(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042981
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/06 20060101AFI20240322BHJP
F25D 21/04 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
F25D23/06 P
F25D21/04 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147940
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】磯野 啓博
(72)【発明者】
【氏名】阪上 亮輔
【テーマコード(参考)】
3L102
【Fターム(参考)】
3L102JA01
3L102LB13
3L102LB33
(57)【要約】
【課題】側板の剛性を高めることができ、かつ管の浮きを防ぎ、発泡断熱材の漏れを防止する冷蔵庫を提供する。
【解決手段】貯蔵室を形成する本体と、前記本体の開口部を開閉自在に塞ぐ扉と、を持つ。前記貯蔵室内で幅方向に延びるとともに、前記貯蔵室を上貯蔵室と下貯蔵室に分割する仕切部と、前記本体のうち側板の前記開口部側の前記上下方向を補強する補強部と、前記側板および前記仕切部に配された管と、を持つ。前記補強部は、前記仕切部との接続部分に切欠部を持つ。前記本体の前記側板及び内箱のうち少なくとも一方には、前記側板と前記仕切部との接続部分の前記管を固定する管固定部品が組み付けられている構成を持つ。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を形成する本体と、前記本体の開口部を開閉自在に塞ぐ扉と、を備えた冷蔵庫であって、
前記貯蔵室内で幅方向に延びるとともに、前記貯蔵室を上貯蔵室と下貯蔵室に分割する仕切部と、
前記本体のうち側板の前記開口部側の前記上下方向を補強する補強部と、
前記側板および前記仕切部に配された管と、を備え、
前記補強部は、前記仕切部との接続部分に切欠部を有し、
前記本体の前記側板及び内箱のうち少なくとも一方には、前記側板と前記仕切部との接続部分の前記管を固定する管固定部品が組み付けられている冷蔵庫。
【請求項2】
前記管固定部品には、前記側板を補強するための補強部材が設けられている、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記補強部材は、前記切欠部を跨るように設置されている、請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記管固定部品は樹脂製であり、前記補強部材は金属製である、請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記管固定部品及び前記補強部材は、前記内箱と前記側板との間に充填される発泡断熱材に埋没されている、請求項2乃至4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記管固定部品は、前記側板と、前記内箱との間に挟まれた状態で配置されている、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記管固定部品の少なくとも一部が前記切欠部に配置されている、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記側板に前記管固定部品が固定されている、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記管固定部品は、前記管を前記側板に対して押さえ付けた状態で設けられている、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記管固定部品は、前記管のみに係合した状態で前記側板に組み付けられている、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項11】
前記補強部材は、前記管固定部品を挟んで前記管と反対側に配置されている、請求項2乃至4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項12】
前記内箱と前記側板との間には、袋を形成する外包材、および減圧状態で前記外包材に密閉して収容された芯材を含む真空断熱材が設けられ、
前記補強部材は、前記真空断熱材に接触しない位置で保持されている、請求項2乃至4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項13】
