(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024042985
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】船舶
(51)【国際特許分類】
B63B 29/02 20060101AFI20240322BHJP
【FI】
B63B29/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022147946
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】野村 明宏
(72)【発明者】
【氏名】千住 日出海
(72)【発明者】
【氏名】有賀 寛泰
(72)【発明者】
【氏名】高野 峯羽
(57)【要約】
【課題】他の乗客による圧迫感及び乗客の体の負担を軽減すると共に、船殻構造物の視認性を向上する。
【解決手段】船舶は、船体と、前記船体内に設けられ、上下に隣り合う二つの甲板と、二つの前記甲板の間に設けられた側壁部とによって区画された居室と、前記居室における前記側壁部から離れた箇所で、下方の前記甲板と上方の前記甲板とにわたって延びる船殻構造物と、前記居室内で前記船殻構造物に固定された背もたれ部と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体と、
前記船体内に設けられ、上下に隣り合う二つの甲板と、二つの前記甲板の間に設けられた側壁部とによって区画された居室と、
前記居室における前記側壁部から離れた箇所で、下方の前記甲板と上方の前記甲板とにわたって延びる船殻構造物と、
前記居室内で前記船殻構造物に固定された背もたれ部と、
を備える船舶。
【請求項2】
前記背もたれ部は、前記船殻構造物の上下方向の中央位置よりも下方の前記甲板に近い側にのみ設けられている
請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
前記背もたれ部は、前記船殻構造物の周囲を囲むように設けられ、前記船殻構造物に固定されている
請求項1又は2に記載の船舶。
【請求項4】
下方の前記甲板上に設けられて前記居室の座席面を形成する座席部を備え、
前記背もたれ部は、前記船殻構造物と前記座席部とに固定されている
請求項3に記載の船舶。
【請求項5】
下方の前記甲板上に設けられて前記居室の座席面を形成する座席部を備え、
前記背もたれ部は、下方の前記甲板に沿って前記船殻構造物から離間する方向に延び、前記船殻構造物と前記座席部とに固定されている
請求項1又は2に記載の船舶。
【請求項6】
前記背もたれ部は、前記座席部に乗客が座った状態で寄り掛かることが可能な高さに設けられている
請求項4に記載の船舶。
【請求項7】
前記背もたれ部は、斜め上方を向く傾斜面を有する
請求項6に記載の船舶。
【請求項8】
前記側壁部の壁面に壁面背もたれ部を更に備える
請求項1又は2に記載の船舶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、船舶に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、客船、フェリー等の大部屋式の客室構造が開示されている。このような大部屋式の客室では、部屋の座席面全面にマットやカーペットが敷かれており、乗客が靴を脱いで座席面に寝たり座ったりして過ごすことが可能となっている場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているような大部屋式の客室は、定員を確保するために客室内をセパレートしていない場合が多い。そして、このような大部屋式の客室の中央スペースに他の乗客が居ると、その圧迫感により、後から入室しようとした乗客が客室の利用を躊躇してしまう傾向がある。また、客室の中央スペースに居る乗客は、長時間座り続ける場合、自力で上体を起こしておく必要があるため、体への負担が大きくなってしまう。
さらに、広いスペースを有した大部屋式の客室の中央スペースには、船体の構造上、強度部材として天井と座席面とに渡る柱状の船殻構造物を設ける場合があり、この船殻構造物に気付かない乗客が衝突する可能性が有るという課題がある。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、他の乗客による圧迫感及び乗客の体の負担を軽減すると共に、船殻構造物の視認性を向上することができる船舶を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために以下の構成を採用する。
