(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043032
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】浴室の排水装置
(51)【国際特許分類】
E03C 1/22 20060101AFI20240322BHJP
F03B 17/06 20060101ALI20240322BHJP
E03C 1/20 20060101ALI20240322BHJP
【FI】
E03C1/22 Z
F03B17/06
E03C1/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148002
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】荒木 洋一
【テーマコード(参考)】
2D061
3H074
【Fターム(参考)】
2D061DA01
2D061DE01
2D061DE10
2D061DE17
3H074AA10
3H074AA12
3H074BB17
3H074CC11
(57)【要約】
【課題】従来のものでは、ビル内の排水管の内、垂直部分に発電機を介設しているので、排水中のゴミなどが発電機に詰まって発電機を閉塞させるような状況が発生した場合に、発電機内のゴミを除去するのではなく、予め発電機をバイパスする管路を設けておき、排水をそのバイパス管路を通して流すように設定されており、発電機内のゴミを除去して発電機を復活させることができない。
【解決手段】排水口と水抜き口との間にチャンバ部を設け、このチャンバ部内に、水抜き口から流れてくる湯水によって回転する水車を収納すると共に、チャンバ部の外側に、この水車の回転力によって発電する発電部および圧縮空気を吐出するコンプレッサ部の少なくとも一方を設け、上記チャンバー部から上記水車を取り出し自在に設けることにより水車を取り外した状態でチャンバ部内の清掃を行い得るようにした。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の水抜き口から排水管へ浴槽内の湯水を排水する管路が設けられており、浴室の洗い場の床面の湯水を上記排水管へ導く排水口が上記管路途中に設けられている浴室の排水装置において、上記排水口と水抜き口との間にチャンバ部を設け、このチャンバ部内に、水抜き口から流れてくる湯水によって回転する水車を収納すると共に、チャンバ部の外側に、この水車の回転力によって発電する発電部および圧縮空気を吐出するコンプレッサ部の少なくとも一方を設け、上記チャンバー部から上記水車を取り出し自在に設けることにより水車を取り外した状態でチャンバ部内の清掃を行い得るようにしたことを特徴とする浴室の排水装置。
【請求項2】
上記チャンバ部は上方に開口しており、上記水車をこの開口から出し入れすると共に、この開口を着脱自在であって水密に閉鎖する蓋体を設けたことを特徴とする浴室の排水構造。
【請求項3】
上記発電部およびコンプレッサ部はチャンバ部の下方に設けられており、これら発電部およびコンプレッサ部の回転軸はチャンバ部の底面から突出され、上記水車はこの回転軸に対して上方から着脱するように構成され、かつ、上記蓋体の内側は上記水車の上方への浮き上がりを防止する押さえ部を設けたことを特徴とする請求項2に記載の浴室の排水構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽内の湯水を排水する際に、排水の流れからエネルギを回収する浴室の排水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のものとして、ビル内の配管の内、上方階の排水を下方階へと導く垂直な排水管の途中に、排水管内を落下する排水の速度を緩めると共に排水からエネルギを回収するために、排水で回転する水車を備えた発電システムを設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-31918号公報(
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のものでは、ビル内の排水管の内、垂直部分に発電機を介設しているので、排水中のゴミなどが発電機に詰まって発電機を閉塞させるような状況が発生した場合に、発電機内のゴミを除去するのではなく、予め発電機をバイパスする管路を設けておき、排水をそのバイパス管路を通して流すように設定されており(段落[0026])、発電機内のゴミを除去して発電機を復活させることができない。