前記補強部材は、前記側板に接触している、請求項2乃至4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項14】
前記管固定部品は、前記管の向きを変更するように案内する方向転換部を備えている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
結露防止として本体の側板外周に防露パイプを設置する冷蔵庫では、本体内に発泡断熱材を充填する際、側板に対する防露パイプの浮きにより各仕切部と側板との接続部から発泡断熱材が漏れ出さないように、テープ等の固着手段を用いて防露パイプを側板に固定している。さらに、側板の防露パイプを仕切部に這わせるための通路を確保するために側板の補強部に対して部分的に切欠部を設けている。防露パイプを固着手段によって固定する方法では、固着状態にバラツキが多く、安定して防露パイプを固定することが難しい。そのため、切欠部を有する側板の剛性を高めつつ、発泡断熱材の充填中において防露パイプに浮きが生じて仕切部に通じる切欠部の隙間から発泡断熱材に漏れが発生しない冷蔵庫が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、側板の剛性を高めることができ、かつ管の浮きを防ぎ、発泡断熱材の漏れを防止する冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫は、貯蔵室を形成する本体と、前記本体の開口部を開閉自在に塞ぐ扉と、を持つ。前記貯蔵室内で幅方向に延びるとともに、前記貯蔵室を上貯蔵室と下貯蔵室に分割する仕切部と、前記本体のうち側板の前記開口部側の前記上下方向を補強する補強部と、前記側板および前記仕切部に配された管と、を持つ。前記補強部は、前記仕切部との接続部分に切欠部を持つ。前記本体の前記側板及び内箱のうち少なくとも一方には、前記側板と前記仕切部との接続部分の前記管を固定する管固定部品が組み付けられている構成を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】
図1に示された冷蔵庫のF1-F1線に沿う断面図。
【
図6】側板の切欠部に設けられる管固定部品の斜視図。
【
図7】
図6中に示された管固定部品のF2-F2線に沿う断面図。
【
図8】補強板金を備えた管固定部品を斜め後方から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の冷蔵庫を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0008】
本明細書では、冷蔵庫の正面に立つ利用者から冷蔵庫を見た方向を基準に、左右を定義している。また、冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つ利用者に近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。本明細書において「幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。本明細書において「奥行方向」とは、上記定義における前後方向を意味する。本明細書において「幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。本明細書において「上下方向」とは、冷蔵庫の高さ方向を意味する。
【0009】
図1及び
図2を参照し、実施形態の冷蔵庫1について説明する。まず、冷蔵庫1の全体構成について説明する。ただし、冷蔵庫1は、以下に説明する構成の全てを有する必要はなく、いくつかの構成が適宜省略されてもよい。
【0010】
図1は、冷蔵庫1を示す正面図である。
図2は、
図1中に示された冷蔵庫1のF1-F1線に沿う断面図である。冷蔵庫1は、例えば、本体10と、複数の扉20とを備えている。
【0011】
本体10は、上壁10a、下壁10b、左右の側壁10c,10d、および後壁10e(
図2参照)を有する。上壁10aおよび下壁10bは、水平方向に広がる。左右の側壁10c,10dは、下壁10bの左右の端部から上方に起立し、上壁10aの左右の端部に繋がっている。左側壁10cは、後述する野菜室11Bに露出して野菜室11Bの左側面を形成する左側壁部を含む。右側壁10dは、野菜室11Bに露出して野菜室11Bの右側面を形成する右側壁部を含む。後壁10eは、下壁10bの後端部から上方に起立し、上壁10aの後端部に繋がっている。
【0012】
本体10は、本体10の内面を形成する内箱10iと、内箱10iの外側に位置して本体10の外面を形成する外箱10jと、内箱10iと外箱10jとの間に設けられた発泡ウレタンのような発泡断熱材10kとを含み(
図2参照)、断熱性を有する。
【0013】
