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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024043053
(43)【公開日】2024-03-29
(54)【発明の名称】医療システムおよび医療装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 30/00 20180101AFI20240322BHJP
【FI】
G16H30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022148034
(22)【出願日】2022-09-16
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金川 隆生
(72)【発明者】
【氏名】村上 正樹
(72)【発明者】
【氏名】石井 浩
(72)【発明者】
【氏名】中村 将太
(72)【発明者】
【氏名】篠川 光正
(72)【発明者】
【氏名】小林 千尋
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA26
(57)【要約】
【課題】医療装置のディスプレイに表示された治療情報を端末に送信する際に、当該治療情報の保全性を向上させる。
【解決手段】医療システム1は、医療装置10と、端末20とを備えている。端末20は、ネットワーク5を介して医療装置10と所定のデータを送受信可能である。医療装置10は、第1コントローラ11と、第1ディスプレイ12とを含んでいる。第1コントローラ11は、医療装置10によって取得される治療情報に基づく第1画像データを生成する。第1ディスプレイ12は、第1画像データに基づく第1の画像1Gを表示する。第1コントローラ11は、端末20から受信した要求に応じて、表示された第1の画像1Gと実質的に同一の画像を端末20で表示するための第2画像データを生成し、第2画像データをネットワーク5を介して端末20に送信する。端末20は、第2画像データを受信すると、第2画像データに基づく第2の画像2Gを表示する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置と、
ネットワークを介して前記医療装置と所定のデータを送受信可能な端末とを備え、
前記医療装置は、
前記医療装置によって取得される治療情報に基づく第1画像データを生成する第1コントローラと、
前記第1画像データに基づく第1の画像を表示する第1ディスプレイとを含み、
前記第1コントローラは、前記端末から受信した要求に応じて、表示された前記第1の画像と実質的に同一の画像を前記端末で表示するための第2画像データを生成し、該第2画像データを前記ネットワークを介して前記端末に送信し、
前記端末は、前記第2画像データを受信すると、前記第2画像データに基づく第2の画像を表示する、医療システム。
【請求項2】
前記端末は、
所定のソフトウェアにより前記端末を制御可能な第2コントローラと、
前記ソフトウェアによって前記第2の画像を表示する第2ディスプレイと、
表示された前記第2の画像に基づくユーザ入力を受け付ける端末入力部とを含み、
前記第2コントローラは、前記ユーザ入力に基づく入力データを前記医療装置に送信し、
前記第1コントローラは、受信した前記入力データに基づき前記医療装置を制御する、請求項1に記載の医療システム。
【請求項3】
前記ユーザ入力は、表示された前記第2の画像上の位置の選択であり、
前記入力データは、前記第2の画像上の前記位置を示す座標値であり、
前記第1コントローラは、受信した前記座標値に基づき、前記第2の画像に含まれる複数の第2オブジェクトのうちどの前記第2オブジェクトが選択されたかを判断し、前記医療装置に対して、選択された前記第2オブジェクトに対応付けられた処理を実行する、請求項2に記載の医療システム。
【請求項4】
前記医療装置は、前記第1の画像に含まれる少なくとも1つの第1オブジェクトの選択を受け付ける入力部をさらに含み、
前記第1コントローラは、前記医療装置に対して、選択された前記第1オブジェクトに対応づけられた処理を実行可能に構成され、
前記第1オブジェクトに対応付けられた処理のうちの少なくとも一部の処理は、前記第2オブジェクトの選択によって処理が実行できないように設定可能である、請求項3に記載の医療システム。
【請求項5】
前記第1コントローラは、所定の時間間隔ごとに前記第2画像データを生成し、該第2画像データを前記ネットワークを介して前記端末に送信する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項6】
前記ソフトウェアは、Webブラウザソフトウェアである、請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項7】
前記ネットワークに接続されたサーバをさらに備え、