本開示の第一態様によれば、船舶は、船体と、前記船体内に設けられ、上下に隣り合う二つの甲板と、二つの前記甲板の間に設けられた側壁部とによって区画された居室と、前記居室における前記側壁から離れた箇所で、下方の前記甲板と上方の前記甲板とにわたって延びる船殻構造物と、前記居室内で前記船殻構造物に固定された背もたれ部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る船舶によれば、他の乗客による圧迫感及び乗客の体の負担を軽減すると共に、船殻構造物の視認性を向上することができる船舶を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の第一実施形態における船舶の概略構成図である。
【
図2】本開示の第一実施形態における居室の平面図である。
【
図3】本開示の第一実施形態における背もたれ部及び壁面背もたれ部の側面図である。
【
図4】本開示の実施形態における背もたれ部の斜視図である。
【
図5】本開示の第一実施形態の第一変形例における背もたれ部の斜視図である。
【
図6】本開示の第一実施形態の第二変形例における背もたれ部の斜視図である。
【
図7】本開示の第一実施形態の第三変形例における背もたれ部の斜視図である。
【
図8】本開示の第一実施形態の第四変形例における居室の平面図である。
【
図9】本開示の第一実施形態の第五変形例における背もたれ部を上方から見た平面図である。
【
図10】本開示の第二実施形態における居室の平面図である。
【
図11】本開示の第二実施形態における背もたれ部の斜視図である。
【
図12】本開示の第二実施形態における背もたれ部を上方から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態に係る船舶を図面に基づき説明する。
(第一実施形態)
図1は、本開示の第一実施形態における船舶の概略構成図である。
本実施形態の船舶1は、乗客を運ぶことが可能な客船や貨客船などである。
図1に示すように、船舶1の船体2は、乗客が使用する居室5を少なくとも備えている。
図1では、船体2のうち、上甲板3上に設けられた上部構造4内に居室5が設けられている場合を例示しているが、居室5の配置は、船体2内であれば上部構造4内に限られない。また、居室5を一つだけ示しているが、居室5は、複数設けられていてもよい。
【0010】
図2は、本開示の第一実施形態における居室の平面図である。
図3は、本開示の第一実施形態における背もたれ部及び壁面背もたれ部の側面図である。
図4は、本開示の実施形態における背もたれ部の斜視図である。
図2に示すように、この第一実施形態で例示する居室5は、いわゆる大部屋式の客室であって、複数の乗客が靴を脱いで入室し、寝たり座ったりすることが可能となっている。第一実施形態の船舶1は、船体2と、居室5と、船殻構造物6と、背もたれ部7と、を少なくとも備えている。
【0011】
図3に示すように、居室5は、上下に隣り合う二つの甲板(以下、上方の甲板8、下方の甲板9と称する)と、上方の甲板8と下方の甲板9との間に設けられた側壁部10とによって区画されている。また、本実施形態の居室5は、下方の甲板9上に座席部11を備えている。この座席部11は、下方の甲板9から上方に間隔をあけて配置された居室5の座席面12を形成している。座席面12は、下方の甲板9と平行に延びている。座席部11は、座席面12を覆うカーペット(図示せず)等を更に備えている。なお、下方の甲板9と座席面12との間隔は、例えば、JG船舶設備規定に基づいて100mm以上とされている。
【0012】
図2に示すように、側壁部10は、居室5内側の壁面を形成するものである。この側壁部10には壁紙等が施工されている。なお、上方の甲板8の下方には、居室5内側の天井面を形成する天井壁(図示せず)を設けるようにしてもよい。
【0013】
上記の側壁部10は、船首側側壁部10Fと、船尾側側壁部10Aと、左舷側側壁部10Lと、右舷側側壁部10Rとを備えている。船首側側壁部10Fは、船幅方向Dwに延び、居室5の船首に近い側を区画している。船尾側側壁部10Aは、船幅方向Dwに延び、居室5の船尾に近い側を区画している。左舷側側壁部10L及び右舷側側壁部10Rは、船首尾方向FAに延びている。左舷側側壁部10Lは、居室5の左舷に近い側を区画し、右舷側側壁部10Rは、居室5の右舷に近い側を区画している。本実施形態では、船首側側壁部10Fと船尾側側壁部10Aとが対向配置され、左舷側側壁部10Lと右舷側側壁部10Rとが対向配置されている。
【0014】
本実施形態で例示する居室5は、船首尾方向FAの船首に近い側の船体2内に配置されている。さらに、本実施形態で例示する居室5は、船幅方向Dwの中央部よりも右舷に近い位置に配置されている。本実施形態では、船体2のうち船幅方向Dwの寸法が船首に向かって漸減している部分に居室5が位置することから、右舷側側壁部10Rが、船首に近づくにつれて船幅方向Dwの中心線L1に接近するように傾斜した傾斜壁部10RSを有している。
【0015】
また、本実施形態では、船首側側壁部10Fの船首側に隣接するように階段13が形成されている。そして、船首側側壁部10Fに近い側の左舷側側壁部10Lには、乗客が居室5へ出入りするための出入口14が形成されている。居室5へ入室する乗客は、この出入口14で靴を脱いで、例えば出入口14の横に設けられた下駄箱14Aに靴を入れてから、カーペット等に覆われた座席部11の座席面12上に上がる(