本体10の内部には、複数の貯蔵室11が設けられている。複数の貯蔵室11は、例えば、冷蔵室11A、チルド室11Aa、野菜室11B、製氷室11C、小冷凍室11D、および主冷凍室11Eを含む。冷蔵室11Aは、例えば、約2℃~6℃である冷蔵温度帯に冷却される。チルド室11Aaは、例えば、約-1℃~+1℃であるチルド温度帯に冷却される。野菜室11Bは、例えば、約3℃~7℃である野菜室温度帯に冷却される。製氷室11C、小冷凍室11D、および主冷凍室11Eは、冷凍室であり、例えば、約-20℃~-18℃である冷凍温度帯に冷却される。
【0014】
本実施形態では、上部空間に冷蔵室11Aが配置され、冷蔵室11Aの下方に野菜室11Bが配置され、野菜室11Bの下方に製氷室11Cおよび小冷凍室11Dが配置され、製氷室11Cおよび小冷凍室11Dの下方に主冷凍室11Eが配置されている。ただし、貯蔵室11の配置は、上記例に限定されない。本体10は、各貯蔵室11の前面側に、各貯蔵室11に対して食材の出し入れを可能にする開口を有する。野菜室11Bは、貯蔵室の一例である。
【0015】
チルド室11Aaは、冷蔵室11Aの下部の一画に設けられている。チルド室11Aaは、「特別貯蔵室」の一例である。本明細書で「特別貯蔵室」とは、冷蔵室よりも温度帯が低く、冷凍室よりも温度帯が高い貯蔵室である。「特別貯蔵室」は、チルド室11Aaに限定されず、パーシャル温度帯(約-4℃~-2℃)に冷却されるパーシャル室などでもよい。このため、以下の説明における「チルド室11Aa」は、「特別貯蔵室」または「パーシャル室」と読み替えられてもよい。
【0016】
本体10は、第1仕切部15および第2仕切部16を有する(
図2参照)。第1仕切部15および第2仕切部16は、例えば、それぞれ略水平方向に沿う仕切壁である。第1仕切部15は、冷蔵室11Aおよびチルド室11Aaと、野菜室11Bとの間に位置し、冷蔵室11Aおよびチルド室11Aaと、野菜室11Bとの間を仕切っている。例えば、第1仕切部15は、断熱性を有しない仕切壁である。第1仕切部15は、本体10と一体に設けられていてもよく、本体10とは別体に設けられて本体10内に取り付けられていてもよい。第1仕切部15は、冷蔵室11Aまたはチルド室11Aaを通った冷気を野菜室11Bに導く通気孔を有する。一方で、第2仕切部16は、野菜室11Bと、製氷室11Cおよび小冷凍室11Dとの間に位置し、野菜室11Bと、製氷室11Cおよび小冷凍室11Dとの間を仕切っている。第2仕切部16は、例えば本体10と一体に設けられ、断熱性を有する。
【0017】
図1に示すように、複数の貯蔵室11は、複数の扉20によって開閉可能に閉じられる。複数の扉20は、例えば、冷蔵室11Aの開口を閉じる左右の冷蔵室扉20Aa,20Ab、野菜室11Bの開口を閉じる野菜室扉20B、製氷室11Cの開口を閉じる製氷室扉20C、小冷凍室11Dの開口を閉じる小冷凍室扉20D、および主冷凍室11Eの開口を閉じる主冷凍室扉20Eを含む。左右の冷蔵室扉20Aa,20Abは、例えばフレンチ扉(観音開き扉)を構成する。野菜室扉20B、製氷室扉20C、小冷凍室扉20D、および主冷凍室扉20Eの各々は、冷蔵庫1の前側に引き出し可能な引出扉である。
【0018】
ここでは、野菜室扉20Bについて詳しく説明する。野菜室扉20Bは、例えば、扉本体21と、レール部材(図示省略)とを含む。扉本体21は、本体10の外部に位置し、冷蔵庫1の前側から野菜室11Bの開口に向かい合う。扉本体21は、野菜室11Bの開口よりも大きな外形を有し、野菜室11Bの開口を開閉可能に閉じる。扉本体21の上端部には、野菜室扉20Bを開くときに利用者が手を掛ける取手が設けられている。レール部材は、扉本体21の内面(後面)に取り付けられ、扉本体21から後方に延びている。レール部材22は、本体10の左側壁部および右側壁部に設けられたレール受け部によって支持されている。これにより、野菜室扉20Bは、本体10に対して冷蔵庫1の前後方向にスライド移動可能である。
【0019】
図2に示すように、冷蔵庫1は、例えば、複数の棚30、複数の容器40、流路形成部品50、冷却ユニット60、および制御基板17を備えている。
【0020】
複数の棚30は、冷蔵室11Aに配置されている。
【0021】
複数の容器40は、チルド室11Aaに収容された第1および第2チルド室容器41,42、野菜室11Bに収容された第1および第2野菜室容器43,44、製氷室11Cに収容された製氷室容器(不図示)、小冷凍室11Dに収容された小冷凍室容器46、および主冷凍室11Eに収容された第1および第2主冷凍室容器47,48を含む。
【0022】
まず、第1および第2チルド室容器41,42について説明する。第1チルド室容器41は、2段式のチルド室容器41,42のうち下側に位置する容器である。第2チルド室容器42は、2段式のチルド室容器41,42のうち上側に位置する容器である。第2チルド室容器42は、第1チルド室容器41の上方に位置する。第1および第2チルド室容器41,42は、それぞれ独立して前方に引き出し可能である。なお、チルド室11Aaに配置されるチルド室容器は、1つだけでもよい。