前記サーバは、前記端末が前記ネットワークを介して前記医療装置と所定のデータを送受信する前に、前記端末に対して所定の認証を行う、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項8】
前記ネットワークに接続されたサーバと、
複数の前記医療装置として、第1医療装置および第2医療装置とをさらに備え、
前記サーバは、前記端末に対して、前記第1医療装置または前記第2医療装置のいずれから前記第2画像データを受信するかを選択させるためのデータを送信する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の医療システム。
【請求項9】
ネットワークを介して端末と所定のデータを送受信可能な医療装置であって、
前記医療装置によって取得される治療情報に基づく第1画像データを生成する第1コントローラと、
前記第1画像データに基づく第1の画像を表示する第1ディスプレイとを備え、
前記第1コントローラは、前記端末から受信した要求に応じて、表示された前記第1の画像と実質的に同一の画像を前記端末で表示するための第2画像データを生成し、該第2画像データを前記ネットワークを介して前記端末に送信する、医療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医療システムおよび医療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2014-155540号公報(特許文献1)には、医療用モニタシステムが開示されている。当該医療用モニタシステムは、ネットワークに接続された複数の生体情報表示装置と、当該生体情報表示装置との間で無線通信可能な携帯端末とを備えている。生体情報表示装置は、表示部と、送信手段とを備えている。表示部は、測定された患者の生体情報が表示される表示画面である。送信手段は、測定された患者の生体情報の値が予め定められた閾値を超えたときにアラーム情報を送信する。携帯端末は、上記送信手段から送信されたアラーム情報を受信可能な受信手段を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-155540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ディスプレイを備える医療装置において、当該ディスプレイに表示された治療情報を、遠隔地で確認したいというニーズがある。遠隔地としては、たとえば、病院内において医療装置が配置された病室(たとえば集中治療室(ICU:Intensive Care Unit))とは異なる部屋(たとえばナースステーション)、または、医師の自宅などが挙げられる。
【0005】
そこで、医療装置から、当該医療装置とは異なる端末に、ネットワークを介してディスプレイに表示された治療情報に関するデータを送信することが考えられる。ただし、当該データを受信した端末にて確認される治療情報は、その性質上、データの送信中において破壊および改ざんがされていないことが重要となる。
【0006】
本開示は上記の課題に鑑みてなされたものであり、医療装置のディスプレイに表示された治療情報を端末に送信する際に、当該治療情報の保全性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に基づく医療システムは、医療装置と、端末とを備えている。端末は、ネットワークを介して医療装置と所定のデータを送受信可能である。医療装置は、第1コントローラと、第1ディスプレイとを含んでいる。第1コントローラは、医療装置によって取得される治療情報に基づく第1画像データを生成する。第1ディスプレイは、第1画像データに基づく第1の画像を表示する。第1コントローラは、端末から受信した要求に応じて、表示された第1の画像と実質的に同一の画像を端末で表示するための第2画像データを生成し、第2画像データをネットワークを介して端末に送信する。端末は、第2画像データを受信すると、第2画像データに基づく第2の画像を表示する。
【0008】
本開示に基づく医療装置は、ネットワークを介して端末と所定のデータを送受信可能である。医療装置は、第1コントローラと、第1ディスプレイとを備えている。第1コントローラは、医療装置によって取得される治療情報に基づく第1画像データを生成する。第1ディスプレイは、第1画像データに基づく第1の画像を表示する。第1コントローラは、端末から受信した要求に応じて、表示された第1の画像と実質的に同一の画像を端末で表示するための第2画像データを生成し、該第2画像データをネットワークを介して端末に送信する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、ディスプレイに表示された治療情報を生データではなく画像データとして端末に送信するため、端末により表示される治療情報の保全性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係る医療システムのシステム構成を示す図である。