図3参照)。
本実施形態の居室5は、船尾側側壁部10Aにテレビ17を備えている。このテレビ17は、船尾側側壁部10Aに沿って取り付けられており、テレビ17の画面が船首方向を向いている。
【0016】
図3、
図4に示すように、船殻構造物6は、居室5の側壁部10から離れた箇所である中央スペースに設けられている。船殻構造物6は、下方の甲板9と上方の甲板8とにわたって延びている。この船殻構造物6の下端は、下方の甲板9に固定され、船殻構造物の上端は、上方の甲板8に固定されている。船殻構造物6と上方の甲板8との固定方法、及び船殻構造物6と下方の甲板9との固定方法としては、例えば、溶接等を例示できる。
【0017】
船殻構造物6は、いわゆる支柱であって、大部屋式の居室5等のように船体2内の広い区画の構造強度を担保するために設けられている。船殻構造物6の形状としては、例えば、円柱状を例示できる。また、円柱状の船殻構造物6の直径としては、100mm~150mm程度を例示できる。本実施形態の船殻構造物6は、居室5内における右舷側側壁部10Rよりも左舷側側壁部10Lに近い側に位置している。なお、船殻構造物6が円柱状の場合を例示したが、円柱状に限られるものでは無く、多角柱状や断面L字状、断面H状等であってもよい。
【0018】
背もたれ部7は、居室5の中央スペースに設けられており、居室5に入室した乗客がこの背もたれ部7に寄り掛かることが可能となっている。背もたれ部7は、居室5内の船殻構造物6に固定されている。
【0019】
図4に示すように、本実施形態の背もたれ部7は、船殻構造物6の周囲を囲むように設けられている。さらに、
図2、
図4に示すように、背もたれ部7は、下方の甲板9に沿って船殻構造物6から離間する方向に延びている。本実施形態の背もたれ部7は、船殻構造物6から船幅方向Dwに延びている。より具体的には、本実施形態の背もたれ部7は、船殻構造物6から右舷側側壁部10Rに向かって延びている。また、本実施形態の背もたれ部7は、少なくとも船首尾方向FAでテレビ17と対向する位置まで延びている。なお、本実施形態の背もたれ部7は、平面視で、船尾側側壁部10Aと平行に延びる直線状に形成されている場合を一例にしているが、これに限られない。例えば、背もたれ部7は、平面視で僅かに湾曲する曲線状や、直線と曲線とを組み合わせた形状であってもよい。
【0020】
図3に示すように、背もたれ部7は、座席部11に乗客が座った状態で寄り掛かることが可能な高さ寸法で形成されている。一方で、背もたれ部7よりも上方の位置では、上記の船殻構造物6の外面が居室5内に露出した状態となっている。すなわち、背もたれ部7は、船殻構造物6の上下方向の中央位置よりも下方の甲板9に近い側にのみ設けられている。ここで、座席部11に乗客が座った状態で寄り掛かることが可能な高さとしては、座席面12の位置を0mmとすると、300mmから800mmの高さを例示できる。さらに、背もたれ部7の高さは、400mmから700mmとしてもよく、500mmから600mmとするのがより好ましい。本実施形態の背もたれ部7は、船首に近い側と船尾に近い側との両方から乗客が寄り掛かることが可能となっている。
【0021】
背もたれ部7は、船殻構造物6に固定されている。言い換えれば、背もたれ部7は、船殻構造物6に対し相対移動不能に取り付けられている。本実施形態で例示する背もたれ部7は、船殻構造物6と、座席部11との両方に固定されている。また、本実施形態の背もたれ部7は、乗客と接する部分に所定厚さのクッション材(図示せず)を有している。
【0022】
さらに、背もたれ部7は、斜め上方を向く傾斜面18を有している。本実施形態で例示する背もたれ部7は、船首に近い側と船尾に近い側との両方に傾斜面18を有している。これら傾斜面18は、
図3の姿勢で座った状態の乗客の背中を支える面となる。傾斜面18の傾斜角度としては、例えば、座席面12に接する背もたれ部7の最下部の厚さを300mm程度、背もたれ部7の最上部の厚さを150mm程度として、これら最下部と最上部とを平面で繋いだ際の傾斜角度を例示できる。
【0023】
なお、傾斜面18の傾斜角度は、上記角度に限られず適宜変更することができる。また、傾斜面18は、平面に限られない。傾斜面18は、全体的に斜め上方を向いていればよく、例えば、乗客一人分の幅寸法に応じた凹曲面を背もたれ部7の延びる方向に複数備えるようにしてもよい。上記のように本実施形態ではクッション材を備えているため、本実施形態の傾斜面18は、クッション材の表面に形成されている。
【0024】
図2に示すように、居室5の側壁部10は、居室5内側の壁面に壁面背もたれ部20を更に備えている。
図3、