【0023】
次に、第1および第2野菜室容器43,44について説明する。第1野菜室容器43は、2段式の野菜室容器43,44のうち下側に位置する容器である。第1野菜室容器43は、野菜室扉20Bによって支持され、野菜室扉20Bと一体に冷蔵庫1の前側に引き出し可能である。第1野菜室容器43の前端部43aは、野菜室扉20Bの扉本体21の近くに位置する。一方で、第1野菜室容器43の後端部43bは、第1野菜室容器43が野菜室11Bに収容された状態で、本体10の後壁10eの近くに位置する。
【0024】
第2野菜室容器44は、2段式の野菜室容器43,44のうち上側に位置する容器である。第2野菜室容器44は、第1野菜室容器43の上方に配置されている。冷蔵庫1の前後方向における第2野菜室容器44の寸法は、同方向における第1野菜室容器43の寸法よりも小さい。
【0025】
流路形成部品50は、冷蔵用ダクト51と、冷凍用ダクト52とを含む。冷蔵用ダクト51は、本体10内の冷蔵室11A及び野菜室11Bに設けられ、後壁10eに沿って鉛直方向に延びている。冷蔵用ダクト51は、本体10の後壁10eの近くに、冷気が流れる通路である第1ダクト空間D1を形成している。本明細書で「ダクト」とは、筒状の部品に限定されず、他の部品(例えば本体10の後壁10e)と協働することで冷気の通路の少なくとも一部を規定する部品を含み得る。例えば、本実施形態の冷蔵用ダクト51は、本体10の後壁10eに取り付けられ、本体10の後壁10eとの間に第1ダクト空間D1を形成する板状のカバー部材である。
【0026】
冷蔵用ダクト51は、冷気吹出口51aおよび冷気戻り口51bを有する。冷気吹出口51aは、冷蔵用冷却器62により冷却された冷気を冷蔵室11Aの空間やチルド室11Aaに供給する。冷気戻り口51bは、野菜室11Bに開口し、冷蔵室11Aおよび野菜室11Bを通過することで温められた冷気を第1ダクト空間D1に向けて導く。
【0027】
冷蔵用ダクト51は、基礎絶縁を確保可能な厚さ1mm以上の絶縁体から形成されることが好ましい。具体的に冷蔵用ダクト51の材質としては、例えばポリプロピレン(PP)やABS等の樹脂が採用できる。
【0028】
冷凍用ダクト52は、本体10内の冷凍室11C、11D、11Eに設けられ、後壁10eに沿って鉛直方向に延びている。冷凍用ダクト52は、本体10の後壁10eの近くに、冷気Eが流れる通路である第2ダクト空間D2を形成している。冷凍用ダクト52は、冷気吹出口52aおよび冷気戻り口52bを有する。冷気吹出口52aは、製氷室11C、小冷凍室11D、または主冷凍室11Eに開口し、冷凍用冷却器64により冷却された冷気Eを、製氷室11C、小冷凍室11D、または主冷凍室11Eに供給する。冷気戻り口52bは、主冷凍室11Eの下部に開口し、製氷室11C、小冷凍室11D、および主冷凍室11Eのうち1つ以上を通過することで温められた冷気をダクト空間D2に導く。
【0029】
冷却ユニット60は、野菜室11Bの後側に配置されており、圧縮器61により圧縮された冷媒が第1ダクト空間D1及び第2ダクト空間D2に供給され、冷蔵室11A、野菜室11B、および製氷室11C、小冷凍室11D、および主冷凍室11Eを冷却する。
【0030】
冷却ユニット60は、例えば、圧縮器61、不図示の凝縮器や蒸発皿を備えている。冷却ユニット60は、下壁10bの後方下部に設けられている。
【0031】
冷蔵室11A及び野菜室11Bの背面の第1ダクト空間D1には、冷蔵用冷却器62が配置されている。冷凍室11C,11D、11Eの背面の第2ダクト空間D2には、冷凍用冷却器64が配置されている。冷蔵用冷却器62および冷凍用冷却器64は、圧縮器61により圧縮された冷媒が供給され、それぞれ第1ダクト空間D1および第2ダクト空間D2を流れる冷気を冷却する。
【0032】
図1に示す制御基板17は、冷蔵庫1の全体を統括的に制御する。例えば、制御基板17は、複数の貯蔵室11に設けられた温度センサ(図示省略)の検出結果に基づき、冷却ユニット60、圧縮器の動作を制御する。制御基板17は、湿気を避けることができる場所に配置することが好ましい。本実施形態では、冷蔵室11Aの上方における後側の外箱10j上に配置されている。
【0033】
図3は、冷蔵庫1を斜め前方から見た斜視図であって、扉20を省略した図である。
図4は、冷蔵庫1を斜め前方から見た斜視図であって、扉20と外箱10jを省略した図である。
図5は、
図3に示す冷蔵庫1の正面図である。
図6は、側板12の切欠部122に設けられる管固定部品70の斜視図である。
図7は、
図6中に示された管固定部品70のF2-F2線に沿う断面図である。
図8は、補強板金71を備えた管固定部品70を斜め後方から見た斜視図である。