図2】本開示の一実施形態に係る医療装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】本開示の一実施形態において第1ディスプレイに表示される画面の複数の例を示す図である。
図4】本開示の一実施形態において第1コントローラが記憶するデータテーブルの一例を示す図である。
図5】本開示の一実施形態における端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
図6】本開示の一実施形態における端末が、医療装置の第1ディスプレイに表示された第1の画像と実質的に同一の画像を表示する処理の流れを示すフローチャートである。
図7】本開示の一実施形態における端末の、第2ディスプレイに表示される画面の遷移を模式的に示す図である。
図8】本開示の一実施形態に係る医療装置が、端末から受信したデータに基づいて医療装置を制御する処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一実施形態に係る医療システムおよび医療装置について図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
【0012】
図1は、本開示の一実施形態に係る医療システムのシステム構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る医療システム1は、医療装置10と、端末20と、サーバ30とを備えている。
【0013】
本実施形態に係る医療装置10は、血液浄化装置である。血液浄化装置は、患者に接続された状態で、患者の治療を行う。血液浄化装置は、透析装置とも呼ばれる。また、医療システム1は、複数の医療装置10として、第1医療装置10A、第2医療装置を10B、第3医療装置10C、および第4医療装置10Dを備えている。
【0014】
本実施形態において、複数の医療装置10のそれぞれは、いずれも同一の病院9内に配置されている。本実施形態において、医療装置10は、それぞれ、集中治療室(ICU:Intensive Care Unit)に配置されている。ただし、医療装置10が病院内において配置される部屋は特に限定されるものではない。
【0015】
また、医療装置10は、ネットワーク5に接続されている。より具体的には、医療装置10は、ネットワーク5のうち病院内のプライベートネットワーク51に接続されている。少なくとも医療装置10は、後述するように、いわゆるHTTP(Hypertext Transfer Protocol)サーバ機能を有している。医療装置10の具体的な構成は後述する。
【0016】
端末20は、ネットワーク5を介して医療装置10と所定のデータを送受信可能である。端末20が医療装置10とデータを送受信するためのネットワーク5は、少なくとも病院9内のプライベートネットワーク51を含んでいる。当該ネットワーク5は、インターネットなどのパブリックネットワーク52をさらに含んでいてもよい。プライベートネットワーク51は、ゲートウェイなどの中継ユニットを介してパブリックネットワーク52と相互に接続されてもよい。
【0017】
端末20としては、たとえば、図1に示すような第1端末20A、第2端末20B、および、第3端末20Cが挙げられる。第1端末20Aは、複数の医療装置10が配置された部屋とは異なる病室に居る医療従事者の所持する、携帯可能な端末である。第2端末20Bは、複数の医療装置10が配置された部屋とは異なる部屋(たとえばナースステーション)などに配置された端末である。第1端末20Aおよび第2端末20Bは、少なくともプライベートネットワーク51に接続可能に構成されている。第3端末20Cは、病院9の外に居る医療従事者の所持する携帯可能な端末である。第3端末20Cは、パブリックネットワーク52に接続可能に構成されている。ただし、これらの端末20の所在は上述に限定されるものではなく、少なくとも、ネットワーク5を介して医療装置10とデータを送受信可能であればよい。
【0018】
端末20は、具体的には、デスクトップ型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、または、スマートフォンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。端末20の具体的な構成は後述する。
【0019】
サーバ30は、ネットワーク5に接続されている。具体的には、サーバ30は病院9内に配置されており、プライベートネットワーク51に接続されている。
【0020】
次に、医療装置10の構成の詳細について説明する。図2は、本開示の一実施形態に係る医療装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図1および図2に示すように、医療装置10は、第1コントローラ11と、第1ディスプレイ12と、入力部13と、複数の圧力計14と、複数のポンプ15と、送受信部16とを含んでいる。
【0021】