図4に示すように、この壁面背もたれ部20は、上述した背もたれ部7と同様に、居室5に入室した乗客が寄り掛かるために設けられている。本実施形態の壁面背もたれ部20は、側壁部10と、座席部11とに固定されている。壁面背もたれ部20は、例えば、上述した背もたれ部7と同じ高さ寸法で形成することができる。さらに、壁面背もたれ部20は、斜め上方を向く傾斜面21を有している。この傾斜面21は、上述した背もたれ部7の傾斜面18と同一の傾斜角度とすることができる。
【0025】
なお、壁面背もたれ部20の高さ寸法は、背もたれ部7の高さ寸法と異なってもよく、又、傾斜面21の傾斜角度は、傾斜面18の傾斜角度と異なっていてもよい。また、壁面背もたれ部20は、側壁部10にのみ固定されるようにしてもよい。さらに、壁面背もたれ部20が右舷側側壁部10Rと左舷側側壁部10Lとに設けられている場合を例示したが、壁面背もたれ部20が設けられる場所は、側壁部10であれば右舷側側壁部10Rと左舷側側壁部10Lとに限られない。
【0026】
(作用効果)
上記第一実施形態の船舶1は、上方の甲板8及び下方の甲板9と、これら上方の甲板8及び下方の甲板9の間に設けられた側壁部10とによって区画された居室5と、居室5における側壁部10から離れた箇所で、下方の甲板9と上方の甲板8とにわたって延びる船殻構造物6と、居室5内で船殻構造物6に固定された背もたれ部7と、を備えている。
このように構成することで、大部屋式の居室5を背もたれ部7により区分けしたように見せることができるため、居室5の中央スペースに他の乗客が居ることによる圧迫感を軽減することができる。したがって、後から入室しようとした乗客が客室の利用を躊躇してしまうことを抑制できる。
【0027】
さらに、居室5の中央スペースにいる乗客が背もたれ部7に寄り掛かることができるため、乗客の体への負担を軽減することが可能となる。
また、大部屋式の居室5の中央スペースに設けられた船殻構造物6に背もたれ部7が固定されているため、この背もたれ部7によって船殻構造物6の視認性を向上することができる。したがって、乗客とりわけ幼児などに船殻構造物6の存在を気付かせることができるため、乗客が船殻構造物6へ衝突することを抑制することができる。
【0028】
上記第一実施形態の背もたれ部7は、更に、船殻構造物6の上下方向の中央位置よりも下方の甲板9に近い側にのみ設けられている。
したがって、船殻構造物6の外面すべてが覆われている場合と比較して、背もたれ部7よりも上方を居室5内に露出させることができるため、居室5の意匠性を向上することができる。
【0029】
上記第一実施形態の背もたれ部7は、更に、船殻構造物6の周囲を囲むように設けられ、船殻構造物6に固定されている。
したがって、背もたれ部7により船殻構造物6への乗客の接触を抑制できる。また、少なくとも船殻構造物6により背もたれ部7を支えることができるため、背もたれ部7の厚さを低減して、居室5の中央スペースが減少することを抑制できる。
【0030】
上記第一実施形態の背もたれ部7は、更に、下方の甲板9に沿って船殻構造物6から離間する方向に延びて、船殻構造物6と座席部11とに固定されている。
したがって、背もたれ部7を船殻構造物6のみや、座席部11のみに固定する場合と比較して、背もたれ部7の大型化を抑制しつつ、より強固に固定することが可能となる。
【0031】
上記第一実施形態の背もたれ部7は、更に、座席部11に乗客が座った状態で寄り掛かることが可能な高さに設けられている。
これにより、座席部11に座った乗客が背もたれ部7に寄り掛かることができるため、乗客の体への負担を軽減して長時間座り続けることが可能となる。
【0032】
上記第一実施形態の背もたれ部7は、更に、斜め上方を向く傾斜面18を有している。
これにより、背もたれ部7の傾斜面18を、座った姿勢の乗客の背中に沿わせることができるため、快適性を向上することができる。また、背もたれ部7がテレビ17に対向している場合には、テレビ17を視聴するのに適した姿勢を容易にとることが可能となる。
【0033】
上記第一実施形態の船舶1は、側壁部10の壁面に壁面背もたれ部20を更に備えている。
これにより、乗客が側壁部10に楽に寄り掛かることができるため、居室5の中央スペースに乗客が集中することを抑制できる。
【0034】
(第一実施形態の第一変形例)
図5は、本開示の第一実施形態の第一変形例における背もたれ部の斜視図である。
上述した第一実施形態では、船殻構造物6から右舷に向かって背もたれ部7が延びている場合について説明した。つまり、背もたれ部7の長さ方向の一端に船殻構造物6が配置される場合を説明した。しかし、背もたれ部7に対する船殻構造物6の配置は、上述した第一実施形態の配置に限られない。例えば、
図5に示す第一実施形態の第一変形例のように、背もたれ部7の長さ方向の中央部に船殻構造物6が配置されていてもよい。
【0035】
(第一実施形態の第二変形例)
図6は、本開示の第一実施形態の第二変形例における背もたれ部の斜視図である。
上述した第一実施形態では、船殻構造物6から右舷に向かって背もたれ部7がテレビ17に対向する位置まで延びている場合について説明した。しかし、船殻構造物6の長さは、第一実施形態の長さに限られず、適宜長さを変更してもよい。例えば、