【0005】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、排水管路途中に解説した水車部分にゴミなどが詰まっても容易に除去し、清掃することのできる浴室の排水装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明による浴室の排水装置は、浴槽の水抜き口から排水管へ浴槽内の湯水を排水する管路が設けられており、浴室の洗い場の床面の湯水を上記排水管へ導く排水口が上記管路途中に設けられている浴室の排水装置において、上記排水口と水抜き口との間にチャンバ部を設け、このチャンバ部内に、水抜き口から流れてくる湯水によって回転する水車を収納すると共に、チャンバ部の外側に、この水車の回転力によって発電する発電部および圧縮空気を吐出するコンプレッサ部の少なくとも一方を設け、上記チャンバー部から上記水車を取り出し自在に設けることにより水車を取り外した状態でチャンバ部内の清掃を行い得るようにしたことを特徴とする。
【0007】
上記チャンバ部は排水口と水抜き口との間に設けられているので浴室内に位置することになる。従って、上述のようにチャンバ部から水車を取り外せば浴室内からチャンバ部にアクセスしてチャンバ部内を清掃することができる。
【0008】
特に、上記チャンバ部は上方に開口しており、上記水車をこの開口から出し入れすると共に、この開口を着脱自在であって水密に閉鎖する蓋体を設ければ、チャンバ部周辺に浴槽内の湯水が触れることを防止でき、浴槽内の湯水に含まれる洗剤などによってチャンバ部の周囲の素材が劣化することを防止できる。
【0009】
また、水車がチャンバ部内で上下に移動すると回転時に異音の発生原因となる。このような場合には、上記発電部およびコンプレッサ部はチャンバ部の下方に設けられており、これら発電部およびコンプレッサ部の回転軸はチャンバ部の底面から突出され、上記水車はこの回転軸に対して上方から着脱するように構成され、かつ、上記蓋体の内側は上記水車の上方への浮き上がりを防止する押さえ部を設ければよい。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明は、浴槽内の湯水を排水する際にエネルギの回収を行える。そして、その際湯水が流れるチャンバ部にゴミなどが詰まっても容易にチャンバ部内を清掃できるので、長時間継続してエネルギを回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照して、1は浴槽であり、内部に湯水を溜めて入浴の用に供する。そして、入浴が終了すると内部の湯水を、底部に設けられた水抜き口11から外部へと排水する。排水された湯水は最終的に排水管31へと流れるが、水抜き口11に直結する排水管12は一旦チャンバ部21に接続されている。従って、浴槽1内の湯水はこのチャンバ部21内に流れ込むことになる。このチャンバ部21には更に排水管33が配管されており、チャンバ部21内に流れ込んだ湯水はこの排水管33を通って排水トラップ3に流れ込んだ後に上述の排水管31を介して図外の下水へと流れる。
【0013】
上記チャンバ部21の上部には開閉自在のねじ式の蓋部22が螺合されており、通常はチャンバ部21の上部は開口していないが、この蓋部22を回動させればチャンバ部21から取り外してチャンバ部21を上方に開口させることができる。通常は排水トラップ3とチャンバ部21の蓋部22は共に蓋板32によって各区されているが、上述のように蓋部22を回動する際にはこの蓋板32を取り外すことによって容易に蓋部22を回動することができる。
【0014】
チャンバ部21の下方にはコンプレッサ23と発電機24とが敷設されている。
図2および
図3に示すように、チャンバ部21内には回転翼を備えた水車26が備えられている。そして、この水車26は上記排水管33から流れ込む湯水によって回転される。流れ込んだ湯水は上記排水管33を介してチャンバ部21から流出するので、排水管12からチャンバ部21へと湯水が流れ込むかぎり水車26は回転し続ける。
【0015】
水車26の中心に位置する中心軸27は上記コンプレッサ23および発電機24の共通の回転軸25に対してスプライン構造を介して嵌め合わされている。このスプライン構造は回転トルクは伝達するが、中心軸27が上方へ抜けることは許容している。ただし、水車26が回転中に水車26が上下方向に振動しないように、中心軸27は蓋部22の内側に設けた押さえ突起8によって上方への移動が規制されている。
【0016】
上述のように、浴槽1からの湯水によって水車26が回転すると、コンプレッサ23および発電機24が稼働する。コンプレッサ23が生成する圧縮空気はタンクに一時保存され、シャワーの吐出圧力の増圧などに使用される。また、発電機24が生成する電力はコンデンサなどに蓄電された後、非常灯の点灯用電源等として利用される。
【0017】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0018】
1 浴槽
3 排水トラップ
21 チャンバ部
22 蓋部
23 コンプレッサ
24 発電機
26 水車
33 排水管