第1コントローラ11は、プロセッサ111と、メモリ112と、リアルタイムクロック113とを有している。第1コントローラ11は、医療装置10の全体的な動作を制御する。具体的には、プロセッサ111は、メモリ112に記憶された各種のプログラムを実行することにより、医療装置10の動作を制御する。たとえば、プロセッサ111は、圧力計14からのデータを受信する。プロセッサ111は、ポンプ15の動作(稼働および停止)を制御する。送受信部16は、ネットワーク5に接続するための有線または無線の通信装置を含む。第1コントローラ11は、送受信部16を介して、ネットワーク5に接続された他の装置と通信する。
【0022】
さらに、第1コントローラ11は、医療装置10によって取得される治療情報に基づく第1画像データを生成する。具体的には、まず、メモリ112が、医療装置10によって取得される情報を記憶する。そして、プロセッサ111が、メモリ112が記憶した当該情報に基づいて第1画像データを生成する。当該治療情報は、たとえば、医療装置10を患者に接続して治療をしている間に医療装置10の有する各センサによって取得される取得値、または、治療条件として定められる医療装置10の各装置に係る設定値、および、これらの取得値および/または設定値から計算される算出値である。本実施形態では、取得値としては圧力計14の圧力値、治療条件の設定値としてはポンプ15の流量設定値、算出値としてはポンプ15の流量積算値などが挙げられる。
【0023】
図3は、本開示の一実施形態において第1ディスプレイに表示される画面の複数の例を示す図である。図3に示すように、第1ディスプレイ12は、第1画像データに基づく第1の画像1Gを表示する。
【0024】
第1の画像1Gの例としては、メニュー表示画面、積算表示画面、トレンド表示画面、または、治療データ表示画面などが挙げられる。メニュー表示画面は、治療データ設定などの設定画面を表示するためのオブジェクトを含む。積算表示画面は、上記の流量積算値を表示する。トレンド表示画面は、圧力値の経時変化をグラフで表示する。治療データ表示画面は、治療データとして、圧力計14の圧力値、ポンプ15の流量設定値、ポンプ15の流量積算値などを表示する。治療データ表示画面に表示されるこれらの治療データは、一定時間毎に更新される。なお、いずれの画面にも、最新の圧力値および流量設定値が表示されている。また、第1の画像1Gは、複数の第1オブジェクトOb1を含む。
【0025】
さらに、第1の画像1Gの例としては、警告表示画面が挙げられる。警告表示画面は、たとえば、圧力値が所定の数値範囲外となったときに表示される。警告表示画面の具体例は特に限定されないが、たとえば、上記のメニュー表示画面、積算表示画面、トレンド表示画面、または、治療データ表示画面上にポップアップウインドウが表示されたような画像が挙げられる。
【0026】
入力部13は、本実施形態においてはタッチパネルであり、第1ディスプレイ12と重畳させて設置されている。すなわち、入力部13は、第1ディスプレイ12とともにタッチスクリーンを構成している。
【0027】
入力部13は、第1の画像1Gに含まれる少なくとも1つの第1オブジェクトOb1の選択を受け付ける。具体的には、まず、入力部13が、ユーザによって上記タッチスクリーンにタッチされた位置の座標値をプロセッサ111に送る。プロセッサ111は、入力部13(タッチパネル)から取得した座標値に基づき、どの第1オブジェクトOb1が選択されたかを判断する。そして、プロセッサ111は、選択された第1オブジェクトOb1に対応する処理を実行する。
【0028】
たとえば、図3に示す複数の第1の画像1Gは、共通して、メニュー表示画面、積算表示画面、トレンド表示画面、または、治療データ表示画面に遷移するための複数の第1オブジェクトOb1を有する。また、警告表示画面に表示されたポップアップウインドウは、ポップアップウインドウを消去して第1の画像1Gを警告表示前の画面に遷移させるための第1オブジェクトOb1を含む。入力部13は、これらの第1オブジェクトOb1を選択可能に構成されている。
【0029】
図4は、本開示の一実施形態において第1コントローラが記憶するデータテーブルの一例を示す図である。図4に示すように、第1コントローラ11のメモリ112は、所定のデータベースを有しており、たとえばデータテーブル112Tを記憶している。当該データテーブル112Tにおいては、選択された各第1オブジェクトOb1と、第1コントローラ11が実行する各処理とが、互いに対応付けられている。このように、データテーブル112Tを参照することで、第1コントローラ11は、医療装置10に対して、選択された第1オブジェクトOb1に対応づけられた処理を実行することができるように構成されている。なお、各第1オブジェクトOb1と処理との対応付けは、データテーブル112Tによるものに限定されない。
【0030】