図9は、管固定部品70の斜視図である。
【0034】
図3~
図5に示すように、側壁10c、10dにおいて、外箱10jの側面に位置する側板12は、内箱10iの前端部と外箱10jの前端部との間の隙間を前方から覆う補強部121を形成している。補強部121は、上下方向に延在して設けられている。補強部121は、側板12の上下方向を補強するものであり、内箱10iの前端部と外箱10jの前端部との間の隙間を閉塞する機能も有している。補強部121は、側板12の前端から貯蔵室側(幅方向内側)に延ばされ、その内端部12aから幅方向外側に向けて屈曲して延在し、さらに幅方向内側に向けて折り返した折り畳み形状に形成されている。補強部121の折り返し部分のうち幅方向内側に開く部分には、内箱10iの一部を嵌合させて固定する溝部が形成されている。
【0035】
補強部121には、冷蔵室11Aと野菜室11Bとを上下方向に区画する第1仕切部15との接続部分で切り欠かれた切欠部122が形成されている。切欠部122の上下方向の寸法は、第1仕切部15の厚み(上下方向の寸法)と同等以上の寸法である。
【0036】
第1仕切部15には、前面15aを覆う平板状の仕切板18が設けられている。側壁10c、10dの前面(側板12の裏面)及び第1仕切部15の前面15a(仕切板18の裏面)には、結露を抑制するための防露パイプ65(管)が配管されている。
【0037】
図6に示すように、防露パイプ65は、側板12の前部に沿って上下方向に延在する縦管部65Aと、仕切板18に配置され幅方向(水平方向)に延在する水平管部65Bと、縦管部65Aと水平管部65Bとを略直角に方向転換する屈曲部65Cと、を有する。すなわち縦管部65Aは、切欠部122の屈曲部65Cで幅方向に直角に折れ曲がり水平管部65Bに繋がっている。防露パイプ65は、パイプ一端が一方の側壁10cの下部後方に位置し、パイプ他端が他方の側壁10dの下部後方に位置している。防露パイプ65は、側板12から上方に延在して切欠部122で仕切板18側に折れて仕切板18で往復して延在し、再び側板12に戻って上に延びるように配置されている。
【0038】
側板12の切欠部122には、側板12と第1仕切部15との接続部分の防露パイプ65を固定する管固定部品70が組み付けられている。管固定部品70には、側板12を補強するための補強板金71(補強部材)が設けられている。補強板金71は、金属製で形成され、上下方向に長い長尺部材であり、補強部121の切欠部122を跨るように設置されている。
【0039】
図6~
図9に示すように、管固定部品70は、樹脂製であり、側板12と内箱10iとの間に挟まれた状態で配置され、防露パイプ65のみに係合した状態で側板12に組み付けられている。管固定部品70は、切欠部122において防露パイプ65における第1仕切部15側に方向転換する部分を位置決め、固定する機能を有している。
【0040】
管固定部品70は、板状の基板72と、基板72の一方の前板面72aに設けられ防露パイプ65を保持するパイプ係止部73と、基板72の他方の後板面72bに設けられ補強板金71を固定する板金係合部74と、を備える。管固定部品70は、基板72の面方向を仕切板18の面方向、すなわち扉20の面方向に平行となるように配置され、前板面72aを冷蔵庫1の前方に向けた姿勢で内箱10iと側板12との間に組み付けられている。管固定部品70は、パイプ係止部73で防露パイプ65を係止することで切欠部122に配置される。すなわち、管固定部品70は、防露パイプ65の他の部位には固定されていない。
【0041】
基板72は、本体部721と、本体部721から第1仕切部15側に突出して第1仕切部15に一部分が介在する第1凸部722と、本体部721から上下両側に向けて突出する第2凸部723と、を有する。第1凸部722が第1仕切部15に位置することにより、基板72の上下方向が位置決めされて、管固定部品70の上下方向のずれが抑制されている。
【0042】
パイプ係止部73は、第2凸部723に設けられ防露パイプ65の縦管部65Aを係止する第1係止爪731と、第1凸部722に設けられ防露パイプ65の水平管部65Bを係止する第2係止爪732と、本体部721に設けられ防露パイプ65の屈曲部65Cを保持する屈曲溝733(方向転換部)と、を有する。第1係止爪731および第2係止爪732は、防露パイプ65を基板72の前板面72aに当接させた状態で支持する。防露パイプ65の縦管部65Aは、基板72の側板12寄りの外側縁部72dに沿った位置で固定される。縦管部65Aは、外側縁部72dと面一に配置されている。管固定部品70の外側縁部72dは、側板12に当接している。すなわち、縦管部65Aは、管固定部品70によって側板12に対して幅方向外側から接触、あるいは押さえ付けられた状態で設けられる。屈曲溝733は、防露パイプ65の屈曲部65Cが嵌り込み、防露パイプ65の向きを変更するように案内する。