図6に示す第一実施形態の第二変形例のように、複数の背もたれ部27を直列に連結可能に構成することで背もたれ部全体の長さを調整可能としてもよい。
【0036】
(第一実施形態の第三変形例)
図7は、本開示の第一実施形態の第三変形例における背もたれ部の斜視図である。
上述した第一実施形態では、背もたれ部7が座席面12の位置から上方に向かって延びている場合について説明した。しかし、背もたれ部7は、座席面12の位置から上方に向かって延びるものに限られない。例えば、
図7に示す第一実施形態の第三変形例のように、座席面12よりも上方の位置から上方に向かって延びていてもよい。この場合、背もたれ部7の下縁と座席面12との間隙は、例えば、300mmから500mmを例示できる。なお、壁面背もたれ部20も同様に、座席面12よりも上方の位置から上方に向かって延びていてもよい。
【0037】
(第一実施形態の第四変形例)
図8は、本開示の第一実施形態の第四変形例における居室の平面図である。
上述した第一実施形態では、居室5に一つの船殻構造物6が設けられ、この船殻構造物6に設けられた一つの背もたれ部7が固定されている場合について説明した。しかし、一つの居室5に設けられる船殻構造物6の数や背もたれ部7の数は、上述したものに限られない。
【0038】
第一実施形態で例示した居室5よりも広いスペースを有した大部屋式の居室5の場合、例えば、
図8に示す第一実施形態の第四変形例のように、船殻構造物6が複数設けられている場合がある。この場合は、複数の船殻構造物6のそれぞれに背もたれ部7を設けるようにしてもよい。この第一実施形態の第四変形例で例示する居室5には、船幅方向Dwに間隔をあけた左右対称な位置に船殻構造物6がそれぞれ設けられ、船尾側側壁部10Aの船幅方向Dwの中央部に一つだけテレビ17が設けられている。そして、複数の背もたれ部7のテレビ17に近い側の傾斜面18が、平面視でテレビ17の方向を向くように、船幅方向Dwの中央部に向かうに従って船首に近づくように延びている。また、この第四変形例の背もたれ部7は、それぞれ船殻構造物6から船幅方向Dwの中央部に向かって延びている。
【0039】
(第一実施形態の第五変形例)
図9は、本開示の第一実施形態の第五変形例における背もたれ部を上方から見た平面図である。
上述した第一実施形態では、背もたれ部7が船殻構造物6及び座席面12に対して相対変位不能に固定されている場合を一例にして説明した。しかし、
図9に示す第一実施形態の第五変形例の背もたれ部37のように、船殻構造物6の軸線22回りに揺動可能にしてもよい。この第五変形例の背もたれ部37は、ロック機構25を有している。ロック機構25は、背もたれ部37の揺動を許容する状態と、背もたれ部37の揺動を規制する状態とに切替可能となっている。つまり、この第五変形例では、背もたれ部37を揺動させることで背もたれ部37を所望の角度にすることができ、さらに、ロック機構25により揺動を規制することで、所望の角度にした背もたれ部37に乗客が寄りかかることが可能となる。なお、
図9では、ロック機構25を船殻構造物6とは反対側の端部37tに近い側に配する場合を例示しているが、ロック機構25の位置は端部37tに近い側に限られない。
【0040】
(第二実施形態)
次に、本開示の第二実施形態を図面に基づき説明する。この第二実施形態の船舶は、上述した第一実施形態の第四変形例に係る船舶1に対して背もたれ部の構成のみが異なる。そのため、上述した第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複する説明を省略する。
【0041】
図10は、本開示の第二実施形態における居室の平面図である。
図11は、本開示の第二実施形態における背もたれ部の斜視図である。
図10に示すように、第二実施形態に係る船舶1の船体2は、上述した第一実施形態と同様に、乗客が使用する居室105を少なくとも備えている。この居室105は、上述した第一実施形態の居室5と同様に、いわゆる大部屋式の客室であって、複数の乗客が靴を脱いで入室し、寝たり座ったりすることが可能となっている。この第二実施形態の船舶1は、船体2と、居室105と、船殻構造物6と、背もたれ部107と、を少なくとも備えている。なお、この第二実施形態の船舶1も、第一実施形態と同様に壁面背もたれ部20を有しているが、壁面背もたれ部20の詳細説明は省略する。
【0042】
図10、
図11に示すように、居室105は、上下に隣り合う上方の甲板8及び下方の甲板9と、上方の甲板8と下方の甲板9との間に設けられた側壁部10とによって区画されている。また、居室105は、第一実施形態と同様に、下方の甲板9上に、座席面12を形成する座席部11を備えている。
【0043】