次に、端末20の構成の詳細について説明する。図5は、本開示の一実施形態における端末のハードウェア構成の一例を示す図である。図5に示すように、端末20は、第2コントローラ21と、第2ディスプレイ22と、端末入力部23と、送受信部24とを含んでいる。第2コントローラ21は、後述する所定のソフトウェアにより端末20を制御可能である。
【0031】
第2コントローラ21は、プロセッサ211と、メモリ212と、リアルタイムクロック213とを有している。第2コントローラ21は、端末20の全体的な動作を制御する。たとえば、プロセッサ211は、メモリ212に記憶されたWebブラウザソフトウェアなどのプログラムを実行することにより、端末20の動作を制御する。送受信部24は、ネットワーク5に接続するための有線または無線の通信装置を含む。第2コントローラ21は、送受信部24を介して、ネットワーク5に接続された他の装置と通信する。
【0032】
端末20がタブレット型パーソナルコンピュータまたはスマートフォンである場合、端末入力部23はタッチパネルである。以下の実施形態の説明においては端末入力部23がタッチパネルである場合を説明するが、端末入力部23はたとえばマウスなどであってもよい。端末入力部23(タッチパネル)は、第2ディスプレイ22に重畳して設置されている。すなわち、端末入力部23は、第2ディスプレイ22とともにタッチスクリーンを構成している。
【0033】
以下、本開示の一実施形態に係る医療システム1における、端末20による医療装置10の遠隔監視について説明する。本実施形態に係る医療システム1は、医療装置10の第1ディスプレイ12に表示された第1の画像1Gと実質的に同一の画像を、端末20で表示することができる。これにより、たとえば図1で示すように、病院9内の病室やICU等において医療装置10に接続された治療中の患者の状態が、病院9内の他の部屋(たとえばナースステーション)にて、第1端末20A、第2端末20Bにより確認可能となる。また、本実施形態においては、当該患者の状態は、医師などの医療従事者の自宅からも、第3端末20Cにて確認可能となる。
【0034】
図6は、本開示の一実施形態における端末が、医療装置の第1ディスプレイに表示された第1の画像と実質的に同一の画像を表示する処理の流れを示すフローチャートである。まず、端末20の操作者は、たとえば端末20に所定のURLを入力する。これにより、端末20は、所定のソフトウェア(Webブラウザソフトウェア)により、ネットワーク5を介し、所定の通信プロトコルを用いて、サーバ30へ接続の要求をする(ステップS11)。本実施形態における通信プロトコルは、たとえばHTTPであるが、これに限定されるものではない。
【0035】
サーバ30は、端末20がネットワーク5を介して医療装置10と所定のデータを送受信する前に、端末20に対して所定の認証を行う。これにより、医療装置10が記憶する治療情報のセキュリティが向上する。具体的には、サーバ30は、ステップS11での端末20からの接続要求を受信すると、端末20は、所定の認証要求を送信する。より具体的には、サーバ30は、端末20の上記所定ソフトウェアにパスワード入力画面を表示させるためのプログラムを端末20に送信する。端末20は、この認証要求(パスワード入力画面を表示させるためのプログラム)を受信する(ステップS12)。
【0036】
図7は、本開示の一実施形態における端末の、第2ディスプレイに表示される画面の遷移を模式的に示す図である。図7に示すように、端末20(第2コントローラ21)は、上記認証要求を受信すると、パスワード入力画面を第2ディスプレイ22に表示させる。端末20の操作者が、所定のパスワードを端末入力部23(タッチパネル)により入力し、所定のオブジェクトを選択することでこれを確定すると、端末20は、認証用データ(すなわち、パスワードの内容)をサーバ30に送信する(ステップS13)。サーバ30は、受信した認証用データが正か誤かを判断する。
【0037】
サーバ30は、端末20から受信した認証用データが正であると判断した場合に、端末20に対して、第1医療装置10A、第2医療装置10B、第3医療装置10C、および、第4医療装置10Dのいずれから第2画像データ(詳細は後述)を受信するかを選択させるためのデータを送信する。具体的には、サーバ30は、端末20の上記所定のソフトウェアに医療装置選択画面を表示させるための画像データおよびプログラムを端末20に送信する。そして、図6および図7に示すように、端末20(第2コントローラ21)は、この画像データおよびプログラムに基づき、医療装置選択画面を第2ディスプレイ22に表示させる(ステップS14)。端末20の操作者が第2ディスプレイ22に表示された医療装置選択画面において所望の医療装置10を選択すると、端末20は、ネットワーク5を介して選択された医療装置10と接続し、当該医療装置10に第2画像データを要求する(ステップS15)。
【0038】