【0043】
板金係合部74は、本体部721の上下方向中央で外側縁部72dから後方側に向けて突出する第1係合爪741と、上下一対の第2凸部723から後方側に向けて突出する第2係合爪742と、を備えている。第1係合爪741は、補強板金71の後端部71aに係止し、補強板金71を基板72側に押し当てて固定する。一対の第2係合爪742は、第1係合爪741との間で補強板金71を挟持した状態で固定する。このように板金係合部74によって管固定部品70に固定される補強板金71は、幅方向と前後方向の移動が規制された状態で保持されている。
【0044】
補強板金71は、管固定部品70の基板72を挟んで防露パイプ65と反対側(後側)に配置されている。補強板金71は、互いに平行に配置される第1側片711および第2側片712と、第1側片711および第2側片712を連結する連結片713と、を有し、断面視してコ字型に形成されている。第1側片711および第2側片712の面方向は、それぞれ内箱10iと側板12の面方向と平行に配置される。連結片713の面方向は前後方向を向いている。なお、図において、補強板金71は、側板12に接触していないが、側板12に接触した状態で設けられることが好ましい。
【0045】
本体10の内面を形成する内箱10iと側板12との間には、不図示の真空断熱材が設けられている。補強板金71は、この真空断熱材に接触しない位置で保持されている。管固定部品70及び補強板金71は、内箱10iと側板12との間に充填されるウレタン等の発泡断熱材10kに埋没している。
【0046】
ここで、「真空断熱材」とは、VIP(Vacuum Insulation Panel)とも呼ばれ、例えば、袋を形成する外包材、および減圧状態で前記外包材に密閉して収容された芯材を含む断熱材である。芯材は、例えば、グラスウールのような繊維素材、または発泡体のような多孔質体である。さらに、真空断熱材に代えて、エアロゲル、キセロゲル、またはクライオゲルのうち1つ以上を含む特定断熱材を採用することも可能である。
【0047】
次に、冷蔵庫1の作用について説明する。
【0048】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、貯蔵室11を形成する本体10と、本体10の開口部を開閉自在に塞ぐ扉と、を持つ。貯蔵室11内で幅方向に延びるとともに、貯蔵室11を上貯蔵室と下貯蔵室に分割する仕切部15、16と、本体10のうち側板12の開口部側の上下方向を補強する補強部121と、側板12および仕切部15、16に配された防露パイプ65と、を備える。補強部121は、仕切部15、16との接続部分に切欠部122を有する。側板12には、側板12と仕切部15、16との接続部分の防露パイプ65を固定する管固定部品70が組み付けられている。
【0049】
本実施形態では、側板12と仕切部15、16との接続部分の防露パイプ65を固定した管固定部品70を、補強部121が形成される側板12に組み付けることで、防露パイプ65を所定位置に位置決めした状態で確実に固定することができる。そのため、冷蔵庫1の製造時において内箱10iと側板12との間にウレタン等の発泡断熱材10kを確実に充填することができ、本体10である側板12の剛性の低下を抑制できる。そして、発泡断熱材10kを充填したときには、防露パイプ65や側板12の浮きを防ぎ、発泡断熱材10kが切欠部122から漏れ出ることを防止することができる。また、本実施形態では、管固定部品70を使用することで、従来のように防露パイプ65をテープ等の固着手段を使用して固定する場合のような固着状態にバラツキが生じ、安定して固定できずに製造途中で側板12に対して浮きが発生して仕切部15、16との隙間から発泡断熱材が漏れ出すことを防止できる。しかも、従来のように大量のテープを使用した箇所には、発泡断熱材が充填されなくなるため、部分的に側板12の剛性が低下することを抑制できる。
【0050】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、管固定部品70には、側板12を補強するための補強板金71が設けられている。この場合には、剛性が低下している補強部121の切欠部122に管固定部品70とともに補強部材となる補強板金71が配置されているので、本体10の剛性をさらに高めることができる。また、補強板金71が管固定部品70に固定されているので、冷蔵庫1の製造中に内箱10iと側板12との間に充填されるウレタン等の発泡断熱材10kによって補強板金71がずれたり、移動することを防止することができる。