この第二実施形態の居室105は、第一実施形態の第四変形例における居室5と同様に、第一実施形態で例示した居室5よりも広いスペースを有した大部屋式の客室である場合を例示している。この第二実施形態の居室105は、船体2の中央部よりも左舷に近い位置から船体2の中央部よりも右舷に近い位置に至るように形成されている。また、第二実施形態の居室105は、船幅方向Dwで対称な形状をなしている。また、居室105には、船尾側側壁部10Aの船幅方向Dwの中央部に一つだけテレビ17が設けられている。なお、第二実施形態の居室105の形状は、一例であって、上記形状に限られない。
【0044】
図10に示すように、船殻構造物6は、居室105の側壁部10から離れた箇所である中央スペースに設けられている。船殻構造物6は、いわゆる支柱であって、大部屋式の居室105の構造強度を担保するために設けられている。船殻構造物6は、下方の甲板9と上方の甲板8とにわたって延びている。この船殻構造物6の下端は、下方の甲板9に固定され、船殻構造物の上端は、上方の甲板8に固定されている。この第二実施形態の船殻構造物6は、居室105において船幅方向Dwに間隔をあけた左右対称な位置に配置されている。
【0045】
背もたれ部107は、居室105に入室した乗客が、居室105の中央スペースで寄り掛かるために設けられている。背もたれ部107は、居室105内で船殻構造物6に固定されている。第二実施形態の背もたれ部107は、船殻構造物6の周囲を囲むように設けられている。この背もたれ部107は、第一実施形態の背もたれ部7のように下方の甲板9に沿って船殻構造物6から離間する方向に延びていない点で相違している。
【0046】
図10、
図11に示すように、背もたれ部107は、座席部11に乗客が座った状態で寄り掛かることが可能な高さ寸法で形成されている。一方で、背もたれ部107よりも上方の位置では、上記の船殻構造物6の外面が居室5内に露出した状態となっている。背もたれ部107は筒状に形成され、その外径は、下縁から上縁に向かって漸次減少している。言い換えれば、背もたれ部107の外形は、上方に向かって縮径された円錐台状をなしており、その中心を船殻構造物6が通っている。ここで、座席部11に乗客が座った状態で寄り掛かることが可能な高さとしては、第一実施形態と同様に、座席面12の位置を0mmとすると、300mmから800mmの高さを例示できる。さらに、背もたれ部7の高さは、400mmから700mmとしてもよく、500mmから600mmとするのがより好ましい。
【0047】
背もたれ部107は、船殻構造物6に固定されている。言い換えれば、背もたれ部107は、船殻構造物6に対し相対移動不能に取り付けられている。さらに、背もたれ部107は、第一実施形態の背もたれ部7と同様に、船殻構造物6に加えて座席部11にも固定されている。また、本実施形態の背もたれ部7は、乗客と接する部分に所定厚さのクッション材(図示せず)を有している。なお、背もたれ部107が座席部11に固定されている場合について説明したが、背もたれ部107は、座席部11に固定される構成に限られず、例えば、座席部11に固定しない構成であってもよい。
【0048】
背もたれ部107は、斜め上方を向く傾斜面118を有している。傾斜面118は、
図11の姿勢で座った状態の乗客の背中を支える面となる。傾斜面118の傾斜角度としては、例えば、座席面12に接する背もたれ部107の最下部の外径を300mm程度、背もたれ部7の最上部の外径を150mm程度とした際の傾斜角度を例示できる。なお、傾斜面118の傾斜角度は、上記角度に限られず適宜変更することができる。また、第二実施形態の背もたれ部107も第一実施形態の背もたれ部7と同様にクッション材(図示せず)を備えているため、傾斜面118は、クッション材の表面に形成されている。
【0049】
この第二実施形態の居室105には、第一実施形態と同一構成の壁面背もたれ部20が設けられている。第二実施形態の壁面背もたれ部20の高さ寸法は、背もたれ部107の高さ寸法と同一となっており、壁面背もたれ部20の傾斜面21の傾斜角度は、背もたれ部107の傾斜面118の傾斜角度と同一になっている。なお、壁面背もたれ部20の高さ寸法は、壁面背もたれ部20の高さ寸法と異なってもよく、又、壁面背もたれ部20の傾斜面21の傾斜角度は、傾斜面118の傾斜角度と異なっていてもよい。
【0050】
(作用効果)
したがって、第二実施形態によれば、第一実施形態と同様に、大部屋式の居室105を背もたれ部107により区分けしたように見せることができるため、居室105の中央スペースに他の乗客が居ることによる圧迫感を軽減することができる。したがって、後から入室しようとした乗客が客室の利用を躊躇してしまうことを抑制できる。
さらに、居室105の中央スペースにいる乗客が背もたれ部107に寄り掛かることができるため、乗客の体への負担を軽減することが可能となる。
【0051】
また、大部屋式の居室105の中央スペースに設けられた船殻構造物6に背もたれ部107が固定されているため、この背もたれ部107によって船殻構造物6の視認性を向上することができる。したがって、乗客とりわけ幼児などに船殻構造物6の存在を気付かせることができるため、乗客が船殻構造物6へ衝突することを抑制することができる。
