明した。なお、上記第1実施形態の第1変形例から第4変形例は、第2実施形態に適用することができる。
【0082】
本開示は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0083】
例えば、上記各実施形態において、三次元Lidarスキャナ2の測距方式はdToF方式(direct Time Of Flight)又はFMCW方式(Frequency Modulated Continuous Wave)とした。しかし、これに代えて、AMCW方式(Amplitude-modulated continuous wave)を採用してもよい。
【0084】
上記各実施形態では、三次元Lidarスキャナ2による測定対象として1つの建造物、即ち建造物4を例示した。しかし、三次元Lidarスキャナ2による測定対象は複数の建造物を含んでもよい。複数の建造物としては、例えば、三次元Lidarスキャナ2からの距離が異なる複数の鉄塔、三次元Lidarスキャナ2からの距離が異なる複数の橋脚(pier:いわゆる橋梁の下部構造)が挙げられる。このように三次元Lidarスキャナ2による測定対象が複数の建造物を含む場合であっても、測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきを抑えることができる。
【0085】
また、例えば、走査密度決定部10及び走査密度決定部37は、三次元Lidarスキャナ2によるスキャン中における三次元Lidarスキャナ2から測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきを抑えるように学習された学習済みモデルを用いてもよい。走査密度決定部10及び走査密度決定部37は、学習済みモデルを用いて、走査密度を動的に決定する。学習済みモデルは、典型的には、距離を入力すると走査密度を出力するニューラルネットワークである。
【0086】
また、走査密度決定部10及び走査密度決定部37は、走査密度を決定するに際し、決定した走査密度を例えば10段階のレベルで表現してもよい。
【0087】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、更に、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROMを含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、更に、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0088】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0089】
(付記1)
測定対象に対してレーザ光を走査してその反射光を受光することにより、前記測定対象までの距離を計測する測距手段と、
測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきが抑えられるように、前記測距手段の走査中に、前記測距点までの距離又は前記反射光の輝度に基づいて走査密度を動的に決定する、走査密度決定手段と、
を含む、
光センシングシステム。
(付記2)
付記1に記載の光センシングシステムであって、
前記走査密度決定手段は、前記測距点までの距離と前記走査密度が正の相関関係となるように前記走査密度を決定し、又は、前記輝度と前記走査密度が負の相関関係となるように前記走査密度を決定する、
光センシングシステム。
(付記3)
付記2に記載の光センシングシステムであって、
前記走査密度決定手段は、
前記測距点までの距離が第1の距離よりも長いとき、又は、前記輝度が第1の輝度よりも低いとき、前記走査密度を第1の走査密度に決定し、
前記測距点までの距離が前記第1の距離よりも短いとき、又は、前記輝度が第1の輝度よりも高いとき、前記走査密度を前記第1の走査密度よりも低い第2の走査密度に決定する、
光センシングシステム。
(付記4)
付記2に記載の光センシングシステムであって、
前記走査密度決定手段は、前記測距点までの距離と前記走査密度の対応関係、又は、前記輝度と前記走査密度の対応関係を示す走査密度決定テーブルを参照することにより前記走査密度を決定する、
光センシングシステム。
(付記5)
付記1から4までの何れか1項に記載の光センシングシステムであって、
前記測距手段が、前記測定対象にパルス状のレーザ光を照射するdToF方式(direct Time of Flight)を採用している場合、
前記測距手段は、前記走査密度決定手段が決定した前記走査密度に基づいて、前記測定対象に照射する前記レーザ光のパルス周期を増減する、
光センシングシステム。
(付記6)
付記1から4までの何れか1項に記載の光センシングシステムであって、
前記測距手段が、前記測定対象に周波数変調されたレーザ光を連続的に照射するFMCW方式(Frequency Modulated Continuous Wave)を採用している場合、