【0051】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、補強板金71は、切欠部122を跨るように設置されている。そのため、補強板金71によって補強部121の切り欠き部分を確実に補完し、切欠部122に隣接する上下方向の補強部121と補強板金71とによって上下方向に連続性をもたせた補強を形成できるので、切欠部122を形成したことによる低下した剛性を高めることができる。
【0052】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、管固定部品70は樹脂製であり、補強板金71は金属製である。この場合、管固定部品70を樹脂製とすることで管固定部品70の形状の自由度を確保しつつ、補強板金71を金属製にすることで、防露パイプ65の取り付けの自由度と本体10の剛性とをバランスよく確保することができる。
【0053】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、管固定部品70及び補強板金71は、内箱10iと側板12との間に充填される発泡断熱材10kに埋没されているため、発泡断熱材10kによる補強効果を十分に得ることができる。また、本実施形態では、補強板金71の強度を調整することによって、補強板金71を発泡断熱材10k内の芯材として利用することも可能である。
【0054】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、管固定部品70は、側板12と、内箱10iとの間に挟まれた状態で配置されている。この場合、管固定部品70と側板12および内箱10iとの隙間を小さく、あるいは無くすことができるので、内箱10iと側板12との間に充填される発泡断熱材10kが管固定部品70を通過して仕切部15、16側に漏れ出すことを抑制できる。
【0055】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、管固定部品70の少なくとも一部が切欠部122に配置されている。これにより、切欠部122に管固定部品70の一部が配置されることにより、剛性が低下している側板12の補強部121の剛性をより確実に高めることができる。
【0056】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、側板12に管固定部品70が固定されている。そのため、側板12側に補強板金71等の補強部材を固定するための構造が不要となり、簡易でかつ確実な補強構造となる。
【0057】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、管固定部品70は、防露パイプ65を側板12に対して押さえ付けた状態で設けられている。この場合には、防露パイプ65が側板12と管固定部品70とによって挟持された状態で固定されるので、発泡断熱材10kの充填時における防露パイプ65が側板12に対して浮き上がることを確実に防ぐことができる。
【0058】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、管固定部品70は、防露パイプ65のみに係合した状態で側板12に組み付けられている。この場合には、管固定部品70が防露パイプ65によって支持された状態で所定位置に保持されるので、管固定部品70において側板12に固定する構造や、内箱10iや側板12において管固定部品70に固定する構造を省略することができ、簡単な構造で管固定部品70を所定位置に組み付けることができる。
【0059】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、補強板金71は、管固定部品70を挟んで防露パイプ65と反対側に配置されている。この場合には、防露パイプ65に干渉することなく、補強板金71を設けることができる。
【0060】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、内箱10iと側板12との間に真空断熱材が設けられ、補強板金71が真空断熱材に接触しない位置で保持される構成としてもよい。
【0061】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、補強板金71が側板12に接触するように設けることが好ましい。このように構成することで、補強板金71が側板12に沿って配置され、補強板金71と側板12との一体性をもたせることができるので、側板12の剛性を高めることができる。
【0062】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、管固定部品70は、防露パイプ65の向き変更するように案内する屈曲溝733を備えている。この場合には、縦管部65Aから水平管部65Bに直角に屈曲する防露パイプ65の屈曲部65Cを、屈曲溝733に案内させることで、屈曲部65Cの角度や位置を保持した状態で固定することができる。