【0052】
上記第二実施形態によれば、第一実施形態と同様に、船殻構造物6の外面すべてが覆われている場合と比較して、背もたれ部107よりも上方を居室105内に露出させることができるため、居室105の意匠性を向上することができる。
さらに、少なくとも船殻構造物6により背もたれ部107を支えることができるため、背もたれ部107の厚さを低減して、居室105の中央スペースが減少することを抑制できる。また、第二実施形態によれば、背もたれ部107が船殻構造物6の周囲にのみ設けられているため、第一実施形態の背もたれ部7,27,37よりも居室105の中央スペースを拡大することが可能となる。
【0053】
さらに、上記第二実施形態によれば、背もたれ部107が、座席部11に乗客が座った状態で寄り掛かることが可能な高さに設けられているため、座席部11に座った乗客の体への負担を軽減して長時間座り続けることが可能となる。
また、傾斜面118を備えることで、座った姿勢の乗客の背中に沿わせることができるため、快適性を向上することができる。
【0054】
(第二実施形態の変形例)
図12は、本開示の第二実施形態における背もたれ部を上方から見た平面図である。
上記第二実施形態では、背もたれ部107の外形が円錐台状、すなわち船殻構造物6の延びる方向と垂直な断面形状が円形をなす場合を一例にして説明した。しかし、背もたれ部107の船殻構造物6の延びる方向と垂直な断面形状は、円形に限られない。例えば、
図12に示す第二実施形態の変形例の背もたれ部127のように、船殻構造物6の延びる方向と垂直な断面形状が、多角形状(
図12では、六角形状の場合を例示している)としてもよい。
【0055】
また、第二実施形態では、背もたれ部107が座席面12の位置から上方に向かって延びている場合を例示した。しかし、背もたれ部107は、座席面12の位置から上方に向かって延びるものに限られない。第一実施形態の第三変形例と同様に、背もたれ部107は、座席面12よりも上方の位置から上方に向かって延びていてもよい。この場合、背もたれ部107の下縁と座席面12との間隙は、例えば、300mmから500mmを例示できる。
【0056】
(他の実施形態)
本開示は上述した各実施形態及び各変形例の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
【0057】
例えば、上述した各実施形態及び各変形例では、背もたれ部7,27,37,107,127が船殻構造物6の上下方向の中央位置よりも下方の甲板9に近い側にのみ設けられる場合について説明した。しかし、背もたれ部7,27,37,107,127は、船殻構造物6の上下方向の中央位置よりも上方にまで設けられていてもよい。
【0058】
さらに、上述した各実施形態及び各変形例では、背もたれ部7,27,37,107,127が船殻構造物6と座席部11との両方に固定される場合について説明したが、背もたれ部7,27,37,107,127は、船殻構造物6にのみ固定されるようにしてもよい。
【0059】
上述した第一実施形態、第一実施形態の各変形例では、背もたれ部7,27,37が傾斜面18を有している場合について説明した。また、第二実施形態、及び第二実施形態の変形例では、背もたれ部107が傾斜面118を有する場合について説明した。しかし、背もたれ部7,27,37,107,127は、斜め上方を向く傾斜面18,118を有さない構成とすることもできる。
【0060】
上述した各実施形態及び各変形例では、背もたれ部7,27,37,107,127が船殻構造物6の周囲を連続して囲むように設けられている場合について説明したが、背もたれ部7,27,37,107,127は、船殻構造物6を囲む部分の一部にスリットや貫通孔等が形成された、船殻構造物6の周囲を断続的に囲む構成としてもよい。
【0061】
さらに、上述した各実施形態及び各変形例では、乗客が靴を脱いで座席面12上で座ったり寝そべったりする居室5,105の使用形態を説明したが、この使用形態に限られない。例えば、乗客が立ったまま使用する形態としてもよい。この場合、背もたれ部7,27,37,107,127は、立った状態の乗客が寄りかかることが可能な高さ寸法とすればよい。
【0062】
また、上述した各実施形態及び各変形例では、背もたれ部7,27,37,107,127がクッション材を備える場合を一例にして説明した。しかし、クッション材を省略して、乗客と接する面には、硬質な合成樹脂等を用いるようにしてよい。
さらに、上述した各実施形態及び各変形例の背もたれ部7,27,37,107,127の表面には、視認性を高めるために、黄色と黒による斜めのストライプ模様等を施すようにしてもよい。
【0063】
また、上述した各実施形態及び各変形例で例示した背もたれ部7,27,37,107,127や、壁面背もたれ部20は、適宜組み合わせて用いるようにしてもよい。