第1コントローラ11は、端末20から受信した要求に応じて、表示された第1の画像1G(図3参照)と実質的に同一の画像を端末20で表示するための第2画像データを生成する。第1コントローラ11は、生成された第2画像データをネットワーク5を介して端末20に送信する。このように、第1ディスプレイ12に表示された第1の画像1Gから得られる情報は、圧力計14の圧力値やポンプ15の設定流量値の生データでなく、画像データとして、医療装置10から端末20に送信される。
【0039】
図6および図7に示すように、端末20は、第2画像データを受信すると、第2画像データに基づく第2の画像2Gを表示する(ステップS16)。このように、端末20は生データでなく第2画像データに基づいて第2の画像2Gを表示するため、表示された第2の画像2Gから端末20の操作者が得られる情報の保全性が向上している。結果として、端末20は、医療装置10にて表示された第1の画像1Gと実質的に同一の画像を表示することができる。
【0040】
なお、第1の画像1Gと実質的に同一の画像とは、第1の画像1Gと同一に表現された画像の他、第1の画像1Gを表示するための第1画像データと比較してデータ容量が圧縮された第2画像データに基づいて表示された画像、または、これらの画像のいずれか一方が端末20の第2ディスプレイ22の大きさに応じて端末20によってサイズが拡大または縮小された画像のいずれであってもよい。
【0041】
また、第2ディスプレイ22は、Webブラウザソフトウェアによって第2の画像を表示する。このため、医療装置10にて取得される治療情報を端末20で確認するために、専用のソフトウェアは必要とされない。よって、端末20を使用するユーザの利便性が向上する。
【0042】
さらに、第1コントローラ11は、所定の時間間隔ごとに第2画像データを生成し、該第2画像データをネットワーク5を介して端末20に送信する。これにより、端末20にて得られる医療装置10による治療情報のリアルタイム性が向上する。
【0043】
具体的には、ステップS16にて第2画像データに基づき第2の画像2Gを表示した端末20は、第2ディスプレイ22が第2の画像2Gを表示している状態か否かを判断する(ステップS17)。すでに第2ディスプレイ22が第2の画像2Gを表示していない状態である場合は(ステップS17にてNO)、端末20は第2画像データを要求せず、処理を終了してもよい。端末20が第2の画像2Gを表示している状態である場合は(ステップS17にてYES)、端末20は、第2画像データとともに受信したプログラムに基づき、最新の第2の画像2Gの表示開始から所定時間が経過したか否かを確認する(ステップS18)。最新の第2の画像2Gの表示開始から所定時間が経過していない場合は(ステップS18にてNO)、ステップS17,S18の処理を再度実施する。最新の第2の画像2Gの表示開始から所定時間が経過している場合は(ステップS18にてYES)、再度、端末20は、医療装置10に第2画像データを要求する(ステップS19)。医療装置10の第1コントローラ11は、当該端末20から受信した要求に応じて、再度、第2画像データを生成する。第1コントローラ11は、生成された第2画像データをネットワーク5を介して端末20に送信する。そして、端末20は、再度ステップS16の処理を実施する。結果として、端末20は、所定の時間間隔ごとに最新の第1の画像1Gと実質的に同一の画像として第2の画像2Gを表示可能となる。
【0044】
次に、本開示の一実施形態に係る医療システム1における、端末20による医療装置10の遠隔操作について説明する。本実施形態に係る医療システム1は、第2の画像2Gを表示させつつ、端末20から、ネットワーク5を介して医療装置10の制御を実行できる。たとえば、図3に示すように医療装置10において第1の画像1Gとして警告表示画面が表示されている場合に、端末20の操作者は、端末20により警告を解除したり画面を遷移させることができる。
【0045】
図7に示すように、端末入力部23(タッチパネル)は、表示された第2の画像2Gに基づくユーザ入力を受け付ける。具体的には、当該ユーザ入力は、表示された第2の画像2G上の位置2Pの選択である。すなわち、当該ユーザ入力は、端末入力部23であるタッチパネルへの位置2Pへのタッチである。第2コントローラ21は、ユーザ入力に基づく入力データを医療装置10に送信する。入力データは、第2の画像2G上の上記位置2Pを示す座標値である。
【0046】
図8は、本開示の一実施形態に係る医療装置が、端末から受信したデータに基づいて医療装置を制御する処理の流れを示すフローチャートである。図8に示すように、医療装置10の第1コントローラ11は、端末20から受信した入力データ(座標値)に基づき医療装置10を制御する。このようにして、端末20の操作者は、端末20で第2の画像2Gから得られる情報に基づいて、端末20によってネットワークを介した医療装置10の遠隔操作が可能となる。具体的には、第1コントローラ11は、受信した座標値に基づき、第2の画像2Gに含まれる複数の第2オブジェクトOb2のうちどの第2オブジェクトOb2が選択されたかを判断し(ステップS21)、医療装置10に対して、選択された第2オブジェクトOb2に対応付けられた処理を実行する(ステップS23)。このため、端末20の操作者は、第2の画像2Gから得られる情報に基づいて、端末20から直感的に医療装置10を操作することが可能となる。