前記測距手段は、前記走査密度決定手段が決定した前記走査密度に基づいて、中間周波数信号のサンプリング周期を増減する、
光センシングシステム。
(付記7)
付記1から4までの何れか1項に記載の光センシングシステムであって、
前記測距手段は、前記走査密度決定手段が決定した前記走査密度に基づいて、前記測定対象に照射する前記レーザ光の走査速度を増減する、
光センシングシステム。
(付記8)
付記1から4までの何れか1項に記載の光センシングシステムであって、
前記測距手段が計測した前記距離に基づいて点群データを生成する点群データ生成手段を更に含む、
光センシングシステム。
(付記9)
測定対象に対してレーザ光を走査してその反射光を受光することにより、前記測定対象までの距離を計測する測距手段と、
測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきが抑えられるように、前記測距手段の走査中に、前記測距点までの距離又は前記反射光の輝度に基づいて走査密度を動的に決定する、走査密度決定手段と、
を含む、
光センシング装置。
(付記10)
付記9に記載の光センシング装置であって、
前記走査密度決定手段は、前記測距点までの距離と前記走査密度が正の相関関係となるように前記走査密度を決定し、又は、前記輝度と前記走査密度が負の相関関係となるように前記走査密度を決定する、
光センシング装置。
(付記11)
付記10に記載の光センシング装置であって、
前記走査密度決定手段は、
前記測距点までの距離が第1の距離よりも長いとき、又は、前記輝度が第1の輝度よりも低いとき、前記走査密度を第1の走査密度に決定し、
前記測距点までの距離が前記第1の距離よりも短いとき、又は、前記輝度が第1の輝度よりも高いとき、前記走査密度を前記第1の走査密度よりも低い第2の走査密度に決定する、
光センシング装置。
(付記12)
付記10に記載の光センシング装置であって、
前記走査密度決定手段は、前記測距点までの距離と前記走査密度の対応関係、又は、前記輝度と前記走査密度の対応関係を示す走査密度決定テーブルを参照することにより前記走査密度を決定する、
光センシング装置。
(付記13)
付記9から12までの何れか1項に記載の光センシング装置であって、
前記測距手段が、前記測定対象にパルス状のレーザ光を照射するdToF方式(direct Time of Flight)を採用している場合、
前記測距手段は、前記走査密度決定手段が決定した前記走査密度に基づいて、前記測定対象に照射する前記レーザ光のパルス周期を増減する、
光センシング装置。
(付記14)
付記9から12までの何れか1項に記載の光センシング装置であって、
前記測距手段が、前記測定対象に周波数変調されたレーザ光を連続的に照射するFMCW方式(Frequency Modulated Continuous Wave)を採用している場合、
前記測距手段は、前記走査密度決定手段が決定した前記走査密度に基づいて、中間周波数信号のサンプリング周期を増減する、
光センシング装置。
(付記15)
付記9から12までの何れか1項に記載の光センシング装置であって、
前記測距手段は、前記走査密度決定手段が決定した前記走査密度に基づいて、前記測定対象に照射する前記レーザ光の走査速度を増減する、
光センシング装置。
(付記16)
付記9から12までの何れか1項に記載の光センシング装置であって、
前記測距手段が計測した前記距離に基づいて点群データを生成する点群データ生成手段を更に含む、
光センシング装置。
(付記17)
測定対象に対してレーザ光を走査してその反射光を受光することにより、前記測定対象までの距離を計測する測距ステップと、
測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきが抑えられるように、前記測距ステップの走査中に、前記測距点までの距離又は前記反射光の輝度に基づいて走査密度を動的に決定する、走査密度決定ステップと、
を含む、
光センシング方法。
(付記18)
付記17に記載の光センシング方法であって、
前記走査密度決定ステップでは、前記測距点までの距離と前記走査密度が正の相関関係となるように前記走査密度を決定し、又は、前記輝度と前記走査密度が負の相関関係となるように前記走査密度を決定する、
光センシング方法。
(付記19)
付記18に記載の光センシング方法であって、
前記走査密度決定ステップでは、
前記測距点までの距離が第1の距離よりも長いとき、又は、前記輝度が第1の輝度よりも低いとき、前記走査密度を第1の走査密度に決定し、
前記測距点までの距離が前記第1の距離よりも短いとき、又は、前記輝度が第1の輝度よりも高いとき、前記走査密度を前記第1の走査密度よりも低い第2の走査密度に決定する、
光センシング方法。
(付記20)
付記18に記載の光センシング方法であって、
前記走査密度決定ステップでは、前記測距点までの距離と前記走査密度の対応関係、又は、前記輝度と前記走査密度の対応関係を示す走査密度決定テーブルを参照することにより前記走査密度を決定する、