【0064】
<付記>
実施形態に記載の船舶1は、例えば以下のように把握される。
【0065】
(1)第1の態様によれば船舶は、船体2と、前記船体2内に設けられ、上下に隣り合う二つの甲板8,9と、二つの前記甲板8,9の間に設けられた側壁部10とによって区画された居室5,105と、前記居室5,105における前記側壁部10から離れた箇所で、下方の前記甲板9と上方の前記甲板8とにわたって延びる船殻構造物6と、前記居室5,105内で前記船殻構造物6に固定された背もたれ部7,27,37,107,127と、を備える。
船舶1の例としては、フェリーや貨客船が挙げられる。
【0066】
これにより、居室5,105の中央スペースに他の乗客が居ることによる圧迫感を軽減することができ、後から入室しようとした乗客が客室の利用を躊躇してしまうことを抑制できる。また、背もたれ部7,27,37,107,127によって船殻構造物6の視認性を向上することができるため、乗客とりわけ幼児などに船殻構造物6の存在を気付かせることができるため、乗客が船殻構造物6へ衝突することを抑制することができる。
【0067】
(2)第2の態様によれば船舶1は、(1)の船舶1であって、前記背もたれ部7,27,37,107,127は、前記船殻構造物6の上下方向の中央位置よりも下方の前記甲板9に近い側にのみ設けられている。
これにより、船殻構造物6の外面すべてが覆われている場合と比較して、背もたれ部7,27,37,107,127よりも上方を居室5内に露出させることができるため、居室5の意匠性を向上することができる。
【0068】
(3)第3の態様によれば船舶1は、(1)又は(2)の船舶1であって、前記背もたれ部7,27,37,107,127は、前記船殻構造物6の周囲を囲むように設けられ、前記船殻構造物6に固定されている。
これにより、船殻構造物6への乗客の接触を抑制できる。また、少なくとも船殻構造物6により背もたれ部7,27,37,107,127を支えることができるため、背もたれ部7の厚さを低減して、居室5の中央スペースが減少することを抑制できる。
【0069】
(4)第4の態様によれば船舶1は、(1)から(3)の何れか一つの船舶1であって、下方の前記甲板9上に設けられて前記居室5,105の座席面12を形成する座席部11を備え、前記背もたれ部7,27,37,107,127は、前記船殻構造物6と前記座席部11とに固定されている。
これにより、背もたれ部7,27,37,107,127を船殻構造物6のみや、座席部11のみに固定する場合と比較して、背もたれ部7,27,37,107,127の大型化を抑制しつつ、より強固に固定することが可能となる。
【0070】
(5)第5の態様によれば船舶1は、(1)から(3)の何れか一つの船舶1であって、下方の前記甲板9上に設けられて前記居室5の座席面12を形成する座席部11を備え、前記背もたれ部7,27,37は、下方の前記甲板9に沿って前記船殻構造物6から離間する方向に延び、前記船殻構造物6と前記座席部11とに固定されている。
これにより、背もたれ部7,27,37を船殻構造物6のみや、座席部11のみに固定する場合と比較して、背もたれ部7,27,37の大型化を抑制しつつ、より強固に固定することが可能となる。
【0071】
(6)第6の態様によれば船舶1は、(4)又は(5)の船舶1であって、前記背もたれ部7,27,37,107,127は、前記座席部11に乗客が座った状態で寄り掛かることが可能な高さに設けられている。
これにより、座席部11に座った乗客が背もたれ部7,27,37,107,127に寄り掛かることができるため、乗客の体への負担を軽減して長時間座り続けることが可能となる。
【0072】
(7)第7の態様によれば船舶1は、(1)から(6)の何れか一つの船舶1であって、前記背もたれ部7,27,37,107,127は、斜め上方を向く傾斜面18,118を有する。
これにより、乗客に接触する背もたれ部7,27,37,107,127の面を、座った姿勢の乗客の背中に沿わせることができるため、快適性を向上することができる。
【0073】
(8)第8の態様によれば船舶1は、(1)から(7)の何れか一つの船舶1であって、前記側壁部10の壁面に壁面背もたれ部20を更に備える。
これにより、乗客が側壁部10に楽に寄り掛かることができるため、居室5,105の中央スペースに乗客が集中することを抑制できる。
【符号の説明】
【0074】
1…船舶 2…船体 3…上甲板 4…上部構造 5,105…居室 6…船殻構造物 7,27,37,107…背もたれ部 8…上方の甲板 9…下方の甲板 10…側壁部 10F…船首側側壁部 10A…船尾側側壁部 10L…左舷側側壁部 10R…右舷側側壁部 10RS…傾斜壁部 11…座席部 12…座席面 13…階段 14…出入口 14A…下駄箱 17…テレビ 18,118…傾斜面 20…壁面背もたれ部 21…傾斜面 22…軸線 25…ロック機構 37t…端部 FA…船首尾方向 Dw…船幅方向