【0047】
なお、図4に示すように、第1コントローラ11のメモリ112が記憶するデータテーブル112Tにおいては、各第2オブジェクトOb2の選択が、各第1オブジェクトOb1の選択、および、医療装置10の各処理に、それぞれ対応付けられている。各第2オブジェクトOb2の選択は、各第1オブジェクトOb1の選択にのみ対応付けられていてもよいし、医療装置10の各処理にのみ対応付けられていてもよい。
【0048】
なお、図8に示すステップS23の処理実行の直後、端末20は、医療装置10に第2画像データの送信要求をさらに行ってもよい。これにより、端末20は、図6に示すステップS19の第2画像データ送信要求を待たずに、最新の第2画像データを受信できる。ひいては、端末20の遠隔操作のリアルタイム性が向上する。
【0049】
また、図4に示すように、第1オブジェクトOb1に対応付けられた第1コントローラ11の処理のうちの少なくとも一部の処理は、第2オブジェクトOb2の選択によって処理が実行できないように設定可能である。これにより、たとえば、端末20からの遠隔操作として好ましくないと考えられる処理を、端末20から実行できないようにすることができる。
【0050】
本実施形態においては、図4に示すように、データテーブル112Tが、第2オブジェクトOb2の選択に対応付けられた処理をプロセッサ111が実行するか否か判断するためのデータを含んでいる。データテーブル112Tの例においては、ポンプ15の流量の設定値の変更処理が、第2オブジェクトOb2の選択によって実行できないように設定されている。また、医療装置10は、各第1オブジェクトOb1の選択に対応する複数の処理について、第2オブジェクトOb2の選択による実行可否が医療装置10の操作者によって切替できるように、構成されていてもよい。
【0051】
また、図8に示すように、ステップS21の処理の後であって、ステップS23の処理の前に、第1コントローラ11は、第2オブジェクトOb2の選択により処理を実行してもよいか否かを、データテーブル112Tに基づいて判断する(ステップS22)。第1コントローラ11が処理を実行できると判断した場合(ステップS22にてYES)は、ステップS23の処理を実行する。第1コントローラ11が当該処理を実行しないと判断した場合(ステップS22にてNO)、第1コントローラ11はステップS23の処理を実行しない。第1コントローラ11がステップS23の処理を実行しないとき、第1コントローラ11は、その旨の表示を第1ディスプレイ12に表示させてもよい。
【0052】
上述のように、本実施形態に係る医療システム1は、医療装置10と、端末20とを備えている。端末20は、ネットワーク5を介して医療装置10と所定のデータを送受信可能である。医療装置10は、第1コントローラ11と、第1ディスプレイ12とを含んでいる。第1コントローラ11は、医療装置10によって取得される治療情報に基づく第1画像データを生成する。第1ディスプレイ12は、第1画像データに基づく第1の画像1Gを表示する。第1コントローラ11は、端末20から受信した要求に応じて、表示された第1の画像1Gと実質的に同一の画像を端末20で表示するための第2画像データを生成し、第2画像データをネットワーク5を介して端末20に送信する。端末20は、第2画像データを受信すると、第2画像データに基づく第2の画像2Gを表示する。
【0053】
上記の構成によれば、第1ディスプレイ12に表示された第1の画像1Gから得られる情報を、生データでなく画像データとして医療装置10が端末20に送信するため、端末20により表示される第2の画像2Gにより得られる情報の保全性が向上可能となる。
【0054】
上述した実施形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。
【0055】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0056】
1 医療システム、10 医療装置、10A 第1医療装置、10B 第2医療装置、10C 第3医療装置、10D 第4医療装置、11 第1コントローラ、111 プロセッサ、112 メモリ、112T データテーブル、113 リアルタイムクロック、12 第1ディスプレイ、13 入力部、14 圧力計、15 ポンプ、16 送受信部、1G 第1の画像、20 端末、20A 第1端末、20B 第2端末、20C 第3端末、21 第2コントローラ、211 プロセッサ、212 メモリ、213 リアルタイムクロック、22 第2ディスプレイ、23 端末入力部、24 送受信部、2G 第2の画像、30 サーバ、5 ネットワーク、51 プライベートネットワーク、52 パブリックネットワーク、9 病院。
図1
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図8