光センシング方法。
(付記21)
付記17から20までの何れか1項に記載の光センシング方法であって、
前記測距ステップで、前記測定対象にパルス状のレーザ光を照射するdToF方式(direct Time of Flight)を採用している場合、
前記測距ステップでは、前記走査密度決定ステップで決定した前記走査密度に基づいて、前記測定対象に照射する前記レーザ光のパルス周期を増減する、
光センシング方法。
(付記22)
付記17から20までの何れか1項に記載の光センシング方法であって、
前記測距ステップで、前記測定対象に周波数変調されたレーザ光を連続的に照射するFMCW方式(Frequency Modulated Continuous Wave)を採用している場合、
前記測距手段では、前記走査密度決定ステップで決定した前記走査密度に基づいて、中間周波数信号のサンプリング周期を増減する、
光センシング方法。
(付記23)
付記17から20までの何れか1項に記載の光センシング方法であって、
前記測距ステップでは、前記走査密度決定ステップで決定した前記走査密度に基づいて、前記測定対象に照射する前記レーザ光の走査速度を増減する、
光センシング方法。
(付記24)
付記17から20までの何れか1項に記載の光センシング方法であって、
前記測距ステップで計測した前記距離に基づいて点群データを生成する点群データ生成ステップを更に含む、
光センシング方法。
(付記25)
コンピュータを、
測定対象に対してレーザ光を走査してその反射光を受光することにより、前記測定対象までの距離を計測する測距手段と、
測距点までの距離の長短に起因した点群密度のばらつきが抑えられるように、前記測距手段の走査中に、前記測距点までの距離又は前記反射光の輝度に基づいて走査密度を動的に決定する、走査密度決定手段と、
として機能させる、プログラム。
(付記26)
付記25に記載のプログラムであって、
前記走査密度決定手段は、前記測距点までの距離と前記走査密度が正の相関関係となるように前記走査密度を決定し、又は、前記輝度と前記走査密度が負の相関関係となるように前記走査密度を決定する、
プログラム。
(付記27)
付記26に記載のプログラムであって、
前記走査密度決定手段は、
前記測距点までの距離が第1の距離よりも長いとき、又は、前記輝度が第1の輝度よりも低いとき、前記走査密度を第1の走査密度に決定し、
前記測距点までの距離が前記第1の距離よりも短いとき、又は、前記輝度が第1の輝度よりも高いとき、前記走査密度を前記第1の走査密度よりも低い第2の走査密度に決定する、
プログラム。
(付記28)
付記26に記載のプログラムであって、
前記走査密度決定手段は、前記測距点までの距離と前記走査密度の対応関係、又は、前記輝度と前記走査密度の対応関係を示す走査密度決定テーブルを参照することにより前記走査密度を決定する、
プログラム。
(付記29)
付記25から28までの何れか1項に記載のプログラムであって、
前記測距手段が、前記測定対象にパルス状のレーザ光を照射するdToF方式(direct Time of Flight)を採用している場合、
前記測距手段は、前記走査密度決定手段が決定した前記走査密度に基づいて、前記測定対象に照射する前記レーザ光のパルス周期を増減する、
プログラム。
(付記30)
付記25から28までの何れか1項に記載のプログラムであって、
前記測距手段が、前記測定対象に周波数変調されたレーザ光を連続的に照射するFMCW方式(Frequency Modulated Continuous Wave)を採用している場合、
前記測距手段は、前記走査密度決定手段が決定した前記走査密度に基づいて、中間周波数信号のサンプリング周期を増減する、
プログラム。
(付記31)
付記25から28までの何れか1項に記載のプログラムであって、
前記測距手段は、前記走査密度決定手段が決定した前記走査密度に基づいて、前記測定対象に照射する前記レーザ光の走査速度を増減する、
プログラム。
(付記32)
付記25から28までの何れか1項に記載のプログラムであって、
コンピュータを、
前記測距手段が計測した前記距離に基づいて点群データを生成する点群データ生成手段、
として更に機能させる、プログラム。
【符号の説明】
【0090】
1 光センシングシステム
2 三次元Lidarスキャナ
3 欠陥検出装置
4 建造物
4a 面
4b 面
5 出射部
6 光学機構系
6a 照射光学系
6b 受光光学系
7 計測部
8 点群データ生成部
10 走査密度決定部
10a 走査密度決定テーブル
11 制御部
12 発振器
13 光源ドライバ
14 光源
15 スキャンドライバ
20 レンズ
21 第1光学素子
22 レンズ
23 ミラー
23a 反射面
24 第2光学素子
30 光検出器
31 センサ
32 レンズ
33 増幅器
34 信号生成部
35 データ生成部
36 データ出力部
37 走査密度決定部
DDS16 DDS16
O1 光軸
O2 光軸
O3 光軸
L1 レーザ光
L2 反射光