【0063】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、側板12の剛性を高めることができ、かつ防露パイプ65の浮きを防ぎ、発泡断熱材10kの漏れを防止する冷蔵庫を提供することができる。
【0064】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0065】
上述した、実施形態では、仕切部15、16のうち冷蔵室11Aと野菜室11Bとの間を上下方向に区画する第1仕切部15と側板12との接続部分に管固定部品70を設ける構成としているが、第1仕切部15の位置であることに限定されることはなく、第2仕切部16と側板12との接続部分に管固定部品70を適用してもよい。なお、仕切部15、16は、本実施形態において仕切面を略水平方向に延びる方向に向けて配置させるとともに、貯蔵室11を上貯蔵室と下貯蔵室に分割する仕切部15、16の一例を示しているが、仕切面が略水平方向に対して傾いた仕切部であってもよい。
【0066】
また、本実施形態では、管固定部品70が側板12に組み付けられた一例を示しているが、管固定部品70が組み付けられる部位が側板12であることに限定されることはない。例えば、内箱10i側に管固定部品70が組み付けられていてもよいし、外箱10jの一部である側板12と内箱10iの両方に管固定部品70が組み付けられる構成とすることも可能である。
【0067】
また、本実施形態では、管固定部品70に側板12を補強するための補強板金71(補強部材)を設けた構成としているが、補強板金71は省略することも可能である。また、補強部材の構成として、上記実施形態のように断面視してコ字型に形成される部材であることに限定されることはなく、例えば1枚の板状部材のみ等、他の形状の補強部材を採用することも可能である。さらに補強部材として、本実施形態のように、切欠部122を跨るように設置されている形態に限定されることはない。
【0068】
また、管固定部品70における補強部材の取り付け位置や取り付け構造についても、本実施形態に限定されることはない。例えば、本実施形態では、補強板金71が管固定部品70を挟んで防露パイプ65と反対側に配置されているが、これに限定されることはない。
【0069】
また、管固定部品70は樹脂製であることに限定されず、金属製の部材であってもよい。さらに、補強部材は、本実施形態のように金属製であることに限定されることはなく、例えば硬質な樹脂などであってもよい。
【0070】
また、管固定部品70は、内箱10iと側板12との間に挟持された状態で配置されることに限定されず、例えば側板12に固定されていてもよい。すなわち、本実施形態では、管固定部品70が防露パイプ65のみに係合した状態で側板12に組み付けられた構成となっているが、管固定部品70が側板12あるいは内箱10iに支持、固定される構成とすることも可能である。
【0071】
さらに、管固定部品70の少なくとも一部が切欠部122に配置されていることに制限されることはなく、例えば、切欠部122に隣接する位置であって切欠部122からずれた位置に管固定部品70が設けられていてもよい。
【0072】
また、管固定部品70の形状、防露パイプ65の係止位置、数量、係止構造等の構成については上記実施形態に限定されることはなく、防露パイプ65の形状、曲り角度等の構成、内箱10iや側板12との寸法、側板12の補強部121に形成される切欠部122の大きさ等の構成に基づいて適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、防露パイプ65の向きを変更するように案内する直角に曲がる屈曲溝733(方向転換部)を備えた管固定部品70としているが、防露パイプ65に屈曲部65Cが無い箇所に管固定部品70を組み付ける場合には、方向転換部を省略してもよいし、方向転換部の角度も変更可能である。さらに、方向転換部として、本実施形態のように溝形状であることに限定されることもない。
【0073】
また、本実施形態では、管固定部品70で固定する管として防露パイプ65を適用しているが、防露パイプ65であることに限定されず、側板12に設けられる他の管であってもよい。
【0074】
さらに、冷蔵庫の貯蔵室の構成、区画などは、本実施形態に限定されることはない。
【符号の説明】
【0075】
1…冷蔵庫、10…本体、10i…内箱、10j…外箱、10c,10d…側壁、10k…発泡断熱材、11A…冷蔵室(貯蔵室)、11Aa…チルド室、11B…野菜室(貯蔵室)、12…側板、121…補強部、122…切欠部、15…第1仕切部、16…第2仕切部、18…仕切板、65…防露パイプ(管)、65A…縦管部、65B…水平管部、65C…屈曲部、70…管固定部品、71…補強板金(補強部材)733…屈曲溝(方向転換部)。